JP2005125349A - はんだごて - Google Patents
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Abstract
【構成】発熱体からの熱をはんだ付け部に伝達する部材であるこて先として、銅からなる母材の表面に厚さ1〜30μmのニッケルめっき層が形成されたこて先を備える。
【選択図】 図1
Description
はんだごての加熱される部分は、発熱体と、発熱体からの熱をできる限り効率良くはんだに伝達するための部材であるこて先と、で構成される。こて先は、発熱体からの熱をできる限り効率良くはんだやはんだ付け部に伝達すること、およびはんだやはんだ付け部に接触した際に急激に温度低下せず必要な温度を維持すること、を求められるので、熱伝導性に優れ且つ熱容量の大きい銅を素材として作られる。しかし、はんだ付け作業は200℃を越える高温で実施されるので、はんだに接触するこて先の銅が、はんだ中へ溶け出し、はんだ材の組成を変え、はんだ材の組成の管理を困難にする、という問題がある。はんだ材の組成が変わると、はんだの熔融特性や粘性、濡れ性が変わり、組成の変化が限度を超えると、はんだに必要な性質を維持できなくなる。
図1は、はんだ中への銅の溶解速度を錫―鉛共晶はんだ(図1ではSn-37Pbと表示)と2種類の鉛フリーはんだ、Sn-3.5Wt%Ag-0.5Wt%Cu-0.05 Wt%NiおよびSn-3.5Wt%Ag-0.5Wt%Cu-0.1 Wt%Ni(図1においてはWt%を省略して表示しており、以下ではWt%を省略した表示を用いる)とで測定した結果を示したものである。縦軸は、錫―鉛共晶はんだの250℃の溶解速度を基準とする溶解速度の比であり、はんだ浴の温度は、250℃、300℃および350℃の3点とした。ここでは、ニッケルめっき層の膜厚が0の場合についてのみ説明する。銅の溶出速度は、銅線をサンプルとして、これを所定の温度に制御したはんだ浴に一定時間浸漬し、銅線の断面積の減少量を測定して算出した。ニッケルめっき層の膜厚が1μmおよび10μmの場合は、この発明を説明するために必要なものであり、後述する「実施例1」の項で説明する。
特許文献1においては、厚さ50〜500μmの鉄―ニッケル合金めっき層が好ましいと記されており、特許文献2においては、5〜7重量%のニッケルを添加された銅からなるチップを先端部に密嵌されたこて先とすることが記され、非特許文献1においては、0.08〜0.25mmの鉄またはニッケルの被覆が用いられると記されている。
まず、ニッケルめっき層での温度低下分を推定する。
ニッケルの熱伝導率を250℃近傍で71W/m・Kとし、こて先で伝達する熱量の面積密度を5〜10W/mm2とすると、厚さ10μmのニッケルめっき層での温度低下分ΔT(10)は、
ΔT(10)=50~100/71≒0.7〜1.4(℃)
となり、近似的には、ニッケルめっき層の厚さ10μmに対して1℃程度の温度低下があると、推定することができる。
次に、銅にニッケルを添加した場合のこて先の熱抵抗分の増加から推定されるこて先の先端部の温度低下分を推定する。
推定を簡単にするために、こて先をΦ5mm×20mmの円柱状とし、銅の熱伝導率を300℃で381W/m・Kとし、こて先内を50Wの熱量が伝達されるとすると、こて先の両端に発生する温度差ΔT(Cu)は、
ΔT(Cu)≒50×20×103/381×19.6≒134(℃)
となる。ニッケルの添加によってこて先材料の熱伝導率が減少すれば、この値に反比例してこて先の両端に発生する温度差ΔT(Cu-Ni)は増加する。ニッケルの添加量が0.04 Wt%の場合に、熱伝導率は約3.5%減少し、ニッケルの添加量が0.1 Wt%の場合に、熱伝導率は約5〜6%減少する。すなわち、ニッケルの添加量が0.04 Wt%の場合に、ΔT(Cu-Ni)は約5℃増加し、ニッケルの添加量が0.1 Wt%の場合に、ΔT(Cu-Ni)は約7〜8℃増加することになる。以上の推定はこて先全体にニッケルを添加した場合であるが、上述のように、こて先の先端にニッケルを添加された銅からなるチップを密嵌する場合には、その影響はこて先全体にニッケルを添加する場合の数分の1になると推定される。
このような作業性の低下は、はんだごてに投入される電力を増大させることによって改善される。しかし、この場合には、こて先の到達最高温度が高くなるので、はんだ付けされる電子部品等への影響が問題となる。
この発明は、鉛フリーはんだを用いたはんだ付け作業における上述のような問題点を解消して、こて先からの銅の溶出を抑制してはんだ組成の管理精度を高めることができ且つ作業性に優れたはんだごてを提供することを課題とする。
請求項1の発明は、電子部品を回路基板にはんだ付けで実装するためのはんだごてであって、はんだ付けに使用される半田が鉛フリーはんだであり、発熱体からの熱をはんだ付け部に伝達する部材であるこて先として、銅からなる母材の表面に厚さ1〜30μmのニッケルめっき層が形成されているこて先を備えている。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、はんだ付けに使用されるはんだがニッケルを含む鉛フリーはんだである。
鉛フリーはんだがニッケルを含んでいることによって、ニッケルめっき層からはんだ中へ溶出するニッケル量が少なくなり、且つ少ない溶出量のニッケルが銅の溶解速度を効果的に低下させる。
以下において、この発明によるはんだごての実施の形態について実施例を用いて説明する。
図1に示されている結果から、はんだ温度が高くなると銅の溶解速度が急激に上昇すること、および1〜10μmのニッケルめっき層を形成することで銅の溶解速度を大幅に低減できることが分かる。一方、ニッケルめっき層の厚さの効果が厚さの比ほど明確に現れていないことは、ニッケルめっき層が銅の溶出を抑制するのと同等以上に、ニッケルめっき層からはんだ中に溶出したニッケルによるニッケルめっき層近傍のはんだ中のニッケル含有率の増加が溶解速度を低減させていることによる、と推測できる。したがって、ニッケルの含有率のより高い鉛フリーはんだの場合には、ニッケルめっき層の効果がより顕著になり、且つニッケルめっき層の消耗はより少なくなる、と期待できる。言い換えれば、この発明によるはんだごては、はんだに要求される粘度や液相線温度や濡れ性等の特性が、その許容限界値近くになるようなニッケル含有率の高いはんだに対して最も有効に機能する。ニッケル含有率の低いはんだに対してはニッケルめっきの消耗が激しくなるので、許容使用回数を決めてこて先を交換することが必要となる。
Claims (2)
- 電子部品を回路基板にはんだ付けで実装するためのはんだごてであって、
はんだ付けに使用されるはんだが鉛フリーはんだであり、
発熱体からの熱をはんだ付け部に伝達する部材であるこて先として、銅からなる母材の表面に厚さ1〜30μmのニッケルめっき層が形成されているこて先を備えている、
ことを特徴とするはんだごて。 - はんだ付けに使用されるはんだがニッケルを含む鉛フリーはんだである、
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだごて。
Priority Applications (1)
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JP2003362234A JP2005125349A (ja) | 2003-10-22 | 2003-10-22 | はんだごて |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003362234A JP2005125349A (ja) | 2003-10-22 | 2003-10-22 | はんだごて |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005125349A true JP2005125349A (ja) | 2005-05-19 |
Family
ID=34641949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003362234A Withdrawn JP2005125349A (ja) | 2003-10-22 | 2003-10-22 | はんだごて |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005125349A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100864670B1 (ko) | 2007-04-30 | 2008-10-23 | 박인덕 | 무연납전용 인두팁의 제조방법 |
US20110101076A1 (en) * | 2009-10-30 | 2011-05-05 | Nhk Spring Co ., Ltd. | Reflow bonding method and method of manufacturing head suspension |
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2003
- 2003-10-22 JP JP2003362234A patent/JP2005125349A/ja not_active Withdrawn
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US8317081B2 (en) * | 2009-10-30 | 2012-11-27 | Nhk Spring Co., Ltd. | Reflow bonding method and method of manufacturing head suspension |
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