JP2005125215A - 含油有機汚泥の脱水方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高含油汚泥の処理に関しては、従来適当な処理方法が無かった。すなわちフロックは形成するが凝集フロックは小さく、ベルトプレスやフィルタープレスなどの脱水機において脱水する際、十分な強度を有しない。また凝集フロックの濾過性が悪く、得られた脱水ケーキは含水率が高いなど欠点がある。すなわち剥離性の向上、含水率の低減、凝集剤添加量の低減などコスト面で実用化に際しては改善が求められている。従って強固なフロックを形成し、容易に脱水可能であり、脱水ケーキ含水率の低下、ケーキ剥離性の向上などを目的とする処理方法を提供する。
【解決手段】 含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を添加、汚泥を改質した後カチオン性モノマ−と複数のビニル基を有するモノマーを必須とするモノマー混合物を重合した架橋型イオン性高分子凝集剤を添加し凝集させた後、脱水することによって達成できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含油有機汚泥の脱水方法に関し、詳しくはベントナイト等の粘土と特定の構造単位を有する架橋型イオン性高分子凝集剤とを組み合わせることを特徴とする含油有機汚泥の脱水方法に関する。
従来、含油有機汚泥の脱水処理には、無機+両性高分子併用による脱水処方、カチオン性高分子とアニオン性高分子併用による処方で脱水されているが、近年汚泥発生量の増加及び汚泥性状の悪化により、従来の汚泥脱水方法では、汚泥の処理量に限界があることや、脱水ケーキ含水率、SS回収率、ケーキの濾布からの剥離性などの点で処理状態は必ずしも満足できるものではなく、改善が求められている。これら従来の汚泥脱水剤方法の欠点を改良するために、汚泥脱水方法が種々提案されているが、これらの汚泥脱水剤方法は必ずしも十分に満足しうるものではない。例えば、(1)汚泥の脱水方法(特開平4−322800号公報)、(2)汚泥の脱水方法(特開平5−269500号公報)などが開示されている。しかし、前記(1)、(2)の汚泥の脱水方法おいては、高含油汚泥に対してフロック形成はするが生成した凝集フロックは小さく、脱水するには十分な強度を有しない。また凝集フロックの濾過性が悪く、得られた脱水ケーキが軟らかく含水率が高いなどの欠点がある。更にベルトプレスやフィルタープレスなどの脱水機においても剥離性、含水率の低減、添加量の低減などの面で実用化に際しては改善が求められている。
特開平4−322800号公報 特開平5−269500号公報
高含油汚泥の処理に関しては、従来適当は処理方法が無かった。従って本発明の目的は、粘土(クレイなど)を含油有機汚泥に添加した後、架橋型イオン性高分子凝集剤溶解液を添加することにより強固なフロックを形成し、容易に脱水可能であり、脱水ケーキ含水率やケーキ剥離性の向上など優れた点が発現する脱水処方の開発が目的である。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記のような発明に達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を添加後、カチオン性モノマーと複数のビニル基を有するモノマーを必須とするモノマー混合物を重合した架橋型イオン性高分子凝集剤を添加し脱水することを特徴とする含油有機汚泥の脱水方法に関する。
請求項2の発明は、前記架橋型イオン性高分子凝集剤が、モノマー混合物水溶液を不連続相とし、水に非混和性の液状炭化水素を連続相とする油中水型エマルジョンを形成させ、攪拌下、乳化重合することによって製造される分散液からなることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法である。
請求項3の発明は、前記架橋型イオン性高分子凝集剤が、下記一般式(2)及び/又は(3)で表わされる単量体を5〜100モル%、下記一般式(4)で表わされる単量体を0〜60モル%及び非イオン性単量体0〜95モル%からなるモノマー混合物と、複数のビニル基を有するモノマーを前記モノマー混合物に対し質量で0.0005〜0.1%添加し共重合することにより生成することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の含油有機汚泥の脱水方法である。
Figure 2005125215
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
Figure 2005125215
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
Figure 2005125215
一般式(3)
R8は水素またはCOOY2、QはSO3、C6H4SO3、
CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素、メチル基またはCH2COOY3であり、Y1、Y2、Y3は水素または陽イオン
請求項4の発明は、前記粘土がベントナイト、タルク、クレイ及びカオリンから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法である。
請求項5の発明は、前記含油有機汚泥のn−ヘキサン抽出成分が脱水前の汚泥に対し3〜30%質量%であることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法である。
本発明の含油有機汚泥の脱水方法の作用機構は、以下のように考えられる。すなわち含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を添加することにより、汚泥中の油分を粘土が吸着しフリーの油分を皆無あるいは減少させた状態に改質する。粘土粒子は、汚泥中の水溶性タンパク質や多糖類を吸着し、凝集剤の機能を助ける。これら粘土粒子は、凝集剤添加による凝集作用時の核として働くことも推定できる。また架橋型イオン性高分子凝集剤を使用することがより適切であることは以下のように考えられる。
水溶性高分子は、架橋することによって水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在する。通常高分子凝集剤として使用されるのは、前記の「密度の詰まった」分子形態である場合が効率的とされる。架橋型高分子凝集剤が汚泥中に添加されると懸濁粒子に吸着し、粒子同士の接着剤として作用し結果として粒子の凝集が起こる。この時「密度の詰まった」分子形態であるため粒子表面と多点で結合し、より締った強度の高いフロックを形成すると推定される。
初めに含油有機汚泥の脱水方法について説明する。まず含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を対汚泥固形分0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは3〜15%質量添加することにより、pHが上昇し汚泥が粘性を帯びたクリーム状に改質される。その後例えば約0.2%に溶解した架橋型イオン性高分子凝集剤溶解液を添加、攪拌し汚泥を凝集させ強固なフロックを形成する。このフロックを多重円盤型脱水機やベルトプレス型脱水機などで脱水し固液分離を行う。
添加順序としては含油有機汚泥にベントナイト等の粘土及び架橋型イオン性高分子凝集剤のどちらを先に添加しても処理は可能であるが、ベントナイト等の粘土を添加攪拌後、架橋型イオン性高分子凝集剤溶解液を添加し攪拌することがより有効である。
「粘土」とは一般に、カオリナイト、モンモリロナイト、イライトその他の粘土鉱物をさして言う。ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とする粘土であり、カオリン系粘土は含水珪酸アルミニウムと呼ばれる鉱物を主成分としており、これらは水に触れて膨潤すると粘性を帯び他の粒子を吸着し共に沈降する特性がある。これら「粘土」は、どのようなものでも使用可能であるが、特にベントナイト、カオリン、クレイ、タルクが有効であり、ベントナイト、カオリンが更に好ましい。
これらの添加量は汚泥固形分に対し1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。1質量%より少なければ汚泥改質への効果はなく、50質量%より多く添加しても脱水ケーキ量が増えること、コストが上昇することなどメリットはない。
本発明で使用する架橋型イオン性高分子凝集剤は、カチオン性モノマーと複数のビニル基を有するモノマーを必須とするモノマー混合物を重合し製造することができる。すなわち前記一般式(2)及び/又は(3)で表わされるモノマーを5〜100モル%、前記一般式(4)で表わされるモノマーを0〜60モル%及び非イオン性モノマー0〜95モル%からなるモノマー混合物と、複数のビニル基を有するモノマーを前記モノマー混合物に対し質量で0.0005〜0.1%添加し共重合することにより生成する。従って本発明で使用可能な架橋型イオン性高分子凝集剤は、カチオン性凝集剤と両性凝集剤である。
両性の架橋型高分子凝集剤は、使用する共重合性モノマーの比率において、通常モル比でノニオン性モノマー:カチオン性モノマー:アニオン性モノマー=0〜85:10〜95:5〜60であるが、好ましくはノニオン性モノマー:カチオン性モノマー:アニオン性モノマー=10〜85:10〜60:5〜30、更に好ましくは25〜70:30〜70:5〜20である。かつアニオン性モノマーとカチオン性モノマーのモル比は、アニオン性モノマー:カチオン性モノマー=1:1.5〜6であり、好ましくは1:2〜4である。上記の範囲で得られる両性高分子は凝集性やスラッジの脱水において特に良好な性能を示す。
またカチオン性の架橋型高分子凝集剤は、使用する共重合性モノマーの比率において通常モル比で、ノニオン性モノマー:カチオン性モノマー=0〜95:5〜100であるが、好ましくはノニオン性モノマー:カチオン性モノマー=0〜90:10〜100、更に好ましくは0〜70:30〜100である。
本発明においてこれらカチオン性あるいはカチオン性の架橋型高分子凝集剤は、を適宜選択して使用することが可能であるが、より好ましくは両性の架橋型高分子凝集剤である。
架橋型イオン性高分子凝集剤の重合時共存させる複数のビニル基を有するモノマーとしては、例えばN,Nーメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、メチロール(メタ)アクリルアミドなどのビニル系メチロール化合物、アクロレインなどのビニル系アルデヒド化合物、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテル等のビニル系エーテル化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
複数のビニル基を有するモノマーの前記モノマー混合物に対する添加量は、モノマー混合物質量に0.0001〜0.1質量%であり、好ましくは0.0005〜0.01質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.005%質量である。重合温度は前記のような通常の重合条件で行なうことができる。また、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対モノマー0.1〜5質量%など併用すると効果的である。
一般式(1)で表わされるカチオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミンなどの重合体や共重合体が上げられ、四級アンモニウム基含重合体の例は、前記三級アミノ含有単量体の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。また一般式(2)カチオン性モノマーの例としては、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物などである。
さらに一般式(3)で表されるアニオン性モノマーの例としては、スルホン基でもカルボキシル基でもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
非イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドアクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどがあげられる。
本発明で使用する架橋型イオン性高分子凝集剤は、その製品形態として特に限定はされるものではなく、どのような製品形態でも使用可能である。すなわち重合法として任意なものが適用でき、例えば水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合などによって重合した後、水溶液、分散液、エマルジョンあるいは粉末など任意の製品形態にすることができる。最も好ましい形態としては、乾燥工程が不要であり、濃度を高められ、溶解時間も短い油中水型エマルジョン重合品が適している。
油中水型高分子エマルジョンの製造方法としては、カチオン性単量体、あるいはカチオン性単量体と共重合可能な単量体からなる単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合することにより合成する。
分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面化成剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面化成剤の例としては、カチオン性界面化成剤やHLB9〜15のノニオン性界面化成剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。
重合濃度としては、水溶液重合ならば8〜15質量%であり、好ましくは10〜12質量%であり、油中水型エマルジョン重合あるいは油中水型分散重合なら20〜50質量%であり、好ましくは25〜40質量%であり、塩水中分散重合なら15〜35質量%、好ましくは20〜30質量%である。重合温度としては、0〜80℃であり、好ましくは20〜50℃、最も好ましくは20〜40℃であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合温度を設定する。
本発明で使用する架橋型イオン性高分子凝集剤の分子量は、300万〜2,000万であり、好ましくは500万〜1500万、さらに好ましくは500万〜1000万である。
本発明の含油有機汚泥の脱水方法が、効率よく含油有機汚泥を脱水することのできる作用機構として以下のように考えられる。すなわち含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を添加することにより、汚泥中の油分を粘土が吸着しフリーの油分を皆無あるいは減少させた状態に改質する。この作用によって後に架橋型イオン性高分子凝集剤の凝集機能の効率を高める。また粘土粒子は、汚泥中の水溶性タンパク質や多糖類を吸着し、凝集剤の機能を助ける。これら粘土粒子は、凝集剤添加による凝集作用時の核として働くことも推定できる。また表面がアニオン性であるためカチオン性あるいは両性の凝集剤とイオン的なコンプレックスを生成しやすく凝集効率を高める。また架橋型イオン性高分子凝集剤を使用することがより適切であることは以下のように考えられる。
水溶性高分子は、架橋することによって水中における分子の広がりが抑制される。そのためにより「密度の詰まった」分子形態として存在し、さらに架橋が進めば水膨潤性の微粒子となる。通常高分子凝集剤として使用されるのは、前記の「密度の詰まった」分子形態である場合が効率的とされる。架橋型高分子凝集剤が汚泥中に添加されると懸濁粒子に吸着し、粒子同士の接着剤として作用し結果として粒子の凝集が起こる。この時「密度の詰まった」分子形態であるため粒子表面と多点で結合し、より締った強度の高いフロックを形成すると推定される。多点で結合することは、懸濁粒子への吸着性能が優れ、そのため未吸着の高分子凝集剤が少なく、汚泥中に遊離せず汚泥粘性の増加が発生しない。結果として機械脱水時、水切れが良くケーキ含水率が低下すると考えられる。さらに使用する高分子凝集剤が両性であるならば、高分子凝集剤の分子同士によるイオン結合、あるいは懸濁粒子表面に吸着している高分子凝集剤分子のカチオン性基とアニオン性基同士によるイオン結合も発生し、電荷の中和が起こる。すなわち電荷的によりゼロに近い状態に近づく。そのため最適添加量範囲は広がり、薬注調節はしやすいものとなる。高分子凝集剤のイオン性がカチオン性のものを使用した場合も吸着、凝集などは同様な機構で起こると推定されるが、カチオン性基とアニオン性基同士によるイオン結合による電荷の中和が発生しないため、添加しすぎると再分散作用が起きやすく、最適添加量範囲は両性に較べより狭いものとなる。従って本発明では、カチオン性あるいは両性のどちらでも使用可能だが、両性がより好ましい。
適用可能な汚泥は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥であるが、最も適する汚泥は、食品加工過程で発生する加圧浮上汚泥である。また、本発明の架橋型イオン性高分子凝集剤の添加量は、汚泥固形分に対し質量で0.1〜1.0%であり、好ましくは0.2〜0.7%である。
本発明の含油有機汚泥の脱水方法は、一般の有機汚泥に適用することは可能であるが、高含油汚泥に適用することが最もメリットがある。含油量は、ノルマルヘキサンによる抽出分法で規定することができる。処理対象汚泥として適切なものとして、前記規定による油分が汚泥液量に対し0.5〜30質量%であるが、3〜30質量%である汚泥が処理対象として適用することがより適切である。
本発明の処方は、従来と同様無機凝集剤を併用して実施できる。無機凝集剤の例としては、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ塩化鉄などがあげられる。無機凝集剤の添加量としては、汚泥固形分に対し質量で500ppm〜10000ppm程度であり、好ましくは1000〜5000ppmである。添加順は、ベントナイトなど粘度類の添加した後に添加することが好ましい。
(合成例1)攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン111.0gにソルビタンモノオレート5.3g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.5gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水40.0gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液23.6gを混合し、これを35%水酸化ナトリウム水溶液22.4gで当量中和した。中和後、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液126.7g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液34.0g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液65.1g及びメチレンビスアクリルアマイド1%水溶液0.4g各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.01に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=40/10/15/35(モル%)、単量体濃度は40.9%である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液1.3g(対単量体0.3質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル8.6g(対液2.0質量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−1)とした。また静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。
(合成例2〜5)
合成例1と同様な操作により架橋型イオン性高分子凝集剤試料−2〜試料−5を合成した。結果を表1に示す。
(比較合成例1〜2)
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン111.0gにソルビタンモノオレート5.3g及びポリリシノ−ル酸/ポリオキシエチレンブロック共重合物0.5gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水40.0gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液23.6gを混合し、これを35%水酸化ナトリウム水溶液22.4gで当量中和した。中和後、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)80%水溶液126.7g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMCと略記)80%水溶液34.0g及びアクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液65.1gを各々採取し前記アクリル酸溶液に添加し、完全に溶解させた。また、pHを4.01に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/DMC/AAC/AAM=40/10/15/35(モル%)、単量体濃度は40.9%である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール40%水溶液1.3g(対単量体0.3質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.02質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレントリデシルエ−テル8.6g(対液2.0重量%)を添加混合して試験に供する試料(試料−1)とした。また静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。これを比較−1とする。同様な操作によって比較−2を合成した。これらの結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2005125215
AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド、
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
メチレンビスアクリルアミド;対単量体質量%、単量体;モル%
食品加工における加圧浮上汚泥(pH4.93、全SS分20000mg/L)200mLをポリビ−カ−に採取し、ベントナイトを対汚泥固形分20%添加しビーカー移し替え5回おこなった。その後表1の試料−1〜試料−5の両性高分子あるいはカチオン性高分子を対汚泥固形分0.6%添加し、ビ−カ−移し替え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、10秒後の濾液量の測定、及びフロック強度(大きさ)を目視により測定した。その後1分放置し濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表2に示す。
比較例1
表1試作−1〜試作5の両性あるいはカチオン性高分子を用いベントナイトを併用しない場合、あるいは比較−1〜比較−2を用いて、実施例1〜5と同様な試験操作によって行った。結果を表2に示す。
(表2)
Figure 2005125215
10秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
フロック強度;mm、濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。
産業廃棄物浸出水性物処理汚泥(pH5.1、全ss48000mg/mL)200mLをポリビ−カ−に採取し、タルクを対汚泥固形分25%添加しビ−カ−移し変え攪拌10回行った。次ぎに表1の両性あるいはカチオン性高分子、試料−1〜試料−5を対汚泥固形分0.8%添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、10秒後濾液量の測定、及びフロック強度(大きさ)を目視により測定した。その後1分放置し濾過した汚泥をプレス圧2Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
比較例2
表1試作−1〜試作5の両性あるいはカチオン性高分子を用い、タルクを併用しない場合、あるいは比較−1〜比較−2を用いて、実施例6〜10と同様な試験操作によって行った。結果を表3に示す。
(表3)
Figure 2005125215
10秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
フロック強度;mm、濾布剥離性:○>△>×の順に良いことを示す。

























Claims (5)

  1. 含油有機汚泥にベントナイト等の粘土を添加後、カチオン性モノマ−と複数のビニル基を有するモノマーを必須とするモノマー混合物を重合した架橋型イオン性高分子凝集剤を添加し脱水することを特徴とする含油有機汚泥の脱水方法。
  2. 前記架橋型イオン性高分子凝集剤が、モノマー混合物水溶液を不連続相とし、水に非混和性の液状炭化水素を連続相とする油中水型エマルジョンを形成させ、攪拌下、乳化重合することによって製造される分散液からなることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法。
  3. 前記架橋型イオン性高分子凝集剤が、下記一般式(2)及び/又は(3)で表わされる単量体を5〜100モル%、下記一般式(4)で表わされる単量体を0〜60モル%及び非イオン性単量体0〜95モル%からなるモノマー混合物と、複数のビニル基を有するモノマーを前記モノマー混合物に対し質量で0.0005〜0.1%添加し共重合することにより生成することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の含油有機汚泥の脱水方法。
    Figure 2005125215
    一般式(1)
    R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
    Figure 2005125215
    一般式(2)
    R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす
    Figure 2005125215
    一般式(3)
    R8は水素またはCOOY2、QはSO3、C6H4SO3、
    CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素、メチル基またはCH2COOY3であり、Y1、Y2、Y3は水素または陽イオン
  4. 前記粘土がベントナイト、タルク、クレイ及びカオリンから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法。
  5. 前記含油有機汚泥のn−ヘキサン抽出成分が原水汚泥の液量に対し3〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の含油有機汚泥の脱水方法。

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WO2021112218A1 (ja) 2019-12-06 2021-06-10 栗田工業株式会社 汚泥脱水剤及び汚泥脱水方法

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