JP2005124494A - 茶樹や果樹などの栽培法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 在来の栽培法の問題点を解決した茶樹や果樹などの新規な栽培法の提供。
【解決手段】 U字溝のような、底及び左右側壁を有し前後及び上面が開放された枠体を地中に埋設し、この枠体の底から一定の高さの位置に、水分や液肥などの液体は通すが培地は落下させないで支えることができる仕切り部材を設けて上下空間に分け、仕切り部材よりも上部の空間に培地を充填して茶樹又は果樹を定植し、仕切り部材よりも下部の空間に設けた液肥ミストノズルから、有機液肥を霧状に噴霧して仕切り部材に接する培地に供給し、余剰の液肥は仕切り部材よりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用することを特徴とする茶樹又は果樹の液肥ミスト栽培法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、茶樹や果樹などの栽培法に関する。
茶は椿科の樹木で非常に旺盛な成長力があり若芽を摘んでも直ぐに新しい若芽を出す。従来の栽培法では、秋から春までの半年間に充分な栄養を吸収した茶樹は、4〜5月頃に若芽を出し、一番茶又は新茶と呼ばれる旨味豊かな茶葉として収穫される。その後、旺盛な成長力で直ぐに新しい若芽が成長し、6月には二番茶、7月には三番茶が収穫される。しかし、一番茶に比べて二番茶、三番茶になるに従い旨味成分が少なくなり渋みが増す。これは根に蓄えられた旨味成分であるテアニン(アミノ酸)が時と共に葉に移動し、盛夏に向かって徐々に強くなる日光を受けてカテキンという渋み成分に変化するためである。そこで上記テアニンの化学変化を防止して旨味成分を葉に多く残すために寒冷紗で茶葉を覆って栽培する方法が行われており、この方法による茶葉を「かぶせ茶」と呼んでいる。
一方、現在の茶樹栽培は、茶樹に養分を多く吸収させて旨味成分を増やすために多肥栽培が主流となっており、その結果、茶葉に硝酸塩が過剰に蓄積されるため茶樹の生理障害が起り易い。しかも茶園での施肥は作業性の良い化成肥料が中心となっており、腐植質が少なく塩類濃度の過剰による生理障害を引き起し易い状況にある。しかも追肥を繰り返して葉に無理やり養分を補給しようとするため、土壌のEC(電気伝導度)が高くなり塩過剰障害が茶樹の根や葉に生じている場合が多々見受けられる。更に雨水により肥料が土壌から溶脱して地下水に混入するため、これを飲用する人の健康への悪影響が心配される。
pHやECを適切に管理できれば、茶樹が病害に犯されたり生理障害を引き起こすことは無くなるが、茶樹の根圏(土の中)を管理することは容易でないため、栽培者は、度々被害に会っているのが現状である。
更に、茶樹は水捌けの良い傾斜地を好み、pH4〜5程度の酸性土壌を好む。従って、茶樹栽培地としては水捌けが最も重要なポイントであり、かつ、保肥力の高い粘土を含む土壌でpHが高くないことが要求される。
果樹の一種であるミカンは亜熱帯が原産地であるから、気温が穏やかで充分な日差しが得られる環境を必要とする。栽培地(ミカン園)には水捌けの良い南向きの斜面が好ましい。ミカン栽培の重要なポイントとして、傾斜地であっても、排水溝を設けるか高畝植え込みをして、ミカンの根に過剰な水分が残らないように工夫する必要がある。また、整枝(樹の形造り)、剪定、摘らい、摘花、粗摘果、施肥、土壌改良と収穫までに頻繁な作業がある。しかし、ミカンは連産(毎年収穫)の難しい果樹であり、多く収穫できる年を表作、収穫量が少ない年を裏作と呼んでいるが、表作では値段が暴落し、裏作では値段が急騰するなど、経営上不安定な作物である。
ミカンは大きさでS、M、L、LLなどに分級されるが、一般にM級が美味しいとされている。また、ミカンの中の袋(じょうのう)は、なるべく薄くとろけるような柔らかさを持ち、果皮は油包(つぶつぶ)が多くて小さい絹肌で紅の濃い外観を持つミカンが秀品とされている。
ミカンの栽培法としては、ボックス栽培法や畔波板法などが篤農家により開発されて、糖度の高いミカン造りが増えつつあるが、栽培培地が小さいため、水や肥料管理が非常に難しく、一般化できない状況である。
更に、現在のミカン栽培には次のような問題がある。
(1)収量の増加を目的とする密植を行った場合、樹が大きくなったら間伐し、樹の間隔を適正に調整する必要があるにも拘わらず、収量の減少を嫌って間伐を行わない。しかし、樹が混んでくると害虫防除、草刈、摘果などの作業がやり難くなるので、樹の嵩減らしに近い強い剪定を行う。そのため徒長枝が多く発生し、果実は大きくなり果皮は粗く着色が遅れる。そこで、施肥量を減らすことにより徒長を抑え果皮を滑らかにしているが、このような状態で密植を続けると、紅は薄くなるし、糖度が低く酸度の高い果実が多くなってしまう。
(2)施肥量が少ないため樹の勢いは低く、当然、隔年結果(実を結ぶこと)となる。
(3)土壌の腐植が減少し土が硬くなるため、肥料の流亡が著しくなり地力が下がる。
(4)堆肥などの有機肥料の鋤き込みにより断根が多くなり樹勢が下がる。
(5)ミカンの樹の養分吸収は、主根や腋根に生える毛根から行われるが、腐植が少ないと毛根が少なくなるため養分吸収が不充分となる。
(6)施肥の仕方として、春肥、夏肥、秋肥を多量に施すが、気温の低い時期は殆ど養分吸収が行われないため無駄が多い。
(7)最新栽培法(温室栽培)では、潅水制御で根圏の余剰水分は制御できるようになってきているが、水分制限によるストレスで糖度向上を図る手法であり、生産性を高めることはできない。また、この栽培法では常に充分な樹勢を保つことはできない。
なお、本発明者の知る限り、本発明のような茶樹や果樹などの液肥ミスト栽培法に関する文献は見当たらない。例えば特許文献1には、土中に設けた容器から養水分を供給する技術が開示されているが、液肥ミスト栽培ではなく、本発明とは全く構成が異なる。
特開平9−313037号公報
本発明は、上記在来の栽培法の問題点を解決した茶樹や果樹などの新規な栽培法の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) U字溝のような、底及び左右側壁を有し前後及び上面が開放された枠体を地中に埋設し、この枠体の底から一定の高さの位置に、水分や液肥などの液体は通すが培地は落下させないで支えることができる仕切り部材を設けて上下空間に分け、仕切り部材よりも上部の空間に培地を充填して茶樹又は果樹を定植し、仕切り部材よりも下部の空間に設けた液肥ミストノズルから、有機液肥を霧状に噴霧して仕切り部材に接する培地に供給し、余剰の液肥は仕切り部材よりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用することを特徴とする茶樹又は果樹の液肥ミスト栽培法。
2) 枠体の底に送気管を設けて空気を送るようにしたことを特徴とする1)記載の液肥ミスト栽培法。
3) 枠体を1%程度の傾斜を持たせて連接したことを特徴とする1)又は2)記載の液肥ミスト栽培法。
4) 培地が、完熟堆肥、殺菌済みの畑土、肥料保持能力を高める副資材からなることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
5) 温室内で行うことを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
6) 茶樹の栽培において、培地のpHを4〜5の範囲に制御することを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
7) 果樹がミカンの樹であり、切り上げ剪定法により樹形を整えることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
液肥ミスト栽培法は、茶樹や果樹栽培を施設栽培化することにより、今までの茶樹や果樹栽培の常識的収穫サイクルを倍増させたり連作の問題を解決して、収穫量を大幅に増加させると共に、栽培適地を選ばなくてもよくする栽培法である。単なる露地栽培法ではなく、ミスト栽培法と露地栽培法を複合した方法である。また、土壌容積を制限する根域制限栽培法とも全く異なる。
その特徴は、U字溝のような底及び左右側壁を有し前後及び上面が開放された枠体を地中に埋設し、その枠体の底から一定の高さの位置に、水分や液肥などの液体は通すが培地は落下させないで支えることができるパンチング板(無数の穴をあけた板)やネットなどの仕切り部材を設けてU字溝内を上下空間に分け、仕切り部材よりも上部の空間に培地を充填して茶樹や果樹を定植し、仕切り部材よりも下部の空間に設けた液肥ミストノズルから、有機液肥を霧状に噴霧して仕切り部材に接する培地に供給し、余剰の液肥は仕切り部材よりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用する点にある。液肥ミストノズルへの液肥の供給は、例えば動力噴霧装置(通称「動噴」)により行う。有機液肥は通常、定期的に噴霧する。当然ながら、有機液肥は最適な養分濃度、養分構成とすることが好ましい。
最適な養分濃度、養分構成は、樹木の種類などにより異なるが、一例として通常の茶樹又はミカン樹における養分構成を下記表1に示す。表中の数値は重量基準である。また、中量要素は、主にカルシウム、マグネシウム、硫黄であり、微量要素は、主にホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛である。
肥料三要素の養分構成は単肥換算で示したが、実際は魚液、液化骨粉、液化卵殻、灰汁をブレンドして作成する。また、微量要素については、苦汁、テングサ粕、ワカメ粕などの海洋ミネラルを中心に構成する。
有機液肥の濃度は、液肥のECが1.5〜2.2の範囲となるように調整する。但し、最適な養分濃度は春夏秋冬で異なり、一般に、春肥と秋肥を1.0(基準)として、夏肥を1.2、冬肥を0.8位の濃度差(重量基準)とすることが好ましい。
Figure 2005124494
枠体はコンクリート製の既製の側溝資材又はポリエチレンなどの樹脂製の側溝資材を用いる。枠体の断面形状は特に限定されない。樹の種類によっても変わるが、通常、枠体の上部の幅は、50〜60cm程度、深さは60〜70cm程度、仕切り部材の高さは20〜25cm程度とする。また、枠体の上部が地上に突出すると収穫作業などの邪魔になるので、通常、その上面が地表面とほぼ同一面となるように設置する。このようにすれば、茶葉や果物の収穫作業などに支障はなく、従来通りの茶葉などの機械摘葉にも何ら支障は生じない。コンクリート製の枠体の場合、滲み出てくるアルカリ成分が問題になるようなときには、ポリシートで枠体の内面を覆うことにより、アルカリの影響を回避できる。
また、枠体を1%程度の傾斜を持たせて連接すれば、枠体の底面が坂になり余剰の液肥が自然に流れるので、液肥のリサイクル利用を容易に行うことができる。
更に、枠体の底に送気管を設けて空気を送るようにすれば、仕切り部材よりも下部の空間が僅かに陽圧(高圧)になるので、上部の培地内に新鮮な空気を送り込むことができると共に、該下部の空間の液肥ミストを培地に容易に浸透させることができる。
更に、上記の施設を温室で運用すれば、冬季の加温と日照時間の補償を電気照明で行うことができ、季節によらず、常に茶葉や果物の収穫が可能となる。
仕切り部材よりも上部の空間に充填する培地として好ましいのは、完熟堆肥と殺菌済みの畑土にゼオライトなどの肥料保持能力を高める副資材を混和したものであり、この培地は透水性が高く完熟堆肥の存在により病害に強い特性を有する。
完熟堆肥は緩効性肥料であり、その大部分を占める腐植質は、土壌の保肥力を高めると共に透水性・通気性を大きく改善し、更に根圏微生物の活動環境を整える機能を有する。また、培地には下方から液肥ミストを供給するが、この液肥としては遊離アミノ酸や核酸、ペプチドを多量に含む有機液肥を用いることが好ましく、これにより茶葉の旨味や果実の糖分を大きく向上させることができる。なお、このような有機液肥は、例えばフィッシュソリブル(魚の粗から魚油を分離し濃縮した液体)を蛋白質分解微生物で発酵処理して、蛋白質をアミノ酸、ペプチド、核酸などに分解することにより得られる。
お茶(日本茶)は旨味成分と渋味成分と香りで品質を判定している。旨味にはアミノ酸の含有量が重要であり、アミノ酸の半分を占めるテアニンが茶葉独特の成分である。しかし、前述のように、テアニンは茶葉に入って光を受けるとカテキンに変化する。このカテキンが渋みの主役である。緑茶の場合はカフェインも多く含有する。そこで、葉面受光量を制御できれば、旨味と渋味のバランスが絶妙な茶葉を栽培することが可能となる。
旨味成分は、単純にアンモニア態窒素を多量に与えても比例して多くなる訳ではない。その含有量はテアニン合成酵素活性に大きく依存している。酵素活性の仕組みは未だ明らかになっていないが、アミノ酸、ペプチド、核酸などの供与量と旨味成分の相関関係は確認されている。本発明の液肥ミスト栽培法では、アミノ酸を多量に含む有機液肥を用いているので、窒素過剰を起さず旨味成分の生産を促進させることができる。
お茶には各種アミノ酸の他に、各種ビタミン、ミネラル、カロチン、フラボノール類、ポリフェノール類などが多く含まれているが、これらの貴重成分の含有量の増減には培地のpHが大きく関与しており、ミネラルを始めとして微量要素の吸収もpHにより大きく左右される。このような状況下において、本発明の栽培法ではpHの変動幅を極めて小さくできる(凡そ0.5以内)ので、茶樹にとって最も好ましい環境を維持することができ、貴重成分含有量の高い茶葉を栽培できる。
ミカンの栽培では、次の(1)〜(4)が要点である。
参考のため、図2に、枝の名称とイメージを示す。図中、発育枝とは、春に発生して花を付けていない芽(春芽)が花芽分化するまでの枝のことであり、花芽分化後は結果母枝と呼ばれる。結果枝とは、春芽の先端に果実を付けている枝のことである。果梗枝とは、結果枝のヘタに一番近い部分の枝のことである。
(1)切り上げ剪定法の採用
早く咲く直花(新葉を付けず結果母枝に直接着いた花)よりも、有葉花(結果母枝から発芽して新葉が数枚出た先に着く花)の方が、実止まり及び果実の肥大の程度や品質は良くなる。果樹は、開花結実、幼果の肥大、新根の発生に大きなエネルギーを使うが、これらの時期の活力は葉の量に大きく左右される。特に活力の高い新葉は大きな力を発揮するので、新葉を数葉伴って咲く有葉花は願ってもない花と言える。直花が多いか有葉花が多いかにより樹全体の葉の枚数は数倍も違ってくる。果実を付ける枝は、有葉花を持つことが絶対必要である。
但し、有葉花の場合、果梗枝が太くなる傾向にあるが、剪定法次第で有葉花でも果梗枝を充分細く仕立てられる。それが本発明で採用する切り上げ剪定法であり、この剪定法によって初めて連年結果(毎年、実を結ぶこと)が可能となる。
切り上げ剪定法について、図3を参照しつつ説明すると、図3Aのように上向きの枝、即ち立ち枝を残すのが切り上げ剪定法であり、反対に、図3Bのように下向きの枝を残し枝を横に寝かせるのが切り下げ剪定法である。
本発明によるミカン栽培法は、一般に採用されていない切り上げ剪定法で樹形を整え、人工培地とミスト栽培法で、高糖度のミカンを連産できる画期的な栽培法である。
(2)結果母枝と果梗枝の太さの調整
果梗枝が細く美味しいミカンが成る枝は何れもよく似ている。良いミカンの結果母枝は太さが7mm前後(およそ割り箸の太さ)であり、色はグリーンで白い筋が入っている。
また、果梗枝が太くなると果実が大きくなり過ぎ、糖度も下がり、浮き皮が発生し易いため、果梗枝の太さは2mm前後が望ましく、果梗枝の太い果実は摘果する。
(3)立ち枝の利用
春は立ち、秋には横に寝る枝(立ち枝)が良い。元々は立っていた枝が、秋に果実の重みで垂れて横に寝るのであって、始めから寝ている横枝では良いミカンは作れない。
一般的に立ち枝は、粗い果実が成るし樹形を乱す元になるので良くないとされているが、養分も充分にあるので、切り上げ剪定すれば最高の枝となる。逆に横枝は、樹勢が落ち着き最高の果実が成ると言われているが、実際は直花が多く発芽数が少ないため樹勢が弱り易く、本発明では採用しない。
(4)立ち枝を利用する理由
・枝がしっかり上を向けば、頂芽優勢の原理で養分がスムーズに運ばれるので有葉花が増え、芽もよく吹く。反対に、横に寝た枝の場合、花はよく付くが、生産に適さない直花が多い。
・芽が吹くと同時に発根が起き、根が活発になると樹勢が高まる。しかし、直花では芽が吹かないため発根は起きない。
・立ち枝は横枝に比べて養分(窒素や炭水化物)の絶対量が多い。しかも窒素と炭素の比率(C/N比)が高いので、芽や花も発生し易い。
・直花が減ることにより1本の樹当りの着花数が少なくなるので樹の損耗も小さい。
・切り上げ剪定した樹では、常に新しい枝を使うし、枝が上を向いているので養分の吸収が良い。
・立ち枝に結果した(実を結んだ)幼果は、充分に太陽に照らされて肥大を続け、その重みで枝が垂れ下がって果実が葉裏に隠れるので、果皮が厚くなることなく熟す。
本発明では、上記構成を採用することにより、次のような効果が得られる。
(1)培地のコンディション(水捌け、pH、ECなど)を最適に維持できるので、味が良く貴重成分の多い良好な茶樹や、糖度の高い果実が成る果樹を栽培できる。
(2)培地は茶樹や果樹の更新時には入れ替えるが、栽培中は培地管理の作業は発生しない。従来法では追肥時に何度も耕起し根圏の手入れをする必要があるのに比べて、本発明の栽培法では大幅に省力化できる。
(3)本発明の液肥循環方式では、雨水などによる肥料の溶脱は発生せず、地下水汚染は全く起らない。更に養分を多量に追肥する必要もなく、窒素過剰による茶葉への硝酸塩の蓄積も起きない。
(4)茶樹の代表的な病害である輪斑病、苗根腐病は土壌のpHが低い時に発生し、また赤葉枯病、赤焼病などは土壌の水捌けの悪い時に発生する。また、ミカンの樹には、灰色カビ病、黒点病、そうか病などの病害が発生する。しかし、本発明の栽培法では罹病の可能性が非常に低く、無農薬栽培が可能である。
(5)茶樹や果樹の生理に合わせて液肥の養分濃度と養分構成を変え、最適条件で充分な養分を施すことができる。
(6)ミカンの連産を可能とし、収穫量の安定と増大を図ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
広さ10aの温室に、幅0.5m、深さ0.6m、長さ1mのポリエチレン製のU字溝520個を、列の長さ40m、列の間隔1.8mで13列、U字溝の上面が地面とほぼ同じとなるように埋設した。U字溝の底から0.2mの位置にステンレス製のネット(線形φ1.5mm、線の間隔10mm)を設置し、ネットよりも上部の空間に、殺菌済み畑土:完熟堆肥:ゼオライト=50:30:10(容量比)の混合物からなる培地を充填し、ネットよりも下部の空間に液肥ミストノズルと送気管を設置した。
この培地に、茶樹1300株(品種は、さやまかおり:やぶきた茶の自然交配種)を、株間0.4mで1条植えし、液肥ミストノズルから、有機液肥を霧状に噴霧してネットに接する培地に供給し、余剰の液肥はネットよりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用して栽培した。有機液肥には、フィッシュソリブルを蛋白質分解微生物で発酵処理した、前記表1の養分構成のものを用いた。送気管からは適宜新鮮な空気を送り、培地内に常に新鮮な空気が供給されるようにすると共に、液肥ミストが培地に効率よく浸透するようにした。培地のpHは、土壌pHセンサーで測定した培地のpHに対応させて液肥のpHを調整することにより、pH4〜5の範囲に制御した。
以上のようにして栽培した結果、樹勢が強いため病害を発生することなく、従来法よりも多い収穫量で、旨味のある品質の良いお茶を連産することができた。
実施例2
広さ10aの温室に、幅0.6m、深さ0.7m、長さ1mのポリエチレン製のU字溝420個を、列の長さ42m、列の間隔4.5mで10列、U字溝の上面が地面とほぼ同じとなるように埋設した。U字溝の底から0.2mの位置に、ステンレス製のパンチング板を設置し、パンチング板よりも上部の空間に、殺菌済み畑土:完熟堆肥:ゼオライト=60:40:10(容量比)の混合物からなる培地を充填し、パンチング板よりも下部の空間に液肥ミストノズルと送気管を設置した。
この培地に、ミカンの樹50株(品種は、青島温州ミカン)を、株間4.5mで1条植えし、液肥ミストノズルから有機液肥を霧状に噴霧してパンチング板に接する培地に供給し、余剰の液肥はパンチング板よりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用して栽培した。有機液肥には、フィッシュソリブルを蛋白質分解微生物で発酵処理した、前記表1の養分構成のものを用いた。送気管からは適宜新鮮な空気を送り、培地内に常に新鮮な空気が供給されるようにすると共に、液肥ミストが培地に効率よく浸透するようにした。剪定は切り上げ剪定法を採用した。
以上のようにして栽培した結果、樹勢が強いため病害を発生することなく、また表作、裏作のような収穫変動もなく、従来法よりも多い収穫量で、糖度の高いミカンを連産することができた。
本発明の栽培法の一例を示す概念図。 ミカンの樹の枝の名称とイメージを示す図。 切り上げ剪定法について説明するための図。

Claims (7)

  1. U字溝のような、底及び左右側壁を有し前後及び上面が開放された枠体を地中に埋設し、この枠体の底から一定の高さの位置に、水分や液肥などの液体は通すが培地は落下させないで支えることができる仕切り部材を設けて上下空間に分け、仕切り部材よりも上部の空間に培地を充填して茶樹又は果樹を定植し、仕切り部材よりも下部の空間に設けた液肥ミストノズルから、有機液肥を霧状に噴霧して仕切り部材に接する培地に供給し、余剰の液肥は仕切り部材よりも下部の空間を介して回収しリサイクル利用することを特徴とする茶樹又は果樹の液肥ミスト栽培法。
  2. 枠体の底に送気管を設けて空気を送るようにしたことを特徴とする請求項1記載の液肥ミスト栽培法。
  3. 枠体を1%程度の傾斜を持たせて連接したことを特徴とする請求項1又は2記載の液肥ミスト栽培法。
  4. 培地が、完熟堆肥、殺菌済みの畑土、肥料保持能力を高める副資材からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
  5. 温室内で行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
  6. 茶樹の栽培において、培地のpHを4〜5の範囲に制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
  7. 果樹がミカンの樹であり、切り上げ剪定法により樹形を整えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液肥ミスト栽培法。
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