JP2005124313A - コイル形成装置 - Google Patents

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Norihisa Mishina
徳久 三品
Shingo Hashimoto
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Abstract

【課題】巻枠自体を回転させる方法を採用した装置において、より安定したコイル形成を実現することができるコイル形成装置を提供すること。
【解決手段】電線99を巻き付けるための巻枠3を備え、巻枠3の軸線C1又は軸線に略平行な線を中心に回転可能に構成してなる巻き取り治具2と、巻枠3に対して、複数本の電線99を並列させた状態で供給する電線供給装置5とを有している。電線供給装置5は、複数本の電線99を並列させて導出する第1ノズル部51と、第1ノズル部51と巻枠3との間に配設され複数本の電線99の並列形状を矯正するための第2ノズル部52とを有する。第2ノズル部52は、巻枠3に対して第1ノズル部51から送り出される複数本の電線99の通過位置が変動した場合に、少なくとも、巻枠3の回転中心軸線C1に直交する方向において通過位置の変動に追従して移動可能に構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータ(電動機)に用いられるコイルの形成装置に関する。
例えばステータコアのスロットに単極コイルを複数挿入してなるステータを有するモータを製造するに当たっては、上記単極コイルを複数連ねたコイルを形成することが必要である。
従来のコイル形成方法では、固定の巻枠の周りを回りながら電線(ワイヤー)を導出するワインダーを用いて、上記巻枠の周りに電線を巻回して単極コイルを形成する。そして、得られた単極コイルに連ねて別の単極コイルを形成するには、再び固定した巻枠の周りに上記ワインダーを反対方向に回して巻き方向が逆の単極コイルを形成する。
巻枠の周りをワインダーが回りながら電線を供給するコイル形成方法としては、例えば、特許文献1に示すものがある。この特許文献1においては、電線の巻回を行う巻枠の外径を変更可能にしており、この巻枠の回りを上記ワインダーとしてのフライヤを回転させ、巻回を行った単極コイルを逐次ブレードに巻き落として、上記モータに用いるコイルを形成している。
しかしながら、上記従来のコイル形成方法においては、次のような問題がある。すなわち、上記ワインダーを回転させながら電線を供給するので、電線がワインダーの回転に伴って捩れながら巻枠に巻回される。電線が捩れたままコイルを形成した場合には、スロット中において電線が単独で移動できない、あるいは捩れによって無駄なスペースが生まれてしまう等の理由によりコイルの占積率向上を阻害してしまう。
このような問題を解消する手段として、本発明者らは、電線を送る側を回転させるのではなく、巻枠自体を回転させて電線を巻き取るという画期的な新しい方法および装置を開発している。この方法によれば、コイル形成時に電線が捩れることを防止することができ、優れたコイルを形成することができる。
特開2000−253631号公報
本発明はこのような背景のもと、上記の巻枠自体を回転させる方法を採用した装置において、より安定したコイル形成を実現することができるコイル形成装置を提供しようとするものである。
第1の発明は、複数本の電線を並列させた状態でループ状に巻回してなる単極コイルを有するモータ用のコイルを形成する装置であって、
上記電線を巻き付けるための巻枠を備え、該巻枠の軸線又は該軸線に略平行な線を中心に回転可能に構成してなる巻き取り治具と、
上記巻枠に対して、複数本の電線を並列させた状態で供給する電線供給装置とを有しており、
該電線供給装置は、複数本の電線を並列させて導出する第1ノズル部と、該第1ノズル部と上記巻枠との間に配設され上記複数本の電線の並列形状を矯正するための第2ノズル部とを有し、
該第2ノズル部は、上記巻枠に対して上記第1ノズル部から送り出される上記複数本の電線の通過位置が変動した場合に、少なくとも、上記巻枠の回転中心軸線に直交する方向において上記通過位置の変動に追従して移動可能に構成されていることを特徴とするコイル形成装置にある(請求項1)。
本発明のコイル形成装置は、上記のごとく、巻枠の軸線又はこれに略平行な線を中心に回動可能に構成した上記巻き取り治具と、複数の電線を並列させた状態で巻枠に供給する電線供給装置を有している。そして、この電線供給装置には、上記のごとく第1ノズル部の他に、上記第2ノズル部を備えている。
本発明では、この第2ノズル部の存在により、複数の電線を所望の並列形状に安定的に維持したまま巻枠に供給することができ、かつ、電線に対する負担も軽減することができる。
すなわち、上記巻枠を回転させる場合には、その巻枠の外形状が真円形状でない限り、巻枠の外周面の位置が変動する。そのため、上記電線供給装置から導出される電線を、巻枠を回転させて巻き取る際には、その外周面の位置の変動に伴って、電線が巻枠に到達するまでの上記通過位置が変動する。この変動によって、電線供給装置から導出された電線には振動や曲げ応力が少なからず付与され、並列させた形状の乱れが生じたり、曲げ応力による電線へのダメージが生じたりするおそれがある。
ここで、本発明では、上記のごとく、電線供給装置が第1ノズル部と第2ノズル部を有し、第2ノズル部を、上記第1ノズル部と巻枠との間に配している。そのため、第1ノズル部から導出された並列した複数の電線は、途中でその並列形状を乱したとしても、第2ノズル部を通過することによって並列形状が矯正され、つまり、並列形状が乱れていた場合には、所望の並列形状に修正し、並列形状が乱れていない場合には所望の並列形状を維持したまま巻枠まで到達する。また、第2ノズル部は、電線の通過位置の変動に追従して変動するようにしてある。そのため、第2ノズル部による電線への不要なダメージの付与を抑制することができる。
さらに、上記第2ノズル部の存在によって、第1ノズル部は、上記巻枠から比較的遠い位置に離隔させて設置することができる。そのため、第1ノズル部から導出される際に電線に曲げ応力が付与される場合でも、この曲げの角度を、比較的小さくすることができる。それ故、電線へ与えるダメージを小さくすることができる。
このように、本発明のコイル形成装置を用いれば、巻枠自体を回転させる方法を採用した装置において、電線にダメージを与えることなく、所望の並列形状を維持したまま安定的に巻枠まで供給させることができ、巻き形状に優れたコイルを容易に形成することができる。
本発明のコイル形成装置において、上記電線供給装置は、上記第1ノズル部の下流側に上記第2ノズル部を有している。この構成を具備すれば、上記第1ノズル部のさらに上流側において電線を並列させる機能を持たせても勿論よい。また、上記第1ノズル部は、動かないように固定することもできるし、第1ノズル部近傍の旋回中心を中心にして旋回可能に構成することもできる。
また、上記第2ノズル部は、上記のごとく、少なくとも巻枠の回転中心軸に直交する方向において、電線の通過位置の変動に追従するようにしてあるが、さらに他の方向においても追従するよう構成してもよい。例えば、360度どの方向においても電線の通過位置の変動に追従して第2ノズル部の移動するように構成することができる。
一方において、例えば、巻き線の回転中心軸の方向(軸方向)においては上記通過位置の変動に追従させることなく、上記第2ノズル部の位置を積極的に制御して、第2ノズル部から導出する電線の軸方向位置を規制することも可能である。この場合には、巻枠の軸方向位置における電線の供給位置をきめ細かく制御することができる。
また、上記第2ノズル部を移動可能に保持する構成としては、紐状の連結部材によって第1ノズル部と第2ノズル部とを連結する構成(実施例参照)、互いの相対的移動を可能にするリンク機構を介して第1ノズル部と第2ノズル部とを連結する構成、その他、様々な構成をとることができる。
また、上記第1ノズル部は、該第1ノズル部の出口を支点にして上記電線の上記通過位置が変動する角度が10度以下となるように、上記巻枠から所定距離以上離隔して配設してあることが好ましい(請求項2)。この場合には、第1ノズル部から導出される際に電線に付与されるダメージをほとんどなくすことができる。上記の角度が10度を超える場合には、電線に付与される曲げ動作によって、電線そのものあるいはこれを被覆している被覆膜にダメージを与えるおそれがある。
また、上記第2ノズル部は、上記複数本の電線の所望の並列形状に対応して形成されたスリット部を有していることが好ましい(請求項3)。この場合には、上記複数の電線を上記スリット部を通過させるだけで、容易にその並列形状を矯正することができる。
ここで、上記電線の所望の並列形状に対応するスリット部としては、例えば、並列形状が、横一列に10本の電線を並べた形状である場合には、その10本の電線が重なり合うことなく、また、必要以上に大きな隙間をあけることなく通過しうる空間形状をいう。
また、上記スリット部の入口及び出口の少なくとも一方は、内方から外方に向けて開口面積が拡大するように傾斜させた面取り部を設けてあることが好ましい(請求項3)。この場合には、上記スリット部を通過する電線に対して上記面取り部が接する角度が鈍角となり、電線への負担をより軽減させることができる。また、上記スリット部の入口に上記面取り部を設けた場合には、スリット部に電線の先端を挿入してセットする作業をより簡単にすることができる。
また、上記電線供給装置は、上記第1ノズル部の上流側に、上記第1ノズル部から導出する上記複数の電線に張力を付与する張力発生部を有していることが好ましい(請求項4)。この場合には、電線を巻枠に巻き付ける際に張力を付与した状態で巻き付けることができ、より安定して巻き付け作業を行うことができる。そして、上記張力発生部を上記第1ノズル部の上流側に設けている場合には、張力発生部と共に第1ノズル部を大きく移動させること、あるいは張力発生部と別に上記第1ノズル部を大きく移動させる構造をとることが困難であるので、本発明のように、上記第2ノズル部を第1ノズル部と別に設けてこれを積極的に移動可能に構成することが非常に有効である。
(実施例1)
本発明の実施例に係るコイル形成装置につき、図1〜図37を用いて説明する。
本例のコイル形成装置1は、図1に示すごとく、複数本の電線99を並列させた状態でループ状に巻回してなる単極コイル90を有するモータ用のコイル9(図14)を形成する装置である。
コイル形成装置1は、電線99を巻き付けるための巻枠3を備え、該巻枠3の軸線C1(以下、適宜巻回軸C1ともいう)を中心に回転可能に構成してなる巻き取り治具2(図4)と、上記巻枠3に対して、複数本の電線99を並列させた状態で供給する電線供給装置5とを有している。
該電線供給装置5は、図1に示すごとく、複数本の電線99を並列させて導出する第1ノズル部51と、該第1ノズル部51と上記巻枠3との間に配設され上記複数本の電線99の並列形状を矯正するための第2ノズル部52とを有している。
該第2ノズル部52は、上記巻枠3に対して送り出される上記複数本の電線99の通過位置が変動した場合に、少なくとも、上記巻枠3の軸線C1に直交する方向において上記通過位置の変動に追従して移動可能に構成されている。
また、図2に示すごとく、上記第1ノズル部51は、第1ノズル部51の出口を支点にして上記電線99の上記通過位置が変動する最大の角度A0が10度以下となるように、上記巻枠3から所定距離L以上離隔して配設してある。上記の角度A0は、巻枠3の最大外径dによって変動するので、最大外径dが大きいほどLを大きくすることによって、A0の大きさを10度以下に保持することができる。
ここで、上記の角度A0は、巻枠3をその巻回軸C1を中心に矢印X方向に回転させた場合には、実際には角度A1の範囲で電線99の通過位置が変動する。これに対して、反対方向に巻枠3を回転させた場合を含めると、最大A0の角度の範囲で電線99の通過位置が変動する。そのため、本例では、電線99の通過位置の変動の角度は、全ての変動領域を含む角度A0によって示した。
また、図1、図3に示すごとく、上記第2ノズル部52は、上記複数本の電線99の所望の並列形状に対応して形成されたスリット部53を有している。このスリット部53は、図3に示すごとく、その入口531及び出口532の両方において、内方から外方に向けて開口面積が拡大するように傾斜させた面取り部541、542を有している。
また、図2に示すごとく、上記電線供給装置5は、上記第1ノズル部51の上流側に、第1ノズル部51から導出する電線99に張力を付与する張力発生部55を有している。本例の張力発生部55は、2つの滑車551、552を連ねてこの間隔を調整することによって所定張力を発生するように構成してある。
そして、図2に示すごとく、本例の電線供給装置51は、支持台50上に上記張力発生部55と第1ノズル部51を設けて固定してあり、第2ノズル部52は、紐状の連結部材56を介して第1ノズル部11に連結してある。この構造を実現するために、図3に示すごとく、第2ノズル部52には、連結部材56を係合するための係合穴59を2つ設けてある。
以下、本例のコイル形成装置1についてさらに詳しく説明する。
本例のコイル形成装置1は、図4、図5に示すごとく、旋回装置(図示略)に接続される旋回中心軸C2を中心にして旋回可能なように、架台(図示略)に配設された旋回アーム21と、巻き取り治具2とを有してなる。また、巻き取り治具2は、旋回アーム21に対して移動可能に配設されたインデックスホルダー22と、このインデックスホルダー22の外周面に配設した複数のコイル巻枠3とを有している。
また、各コイル巻枠3における上記電線99の巻回を行う各巻回軸C1は、互いに略平行であると共に上記旋回中心軸C2に対しても略平行である。そして、コイル形成装置1は、上記インデックスホルダー22を移動させて、上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3を順次上記旋回中心軸C2に接近させることができるよう構成されている。
図4、図5に示すごとく、上記インデックスホルダー22は、上記旋回中心軸C2に対して略平行にオフセットした位置に形成した回動中心軸C3を中心にして、上記旋回アーム21に回動移動可能に配設されている。また、上記各コイル巻枠3は、上記回動中心軸C3から略同一の距離に円弧状に上記インデックスホルダー22に配設されている。
また、上記回動中心軸C3から各コイル巻枠3における巻回軸C1までの巻枠距離L1は、上記旋回アーム21の旋回中心軸C2から上記インデックスホルダー22の回動中心軸C3までのオフセット距離L2と略同一になっている。
そして、上記インデックスホルダー22を旋回アーム21に対して、所定の角度回動させることによって、上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1を順次上記旋回中心軸C2にほぼ合わせることができ、この状態で電線99の巻回を行うことができる。
また、上記円弧状に配設した各コイル巻枠3により、円弧状に連なる連極コイル9を形成することができる(図14参照)。
また、上記各コイル巻枠3は、上記インデックスホルダー22に対して上記旋回中心軸C2の方向に進退可能に配設してある。そして、上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3は、残りのコイル巻枠3に対して上記旋回アーム21から離れる前進方向に前進させることにより、残りのコイル巻枠3よりも突出させることができる。そのため、上記突出させたコイル巻枠3に対して、その巻回軸C1に直交する方向から容易に電線99を供給することができ、電線99の供給が容易であると共にコイル巻枠3への電線99の巻回も容易である。
また、図5に示すごとく、上記各コイル巻枠3は、上記インデックスホルダー22の外周面に円周状に配設されている。本例では、各コイル巻枠3は、インデックスホルダー22の外周面に略等間隔に放射状に配設されている。また、本例では、単極コイル90を4つ連ねてなる連極コイル9を形成するため、コイル巻枠3は4つ配設されている。
また、図6、図7に示すごとく、各コイル巻枠3は、インデックスホルダー22に取り付けた内側巻枠部31と、この内側巻枠部31に対向配設した外側巻枠部32とを有している。外側巻枠部32は、図6に示すごとく、上記電線99の巻回を行う際の巻回位置301と、図7に示すごとく、上記巻回を行った後の単極コイル90を当該コイル巻枠3から離脱させる際の離脱位置302との間で、内側巻枠部31との間の距離を変更するよう移動可能である。また、外側巻枠部32は、上記旋回アーム21から離れる前進方向に向けて段階的に拡径している。
そして、図6に示すごとく、外側巻枠部32を巻回位置301にしたときには、当該コイル巻枠3の外径が上記前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成することができる。そして、前進方向に向けて電線99の巻き径が大きくなる単極コイル90を形成することができ、外側巻枠部32と内側巻枠部31との間の距離で決定される正規寸法の巻き径を有する単極コイル90を形成することができる。
また、図7に示すごとく、外側巻枠部32を離脱位置302にしたときには、当該コイル巻枠3の外径が上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成することができる。そして、外側巻枠部32と内側巻枠部31との間の距離を縮小させて、各単極コイル90を容易に離脱することができる。
また、図6、図7に示すごとく、本例においては、上記各コイル巻枠3は、これにハンドル35を設けて手動で進退させて、位置決めピン34で進退位置を固定する構成とした。これ以外にも、各コイル巻枠3の進退は、シリンダー又はモータ等を用いて行うこともできる。
また、本例においては、各コイル巻枠3において、各内側巻枠部31に回動可能にカム33を配設しており、図6に示すごとく、上記巻回位置301は、カム33を各外側巻枠部32に向けて起立させたときに形成し、図7に示すごとく、上記離脱位置302は、カム33を各内側巻枠部31に向けて倒したときに形成した。これ以外にも、外側巻枠部32の巻回位置301と離脱位置302との間での移動は、シリンダー又はモータ等を用いて行うこともできる。
また、図4、図5に示すごとく、上記インデックスホルダー22において、上記各コイル巻枠3同士の間には、各単極コイル90同士の間を結ぶ渡り線995を巻き付けるための渡線巻枠41が配設されている。本例では、上記4つのコイル巻枠3同士の各間において、3つの渡線巻枠41が配設されている。そして、渡線巻枠41に電線99の巻付けを行うことにより、各コイル巻枠3に形成した単極コイル90同士の間に、規定の長さの渡り線995を形成することができる(図14参照)。
なお、この渡線巻枠41は、必須のものではなく、渡り線995の長さを制御することができる他の様々な構成を採用することができる。
また、図4、図5に示すごとく、本例においては、一番目に電線99の巻回を行う第1のコイル巻枠3aと、最後に巻回を行う第4のコイル巻枠3dとの間には、第1のコイル巻枠3aに巻回を行う前に、上記電線99を巻回して予め所定長さのリード線996を確保しておくためのリード巻枠42が配設されている。このリード線996とは、第1のコイル巻枠3aにおいて形成する第1の単極コイル90aの巻き端部に繋がる電線99のことをいう(図14参照)。
また、本例では、リード巻枠42の断面形状は略円形状としており、電線99に折れ曲がり等を発生させることなく、安定して所定長さのリード線996を第1の単極コイル90aの巻き端部に確保することができる。
なお、上記リード巻枠42についても必須の構成ではなく、他の構成に置き換えることが可能である。
また、上記渡線巻枠41及びリード巻枠42も、上記コイル巻枠3と同様に、上記インデックスホルダー22に対して上記旋回中心軸C2の方向に進退可能であり、残りのコイル巻枠3及び渡線巻枠41に対して上記旋回アーム21から離れる前進方向に前進して、残りのコイル巻枠3及び渡線巻枠41よりも突出させることが可能である。
図4、図5に示すごとく、上記旋回アーム21は、上記旋回中心軸C2を中心にして正逆両回転方向に旋回可能である。そして、本例では、同一巻き方向に巻回された4つの単極コイル90が連なった連極コイル9を形成する。そのため、上記コイル巻枠3に巻回するときの旋回アーム21の回転方向と、上記渡線巻枠41に巻回するときの旋回アーム21の回転方向とは逆であり、上記コイル形成装置1は、正逆両回転方向に交互に回動して上記連極コイル9を形成する。
以下に、コイル巻枠3に巻回を行うときの旋回アーム21の旋回方向を正回転方向といい、渡線巻枠41及びリード巻枠42に巻回を行うときの旋回アーム21の旋回方向を逆回転方向という。
また、図示は省略するが、上記架台には、上記旋回アーム21をその旋回中心軸C2を中心に旋回させるための旋回装置が配設されている。そして、旋回中心軸C2は旋回装置に接続されている。なお、本例においては、旋回装置としては、旋回アーム21にハンドルを設けて手動で旋回させることができる構成とした。これ以外にも、旋回装置としては、電動、油圧又はエアー等を用いて作動する各種モータ又はインデックスシリンダー等を用いることもできる。
以下に、上記コイル形成装置1を用いて連極コイル9を形成するコイル形成工程につき説明する。
このコイル形成工程においては、上記コイル形成装置1を用いて、以下のインデックス工程、突出工程及び巻回工程を上記各コイル巻枠3に順次行って上記単極コイル90を形成し、この単極コイル90が連なった連極コイル9を形成する。
図4に示すごとく、上記コイル形成装置1は、上記インデックスホルダー22の原位置においては、上記リード巻枠42が上記旋回アーム21における旋回中心軸C2に最も近接した位置にある。この原位置においては、リード巻枠42における巻回軸C1が、旋回アーム21における旋回中心軸C2とほぼ合っている。
そして、前処理工程として、リード巻枠42を前進させて、これを各コイル巻枠3及び各渡線巻枠41よりも突出させる。そして、上記リード巻枠42に電線99を供給すると共に旋回アーム21を逆回転方向に旋回させて、リード巻枠42に電線99を巻回し、所定長さのリード線996を形成する。
上記電線99の供給は、上記コイル形成装置1の横方向、すなわち各コイル巻枠3、各渡線巻枠41及びリード巻枠42の電線99の巻回を行う巻回面に直交する方向から行う。
次いで、図8に示すごとく、上記インデックス工程として、インデックスホルダー22を所定角度回動させて、第1のコイル巻枠3aの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。
また、上記突出工程として、第1のコイル巻枠3aを前進させて、この第1のコイル巻枠3aを突出させると共にリード巻枠42を後退させる。
そして、図9に示すごとく、上記巻回工程として、第1のコイル巻枠3aに電線99を供給すると共に旋回アーム21を正回転方向に旋回させて、第1のコイル巻枠3aに電線99を複数回巻回して第1の単極コイル90aを形成する。また、第1のコイル巻枠3aにおける外側巻枠部32は上記巻回位置301にあり、この第1のコイル巻枠3aの外径が上記前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成している。そして、前進方向に向けて電線99の巻き径が大きくなる単極コイル90を形成することができる。
次いで、図10に示すごとく、上記インデックス工程を再び行って、インデックスホルダー22を所定角度回動させて、第1の渡線巻枠41aの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。また、突出工程として、第1の渡線巻枠41aを前進させて、この第1の渡線巻枠41aを突出させると共に第1のコイル巻枠3aを後退させる。
次いで、渡線形成工程として、第1の渡線巻枠41aに電線99を供給すると共に旋回アーム21を逆回転方向に旋回させて、第1の渡線巻枠41aに電線99を巻き付けて上記渡り線995を形成する。
次いで、図11に示すごとく、上記インデックス工程を再び行って、インデックスホルダー22を所定角度回動させて、第2のコイル巻枠3bの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。また、突出工程として、第2のコイル巻枠3bを前進させて、この第2のコイル巻枠3bを突出させると共に第1の渡線巻枠41aを後退させる。
そして、図12に示すごとく、上記巻回工程を再び行って、第2のコイル巻枠3bに電線99を供給すると共に旋回アーム21を正回転方向に旋回させて、第2のコイル巻枠3bに電線99を複数回巻回して第2の単極コイル90bを形成する。
以降、図13に示すごとく、上記と同様に、第2の渡線巻枠41b及び第3の渡線巻枠41cに上記インデックス工程、突出工程及び渡線形成工程を行って各渡り線995を形成し、第3のコイル巻枠3c及び第4のコイル巻枠3dに上記インデックス工程、突出工程及び巻回工程を行って第3の単極コイル90c及び第4の単極コイル90dを形成する。
そして、図14に示すごとく、第1〜第4の単極コイル90a〜dが上記各渡り線995によって連なる連極コイル9を形成する。同図は、上記第1〜第4のコイル巻枠3a〜dに各単極コイル90a〜dを形成し、各巻枠3a〜d、41a〜d、42の全体に連極コイル9を形成した状態を模式的に示す説明図である。
なお、本例においては、図4に示したように、巻き取り治具2は、上記複数のコイル巻枠3のうちの巻回を行ういずれか1つのコイル巻枠3を他のコイル巻枠3よりも突出させた状態で上記電線99の巻回を行うよう構成したものである。
また、図5に示したように、上記複数のコイル巻枠3は、上記インデックスホルダー22に対して、各コイル巻枠3の巻回軸C1を結んだ仮想線Rが略円形状になるよう配設した。また、各巻枠3は、その各巻回軸C1が互いに略平行になるようインデックスホルダー22に配設した。
そして、本例においては、上記巻回を行うコイル巻枠3に、電線99を供給すると共に、このコイル巻枠3の軸線としての巻回軸C1又は巻回軸C1に略平行な線を中心に巻き取り治具2の全体を回転させて、このコイル巻枠3を他のコイル巻枠3よりも突出させた状態で電線99を巻回して単極コイル90を形成して、モータ用のコイルとしての連極コイル9を形成することができた。また、上記電線99の巻回は、電線99の巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1を順次上記巻き取り治具2の回転中心としての旋回中心軸C2に接近させて行うことができた。
上記コイル形成装置1は、上記旋回アーム21により上記複数のコイル巻枠3の全体を旋回させることにより、上記旋回中心軸C2に最も接近させたコイル巻枠3に対して上記電線99の巻回を行って上記単極コイル90を形成していくものである。
そして、上記旋回アーム21を旋回させることにより、この旋回アーム21に配設したインデックスホルダー22及び複数のコイル巻枠3の全体を回転させて、電線99の巻回を行う。そのため、従来のように、固定した巻枠の外周からワインダー等を回転させながら電線99を巻回することがなく、電線99に捩りをほとんど発生させることなく各コイル巻枠3に各単極コイル90を形成することができる。
また、上記インデックスホルダー22を回動させることにより、上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1を、順次上記旋回アーム21の旋回中心軸C2にほぼ合わせることができる。そのため、上記コイル形成装置1は、連極コイル9を形成するためにコイル巻枠3を複数有していながらも、巻回を行うコイル巻枠3が旋回中心軸C2からあまり偏心していない状態で、電線99の巻回を行うことができる。
そして、いずれかのコイル巻枠3に単極コイル90を形成した後には、上記インデックスホルダー22を回動させて、上記いずれかのコイル巻枠3に隣接する次のコイル巻枠3の巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせて、上記と同様に単極コイル90を形成することができる。
そのため、上記電線99の供給は、巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1に直交するほぼ一定の方向から行うことができ、安定して各コイル巻枠3に電線99の巻回を行うことができる。それ故、上記捩りの発生がほとんどない単極コイル90を、いずれのコイル巻枠3に対しても安定して形成することができ、捩りの発生がほとんどない連極コイル9を安定して形成することができる。
そして、本例において注目すべき点は、上記のごとく、巻枠3に電線99の巻回を行う際に、上記第1ノズル部51と、該第1ノズル部51と上記巻枠3との間に配設された第2ノズル部52とを備えた電線供給装置5を用いたことである。これにより、上述したどの巻回工程においても、複数の電線99にダメージを与えることなく、所望の並列形状を維持したまま安定的に巻枠3まで供給することができ、巻き形状に優れた単極コイル90を容易に形成することができる。
すなわち、上記巻枠3を回転させる場合には、その巻枠3の外形状が真円形状でないので、図2に示すごとく、巻枠3の外周面の位置が変動する。そのため、上記電線供給装置5から導出される電線99を、巻枠3を回転させて巻き取る際には、その外周面の位置の変動に伴って、電線99が巻枠3に到達するまでの上記通過位置が変動する。
ここで、本例では、上記のごとく、電線供給装置5が第1ノズル部51と第2ノズル部52を有し、第2ノズル部52を、第1ノズル部51と巻枠3との間に配している。そのため、第1ノズル部51から導出された並列した複数の電線99は、途中でその並列形状を乱したとしても、第2ノズル部52を通過することによって並列形状が矯正され、つまり、並列形状が乱れていた場合には、所望の並列形状に修正され、並列形状が乱れていない場合には所望の並列形状を維持したまま巻枠3まで到達する。また、第2ノズル部52は、第1ノズル部51に対して紐状の連結部材56を介して連結されており、左右上下に自由に移動可能であり、電線99の通過位置の変動に追従して変動するようにしてある。そのため、第2ノズル部52による電線99への不要なダメージの付与を抑制することができる。特に、本例では、第2ノズル部52のスリット部53の入口及び出口に面取り部541、542を設けてあるので、電線99の貫通移動をよりスムーズにすることができる。
さらに、図2に示すごとく、上記第2ノズル部52の存在によって、第1ノズル部51は、上記巻3枠から比較的遠い位置に離隔させて設置することができる。そのため、第1ノズル部51から導出される際に電線99に曲げ応力が付与される場合でも、この曲げの角度を、比較的小さくすることができる。それ故、電線99へ与えるダメージを小さくすることができる。
以上のように、本例のコイル形成装置1を用いれば、巻枠3自体を回転させる方法を採用した装置において、複数の電線99にダメージを与えることなく、所望の並列形状を維持したまま安定的に巻枠3まで供給させることができ、巻き形状に優れたコイルを容易に形成することができる。
(比較例1、2)
次に、図15、図16に示すごとく、比較例1、2として、電線供給装置の構成を変更した例を示す。
まず比較例1は、図15に示すごとく、実施例1における電線供給装置5から第2ノズル部52を除いて、第1ノズル部51から直接電線99を巻枠3に供給するように構成したものである。
比較例2は、図16に示すごとく、実施例1の電線供給装置5から第2ノズル部52を除くと共に、さらに、第1ノズル部51及び張力発生部55を含む支持台50全体を巻枠3に向けて接近させた例である。
比較例1の場合には、電線99を巻枠3によって巻回する際に、第1ノズル部51から巻枠3までの距離が実施例1の場合と同様に長く、一方、その間において実施例1の場合のような第2ノズル部52による矯正機能がない。そのため、第1ノズル部51から巻枠3の間において複数の電線99の並列状態が乱れる場合があり、得られる単極コイル90の巻き形状が所望の形状にならない場合が生じる。
比較例2の場合には、図16に示すごとく、第1ノズル部51が巻枠3に近づいているので電線99の並列状態を維持することができるが、第1ノズル部51を支点とする電線99の通過位置の変動の角度Bが、実施例1に比べて各段に大きくなる。そのため、電線99に対して大きな曲げ応力が付与され、電線自身、あるいは電線を被覆する被覆膜にダメージを与える場合がある。
このように、比較例1、比較例2に比べ、上述した実施例1は、電線99への負担を軽減しつつ、複数の電線99の並列状態を向上させるという優れた効果を発揮する。
実施例1における、第1ノズル部と第2ノズル部の配置状態を示す説明図。 実施例1における、コイル形成装置によりコイルを形成している状態を示す説明図。 実施例1における、(a)第2ノズル部の正面図、(b)第2ノズル部の断面図((a)のY−Y線矢視断面図)。 実施例1における、コイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、各コイル巻枠に各単極コイルを形成して連極コイルを形成した状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、外側巻枠部が巻回位置にある状態の各巻枠を示す説明図。 実施例1における、外側巻枠部が離脱位置にある状態の各巻枠を示す説明図。 実施例1における、第1のコイル巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせ、残りのすべての巻枠よりも突出させた状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、第1のコイル巻枠に電線を巻回して単極コイルを形成している状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、第1の渡線巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせると共に残りのすべての巻枠よりも突出させ、この第1の渡線巻枠に電線を巻回している状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、第2のコイル巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせ、残りのすべての巻枠よりも突出させた状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、第2のコイル巻枠に電線を巻回して単極コイルを形成している状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、すべての巻枠に電線を巻回して連極コイルを形成した状態のコイル形成装置を示す斜視図。 実施例1における、すべての巻枠に電線を巻回して連極コイルを形成した状態を模式的に示す説明図。 比較例1における、コイル形成装置によりコイルを形成している状態を示す説明図。 比較例2における、コイル形成装置によりコイルを形成している状態を示す説明図。
符号の説明
1 コイル形成装置
2 巻き取り治具
20 ベースホルダー
3 巻枠
4 回転装置
5 電線供給装置
51 第1ノズル部
52 第2ノズル部
53 スリット部
9 コイル
90 単極コイル

Claims (5)

  1. 複数本の電線を並列させた状態でループ状に巻回してなる単極コイルを有するモータ用のコイルを形成する装置であって、
    上記電線を巻き付けるための巻枠を備え、該巻枠の軸線又は該軸線に略平行な線を中心に回転可能に構成してなる巻き取り治具と、
    上記巻枠に対して、複数本の電線を並列させた状態で供給する電線供給装置とを有しており、
    該電線供給装置は、複数本の電線を並列させて導出する第1ノズル部と、該第1ノズル部と上記巻枠との間に配設され上記複数本の電線の並列形状を矯正するための第2ノズル部とを有し、
    該第2ノズル部は、上記巻枠に対して上記第1ノズル部から送り出される上記複数本の電線の通過位置が変動した場合に、少なくとも、上記巻枠の回転中心軸線に直交する方向において上記通過位置の変動に追従して移動可能に構成されていることを特徴とするコイル形成装置。
  2. 請求項1において、上記第1ノズル部は、該第1ノズル部の出口を支点にして上記電線の上記通過位置が変動する角度が10度以下となるように、上記巻枠から所定距離以上離隔して配設してあることを特徴とするコイル形成装置。
  3. 請求項1又は2において、上記第2ノズル部は、上記複数本の電線の所望の並列形状に対応して形成されたスリット部を有していることを特徴とするコイル形成装置。
  4. 請求項3において、上記スリット部の入口及び出口の少なくとも一方は、内方から外方に向けて開口面積が拡大するように傾斜させた面取り部を設けてあることを特徴とするコイル形成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記電線供給装置は、上記第1ノズル部の上流側に、上記第1ノズル部から導出する上記複数の電線に張力を付与する張力発生部を有していることを特徴とするコイル形成装置。
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