JP2005123015A - 塗布膜形成方法および塗布膜形成装置 - Google Patents

塗布膜形成方法および塗布膜形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 基材上に塗布膜を形成し、膜厚を測定する。
【解決手段】 ダイ140から、シート状樹脂M2を吐出させながら、基材Sを左方へ移動させてゆき、基材Sの上面に塗布膜M3を形成する。ダイ140は、支持体113に対し、上下方向に移動可能となる。支持体113に取り付けられたレーザ変位計151は、下方の物体までの距離Dを測定する。塗布膜M3の形成前に、樹脂M2を吐出させない状態で、基材Sを左方向へ移動させ、基材Sの上面位置P1,P2,…までの距離を測定し、平滑化処理を行い、基材S上面の高さを求める。塗布膜M3を形成する際には、求めた高さに応じてダイ140を上下移動させながら、塗布膜M3の上面位置Q1,Q2,…までの距離を測定し、平滑化処理を行い、塗布膜M3上面の高さを求める。両高さの差により膜厚を計算する。個々の平滑化処理の程度は、別個独立して設定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、塗布膜形成方法および塗布膜形成装置に関し、特に、ダイから流動性膜材料をシート状膜として吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する技術に関する。
基板上に樹脂などの流動性膜材料を塗布して塗布膜を形成する技術は様々な分野で利用されている。たとえば、プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイ製品を製造するプロセスでは、基板上に種々の塗布膜を形成する工程が必要になる。比較的面積の広い領域に、均一な塗布膜を形成する方法としては、いわゆるダイコート(die coat)と呼ばれている方法が一般的に利用されている。この方法では、樹脂などの流動性膜材料をシート状膜として吐出する機能をもったダイ(die)を、基板上で走査しながら、基板上にシート状に吐出された膜材料からなる塗布膜を形成する作業が行われる。
たとえば、下記の特許文献1には、高粘度の流動性膜材料を用いてムラのない均一な塗布膜を形成するための塗布膜形成方法が開示されている。一般に、塗布膜の形成対象となる基板の表面に段差、傾斜、凹凸が存在すると、ムラのない均一な塗布膜を形成することが困難になる。このため、下記の特許公報1に開示されている塗布膜形成方法では、変位計を利用して、予め塗布膜の形成対象となる基板の上面の高さを測定しておき、その測定結果に基づいてダイを上下に移動させながら、基板上にシート状膜を塗布する手法がとられている。
特開平11−165111号公報
工業製品の製造工程では、品質を管理するために、通常、個々のロットごとに検査工程が行われる。このため、何らかの基材上に塗布膜を形成する工程を実施した場合、実際に形成された塗布膜の厚みを測定し、測定結果が所定の基準を満たしているか否かを検査する工程を行うのが好ましい。そこで、前掲の特許公報1に開示された塗布膜形成装置のように、変位計を備えた装置の場合、この変位計を利用して、膜形成前の基板上面の高さと、膜形成後の塗布膜上面の高さとを測定し、両者の差に基づいて、塗布膜の厚みを求める手法が提案されている。この手法を用いれば、塗布膜を形成するだけでなく、形成された塗布膜の厚みの測定をも行うことが可能になる。しかしながら、プラズマディスプレイパネル用部品などでは、膜の形成対象となる基板の材質と、塗布膜の材質とが大きく異なるため、従来提案されている方法では、適正な膜厚測定を行うことが困難であった。
そこで本発明は、膜の形成対象となる基材の材料や塗布膜自身の材料に応じて、適正な膜厚測定を行う機能を備えた塗布膜形成方法および塗布膜形成装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する塗布膜形成方法において、
ステージ上に基材を固定し、流動性膜材料をシート状に吐出する機能をもったダイを基材上方に配置する準備段階と、
基材もしくはダイを、所定の移動方向に沿って移動させながら、基材上面の上記移動方向に沿った測定ライン上の高さを測定する基材測定段階と、
基材測定段階で測定された高さに応じてダイを上下移動させながら、ダイから流動性膜材料をシート状に吐出させた状態で、基材もしくはダイを上記移動方向に沿って移動させることにより、基材上面にシート状膜を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成段階と、
基材もしくはダイを、上記移動方向に沿って移動させながら、塗布膜上面の測定ライン上の高さを測定する塗布膜測定段階と、
基材測定段階における高さの測定値と塗布膜測定段階における高さの測定値との差に基づいて、測定ラインに沿った各部における塗布膜の膜厚を求める演算を行う膜厚演算段階と、
を行うようにし、
基材測定段階および塗布膜測定段階において、得られた測定値を空間的に平滑化するための平滑化処理を実施するようにし、かつ、平滑化の程度を、基材測定段階と塗布膜測定段階とで異ならせるように設定したものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る塗布膜形成方法において、
塗布膜形成段階と塗布膜測定段階とを同一の移動操作で同時に行うようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る塗布膜形成方法において、
測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の単純平均値もしくは重み付き平均値に置き換えることにより平滑化処理を実行するようにし、基材測定段階における平滑化処理と塗布膜測定段階における平滑化処理とで、近隣区間の幅が異なるように設定するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る塗布膜形成方法において、
コンピュータに、予め設定しておいた基準膜厚と膜厚演算段階で求められた膜厚との偏差を求め、求めた偏差が所定のしきい値を越える場合に、形成した塗布膜を不良と判定する処理を実行させる、不良判定段階を更に付加するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る塗布膜形成方法において、
コンピュータに、膜厚演算部で求められた膜厚に基づいて、塗布膜の塗布開始端および塗布終了端のうちの一方もしくは双方の断面形状を示す画像を作成し、これを提示する処理を実行させる、端部形状提示段階を更に付加するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る塗布膜形成方法において、
ベースとなるガラス層と、顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層と、の2層構造を有し、誘電体層中の所定位置に電極を埋設してなるプラズマディスプレイパネルの背面板用基板を基材としてステージ上に固定し、この誘電体層の上面にリブ層となるべきガラスペーストを主成分とする層を塗布膜として形成するようにし、
塗布膜測定段階における平滑化処理での平滑化よりも、基材測定段階における平滑化処理での平滑化の方が、平滑化の程度が高くなるように設定するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する塗布膜形成装置において、
基材を固定するためのステージと、
このステージの上方に設けられた支持体と、
この支持体に、上下方向に移動自在となるように取り付けられ、流動性膜材料をシート状に吐出する機能をもったダイと、
このダイを支持体に対して上下方向に移動させるダイ移動手段と、
支持体に取り付けられ、ステージ上に載置された物体までの距離を測定する変位計と、
ステージもしくは支持体を、所定の移動方向に沿って移動させることにより、ステージ上の基材に対してダイおよび変位計を走査する走査手段と、
走査手段、ダイ、ダイ移動手段を制御するとともに、変位計の測定値を取り込む制御手段と、
を設け、制御手段には、
走査手段に走査を実行させながら、変位計によって測定される基材上面までの距離測定値を取り込む基材測定部と、
基材測定部によって取り込まれた所定の測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第1の平滑化処理を実施する第1の平滑化処理部と、
第1の平滑化処理部で平滑化された距離測定値に応じてダイ移動手段を制御してダイを上下移動させながら、走査手段に走査を実行させ、ダイから流動性膜材料をシート状に吐出させた状態で、基材上面にシート状膜を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成部と、
走査手段に走査を実行させながら、変位計によって測定される塗布膜上面までの距離測定値を取り込む塗布膜測定部と、
塗布膜測定部によって取り込まれた測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第2の平滑化処理を実施する第2の平滑化処理部と、
第1の平滑化処理部による平滑化処理後の距離測定値と、第2の平滑化処理部による平滑化処理後の距離測定値と、の差に基づいて、測定ラインに沿った各位置における塗布膜の膜厚を求める演算を行う膜厚演算部と、
を設け、第1の平滑化処理と第2の平滑化処理とにおける平滑化の程度を別々に設定できるようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る塗布膜形成装置において、
塗布膜形成部と塗布膜測定部とが、連携して走査手段に走査を実行させるようにし、塗布膜形成部による塗布膜の形成と塗布膜測定部による測定とが、1回の走査により同時に行われるようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第7または第8の態様に係る塗布膜形成装置において、
測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の単純平均値もしくは重み付き平均値に置き換えることにより平滑化処理を実行するようにし、第1の平滑化処理と第2の平滑化処理とで、近隣区間の幅が異なるように設定できるようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第7〜第9の態様に係る塗布膜形成装置において、
予め設定しておいた基準膜厚と膜厚演算部で求められた膜厚との偏差を求め、求めた偏差が所定のしきい値を越える場合に、形成した塗布膜を不良と判定する不良判定部を、制御手段内に更に設けるようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第7〜第10の態様に係る塗布膜形成装置において、
膜厚演算部で求められた膜厚に基づいて、塗布膜の塗布開始端および塗布終了端のうちの一方もしくは双方の断面形状を示す画像を作成し、これを提示する端部形状提示部を、制御手段内に更に設けるようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第7〜第11の態様に係る塗布膜形成装置における制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを用意し、当該プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
本発明に係る塗布膜形成方法および塗布膜形成装置によれば、膜の形成対象となる基材上面の高さを測定する段階と、実際に形成された塗布膜上面の高さを測定する段階とにおいて、それぞれ得られた測定値を空間的に平滑化するための平滑化処理を実施するようにし、かつ、基材上面の測定値に対する平滑化の程度と、塗布膜上面の測定値に対する平滑化の程度とを独立して設定するようにしたため、それぞれの材料に応じた平滑化処理が可能になり、基材の材料や塗布膜自身の材料がどのようなものであっても、膜形成とともに、適正な膜厚測定を行うことが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< 第1章:塗布膜形成装置の物理的構造および基本動作 >>>
はじめに、本発明の基本的実施形態に係る塗布膜形成装置の物理的な構造およびその基本動作を説明する。図1は、この塗布膜形成装置の物理的構造部分を示す斜視図である。図示のとおり、この装置は、平板状の台座プレート100の上に、種々の物理的な構成要素を配置することにより構成されている。ここでは、説明の便宜上、図のようにXYZ三次元座標系を定義する。台座プレート100の上面はXY平面に含まれる面になり、Z軸は、この台座プレート100の上面に対して垂直方向を向いている。
台座プレート100の上方には、X軸方向に移動可能となるように、ステージ120が配置されている。図示の実施形態の場合、台座プレート100の上面には、X軸に平行な方向に伸びた2本の搬送レール131,132が設けられており、ステージ120の下面に取り付けられた摺動子133が、この搬送レール131,132上を摺動することにより、ステージ120をX軸方向に移動させることができる。ステージ120は、その上面に基材S(塗布膜を形成する対象物:この例では、平板状の基板)を載置固定することができるような板状の部材であり、XY平面に平行となるように配置されている。したがって、ステージ120の上面に載置固定された基材Sも、ステージ120とともに、水平な状態(XY平面に平行な状態)に維持したまま、X軸方向に移動させることができる。
台座プレート100の上面には、一対の側壁部111,112が固定されており、これら側壁部111,112の間に、橋梁支持体113が取り付けられている。この橋梁支持体113は、側壁部111,112を橋渡しするように設けられており、ステージ120を跨ぐ構造になっている。この橋梁支持体113の一方の側(図の奥)には、ダイ140が取り付けられており、他方の側(図の手前)には、3組の変位計151〜153が取り付けられている。変位計151〜153は橋梁支持体113に固定されているが、ダイ140は、橋梁支持体113に対して、上下方向(Z軸方向)に移動可能となるように取り付けられている。
後述するように、ステージ120は、図示されていない走査手段によって、X軸方向に移動させられる。その結果、ステージ120上に載置固定された基材Sは、橋梁支持体113の下をくぐり抜けるようにしてX軸方向に移動することになるので、ダイ140および変位計151〜153によって、基材Sの上面が走査されることになる。基材S上に一点鎖線で示したL1〜L3は、それぞれ変位計151〜153による測定対象となる測定ラインである。変位計151〜153は、それぞれ直下に存在する物体までの距離を測定する機能を有する構成要素であるが、走査手段により、基材SをX軸方向に移動させてゆくプロセスにおいて、変位計151〜153は、それぞれ測定ラインL1〜L3に沿った各位置までの距離を順次測定して出力することができる。
図2は、図1に示す装置の主要部を、測定ラインL1に沿って切断した状態を示す側断面図であり、ステージ120上に載置された基材Sの上面に、塗布膜を形成するプロセスが示されている。ダイ140は、流動性膜材料M1(たとえば、液状の樹脂)を吐出するための口金として機能する構造体である。実際には、図示されていないポンプから、ダイ140の内部に流動性膜材料M1が供給され、ポンプから加えられる圧力によって、流動性膜材料M1が下方へと吐出されることになる。ダイ140の下面には、Y軸方向(図2の紙面に垂直な方向)に細長いスリットが形成されており、ダイ140内の流動性膜材料M1は、このスリットから、シート状膜M2として下方へと吐出される。すなわち、図2に示されているシート状膜M2は、図の奥行き方向に幅をもったシートを形成した状態のまま、基材Sの上面へと落下してゆくことになる。この状態で、ステージ120をX軸方向(図2の矢印Xの方向)へと徐々に移動させてゆくと、図示のとおり、吐出されたシート状膜M2は、基材Sの上面に塗布膜M3として塗布されてゆく。なお、ここでは、ダイ140に流動性膜材料M1を供給するためのポンプや供給管の図示は省略されている。
ダイ140は、橋梁支持体113に取り付けられているが、固着されているわけではなく、上下方向(図2に矢印Zで示すZ軸方向)に移動可能な状態となっており、後述するように、ダイ移動手段によって、上下に移動させることが可能な構造となっている。ここでは、ダイ移動手段の具体的な機構の図示は省略するが、橋梁支持体113に対してダイ140を上下方向に移動させることが可能な機構であれば、どのような機構を用いてもかまわない。たとえば、橋梁支持体113の側面に摺動レールを設け、この摺動レールに嵌合する摺動子をダイ140側に設け、橋梁支持体113内に埋設したモータを利用して、ダイ140側の摺動子を橋梁支持体113側の摺動レールに沿って上下駆動させるようにすればよい。
一方、変位計151〜153は、ステージ120上に載置された物体までの距離を測定する機能を有する構成要素であり、いわゆるギャップセンサと呼ばれるセンサである。このセンサとして、一般的には、レーザ変位計を用いるのが好ましいが、距離測定が可能なセンサであれば、どのようなものを用いてもかまわない。図2には、変位計151の直下に存在する塗布膜M3の上面までの距離Dの測定を行う例が示されている。なお、実際には、変位計151内には、レーザ光源、光学系、受光素子などが組み込まれているが、ここではこれらの構成要素の図示は省略している。
図1の斜視図に示すとおり、変位計151〜153は、それぞれ測定ラインL1〜L3の上方に配置されており、各測定ラインL1〜L3上の各位置における距離測定が行われる。なお、図示の例では、各変位計151〜153は、いずれも直下の距離を測定する機能を有するが、変位計151〜153の目的は、ステージ120上の物体について、それぞれ測定ラインL1〜L3に沿った段差、傾斜、凹凸を検出することにあるので、必ずしも直下の距離を測定する必要はなく、斜め下方向の距離を測定する変位計を用いてもかまわない。
ダイ140が、橋梁支持体113に対して上下方向に移動可能になっているのは、基材Sの上面に、段差、傾斜、凹凸などが存在した場合にも、良好な膜形成を可能にするためである。たとえば、図3の側断面図に示すように、基材Sの上面が傾斜していた場合を考えてみる。この場合、もし、ダイ140が橋梁支持体113に固着されていたとすると、ダイ140の吐出口の高さは常にレベルV1を維持することになる。そのため、吐出口と基材S上面との間の距離d(いわゆるギャップ)は、基材S上の各部によって異なってしまう。このように、基材S上の各部で、距離dが異なるようになると、一様な塗布膜を形成することが困難になり好ましくない。ダイ140を上下移動可能としたのは、このような弊害を避けるための配慮である。
すなわち、図3に示すように、ダイ140からの流動性膜材料の吐出を行わないで、ステージ120をX軸方向に移動させる走査を行うと、変位計151〜153によって、それぞれ測定ラインL1〜L3に沿った位置における基材Sの上面までの距離Dを測定することができる。図示の例の場合、X軸方向への走査により、変位計151直下における基材Sの上面位置は徐々に下がってくるので、距離Dの測定値は徐々に増加してゆくことになる。こうして、各部における距離Dを測定できたら、今度は、図4に示すように、ダイ140から流動性膜材料M1をシート状膜M2として吐出させながら、ステージ120をX軸方向に移動させる走査を行い、基材Sの上面に塗布膜M3を形成させる処理を行う。ただし、このとき、図3に示す段階で測定した距離Dに応じて、ダイ140を上下方向に移動させるようにする。具体的には、図3に示す段階で得られた距離Dの測定値は、X軸方向への走査とともに徐々に増加してゆくので、図4に示す膜形成段階では、X軸方向への走査とともに、ダイ140を徐々に下方へと移動させてゆくようにすればよい。そうすれば、ダイ140の吐出口の高さを、レベルV2に示すように変化させることができ、吐出口と基材S上面との間の距離dを一定に維持させた状態で、塗布膜M3の形成を行うことができるようになる。
図3,図4は、基材Sの上面が傾斜している場合の例であるが、基材Sの上面に段差や凹凸が生じている場合は、段差や凹凸に応じてダイ140を上下移動させることにより、やはり距離dを一定に維持することが可能になる。なお、図示の例では、3つの変位計151〜153によって、3つの測定ラインL1〜L3上の位置の測定値を得ることができるので、ダイ140の移動制御には、たとえば、3つの測定ラインL1〜L3上の測定値の平均値を用いるようにすればよい。あるいは、3つの測定ラインL1〜L3上の各測定値に基づいて、ダイ140の左右の傾きを定めるようにしてもよい。もちろん、図1の斜視図において、ダイ140を、右側部分、中央部分、左側部分というように、3つの独立した部分から構成し、それぞれを独立して上下移動できるようにしておけば、変位計151による測定値に基づいて右側部分の上下移動を制御し、変位計152による測定値に基づいて中央部分の上下移動を制御し、変位計153による測定値に基づいて左側部分の上下移動を制御することが可能になる。
このように、膜形成の前段階において、基材Sの上面の高さを測定しておき、膜形成段階において、この測定値に応じてダイ140を上下移動させながら膜形成を行うようにすれば、ダイ140の吐出口と基材S上面との間の距離dを一定に維持させた状態で、塗布膜の形成が可能になり、一様な膜厚をもった品質の良い成膜を行うことができるようになるというメリットが得られる。
このような手法のもうひとつのメリットは、変位計151〜153を利用して、形成された塗布膜M3の厚み測定を行うことが可能になる点である。この厚み測定の原理を、図5および図6の側断面図を参照しながら説明しよう。
いま、図5に示すように、膜形成の前段階において、基材Sの上面の測定ラインL1に沿った各位置の高さ測定(変位計151による距離Dの測定)が行われたものとしよう。ここでは、このように、基材Sの上面の各位置の高さを測定する段階を、「基材測定段階」と呼ぶことにする。この基材測定段階の目的は、既に述べたとおり、膜形成の対象となる基材Sの上面の高さを事前に測定しておくことであり、ダイ140からの流動性膜材料M1の吐出を行うことなしに、基材Sを図の左方(X軸方向)へと徐々に移動させる走査を行いながら、変位計151の測定値を取り込む処理が行われることになる。
走査を一定速度で行いながら、一定周期で測定値の取り込みを行うようにすれば、測定ラインL1上に一定間隔で並ぶ位置P1,P2,P3,…,Pi−1,Pi,Pi+1,…,Pnについて、それぞれ測定値Dを得ることができる。ここでは、これらの測定値を、D(P1),D(P2),D(P3),…,D(Pi−1),D(Pi),D(Pi+1),…,D(Pn)と表すことにする。図5に示す例のように、基材Sの上面が完全な水平面となっている場合は、測定値Dの値はすべて等しくなるが、実際には、基材Sの上面には、段差や傾斜が生じていたり、凹凸構造が存在していたりするため、測定値Dの値は位置ごとに変化することになる。
続いて、図6に示すように、ダイ140から流動性膜材料M1をシート状膜M2として吐出させながら、基材Sを図の左方(X軸方向)へと徐々に移動させる走査を行うことにより、基材Sの上面に塗布膜M3を形成する処理を行う。このとき、同時に、変位計151の測定値を、一定周期で取り込むようにすれば、測定ラインL1上に一定間隔で並ぶ、塗布膜M3上の位置Q1,Q2,Q3,…,Qi−1,Qi,Qi+1,…,Qnについて、それぞれ測定値Dを得ることができる。これらの測定値を、D(Q1),D(Q2),D(Q3),…,D(Qi−1),D(Qi),D(Qi+1),…,D(Qn)と表すことにする。測定値の取り込みタイミングをうまく調整すれば、位置Q1が、位置P1の直上にくるようにし、第i番目の位置Qiが、第i番目の位置Piの直上にくるようにすることができる。ここでは、このように、基材S上に形成された塗布膜M3の上面の各位置の高さを測定する段階を、「塗布膜測定段階」と呼ぶことにする。
こうして、基材測定段階における測定値と塗布膜測定段階における測定値とが得られたら、それぞれ対応する位置における測定値の差を演算することにより、当該位置における塗布膜M3の厚みを求めることができる。たとえば、位置P1における膜厚をT(P1)と表すことにすれば、T(P1)=D(P1)−D(Q1)なる演算により求めることができる。一般に、第i番目の位置における膜厚は、T(Pi)=D(Pi)−D(Qi)なる演算により求めることができる。
以上、変位計151を用いて、測定ラインL1上のn個の位置P1〜Pnにおける膜厚を求める方法を説明したが、変位計152,153を用いて、測定ラインL2,L3上の個々の位置における膜厚も、同様の方法で求めることができる。こうして得られる膜厚値は、あくまでも、二次元平面上に形成された塗布膜M3上に離散的に分布した特定位置における膜厚値であるが、距離測定値の取り込み周期を短く設定したり、設置する変位計の数を増やしたりすれば、より密度の高い特定位置について、それぞれ膜厚値を求めることができるようになる。
<<< 第2章:適正な膜厚測定を阻む事情 >>>
以上、本発明の基本的実施形態に係る塗布膜形成装置の物理的な構造およびその基本動作を説明したが、ここでは、上述した基本動作だけでは、適正な膜厚測定を行うことができないケースが存在する事情を、具体例を挙げて説明する。
ここでは、そのようなケースの一例として、プラズマディスプレイパネル用の背面板の製造プロセスに、前述した塗布膜形成装置を利用する場合を考える。一般的なプラズマディスプレイパネル用の背面板は、図7の側断面図に示すような構造を有する部品であり、ベースとなるガラス層10と、顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層11と、この誘電体層11に埋設された電極12と、誘電体層11の上面に所定間隔で形成されたリブ層13と、隣接するリブ層間に形成された蛍光体層14(通常は、R,G,Bの三原色の蛍光体が順に配置される)と、を有している。ここで、リブ層13は、ガラスペーストを主成分とする層であり、個々の画素の境界壁を形成する機能を果たし、通常、その厚みは100μm以上必要である。そのため、このリブ層13を形成するためには、前述した基本構造を有する塗布膜形成装置を用いてダイコートを行うのが一般的である。
すなわち、図8の側断面図に示すように、ベースとなるガラス層10と、顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層11(電極12が埋設されている)と、の2層構造を有する基板上に、ガラスペーストを主成分とする層15を塗布膜として形成し、この層15を固化させた後、所定部分(蛍光体層14を形成する部分)をサンドブラスト法により除去し、残った部分をリブ層13とする工程が行われる。このような工程では、ガラス層10と誘電体層11との2層構造をなす基板を、基材Sとしてステージ120上に載置固定し、ダイ140から、層15を構成するための流動性膜材料M1を吐出させることになる。したがって、図1に示す構造を有する塗布膜形成装置の場合、まず、基材測定段階において、誘電体層11の上面の高さを測定する処理が実行され、続いて、塗布膜形成段階と同時に塗布膜測定段階が実行され、形成されたばかりの層15(塗布膜)の上面の高さを測定する処理が実行され、両測定値の差を演算することにより、層15の厚みが求められることになる。
しかしながら、このようなケースに適用する場合、前述した基本動作だけでは、適正な膜厚測定を行うことができない。その根本原因は、乾燥・焼成工程により固化した状態の誘電体層11の上面に、流動性をもった状態の層15を塗布するためである。前述したとおり、誘電体層11は、顔料を含んだガラスペーストによって構成されており、透光性をもった数μm程度のガラス粒の中に顔料が散在する形態をとっている。この誘電体層11を形成するプロセスでは、まず、顔料を含んだガラスペーストの層をガラス層10上に塗付する工程が行われる。この塗布工程直後の段階では、塗布層は流動性をもった状態であり、その表面は滑らかである。しかし、その後、乾燥および焼成工程を経ることにより、溶剤等が揮発し、誘電体層11の表面には細かな凹凸が形成されることになる。このように、固化状態の誘電体層11の上面には、数μm程度の細かな凹凸が形成されており、しかも、主成分がガラスペーストであるため、誘電体層11全体としては、半透明な性質を有している。一方、この誘電体層11の上面に形成される層15は、ダイ140から吐出された状態では、流動性をもった材料であり、その上面は、誘電体層11の上面に比べれば滑らかである。ただし、ダイ140から吐出されたシート状膜M2を誘電体層11の上面に塗布する、という工程で形成される膜であるため、その端部、すなわち、塗布開始端と塗布終了端とは、他の部分に比べて厚みが変動しやすいという性質がある。
たとえば、図9は、誘電体層11上に形成された層15の端部15T(この例では、塗布開始端)の形状を示す拡大側断面図である。この例では、層15の他の部分に比べて、端部15Tの厚みは厚くなっている。もちろん、場合によっては、逆に端部15Tの厚みが他の部分に比べて薄くなることもある。また、塗布終了端についても、同様に端部の厚みが他の部分に比べて厚くなったり、薄くなったりする変動が生じやすい。このように、層15の端部15Tに厚みの変動が生じていると、その後に行われる焼成時に、この端部15Tが誘電体層11の上面から剥離する事態が生じかねない。したがって、図8に示すように、誘電体層11の上面に層15を形成した段階で、この層15の膜厚の均一性、特に、その端部における膜厚の均一性を確認する検査を行うことは非常に重要である。
前述したとおり、図1に示す塗布膜形成装置は、基材S上に塗布膜M3を形成するとともに、形成した塗布膜M3の膜厚を測定する機能を有している。しかしながら、図8に示すような材料の組み合わせにより塗布膜形成を行った場合、前述した基本動作だけでは、適正な膜厚測定を行うことができない。その第1の理由は、上述したとおり、固化状態の誘電体層11の上面には、数μm程度の細かな凹凸が形成されているのに対し、固化前の流動性をもった層15の上面は比較的滑らかな状態になるため、基材測定段階において、誘電体層11の上面の凹凸表面までの距離を忠実に測定すると、非常に細かな厚み変動が検出されることになるためである。もちろん、厚みの測定値に精確さだけを求めるという意味では、このような非常に細かな厚み変動の検出は、精確な測定結果を示すものになるが、プラズマディスプレイパネル用の背面板のリブ13を形成するという目的を考慮すると、このような非常に細かな厚み変動までも検出することは好ましくなく、適正な膜厚測定ということはできない。
そして、第2の理由は、上述したとおり、誘電体層11は、顔料を含んだガラスペーストによって構成されているため、基材測定段階における測定値が必ずしも正しい測定値にはならないためである。すなわち、誘電体層11は、ガラスペーストの部分は透光性を有しているが、顔料の部分は遮光性を有している、という特殊な構造を有しているため、全体としては、半透明な性質を呈することになる。ところが、レーザ変位計などによる距離測定結果は、光を透過するガラスペーストの表面までの距離を示すものにはならず、光を反射する顔料までの距離を示すものになってしまう。たとえば、レーザを照射した特定の測定箇所に存在する顔料が浅い位置にあれば、レーザ光はこの浅い位置にある顔料によって反射することになるので、比較的短い距離が測定結果として得られることになる。逆に、レーザを照射した特定の測定箇所に存在する顔料が深い位置にあれば、レーザ光はこの深い位置にある顔料によって反射することになるので、比較的長い距離が測定結果として得られることになる。このように、変位計による距離の測定結果は、顔料の分布深度に応じてばらつきを生じたものになるため、必ずしも正しい測定値にはならない。
以上、プラズマディスプレイパネル用の背面板のリブ13を形成するというケースを例示したが、要するに、膜の形成対象となる基材の材料や塗布膜自身の材料の固有の性質により、前述した基本動作だけでは、適正な膜厚測定を行うことができない事情が存在することは少なくない。本発明は、このような事情が存在する場合にも、適正な膜厚測定を可能にする技術を提案するものである。
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第1章で述べた基本原理に基づく塗布膜形成方法は、ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する方法であるが、次の各段階から構成されている。まず、第1の段階は、ステージ120上に基材Sを固定し、流動性膜材料M1をシート状に吐出する機能をもったダイ140を基材Sの上方に配置する準備段階である。そして、第2の段階は、ステージ120をX軸方向に移動させる走査を行いながら、基材S上面のX軸方向に沿った測定ラインL1〜L3上の高さを測定する基材測定段階である。続く第3の段階は、この基材測定段階で測定された高さに応じて、ダイ140を上下移動させながら、ダイ140から流動性膜材料M1をシート状に吐出させた状態で、ステージ120をX軸方向に移動させる走査を行い、基材Sの上面にシート状膜M2を塗布して塗布膜M3を形成する塗布膜形成段階である。そして、この塗布膜形成段階と同時に、第4の段階、すなわち、形成された塗布膜M3の上面の測定ラインL1〜L3上の高さを測定する塗布膜測定段階が実行される。そして最後の第5の段階として、基材測定段階における高さの測定値と塗布膜測定段階における高さの測定値との差に基づいて、測定ラインL1〜L3に沿った各部における塗布膜M3の膜厚を求める演算を行う膜厚演算段階が実行されることになる。
本発明の特徴は、上述した基材測定段階および前記塗布膜測定段階において、得られた測定値を空間的に平滑化するための平滑化処理を実施するようにし、かつ、平滑化の程度(平滑対象となる空間的範囲)を、基材測定段階と塗布膜測定段階とで異ならせるように設定する点にある。具体的には、図8に示すような層15を形成し、その膜厚を測定するプロセスを行う場合であれば、誘電体層11の上面の高さを測定する基材測定段階においても、形成された層15の上面の高さを測定する塗布膜測定段階においても、それぞれ測定値を空間的に平滑化するための平滑化処理を実施するようにし、かつ、前者における平滑化の方が後者における平滑化よりも、平滑化の程度が高くなるように(平滑対象となる空間的範囲が広くなるように)設定すればよい。前者、すなわち、誘電体層11の上面の高さを測定する基材測定段階における平滑化の程度を高くすれば、より広い範囲にわたっての平滑化が行われるようになり、表面の凹凸による細かな厚み変動は除外されるようになり、また、顔料の分布深度に応じて生じるばらつきも平均化されることになる。
以下、この特徴を、図示する実施形態に基づいて説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る塗布膜形成装置の全体構成を示すブロック図である。この装置は、ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する装置であるが、図示のとおり、支持体110、ステージ120、走査手段130、ダイ140、変位計150、ダイ移動手段160、制御手段170の各構成要素から構成されている。図1に示す物理的な構成要素は、これらのうちの支持体110、ステージ120、走査手段130、ダイ140、変位計150を具体的な構造で実現した一例である。
ステージ120は、塗布膜の形成対象となる基材Sを固定する機能をもった構成要素であり、図1に示すステージ120と同一の構成要素である。一方、支持体110は、このステージ120の上方に設けられ、ダイ140および変位計150を支持する機能をもった構成要素であり、図1に示す橋梁支持体113に相当する構成要素である。ダイ140は、図1に示すダイ140と同一の構成要素であり、既に述べたとおり、支持体110に対して、上下方向に移動自在となるように取り付けられ、かつ、流動性膜材料をシート状に吐出する機能を有する構成要素である。また、ダイ移動手段160は、図1には具体的な構成要素としては示されていないが、ダイ140を支持体110に対して上下方向に移動させる構成要素である。変位計150は、支持体110に取り付けられ、ステージ120上に載置された物体までの距離を測定する構成要素であり、図1に示す変位計151〜153に相当する構成要素である。
走査手段130は、ステージ120もしくは支持体110を、所定の移動方向に沿って移動させることにより、ステージ120上の基材Sに対して、ダイ140および変位計150を走査する構成要素である。図1に示す実施形態では、ステージ120をX軸方向に移動させるために用いられる搬送レール131,132および摺動子133、ならびに、図示されていない駆動機構が、走査手段130に相当する構成要素ということになる。もっとも、走査手段130は、必ずしもステージ120側を移動させることにより走査を行う必要はなく、逆に、支持体110側(ダイ140および変位計150側)を移動させることにより、走査を行ってもかまわない。要するに、走査手段130は、ダイ140および変位計150と、ステージ120上の基材Sと、を相対的に移動させることにより、基材Sに対して、ダイ140および変位計150を走査する機能を果たすことができれば、具体的にはどのような手段で実現してもかまわない。
制御手段170は、図1には図示が省略されている構成要素であるが、走査手段130、ダイ140、ダイ移動手段160を制御するとともに、変位計150の測定値を取り込む機能を有し、この装置全体を制御する役割を果たす。ここでは、説明の便宜上、この制御手段170を、基材測定部171、第1の平滑化処理部172、塗布膜形成部173、塗布膜測定部174、第2の平滑化処理部175、膜厚演算部176、不良判定部177、端部形状提示部178なる8個の機能ブロックの集合として捉えることにするが、実際には、この制御手段170は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータに、シーケンサ回路などを接続し、専用のプログラムを組み込むことによって構成することができる。なお、図10のブロック図中、実線の矢印は、ブロック構成要素の相互間に電気信号のやりとりが行われることを示しており、一点鎖線の矢印は、ブロック構成要素の相互間に、物理的な移動操作が行われることを示している。
基材測定部171は、走査手段130に走査を実行させながら(図1の例の場合、ステージ120をX軸方向に徐々に移動させながら)、変位計150によって測定される基材Sの上面までの距離測定値を取り込む処理を行う。たとえば、図5に示す例の場合、各測定箇所P1,P2,P3,…,Pi−1,Pi,Pi+1,…,Pnについての測定値として、それぞれ測定値D(P1),D(P2),D(P3),…,D(Pi−1),D(Pi),D(Pi+1),…,D(Pn)が取り込まれることになる。
第1の平滑化処理部172は、この基材測定部171によって取り込まれた所定の測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第1の平滑化処理を実施する。具体的には、測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の平均値に置き換えることにより平滑化処理を実行することができる。これは、いわゆる平滑化フィルタを各測定値に適用する平滑化処理になる。
ここでは、このような方法による平滑化処理の具体的な一例を、図11を参照しながら説明する。いま、図11の上段に示すように、一連の測定値が取り込まれたものとし、このうちの第i番目の測定値D(Pi)について、平滑化処理後の新たな値DD(Pi)を求める原理を説明しよう。この場合、まず、平滑化の度合いを示すパラメータとして、測定値D(Pi)の位置を中心とした近隣区間の幅を定義する。図11には、「2j+1」なる幅をもった近隣区間が定義されている。このような幅を定義すると、図示のとおり、第(i−j)番目の測定値D(Pi−j)から、第(i+j)番目の測定値D(Pi+j)までの合計(2j+1)個の測定値が近隣区間内の測定値ということになる。そこで、これら近隣区間内の測定値の単純平均値Av(D(Pi−j)〜D(Pi+j))を演算により求め、これを平滑処理後の新たな測定値DD(Pi)とするのである。
同様の処理を、同一測定ライン上のすべての測定値について実施すれば、当該測定ラインについての第1の平滑化処理部172における第1の平滑化処理は完了である。複数の測定ラインがある場合には、個々の測定ラインごとに、同様の平滑化処理を実行すればよい。なお、左右両端近傍に位置する測定値については、「2j+1」なる幅をもった近隣区間を定義することはできないが、その場合は、可能な限りの幅をもった近隣区間を定義すればよい。たとえば、第1番目の測定値D(P1)については、自分自身から第(1+j)番目の測定値D(P1+j)までの合計(j+1)個の測定値を近隣区間内の測定値として、単純平均値Av(D(P1)〜D(P1+j))を演算により求め、これを平滑化処理後の新たな測定値DD(P1)とすればよい。
なお、この平滑化処理を行う上では、上述のような単純平均値を用いる代わりに、個々の測定値に所定の重み係数を乗じた上で平均を求める重み付き平均値を用いるようにしてもかまわない。たとえば、図12は、このような重み付き平均値を求めるために利用される重み係数分布の一例を示すグラフである。このグラフは、重み係数の分布がガウス分布をとる例を示している。横軸は、個々の測定値の配列位置に対応し、縦軸は個々の測定値に乗じる重み係数を示している。たとえば、位置Piの測定値D(Pi)については、最も大きな係数kiが乗じられ、位置Pi−jの測定値D(Pi−j)および位置Pi+jの測定値D(Pi+j)については、最も小さな係数ki−jおよびki+jが乗じられる。
このように、第1の平滑化処理部172による平均化処理を実施することにより、最終的に、各測定箇所P1,P2,P3,…,Pi−1,Pi,Pi+1,…,Pnについての平滑化処理後の測定値として、それぞれ測定値DD(P1),DD(P2),DD(P3),…,DD(Pi−1),DD(Pi),DD(Pi+1),…,DD(Pn)が求まることになる。
塗布膜形成部173は、第1の平滑化処理部172で平滑化された距離測定値DD(P1),DD(P2),DD(P3),…,に応じてダイ移動手段160を制御してダイ140を上下移動させながら、走査手段130に走査を実行させ(図1の例の場合、ステージ120をX軸方向に徐々に移動させ)、ダイ140から流動性膜材料をシート状に吐出させた状態で、基材Sの上面にシート状膜M2を塗布して塗布膜M3を形成する処理を行う。塗布膜M3が形成される様子は、図6の側断面図に示したとおりである。
塗布膜測定部174は、走査手段130に走査を実行させながら、変位計150によって測定される塗布膜M3の上面までの距離測定値を取り込む処理を行う。たとえば、図6に示す例の場合、各測定箇所P1,P2,P3,…,Pi−1,Pi,Pi+1,…,Pnについての測定値として、それぞれ測定値D(Q1),D(Q2),D(Q3),…,D(Qi−1),D(Qi),D(Qi+1),…,D(Qn)が取り込まれることになる。
なお、塗布膜形成部173による塗布膜形成のための走査と、塗布膜測定部174による塗布膜上面までの距離を測定するための走査とは、それぞれ別個独立して行うことも可能であるが、図6に示す例のように、ダイ140よりも変位計151〜153の方を左側(走査方向へ向かう側)に配置しておけば、塗布膜形成部173による塗布膜形成作業と、塗布膜測定部174による距離測定作業とを、同一の移動操作で同時に行うことができるので効率的である。実用上は、このように、塗布膜形成部173と塗布膜測定部174とが、連携して走査手段130に走査を実行させ、塗布膜形成部173による塗布膜の形成と塗布膜測定部174による測定とが、1回の走査により同時に行われるようにするのが好ましい。
第2の平滑化処理部175は、この塗布膜測定部174によって取り込まれた所定の測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第2の平滑化処理を実施する。この第2の平滑化処理も、前述した第1の平滑化処理と全く同様に、測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の平均値に置き換えることにより実行することができる。その結果、平滑化処理後の測定値DD(Q1),DD(Q2),DD(Q3),…,DD(Qi−1),DD(Qi),DD(Qi+1),…,DD(Qn)が得られることになる。
ただし、第1の平滑化処理部172によって実行される第1の平滑化処理と、第2の平滑化処理部175によって実行される第2の平滑化処理とでは、平滑化の程度を別々に設定できるようにしておき、基材Sを構成する材料の特性および塗布膜M3を構成する材料の特性に応じて、それぞれ最適な平滑化が行われるようにする。具体的には、図11に示す方法で平滑化を実行する場合であれば、第1の平滑化処理で定義する近隣区間の幅と、第2の平滑化処理で定義する近隣区間の幅とを、それぞれ別個独立して設定できるようにし、それぞれ異なる近隣区間幅を用いた平滑化処理が実施されるようにしておく。別言すれば、第1の平滑化処理で用いる平滑化フィルタのサイズと、第2の平滑化処理で用いる平滑化フィルタのサイズと、を変えることができるようにしておく。
たとえば、図8に示すように、顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層11の上面に、リブ層となるべき層15を塗布膜として形成する場合であれば、既に述べたとおり、誘電体層11の上面の高さを測定する基材測定段階における平滑化の程度を、高く設定するようにすればよい。そうすれば、誘電体層11の表面の凹凸による細かな厚み変動は除外されるようになり、また、顔料の分布深度に応じて生じるばらつきも平均化される。別言すれば、比較的大きなサイズの平滑化フィルタを用いた平滑化処理を行うことにより、変動の高周波成分をカットする処理が行われることになる。その一方で、層15の上面の高さを測定する塗布膜測定段階における平滑化の程度を低く設定すれば、図9に示すように、層15の端部15Tに急激な膜厚変動が生じていた場合にも、このような膜厚変動が、平滑化によって失われてしまうことを防ぐことができ、適正に検出することが可能になる。別言すれば、比較的小さなサイズの平滑化フィルタを用いた平滑化処理を行うことにより、変動の高周波成分を残す処理が行われることになる。結局、この例の場合、第1の平滑化処理で定義する近隣区間の幅(平滑化フィルタのサイズ)を、第2の平滑化処理で定義する近隣区間の幅(平滑化フィルタのサイズ)よりも大きく設定すればよい。
たとえば、図11に示すように、幅=2j+1なる式で近隣区間を定義する場合、第1の平滑化処理では、j=250に設定し、合計501個の比較的広い範囲に分布する測定値の平均を求める平滑化を行い、第2の平滑化処理では、j=2に設定し、合計5個の比較的狭い範囲に分布する測定値の平均を求める平滑化を行うようにすればよい。そうすれば、誘電体層11の表面の凹凸や顔料の分布深度に基づく変動成分は平滑化により除去されるが、層15の端部15Tに生じる急激な膜厚変動は、そのまま残ることになる。もちろん、第2の平滑化処理では、j=0に設定し、実質的に全く平滑化を行わないようにしてもかまわない。このように、本発明において、「平滑化の程度」とは、全く平滑化を行わない場合に「平滑化の程度が最も低い」とする意味で用いているものであり、「最も低い程度で平滑化を行う」という意味は、「平滑化を全く行わない」ということと同義である。
膜厚演算部176は、第1の平滑化処理部172による平滑化処理後の距離測定値と、第2の平滑化処理部175による平滑化処理後の距離測定値と、の差に基づいて、各測定ラインに沿った各位置における塗布膜M3の膜厚を求める演算を行う。このような演算により、各部の膜厚値が求まることは、図6を参照して既に説明したとおりである。必要があれば、求めた膜厚値のうち代表的な箇所についてのいくつかを、ディスプレイ画面上に表示させるようにしてもよい。
以上が、図10に示す塗布膜形成装置における塗布膜形成および膜厚測定の動作であるが、この装置には、膜厚測定の結果を利用して、不良判定段階および端部形状提示段階という付加処理を行う機能が備わっている。
不良判定部177は、予め設定しておいた基準膜厚と膜厚演算部176で求められた膜厚との偏差を求め、求めた偏差が所定のしきい値を越える場合に、形成した塗布膜を不良と判定する不良判定段階を実行する構成要素である。基準膜厚およびしきい値を予め設定しておけば、膜厚演算部176が求めた膜厚値と基準膜厚との差が、しきい値を越えた場合には、塗布膜形成を行ったロットが直ちに不良品であるとの判定を出すことができるので、当該ロットをその場で製造ラインから取り除くことができる。なお、図9に示すような端部15Tにおける膜厚変動を重点的に検査する場合には、塗布開始端もしくは塗布終了端から所定距離の範囲内に含まれる部分の膜厚についての最大値あるいは最小値を求め、これら最大値あるいは最小値と基準膜厚との差が、しきい値を越えているか否かで良否判定を行うようにしてもよい。
一方、端部形状提示部178は、膜厚演算部176で求められた膜厚に基づいて、塗布膜M3の塗布開始端および塗布終了端のうちの一方もしくは双方の断面形状を示す画像を作成し、これを提示する端部形状提示段階を実行する構成要素である。この端部形状提示部178は、たとえば、図9に示すような画像を作成し、ディスプレイ画面上に提示することができる。このような端部15Tの断面形状を示す画像を提示すれば、オペレータは、この画像を見ながら端部15Tの状態を認識し、良不良の判定を人間の判断により下すことが可能になる。
図13は、図10に示す塗布膜形成装置の動作手順を説明する流れ図である。まず、準備段階に相当するステップS1では、基材Sをステージ120上に載置固定し、ダイ140に流動性膜材料M1を準備する工程が行われる。続くステップS2,S3は、基材測定段階の手順である。まず、ステップS2において、第1回目の走査が実施され、基材Sの上面の高さを示す距離測定値D(P1),D(P2),…,D(Pn)が基材測定部171に取り込まれる。そして、ステップS3において、基材測定部171に取り込まれた測定値に対して、第1の平滑化処理が実施され、平滑化処理後の測定値DD(P1),DD(P2),…,DD(Pn)が、第1の平滑化処理部172によって求められる。
次のステップS4,S5は、塗布膜測定段階の手順であるが、ステップS4は、塗布膜形成段階の手順も兼ねることになる。すなわち、ステップS4では、塗布膜形成部173の機能により、ステップS3で求められた平滑化処理後の測定値DD(P1),DD(P2),…,DD(Pn)に応じて、ダイ140を上下移動させながら、第2回目の走査が実施される。このとき、ダイ140からは、シート状膜M2が吐出され、基材S上に塗布膜M3が形成される。同時に、形成された塗布膜M3の上面の高さを示す距離測定値D(Q1),D(Q2),…,D(Qn)が塗布膜測定部174に取り込まれる。そして、ステップS5において、塗布膜測定部174に取り込まれた測定値に対して、第2の平滑化処理が実施され、平滑化処理後の測定値DD(Q1),DD(Q2),…,DD(Qn)が、第2の平滑化処理部175によって求められる。既に述べたとおり、第2の平滑化処理部175によって実施される平滑化の程度は、第1の平滑化処理部172によって実施される平滑化の程度とは、異なる程度に設定することができ、個々のケースに応じて、最適な平滑化の程度設定がなされることになる。
続くステップS6は、膜厚演算段階の手順であり、第i番目の箇所Piにおける膜厚T(Pi)が、T(Pi)=DD(Pi)−DD(Qi)なる演算によって求められる。最後のステップS7は、不良判定段階および端部形状提示段階の手順であり、ステップS6で求められた膜厚値に基づいて、不良判定や端部形状の提示処理が実行される。
本発明の基本的実施形態に係る塗布膜形成装置の物理的構造部分を示す斜視図である。 図1に示す装置の主要部を、測定ラインL1に沿って切断した状態を示す側断面図である。 基材Sの上面が傾斜していた場合、ダイ140の吐出口と基材S上面との距離dが位置によって異なることを示す側断面図である。 基材Sの上面が傾斜していた場合、ダイ140を上下移動させることにより、吐出口と基材S上面との距離dを一定に維持することができることを示す側断面図である。 図1に示す装置によって行われる基材測定段階の処理の原理を示す側断面図である。 図1に示す装置によって行われる塗布膜測定段階の処理の原理を示す側断面図である。 一般的なプラズマディスプレイパネル用の背面板の構造を示す側断面図である。 図7に示す背面板の製造プロセスの途中段階の状態を示す側断面図である。 図8に示す途中段階の部品において、形成された樹脂層の端部の形状を示す拡大側断面図である。 本発明の一実施形態に係る塗布膜形成装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明において実施される平滑化処理の具体的な一例を示す図である。 図11に示す平滑化処理で利用される重み係数分布の一例を示すグラフである。 図10に示す塗布膜形成装置の動作手順を説明する流れ図である。
符号の説明
10…ガラス層
11…顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層
12…電極
13…リブ層
14…蛍光体層
15…ガラスペーストを主成分とする層(塗布膜)
15T…層端部
100…台座プレート
110…支持体
111,112…側壁部
113…橋梁支持体
120…ステージ
130…走査手段
131,132…搬送レール
133…摺動子
140…ダイ
150…変位計
151〜153…変位計
160…ダイ移動手段
170…制御手段
171…基材測定部
172…第1の平滑化処理部
173…塗布膜形成部
174…塗布膜測定部
175…第2の平滑化処理部
176…膜厚演算部
177…不良判定部
178…端部形状提示部
D…変位計による測定距離
DD…平滑化処理後の測定値
d…ギャップ間隔
k…重み係数
L1〜L3…測定ライン
M1…流動性膜材料
M2…シート状膜
M3…塗布膜
P1〜Pn…測定ラインL1上の箇所
Q1〜Qn…塗布膜M3上の箇所
S…基材
S1〜S7…流れ図の各ステップ
V1,V2…ダイ140の吐出口の位置を示すレベル
X,Y,Z…三次元座標系の各座標軸

Claims (12)

  1. ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する方法であって、
    ステージ上に基材を固定し、流動性膜材料をシート状に吐出する機能をもったダイを前記基材上方に配置する準備段階と、
    前記基材もしくは前記ダイを、所定の移動方向に沿って移動させながら、前記基材上面の前記移動方向に沿った測定ライン上の高さを測定する基材測定段階と、
    前記基材測定段階で測定された高さに応じて前記ダイを上下移動させながら、前記ダイから流動性膜材料をシート状に吐出させた状態で、前記基材もしくは前記ダイを前記移動方向に沿って移動させることにより、前記基材上面にシート状膜を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成段階と、
    前記基材もしくは前記ダイを、前記移動方向に沿って移動させながら、前記塗布膜上面の前記測定ライン上の高さを測定する塗布膜測定段階と、
    前記基材測定段階における高さの測定値と前記塗布膜測定段階における高さの測定値との差に基づいて、前記測定ラインに沿った各部における前記塗布膜の膜厚を求める演算を行う膜厚演算段階と、
    を有し、
    前記基材測定段階および前記塗布膜測定段階において、得られた測定値を空間的に平滑化するための平滑化処理を実施するようにし、かつ、平滑化の程度を、前記基材測定段階と前記塗布膜測定段階とで異ならせるように設定することを特徴とする塗布膜形成方法。
  2. 請求項1に記載の塗布膜形成方法において、
    塗布膜形成段階と塗布膜測定段階とを同一の移動操作で同時に行うことを特徴とする塗布膜形成方法。
  3. 請求項1または2に記載の塗布膜形成方法において、
    測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の単純平均値もしくは重み付き平均値に置き換えることにより平滑化処理を実行するようにし、基材測定段階における平滑化処理と塗布膜測定段階における平滑化処理とで、近隣区間の幅が異なるように設定することを特徴とする塗布膜形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の塗布膜形成方法において、
    コンピュータに、予め設定しておいた基準膜厚と膜厚演算段階で求められた膜厚との偏差を求め、求めた偏差が所定のしきい値を越える場合に、形成した塗布膜を不良と判定する処理を実行させる、不良判定段階を更に有することを特徴とする塗布膜形成方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の塗布膜形成方法において、
    コンピュータに、膜厚演算部で求められた膜厚に基づいて、塗布膜の塗布開始端および塗布終了端のうちの一方もしくは双方の断面形状を示す画像を作成し、これを提示する処理を実行させる、端部形状提示段階を更に有することを特徴とする塗布膜形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の塗布膜形成方法において、
    ベースとなるガラス層と、顔料を含んだガラスペーストからなる誘電体層と、の2層構造を有し、前記誘導体層中の所定位置に電極を埋設してなるプラズマディスプレイパネルの背面板用基板を基材としてステージ上に固定し、前記誘電体層の上面にリブ層となるべきガラスペーストを主成分とする層を塗布膜として形成するようにし、
    塗布膜測定段階における平滑化処理での平滑化よりも、基材測定段階における平滑化処理での平滑化の方が、平滑化の程度が高くなるように設定することを特徴とする塗布膜形成方法。
  7. ダイからシート状膜を吐出させることにより基材上に塗布膜を形成する装置であって、
    基材を固定するためのステージと、
    前記ステージの上方に設けられた支持体と、
    前記支持体に、上下方向に移動自在となるように取り付けられ、流動性膜材料をシート状に吐出する機能をもったダイと、
    前記ダイを前記支持体に対して上下方向に移動させるダイ移動手段と、
    前記支持体に取り付けられ、前記ステージ上に載置された物体までの距離を測定する変位計と、
    前記ステージもしくは前記支持体を、所定の移動方向に沿って移動させることにより、前記ステージ上の基材に対して前記ダイおよび前記変位計を走査する走査手段と、
    前記走査手段、前記ダイ、前記ダイ移動手段を制御するとともに、前記変位計の測定値を取り込む制御手段と、
    を備え、前記制御手段は、
    前記走査手段に走査を実行させながら、前記変位計によって測定される基材上面までの距離測定値を取り込む基材測定部と、
    前記基材測定部によって取り込まれた所定の測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第1の平滑化処理を実施する第1の平滑化処理部と、
    前記第1の平滑化処理部で平滑化された距離測定値に応じて前記ダイ移動手段を制御して前記ダイを上下移動させながら、前記走査手段に走査を実行させ、前記ダイから流動性膜材料をシート状に吐出させた状態で、前記基材上面にシート状膜を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成部と、
    前記走査手段に走査を実行させながら、前記変位計によって測定される前記塗布膜上面までの距離測定値を取り込む塗布膜測定部と、
    前記塗布膜測定部によって取り込まれた前記測定ラインに沿った各位置における距離測定値を、空間的に平滑化するための第2の平滑化処理を実施する第2の平滑化処理部と、
    前記第1の平滑化処理部による平滑化処理後の距離測定値と、前記第2の平滑化処理部による平滑化処理後の距離測定値と、の差に基づいて、前記測定ラインに沿った各位置における前記塗布膜の膜厚を求める演算を行う膜厚演算部と、
    を有し、前記第1の平滑化処理と前記第2の平滑化処理とにおける平滑化の程度を別々に設定できるようにしたことを特徴とする塗布膜形成装置。
  8. 請求項7に記載の塗布膜形成装置において、
    塗布膜形成部と塗布膜測定部とが、連携して走査手段に走査を実行させ、塗布膜形成部による塗布膜の形成と塗布膜測定部による測定とが、1回の走査により同時に行われるようにしたことを特徴とする塗布膜形成装置。
  9. 請求項7または8に記載の塗布膜形成装置において、
    測定ラインに沿った個々の測定箇所における測定値を、当該箇所を中心とした所定幅をもった近隣区間内に含まれる複数の測定箇所における測定値の単純平均値もしくは重み付き平均値に置き換えることにより平滑化処理を実行するようにし、第1の平滑化処理と第2の平滑化処理とで、近隣区間の幅が異なるように設定できるようにしたことを特徴とする塗布膜形成装置。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の塗布膜形成装置において、
    予め設定しておいた基準膜厚と膜厚演算部で求められた膜厚との偏差を求め、求めた偏差が所定のしきい値を越える場合に、形成した塗布膜を不良と判定する不良判定部を、制御手段内に更に設けたことを特徴とする塗布膜形成装置。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の塗布膜形成装置において、
    膜厚演算部で求められた膜厚に基づいて、塗布膜の塗布開始端および塗布終了端のうちの一方もしくは双方の断面形状を示す画像を作成し、これを提示する端部形状提示部を、制御手段内に更に設けたことを特徴とする塗布膜形成装置。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の塗布膜形成装置における制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムもしくは当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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