JP2005121680A - 液晶表示素子および投射型表示装置 - Google Patents

液晶表示素子および投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ストライプドメインによる表示性能の低下を防止できるアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示素子およびその液晶表示素子を用いた投射型表示装置を提供する。
【解決手段】対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子は、この液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料が、室温(たとえば20℃)において、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものであり、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものであって、このような液晶表示素子を用いることにより、良好な表示が得られる投射型表示装置が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子およびこの液晶表示素子を用いた投射型表示装置に関し、詳しくは液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶を用いた液晶表示素子およびこの液晶表示素子を用いた投射型表示装置に関する。
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置では、光源から出射される光を赤、緑、青に分離し、各色光を液晶表示素子(以下LCDという)により構成される3つのライトバルブにより変調し、変調された後の色光束を再び合成して、投射面に拡大投射している。そして、液晶プロジェクタ等にライトバルブとしては、一般に薄膜トランジスタ(以下TFTという)駆動によるアクティブマトリクス駆動方式のLCDが用いられる。
アクティブマトリクス駆動方式のLCDのほとんどには、ネマティック液晶が用いられており、主な表示方式としては、旋光モードのLCDがある。旋光モードのLCDでは、90度捩れた分子配列を持つツイステッドネマティック(TN型)液晶であり、原理的に白黒表示で、高いコントラスト比と良好な階調表示性を示す。
アクティブマトリクス駆動方式のLCDの表示を均一に行うためには基板表面全面に液晶分子を均一に配向させることが必要である。
配向膜が形成された2枚の電極が形成された基板は、各基板の配向膜が対向して配置されており、実際に画像が表示される画素表示領域の周囲に位置するシール領域において、シール材により貼り合わされる。基板間隙を制御するために、前述した貼り合わせ前にミクロパールとよばれる球状のスペーサが用いられる、もしくは、レジストにより形成される柱状スペーサが用いられる。
これらの工程を経ることで、空セルが製造される、その後、この空セル内に液晶が封入されて、液晶セルが製造される。
なお、前述した液晶は、数種類の単体液晶材料からなり、液晶組成物ともよばれる。製造された液晶セルに偏光板が取り付けられて液晶表示素子が製造される。
ところで、マトリクス状に配置された画素電極に電圧を印加する場合、表示品質の向上のために各行毎に印加電圧を反転させるライン反転駆動方式や、各列毎に印加電圧を反転させるカラム反転駆動方式が広く採用されている。
これらの駆動方式においては、隣接する画素電極間で印加電圧を反転させるので、図14に示すように、元来液晶に与えられたプレチルトの方向と逆のチルト方向を持つリバースチルトドメインRTDMが各画素電極PXLEに対応した画素部内に生じるという不利益がある(特許文献1参照)。
特に、ノーマリホワイトモードの液晶表示では、正常な領域との境界のディスクリネーションラインDSCLが白抜けを起こしコントラストを低下させる。このため、リバースチルトドメインRTDMを小さくするためにチルト角が大きくすることが行われているが、製造時の歩留りが低下するという不利益がある。また、リバースチルトドメインRTDMの発生位置に応じて、遮光材を設けることにより光漏れを低減させるようにしているが、開口率が低下するという不利益がある。
そこで、TN型LCDにおいてコントラスト比を上げる手法の一つとして、対向する共通電極と画素電極との間に印加される実効電圧を高くする、すなわちダイナミックレンジを広くするという手法が有力しされている。
このように、対向する共通電極と画素電極との間に印加される実効電圧を高くした場合には、液晶分子の配向がより垂直となるだけでなく、ディスクリネーションラインDSCLの発生位置が画素部内の周縁方向(外側)へ移動するのでコントラスト比を向上させることが可能となる。
また、投射型表示装置のライトバルブとして用いられるアクティブマトリクス駆動方式のしCDは、液晶プロジエクタ等の投射型表示装置の小型化にともなって小型化され、一方では画素の高精細化、高輝度化が進展している。高精細化に伴い、液晶表示素子の画素ピッチ間は小さくなっている。例えば、基板サイズが22.9mm(0.9インチ)XGA(extended graphics array)タイプの場合、画素数は1024×768であり、ピクセルピッチは18μmとなっている。
しかしながら、高精細化が進むことで、各画素の透明電極(例えばITO:インジウムスズオキサイド)間隔がますます狭くなり、各画素における電位が反転した場合において、横方向の電界が発生する。この横方向の電界の発生により、透明電極境界部の液晶分子の配向は乱れ、乱れた部分と正常な部分の境界に境界線(ディスクリネーションラインともいう)が表示欠陥として発生し、コントラストが低下するといった問題が起こる。さらに、高輝度化に伴い、この表示欠陥は目立つ方向に進んでいる。
この問題を解決するために、コンタクトホールの位置によって前述した境界線の位置を変化させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また下FTに段差をつけることにより、横方向の電界を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許第2934875号公報、段落番号0005〜0006 特開2001−265255号公報(第8−13頁、図2−3) 特開2001−265255号公報(第19頁、第17図)
しかしながら、上述したように実効電圧を高くすると、一部の画素でリバースチルトドメインが消失し、この消失状態が準安定状態となるので、図15に示すように、V(電圧)−T(光透過強度)特性にヒステリシスを生じ、黒表示から中間調表示にした際に、滅点状の画質不良や、特にリバースチルトドメインの表示不良が隣接するリバースチルトドメインに伝播して滅線状の重大な画質不良を生じる。
前述した画質不良を以下ストライプドメインとよぶ。
このため、対向する共通電極と画素電極との間にある値以上の電圧(実効電圧)を印加することができず、所期のコントラスト比を実現できないという問題がある。この問題は、高精細で高開口率の液晶表示素子を実現するために、隣接す画素電極間の距離を短縮した場合に著しく生じる。
したがって、薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチング素子を備えたマトリクス型液晶表示装置においては、高開口率と高コントラスト比とを両立させることが困難である。
しかしながら、特許文献2および3に記載された発明は、いずれも形状を変化させ、縦方向の電界を強め、横方向の電界を抑制する方法である。
そのため、(1)段差部を有することでラビングが十分に出来ない領域が発生し表示不良となる。(2)構造が複雑になることで歩留まりが低下し、製造コストが悪化するといった不利益がある。
また、最も効果的な対策として、セルギャップを薄くして、各上下基板の縦方向の電界を強め、前述した横方向の電界の影響を防止するといった方法がある。2枚の偏光板が直交配置で、非点灯時において白表示であるノーマリホワイト表示の場合、gooch−tarryの式により、液晶材料の屈折率異方性Δn×セルギャップ=480nmの時に最大の透過率が得られる設計となる。すなわち、最大透過率を得るには、前述したセルギャップを薄くするといった対策を施した場合、液晶の屈折率異方性Δnを高くする必要がある。
このようなセルギャップを薄くするセル構成においては、近年採用されている柱状スペーサによる間隙制御が必須であるが、スペーサの形成により、さらにスペーサ周辺部のストライプドメインの乱れが発生するといった問題がある。また、高いΔnを有する液晶材料の採用したものでは、現在、画素ピッチ18μmの基板サイズが22.9mm(0.9インチ)XGAにおいて、Δnが0.16未満の液晶材料が用いられ、セルギャップは3.0μmである。前述したセル設計において、ストライプドメインは、通常の駆動電圧5.0Vよりも低い4.0V以下の電圧で発生し、表示欠陥となって問題となっている。
本発明の目的は、高い屈折率異方性Δn(Δnが0.16以上)を有する液晶材料に対し、各物性パラメータとストライプドメインの関係を調べ、ストライプドメインが発生しない物性パラメータ範囲において液晶材料設計を実施することにより、前述した問題点を解決するものであり、表示不良が発生しはじめる印加電圧の値を高めることができ、高開口率と高コントラスト比とを両立させることができることはもとより、透過率などの特性が良好で、ストライプドメインによる表示性能の低下を防止できるアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示素子(LCD)およびその液晶表示素子を用いた投射型表示装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされた液晶表示素子および投射型表示装置である。
本発明の液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものである。
誘電率異方性Δεは、液晶の長軸側の誘電率ε//と短軸側の誘電率ε⊥の差であり、その値が小さいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなる。すなわち、Δεが小さくなるほどストライプドメインが見えにくくなる。Δεは、その値が小さいほど、分子構造上バランスの取れた液晶分子状態となり、横電界の影響を受けにくいと考えられる。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.16≦Δn<0.18では、実験によりΔεはΔε<8であることが求められる。また、TN液晶では、Δε>0である。
次に、ツイスト弾性率K22は、K22が大きいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなる。すなわち、K22が大きいほど、ストライプドメインが見えにくくなる。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.16≦Δn<0.18では、実験によりK22はK22>6.0pNであることが求められる。
ここで、液晶材料における弾性率を説明する。液晶材料における弾性率とは、分子の方位の変形に対する弾性で、分子の平均的な配向性を表すディレクタのK11(スプレイ弾性率)、K22(ツイスト弾性率)、K33(ベンド弾性率)と呼ばれる3種類の変形がある。K11は、ディレクタが広がる変形である。主にフレデリクス転移近傍の変形に大きく依存するパラメータである。K22は、ディレクタが捩れる変形である。K22は、その値が大きいほど外力(電界や磁界)に対し、各分子が捩れにくくなる。K33は、ディレクタが曲がる変形である。液晶分子の集合体を弾性体と考えると、外力に対し弾性体が曲がる力で例えられる。K33はその値が、大きくなると曲がりにくくなる。
透明電極近傍の横電界により、配向が乱れる力に該当するのはK22と考えられ、K22が大きい液晶材料ほど、捩れの力に対し、電界の影響を受けにくくなる。このメカニズムは、K22が大きいほど、ストライプドメインが起こりにくい現象を示唆する。
以上より、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものであることが求められる。
本発明の液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、20℃において、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものである。
上記同様に、誘電率異方性Δεは、液晶の長軸側の誘電率ε//と短軸側の誘電率ε⊥の差であり、その値が小さいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなる。すなわち、Δεが小さくなるほどストライプドメインが見えにくくなる。Δεは、その値が小さいほど、分子構造上バランスの取れた液晶分子状態となり、横電界の影響を受けにくいと考えられる。例えば、ストライプドメイン電圧を5V以上とすると、0.18≦Δn≦0.20では、実験によりΔεはΔε<13であることが求められる。また、TN液晶では、Δε>0である。
次に、ツイスト弾性率K22は、K22が大きいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなる。すなわち、K22が大きいほど、ストライプドメインが見えにくくなる。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.18≦Δn≦0.20では、実験によりK22はK22>3.0pNであることが求められる。
以上より、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものであることが求められる。
本発明の投射型表示装置は、光源と、前記光源から出射された光を液晶表示素子に導く集光光学系と、前記液晶表示素子で光変調した光を拡大して投射する投射光学系とを有する投射型表示装置であって、前記液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものである。
上記投射型表示装置では、液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものであるから、ストライプドメインによる表示性能の低下を防止される。
本発明の投射型表示装置は、光源と、前記光源から出射された光を液晶表示素子に導く集光光学系と、前記液晶表示素子で光変調した光を拡大して投射する投射光学系とを有する投射型表示装置であって、前記液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものである。
上記投射型表示装置では、液晶表示素子は、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものであるから、ストライプドメインによる表示性能の低下を防止される。
本発明の液晶表示素子によれば、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものである、および屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものである。
このように、ストライプドメインに対し、耐性の強い液晶材料を設計できたので、ストライプドメインを防止でき、良好な表示を得ることができる。
本発明の投射型表示装置によれば、本発明の液晶表示素子を用いるので、ストライプドメインによる表示性能の低下を防止される。
本発明の液晶表示素子に係る一実施の形態を、図1〜図8によって説明する。
図1に示すように、本発明の液晶表示素子1は、対向配置された一対の基板、すなわちTFTアレイ基板10と対向基板20とをシール材52を介して貼り合わせた空の基板間に液晶層50が封入されたアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示素子である。
上記液晶表示素子1の液晶層50は以下に説明する物性を有するものを用いる。上記液晶層50に用いるツイステッドネマティック(以下TNという)型液晶材料は、20℃において、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものである。または上記液晶層50に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、室温(本実施形態では20℃)において、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものである。
以下、液晶層50について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施例での液晶材料の物性値測定の方法は、液晶材料研究の基礎と新展開(シグマ出版)p.161−191を参考とした。
また、全ての測定値は、室温(本実施形態では20°C)の温度管理下における測定条件におけるものである。
本実施例に採用した液晶は、表1に示すΔn=0.16のA、B、C、D、Eの5種類とΔn=0.18のF、G、H、I、Jの5種類とΔn=0.20のK、L、Mの3種類である。これらA−Mの液晶を作製し、本実施例とした。
屈折率異方性Δn(ne −no )の測定は、20°Cの温度管理下において、光源波長を589nmとして行った。
Figure 2005121680
Δn=0.16のA〜Eは以下のような物性になっている。Aは、Δεが本発明の請求の範囲(Δε<8)内であり、K22が本発明の請求の範囲外にある。Bは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲(Δε<8およびK22>6.0pN)内である。Cは、Δεが本発明の請求の範囲外であり、K22が本発明の請求の範囲(K22>6.0pN)内である。Dは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲外である。Eは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲の臨界値を示した材料である。
Δn=0.18のF〜Jは以下のような物性になっている。Fは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲の臨界値を示した材料である。Gは、Δεが本発明の請求の範囲(Δε<13)内であり、K22が本発明の請求の範囲外にある。Hは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲(Δε<13およびK22>3.0pN)内である。Iは、Δεが本発明の請求の範囲外であり、K22が本発明の請求の範囲(K22>3.0pN)内である。Jは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲外である。
Δn=0.20のK〜Mは以下のような物性になっている。Kは、Δεが本発明の請求の範囲(Δε<13)内であり、K22が本発明の請求の範囲外にある。Lは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲(Δε<13およびK22>3.0pN)内である。Mは、ΔεおよびK22ともに本発明の請求の範囲外である。
上記測定値を基いて図2〜図4を作成した。例えば、Δn=0.16およびΔn=0.18の液晶材料を用い、Δεを変化させた場合のΔεとストライプドメイン発生電圧との関係で評価した。その結果を図2によって説明する。図2では、縦軸にストライプドメイン発生電圧を示し、横軸にΔεを示す。図2〜図7に説明する図面において、ストライプドメイン発生電圧は、ストライプドメインが発生した時点での電圧をストライプドメイン発生電圧と定義した。
図2に示すように、Δεが小さいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなった。すなわち、Δεが小さくなるほどストライプドメインが見えにくくなった。Δεとは、液晶の長軸側の誘電率ε//と短軸側の誘電率ε⊥の差である。Δεが小さいほど、分子構造上バランスの取れた液晶分子状態となり、横電界の影響を受けにくいと考えられる。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.16≦Δn<0.18では、Δεは8以下であることが求められる。本発明ではTNモードに限定しているため、Δε>0である。したがって、Δεは、0<Δε<8となる。
次に、例えば、Δn=0.16およびΔn=0.18の液晶材料を用い、ツイスト弾性率K22を変化させた場合のK22とストライプドメイン発生電圧との関係で評価した。その結果を図3によって説明する。図3では、縦軸にストライプドメイン発生電圧を示し、横軸にK22を示す。
図3に示すように、K22が大きいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなった。すなわち、K22が大きいほど、ストライプドメインが見えにくくなった。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.16≦Δn<0.18では、K22は6.0pN以上であることが求められる。したがって、K22は、K22>6.0となる。
液晶材料における弾性率とは、分子の方位の変形に対する弾性で、分子の平均的な配向性を表すディレクタのK11(スプレイ弾性率)、K22(ツイスト弾性率)、K33(ベンド弾性率)と呼ばれる3種類の変形がある。K11は、ディレクタが広がる変形である。主にフレデリクス転移近傍の変形に大きく依存するパラメータである。K22は、ディレクタが捩れる変形である。K22は、その値が大きいほど外力(電界や磁界)に対し、各分子が捩れにくくなる。K33は、ディレクタが曲がる変形である。液晶分子の集合体を弾性体と考えると、外力に対し弾性体が曲がる力で例えられる。K33はその値が、大きくなると曲がりにくくなる。
透明電極近傍の横電界により、配向が乱れる力に該当するのはK22と考えられ、K22が大きい液晶材料ほど、捩れの力に対し、電界の影響を受けにくくなる。このメカニズムは、K22が大きいほど、ストライプドメインが起こりにくい現象を示唆する。
したがって、図4のK22(縦軸)とΔε(横軸)との関係図に示すように、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、20℃において、屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たすものであることが求められる。
上記測定値を基いて図5〜図7を作成した。例えば、Δn=0.18およびΔn=0.20の液晶材料を用い、Δεを変化させた場合のΔεとストライプドメイン発生電圧との関係で評価した。その結果を図5によって説明する。図5では、縦軸にストライプドメイン発生電圧を示し、横軸にΔεを示す。
図5に示すように、Δεが小さいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなった。すなわち、Δεが小さくなるほどストライプドメインが見えにくくなった。Δεとは、液晶の長軸側の誘電率ε//と短軸側の誘電率ε⊥の差である。Δεが小さいほど、分子構造上バランスの取れた液晶分子状態となり、横電界の影響を受けにくいと考えられる。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.18≦Δn≦0.20では、Δεは13以下であることが求められる。また本発明ではTNモードに限定しているため、Δε>0である。したがって、Δεは、0<Δε<13となる。
次に、例えば、Δn=0.18およびΔn=0.20の液晶材料を用い、ツイスト弾性率K22を変化させた場合のK22とストライプドメイン発生電圧との関係で評価した。その結果を図6によって説明する。図6では、縦軸にストライプドメイン発生電圧を示し、横軸にK22を示す。
図6に示すように、K22が大きいほど、ストライプドメインを発生する電圧が高くなった。すなわち、K22が大きいほど、ストライプドメインが見えにくくなった。例えば、ストライプドメイン発生電圧を5V以上とすると、0.18≦Δn≦0.20では、K22は3.0pN以上であることが求められる。したがって、K22は、K22>3.0となる。
上記図5および図6に基いて、K22(縦軸)とΔε(横軸)との関係図を図7によって説明する。図7に示すように、液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、20℃において、屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たすものであることが求められる。
次に、上記アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示素子の一例を、以下に説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の画像形成領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図9は、液晶表示素子の概略構成断面図である。
図8に示すように、液晶表示素子の画像表示領域は、複数の画素がマトリクス状に形成され、このマトリクス状に複数形成された画素電極9aと画素電極9aを制御するTFT30とからなる。さらに、上記TFT30のソースには画素信号を供給するための信号線6aが電気的に接続されている。
信号線6aに書き込む画素信号S1、S2・・・Snは、例えばこの順に信号線に対して順次供給される、もしくは、相隣接する複数の信号線6a同士に対して、グループ毎に供給される。上記TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されている。この走査線3aは、所定のタイミングで、例えばパルス的に走査信号G1、G2、・・・Gnを、例えばこの順に走査線に対して順次印加するように構成されている。
画素電極9aは、スイッチング素子として機能するTFT30のドレインに電気的に接続されている。例えばTFT30のスイッチを所定の時間だけ閉じることにより、信号線6aから供給される画素信号S1、S2・・・、Snは所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた画素信号S1、S2・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調を表示することが可能になる。例えばノーマリホワイト表示であれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶表示素子から画素信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。
ここで、保持された画素信号がリークされるのを防ぐため、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。例えば、画素電極9aの電圧は、信号線に電圧が印加された時間よりも例えば3桁程度長い時間だけ蓄積容量70に保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い液晶表示素子が実現される。また、このような蓄積容量70を形成するために、導電性の遮光膜を利用して、低抵抗化された容量線3bが設けられている。
次に、液晶表示素子を図9の断面図によって説明する。
図9に示すように、液晶表示素子は、TFTアレイ基板10を備え、このTFTアレイ基板に対向する位置に透明な対向基板20を備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板を用い、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板が用いられる。
TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えばITO膜(インジウム・スズ・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜からなる。
他方、対向基板20には、全面にわたって対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。上記各配向膜16,22は、例えばポリイミド薄膜のような有機材料の薄膜からなる。
また、配向膜16と配向膜22との間には、紫外線硬化性を有する樹脂材料からなる柱状スペーサ(図示せず)が配置されている。上記柱状スペーサ(図示せず)の作製は、一例として以下のように行う。スピンナーを用いて、各画素電極9aが形成された基板の表面に紫外線硬化性を有する樹脂材料を塗布した後、フォトリソグラフィー技術を用いて島状にパターニングし、柱状スペーサ(図示せず)を形成する。この柱状スペーサは、感光性樹脂のほかに酸化シリコンのような無機膜を例えばCVD法により形成した後、もしくは非感光性樹脂をスピンコート法もしくは印刷法により形成した後、パターニングして形成することもできる。柱状スペーサの断面積は、例えば1μm2 〜100μm2 とする。
TFTアレイ基板10には、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
対向基板20には、各画素部の開口領域以外の領域に第2の遮光膜23が設けられている。このため、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やLDD(Lightly Doped Drain)領域1bおよび1cに侵入することはない。更に、第2の遮光膜23はコントラストの向上、色材の混色防止などの機能も有する。
このように構成され、画素電極9aと対向電極21が対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後に述べるシール材により囲まれた空間に液晶が封入されて、液晶層50が形成される。この液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16および配向膜22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば1種または数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。本発明に用いた液晶層50は前記図1〜図7によって説明した液晶を用いる。
シール材は、TFTアレイ基板10および対向基板20をそれらの周辺で貼りあわせるための、例えば光(例えば紫外線)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤からなる。両基板間の距離を所定値とするためには、前述した紫外線硬化性樹脂による柱状スペーサの他にグラスファイバーあるいは、ガラスビーズなどのスペーサを用いることもできる。
画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各画素スイッチング用TFT30との間には、第1遮光膜11aが各々設けられている。第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるチタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)および鉛(Pb)のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されないように、および溶融しないようにできる。第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生により画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
さらに、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。この第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能も有する。すなわち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能も有する。
第1層間絶縁膜12は、例えばNSG(ノンドープシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等の高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。第1層間絶縁膜12により、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。
また、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延長設置して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。
より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eが、信号線6aおよび走査線3aの下に延長配置されて、同じく信号線6aおよび走査線3aに沿って伸びる容量線3bの部分に絶縁膜2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。特に蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温酸化によりポリシリコン膜上に形成されるTFT30のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄くかつ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積で大容量の蓄積容量として構成できる。
さらに、蓄積容量70においては、第1遮光膜11aは、第2蓄積容量電極としての容量線3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置されることにより(図9の右側の蓄積容量70参照)、蓄積容量がさらに付与されるように構成されている。
また、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aを絶縁するゲート絶縁膜2、信号線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1bおよび低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1dならびに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。ソース領域1bおよび1dならびにドレイン領域1cおよび1eは、半導体層1aに対し、n型または、p型のチャネルを形成するかに応じて、所定濃度のn型用、又はp型用ドーパントをドープすることにより形成されている。n型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子である画素スイッチング用TFT30として用いられることが多い。信号線6aは、例えばAl等の金属膜や金属シリサイドなどの合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。
また、走査線3a、ゲート絶縁膜2および第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール5および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。
このソース領域1bへのコンタクトホール5を介して、信号線6aは高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。更に信号線6aおよび第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。尚、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとは、信号線6aと同一のアルミニウム膜や走査線3bと同一のポリシリコン膜を中継しての電気的接続するようにしてもよい。
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持っても良いし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソースおよびドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
次に、図10の(A)は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図10の(B)は、対向基板20を含めて示す図10の(A)のH−H’の断面図である。
図10に示すように、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられている。その内側には、シール材52に並行して、例えば周辺見切りとしての遮光膜53が第2の遮光膜23と同一層もしくは別層で形成されている。
シール材52の外側の領域には、信号線駆動回路101および実装端子102がTFTアレイ基板10の一つの辺に沿って設けられている。さらに、信号線駆動回路101および実装端子102が設けられている一辺に隣接する二つの辺に沿って、走査線駆動回路104が、設けられている。この走査線駆動回路104は、走査線に供給される走査信号遅延が問題にならないのならば片側だけに設けることもできる。
また、上記信号線駆動回路101は、画面表示領域の辺に沿って両側に配列することもできる。例えば、奇数列のデータ線は、画面表示領域の一方の辺に沿って配設された信号線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列の信号線は、前記画面表示領域の反対側の辺に沿って配設された信号線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。このように信号線を櫛歯状に駆動するようにすれば、信号線駆動回路の占有面積を拡張することができるため、複雑な回路を構成することが可能となる。
更にTFTアレイ基板10の残る一つの辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、周辺見切りとしての遮光膜53の下に隠れてプリチャージ回路(図示せず)を設けてもよい。
また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との電気的導通をとるための導通材106が設けられている。
そして、シール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20がシール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
以上の実施の形態における液晶表示素子のTFTアレイ基板10上には更に、製造途中や出荷時の液晶表示素子の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
また、信号線駆動回路101および走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。
また、対向基板20の投射光が出射する側には、各々、TN(ツイステッドネマティック)モードにおいて、ノーマリホワイト表示もしくは、ノーマリブラック表示の別に応じて偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
この実施の形態における液晶表示素子は、カラー液晶プロジェクタ(投射型表示装置)に適用される場合には、3枚の液晶装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各パネルには各々RGB分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。したがって、対向基板20にカラーフィルタは設けられていない。しかしながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20の上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶表示素子に各実施の形態における液晶表示素子を適用できる。
さらに、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶表示素子が実現可能となる。
更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用してRGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶表示素子が実現できる。
また、各画素に設けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型TFTやアモルファスシリコン等の他形式のTFTに対しても、上記の実施の形態は有効である。
次に、液晶表示素子の製造プロセスの一例を図11によって説明する。
図11に示すように、TFTアレイ基板側におけるプロセスと、対向基板側におけるプロセスと、両基板貼り合せ後のプロセスに分かれる。
TFTアレイ基板側のプロセスとしては、ステップS1で、石英などの基板上に画素電極、TFT6素子、走査線、データ線の配線が形成された基板に付着した汚れを除去するために洗浄を行う。次に、ステップS2で、配向膜の形成を行う。具体的には、スピンコート、印刷、インクジェットなどの方法で基板上にポリイミド材料を形成した後に焼成処理を行うことで配向膜を形成する。
次に、ステップS3で、形成された配向膜に対する配向処理を、例えば一定方向に擦るラビング方法により実施する。この際、上記ポリイミド系材料の選択およびこのラビング処理におけるラビング条件により、液晶を所定方向に配向させること、および液晶に所定のプレチルト角を付与することが可能となる。
次に、ステップS4で、シール領域に対して、ギャップ材を含むシール材を印刷して形成する。さらに、ステップS5で、上下導通材をシール材の例えば4隅に塗布して形成する。
対向基板側のプロセスとしては、ステップS6で、ガラス基板上に対向電極や配線などが形成された対向基板に付着した汚れを除去するために洗浄を行う。次に、ステップS7で、配向膜の形成を行う。具体的には、スピンコート、印刷、インクジェットなどの方法で基板上にポリイミド材料を形成した後に焼成処理を行うことで配向膜を形成する。
次に、ステップS8で、形成された配向膜に対する配向処理を、例えば一定方向に擦るラビング方法により実施する。この際、上述のポリイミド系材料の選択およびこのラビング処理におけるラビング条件により、液晶を所定方向に配向させること、および液晶に所定のプレチルト角を付与することが可能となる。
次に、ステップS9で、上記ステップS1からS5を経たTFTアレイ基板1とステップS6からS8を経た対向基板とをシール材により貼り合せる。その後、ステップS10で、アライメントを行った後、ステップS11で、基板間ギャップを所望の液晶セルギャップになるまで加圧する。シール材に含むギャップ材により所望の基板間ギャップが得られる。
次に、ステップS13で、シール材に対して、紫外線照射または加熱、もしくは両方により、シール材を硬化させる。次に本発明の液晶材料を用いた液晶注入工程を行う。
まず、ステップS14で、封止材により液晶注入口を封止し、ステップS15で、再び洗浄を行う。更に、ステップS16で、所定の表示むらや特性の検査を行った後、ステップS17で、外部配線の接続や偏光板の貼り付けなどの実装処理を行い、液晶表示素子を完成させる。図2〜図7で説明した評価結果は、このようにして作製した液晶表示素子を用いて画質評価を行ったものである。
また、その他の物性値とストライプドメイン発生の関係についても調べたところ、K33とK22の比(K33/K22)やK22とK11の比(K22/K11)とストライプドメイン発生との関係にも傾向があることがわかった。ストライプドメインを良好にするには、K33/K22に関しては、値は小さい方がよいし、K22/K11に関しては、値が大きい方がよい。
上記説明した本発明の液晶表示装置は、セルのギャップが2.0μm以上3.0μm以下のものを用いた。上記図2〜図7に示したデータを測定した液晶表示装置のセルのギャップは3.0μmであった。セルのギャップを2.0μm以上とした理由は、Δn=0.20の場合の最適なセルのギャップは2.4μmである。これは、gooch−tarryの式により求めることができる。セルのギャップを狭くすることで、透過率は低下するが、縦電界が強く影響し、ストライプドメインがよりよくなる方向になるため、高コントラストのLCDを得ることができる。一方、セルのギャップが2.0μmよりも狭くなると塵埃の影響による歩留りが低下し、生産性が悪化する。そこで、セルのギャップは2.0μm異常とした。他方、Δn=0.16の場合、gooch−tarryの式により、最大透過率が得られるセルのギャップは3.0μmとなる。そこで、セルのギャップの最大値を3.0μmとした。よって、セルのギャップdは、2.0μm≦d≦3.0μmに設定した。
例えば、ギャップが2.4μmである液晶表示素子の空セルにΔn=0.18の液晶材料を封入して特性の評価を行った。ストライプドメイン発生電圧は、Δn=0.16の液晶材料を用いセルギャップd=3.0μmの構成よりも、Δn=0.18の液晶材料を用いセルギャップd=2.4μmの構成の方が、大きくなった。セルギャップを小さくするとストライプドメインの発生電圧は、高くなる。すなわち、Δn=0.18の液晶材料を用いセルギャップd=2.4μmとするように設計することにより、ストライプドメインに対して強くなるため、明るさは保ったまま、より高精細な表示を得ることが可能となる。
また、本発明の液晶表示素子における画素のピクセルサイズは18μm以下とした。これは、高精細な液晶表示素子のピクセルサイズに適用することができるためであり、ピクセルサイズの下限は、現状では14μmであるが、今後の技術進展にともない、更なる微細化されたピクセルサイズ、例えばピクセルサイズが5μmの液晶表示素子にも適用することができる。
上記の液晶表示素子を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置の構成について、図12の概略構成図によって説明する。
図12に示すように、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)300は、光軸Cにそって光源301と透過型の液晶表示素子302と投影光学系303とが順に配設されて構成されている。
光源301を構成するランプ304から射出された光はリフレクタ305によって後方に放射される成分が前方に集光され、コンデンサレンズ306に入射される。コンデンサレンズ306は、光をさらに集中して、入射側偏光板307を介し液晶表示素子302へ導く。導かれた光は、シャッタもしくはライトバルブの機能を有する液晶表示素子302および射出がエア偏光板308により画像に変換される。表示された画像は、投影光学系303を介してスクリーン310上に拡大投影される。
なお、光源301とコンデンサレンズ306との間にはフィルタ314が挿入されており、光源に含まれる不用な波長の光、例えば赤外光および紫外光を除去する。
次に、上記の液晶表示素子を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置の構成について、図13により説明する。図13に示す投射型表示装置500は、上述した液晶表示素子を3個用意し、各々RGB用の液晶表示素子562R、562Gおよび562Bとして用いた投射型液晶装置の光学系の概略構成図を示す。
投射型表示装置500は、光学系として、光源装置520と、均一照明光学系523が用いられている。この均一照明光学系523から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段である色分離光学系524と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段である3つのライトバルブ525R、525G、525Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段である色合成プリズム510と、合成された光束を投射面600の表面に拡大投射する投射手段である投射レンズユニット506とを備えている。さらに、青色光束Bを対応するライトバルブ525Bに導く導光系527を備えている。
均一照明光学系523は、2つのレンズ板521、522と反射ミラー531を備えており、反射ミラー531を挟んで2つのレンズ板521、522が直交する状態に配置されている。均一照明光学系523の2つのレンズ板521、522は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。
光源装置520から出射された光束は、第1のレンズ板521の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板522の矩形レンズによって3つのライトバルブ525R、525G、525B付近で重なる。
したがって、均一照明光学系523を用いることにより、光源装置520が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ525R、525G、525Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
各色分離光学系524は、青緑反射ダイクロイックミラー541と、緑反射ダイクロイックミラー542と、反射ミラー543から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー541では、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー542の側に向かう。赤色光束Rは、この青緑反射ダイクロイックミラー541を通過して、後方の反射ミラー543で直角に反射されて、赤色光束Rの射出部544からプリズムユニット510の側に射出される。
次に、緑反射ダイクロイックミラー542では、青緑反射ダイクロイックミラー541で反射された青色光束Bおよび緑色光束Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの射出部545から色合成光学系の側に射出される。緑反射ダイクロイックミラー542を通過した青色光束Bは、青色光束Bの射出部546から導光系527の側に射出される。ここでは、均一照明光学系523の光束Wの射出部から、色分離光学系524における各色光束の射出部544、545、546までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
色分離光学系524の赤色光束Rの出射部544および緑色光束Gの出射部545の各射出側には、それぞれ集光レンズ551および集光レンズ552が配置されている。したがって、各射出部から射出した赤色光束R、緑色光束Gは、これらの集光レンズ551、集光レンズ552に入射して平行化される。このように平行化された赤色光束Rおよび緑色光束Gは、それぞれライトバルブ525Rおよびライトバルブ525Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。
すなわち、これらの液晶表示素子は、図示していない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系527を介して対応するライトバルブ525Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。
なお、本例のライトバルブ525R、525G、525Bは、それぞれさらに入射側偏光手段561R、561G、561Bと、これらの間に配置された液晶表示素子562R、562G、562Bとからなる液晶ライトバルブである。
導光系527は、青色光束Bと射出部546の射出側に配置した集光レンズ554と、入射側反射ミラー571と、射出側反射ミラー572と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ573と、ライトバルブ525Bの手前側に配置した集光レンズ553とから構成されている。
集光レンズ546から射出された青色光束は、導光系527を介して液晶表示素子562Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの射出部から各液晶表示素子562R、562G、562Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系527を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
各ライトバルブ525R、525G、525Bを通って変調された各色光束R、G、Gは、色合成プリズム510に入射され、ここで合成される。そして色合成プリズム510におよって合成された光が投射レンズユニット506を介して所定の位置にある投射面600の表面に拡大投射されるようになっている。
本発明の液晶表示素子を示す概略構成断面図である。 屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合の誘電率異方性Δεとストライプドメイン発生電圧との関係図である。 屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合のツイスト弾性率K22とストライプドメイン発生電圧との関係図である。 屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合の誘電率異方性Δεとツイスト弾性率K22との関係図である。 屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合の誘電率異方性Δεとストライプドメイン発生電圧との関係図である。 屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合のツイスト弾性率K22とストライプドメイン発生電圧との関係図である。 屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合の誘電率異方性Δεとツイスト弾性率K22との関係図である。 本発明の一実施形態に係る液晶表示素子における画像形成領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路図である。 本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の概略構成断面図である。 液晶表示素子の実施の形態におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図およびH−H線断面図である。 本発明の液晶表示素子の製造プロセスを説明する製造工程図である。 液晶表示素子を用いた電子機器の一例である投射型表示装置を示す概略構成図である。 液晶表示素子を用いた電子機器の一例である投射型表示装置を示す概略構成図である。 従来の液晶セルにおいて発生したリバースチルトドメインを説明するための図である。 従来の液晶セルにおける光透過強度と駆動電圧との間にヒシステリシスが生じた場合の課題を説明するための図である。
符号の説明
10・・・TFTアレイ基板、20・・・対向基板、50・・・液晶層

Claims (8)

  1. 対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、
    前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、
    屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たす
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、
    前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、
    屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3
    .0pNを満たす
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  3. 前記液晶表示素子の前記基板間の距離を表すセルギャップdの範囲は2.0μm≦d≦3.0μmである
    ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  4. 前記液晶表示素子の前記基板間の距離を表すセルギャップdの範囲は2.0μm≦d≦3.0μmである
    ことを特徴とする請求項2記載の液晶表示素子。
  5. 前記液晶表示素子の画素のピクセルサイズの範囲は18μm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  6. 前記液晶表示素子の画素のピクセルサイズの範囲は18μm以下である
    ことを特徴とする請求項2記載の液晶表示素子。
  7. 光源と、
    前記光源から出射された光を液晶表示素子に導く集光光学系と、
    前記液晶表示素子で光変調した光を拡大して投射する投射光学系と
    を有する投射型表示装置であって、
    前記液晶表示素子は、
    対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、
    前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、
    屈折率異方性Δnが0.16≦Δn<0.18の場合、誘電率異方性Δεが0<Δε<8であり、かつツイスト弾性率K22がK22>6.0pNを満たす
    ことを特徴とする投射型表示装置。
  8. 光源と、
    前記光源から出射された光を液晶表示素子に導く集光光学系と、
    前記液晶表示素子で光変調した光を拡大して投射する投射光学系と
    を有する投射型表示装置であって、
    前記液晶表示素子は、
    対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された液晶表示素子であって、
    前記液晶層に用いるツイステッドネマティック型液晶材料は、
    屈折率異方性Δnが0.18≦Δn≦0.20の場合、誘電
    率異方性Δεが0<Δε<13であり、かつツイスト弾性率K22がK22>3.0pNを満たす
    ことを特徴とする投射型表示装置。
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