JP2005120969A - 筒内噴射式エンジンの制御装置 - Google Patents

筒内噴射式エンジンの制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005120969A
JP2005120969A JP2003359140A JP2003359140A JP2005120969A JP 2005120969 A JP2005120969 A JP 2005120969A JP 2003359140 A JP2003359140 A JP 2003359140A JP 2003359140 A JP2003359140 A JP 2003359140A JP 2005120969 A JP2005120969 A JP 2005120969A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel injection
amount
engine
torque
injection mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003359140A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuhiro Nomura
光宏 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2003359140A priority Critical patent/JP2005120969A/ja
Publication of JP2005120969A publication Critical patent/JP2005120969A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

【課題】冷えた状態からの始動時にEGRガスを燃焼時の燃焼室内に存在させた状態にあって、燃料噴射形態が切り換えられるとき、その切り換えに伴いトルク段差が生じるのを抑制する。
【解決手段】冷えた状態からのエンジン始動時であって、黒煙抑制のための内部EGR量の増量が行われるとき、それに伴うトルク低下を抑制するためのトルク補正制御が実行される。このトルク補正制御では、スロットルバルブ11の開き側への開度補正が行われるが、その際のスロットル補正量が燃料噴射モード(燃料噴射形態)に対応した燃料噴射モード毎に異なる値に設定される。その結果、トルク補正制御中に燃料噴射モードの切り換えが行われると、スロットル補正量が上記切り換え前の燃料噴射モードに対応した値から上記切り換え後の燃料噴射モードに対応した値に変更される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筒内噴射式エンジンの制御装置に関するものである。
筒内噴射式エンジンにおいては、エンジン運転状態に応じて燃料噴射形態を圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換え、そのときのエンジン運転状態にとって最適な燃料噴射形態を選択するようにしている(特許文献1参照)。
こうした燃料噴射形態の切り換えは、例えば冷えた状態からのエンジン始動時(冷間始動時)にも行われる。冷えた状態からのエンジン始動時には、燃焼室の温度が低く噴射燃料の気化が進みにくいことから、噴射燃料を気化させるための期間(燃料噴射から点火までの期間)を圧縮行程噴射よりも長くとることの可能な吸気行程噴射を行うことが考えられる。しかし、冷えた状態からのエンジン始動時には、エンジンの排気系に設けられた排気浄化用の触媒を速やかに活性化温度まで昇温させることがエミッションを改善する上で好ましいことから、エンジン始動時の所定期間は触媒昇温を目的とした圧縮行程噴射が行われる。即ち、圧縮行程噴射を行うとともに点火時期を遅角させることで燃焼期間を遅らせ、これにより排気温度を上昇させて触媒の昇温が図られる。従って、冷えた状態からのエンジン始動時においては、触媒床温のための圧縮行程噴射が開始されるときに吸気行程噴射から圧縮行程噴射への燃料噴射形態の切り換えが行われ、当該圧縮行程噴射が終了するときに圧縮行程噴射から吸気行程噴射への燃料噴射形態の切り換えが行われることとなる。
ところで、冷えた状態からのエンジン始動時、燃焼室内の温度が低いことに起因して噴射燃料が気化しきらず、液状の燃料が燃焼室内に存在した状態で燃焼が行われると、同燃料が燃焼時の熱により焦げ付き、エンジンの排気に黒煙が含まれるようになる。こうした黒煙の発生を抑制するため、特許文献2に示されるように、燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させ、これにより燃焼時の燃焼温度を低下させて液状燃料の焦げ付きを抑制するとともに、EGRガスの熱により燃焼室の温度を上昇させて液状燃料の気化を促進することが提案されている。
特開2001−82216公報 特開2002−327651公報
しかし、燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させた状態にあっては、そのEGRガスの分だけ燃焼室内に存在する酸素の割合が少なくなり、燃焼室内の酸素密度が低くなることから燃焼が不安定になってトルク低下が生じる。このため、燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させるときには、それに併せてトルク低下を抑制するためのトルク補正制御を実行することが考えられる。
ただし、圧縮行程噴射時と吸気行程噴射時とでは上記EGRガスによる燃焼への影響度合いが異なるため、そのEGRガスによるトルク低下も圧縮行程噴射時と吸気行程噴射時とでは異なるものとなる。即ち、圧縮行程噴射では、噴射燃料を点火プラグ周りに集めて点火時の点火プラグ周りに存在する混合気のEGRガス濃度を低く抑えることが可能であり、EGRガスによるトルク低下が生じにくい。これに対し、吸気行程噴射では、燃料噴射から点火までの期間が長く、その期間中に噴射燃料が燃焼室内の空気やEGRガスと混合されることから、点火時の点火プラグ周りに燃焼し易い混合気が存在するとは限らず、EGRガス濃度の高い混合気が存在する場合には燃焼が不安定になる。このため、吸気行程噴射では、圧縮行程噴射に比べてトルク低下が生じ易い傾向がある。
従って、冷えた状態からのエンジン始動時、燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在した状態にあっては、燃料噴射形態が圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換えられるとき、上記EGRガスによる燃焼への影響度合いが変化することとなる。このため、上記トルク補正制御が行われていたとしても、燃料噴射形態の切り換えに伴う上記EGRガスによる燃焼への影響度合いの変化に応じて適切にトルク低下の抑制が行われないと、燃料噴射形態の切り換え前後でトルク段差が生じる。即ち、燃料噴射形態切り換え後の上記トルク補正制御によるトルク低下抑制効果が、燃料噴射形態切り換え前の上記トルク補正制御によるトルク低下抑制効果とは異なるものとなり、その結果としてエンジンのトルクが燃料噴射形態の切り換え前後で変化し、上述したトルク段差となって現れるのである。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷えた状態からの始動時にEGRガスを燃焼時の燃焼室内に存在させた状態にあって、燃料噴射形態が切り換えられるとき、その切り換えに伴いトルク段差が生じるのを抑制することのできる筒内噴射式エンジンの制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、燃料噴射形態を圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換え可能であり、冷えた状態からのエンジン始動時には燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させるとともに、そのEGRガスによるトルク低下を抑制するトルク補正制御を実行する筒内噴射式エンジンの制御装置において、前記トルク補正制御を行う際のトルク補正量を、そのときの燃料噴射形態に対応した同燃料噴射形態毎に異なる値に設定する制御手段を備えた。
上記構成によれば、燃料噴射形態毎に同形態に対応したトルク補正量でもってEGRガス導入時のトルク補正制御が行われるため、トルク補正制御中の燃料噴射形態の切り換えに伴いEGRガス導入による燃焼悪化度合いが変化したとしても、燃料噴射形態の切り換え前後での各々の燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われる。従って、燃焼形態の切り換え前後で出力トルクに変化が生じることは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明では、燃料噴射形態を圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換え可能であり、冷えた状態からのエンジン始動時には燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させるとともに、そのEGRガスによるトルク低下を抑制するトルク補正制御を実行する筒内噴射式エンジンの制御装置において、前記トルク補正制御の実行中に燃料噴射形態の切り換えが行われるとき、前記トルク補正制御のトルク補正量を前記切り換え前の燃料噴射形態に対応する値から前記切り換え後の燃料噴射形態に対応する値に変更する制御手段を備えた。
上記構成によれば、EGRガス導入時のトルク補正制御中に燃料噴射形態が切り換えられたとき、トルク補正制御のトルク補正量が上記切り換え前の燃料噴射形態に対応する値から切り換え後の燃料噴射形態に対応する値に変更される。このため、上記燃料噴射形態の切り換えに伴いEGRガス導入による燃焼悪化度合いが変化すると、燃料噴射形態の切り換え後の燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われる。従って、燃焼形態の切り換え後の出力トルクが切り換え前の出力トルクから変化することは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、冷えた状態からのエンジンの始動時において、始動開始から始動完了までは吸気行程噴射が行われ、始動完了後の所定期間は圧縮行程噴射が行われ、当該所定期間の経過後は吸気行程噴射が行われるものであって、前記制御手段は、前記トルク補正制御の実行中に圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられるとき、前記トルク補正制御のトルク制御量を圧縮行程噴射から吸気行程噴射に対応した値に変更するものとした。
冷えた状態からのエンジン始動時において、始動完了時には吸気行程噴射から圧縮行程噴射への切り換えが行われ、始動完了後に所定時間が経過したときには圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切り換えが行われる。始動完了時に吸気行程噴射から圧縮行程噴射に切り換えられるときには、エンジン始動開始後のエンジン回転速度の急上昇が生じた状態にあることから、上記のような燃料噴射形態の切り換えに伴いトルク段差が生じたとしても、それが問題になることはない。これに対し、始動完了後に所定時間が経過して圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられるときには、その切り換えに伴うトルク段差が問題になる。上記構成によれば、圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられた後には、トルク補正制御のトルク制御量が吸気行程噴射に対応した値に変更され、当該吸気行程噴射時の燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われる。従って、上記吸気行程噴射時の出力トルクが上記圧縮行程噴射時の出力トルクから変化することは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
請求項4記載の発明では、請求項2記載の発明において、冷えた状態からのエンジンの始動時において、始動開始から始動完了までは吸気行程噴射が行われ、始動完了後の所定期間は圧縮行程噴射が行われ、当該所定期間の経過後は圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射を経て吸気行程噴射に移行するものであって、前記制御手段は、前記トルク補正制御の実行中に圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられる過程で、圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射が行われるときには前記トルク補正制御のトルク制御量を当該燃料噴射形態に対応した値に変更し、吸気行程噴射が行われるときには前記トルク補正制御のトルク制御量を吸気行程噴射に対応した値に変更するものとした。
冷えた状態からのエンジン始動時において、始動完了時には吸気行程噴射から圧縮行程噴射への切り換えが行われる。そして、始動完了後に所定時間が経過したときには、圧縮行程噴射から圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射に切り換えられ、更に圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射から吸気行程噴射に切り換えられる。始動完了時に吸気行程噴射から圧縮行程噴射に切り換えられるときには、エンジン始動開始後のエンジン回転速度の急上昇が生じた状態にあることから、上記のような燃料噴射形態の切り換えに伴いトルク段差が生じたとしても、それが問題になることはない。これに対し、始動完了後に所定時間が経過して圧縮行程噴射から圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射に切り換えられるとき、及び圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射から吸気行程噴射に切り換えられるときには、それら切り換えに伴うトルク段差が問題になる。上記構成によれば、圧縮行程噴射から圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射に切り換えられると、トルク補正制御のトルク制御量が圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射に対応した値に変更され、当該燃料噴射形態の実行時の燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われる。従って、上記圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射時の出力トルクが上記圧縮行程噴射時の出力トルクから変化することは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。また、圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射から吸気行程噴射に切り換えられるとき、トルク補正制御のトルク制御量が吸気行程噴射に対応した値に変更され、当該吸気行程噴射時の燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われる。従って、上記吸気行程噴射時の出力トルクが上記圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射時の出力トルクから変化することは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、前記トルク補正制御としてスロットルバルブを開き側に開度補正するものであって、同スロットルバルブの開き側への開度の補正量を、そのときの燃料噴射形態に対応した同燃料噴射形態毎に異なる値に設定するものとした。
トルク補正制御としてスロットルバルブが開き側に開度補正されると、吸入空気量が多くされるとともに、その吸入空気量の増量に対応して燃料噴射量が多くなる。その結果、燃焼室に充填される混合気の量が多くなり、燃焼時の燃焼室内に存在するEGRガスによるトルク低下が抑制される。上記構成によれば、燃料噴射形態毎に同形態に対応した補正量でもって上記スロットルバルブの開き側への開度補正が行われる。このため、トルク補正制御中に燃料噴射形態の切り換えに伴いEGRガス導入による燃焼悪化度合いが変化したとしても、燃料噴射形態の切り換え前後で各々燃焼悪化度合いに対応したトルク低下の抑制が行われているため、当該切り換え前後で出力トルクに変化が生じることは抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記制御手段は、前記スロットルバルブの開き側への補正量を燃料噴射形態に応じて設定する際、空燃比が所定の目標値となるよう燃料噴射量を燃料噴射形態に対応して設定される補正量を用いて補正するものとした。
トルク補正制御でのスロットルバルブの開き側への補正量が燃料噴射形態の切り換え前後で変化するとき、スロットルバルブの開度変化に伴い吸入空気量が変化するとともに、その吸入空気量の変化に対応して燃料噴射量も変化する。その結果、空燃比の目標値での維持を図りつつ、燃焼室に充填される混合気の量が燃料噴射形態の切り換え前後で変化し、トルク段差の発生が抑制されるようになる。上記のように燃焼室に充填される混合気の量が変化するとき、燃料噴射量が吸入空気量に対応して変化するとはいえ、空燃比を目標値に維持することは困難であり、目標値に対して空燃比がばらつくおそれがある。しかし、上記構成によれば、こうした空燃比の目標値に対するばらつきが補償されるよう、燃料噴射形態の切り換え前後で燃料噴射形態に応じた補正量での燃料噴射量補正を行うことが可能となる。従って、上記燃料噴射形態の切り換え前後でスロットルバルブの開き側への補正量が変化するとき、空燃比が目標値に対してばらつくのを抑制することができるようになる。
以下、本発明を自動車用の筒内噴射火花点火式エンジンに適用した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、吸気通路2から燃焼室3へと空気が吸入され、燃料噴射弁4から燃焼室3内に噴射供給される燃料と上記空気とからなる混合気に対して点火プラグ5による点火が行われる。この点火プラグ5の点火時期はイグナイタ5aによって調整される。そして、この点火により燃焼室3内の混合気が燃焼すると、そのときの燃焼エネルギによりピストン6が往復移動してクランクシャフト9が回転する。また、燃焼後の混合気は排気として排気通路7に送り出されるようになる。
吸気通路2において、その上流部分には燃焼室3に吸入される空気の量(吸入空気量)を調節すべく開閉動作するスロットルバルブ11が設けられている。このスロットルバルブ11の開度(スロットル開度)は、自動車の運転者によって操作されるアクセルペダル13の踏込量(アクセル踏込量)に応じて調整される。
一方、燃焼室3からの排気が送り込まれる排気通路7には、その排気の浄化を行う触媒16が設けられるとともに、同排気の一部(EGRガス)を吸気通路2に流すためのEGR通路18が接続されている。EGR通路18を通じて排気通路7から吸気通路2に再循環される排気の量は、EGR通路18に設けられたEGRバルブ19の開度を制御することによって調節される。こうした排気の再循環は、例えば燃料の燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx )の生成を抑制し、エンジン1のNOx エミッションの低減を図るといった目的のもとに実行される。
エンジン1において、吸気通路2と燃焼室3との間は吸気バルブ20の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路7と燃焼室3との間は排気バルブ21の開閉動作によって連通・遮断される。そして、吸気バルブ20及び排気バルブ21は、クランクシャフト9の回転が伝達される吸気カムシャフト22及び排気カムシャフト23の回転に伴い開閉動作するようになる。吸気カムシャフト22には、クランクシャフト9の回転に対する吸気カムシャフト22の相対回転位相を変更することで、吸気バルブ20のバルブタイミング(開閉タイミング)を変更するバルブタイミング可変機構25が設けられている。
また、エンジン1においては、その燃料噴射形態が吸気行程噴射モード、圧縮行程噴射モード、及び冷間時吸気行程噴射モードなど、エンジン運転状態に応じて変化する燃料噴射モードに応じて切り換えられる。以下、エンジン1の燃料噴射形態について上記各燃料噴射モード毎に説明する。
[吸気行程噴射モード]
吸気行程噴射モードでは、吸気行程での燃料噴射が行われる。こうした吸気行程噴射では、燃料噴射から点火までの期間が長くなることから、その期間中に燃焼室3内でのガスの混合が進み易くなる。
[圧縮行程噴射モード]
圧縮行程噴射モードでは、圧縮行程での燃料噴射が行われる。こうした圧縮行程噴射では、点火プラグ5周りに可燃混合気を集中させ、その状態で点火プラグ5による点火が行われる。なお、圧縮行程噴射モードでは、点火プラグ5周りに可燃混合気を集中させられることから、点火時の点火プラグ5周りの混合気がリーンになりにくくなるため、アクセルペダルの所定量の踏み込みに対するスロットル開度が吸気行程噴射モード時に比べて開きぎみの値とされる。その結果、スロットルバルブ11による吸気抵抗が低減され、燃費改善が図られるようになる。
[冷間時吸気行程噴射モード]
冷間時吸気行程噴射モードは、例えば冷えた状態からのエンジン始動時に行われる燃料噴射モードであり、吸気行程と圧縮行程との両方で燃料噴射が行われる。こうした燃料噴射により、燃焼室3内の混合気の状態が吸気行程噴射時と圧縮行程噴射時との中間の状態とされる。このため、上記エンジン始動時に吸気行程噴射と圧縮行程噴射との間で切り換えが行われるとき等に、その切り換え過程で冷間時吸気行程噴射モードとすることで、上記切り換えを円滑に行うことが可能になる。なお、冷間時吸気行程噴射モードでは、混合気の状態が吸気行程噴射時と圧縮行程噴射時との中間の状態となることから、アクセルペダルの所定量の踏み込みに対するスロットル開度も、吸気行程噴射モード時の開度と圧縮行程噴射モード時の開度との間の開度とされるようになる。
次に、本実施形態におけるエンジン1の制御装置の電気的構成について説明する。
この制御装置は、エンジン1を運転制御すべく自動車に搭載された電子制御装置35を備えている。この電子制御装置35は、イグナイタ5a、燃料噴射弁4、スロットルバルブ11、EGRバルブ19、及びバルブタイミング可変機構25を駆動し、点火時期制御、燃料噴射量制御、燃料噴射形態の切換制御、スロットル開度制御、EGR量制御、及び吸気バルブ20のバルブタイミング制御を実行する。また、電子制御装置35には、以下に示す各種センサからの検出信号が入力される。
・クランクシャフト9の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ10。
・吸気通路2内におけるスロットルバルブ11の下流側の圧力(吸気圧)を検出するバキュームセンサ12。
・アクセルペダル13の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ14。
・スロットルバルブ11の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ15。
・吸気カムシャフト22の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ24。
・エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ36。
電子制御装置35は、運転者によって要求されるエンジン1の出力トルクが得られるよう、スロットル開度制御及び燃料噴射量制御を通じて、エンジン1の出力トルクを調節する。
即ち、上記出力トルクの要求値はアクセル踏込量によって表されることから、アクセル踏込量等に基づきスロットルバルブ11の開度が制御され、エンジン1の吸入空気量が上記要求値に対応した値に調節される。また、燃料噴射量については、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づき算出される指令値に等しい量となるよう、燃料噴射弁4の駆動制御を通じて調節される。なお、燃料噴射量の指令値を算出するのに用いられるエンジン負荷は、アクセル踏込量、スロットル開度、及び吸気圧といった吸入空気量に関係するパラメータ、並びにエンジン回転速度に基づき求められる。従って、エンジン1の燃料噴射量は、エンジン1の吸入空気量の変化に対応して変化するようになる。
以上のように、運転者によるアクセルペダル13の踏み込み操作に基づき、上述したスロットル開度制御、及び燃料噴射量制御が行われることにより、燃焼室3に充填される混合気の量が変化し、エンジン1の出力トルクが調節されるようになる。
次に、冷えた状態からのエンジン始動時に、排気中の黒煙発生を抑制する手順について、始動時黒煙抑制ルーチンを示す図2のフローチャートを参照して説明する。この黒煙抑制ルーチンは、電子制御装置35を通じて例えば所定クランク角毎の角度割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンでの黒煙発生の抑制は、吸気バルブ20のバルブタイミングを進角させてバルブオーバラップ量を大とし、混合気の燃焼時に燃焼室3に残留する排気(EGRガス)の量、いわゆる内部EGR量を多くすることによって実現される。内部EGR量を多くすることによって上記黒煙の発生を抑制できるのは、燃焼時に燃焼室3内に存在するEGRガスにより燃焼温度が低下して液状燃料の焦げ付きが抑制されるとともに、EGRガスの熱により燃焼室3の温度が上昇して液状燃料の気化が促進されるためである。
同ルーチンのステップS101では、黒煙抑制のための吸気バルブ20のバルブタイミング進角が既に実行されているか否かを判断するための実行フラグFが「0(停止)」であるか否かが判断される。この実行フラグFは、エンジン1の始動開始後、吸気バルブ20のバルブタイミング進角が開始されたときに「1(実行)」とされ、その後に上記黒煙の発生が問題にならないレベルまで燃焼室3の温度が上昇したときに「0(停止)」とされるものである。
エンジン1の始動開始時点では、上記バルブタイミングの進角が実行されていないため、ステップS101で肯定判定がなされる。そして、冷えた状態からのエンジン始動開始時である旨判断される場合には(S102:YES)、実行フラグFが「1(実行)」にされ(S103)、吸気バルブ20のバルブタイミングを進角させるためのステップS104〜S107,S109の処理が実行される。この一連の処理では、吸気バルブ20のバルブタイミング制御に用いられる目標進角量θtの設定と、その目標進角量θtに基づく吸気バルブ20のバルブタイミング制御が行われる。なお、ここでいうバルブタイミングの進角量とは、同バルブタイミングが最遅角状態となったときを基準として、同バルブタイミングがどの程度進角した状態にあるかを示す値である。
上記ステップS104では、目標進角量θtの設定に用いられる推定温度Tが算出される。この推定温度Tは燃焼室3の実際の温度を推定した値である。実際の燃焼室3の温度は、エンジン1の一回の燃焼サイクル毎に、同燃焼サイクルで消費される燃料量(燃料噴射量Qfin )に対応した分だけ上昇するようになる。従って、ステップS104の処理では、今回の燃焼サイクルにおける燃焼室3の温度上昇分を燃料噴射量Qfin に変換係数Kを乗算することによって算出し、この「Qfin ・K」という値を前回のS104の処理で算出された推定温度Tに加算することにより、今回の推定温度Tが算出されることとなる。上記燃料噴射量Qfin としては、例えばエンジン1の燃料噴射量制御を行うに際して用いられる燃料噴射量の指令値が採用される。また、上記燃料噴射量Qfin に乗算される変換係数Kは、エンジン1の一回の燃焼サイクルで消費(燃焼)される燃料量(燃料噴射量Qfin )を、その燃焼による燃焼室3の温度上昇量という単位に変換するためのものである。なお、エンジン1の始動開始後に最初にステップS104の処理が実行されるときには、推定温度Tの算出に用いられる前回の推定温度Tとして、エンジン1の冷却水温から算出される初期温度が採用される。この初期温度は、エンジン1の冷却水温が高くなるほど、高い値となるように算出されるものである。
このように燃焼室3の推定温度Tが算出された後、エンジン始動開始後に吸気バルブ20のバルブタイミングが最進角状態に達した履歴があるか否かが判断される(S105)。ここで否定判定であれば目標進角量θtが最大値に設定され(S106)、肯定判定であれば目標進角量θtが推定温度Tに基づき当該温度Tが高いほど小さい値として算出される(S107)。そして、続くステップS109の処理で吸気バルブ20のバルブタイミングの実進角量θrが上記目標進角量θtとなるよう、バルブタイミング可変機構25が駆動制御される。ここで、冷えた状態からのエンジン始動開始からしばらくの間、目標進角量θtがどのように推移するかを図3(b)に示す。同図からわかるように、目標進角量θtは、エンジン始動開始時点(タイミングT1)から最大値に向けて大きくなり、最大値に達した後(タイミングT2以後)には同最大値に維持される。このように目標進角量θtが最大値に維持されるのは、冷えた状態からのエンジン始動時のように推定温度Tが低い状態にあるときには、推定温度Tが多少上昇したとしても目標進角量θtが小さくなることはないためである。
以上のように、最大値とされる目標進角量θtに基づき吸気バルブ20のバルブタイミング制御を行うことにより、同バルブタイミングが最進角状態とされてバルブオーバラップ量が最大とされる。その結果、内部EGR量が最大となり、冷えた状態からのエンジン始動時における黒煙発生が抑制されるようになる。
冷えた状態からのエンジン始動開始後、時間経過に伴い推定温度Tが上昇してゆき、同温度Tが黒煙の生じない値である所定値aよりも高くなると(S110:YES)、実行フラグFが「0(停止)」とされる(S111)。こうして実行フラグFが「0」にされると、ステップS101で肯定判定がなされるとともにステップS102で否定判定がなされ、エンジン負荷及びエンジン回転速度といったエンジン運転状態に基づく目標進角量θtの算出が行われる(S108)。この目標進角量θtに基づくバルブタイミング可変機構25の駆動制御により(S109)、吸気バルブ20についての通常のバルブタイミング制御が実行されることとなる。
ところで、燃焼時の燃焼室3内にEGRガスを存在させるということは、EGRガスの分だけ燃焼室3内に存在する酸素の割合が少なくなって燃焼室3内の酸素密度が低くなるということであり、その酸素密度の低下により燃焼が不安定になってエンジン1の出力トルクの低下が生じる。このため、冷えた状態からのエンジン始動時、バルブオーバラップ量の拡大によるEGRガスの導入(内部EGR量の増量)を行う場合には、それに併せてエンジン1のトルク低下を抑制するためのトルク補正制御が実行される。
こうしたトルク補正制御として、例えばスロットルバルブ11の開き側への開度補正が行われる。スロットルバルブ11が所定の補正量で開き側に開度補正されると、吸入空気量が多くされるとともに、その吸入空気量の増量に対応して燃料噴射量が多くなる。その結果、燃焼室3に充填される混合気の量が多くなり、燃焼時の燃焼室3内にEGRガスが存在することによるトルク低下が抑制されるようになる。ただし、上記内部EGR量の増量中であって燃料噴射モードが切り換えられるとき、スロットルバルブ11の開き側への開度補正の補正量が適切に設定されないと、その切り換えの前後でエンジン1の出力トルクに関する不具合が生じる。
以下、トルク補正制御での上記不具合について図3を参照して詳しく説明する。なお、図3において(a)〜(f)は、冷えた状態からのエンジン始動時、燃料噴射モード、実進角量θr、スロットル開度、燃料噴射量、エンジン1の出力トルク、及びエンジン回転速度が、どのように変化するかを示すタイムチャートである。
冷えた状態からのエンジン始動開始後(タイミングT2以後)には、上述したとおり実進角量θrが最大値とされて内部EGR量の増量が図られ、これにより黒煙の発生が抑制される。
また、冷えた状態からのエンジン始動時の燃料噴射モードについては、始動開始から始動完了までの間(T1〜T3)は圧縮行程噴射モードとなり、始動完了後の所定期間(T3〜T4)は圧縮行程噴射モードとなる。更に、上記所定期間が経過した後には、冷間時吸気肯定噴射モードとなってから(T4〜T5)、吸気行程噴射モードに戻されることとなる(T5以後)。
上記エンジン1の始動開始から始動完了までを吸気行程噴射モードとするのは、このとき燃焼室3の温度が低く噴射燃料の気化が進みにくいことから、吸気行程噴射を行って噴射燃料を気化させるための期間(燃料噴射から点火までの期間)を長くするためである。また、始動完了後の所定期間中、圧縮行程噴射モードとするのは、圧縮行程噴射を行うとともに点火時期を遅角させることで燃焼期間を遅らせ、これにより排気温度を上昇させて冷えた状態にある触媒を速やかに活性化温度まで昇温し、エンジン始動時のエミッションの改善を図るためである。更に、上記所定期間の経過後、冷間時吸気行程噴射モードとしてから吸気行程噴射モードに戻すのは、圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードに移行する過程で圧縮行程と吸気行程の両方での燃料噴射を行い、上記両燃料噴射モードでの混合気の状態の中間の混合気の状態を作り出し、上記燃料噴射モードの移行を円滑なものとするためである。
上述したように燃料噴射モードが切り換えられるとき、仮に黒煙抑制のための内部EGR量の増量が行われていないとすると、アクセル踏込量一定という条件のもとでは、スロットル開度が図3(c)に実線で示されるように変化し、それに伴う吸入空気量の変化に対応して燃料噴射量も図3(d)に実線で示されるように変化する。こうしたスロットル開度(吸入空気量)及び燃料噴射量の変化により、上記燃料噴射モードの変化に関係なくエンジン1の出力トルクが図3(e)に破線で示されるように一定に維持される。ただし、黒煙抑制のために内部EGR量が増量された状態にあっては、燃焼時に燃焼室3内に存在するEGRガスによって燃焼が悪化し、エンジン1の出力トルクが低下することとなる。
このときのトルク低下量については、上記EGRガスによる燃焼への影響が各燃料噴射モード毎に異なるため、燃料噴射モード毎に異なる値をとるようになる。
即ち、圧縮行程噴射モードでは、噴射燃料を点火プラグ5周りに集めて点火時の点火プラグ5周りに存在する混合気のEGRガス濃度を低く抑えることが可能であるため、上記EGRガスによるトルク低下が生じにくい。これに対し、吸気行程噴射モードでは、燃料噴射から点火までの期間が長く、その期間中に噴射燃料が燃焼室3内の空気やEGRガスと混合されることから、点火時の点火プラグ5周りに燃焼し易い混合気が存在するとは限らず、EGRガス濃度が高い混合気が存在する場合には燃焼が不安定になる。このため、吸気行程噴射モードでは、圧縮行程噴射モードに比べて上記トルク低下が生じ易い傾向がある。また、冷間時吸気行程噴射モードでは、混合気の状態が圧縮行程噴射モードと吸気行程噴射モードとの中間の状態になることから、EGRガスによるトルク低下傾向も圧縮行程噴射モードと吸気行程噴射モードとの中間の状態となる。
従って、黒煙抑制のための内部EGR量の増量時のエンジン1の出力トルクについては、図3(e)に実線L1で示されるように、吸気行程噴射モード、冷間時吸気行程噴射モード、圧縮行程噴射モードの順で大きくなる。言い換えれば、図中の破線で示されるトルク一定状態からのトルク低下量が、吸気行程噴射モード、冷間時吸気行程噴射モード、圧縮行程噴射モードの順で小さくなる。
こうしたトルク低下を抑制するためのトルク補正制御として、スロットルバルブ11の開き側への開度補正が行われるのは上述したとおりであるが、当該開度補正の補正量が仮に一定であるとすると、開度補正後のエンジン1の出力トルクが燃料噴射モード毎に異なる値をとるようになる。このことの原因としては、以下の[1]及び[2]に示される原因が考えられる。
[1]燃焼時に燃焼室3内に存在するEGRガスによる燃焼への影響が各燃料噴射モードによって異なることから、トルク低下抑制のためのスロットルバルブ11の開き側への開度補正の補正量を一定とすると、当該開度補正によるトルク低下抑制効果が燃料噴射モードによって異なるものとなる。その結果、上記スロットルバルブ11の開度補正後のエンジン1の出力トルクが燃料噴射モード毎に異なる値となる。
[2]アクセル踏込量一定の条件のもとで各燃料噴射モードが実行されているときのエンジン1の吸入空気量は、各燃料噴射モードでのスロットル開度制御の関係から、図4のA、B、Cで示されるように吸気行程噴射モード、冷間時吸気行程噴射モード、圧縮行程噴射モードの順で多くなる。そして、エンジン1の吸入空気量が多いほど、一定量のトルク上昇を図るべく所定の割合だけ吸入空気量を増量する際、その吸入空気量の増量分が多くなる。従って、各燃料噴射モードにおいて一定量のトルク上昇を図るには、そのための吸入空気量の増量分を図4の斜線で示されるように吸気行程噴射モード、冷間時吸気行程噴射モード、圧縮行程噴射モードの順で多くする必要がある。このことから、上記スロットルバルブ11の開き側への開度補正の補正量を一定とすると、当該開度補正後のエンジン1の出力トルクが燃料噴射モード毎に異なる値となる。
以上の[1]及び[2]の原因により、スロットルバルブ11の開度補正後のエンジン1の出力トルクは、図3(e)に実線L1で示される状態から例えば二点鎖線で示される状態へと上昇し、各燃料噴射モード毎に異なる値をとるようになる。その結果、燃料噴射モードの切り換え前後でエンジン1の出力トルクが変化し、トルク段差ΔT1,ΔT2,ΔT3が生じる。
即ち、吸気行程噴射モードから圧縮行程噴射モードに切り換えられ、燃料噴射形態が吸気行程噴射から圧縮行程噴射に切り換えられるタイミングT1では、トルク段差ΔT1が生じる。また、圧縮行程噴射モードから冷間時吸気行程噴射モードに切り換えられ、燃料噴射形態が圧縮行程噴射のみから圧縮行程噴射と吸気行程噴射との両方へと切り換えられるタイミングT4では、トルク段差ΔT2が生じる。更に、冷間時吸気行程噴射モードから吸気行程噴射モードに切り換えられ、燃料噴射形態が圧縮行程噴射と吸気行程噴射との両方から吸気行程噴射のみへと切り換えられるタイミングT5では、トルク段差ΔT3が生じる。
トルク段差ΔT1,ΔT2,ΔT3のうち、トルク段差ΔT1はエンジン始動完了時であるタイミングT2で生じる。このときには、エンジン回転速度が図3(f)に示されるようにエンジン始動開始後の急上昇が生じた状態にあるため、トルク段差ΔT1が問題になることはない。これに対し、トルク段差ΔT2,ΔT3が生じるタイミングT4,T5では、エンジン回転速度がアイドル回転速度となって一定に維持されており、トルク段差ΔT2,ΔT3に伴う振動等を運転者が感じることとなり、そのトルク段差ΔT2,ΔT3が問題になる。
本実施形態では、トルク補正制御における上記スロットルバルブ11の開き側への開度補正の補正量(以下、スロットル補正量という)を、そのときの燃料噴射形態に対応した燃料噴射モード毎に異なる値に設定する。このため、冷えた状態からのエンジン始動時、燃料噴射モード(燃料噴射形態)が切り換えられるときには、上記スロットル補正量が当該切り換え前の燃料噴射形態に対応した値から当該切り換え後の燃料噴射形態に対応した値に変更される。
上記スロットル補正量の可変設定が行われた結果、吸気行程噴射モード、冷間吸気行程噴射モード、及び圧縮行程噴射モードでは、それぞれ図3(c)に示されるスロットル補正量TH1,TH2,TH3によってスロットルバルブ11が開き側に開度補正され、スロットル開度が実線で示される状態から破線で示される状態に変化する。このスロットル開度の変化に対応して吸入空気量が増量されるとともに、吸入空気量の増量に合わせて燃料噴射量が図3(d)に実線で示される状態から破線で示される状態へと増量される。こうした燃料噴射量の増量により、上記吸入空気量の増量に際してエンジン1の空燃比の目標値(例えば理論空燃比)での維持が図られる。
以上により、燃焼室3内に充填される混合気の量が増加して内部EGR量の増量によるトルク低下の抑制が図られるが、そのトルク低下抑制は燃焼時の燃焼室3内に存在するEGRガスによる燃焼への影響(燃焼悪化度合い)が燃料噴射形態毎に異なることに対応し、燃料噴射形態に応じて行われることとなる。この燃料噴射形態毎に異なるトルク低下抑制により、エンジン1の出力トルクは、図3(e)に実線L1で示される状態から実線L2で示される状態へと変化し、燃料噴射モードの切り換え前後での変化が生じることは抑制される。従って、タイミングT3,T4,T5でのトルク段差ΔT1,ΔT2,ΔT3の発生を抑制することができる。
また、トルク補正制御でのスロットル補正量が燃料噴射モードの切り換え前後で変化し、スロットル開度の変化に伴い吸入空気量が変化するとき、その吸入空気量に合わせて燃料噴射量を変化させることにより、エンジン1の空燃比の目標値での維持が図られることは上述した。しかし、上記のように吸入空気量の変化に合わせて燃料噴射量を変化させたとしても、同空燃比を目標値に維持することは困難であり、エンジン始動時の燃料噴射モードが図5(a)に示されるように変化するとき、空燃比が図5(b)に一点鎖線で示される目標値に対し例えば実線で示されるようにばらつくおそれがある。なお、当該空燃比の目標値に対するばらつきは燃料噴射モード毎に異なるものとなる。
こうした空燃比の目標値に対するばらつきを抑制すべく、燃料噴射モードに対応したスロットル補正量でのスロットルバルブ11の開き側への開度補正の際、空燃比が目標値となるよう燃料噴射量が燃料噴射モード毎に設定される補正量(以下、噴射量補正量という)を用いて補正される。即ち、吸気行程噴射モード、冷間吸気行程噴射モード、及び圧縮行程噴射モードで、それぞれ図5(c)に示される噴射量補正量QH1,QH2,QH3を用いて燃狼噴射量補正が行われる。
この場合、燃料噴射モードの切り換えに伴いスロットル補正量が変化するとき、上記空燃比の目標値に対するばらつきが補償されるよう、燃料噴射モードの切り換え前後で燃料噴射モードに応じた噴射量補正量を用いての燃料噴射量補正を行うことが可能となる。従って、上記スロットル補正量の変化時、空燃比が目標値に対してばらつくのを抑制することができる。
次に、トルク補正制御の実行手順について、トルク補正制御ルーチンを示す図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。トルク補正制御ルーチンは、電子制御装置35を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
トルク補正制御ルーチンにおいては、まず黒煙抑制のための吸気バルブ20のバルブタイミング進角(内部EGR量の増量)が行われているか否かを判断するための実行フラグFが「1(実行)」であるか否かが判断される(図6のS201)。ここで肯定判定であれば、燃料噴射モード毎のスロットル補正量、及び噴射量補正量の算出が行われる。
即ち、吸気行程噴射モードであれば(S202:YES)、実進角量θrに基づき吸気行程噴射モード用のスロットル補正量TH1が算出され(S203)、その後に実進角量θrに基づき吸気行程噴射モード用の噴射量補正量QH1が算出される(S204)。また、圧縮行程噴射モードであれば(S205:YES)、実進角量θrに基づき圧縮行程噴射モード用のスロットル補正量TH3が算出され(S206)、その後に実進角量θrに基づき圧縮行程噴射モード用の噴射量補正量QH3が算出される(S207)。更に、冷間時吸気行程噴射モードであれば(S202、S205で共にNO)、実進角量θrに基づき冷間時吸気行程噴射モード用のスロットル補正量TH2が算出され(図7のS208)、その後に実進角量θrに基づき冷間時吸気行程噴射モード用の噴射量補正量QH2が算出される(S209)。
上記のように算出されるスロットル補正量TH1,TH2,TH3は、そのいずれも実進角量θrの増大に伴い大きくなるが、各々の値については各燃料噴射モードに対応した値として互いに異なるものとなる。そして、算出されたスロットル補正量の分だけスロットルバルブ11が開き側に開度補正される(S210)。また、上記のように算出される噴射量補正量QH1,QH2,QH3も、各燃料噴射モードに対応した値として互いに異なるものとなる。そして、算出された噴射量補正量に対応した分の燃料噴射量補正が行われる(S211)。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)冷えた状態からのエンジン始動時であって、黒煙抑制のための内部EGR量の増量が行われるとき、それに伴うトルク低下を抑制するためのトルク補正制御が実行される。このトルク補正制御では、スロットルバルブ11の開き側への開度補正が行われるが、その際のスロットル補正量が燃料噴射モード(燃料噴射形態)に対応して同燃料噴射モード毎に異なる値に設定される。その結果、トルク補正制御中に燃料噴射モードの切り換えが行われると、スロットル補正量が上記切り換え前の燃料噴射モードに対応した値から上記切り換え後の燃料噴射モードに対応した値に変更される。従って、上記燃料噴射モードの切り換えが行われたとしても、その切り換え前後では各々燃焼時の燃焼室3内に存在するEGRによる燃焼への影響(燃焼悪化度合い)に対応したトルク低下の抑制が行われる。このため、上記燃料噴射モードの切り換え前後でのエンジン1の出力トルクの変化、即ち当該切り換え後のトルクの当該切り換え前のトルクからの変化が抑制され、その変化に伴うトルク段差の発生を抑制することができる。
(2)冷えた状態からのエンジン始動時、所定期間の圧縮行程噴射モードの後、冷間時吸気行程噴射モード、吸気行程噴射モードへと順次切り換えられるとき、その際のトルク段差ΔT2,ΔT3が特に問題になるが、こうしたトルク段差ΔT2,ΔT3の発生を抑制することができる。
(3)冷えた状態からのエンジン始動時、上記スロットル補正量が燃料噴射モードの切り換えによって変化するとき、その際の吸入空気量の変化に合わせて燃料噴射量が変化し、エンジン1の空燃比の目標値での維持が図られるが、上記吸入空気量の変化に合わせた燃料噴射量の変化だけでは空燃比を目標値に維持することは困難である。しかし、冷えた状態からのエンジン始動時には、燃料噴射モードの切り換え前後で燃料噴射モードに対応して異なる噴射量補正量でもって燃料噴射量補正が行われ、これにより上記燃料噴射モードの切り換えの際の空燃比の目標値に対するばらつきを補償するようにしている。従って、上記燃料噴射モードの切り換え前後でスロットル補正量が変化するとき、空燃比が目標値に対してばらつくのを抑制することができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・噴射量補正量QH1,QH2,QH3による燃料噴射量補正については、必ずしも行う必要はない。
・トルク補正制御としてスロットルバルブ11の開き側への開度補正を例示したが、エンジン1の出力トルクに関係する他のパラメータの補正によってトルク補正制御を実現してもよい。
・冷えた状態からのエンジン始動時、圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切り換え過程で冷間時吸気行程噴射モードを実行したが、この冷間時吸気行程噴射モードを省略してもよい。この場合、圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへと切り換えられることとなるが、その際のトルク段差や空燃比の目標値に対するばらつきの発生を抑制することはできる。
・黒煙抑制のために吸気バルブ20のバルブタイミングを進角させて内部EGR量を増量したが、これに代えてEGR通路18を通じて燃焼室3にEGRガスを流入させ、燃焼時の燃焼室3内に存在するEGRガスの量を増量して黒煙の発生を抑制してもよい。
本実施形態の制御装置が適用される筒内噴射火花点火式エンジン全体を示す略図。 冷えた状態からのエンジン始動時、排気中に黒煙が発生するのを抑制する手順を示すフローチャート。 (a)〜(f)は、冷えた状態からのエンジン始動時、燃料噴射モード、実進角量、スロットル開度、燃料噴射量、エンジンの出力トルク、及びエンジン回転速度がどのように変化するかを示すタイムチャート。 燃料噴射形態毎の吸入空気量の違い、及び一定量のトルク上昇に必要とされる吸入空気量の増量分の違いを示すグラフ。 (a)〜(c)は、上記エンジン始動時に燃料噴射モードが変化する際の空燃比の目標値に対するばらつき、及び噴射量補正量の推移を示すタイムチャート。 トルク補正制御の実行手順を示すフローチャート。 トルク補正制御の実行手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…エンジン、2…吸気通路、3…燃焼室、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、5a…イグナイタ、6…ピストン、7…排気通路、9…クランクシャフト、10…クランクポジションセンサ、11…スロットルバルブ、12…バキュームセンサ、13…アクセルペダル、14…アクセルポジションセンサ、15…スロットルポジションセンサ、16…触媒、18…EGR通路、19…EGRバルブ、20…吸気バルブ、21…排気バルブ、22…吸気カムシャフト、23…排気カムシャフト、24…カムポジションセンサ、25…バルブタイミング可変機構、35…電子制御装置(制御手段)、36…水温センサ。

Claims (6)

  1. 燃料噴射形態を圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換え可能であり、冷えた状態からのエンジン始動時には燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させるとともに、そのEGRガスによるトルク低下を抑制するトルク補正制御を実行する筒内噴射式エンジンの制御装置において、
    前記トルク補正制御を行う際のトルク補正量を、そのときの燃料噴射形態に対応した同燃料噴射形態毎に異なる値に設定する制御手段を備える
    ことを特徴とする筒内噴射式エンジンの制御装置。
  2. 燃料噴射形態を圧縮行程噴射と吸気行程噴射との間で切り換え可能であり、冷えた状態からのエンジン始動時には燃焼時の燃焼室内にEGRガスを存在させるとともに、そのEGRガスによるトルク低下を抑制するトルク補正制御を実行する筒内噴射式エンジンの制御装置において、
    前記トルク補正制御の実行中に燃料噴射形態の切り換えが行われるとき、前記トルク補正制御のトルク補正量を前記切り換え前の燃料噴射形態に対応する値から前記切り換え後の燃料噴射形態に対応する値に変更する制御手段を備える
    ことを特徴とする筒内噴射式エンジンの制御装置。
  3. 冷えた状態からのエンジンの始動時において、始動開始から始動完了までは吸気行程噴射が行われ、始動完了後の所定期間は圧縮行程噴射が行われ、当該所定期間の経過後は吸気行程噴射が行われるものであって、
    前記制御手段は、前記トルク補正制御の実行中に圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられるとき、前記トルク補正制御のトルク制御量を圧縮行程噴射に対応した値から吸気行程噴射に対応した値に変更する
    請求項2記載の筒内噴射式エンジンの制御装置。
  4. 冷えた状態からのエンジンの始動時において、始動開始から始動完了までは吸気行程噴射が行われ、始動完了後の所定期間は圧縮行程噴射が行われ、当該所定期間の経過後は圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射を経て吸気行程噴射に移行するものであって、
    前記制御手段は、前記トルク補正制御の実行中に圧縮行程噴射から吸気行程噴射に切り換えられる過程で、圧縮行程と吸気行程との両方での燃料噴射が行われるときには前記トルク補正制御のトルク制御量を当該燃料噴射形態に対応した値に変更し、吸気行程噴射が行われるときには前記トルク補正制御のトルク制御量を吸気行程噴射に対応した値に変更する
    請求項2記載の筒内噴射式エンジンの制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記トルク補正制御としてスロットルバルブを開き側に開度補正するものであって、同スロットルバルブの開き側への開度の補正量を、そのときの燃料噴射形態に対応した同燃料噴射形態毎に異なる値に設定する
    請求項1〜4のいずれかに記載の筒内噴射式エンジンの制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記スロットルバルブの開き側への補正量を燃料噴射形態に応じて設定する際、空燃比が所定の目標値となるよう燃料噴射量を燃料噴射形態に対応して設定される補正量を用いて補正する
    請求項5記載の筒内噴射式エンジンの制御装置。
JP2003359140A 2003-10-20 2003-10-20 筒内噴射式エンジンの制御装置 Pending JP2005120969A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003359140A JP2005120969A (ja) 2003-10-20 2003-10-20 筒内噴射式エンジンの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003359140A JP2005120969A (ja) 2003-10-20 2003-10-20 筒内噴射式エンジンの制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005120969A true JP2005120969A (ja) 2005-05-12

Family

ID=34615464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003359140A Pending JP2005120969A (ja) 2003-10-20 2003-10-20 筒内噴射式エンジンの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005120969A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077943A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Mazda Motor Corp エンジンの過給装置
JP2011153554A (ja) * 2010-01-27 2011-08-11 Mazda Motor Corp エンジンの制御方法および制御装置
WO2015052815A1 (ja) * 2013-10-10 2015-04-16 三菱電機株式会社 内燃機関の制御装置および制御方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077943A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Mazda Motor Corp エンジンの過給装置
JP4595761B2 (ja) * 2005-09-16 2010-12-08 マツダ株式会社 エンジンの過給装置
JP2011153554A (ja) * 2010-01-27 2011-08-11 Mazda Motor Corp エンジンの制御方法および制御装置
WO2015052815A1 (ja) * 2013-10-10 2015-04-16 三菱電機株式会社 内燃機関の制御装置および制御方法
JP6022074B2 (ja) * 2013-10-10 2016-11-09 三菱電機株式会社 内燃機関の制御装置および制御方法
US10513995B2 (en) 2013-10-10 2019-12-24 Mitsubishi Electric Corporation Control apparatus and control method for internal combustion engine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4023115B2 (ja) 直噴火花点火式エンジンの制御装置
JP5772025B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009019538A (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP2005315202A (ja) エンジンの始動装置
JP2005120942A (ja) 直噴火花点火式内燃機関の制御装置
JP5262857B2 (ja) 筒内直接噴射式エンジンの制御装置
JP2005133579A (ja) 直噴火花点火式内燃機関の制御装置
JP2012122404A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4032859B2 (ja) 直噴火花点火式エンジンの制御装置
JP2008151038A (ja) 内燃機関の制御システム
JP2007224927A (ja) 圧縮比変更機構の故障を検知して制御を行う内燃機関
JP4254607B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2010138772A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2004028031A (ja) 直噴火花点火式エンジンの制御装置及び制御方法
JP2011080424A (ja) 内燃機関燃料噴射制御装置
JP2005120969A (ja) 筒内噴射式エンジンの制御装置
JP2008280914A (ja) 内燃機関の制御システム
JP2008180184A (ja) 筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置
JP2007309298A (ja) エンジンの点火時期制御装置
JP2004197704A (ja) エンジンの制御装置
JP2010168931A (ja) 火花点火式内燃機関の点火時期制御装置
JP4341475B2 (ja) エンジンの始動装置
JP4788632B2 (ja) 内燃機関の制御システム
JP2009216035A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2007077842A (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080401

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081222

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090115

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20090403