JP2005120498A - ミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固有粘度が0.65〜0.75であるポリエステルを溶融紡糸し未延伸糸を得た後、該未延伸糸を特定の条件で2段階延伸し、次いで特定の条件でリラックス熱処理することを特徴とするミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法によって達成される。
【選択図】なし
Description
(1)未延伸糸の複屈折率 Δn
0.002≦Δn≦0.008
(2)未延伸糸の予熱温度 T1(℃)
T1>Tg
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(3)2段階延伸倍率
R1>R2
R1:1段目延伸倍率
R2:2段目延伸倍率
(4)1段目延伸倍率 R1
1+(L1/100)<R1<1+[(0.85×L2)/100]
L1:未延伸糸の定張力伸張域伸度(%)
L2:未延伸糸の破断伸度(%)
(5)2段延伸前の加熱温度 T2(℃)
Tg+20<T2
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(6)2段目延伸倍率 R2
1.1<R2<2.0
(7)熱処理温度 T3(℃)
200≦T3≦245
(8)熱処理リラックス率 Re(%)
4≦Re≦12
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
したがって、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている二酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、ポリエステルに二酸化チタン粒子が含有されている際には、次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、このポリマー溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリマーを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトン洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリマーについてチタン元素、リン元素、アンチモン元素、マンガン元素およびコバルト元素の分析を行った。
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
測定する試料10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパンおよびパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される融点ピーク温度を融点とした。
測定する試料2.0gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。
測定する未延伸糸試料10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパンおよびパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される2次転移点ピーク温度を2次転移点温度とした。
オリンパス社製 BH−2型偏光顕微鏡により単糸のレターデーションと光路長を測定し、複屈折率を算出した。
オリエンテック社製ASC−5Y−A/RTA−100全自動強伸度測定機を用い、試料長20cm、ヘッドスピード20cm/分にて各試料を繰り返し10回測定し平均値をとった。7.3cN/dtex以上の場合A、7.0〜7.3cN/dtexの場合B、7.0cN/dtex未満の場合C判定とした。
オリエンテック社製ASC−5Y−A/RTA−100全自動強伸度測定機を用い、試料長5cm、ヘッドスピード30cm/分にて各試料を繰り返し10回測定し平均値をとった。なお定張力伸長域伸度については強伸度曲線が水平になる部分の伸度をチャートから読みとった。
試料を3回巻のカセ状にとり、20℃、65%RHの温調室に24時間以上放置したのち、試料の0.9cN/dtexに相当する荷重をかけて測定した長さX0の試料を、無張力状態で160℃オーブン中に30分放置したのち、オーブンから取り出し前記温調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長さX1から次式により算出した。
(10)染着性
得られたミシン糸用高強度ポリエステル繊維10gの筒編み地を作成する。次にチバガイギー社製テラシールネイビーブルーを0.4g、正研化工社製テトロシンPE−Cを5.0gおよび日華化学社製サンソルト♯1200を1.0gを水10リットルに加えた水溶液を加温装置付き浴槽に注ぎ、筒編み地を浸して蓋をする。続いて50℃で20分、引き続いて98℃で20分保持し、該筒編み地を染色する。得られたブルー染色筒編み地をJIS−L0844−A−2に定められた方法で評価し、5級をA、4級をB、3級をC、2、1級をD判定とした。
得られたミシン糸用高強度ポリエステル繊維に800〜1300t/mの下撚りを施した後、下撚りと逆方向に下撚りの0.7〜1.2倍の上撚りを3子撚りで行った後、220℃で熱セットしミシン糸とする。得られたミシン糸を用い、工業用ミシンにてたわみ2mmの張力下で厚み0.3mm、目付量20g/m2のツイル生地を10枚重ねで1m×5本、11枚重ねで1m×5本縫製した。10枚重ねで1回以上糸切れした場合はD判定とした。10枚重ねで糸切れなく、11枚重ねでの糸切れが1回以下の場合A、2または3回の場合はB、4または5回の場合はC判定とした。
144錘建て延伸機において、延伸速度600m/分、その他の条件は各水準の条件にしたがって延伸し、3kgのパーンに巻き上げた場合の、糸切れ本数をカウントした。2本以下の場合A、3または4本の場合はB、5本以上の場合はC判定とした。
[触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
[触媒B.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒C.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量3.36重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒D.乳酸キレートチタン化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、リン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
[触媒E.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒F.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量5.71重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒G.チタンアルコキシド化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で30ppmとなるように添加し、5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
[触媒H.チタンアルコキシド化合物(リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えた(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒I.チタンアルコキシド化合物(ジエチルホスホノ酢酸エチル混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、ジエチルホスホノ酢酸エチル(224g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒J.アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物]
アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物(商品名:C−94、以降Ti/Si複合酸化物と記す)の0.15重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加した。
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
用いるポリエステルのIVを0.64(比較例1)、0.71(実施例2)、0.75(実施例3)、0.71(比較例2)、引取速度およびそれに引き続いた巻取速度を600m/分(比較例1)、1000m/分(実施例2)、1250m/分(実施例3)、1500m/分(比較例2)とした点以外は実施例1と同様の方法で重合および溶融紡糸して得られたポリエステル未延伸糸を、延伸倍率を1段目4.1倍、2段目1.5倍(比較例1)、1段目3.9倍、2段目1.3倍(実施例2)、1段目3.7倍、2段目1.25倍(実施例3)、1段目3.5倍、2段目1.25倍(比較例2)とした以外は実施例1と同様の方法で延伸し、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1に示すとおり実施例2、3については良好な結果となったが、比較例1および2については延伸糸強度、高速可縫性が悪化した。
未延伸糸予熱温度を80℃とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1に示すとおり良好な結果となった。
延伸倍率を1段目2.2倍、2段目2.8倍(比較例4)、1段目3.0倍、2段目1.9倍(比較例5)、1段目3.4倍、2段目1.6倍(実施例5)、1段目4.8倍、2段目1.25倍(実施例6)、1段目5.1倍、2段目1.05倍(比較例6)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1および2に示すとおり実施例5、6については良好な結果となったが、比較例4、5および6については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
2段目延伸前の加熱温度を80℃(比較例7)、95℃(実施例7)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例7については良好な結果となったが、比較例7については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
リラックス熱処理温度を190℃(比較例8)、235℃(実施例8)、250℃(比較例9)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例8については良好な結果となったが、比較例8および9については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
リラックス熱処理のリラックス率を2%(比較例10)、4%(実施例9)、11(実施例10)、15%(比較例11)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例9および10については良好な結果となったが、比較例10については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化し、比較例11においては延伸時の糸切れによりサンプリングが不可能な状態となった。
用いるポリエステルのIVを0.77とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり延伸糸切れ、染着性、高速可縫性ともに悪化した。
クエン酸キレートチタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で45ppm(実施例12)となるように添加した点、5分後、リン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で20ppm(実施例11)または15ppm(実施例12)となるように添加した点以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸し、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示すとおり良好な結果となった。
重合用触媒としてクエン酸キレートチタン化合物でなく三酸化アンチモンを、得られるポリマーに対して金属量で300ppmとなるよう加えた以外は実施例1と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示す。
触媒として用いたクエン酸キレートチタン化合物の添加量を得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.3、0.5、1.2、3、50、100、150、200ppm(それぞれ実施例14、15、16、17、18、19、20および21)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。チタン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示す。
エチレングリコール溶液として加えるリン酸を得られるポリマーに対してリン元素量換算で0.07、0.10、1、3、50、100、150、200、400、500ppm(それぞれ実施例22、23、24、25、26、27、28、29、30、31)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。リン酸量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表4および5に示す。
触媒としてチタン化合物の他に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で10(実施例32)、30(実施例33)、50ppm(実施例34)添加したこと以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。三酸化アンチモン量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表4および5に示す。
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ0.7、1、100、250、400、500ppm(それぞれ実施例35、36、37、38、39、40)となるように加えたこと以外は実施例2と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。マンガン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5に示す。
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ500ppmとなるように、またリン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で2ppmとなるように添加した以外は実施例2と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。マンガン化合物量およびリン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5に示す。
触媒として用いるチタン化合物をそれぞれクエン酸キレートチタン化合物(実施例42および43)、乳酸キレートチタン化合物(実施例44、45および46)、チタンアルコキシド化合物(実施例47、48および49)またはチタン/ケイ素複合酸化物(実施例50)とし、エチレングリコール溶液として加えるリン化合物をリン酸(実施例44および48)、フェニルホスホン酸(実施例42および45)、フェニルホスホン酸+リン酸(実施例43および46)、ジエチルホスホノ酢酸エチル(実施例47および49)またはフェニルホスホン酸ジメチル(実施例50)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。チタン化合物および/またはリン化合物の種類を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5および6に示すとおり良好な結果となった。
Claims (14)
- 固有粘度が0.65〜0.75であるポリエステルを溶融紡糸し未延伸糸を得た後、該未延伸糸を下記(1)〜(6)式を同時に満足する条件で2段階延伸し、次いで下記(7)、(8)式を同時に満足する条件でリラックス熱処理することを特徴とするミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
(1)未延伸糸の複屈折率 Δn
0.002≦Δn≦0.008
(2)未延伸糸の予熱温度 T1(℃)
T1>Tg
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(3)2段階延伸倍率
R1>R2
R1:1段目延伸倍率
R2:2段目延伸倍率
(4)1段目延伸倍率 R1
1+(L1/100)<R1<1+[(0.85×L2)/100]
L1:未延伸糸の定張力伸張域伸度(%)
L2:未延伸糸の破断伸度(%)
(5)2段延伸前の加熱温度 T2(℃)
Tg+20<T2
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(6)2段目延伸倍率 R2
1.1<R2<2.0
(7)熱処理温度 T3(℃)
200≦T3≦245
(8)熱処理リラックス率 Re(%)
4≦Re≦12 - チタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、チタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm含有し、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm、アンチモン化合物を含まないかまたはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することを特徴とするポリエステルを用いた、請求項1記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- チタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項2記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- 触媒としてマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率が、マンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200であることを特徴とする請求項2または3記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- リン化合物がリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- リン酸系リン化合物がリン酸及び/またはリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項5記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- ホスホン酸系リン化合物がホスホン酸及び/またはホスホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項5記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- チタン化合物が酸化物であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
- チタン化合物が、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とする請求項8記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
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