JP2005120498A - ミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

ミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来より優れた品質、特に強度、染着性および高速可縫性を有するミシン糸用高強度ポリエステル繊維を安定して製造する。
【解決手段】 固有粘度が0.65〜0.75であるポリエステルを溶融紡糸し未延伸糸を得た後、該未延伸糸を特定の条件で2段階延伸し、次いで特定の条件でリラックス熱処理することを特徴とするミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法によって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度ポリエステル繊維の製造方法、さらに詳しくはミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレ―トに代表されるポリエステル繊維は高強度、高ヤング率、熱寸法安定性に優れた繊維であり、衣料用、産業資材用などに巾広く使用されており、中でも縫製用縫糸用途においては、均一性、高強度、経済性等のメリットからポリエステル繊維が大きくシェアを伸ばしてきている。しかしながら、近年布帛材質の多様化や縫製用ミシンの高性能化に伴う縫製速度の高速化対応、更には縫い目の仕立て映え改善に関する強い市場要求がある。特に、フィラメントミシン糸は均一で高強力を有し、縫製後の縫い目の仕立て映えも優れているが、高速縫製時の発熱による溶断や強力低下を生じ易いという欠点を有している。また、縫糸は多種多様な色彩の布帛に対応できるよう通常数十種類以上にも及ぶ種類の縫糸を用意し対応しているが、ポリエステル繊維は本質的に各種染料との親和性が劣っているため、縫糸染色工程では微妙な染料配合と染色条件の管理に腐心している。このため、高強力で熱安定性が良く可縫性に優れるとともに染着性や発色性にも優れた縫糸用ポリエステル繊維の開発が待たれている。
かかる問題を解決するために、固有粘度0.65〜0.95、破断強度7.5g/de(6.62cN/dtex)以上、150℃乾収4%以下、5%伸長時応力2.0g/de(1.77cN/dtex)以上である、高速可縫性に優れ、縫い目強力および縫い目外観の良好な複合ミシン糸が提案され、その製法が開示されている(特許文献1参照)が、提案の固有粘度範囲のうち0.65〜0.75の範囲においてはフィラメント強力不足のため縫い目強力が不十分であるとともにフィラメントに毛羽立ちが多く、実用レベルではない。また提案の固有粘度範囲のうち0.75〜0.95の範囲においては固有粘度が高いことに起因する染着性の低下があり、これも実用レベルではない。
また、目的とする高強度を得るためには非常に高い延伸倍率を必要するため、ポリマー中の異物等に起因する延伸時の糸切れが起こりやすい。この課題を解決するためにポリマー中の異物生成の抑制を目的としてポリマーを改善する試みも見られる。重合用触媒としてチタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体をポリエステル重合用触媒として用いる提案がされている(特許文献2〜4参照)。この方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるものの、得られるポリマーの色調は十分なものではない。したがって、チタン化合物のさらなる改善が求められている。
以上のごとく、従来の技術では品質のよいミシン糸用高強度ポリエステル繊維を得ることは達成されておらず、またポリマーの改善によっても十分には実現されていないのが現状である。
特開平5−321066号公報(第1頁) 特表2001−524536号公報(第2頁) 特表2002−512267号公報(第2頁) 特開2002−293909号公報(第2頁)
本発明者らは、高強度で熱安定性が良好な高速可縫性に優れた縫糸であるとともに染着性や発色性にも優れ、且つ仕立て映えの良い縫糸用ポリエステル繊維を高生産性の下に安定して製造することを目的としてポリマーから根本的に鋭意検討し、本発明のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法に到達したものである。
前記した本発明の目的は、固有粘度が0.65〜0.75であるポリエステルを溶融紡糸し未延伸糸を得た後、該未延伸糸を下記(1)〜(6)式を同時に満足する条件で2段階延伸し、次いで下記(7)、(8)式を同時に満足する条件でリラックス熱処理することを特徴とするミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法によって達成することができる。
(1)未延伸糸の複屈折率 Δn
0.002≦Δn≦0.008
(2)未延伸糸の予熱温度 T1(℃)
T1>Tg
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(3)2段階延伸倍率
R1>R2
R1:1段目延伸倍率
R2:2段目延伸倍率
(4)1段目延伸倍率 R1
1+(L1/100)<R1<1+[(0.85×L2)/100]
L1:未延伸糸の定張力伸張域伸度(%)
L2:未延伸糸の破断伸度(%)
(5)2段延伸前の加熱温度 T2(℃)
Tg+20<T2
Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
(6)2段目延伸倍率 R2
1.1<R2<2.0
(7)熱処理温度 T3(℃)
200≦T3≦245
(8)熱処理リラックス率 Re(%)
4≦Re≦12
本発明のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法において、得られる延伸糸の強度、染着性および高速可縫性が改善され、また延伸時の糸切れが抑制される。
本発明にもちいるポリエステルの固有粘度は0.65〜0.75とする必要がある。0.65より小さい場合は得られるポリエステル繊維の強度が低下し目的とする高強度が得られない。また0.75より大きい場合は得られた繊維に対する染料の染着性が低下する。
本発明における未延伸糸の複屈折率は0.002〜0.008とする必要がある。0.002より小さい場合は得られるポリエステル未延伸糸の配向が低すぎるため、延伸時にローラー巻き付き等が発生することがあり、また得られるポリエステル繊維の強度も不十分なものとなる。0.008より大きい場合は得られるポリエステル未延伸糸の配向が進みすぎるため、十分な延伸倍率がとれないため結果的に望ましい強度が得られない。
本発明における未延伸糸の予熱温度は、用いるポリエステルの2次転移点温度より高くする必要がある。2次転移点温度以下とした場合はポリエステル未延伸糸の予熱が不十分となり、延伸糸切れが多発することがあり、また得られるポリエステル繊維の染着性に斑が生じることがある。
本発明における2段階延伸の2段目延伸倍率は1段目延伸倍率より小さくする必要がある。2段目延伸倍率が1段目延伸倍率以上とすると、得られるポリエステル繊維の強度が不十分なものとなる。
本発明における2段階延伸の1段目延伸倍率は上記式(4)を満たす必要がある。1段目延伸倍率を式(4)に示す範囲以下とすると、1段目の延伸の目的とするポリエステル未延伸糸の配向結晶化が不十分となり、2段目の延伸を経ても得られるポリエステル繊維の強度が不十分なものとなる。また1段目延伸倍率を式(4)に示す範囲以上とすると、配向結晶化が過度なものとなり、2段目の延伸において糸切れを多発することがある。
本発明における2段目延伸前の加熱温度は上記式(5)を満たす必要がある。2段目延伸前の加熱温度を式(5)に示す範囲以下とすると、得られるポリエステル繊維の配向結晶化が不十分となり、得られるポリエステル繊維の強度が不十分なものとなり、また延伸時の糸切れが多発することがある。
本発明における2段階延伸の2段目延伸倍率は上記式(6)を満たす必要がある。2段目延伸倍率を式(6)に示す範囲以下とすると、1段目延伸において生成した結晶の成長が不十分となり、得られるポリエステル繊維の強度が不十分なものとなる。また2段目延伸倍率を式(6)に示す範囲以上とすると、糸切れが多発する。
本発明におけるリラックス熱処理の温度は200℃以上245℃以下とする必要がある。200℃未満であると、得られるポリエステル繊維の収縮率が高くなり、またミシン糸とした際の寸法安定性が低下する。245℃より高い場合は延伸時にローラー巻き付きなどが多発し生産性が大きく低下する。
本発明におけるリラックス熱処理のリラックス率は4〜12%とする必要がある。4%未満であると熱処理が不十分であり、収縮率が高くなるため寸法安定性が低下する。また12%より大きくすると熱処理が過度なものとなり、得られるポリエステル繊維の風合いが硬いものとなるばかりでなく、延伸の際にローラー巻き付き等により糸切れが多発する。
本発明に用いるポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維として用いることが可能なものであれば特に限定はない。
具体的なポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられる。なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレート、または主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体において好適である。ただし、本発明は高度に高強度で低収縮を追求した繊維であり、副生するジエチレングリコ―ル等の第3成分以外は実質的に共重合していないことが好ましい。また、艶消し剤、導電剤、セラミックなどの粒子の添加は本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
ポリエステルを製造する際の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
したがって、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている二酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
ポリエステルを製造する際の重合用触媒としては、アンチモン化合物およびリン酸またはそのエステル化合物が一般的である。本発明に用いるポリエステルを製造するための重合用触媒としては、上記のような一般的な重合用触媒でもよいが、チタン化合物、チタン酸化物が好ましく、加えてアンチモン化合物を含まないかあるいはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することが好ましい。ポリエステル中の異物が少なくなり、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができ、また得られるポリエステルの色調についても、多様な色に染色して使用されるミシン糸においてより好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とするためにも、より好ましくは10ppm以下、更には含有しないことが好ましい。
また、チタン化合物の置換基が下記式1〜式6で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物が挙げられる。
Figure 2005120498
本発明の式1としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式2としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。
また、式3としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
また、式4としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
また、式5としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基が挙げられる。
中でも式1及び/または式4が含まれていることがポリマーの熱安定性の点およびポリマーの色調を多様な色に染色して用いられるミシン糸においてより好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点から好ましい。
また、チタン化合物としてこれら式1〜式6の置換基を2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
また、チタン酸化物としては、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物等が挙げられる。
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、第321頁第1行〜第353頁第16行、(アイピーシー、1993年8月10日発行)等に記載されている。
本発明におけるチタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)は得られるポリエステルに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm含有されていることが好ましい。1〜100ppmであるとポリマーの熱安定性がより良好となる点およびポリマーの色調を多様な色に染色して用いられるミシン糸においてより好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点から好ましく、さらに好ましくは3〜50ppmである。
本発明におけるポリエステルには、チタン化合物と共にリンがポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜400ppm含有されていることが好ましい。なお、製糸時におけるポリエステルの熱安定性ポリマーの色調を多様な色に染色して用いられるミシン糸においてより好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点からリン含有量は、1〜200ppmが好ましく、さらに好ましくは3〜100ppmである。
なお、含有するリンは、ポリエステルの製造過程でリン化合物として添加される。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。
具体的には、例えばリン酸系としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等。
亜リン酸系としては、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等。
ホスホン酸系化合物としては、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等。
ホスフィン酸系としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等。
ホスフィンオキサイド系としては、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等。
亜ホスホン酸系として、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等。
亜ホスフィン酸系として、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等。
ホスフィン系としては、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性および得られるポリマーの色調を多様な色に染色して用いられるミシン糸においてより好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。
また、チタン化合物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10であり、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
用いるチタン化合物及びリン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、チタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
また、チタン化合物を予めリン化合物と反応させたものを触媒として用いることもできる。この場合には、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。また、ここで用いる溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
本発明におけるポリエステルを製造する際に、任意の時点でマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率がマンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200となるように添加すると重合活性の低下を抑制することができ、それにより得られるポリマーの色調多様な色に染色して用いられるミシン糸により好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点から好ましい。この場合に用いるマンガン化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
また、本発明におけるポリエステルを製造する際に、任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調多様な色に染色して用いられるミシン糸により好ましい無色(艶消剤を用いない場合)または白色(艶消剤として二酸化チタンを用いる場合)とする点から好ましい。この場合に用いるコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
さらに、二酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えない。
本発明におけるポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、艶消し剤として二酸化チタン粒子や、コバルト化合物等の添加物を添加した後、重縮合触媒として前述のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
本発明のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法は、ポリエステルを紡糸口金から溶融吐出し引き取り引き続いて巻き取って得た未延伸糸を、2段階延伸方法により延伸した後、200℃以上の温度でリラックス熱処理することによって得ることができる。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素、マンガン元素およびコバルト元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、ポリエステルに二酸化チタン粒子が含有されている際には、次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、このポリマー溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリマーを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトン洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリマーについてチタン元素、リン元素、アンチモン元素、マンガン元素およびコバルト元素の分析を行った。
(2)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)融点
測定する試料10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパンおよびパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される融点ピーク温度を融点とした。
(4)溶液ヘイズ
測定する試料2.0gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。
(5)未延伸糸の2次転移点温度
測定する未延伸糸試料10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパンおよびパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される2次転移点ピーク温度を2次転移点温度とした。
(6)複屈折率
オリンパス社製 BH−2型偏光顕微鏡により単糸のレターデーションと光路長を測定し、複屈折率を算出した。
(7)延伸糸強度
オリエンテック社製ASC−5Y−A/RTA−100全自動強伸度測定機を用い、試料長20cm、ヘッドスピード20cm/分にて各試料を繰り返し10回測定し平均値をとった。7.3cN/dtex以上の場合A、7.0〜7.3cN/dtexの場合B、7.0cN/dtex未満の場合C判定とした。
(8)未延伸糸破断伸度および定張力伸長域伸度
オリエンテック社製ASC−5Y−A/RTA−100全自動強伸度測定機を用い、試料長5cm、ヘッドスピード30cm/分にて各試料を繰り返し10回測定し平均値をとった。なお定張力伸長域伸度については強伸度曲線が水平になる部分の伸度をチャートから読みとった。
(9)乾熱収縮率
試料を3回巻のカセ状にとり、20℃、65%RHの温調室に24時間以上放置したのち、試料の0.9cN/dtexに相当する荷重をかけて測定した長さX0の試料を、無張力状態で160℃オーブン中に30分放置したのち、オーブンから取り出し前記温調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長さX1から次式により算出した。
乾熱収縮率(%)=(X0−X1)×100/L0
(10)染着性
得られたミシン糸用高強度ポリエステル繊維10gの筒編み地を作成する。次にチバガイギー社製テラシールネイビーブルーを0.4g、正研化工社製テトロシンPE−Cを5.0gおよび日華化学社製サンソルト♯1200を1.0gを水10リットルに加えた水溶液を加温装置付き浴槽に注ぎ、筒編み地を浸して蓋をする。続いて50℃で20分、引き続いて98℃で20分保持し、該筒編み地を染色する。得られたブルー染色筒編み地をJIS−L0844−A−2に定められた方法で評価し、5級をA、4級をB、3級をC、2、1級をD判定とした。
(11)高速可縫性
得られたミシン糸用高強度ポリエステル繊維に800〜1300t/mの下撚りを施した後、下撚りと逆方向に下撚りの0.7〜1.2倍の上撚りを3子撚りで行った後、220℃で熱セットしミシン糸とする。得られたミシン糸を用い、工業用ミシンにてたわみ2mmの張力下で厚み0.3mm、目付量20g/m2のツイル生地を10枚重ねで1m×5本、11枚重ねで1m×5本縫製した。10枚重ねで1回以上糸切れした場合はD判定とした。10枚重ねで糸切れなく、11枚重ねでの糸切れが1回以下の場合A、2または3回の場合はB、4または5回の場合はC判定とした。
(12)延伸糸切れ
144錘建て延伸機において、延伸速度600m/分、その他の条件は各水準の条件にしたがって延伸し、3kgのパーンに巻き上げた場合の、糸切れ本数をカウントした。2本以下の場合A、3または4本の場合はB、5本以上の場合はC判定とした。
まず、触媒の合成方法を記す。
[触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
[触媒B.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒C.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量3.36重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒D.乳酸キレートチタン化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、リン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
[触媒E.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒F.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量5.71重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒G.チタンアルコキシド化合物の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。得られたチタン化合物は実施例1と同様、チタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で30ppmとなるように添加し、5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、重合を行った。
[触媒H.チタンアルコキシド化合物(リン酸混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えた(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒I.チタンアルコキシド化合物(ジエチルホスホノ酢酸エチル混合)の合成方法]
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、ジエチルホスホノ酢酸エチル(224g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.87重量%)。なお、重縮合反応の開始時点ではリン化合物を追加添加しなかった。
[触媒J.アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物]
アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物(商品名:C−94、以降Ti/Si複合酸化物と記す)の0.15重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、5分後、フェニルホスホン酸ジメチルエステルの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加した。
実施例1
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して0.3重量%添加した。5分間撹拌した後、塩化コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm、マンガン原子換算で20ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、クエン酸キレートチタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で30ppmとなるように添加し、5分後、リン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3.5時間であった。
得られたポリマーのIVは0.66、ポリマーの融点は259℃、溶液ヘイズは0.7%であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は30ppm、リン原子の含有量は10ppmであり、Ti/P=1.9であり、アンチモン原子の含有量は0ppmであることを確認した。
また、このポリエステルを乾燥後、紡糸機に供し、メルターにて溶融した後、計量し紡糸口金から吐出し、整流された20℃のエアを25m/分の速度で水平に当てて冷却し、オイリングローラで油剤付与後800m/分の速度で引き取り引き続いて巻き取った。得られた未延伸糸は固有粘度0.695、破断伸度518%、複屈折率0.002、2次転移点温度は70℃であった。該未延伸糸を、延伸速度600m/分、未延伸糸予熱温度85℃、1段目延伸倍率4.0倍、2段目延伸前加熱温度105℃、2段目延伸倍率1.4倍で2段階延伸した後、210℃で7.5%リラックス熱処理を行い、6〜12t/mの実撚りを掛けて78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。延伸時の糸切れを前述の方法で判定した。得られたポリエステル繊維を前述の方法で破断強度、染着性および高速可縫性について評価した。延伸時の糸切れはB判定であり、破断強度は7.4cN/dtexでA判定、染着性はA判定、高速可縫性はB判定であった。
実施例2、3、比較例1および2
用いるポリエステルのIVを0.64(比較例1)、0.71(実施例2)、0.75(実施例3)、0.71(比較例2)、引取速度およびそれに引き続いた巻取速度を600m/分(比較例1)、1000m/分(実施例2)、1250m/分(実施例3)、1500m/分(比較例2)とした点以外は実施例1と同様の方法で重合および溶融紡糸して得られたポリエステル未延伸糸を、延伸倍率を1段目4.1倍、2段目1.5倍(比較例1)、1段目3.9倍、2段目1.3倍(実施例2)、1段目3.7倍、2段目1.25倍(実施例3)、1段目3.5倍、2段目1.25倍(比較例2)とした以外は実施例1と同様の方法で延伸し、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1に示すとおり実施例2、3については良好な結果となったが、比較例1および2については延伸糸強度、高速可縫性が悪化した。
実施例4
未延伸糸予熱温度を80℃とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1に示すとおり良好な結果となった。
比較例4、5、6、実施例5および6
延伸倍率を1段目2.2倍、2段目2.8倍(比較例4)、1段目3.0倍、2段目1.9倍(比較例5)、1段目3.4倍、2段目1.6倍(実施例5)、1段目4.8倍、2段目1.25倍(実施例6)、1段目5.1倍、2段目1.05倍(比較例6)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表1および2に示すとおり実施例5、6については良好な結果となったが、比較例4、5および6については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
比較例7および実施例7
2段目延伸前の加熱温度を80℃(比較例7)、95℃(実施例7)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例7については良好な結果となったが、比較例7については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
比較例8、9および実施例8
リラックス熱処理温度を190℃(比較例8)、235℃(実施例8)、250℃(比較例9)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例8については良好な結果となったが、比較例8および9については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化した。
比較例10、11、実施例9および10
リラックス熱処理のリラックス率を2%(比較例10)、4%(実施例9)、11(実施例10)、15%(比較例11)とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり実施例9および10については良好な結果となったが、比較例10については延伸糸切れ、高速可縫性が悪化し、比較例11においては延伸時の糸切れによりサンプリングが不可能な状態となった。
比較例12
用いるポリエステルのIVを0.77とした以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表2に示すとおり延伸糸切れ、染着性、高速可縫性ともに悪化した。
実施例11および12
クエン酸キレートチタン化合物の2重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で45ppm(実施例12)となるように添加した点、5分後、リン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で20ppm(実施例11)または15ppm(実施例12)となるように添加した点以外は実施例2と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸し、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示すとおり良好な結果となった。
実施例13
重合用触媒としてクエン酸キレートチタン化合物でなく三酸化アンチモンを、得られるポリマーに対して金属量で300ppmとなるよう加えた以外は実施例1と同様の方法で重合、溶融紡糸および延伸を行い、78dtex24フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示す。
実施例14〜21
触媒として用いたクエン酸キレートチタン化合物の添加量を得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.3、0.5、1.2、3、50、100、150、200ppm(それぞれ実施例14、15、16、17、18、19、20および21)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。チタン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表3に示す。
実施例22〜31
エチレングリコール溶液として加えるリン酸を得られるポリマーに対してリン元素量換算で0.07、0.10、1、3、50、100、150、200、400、500ppm(それぞれ実施例22、23、24、25、26、27、28、29、30、31)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。リン酸量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表4および5に示す。
実施例32、33および34
触媒としてチタン化合物の他に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で10(実施例32)、30(実施例33)、50ppm(実施例34)添加したこと以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。三酸化アンチモン量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表4および5に示す。
実施例35〜40
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ0.7、1、100、250、400、500ppm(それぞれ実施例35、36、37、38、39、40)となるように加えたこと以外は実施例2と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。マンガン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5に示す。
実施例41
エチレングリコール溶液として加える酢酸マンガンを、得られるポリマーに対してマンガン原子換算でそれぞれ500ppmとなるように、またリン酸の10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算で2ppmとなるように添加した以外は実施例2と同様にして重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。マンガン化合物量およびリン化合物量を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5に示す。
実施例42〜50
触媒として用いるチタン化合物をそれぞれクエン酸キレートチタン化合物(実施例42および43)、乳酸キレートチタン化合物(実施例44、45および46)、チタンアルコキシド化合物(実施例47、48および49)またはチタン/ケイ素複合酸化物(実施例50)とし、エチレングリコール溶液として加えるリン化合物をリン酸(実施例44および48)、フェニルホスホン酸(実施例42および45)、フェニルホスホン酸+リン酸(実施例43および46)、ジエチルホスホノ酢酸エチル(実施例47および49)またはフェニルホスホン酸ジメチル(実施例50)とした以外は実施例2と同様の方法で重合し、溶融紡糸し、延伸を行った。チタン化合物および/またはリン化合物の種類を変更しても重合反応性は良好に推移した。また得られたポリエステル繊維を実施例1と同様の方法で評価した結果、表5および6に示すとおり良好な結果となった。
Figure 2005120498
Figure 2005120498
Figure 2005120498
Figure 2005120498
Figure 2005120498
Figure 2005120498

Claims (14)

  1. 固有粘度が0.65〜0.75であるポリエステルを溶融紡糸し未延伸糸を得た後、該未延伸糸を下記(1)〜(6)式を同時に満足する条件で2段階延伸し、次いで下記(7)、(8)式を同時に満足する条件でリラックス熱処理することを特徴とするミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    (1)未延伸糸の複屈折率 Δn
    0.002≦Δn≦0.008
    (2)未延伸糸の予熱温度 T1(℃)
    T1>Tg
    Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
    (3)2段階延伸倍率
    R1>R2
    R1:1段目延伸倍率
    R2:2段目延伸倍率
    (4)1段目延伸倍率 R1
    1+(L1/100)<R1<1+[(0.85×L2)/100]
    L1:未延伸糸の定張力伸張域伸度(%)
    L2:未延伸糸の破断伸度(%)
    (5)2段延伸前の加熱温度 T2(℃)
    Tg+20<T2
    Tg:未延伸糸の2次転移点温度(℃)
    (6)2段目延伸倍率 R2
    1.1<R2<2.0
    (7)熱処理温度 T3(℃)
    200≦T3≦245
    (8)熱処理リラックス率 Re(%)
    4≦Re≦12
  2. チタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、チタン化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm含有し、リン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm、アンチモン化合物を含まないかまたはポリエステルに対するアンチモン原子換算で30ppm以下含有することを特徴とするポリエステルを用いた、請求項1記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  3. チタン化合物(二酸化チタン粒子を除く)とリン化合物の比率が、チタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項2記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  4. 触媒としてマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン化合物とリン化合物の比率が、マンガン原子とリン原子のモル比率としてMn/P=0.1〜200であることを特徴とする請求項2または3記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  5. リン化合物がリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  6. リン酸系リン化合物がリン酸及び/またはリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項5記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  7. ホスホン酸系リン化合物がホスホン酸及び/またはホスホン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項5記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  8. チタン化合物が酸化物であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  9. チタン化合物が、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とする請求項8記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
  10. チタン化合物の置換基が下記式1〜式6で表される官能基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005120498
  11. チタン化合物の置換基が下記式1〜式3のR1〜R3がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項2〜7記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005120498
  12. チタン化合物の置換基が下記式1〜式3中のR1〜R3のうち少なくとも1つが、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項2〜7記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005120498
  13. チタン化合物の置換基が下記式1のR1〜R3のうち少なくとも1つが、カルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項2〜7記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005120498
  14. チタン化合物の置換基が下記式4のR1が炭素数1〜30の炭化水素基もしくは、水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする請求項2〜7記載のミシン糸用高強度ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005120498
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