JP2005119742A - 合成樹脂製壜体 - Google Patents

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Junichi Itokawa
淳一 糸川
Takao Iizuka
高雄 飯塚
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Abstract

【課題】 ボトルを収容した紙製容器の側板がたわむ胴膨れを起こすことなく、紙製容器を複数積重ねることができる合成樹脂製壜体を提供すること。
【解決手段】、閉塞部材により密閉された口部と、容器内方に湾曲した湾曲壁を設けた底部を有する合成樹脂製壜体において、湾曲壁に下方に突出した突条を、突条の最下端部から底部の最下面までの距離が3mm以下となるように形成し、かつ同一形状の壜体を下方に配したとき壜体の最上端面が当接する位置に備えて合成樹脂製壜体を構成した。
これにより、壜体を収容した紙製容器を縦に積重ねた場合でも、荷重を壜体が支えるため、紙製容器を変形、破損させない。
【選択図】図1

Description

本発明は、内容物を充填した壜体を紙製の容器内に収容し、その紙製容器を積み重ねたときに紙製容器を変形させない合成樹脂製壜体に関するものである。
PETボトル等など合成樹脂製壜体(以下、「ボトル」とする。)は、取り扱いが便利で内容物に匂いなどを付着させないことなどから飲料水や醤油などの収納、保管に多く用いられている。内容物が充填されたボトルは複数本まとめて、通常段ボール紙などからなる紙製容器に収容し、流通、保管されている。
また特許文献1において、ボトルは、衝撃に対する強度や減圧変形特性などを考慮し、底部がボトルの内方に湾曲している。
実開平6−80613号公報
従来の底部形状を有するボトルを紙製容器20に収容した状態を図10に示す。この図10に示すように、ボトル31は最下面、すなわち底部34の周囲で紙製容器20の底板22に接し、底板22と底部34の中央には空間35が形成される。
またボトル31を収容した紙製容器20は、一般的に図13に示すようにパレット36上に3段から5段程度縦に積み重ねて保管され、更にこのパレット36を2、3段程度積み重ねる場合もある。
各紙製容器20内には、ほぼ同一の状態でボトル31が収容されていることから、紙製容器20を縦に積み重ねると、下段の紙製容器20に収容されているボトル31のキャップ2の直上に上段の紙製容器20内のボトル31の底部34の中央部が位置する。そこで湿度の上昇などにより紙製容器20の蓋板21や底板22等の強度が低下すると、図11に示すようにボトル31が自重により下がり底部34の空間35内に下段の紙製容器20内のボトル31のキャップ2が入り込むことが起こる。
すると、蓋板21や底板22が凸凹に変形したり、更に図12に示すように紙製容器20の側板が横方向にたわむ胴膨れを起こしたりして外観上好ましくなく、更には紙製容器20を破損させてしまうという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するため次のように合成樹脂製壜体を構成した。
請求項1に記載の発明は、閉塞部材により密閉された口部と、容器内方に湾曲した湾曲壁を設けた底部を有する合成樹脂製壜体において、前記湾曲壁に下方に突出した突条を、該突条の最下端部から該底部の最下面までの距離が3mm以下となるように形成し、かつ同一形状の壜体を下方に配したとき該壜体の最上端面が当接する位置に備えて合成樹脂製壜体を構成した。
壜体の最上端面は、口部に螺合されたキャップ上端面に限らず、ヒンジにより開閉する蓋部や、開閉蓋を覆うカバーキャップの上端面、壜体本体の一部などでもよい。更に、それらは壜体の中心軸上になく、中心軸からいずれかの方向に偏っていてもよい。
壜体の中心軸上に最上端面が位置しないときは、壜体を中心軸周りに回転させても常に突条等と対向することが好ましい。
壜体の最下面とは、壜体を何かの表面に載置したとき直接その表面に接触する面(接地面)をいう。
底部の湾曲壁に設けた突条の最下端部は、壜体の最下面との距離を3mm以下とし、該最下端部が該最下面の高さと等しくなく、若干の沈みこみがあっても紙製容器の変形が許容範囲内であればよいこととする範囲内の高さに設ける。この最下端部を最下面と等しい高さに形成すると、成形誤差や内容物の充填等の各工程における熱履歴等の影響により、壜体を立てたときの安定性を損なう怖れもあることから、最下端部は最下面より壜体内方(上方)にあるほうが好ましい。尚壜体の素材は限定されず、任意の素材を使用することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の合成樹脂製壜体において、突条の下面をほぼ水平な平坦面となるように形成し、合成樹脂製壜体の底部中心から平坦面の内縁端までの距離が、壜体の最上端面の半径未満で、かつ突条をほぼ等しい中心角位置に少なくとも3箇所、放射状に設けて構成した。尚、ほぼ水平な平坦面には、突条の下面が底部中心側から底部の外端側に向けて若干下がるように形成された傾斜面も含むこととする。
請求項3に記載の発明は、放射状に配置した突条間を連結する周状突条を設けた。この周状突条は、連続せずいくつかの突条間を連結するように設けても、円環状に形成した環状突条でもよい。
請求項4に記載の発明は、周状突条を突条と同一高さに形成した。
請求項5に記載の発明は、突条の断面を半円状とした。尚、半円状とは、楕円、長円等のほぼ1/2の形状を含むものとし、全体にわたっていずれの箇所にも角部がないという意味である。また周状突条の断面を突条と同様に半円状としてもよい。
壜体を紙製容器に収容し、その紙製容器を上下に積み重ねた場合、紙製容器の蓋板や底板が湿気等を吸収して強度を失なっても、下方の壜体の最上端面が上方に積み重ねた壜体の最下面に近い高さに形成された突条の最下端部に紙製容器の蓋板および底板を介して当接する。そのため、紙製容器の蓋板や底板が湿気等を吸収して強度を失なっても、紙製容器の蓋板や底板が変形して下方の壜体の口部が上方の壜体の底部の湾曲壁内に侵入することがなく、壜体を入れた紙製容器を複数段上下に積み重ねても、紙製容器の側面が横方向に張り出す等の紙製容器の膨出や変形、破損を発生させない。
また底部に形成された突条が、キャップなどの壜体最上端面と確実に当接し、紙製容器の変形を防止する。また突条が少なくとも3箇所、放射状に均等に設けられているため、キャップ上端面に底部が安定して載置される。
壜体の底部に、放射状に設けられた突条間を連結する周状突条を形成した場合には、突条間が補強され、高い耐久性、耐衝撃性を得ることができる。
更に周状突条上で荷重を支持することができ、底部における支持面積を広くできる。尚、周状突条は間欠に設けても、あるいは全周連続した環状でもよく、突条間が補強されればよい。また周状突条の上面の高さは、放射状に形成された突条と必ずしも同一の高さでなくともよい。
また、突条の断面を半円状とした場合には、壜体を加熱したり、壜体内部を加圧した際の突条の変形を小さくし、底部の耐久性を高くできる。
本発明にかかる合成樹脂製壜体の一実施形態を図1に示す。
壜体(以下、ボトルとする)1は、合成樹脂製で、有底円筒状のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより成形され、上部にはキャップ2が螺合する口部が形成されている。また底部4にはボトル1の内方に湾曲した湾曲壁5が形成され、湾曲壁5には図2に示すように中心から放射状に4つの突条6が等しい中心角で設けられている。
突条6は、底部4の最下面である接地面10より若干内方の高さ(本実施形態では2mm)にほぼ水平の平坦面8が延びた断面がほぼ台形状の突条であり、その平坦面8の内縁端9がボトル1の中心からキャップ2の半径(二点鎖線で示す。)で形成された円内に位置している。
また、平坦面8と接地面10との高さ方向の距離は3mm以下が好ましく、3mmを越えると紙製容器20(図4参照)の強度が低下した際に、紙製容器20の胴膨れや変形、破損が生じる可能性が考えられる。好ましくは、平坦面8と接地面10との距離が2mm以下にするとよい。
ボトル1によれば、図8に示すように段ボール紙製の紙製容器20にボトル1を所定本数収容し、紙製容器20を縦に積み重ねると、紙製容器20の強度が保持されている段階では、主に紙製容器20が積層重量を支える。一方湿気を吸収するなどして紙製容器20の強度が低下すると、キャップ2と突条6の平坦面8が図3に示すように紙製容器20の蓋板21と底板22を介して直ちに接触する。これによりボトル1の重量を紙製容器20でなく、下方のボトル1が図4に示すように支持することとなる。
尚、紙製容器20に代え、少なくとも一部を樹脂材で形成したり、熱収縮性樹脂等による梱包でもよい。また紙製容器20を積み重ねた当初より、蓋板21と底板22を介してキャップ2と突条6の平坦面8が接触するように内部をボトル1の高さに等しく形成してもよい。
このようにキャップ2と平坦面8が紙製容器20の蓋板21と底板22を介して接触すると、それ以上紙製容器20に上下方向から押圧する力が加わることがなく、紙製容器20に胴膨れや変形、破損が発生しない。
図5〜図7に周状突条としての環状突条11を底部4に形成した例を示す。このボトル3は、上記ボトル1と同様底部4に壜体内方に湾曲する湾曲壁5を有し、その底部4に4つの突条16を均等に放射状に形成し、更にこれら突条16と交差して底部4の中心と同軸に配置した環状の環状突条11を有している。
図6は図5のA−A線部分断面図であり、図7はボトル3の底部4を下側から見上げた状態を示す斜視図である。図6、7に示すように環状突条11は断面が台形状で、高さは突条16の高さと同一であり、環状突条11の平坦面8の幅は、略一定で、突条16の平坦面の幅と略等しく形成してある。また突条16の内縁端9は、ボトル3のキャップ(図示せず)の外径より小さい円内に位置するように形成してある。尚、環状突条11の高さ及び幅は、突条16と同一でなくともよい。
このボトル3によれば、突条16と交差して環状突条11が形成してあることから、突条16間を補強できる。更に環状突条11の底面においても荷重を支持でき、支持可能な箇所を拡大できる。
更に図8、図9にボトルの他の例を示す。図8は、図9のB−B線部分断面図であり、このボトル7の底部4には図8に示すような断面形状が半円状の突条26が6つ放射状に均等の角度で配置してある。突条26の高さは、設置面10より2mm程度高く、すなわちボトルの内方側に形成してある。また各内縁端9は、キャップ2が形成する円の内側に位置している。
このボトル7によれば、突条26の断面が半円状であるので、成形性がよく、またボトル7を加熱したり内部を加圧した時の突条26の変形を小さくでき、高い耐久性が得られる。更に、かかる突条26に上述したように環状突条11を交差させて設けてもよい。
尚、安定してボトル1を積重ねるためには、突条6は少なくとも底部に3箇所必要であるが、紙製容器20内で、左右への傾倒を防止するように各ボトル1が保持されていれば、突条6を1箇所もしくは2箇所のみに設けたものでもよい。
また、キャップ2はボトル1の口部に螺合により締結する形態に限定されるものでなく、ヒンジを用いた開閉式でも、またカバーキャップで覆われていてもよい。カバーキャップの場合、カバーキャップの上端面が突条6に当接する。
更に、キャップ2等の壜体の最上端面がボトル1の中心軸上になくとも、また壜体の最上端面がキャップ2の上端面でなくともよく、壜体本体の一部が最上端面となり、それに対応した底部に、突条が形成されていたり、最下面近傍が位置して、上方に載置した壜体を最上端面で支持できればよい。また、本発明にかかるボトルは円筒状でなく、角柱状更にその他の形状でもよい。
また、環状突条11を突条16等と同一の高さに成形しなくともよく、高く、つまりボトル1等の内方に形成してもよい。更に、環状突条11を環状でなく、突条16間を補強できれば間欠に形成した周状突条や、あるいは環状突条11を複数設けてもよい。
本発明にかかる壜体の一実施形態を示した部分断面正面図である。 壜体の底部を示す図である。 壜体の積重ね状態を示す図である。 壜体の収容状態を示す図である。 他の壜体を示す図である。 他の壜体を示す図である。 他の壜体を示す図である。 他の壜体を示す図である。 他の壜体を示す図である。 従来の壜体の収容状態を示す図である。 従来の壜体の収容状態を示す図である。 従来の壜体の積重ね状態を示す図である。 壜体の収容を示す図である。
符号の説明
1、3、7 ボトル
2 キャップ
4 底部
5 湾曲壁
6、16、26 突条
8 平坦面
9 内縁端
10 接地面
11 環状突条
20 紙製容器
21 蓋板
22 底板

Claims (5)

  1. 閉塞部材により密閉された口部と、容器内方に湾曲した湾曲壁を設けた底部を有する合成樹脂製壜体において、
    前記湾曲壁に下方に突出した突条を、該突条の最下端部から該底部の最下面までの距離が3mm以下となるように形成し、かつ同一形状の壜体を下方に配したとき該壜体の最上端面が当接する位置に備えたことを特徴とする合成樹脂製壜体。
  2. 前記突条の下面をほぼ水平な平坦面となるように形成し、該合成樹脂製壜体の底部中心から該平坦面の内縁端までの距離が、前記壜体の最上端面の半径未満で、該突条をほぼ等中心角位置に少なくとも3箇所、放射状に設けたことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製壜体。
  3. 前記底部に前記突条間を連結する周状突条を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製壜体。
  4. 周状突条の高さは突条と同一の高さであることを特徴とした特徴とする請求項3に記載の合成樹脂製壜体。
  5. 突条の断面を半円状としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成樹脂製壜体。
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