本発明の多色感熱記録体において、感熱発色層は有機高分子と黒発色する第1染料前駆体とからなる複合粒子、複合粒子と同色調に発色する第2染料前駆体からなる固体微粒子、前記第1染料前駆体とは異なる色調に発色する第3染料前駆体からなる固体微粒子、および前記呈色剤とを含有し、前記感熱発色層がシート状支持体上に設けられている。この場合、低温発色色調は固体微粒子状態で存在する第3染料前駆体の発色色調である。
前記複合粒子の作製については、上記特許文献13、14、15、16、17に記載の方法により可能である。有機高分子の中では特に記録部の保存性が良好との理由で、ポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンの少なくとも一種が好ましく用いられる。
次に、前記有機高分子がポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンの少なくとも一種である複合粒子の作製方法について記載する。上記複合粒子は、第1染料前駆体、並びに、重合によりポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンの少なくとも一種を形成する高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコールなどの親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、さらに必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたものや前記第1染料前駆体を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で乳化分散後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたものである。
前記高分子形成性原料は、多価イソシアネート化合物のみであってもよいし、または多価イソシアネート化合物およびこれと反応するポリオール、ポリアミンとの混合物、あるいは、多価イソシアネート化合物とポリオールとの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体などの多量体であってもよい。
多価イソシアネート化合物と水が反応してアミン化合物ができ、そのアミン化合物と多価シソシアネート化合物とが反応してポリウレアが形成される。かかる反応と、さらに水酸基を有する有機化合物と多価イソシアネート化合物が反応してポリウレア−ポリウレタンが形成される。
また、前記複合粒子中の第1染料前駆体の含有量は、複合粒子全固形分に対し5〜80質量%程度が好ましく、20〜50質量%程度がより好ましい。
黒色発色を与える第1染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等の少なくとも1種を用いることができる。
本発明においては、前記黒色発色を与える第1染料前駆体の中でも、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオランが地肌かぶりを生じにくいという点で好ましい。
本発明で好ましく使用される複合粒子は、ポリウレア、およびポリウレア−ポリウレタンより選ばれた少なくとも1種の高分子物質と、第1染料前駆体とからなるものであって、第1染料前駆体と高分子物質とが分子レベルで混合し、固溶体状態で存在していると考えられる。この複合粒子中には、油性溶媒などの液体を残存していない。複合粒子は空隙部分が実質的に存在しない密実固体であることが最も好ましいが、多孔質固体、又は中空固体であってもよい。しかし、粒子径の三分の一以上の直径を有する単一の空洞を有する中空固体は、好ましくなく、むしろ微細な空孔が散在する多孔質固体の方が好ましい。ここで「空隙部分が実質的に存在しない」とは、電子顕微鏡による複合粒子の断面観察において空隙部分の存在が認識できないことをいう。複合粒子中に液体が存在していたり、粒子径の三分の一以上の直径を有するような単一の空洞部分が存在すると、感熱発色層面、あるいは感熱発色層上に設けた保護層面を加圧式のカレンダーで平滑化処理を行う時に複合粒子が破壊されやすく白色度が低下するという不都合を生ずることがある。
有機溶剤を使用して複合粒子を調製する場合は、十分に有機溶剤を揮発除去するために溶剤の種類、乳化分散条件、染料前駆体と溶剤等の配合比率などを勘案し、実験的に条件を設定しておけばよい。一般的には、沸点が50℃以下の溶剤を使用した場合、解放容器を使用し、乳化分散後の分散物を50℃以下、より好ましくは20〜45℃の温度に30分以上、より好ましくは3時間以上保持することにより、有機溶剤を揮発除去することができる。有機溶剤の除去後、高分子化原料を高分子化するために分散液を80℃〜95℃に加温し、この温度に1時間以上、より好ましくは2時間以上保持する。乳化分散後、溶剤が存在する状態で重合を開始すると、得られる複合微粒子中に複合微粒子の粒径の三分の一以上の径を有する単一の空孔が形成され、複合微粒子は中空体となる。本発明において、中空微粒子を用いることができるが、圧力により変形するのであまり好ましくない。
高分子形成性原料として用いられる多価イソシアネート化合物としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物などが挙げられる。
また、高分子形成性原料に用いられるポリオール化合物としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、フェニルエチレングリコール、ペンタエリスリトール、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシアクリレートなどが挙げられる。
もちろん、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物及びポリオール化合物などは、上記化合物に限定されるものではなく、また、必要に応じて二種以上を併用してもよい。なお、本発明で使用される多価イソシアネート化合物、又は多価イソシアネート化合物とポリオール化合物との付加物のうちでも、分子中にイソシアネート基を三個以上有するものを用いることが特に好ましい。
また本発明の高分子形成性原料に用いられるポリアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。
本発明では、複合粒子の調製時の乳化分散において親水性保護コロイド剤のほかに界面活性剤、消泡剤などを使用してもよい。複合粒子調製の際の親水性保護コロイド剤の使用量については特に限定はないが、一般に、複合粒子全固形分に対して1〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%程度であることがより好ましい。
本発明に使用される複合粒子中には、第1染料前駆体の他に、バーコードリーダーでの読み取り性を向上させるために更に3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド等の染料、必要に応じて記録感度を高めるために融点が40〜150℃程度の芳香族有機化合物(増感剤)、耐光性を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶性蛍光染料、離型剤等が添加されていてもよい。このような添加物質は、常温で固体であることが好ましいが、液体であってもよい。第1染料前駆体が2種類以上の染料前駆体の混合物であってもよい。低温発色により形成される色調と混色することにより黒色色調となる発色色調、すなわち補色の関係にある発色色調を有する染料前駆体を複合粒子中に含有させることにより、高温発色色調を黒色とする場合、より黒味の強い高温発色色調を得ることができる。この場合、黒色発色性染料前駆体と、低温発色色調に対して補色の関係にある色調を発色する染料前駆体とを併用して第1染料前駆体を構成することもできるし、低温発色色調に対して補色の関係にある色調を発色する染料前駆体のみを単独第1染料前駆体として複合粒子中に含有させてもよい。
本発明の複合粒子を使用することにより、押圧力による地発色や、白紙状態で長期保存した時の地肌かぶり発生を抑制することができ、併せて記録部の可塑剤や油による消色も著しく抑制することができる。
本発明の多色感熱記録体において使用する複合粒子中の第1染料前駆体は、高分子物質中に覆われているため、染料前駆体単独で存在する固体微粒子状態に比べると、発色感度が低下したり、耐光性試験での記録部の安定性が劣る欠点がある。
前記欠点を解決するために、第1染料前駆体と同色調で発色する第2染料前駆体を固体微粒子状態で感熱発色層中に存在させることにより、発色感度を向上させたり、耐光性試験での記録部の安定性を図るものである。
また、第2染料前駆体は2色分離の観点から、融点は200℃以上が好ましい。
かかる第2染料前駆体としては、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o‐クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン)、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−ジメチルアミノ)アリニノ−5,7−ジメチルフルオランから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
本発明において使用される複合粒子の平均粒子径は、発色感度を考慮すると、0.1〜15μmであることが好ましく、1.0〜6.0μmの範囲となるように調節することがより好ましい。平均粒子径が小さい程、発色感度は高くなるが、それが小さすぎると固体微粒子状にある第2染料前駆体との感度区分が不明確になるため好ましくない。
本発明においては、複合粒子中に含まれる第1染料前駆体と固体微粒子状態で存在させる第2染料前駆体の比率には、限定はないが、一般に複合粒子中に含まれる第1染料前駆体100質量部に対し、固体微粒子状態で存在させる第2染料前駆体の量を20〜600質量部にすることが好ましく、より好ましくは50〜300質量部である。なお、20質量部未満だと発色感度の向上効果が少なく、記録部の耐光性改善効果が少ない傾向にあり、600質量部を超えると耐油性等の記録部の保存性が劣る傾向にあり、好ましくない。
前記第3染料前駆体としては、黒とは異なる色調に発色する、例えば赤、赤紫、オレンジ、青、緑等の発色色調を与える染料前駆体があげられる。
たとえば、赤もしくは赤紫、オレンジ色系統の発色を与える染料前駆体としては、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−ジメチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフルオラン、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、および3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオランをあげることができる。
赤色、赤紫色、オレンジ色系統の発色色調を与える染料前駆体としては、さらに3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−プロピオニルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ホルミルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−アリルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、および2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランをあげることができる。
赤色、赤紫色、およびオレンジ色系統の発色色調を示す染料前駆体として、さらに3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−p−メチルフェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、および7−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕などをあげることができる。
上記化合物のなかでも、発色感度が高く、地肌かぶりが少ないという点で、赤色発色を与える染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、および3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオランが好ましく、オレンジ色発色を与える染料前駆体としては、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、および7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕が好ましく、赤紫色発色を与える染料前駆体としては、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドが好ましい。特に赤色発色性染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、または3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオランを使用する場合、色調補正のために、色調の異なる染料を混合使用することはむしろ望ましく、例えば3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、もしくは3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドなどの赤紫系統の色調に発色する染料前駆体を少量配合することにより、一層赤味を強く感じる色調を発色することができる。
青色発色を与える染料前駆体としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、および3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオランなどをあげることができる。特に、これらの青発色性染料前駆体の中では、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドが、地肌かぶりが少ないという点から好ましい。
緑色発色を与える染料前駆体としては、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、および3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドなどをあげることができる。これらのなかでも3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドが、地肌かぶりが少ないという点から好ましい。
黄色系統の発色を与える染料前駆体として、3,6−ジメトキシフルオラン、および1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレンなどがある。上記の染料前駆体は単独で使用してもかまわないが、色調補正のために他の色の発色性染料と併用することも効果的である。
本発明において、前記染料前駆体を固体微粒子状態の第2および第3染料前駆体として使用する場合、当該染料前駆体を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン基変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体などの水溶性合成高分子化合物の他、必要に応じて界面活性剤、消泡剤などと共に分散媒体中に分散させ分散液とし、この分散液を感熱発色層形成用塗料の調製に用いることができる。また染料前駆体を溶剤に溶解した後、この溶液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散後、この乳化液から溶剤を蒸発させ染料前駆体を固体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も固体微粒子状態で使用する第2および第3染料前駆体の分散粒子の平均粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmである。
本発明において使用される呈色剤としては4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのフェノール性化合物をあげることができる。
さらに本発明において、呈色剤として使用できる化合物としては4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性物質などが挙げられる。
本発明において呈色剤として使用するヒドロキシル基を分子内に含むジフェニルスルホン誘導体は、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどを包含する。このような呈色剤は、発色画像の保存性に優れた特性を有する。これは、上記呈色剤のスルホン基の強い電子吸引性によるものと推測される。また、油や可塑剤などが接触しても消色しにくい発色画像を形成するためには、呈色剤として4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、又はN−(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素を使用することが好ましい。
呈色剤は通常、染料前駆体の合計100質量部に対し、100〜700質量部の量で用いられることが好ましく、より好ましくは150〜400質量部の割合で使用される。もちろん必要に応じて、2種類以上の呈色剤を併用することもできる。
本発明においては、主に発色記録画像の保存性向上のために、画像安定化剤を用いてもよい。このような画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
感熱記録体の感熱発色層の発色感度を調節するために、感熱発色層に熱可融性物質を増感剤として含有させることができる。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。特にシュウ酸ジ−p−メチルベンジルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルを増感剤として使用すると、かぶりが少ない増感効果が得られる。
本発明において使用される顕色性化合物、画像安定化剤および増感剤などの添加剤は、第2および第3染料前駆体を固体微粒子状態で使用する時と同じ方法で水中に分散させ、感熱発色層形成塗料の調製の際にこれに混合すればよい。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、水溶性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化して使用することもできる。さらには前述の複合微粒子調製方法と同様の方法で、これら化合物を含有する複合微粒子を作成し、これを感熱発色層に含有させてもよい。また画像安定化剤および増感剤は、第1染料前駆体を含有する複合微粒子中に含有させてもよい。特に増感剤を第1染料前駆体と一緒に複合微粒子に含有させることにより発色感度を所望値に調整することもできる。
本発明においては、感熱発色層の白色度向上、および画像の均一性向上のため、白色度が高く、平均粒径が10μm以下の微粒子顔料を感熱発色層に含有させることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が使用できる。サーマルヘッドに対するかす付着、およびスティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/100g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配合量は、発色濃度を低下させない程の量、すなわち、感熱発色層の全固形分重量に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明において、感熱発色層を構成する他の成分材料として、接着剤が用いられ、さらに必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、および蛍光染料などを用いることができる。接着剤としては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることができる。
また、感熱発色層の耐水性を向上させるために、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱発色層中に含有させることができる。例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱発色層の全固形分重量に対し1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
感熱発色層に添加されるワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、およびポリエチレンワックスなどのワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、およびその誘導体などをあげることができる。特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱発色層に添加すると、耐地肌かぶり性を悪化せずに増感効果を得ることができる。
感熱発色層に添加される金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。また低温発色色調に対して補色の関係にある色調を有する有色染料、および/又は有色顔料を感熱発色層中に含有させることは、印字前の記録材料の色調を調節するために好ましく用いられる。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、感熱発色層中に、さらに撥油剤、消泡剤、粘度調節剤など各種添加剤を添加することができる。
本発明に用いられる支持体材料の種類、形状、寸法などには、格別の限定はなく、例えば上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等も適宜選択して使用することができる。
本発明においては、多色感熱記録体の付加価値を高めるために、これにさらに加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙を使用することもでき、或は磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることができる。特に、粘着加工、および磁気加工を施したものは2色感熱ラベルや、2色感熱磁気乗車券などの用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん両面感熱記録材料とすることもできる。本発明多色感熱記録体として、低温発色色調の異なる2種以上の2色感熱記録材料を使用すると、例えばファイルの色分け、配送品の行き先表示の色分け、レシートとジャーナルとの色分けなど、さまざまな用途で異なる色による認識を行うことができるようになる。
本発明においては、感熱発色層の上に保護層を設け、感熱発色層の下に下塗層を設けることができる。これらの追加層として、従来から公知の感熱記録材料に使用されている保護層、および下塗層を利用することができる。保護層、および下塗層は、ともに顔料、および接着剤を主体とし構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともでき、またこれを2層以上に構成することもできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
下塗り層には、シリカ、焼成カオリンなどのような空隙率の高い顔料を使用することにより、その上の感熱発色層の発色感度をあげることができる。また下塗り層中にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含有させることもその上に形成される感熱発色層の発色感度向上に効果がある。
本発明の感熱発色層上にUV硬化樹脂、EB硬化樹脂を含む保護層を設けることもできるし、その上に、UVインキ、フレキソインキなどで印刷することもできる。保護層にシリコンなどの離型剤を用いることにより本発明の感熱記録材料をライナーレスの粘着ラベルとして利用することもできる。この場合、印刷後に離型剤を塗工してもよい。
支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、およびエクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また印刷機などを使用して本発明の感熱発色層塗料を部分印刷して使用することもできる。感熱発色層用塗料は、支持体の一表面に乾燥重量で1〜10g/m2となるように塗布され、それによって感熱発色層が形成される。また、記録材料裏面からの油や可塑剤の浸透を抑制させることや、又はカールコントロールのためにバック層を設けることもできる。また感熱発色層をスーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理することは、その発色感度を高める事に効果がある。感熱発色層表面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
本発明を下記実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
・下塗り層用塗液の調製
吸油量110mlの焼成カオリン88部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(固形分濃度:50%)ラテックス20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、ポリアクリル酸ナトリウムの20%水溶液5部および水190部を均一に混合して下塗り層用塗液を得た。
・第1染料前駆体含有の複合粒子分散液(A液)の調製
第1染料前駆体として3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン3部とを100℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート9部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数8000rpm の攪拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水60部を加えて均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、10時間の硬化反応を行わせた後、固形分濃度が20%となるように水を添加し、平均粒子径0.8μmの複合粒子分散液を得た。
・第2染料前駆体の分散液(B液)の調製
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(融点:206℃)20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%液10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が0.8μmとなるように粉砕、分散して第2染料前駆体の分散液を調製した。
・第3染料前駆体の分散液(C液)の調製
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%液10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が0.8μmとなるように粉砕、分散して第3染料前駆体の分散液を調製した。
・呈色剤の分散液(D液)の調製
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%液10部、水30部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が1.2μmとなるように粉砕、分散して顕色性化合物の分散液を調製した。
・感熱記録層用塗液の調製
A液100部、B液15部、C液15部、D液120部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部および水70部を均一に混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
・保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセナールZ−200、日本合成化学工業製)10%液100部、カオリン200部、ステリン酸亜鉛30%分散体(商品名:ハイドリンZ−7、中京油脂製)10部および水100部を均一に混合して保護層用塗液を得た。
・多色感熱記録体の作製
坪量58g/m2の上質紙(紙面pH5.2)の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液および保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が8g/m2、7g/m2および2g/m2となるように塗布乾燥して下塗り層、感熱記録層および保護層を順次有する感熱記録体を得た。なお、各層を形成した後、スーパーキャレンダー処理をした。その後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が2000秒となるように平滑化処理し、多色感熱記録体を作製した。
実施例2
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランをそれぞれ3部使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例3
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランおよび3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドをそれぞれ2部使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例4
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランおよび3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドをそれぞれ2部使用し、実施例1のC液において、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランの代わりに3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例5
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランおよび3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドをそれぞれ2部使用し、実施例1のC液において、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランの代わりに3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオランを使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例6
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランおよび3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドをそれぞれ2部使用し、実施例1のB液において、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン(融点:218℃)を使用し、実施例1のC液において、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランの代わりに3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオランを使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例7
実施例1のA液において、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオランおよび3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドをそれぞれ2部使用し、実施例1のB液において、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(融点:180℃)を使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例1
実施例1でB液を使用しなかった以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例2
実施例2でB液を使用しなかった以外は実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例3
実施例3でB液を使用しなかった以外は実施例3と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例4
実施例5でB液を使用しなかった以外は実施例5と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例5
実施例1でA液を使用しなく、更にB液の3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用した以外は実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
得られた多色感熱記録体について以下の評価試験を行い、その結果を表1に示した。
・印字試験
プリンター(機種名:バーラベ300、(株)サトー社製)を用いて、印加エネルギー:0.17mJ/dotで低温発色、更に0.34mJ/dotで高温発色を行った。なお、印字パターンはバーコードで行った。
・高温発色部の濃度
高温発色部について、バーコード検証器(マクベス社製、PCM−II)を用いて660nmでのPCS値を測定した。
・発色部の2色分離性
下記のように判定した。
○:低温発色部が鮮明であり、2色分離性に優れていた。
△:低温発色部が高温発色色相の若干混ざった濁った発色であったが、実用上は問題なく2色の識別が可能であった。
×:低温発色部が高温発色色相の混ざった濁った発色であり、実用上は2色の識別が不可能であった。
・耐油性試験
食用油を綿棒で漬け、高温記録部上に10往復して1時間後ふき取り、1週間後記録部を観察する。
○:殆ど消えていない。
×:殆ど記録部が消えている。
・耐光性試験
バーコードの高温発色部を10000Luxの環境下で100時間暴露した後に、バーコード検証器(マクベス社製、PCM−II)を用いて660nmでのPCS値を測定した。