JP2005118725A - 粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えたジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法 - Google Patents

粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えたジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法 Download PDF

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Abstract

【課題】噴射されるガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、また3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ砕料をより短時間で微粉体化することができ、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕や球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等も短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕でき粉砕効率に優れる粉砕ノズルを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の粉砕ノズルは、噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、スリット状に形成されたスリット状噴射口と、前記スリット状噴射口の中心軸を通る中心軸線上に中心が位置するように1乃至複数形成された円形状噴射口と、前記スリット状噴射口及び前記円形状噴射口と連通するスリット状高圧ガス流路と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、砕料の粉砕に用いる粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えた水平旋回流型のジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法に関するものである。
近年、農薬,食品,トナー等のように熱に弱い粉体或いはセラミック粉体や金属粉体の生成等多分野に用いられ、高速ジェットにより粉体同士を衝突させて微粉砕を行うジェットミルが種々開発されている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)や(特許文献2)に「中空円盤状の旋回粉砕室と、前記旋回粉砕室の中心部の上部に配設され微粉体が排出される微粉排出口と、前記旋回粉砕室の周壁に配設され砕料を高圧ガスに同伴して導入する供給ノズルと、前記旋回粉砕室の周壁に噴射口が周壁側に傾斜して配設され旋回流を形成する粉砕ノズルと、を備えたジェットミル」が開示されている。
特開平12−42441号公報 特開2003−47880号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)や(特許文献2)に開示の技術では、粉砕ノズルから噴射されるガス流が乱れ易くガス流の速度が低下し易いため、旋回流の偏心が生じ易く砕料の種類によっては短時間で微粉砕できないものがあるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)には噴射口がスリット状の粉砕ノズルが開示されており、巻き込み渦が少なく速度分布がシャープな高速のエッジ状のガス流を得ることができるが、噴射口から離れるにつれ渦を巻き易くガス流の速度が低下し易いため、旋回流の偏心が生じ易く砕料の種類によっては短時間で微粉砕できないものがあるという課題を有していた。特に、粉砕処理量を高める目的で旋回粉砕室の内径を大きくして旋回粉砕室の容積を大きくするにつれ、この傾向が顕著になるという課題を有していた。
(3)粉砕効率を高める目的で粉砕ノズルや供給ノズルから噴射されるガス流の圧力を高くすると圧損も大きくなるため、ガス流の速度低下の度合が大きく、旋回流の偏心が生じ易く粉砕効率を高めることができないという課題を有していた。また、旋回粉砕室の内側から周壁に向かってガス流が吹き返し、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じるという課題を有していた。
(4)従来は、供給ノズルからの高圧ガスの流量をQ1、粉砕ノズルからの高圧ガスの流量をQ2とすると、流量がQ2<Q1(例えば、Q2はQ1の0.9倍程度)になるように粉砕ノズルの噴射口の開口面積を小さくする等してガス流量を調整して旋回流の偏心を防止していた。Q2≧Q1の場合には、経験的に旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室の周壁等への圧着が生じ易く、旋回粉砕室の周壁やノズル等が磨耗し易く、コンタミネーションが増加したり安定した連続運転が困難になるという課題を有していたからである。これによっても、粉砕ノズルから噴射されるガス流の圧力を1.5MPa程度までしか高められず、粉砕効率を高めることができないという課題を有していた。
(5)従来のジェットミルでは、砕料として球状の金属粒子等を用いた場合には、砕料を微粉砕することが困難であった。これは、旋回流に乗った粒子は旋回流の進行方向に順回転又は逆回転の自転をしており、粒子同士が旋回流中で衝突した場合には、粒子が引きちぎられて微粉砕される確率よりも互いに滑り合ってしまう確率が高いからであると推察している。
(6)砕料同士の衝突頻度を高めて粉砕効率を向上させるために、(特許文献2)では、微粉排出口の上部に補助粉砕ノズルを設けているが、補助粉砕ノズルから噴射するガスを供給する必要があるとともに装置構成が複雑になり、さらに粉砕ノズル等から旋回粉砕室に噴射するガス流と補助粉砕ノズルから微粉排出口に噴射するガス流の量等の調整が煩雑であるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、噴射されるガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができ粉砕効率に優れる粉砕ノズルを提供することを目的とする。
また、ベンチュリーノズルから噴射されるガス流自身で旋回流を形成することができ、砕料を自身の旋回流に同伴させることができ砕料の衝突頻度を高め粉砕効率に優れる供給ノズルを提供することを目的とする。
また、旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室の周壁等への圧着が生じ難いため、旋回粉砕室の周壁やノズル等が磨耗し難くコンタミネーションが少なく、さらに安定した連続運転を行うことができ、また3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ砕料をより短時間で微粉体化することができ、また球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等も短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕でき、さらに時間当りの粉砕処理量を増やしランニングコストを大幅に低減することができ粉砕効率が著しく優れるジェットミルを提供することを目的とする。
また、供給ノズルから噴射されるガス流量を低減させランニングコストを低減させることができるとともに砕料の吹き返しが生じ難く、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じ難く安定した連続運転が可能な砕料の粉砕方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えたジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の粉砕ノズルは、噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、スリット状に形成されたスリット状噴射口と、前記スリット状噴射口の中心軸を通る中心軸線上に中心が位置するように1乃至複数形成された円形状噴射口と、前記スリット状噴射口及び前記円形状噴射口と連通するスリット状高圧ガス流路と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)噴射部が円形状噴射口を備えているので、円形状噴射口から噴射されるガス流の流量が大きくエネルギーが大きいため、スリット状噴射口から噴射されるエッジ状のガス流が円形状噴射口から噴射されるガス流に引きずられ、噴射部からの距離が離れてもエッジ状のガス流が渦を巻き難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができる。
ここで、粉砕ノズルの材質としては、鉄系,アルミニウム系,銅系,チタン系等の金属製や合金製、ジルコニア等のセラミックス製、金属製とセラミックスとを複合させたもの等が用いられ、特に、硬質合金製、セラミック製が耐磨耗性に優れるため好適に用いられる。
スリット状噴射口としては、略矩形状,略長円状,略瓢箪状等に形成されたものや、それらを組み合わせて十字状や放射状等に形成したものが用いられる。
また、スリット状噴射口の短辺の長さWと長辺の長さLとの比(W:L、アスペクト比という)としては、1:2〜1:30、好ましくは1:5〜1:22に形成したものが好適に用いられる。アスペクト比が1:5より小さくなるにつれ巻き込み渦が増加し噴射部から噴射されるガスの速度分布が広がりエネルギーが拡散する傾向がみられ、1:22より大きくなるにつれエネルギー効率が低下する傾向がみられるため好ましくない。特に、1:2より小さくなるか1:30より大きくなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
円形状噴射口としては、円形状,楕円形状等に形成されたものが用いられる。
円形状噴射口の内径としては、スリット状噴射口の短辺の長さWの1.1〜3倍が好適に用いられる。内径がスリット状噴射口の短辺の長さWの1.1倍より小さくなるにつれ円形状噴射口を形成した効果が得られ難く噴射部から近距離でエッジ状のガス流が渦を巻き易くガス流の速度が低下し易くなる傾向がみられ、3倍より大きくなるにつれ円形状噴射口から噴射されるガス流に巻き込み渦が増えガス流の速度が低下しエネルギー損失が増加する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。なお、楕円形状に形成された円形状噴射口の内径とは、長径をいうものとする。
なお、スリット状高圧ガス流路により、高圧ガス流が整流され慣性力により流束が乱れ難く高エネルギーを維持できる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉砕ノズルであって、前記円形状噴射口に代えて、前記スリット状噴射口の少なくとも長辺の複数箇所に所定間隔をあけて形成された溝部を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)スリット状噴射口の少なくとも長辺の複数箇所に所定間隔をあけて形成された溝部を備えているので、スリット状噴射口から噴射されるガス流に乱れが生じ難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができる。
ここで、溝部としては、少なくとも長辺の複数箇所に形成されたものが用いられる。スリット状噴射口から噴射されるエッジ状のガス流は長辺側で乱れ易いので、それを防止することができるからである。なお、必要に応じて短辺の複数箇所にも形成することもできる。また、溝部としては、スリット状高圧ガス流路の全長に渡って形成されたものが好適に用いられる。整流効果を高めることができるからである。
溝部の幅W1としては、50〜100μmに形成されたものが好適に用いられる。幅が50μmより狭くなるにつれ噴射されるガス流に乱れが生じるのを防ぐ効果が得られ難くなる傾向がみられ、幅が100μmより広くなるにつれ逆にガス流に乱れが生じ易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
溝部の深さd1(スリット状噴射口から溝部の底部までの距離)としては、50〜100μmに形成されたものが好適に用いられる。深さが50μmより浅くなるにつれ噴射されるガス流に乱れが生じるのを防ぐ効果が得られ難くなる傾向がみられ、深さが100μmより深くなるにつれ逆にガス流に乱れが生じ易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
溝部の間隔W2としては、溝部の幅W1以上、かつ溝部の幅W1の5倍以下に形成されたものが好適に用いられる。溝部の間隔が溝部の幅W1より狭くなるにつれ噴射されるガス流に乱れが生じるのを防ぐ効果が得られ難くなる傾向がみられ、間隔が幅W1の5倍より広くなるにつれ逆にガス流に乱れが生じ易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
溝部としては、互いに平行して形成されていると好ましい。整流され高エネルギーを維持できるからである。
なお、スリット状噴射口には、請求項1で説明した円形状噴射口を形成することもできる。
本発明の請求項3に記載の粉砕ノズルは、噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、スリット状に形成されたスリット状噴射口と、前記スリット状噴射口と連通するスリット状高圧ガス流路と、を備え、前記スリット状高圧ガス流路が、前記スリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角αを備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)スリット状噴射口に連設されたスリット状高圧ガス流路が、スリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えているので、噴射部から噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができる。
(2)また、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れる。
ここで、ねじれ角αとは、スリット状高圧ガス流路のエッジと、この上の一点を通るスリット状噴射口の中心軸に平行な直線とがなす角をいう。ねじれ角αとしては、5〜22.5°に形成されたものが好適に用いられる。ねじれ角が5°より小さくなるにつれ噴射部から噴射されたガス流自身が旋回流を形成できなくなる傾向がみられ、22.5°より大きくなるにつれ噴射部から噴射されるガス流の速度が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、スリット状噴射口としては、請求項1で説明した略矩形状,略長円状,略瓢箪状等に形成されたものや、それらを組み合わせて十字状や放射状等に形成したものを用いることができる。なかでも、スリット状噴射口の長辺の両端部が丸みを帯びた略長円状,略瓢箪状等に形成されたものや、それらを組み合わせて十字状や放射状等に形成したものが好適に用いられる。スリット状噴射口の長辺の両端部において、巻き込み渦の発生を防止しガス流の速度が低下するのを防止するためである。略長円状,略瓢箪状等に形成されたスリット状噴射口の長辺の端部の曲率半径Rとしては、スリット状噴射口の中心軸における短辺の長さをWとすると、W/2〜5Wが好適に用いられる。曲率半径RがW/2より小さくなるにつれ噴射部の形状が略円形状に近づき巻き込み渦が増え噴射されるガス流の速度が低下し易くなる傾向がみられ、5Wより大きくなるにつれ端部の形状が略円形状に近づきガス流の速度が低下するとともに旋回流が形成されにくくなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、スリット状噴射口には、請求項1で説明した円形状噴射口を形成することもできる。また、請求項2で説明した溝部を形成することもできる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の粉砕ノズルであって、前記スリット状噴射口が、前記噴射面において前記中心軸から放射状に形成された2〜12本のスリット部を備え、前記スリット部の夾角βが72°×p(p=1,2)、45°×m(m=1,2,3,4)、30°×n(n=1,2,3,4,5,6)のいずれか1以上である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)多種多用な噴射部の形状が得られるので、砕料の比重や粉砕の難易度等に応じて最適な噴射部を選択して、最適な旋回流を形成することができ自在性に優れる。
ここで、夾角βとしては、スリット部の間に挟まれた角が用いられ、βは0°<β≦180°の範囲で形成される。
なお、スリット部の夾角βが全て等しい角度に形成された場合、夾角βが72°のときはスリット部の最大数は3本であり、45°のときはスリット部の最大数は8本であり、30°のときはスリット部の最大数は12本である。
夾角βは、全て等しい角度に形成するのが好ましい。噴射されるガス流の偏心を防止するためである。なお、砕料の種類によっては、夾角βの各々を異なる角度に形成することもできる。
本発明の請求項5に記載の粉砕ノズルは、噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、螺旋溝噴射口を備え、前記螺旋溝噴射口の螺旋溝が、横断面が略円形状に形成されたガス流路の内壁面に等間隔に形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋溝を備えているので、ガス流路から噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ高エネルギー性に優れる。
(2)螺旋溝を備えているので、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れる。
ここで、ガス流路としては、横断面が円形状,楕円形状等の略円形状に形成されたものが用いられる。
螺旋溝としては、ガス流路の内壁面に3〜20条好ましくは3〜17条形成される。螺旋溝が3条より少なくなるにつれ旋回流が形成され難くなる傾向がみられるため好ましくない。旋回溝部が17条より多くなると噴射されるガス流が乱流に近づく傾向がみられ、特に、20条を超えると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
螺旋溝の横断面の形状としては、略矩形状,略台形状,略半円状,略半長円状,丸みを帯びた略三角状等に形成されたものが用いられる。なかでも、略半円状,略半長円状,丸みを帯びた略三角状等の底部が丸みを帯びた形状に形成されたものが好適に用いられる。巻き込み渦の発生を防止しガス流の速度が低下するのを防止するためである。
なお、螺旋溝の深さd2(ガス流路から螺旋溝の底部までの距離)としては、ガス流路の内径をrとすると、r/5〜r/2が好適である。螺旋溝の深さd2がr/5より浅くなるにつれ旋回流が形成され難くなる傾向がみられ、r/2より深くなるにつれ巻き込み渦が生じ易くガス流の速度が低下し易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
螺旋溝の幅w3としては、螺旋溝の条数をnとすると、ガス流路の内径rを用いて、πr/(3n)〜πr/nが好適である。螺旋溝の幅w3がπr/(3n)より狭くなるにつれ旋回流が形成され難くなる傾向がみられ、πr/nより広くなるにつれ巻き込み渦が生じ易くガス流の速度が低下し易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
螺旋溝とガス流路の中心軸とのねじれ角γとは、螺旋溝のエッジと、この上の一点を通るガス流路の中心軸に平行な直線とがなす角をいう。ねじれ角γとしては、5〜22.5°が好適に用いられる。ねじれ角γが5°より小さくなるにつれ旋回流が形成され難くなる傾向がみられ、22.5°より大きくなるにつれ噴射されるガス流の速度が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項6に記載の供給ノズルは、スロート部とベンチュリーノズル導入部との間に形成された負圧発生部を備えたベンチュリーノズルと、前記ベンチュリーノズルと同軸に配設された押込ノズルと、を備えた供給ノズルであって、前記押込ノズル及び前記負圧発生部の内壁面に内壁螺旋溝部が形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)内壁螺旋溝部を備えているので、ベンチュリーノズルから噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ、砕料を自身の旋回流に同伴させることができる。
ここで、内壁螺旋溝部のねじれ角ηとは、内壁螺旋溝部のエッジと、この上の一点を通るベンチュリーノズル及び押込ノズルの中心軸に平行な直線とがなす角をいう。
ねじれ角ηとしては、5〜22.5°が好適に用いられる。ねじれ角ηが5°より小さくなるにつれ旋回流が形成され難くなる傾向がみられ、22.5°より大きくなるにつれ噴射されるガス流の速度が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、内壁螺旋溝部の横断面の形状、深さ、幅、条数としては、請求項5で説明した螺旋溝と同様なので説明を省略する。
本発明の請求項7に記載のジェットミルは、水平旋回流型のジェットミルであって、中空状の旋回粉砕室と、前記旋回粉砕室の中心部の上部に配設され微粉体が排出される微粉排出口と、前記旋回粉砕室の周壁に配設され砕料を高圧ガスに同伴して導入するi個の供給ノズルと、前記旋回粉砕室の周壁に噴射部が周壁側に傾斜して配設され旋回流を形成するj個の請求項1乃至5の内いずれか1に記載の粉砕ノズル(但し、i<j。i、jは自然数。)と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)噴射部が円形状噴射口を備えた粉砕ノズルや、スリット状噴射口の少なくとも長辺に形成された溝部を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、旋回粉砕室内に形成された旋回流に偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流を形成することができるので、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を行うことができるとともに、短時間で粉砕でき単位時間当りの処理量を飛躍的に増大させることができる。また、旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室の周壁等への圧着が生じ難いため、旋回粉砕室の周壁やノズル等が磨耗し難くコンタミネーションが少なく、さらに安定した連続運転を行うことができる。
(2)また、粉砕ノズルから噴射されるガス流が乱れ難いので、ガス流の圧力を15MPa程度まで高めても偏心することなく同心円の旋回流を旋回粉砕室内に維持することができ、ガス流の圧力を高めるにつれ砕料の運動エネルギーを高くすることができ、高エネルギーの砕料同士の衝突による微粉体化を可能にすることができた。
(3)スリット状高圧ガス流路がスリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、噴射部から噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズルから噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる。
(4)また、球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等が砕料の場合は従来のジェットミルでは粉砕が困難であったが、短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕できる。これは、粉砕ノズルから噴射された自身の旋回流に乗った粒子は、進行方向の順回転又は逆回転の自転が少なく、粒子同士が旋回流中で衝突した場合に、滑りあうことなく粒子が引きちぎられて微粉砕され易いためであると推察している。
(5)螺旋溝を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、噴射部から噴射されたガス流自身がさらに高エネルギーの旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズルから噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度をさらに高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる。
(6)螺旋溝を備えた粉砕ノズル、スリット状高圧ガス流路がスリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、旋回粉砕室の厚さを旋回粉砕室の周壁の内径と略同一にまで厚くすることができる。旋回流を3次元的に形成することができるからである。これにより、旋回粉砕室の内径は変えずに容積を飛躍的に大きくすることができるので、粉砕ノズルから噴射されるガス流の速度を低下させずに供給ノズルからの砕料の供給量を容積に応じて増加させることができ、時間当りの粉砕処理量を増やしランニングコストを大幅に低減することができる。
ここで、粉砕ノズルは、旋回粉砕室の周壁に噴射部を周壁側に傾斜して配設し、周壁に配設された1の粉砕ノズルの噴射面の中心軸を他の粉砕ノズルの噴射面の中心軸に向けて配設すると、旋回流の偏心を防止することができ、砕料の粒子間衝突による粉砕依存度を向上させて粉砕効率を高めるとともに旋回粉砕室の磨耗を抑えることができ好ましい。
また、粉砕ノズルの外形が噴射面の中心軸に対称に形成されている場合は、粉砕ノズルを旋回粉砕室に装着する際に、噴射面の中心軸を中心とした任意の位置で粉砕ノズルを固定して装着することができる。これにより、砕料の比重や粉砕の困難性等に応じて旋回粉砕室内に形成される旋回流の形状を変えることができるので、形成される旋回流の選択の幅が広がり、砕料に適した旋回流の形成をより容易にすることができる。
なお、旋回粉砕室や供給ノズルの材質としては、粉砕ノズルの材質と同様のものが用いられる。
ここで、旋回粉砕室に配設された供給ノズルの数量i個と粉砕ノズルの数量j個としては、1≦i≦5、5≦j≦15好ましくは1≦i≦4、5≦j≦13が好適である。粉砕ノズルの数量jが5個より少なくなるにつれ旋回粉砕室内に同心円の旋回流を形成することが困難になる傾向がみられるため好ましくなく、13個より多くなるにつれ旋回流の形状と速度の制御性が低下する傾向がみられ、特に、15個より多くなるとこの傾向が著しくなるとともに構造が複雑になるので好ましくない。供給ノズルの数量iが4個より多くなると構造が複雑になる傾向がみられ、特に、5個より多くなるとこの傾向が著しくなるため好ましくない。
なお、供給ノズルと粉砕ノズルは、旋回粉砕室の周壁に等間隔に配設される。供給ノズルが2個配設される場合は旋回粉砕室の周壁の対向する位置に配設され、それ以上の複数配設される場合は、旋回粉砕室の周壁に等間隔に配設される。
粉砕ノズルの噴射面に開口する噴射部の開口面積としては、供給ノズルの押込ノズルの開口部の開口面積の1〜2.5倍が好適とされる。これにより、粉砕ノズルと供給ノズルに同一圧力でガス流を供給した場合に、粉砕ノズルから噴射されるガス流の流量を供給ノズルから噴射されるガス流の流量と略同一若しくはそれより多くすることができるので、粉砕ノズルから噴射されるガス流の運動量を高め高エネルギーの砕料同士の衝突による微粉体化を行うことができる。なお、粉砕ノズルの噴射部の開口面積が供給ノズルの押込ノズルの開口部の開口面積の1倍より小さくなるにつれ粉砕ノズルから噴射されるガス流の流量が少なく旋回流を形成するガス流のエネルギーが低下し粉砕効率が低下する傾向がみられ、2.5倍より大きくなるにつれ粉砕ノズルと供給ノズルのガス流の流量差が大きく旋回流が偏心する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
供給ノズルとしては、請求項6に記載した供給ノズルの他、負圧発生部に内壁螺旋溝部が形成されていない従来の供給ノズル等を用いることもできる。なお、請求項6に記載した供給ノズルを配設することで、ベンチュリーノズルから噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ砕料を自身の旋回流に同伴させることができるので、砕料同士の衝突頻度を高め粉砕効率をより高めることができるため好ましい。
旋回粉砕室の形状としては、粉砕ノズルの噴射部の形状に応じて、中空の略円盤型、略球状、略円錐型、略半球状等種々の形状にすることができる。なかでも、15MPa程度の高圧条件下で用いる場合は、略球状、略半球状等に形成されたものが好適に用いられる。
なお、旋回粉砕室の下面中央に略円錐状に形成されたセンターポールと、旋回粉砕室の中心部の上部に配設されたアウトレットと、を備え、センターポールの頂点とアウトレットの下端面が旋回粉砕室の高さ方向の中心面上になるように配設すると、旋回粉砕室内を粉砕ゾーンと分級ゾーンとに明確に分けることができ、所定粒度の微粉を旋回粉砕室のアウトレットから微粉排出口へ排出することができ粒度分布をシャープにするとともに、粗粒子を粉砕ノズルや供給ノズルが形成する旋回流により生じる遠心力によって外周へ飛ばし、砕料同士の衝突依存度を向上させることができる。アウトレットやセンターポールの材質としては、粉砕ノズルや供給ノズルと同様のものが用いられる。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のジェットミルであって、1の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルと旋回流の回転方向に隣り合って配設された他の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルが、1の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルの中心軸を中心にして360°/(i+j)ずつ旋回流の回転方向に順に角度を変えて配設された構成を有している。
この構成により、請求項7で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)各々のノズルから噴射したガス流が複合化され水平方向の旋回流の旋回方向に対し垂直方向の旋回渦も形成されるため、旋回粉砕室の周壁近傍を旋回する旋回流の速度を抑えることができるので、旋回粉砕室の周壁や各ノズルの噴射面等の磨耗を少なくすることができ、コンタミネーションが少なく安定した連続運転を実現することができる。
(2)砕料の粒子間衝突の依存度を高めることができ効率良く粉砕することができる。
本発明の請求項9に記載の砕料の粉砕方法は、請求項7又は8に記載のジェットミルを用いた砕料の粉砕方法であって、供給ノズル及び粉砕ノズルから略同一の流量の高圧ガスを噴射して旋回粉砕室内に旋回流を形成する旋回流形成工程と、前記旋回流形成工程の後、前記供給ノズルから噴射される高圧ガスの流量を前記粉砕ノズルから噴射される高圧ガスの流量よりも小さくする流量調整工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)旋回流形成工程において旋回流を形成した後、供給ノズルから噴射される高圧ガスの流量を粉砕ノズルから噴射される高圧ガスの流量よりも小さくする流量調整工程を備えているので、供給ノズルから噴射されるガス流量を低減させることができ、ランニングコストを低減させることができる。
(2)供給ノズルから供給されるガス流の流量が小さいので砕料の吹き返しが生じ難く、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じ難く安定した連続運転を行うことができる。
以上のように、本発明の粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えたジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)噴射部が円形状噴射口を備えているので、円形状噴射口から噴射されるガス流の流量が大きくエネルギーが大きいため、スリット状噴射口から噴射されるエッジ状のガス流が円形状噴射口から噴射されるガス流に引きずられ、噴射部からの距離が離れてもエッジ状のガス流が渦を巻き難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができる粉砕効率に優れた粉砕ノズルを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、
(1)スリット状噴射口の少なくとも長辺の複数箇所に所定間隔をあけて形成された溝部を備えているので、スリット状噴射口から噴射されるガス流に乱れが生じ難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができる粉砕効率に優れた粉砕ノズルを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、
(1)スリット状噴射口に連設されたスリット状高圧ガス流路が、スリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えているので、噴射部から噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができる粉砕ノズルを提供することができる。
(2)また、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れた粉砕ノズルを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)多種多用な噴射部の形状が得られるので、砕料の比重や粉砕の難易度等に応じて最適な噴射部を選択して、最適な旋回流を形成することができ自在性に優れた粉砕ノズルを提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、
(1)螺旋溝を備えているので、ガス流路から噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができる粉砕ノズルを提供することができる。
(2)螺旋溝を備えているので、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れた粉砕ノズルを提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、
(1)内壁螺旋溝部を備えているので、ベンチュリーノズルから噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ、砕料を自身の旋回流に同伴させることができ粉砕効率に優れた供給ノズルを提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、
(1)噴射部が円形状噴射口を備えた粉砕ノズルや、スリット状噴射口の少なくとも長辺に形成された溝部を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、旋回粉砕室内に形成された旋回流に偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流を形成することができるので、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を行うことができるとともに、短時間で粉砕でき単位時間当りの処理量を飛躍的に増大させることができる粉砕効率に優れたジェットミルを提供することができる。また、旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室の周壁等への圧着が生じ難いため、旋回粉砕室の周壁やノズル等が磨耗し難くコンタミネーションが少なく、さらに安定した連続運転を行うことができる安定性に優れたジェットミルを提供することができる。
(2)また、粉砕ノズルから噴射されるガス流が乱れ難いので、ガス流の圧力を15MPa程度まで高めても偏心することなく同心円の旋回流を旋回粉砕室内に維持することができ、ガス流の圧力を高めるにつれ砕料の運動エネルギーを高くすることができ、高エネルギーの砕料同士の衝突による微粉体化が可能な高圧のジェットミルを提供することができる。
(3)スリット状高圧ガス流路がスリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、噴射部から噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズルから噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる粉砕効率に優れたジェットミルを提供することができる。
(4)また、球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等が砕料の場合は従来のジェットミルでは粉砕が困難であったが、短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕できるジェットミルを提供することができる。
(5)螺旋溝を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、噴射部から噴射されたガス流自身がさらに高エネルギーの旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズルから噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度をさらに高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる粉砕効率に優れたジェットミルを提供することができる。
(6)螺旋溝を備えた粉砕ノズル、スリット状高圧ガス流路がスリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角を備えた粉砕ノズルを旋回粉砕室に配設することで、旋回粉砕室の厚さを旋回粉砕室の周壁の内径と略同一にまで厚くすることができる。旋回流を3次元的に形成することができるからである。これにより、旋回粉砕室の内径は変えずに容積を飛躍的に大きくすることができるので、粉砕ノズルから噴射されるガス流の速度を低下させずに供給ノズルからの砕料の供給量を容積に応じて増加させることができ、時間当りの粉砕処理量を増やしランニングコストを大幅に低減することができるジェットミルを提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、
(1)各々のノズルから噴射されるガス流が複合化され水平方向の旋回流と垂直方向の旋回渦を形成するので、旋回粉砕室の周壁近傍を旋回する旋回流の速度を抑えることができ、旋回粉砕室の周壁や各ノズルの噴射面等の磨耗を少なくすることができ、コンタミネーションが少なく安定した連続運転を実現することができる安定性に優れたジェットミルを提供することができる。
(2)粒子間衝突の依存度を高め効率良く粉砕することができる粉砕効率の高いジェットミルを提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、
(1)旋回流形成工程において旋回流を形成した後、供給ノズルから噴射される高圧ガスの流量を粉砕ノズルから噴射される高圧ガスの流量よりも小さくする流量調整工程を備えているので、供給ノズルから噴射されるガス流量を低減させることができ、ランニングコストを低減させることができる砕料の粉砕方法を提供することができる。
(2)供給ノズルから供給されるガス流の流量が小さいので砕料の吹き返しが生じ難く、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じ難く安定した連続運転を実現できる砕料の粉砕方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるジェットミルの要部断面図であり、図2は図1のA−A線における要部断面端面図であり、図3(a)は粉砕ノズルの斜視図であり、図3(b)は粉砕ノズルの噴射面の正面図である。
図1において、1は実施の形態1におけるジェットミル、2は中空円盤状に形成された旋回粉砕室、3は旋回粉砕室2に7個配設された粉砕ノズル、4は旋回粉砕室2に1個配設され砕料を旋回粉砕室2に導入する供給ノズル、4aは供給ノズル4のベンチュリーノズル、4bはベンチュリーノズル4aの上流側に形成された固気混合室、4cはベンチュリーノズル4aの上流側に固気混合室4bを介してベンチュリーノズル4aと同軸に配設された押込ノズル、4dは固気混合室4bに連設された砕料導入口である。粉砕ノズル3は供給ノズル4を起点として、旋回粉砕室2の側壁に等間隔に配設されている。5は本体ケーシング、6は旋回粉砕室2のリングライナー、7,8は旋回粉砕室2の上下に配設されたトップライナー及びボトムライナー、9はボトムライナー8の中央に脱着自在に配設され上部が略円錐状に形成されたセンターポール、10はセンターポール9と同軸に形成されトップライナー7に脱着自在に配設されたアウトレット、11は旋回粉砕室2の中央上部に連設され旋回粉砕室2で粉砕された砕料が排出される微粉排出口、12は高圧ヘッダー、12aは高圧ヘッダー12から粉砕ノズル3に高圧ガスを供給する高圧ガスパイプ、12bは高圧ガスヘッダー12から供給ノズル4に高圧ガスを供給する高圧ガスパイプ、13は高圧ガスヘッダー12の圧力を調整する圧力調整バルブ、13aは高圧ガスパイプ12bを流れる高圧ガスの流量を調整する流量調整バルブである。
図2、図3(a)、図3(b)において、3は粉砕ノズル、3aは粉砕ノズル3の噴射面、3bは粉砕ノズル3の基部側に略円筒状に形成され高圧ヘッダー12から供給される高圧ガスが通過する高圧ガス流路、3b´は高圧ガス流路3bに連設された略スリット状に形成されたスリット状高圧ガス流路、3cは噴射面3aで開口し高圧ガス流路3bとスリット状高圧ガス流路3b´を通過したガス流が噴射する噴射部、3dは短辺の長さWと長辺の長さLとの比(アスペクト比)がW:L=1:2〜1:30の略矩形状に形成された噴射部3cのスリット状噴射口、3eはスリット状噴射口3dの中心軸、3fはスリット状噴射口3dの中心軸3eを通り長辺方向に平行な中心軸線、3gは中心軸線3f上に中心が位置するように形成された円形状噴射口である。
粉砕ノズル3は、図2に示すように、1の粉砕ノズル3の中心軸3eが旋回流の回転方向(本実施の形態においては左回り)に2個離れた粉砕ノズル3又は供給ノズル4の中心軸に向くように旋回粉砕室2に配設されている。
ここで、実施の形態1においては、円形状噴射口3gの内径は、スリット状噴射口3dの短辺の長さWの1.1〜3倍に形成されている。
以上のように構成された実施の形態1におけるジェットミルを用いた砕料の粉砕方法について説明する。
流量調整バルブ13aを全開にし圧力調整バルブ13を開弁すると、高圧ガスパイプ12a,12bから粉砕ノズル3と供給ノズル4の押込ノズル4cに高圧ガスが同一圧力で供給される。砕料は砕料導入口4dから供給され、押込ノズル4cから噴射される高圧ジェット流により固気混合室4b内で空気と混合されベンチュリーノズル4aから旋回粉砕室2に供給される。粉砕ノズル3から噴射される高圧ガス流によって旋回粉砕室2には旋回流が生じ、旋回粉砕室2のリングライナー6側に粉砕ゾーンが形成され、旋回粉砕室2の中心側に分級ゾーンが形成される(以上、旋回流形成工程)。粉砕ゾーンでは、粉砕ノズル3が噴射するエッジ状の高圧ガス流が高速を保ったまま高い剪断性で旋回流に吹き込まれ、旋回流を周回する粗粒子をかき乱し砕料同士の衝突が頻繁に起こり、砕料の微粉砕が行われる。粉砕された微粉は分級ゾーンで分級され、旋回粉砕室2に配設されたアウトレット10から微粉排出口11を通じて排出される。分級ゾーンで分級されて排出されなかった粗粒子は、旋回により生ずる遠心力によって旋回流の外周を旋回し、粗粒子同士が衝突されて繰り返し破砕が行われる。
旋回流形成工程において旋回流が形成された後、流量調整バルブ13aの開度を小さくして供給ノズル4の押込ノズル4cから噴射される高圧ジェット流の流量を粉砕ノズル3から噴射される高圧ガスの流量の1/10〜1/4程度まで小さくする。旋回粉砕室2内では高圧ガス流が高速を保ったまま同心円の旋回流を形成し砕料が旋回流内で効率よく粉砕され、粉砕された粒子が微粉排出口11から排出されているので、粉砕ノズル3から噴射される高圧ガスの流量が小さくても砕料が旋回粉砕室2内へ吸い込まれていく(以上、流量調整工程)。
次に、粉砕ノズルの変形例について、図面を参照しながら説明する。図4は粉砕ノズルのスリット状噴射口及び円形状噴射口の変形例を示す粉砕ノズルの正面図である。
図4(a)は円形状噴射口3gがスリット状噴射口3dの長辺の両端に2個に形成された例であり、図4(b)は円形状噴射口3gがスリット状噴射口3dの長辺の両端及び中心に3個形成された例であり、図4(c)は円形状噴射口3gがスリット状噴射口3dの長辺の両端を除く箇所に2個形成された例である。
以上のように、円形状噴射口3gは中心軸線3f上に中心が位置するように形成するのであれば複数箇所に形成することができ、円形状噴射口の内径の大きさ、数、形成する箇所、スリット状粉砕部のアスペクト比等を変えることにより、多種多様の砕料の粉砕に適した高圧ガス流を噴射させることができる。
以上のように本発明の実施の形態1における粉砕ノズルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)粉砕ノズル3の噴射部3cが円形状噴射口3gを備えているので、円形状噴射口3gから噴射されるガス流の流量が大きくエネルギーが大きいため、スリット状噴射口3dから噴射されるエッジ状のガス流が円形状噴射口3gから噴射されるガス流に引きずられ、噴射部3cからの距離が離れてもエッジ状のガス流が渦を巻き難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流を旋回粉砕室2内に形成することができる。
(2)粉砕ノズル3の基部側に略円筒状に形成された高圧ガス流路3bが形成されているので、高圧ガス流路3bの横断面積が大きく高圧ヘッダー12から供給される高圧ガスを小さな圧損で噴射部3cから噴射することができエネルギー効率に優れる。
(3)スリット状噴射口3dのアスペクト比が1:2〜1:30に形成されているので、巻き込み渦が少なく速度分布がシャープでエネルギー効率の高いガス流を噴射部3cから噴射することができる。
(4)スリット状高圧ガス流路3b´を備えているので、高圧ガス流が整流され慣性力により流束が乱れ難く高エネルギーを維持できる。
以上のように本発明の実施の形態1におけるジェットミルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)噴射部3cが円形状噴射口3gを備えた粉砕ノズル3を旋回粉砕室2に配設することで、旋回粉砕室2内に形成された旋回流に偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流を形成することができるので、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を行うことができるとともに、短時間で粉砕でき単位時間当りの処理量を飛躍的に増大させることができる。また、旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室2の周壁等への圧着が生じ難いため、旋回粉砕室2の周壁やノズル等が磨耗し難くコンタミネーションが少なく、さらに安定した連続運転を行うことができる。
(2)また、粉砕ノズル3から噴射されるガス流が乱れ難いので、ガス流の圧力を15MPa程度まで高めても偏心することなく同心円の旋回流を旋回粉砕室2内に維持することができ、ガス流の圧力を高めるにつれ砕料の運動エネルギーを高くすることができ、高エネルギーの砕料同士の衝突による微粉体化が可能である。
また、実施の形態1におけるジェットミルを用いた砕料の粉砕方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)旋回流形成工程において旋回流を形成した後、供給ノズルから噴射される高圧ガスの流量を粉砕ノズルから噴射される高圧ガスの流量よりも小さくする流量調整工程を備えているので、供給ノズルから噴射されるガス流量を低減させることができ、ランニングコストを低減させることができる
(2)供給ノズルから供給されるガス流の流量が小さいので砕料の吹き返しが生じ難く、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じ難く安定した連続運転を行うことができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における粉砕ノズルの噴射部のスリット状噴射口の要部横断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、20はスリット状噴射口3dが形成された粉砕ノズル、21は粉砕ノズル20のスリット状高圧ガス流路3b´の全長に渡ってスリット状噴射口3cと略直交してスリット状噴射口3dの長辺の両側に所定の間隔W2をあけて略平行に形成された溝部である。
ここで、本実施の形態においては、溝部21の幅W1は50〜100μmに形成され、深さd1は50〜100μmに形成され、間隔W2はW1〜W1の5倍に形成されている。
以上のように実施の形態2における粉砕ノズルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)スリット状噴射口3dの少なくとも長辺の複数箇所に所定間隔をあけて略平行に形成された溝部21を備えているので、スリット状噴射口3dから噴射されるガス流に乱れが生じ難くガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができる。
(2)溝部21の幅W1は50〜100μmに形成され、深さd1は50〜100μmに形成され、間隔W2はW1〜W1の5倍に形成されているので、噴射されるガス流に乱れが生じるのを防ぎガス流の速度が低下するのを防止することができる。
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3におけるジェットミルの要部断面端面図であり、図7は供給ノズルの拡大断面図であり、図8(a)は粉砕ノズルの斜視図であり、図8(b)は粉砕ノズルの噴射面の正面図であり、図9はジェットミルの旋回粉砕室の周壁に配設された粉砕ノズルの取付角度を示すスリット状噴射口の模式図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6、図7において、30は実施の形態3におけるジェットミル、31,31はジェットミル30の旋回粉砕室2の周壁(リングライナー6)に対向して2個配設された供給ノズル、32は供給ノズル31のベンチュリーノズル、33はベンチュリーノズル32の上流部に形成されたベンチュリーノズル導入部、34はベンチュリーノズル導入部33の下流に形成されたベンチュリーノズル32の負圧発生部、34aは負圧発生部34の内壁面にねじれ角ηで形成された内壁螺旋溝部、35は負圧発生部34の下流のベンチュリーノズル32の下流部に形成されたスロート部、36は押込ノズル4cの先端部の内壁面に内壁螺旋溝部34aと同じねじれ方向のねじれ角ηで形成された内壁螺旋溝部、40,40a,40b,40c,40d,40eは旋回粉砕室2に配設された粉砕ノズルである。
ここで、本実施の形態においては、一の粉砕ノズル40,40a,40b,40c,40d,40eの中心軸が旋回流の回転方向(本実施の形態においては左回り)に2個離れた粉砕ノズル40,40a,40b,40c,40d,40e又は供給ノズル31,31の中心軸に向くように旋回粉砕室2に6個配設されている。
図8(a)、図8(b)において、40は粉砕ノズル、41は粉砕ノズル40の噴射面、42は噴射面41で開口しガス流が噴射する略瓢箪状や略長円状等に形成された噴射部としてのスリット状噴射口、43はスリット状噴射口42の中心軸、43aは中心軸43と平行する直線であって後述する高圧ガス流路44のエッジと接するねじれ角基準線、44はスリット状噴射口42に連設され中心軸43とねじれ角αで形成されガス流が通過するスリット状高圧ガス流路、44aは粉砕ノズル40の基部側に形成されスリット状高圧ガス流路44と連通する略円筒状の高圧ガス流路である。
ここで、本実施の形態においては、スリット状噴射口42の中心軸43における短辺の長さWと長辺の長さLとの比(アスペクト比)W:Lが1:2〜1:30に形成されている。また、スリット状噴射口42の長辺の端部の曲率半径RがW/2〜5Wに形成されている。また、ねじれ角αは5〜22.5°の角度で形成されている。
粉砕ノズル40,40a,40b,40c,40d,40eは、図9に示すように、1の粉砕ノズル40,40a,40b,40c,40d,40e又は供給ノズル31,31と旋回流の回転方向(本実施の形態においては左回り)に隣り合って配設された他の粉砕ノズル又は供給ノズル(例えば、1の粉砕ノズル40に対応する他のノズルは粉砕ノズル40aであり、1の供給ノズル31,31に対応する他のノズルは粉砕ノズル40,40cである。)が、1の粉砕ノズル40,40a,40b,40c,40d,40e又は供給ノズル31,31の中心軸を中心にして360°/(i+j)(本実施の形態においてはi=2個、j=6個だから360°/8=45°)ずつ旋回流の回転方向(本実施の形態においては左回り)に順に角度を変えて配設されている。なお、供給ノズル31,31のベンチュリーノズル32の開口部は円形状であり、角度を変えて配設しても見掛け上変化がないので図示していない。
以上のように構成された実施の形態3におけるジェットミルを用いた砕料の粉砕方法は、実施の形態1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
以上のように本発明の実施の形態3における粉砕ノズルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)スリット状噴射口42に連設されたスリット状高圧ガス流路44が、スリット状噴射口42の中心軸43と所定のねじれ角αで形成されているので、スリット状噴射口42から噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができる。
(2)また、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面41の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れる。
(3)ねじれ角αが5〜22.5°に形成されているので、高速で噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができる。
(4)スリット状噴射口42の長辺の端部の曲率半径Rが、スリット状噴射口42の中心軸43における短辺の長さをWとして、W/2〜5Wに形成されているので、スリット状噴射口42の長辺の両端部において、巻き込み渦の発生を防止しガス流の速度が低下するのを防止することができ高速の旋回流を形成することができる。
以上のように本発明の実施の形態3における供給ノズルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)内壁螺旋溝部34a,36を備えているので、ベンチュリーノズル32から噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ、砕料を自身の旋回流に同伴させることができる。
以上のように本発明の実施の形態3におけるジェットミルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)スリット状高圧ガス流路44がスリット状噴射口42の中心軸43と所定のねじれ角αを備えた粉砕ノズル40等を旋回粉砕室2に配設することで、噴射されたガス流自身が旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室2内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズル40等から噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる。
(2)また、球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等が砕料の場合は従来のジェットミルでは粉砕が困難であったが、短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕できる。これは、粉砕ノズルから噴射された自身の旋回流に乗った粒子は、進行方向に順回転又は逆回転の自転が少なく、粒子同士が旋回流中で衝突した場合に、滑りあうことなく粒子が引きちぎられて微粉砕され易いためであると推察している。
(3)スリット状高圧ガス流路44がスリット状噴射口42の中心軸43と所定のねじれ角αに形成された粉砕ノズル40を旋回粉砕室2に配設することで、旋回流を3次元的に形成することができるため、旋回粉砕室2の厚さを旋回粉砕室2の周壁の内径と略同一にまで厚くすることができる。これにより、旋回粉砕室2の内径は変えずに容積を飛躍的に大きくすることができるので、粉砕ノズル40等から噴射されるガス流の速度を低下させずに供給ノズル31からの砕料の供給量を容積に応じて増加させることができ、時間当りの粉砕処理量を増やしランニングコストを大幅に低減することができる。
(4)粉砕ノズル40等又は供給ノズル31が、360°/(i+j)ずつ旋回流の回転方向に順に角度を変えて配設されているので、各々のノズルからのガス流が複合化され水平方向の旋回流と垂直方向の旋回渦とを形成するため、旋回粉砕室2の周壁近傍を旋回する旋回流の速度を抑えることができ、旋回粉砕室2の周壁や各ノズルの噴射面等の磨耗を少なくすることができ、コンタミネーションが少なく安定した連続運転を実現することができる。
(5)供給ノズル31が旋回粉砕室2に複数個配設されているので、種類の異なる砕料を各々の供給ノズル31から供給して、砕料の粉砕及び複合化を同時に行うことも可能である。
(6)供給ノズル31が内壁螺旋溝部34a,36を有しているので、供給ノズル31からも自身が旋回するガス流を噴射することができ、砕料の衝突頻度を高めることができ粉砕効率をより高めることができる。
次に、粉砕ノズルの変形例について、図面を参照しながら説明する。図10は粉砕ノズルのスリット状噴射口の変形例を示す模式図である。
図10(a)、(b)において、45は略長円状等に形成されたスリット部である。
図10(a)は3本のスリット部45が中心軸43から放射状に形成されスリット部45の夾角βが30°×4=120°に形成されてスリット状噴射口42が構成された例であり、図10(b)は4本のスリット部45が中心軸43から放射状に形成されスリット部45の夾角βが45°×2=90°に形成されてスリット状噴射口42が構成された例である。なお、砕料の種類等によってはスリット部45の夾角βを75°×p(p=1,2)等に形成することもできる。
以上のように、多種多用な噴射部の形状が得られるので、砕料の比重や粉砕の難易度等に応じて最適な噴射部を選択して、最適な旋回流を形成することができ自在性に優れる。
(実施の形態4)
図11(a)は本発明の実施の形態4における粉砕ノズルの斜視図であり、図11(b)は粉砕ノズルの噴射面の正面図である。
図中、50は実施の形態4における粉砕ノズル、51は粉砕ノズル50の噴射面、52は噴射面51で開口し横断面が略円形状に形成されたガス流路、53はガス流路52の中心軸、53aは中心軸53と平行な直線であって後述する螺旋溝54のエッジと接するねじれ角基準線、54はガス流路52の内壁面に等間隔に形成された螺旋溝、54aは噴射面51で開口する螺旋溝54の螺旋溝噴射口である。
ここで、本実施の形態においては、螺旋溝54の横断面の形状は、丸みを帯びた略三角状に形成され、5条の螺旋溝54が形成されている。また、螺旋溝54の深さd2は、ガス流路52の内径をrとして、r/5〜r/2に形成されており、螺旋溝54の幅w3はπr/(3n)〜πr/nに形成されている。また、ねじれ角γは5〜22.5°に形成されている。
以上のように実施の形態4における粉砕ノズルは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋溝54を備えているので、ガス流路52及び螺旋溝噴射口54aから噴射されるガス流自身が旋回流を形成することができ高エネルギー性に優れる。
(2)螺旋溝54を備えているので、噴射されたガス流への巻き込み渦を少なくすることができ、噴射面51の磨耗を少なくすることができ耐久性に優れる。
(3)螺旋溝の深さd2がr/5〜r/2、幅w3がπr/(3n)〜πr/n、ねじれ角γが5〜22.5°に形成されているので、高速の旋回流を形成することができる。
(4)粉砕ノズル50をジェットミルの旋回粉砕室2に配設することで、圧損が少ないため、噴射されたガス流自身が実施の形態3で説明した粉砕ノズルよりもさらに高エネルギーの旋回流を形成することができるので、旋回粉砕室2内の水平方向に形成された旋回流に粉砕ノズル50から噴射されたガス流自身の旋回流が衝突することによって、3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度をさらに高めることができ、砕料をより短時間で微粉体化することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施の形態1で説明したジェットミルの旋回粉砕室(周壁の内径100mm)に、実施の形態2で説明したスリット状噴射口に溝部が形成された粉砕ノズルをねじれ角α=15°にした粉砕ノズル(即ち、実施の形態2で説明した粉砕ノズルと実施の形態3で説明した粉砕ノズルとを組合せたもの)を7個配設した。粉砕ノズルは、スリット状粉砕部の長辺の長さL=6mm、短辺の長さW=1mmとし、供給ノズルの押込ノズルの内径は2mmとした。
このジェットミルの供給ノズル1個及び粉砕ノズル7個に0.88MPaの高圧ガスを供給し、砕料としてガスアトマイズ法で製造された球状のニッケル粉末(平均粒径45μm)を供給し粉砕した。
粉砕された砕料を回収し、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(シーラス社製、CILAS 1064)を用いて粒度分布を測定するとともに、走査線電子顕微鏡(SEM)で観察した。なお、砕料の粉砕処理量は、1時間当り5kgであった。
図12は粒度分布の測定結果を示した図であり、図13はSEMを用いた粉砕された砕料の写真である。なお、図12において、実線は積算ふるい下の容積(%)を示し、ヒストグラムはその区間における相対的な割合を示している。
本実施例によれば、従来は粉砕が困難とされていた平均粒径が45μmの球状のニッケル粉末を、1時間当り5kgの高い処理量で、平均粒径が0.86μmのナノオーダーのフレーク状等の微粉末に粉砕でき、また粒度分布を表すヒストグラムの形状も著しくシャープにできることが明らかになった。
(実施例2)
実施の形態1で説明したジェットミルの旋回粉砕室(周壁の内径400mm)に、実施の形態2で説明したスリット状噴射口に溝部が形成された粉砕ノズルを7個配設した。粉砕ノズルは、スリット状粉砕部の長辺の長さL=12mm、短辺の長さW=1mmとし、供給ノズルの押込ノズルの内径は4mmとした。
このジェットミルの供給ノズル1個及び粉砕ノズル7個に1.27MPaの高圧ガスを供給し、砕料としてアルミニウム鋳造品の押湯等を破砕機で粒径1mm以下の大きさに破砕した破砕物を供給し粉砕した。
粉砕された砕料を回収し、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(シーラス社製、CILAS 1064)を用いて粒度分布を測定するとともに、走査線電子顕微鏡(SEM)で観察した。なお、砕料の粉砕処理量は、1時間当り180kgであった。
図14は粒度分布の測定結果を示した図であり、図15はSEMを用いた粉砕された砕料の写真である。なお、図14において、実線は積算ふるい下の容積(%)を示し、ヒストグラムはその区間における相対的な割合を示している。
本実施例によれば、粒径1mm以下の不定形なアルミニウム鋳造品破砕物を、1時間当り180kgの著しく高い処理量で、平均粒径が約2μmの球状の均一な微粉末に粉砕できることが明らかになった。
(実施例3)
実施例1で用いたジェットミルを用い、このジェットミルの供給ノズル1個及び粉砕ノズル7個に0.88MPaの高圧ガスを供給し、砕料としてガスアトマイズ法で製造された球状の銅粉末(平均粒径30μm)を供給し粉砕した。
粉砕された砕料をサイクロンを経由してバグフィルタで回収し、回収した粉砕物についてレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(シーラス社製、CILAS 1064)を用いて粒度分布を測定した。なお、砕料の粉砕処理量は、1時間当り5kgであった。
図16は粒度分布の測定結果を示した図であり、実線は積算ふるい下の容積(%)を示し、ヒストグラムはその区間における相対的な割合を示している。
本実施例によれば、従来は粉砕が困難とされていた平均粒径が30μmの球状の銅粉末を、1時間当り5kgの高い処理量で、平均粒径が約2μmの微粉末に粉砕できることが明らかになった。
なお、金属粉末だけでなくシリカ(平均粒径10μm)を砕料として用いた場合、1時間当り15kgの高い処理量で平均粒径が0.083μm(最大粒径0.63μm)の微粉末が製造できることも確認している。
本発明は、砕料の粉砕に用いる粉砕ノズル、供給ノズル及びそれを備えた水平旋回流型のジェットミル、並びにそれを用いた砕料の粉砕方法に関し、噴射されるガス流の速度が低下し難いため、旋回流の偏心が生じ難く同心円状の理想的な旋回流が形成され、これまでは微粉砕が困難であったセラミックス,金属等の種々の砕料の微粉砕を短時間で行うことができ粉砕効率に優れる粉砕ノズルを提供することができる。また、ベンチュリーノズルから噴射されるガス流自身で旋回流を形成することができ、砕料を自身の旋回流に同伴させることができ砕料の衝突頻度を高め粉砕効率に優れる供給ノズルを提供することができる。また、旋回流の偏心や微粉体の旋回粉砕室の周壁等への圧着が生じ難いため、旋回粉砕室の周壁やノズル等が磨耗し難くコンタミネーションが少なく、さらに安定した連続運転を行うことができ、また3次元的に砕料同士を衝突させて衝突頻度を高めることができ砕料をより短時間で微粉体化することができ、また球状の金属製粒子や合成樹脂製粒子等も短時間で粒径を1μm以下のナノオーダーにまで微粉砕でき、さらに時間当りの粉砕処理量を増やしランニングコストを大幅に低減することができ粉砕効率が著しく優れるジェットミルを提供することができる。また、供給ノズルから噴射されるガス流量を低減させランニングコストを低減させることができるとともに砕料の吹き返しが生じ難く、砕料が周壁に圧着したり偏磨耗が生じ難く安定した連続運転が可能な砕料の粉砕方法を提供することができる。
実施の形態1におけるジェットミルの要部断面図 図1のA−A線における要部断面端面図 (a)粉砕ノズルの斜視図 (b)粉砕ノズルの噴射面の正面図 粉砕ノズルのスリット状噴射口及び円形状噴射口の変形例を示す粉砕ノズルの正面図 実施の形態2における粉砕ノズルの噴射部のスリット状噴射口の正面図 実施の形態3におけるジェットミルの要部断面端面図 供給ノズルの拡大断面図 (a)粉砕ノズルの斜視図 (b)粉砕ノズルの噴射面の正面図 ジェットミルの旋回粉砕室の周壁に配設された粉砕ノズルの取付角度を示すスリット状噴射口の模式図 粉砕ノズルのスリット状噴射口の変形例を示す模式図 である。 (a)実施の形態4における粉砕ノズルの斜視図 (b)粉砕ノズルの噴射面の正面図 粒度分布の測定結果を示した図 SEMを用いた粉砕された砕料の写真 粒度分布の測定結果を示した図 SEMを用いた粉砕された砕料の写真 粒度分布の測定結果を示した図
符号の説明
1 ジェットミル
2 旋回粉砕室
3 粉砕ノズル
3a 噴射面
3b 高圧ガス流路
3b´ スリット状高圧ガス流路
3c 噴射部
3d スリット状噴射口
3e 中心軸
3f 中心軸線
3g 円形状噴射口
4 供給ノズル
4a ベンチュリーノズル
4b 固気混合室
4c 押込ノズル
4d 砕料導入口
5 本体ケーシング
6 リングライナー
7 トップライナー
8 ボトムライナー
9 センターポール
10 アウトレット
11 微粉排出口
12 高圧ヘッダー
12a,12b 高圧ガスパイプ
13 圧力調整バルブ
13a 流量調整バルブ
20 粉砕ノズル
21 溝部
30 ジェットミル
31 供給ノズル
32 ベンチュリーノズル
33 ベンチュリーノズル導入部
34 負圧発生部
34a 内壁螺旋溝部
35 スロート部
36 内壁螺旋溝部
40,40a,40b,40c,40d,40e 粉砕ノズル
41 噴射面
42 スリット状噴射口
43 中心軸
43a ねじれ角基準線
44 スリット状高圧ガス流路
44a 高圧ガス流路
45 スリット部
50 粉砕ノズル
51 噴射面
52 ガス流路
53 中心軸
53a ねじれ角基準線
54 螺旋溝
54a 螺旋溝噴射口

Claims (9)

  1. 噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、スリット状に形成されたスリット状噴射口と、前記スリット状噴射口の中心軸を通る中心軸線上に中心が位置するように1乃至複数形成された円形状噴射口と、前記スリット状噴射口及び前記円形状噴射口と連通するスリット状高圧ガス流路と、を備えていることを特徴とする粉砕ノズル。
  2. 前記円形状噴射口に代えて、前記スリット状噴射口の少なくとも長辺の複数箇所に所定間隔をあけて形成された溝部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の粉砕ノズル。
  3. 噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、スリット状に形成されたスリット状噴射口と、前記スリット状噴射口と連通するスリット状高圧ガス流路と、を備え、前記スリット状高圧ガス流路が、前記スリット状噴射口の中心軸と所定のねじれ角αを有していることを特徴とする粉砕ノズル。
  4. 前記スリット状噴射口が、前記噴射面において前記中心軸から放射状に形成された2〜12本のスリット部を備え、前記スリット部の夾角βが72°×p(p=1,2)、45°×m(m=1,2,3,4)、30°×n(n=1,2,3,4,5,6)のいずれか1以上であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の粉砕ノズル。
  5. 噴射面で開口しガスが噴射する噴射部を備えた粉砕ノズルであって、前記噴射部が、螺旋溝噴射口を備え、前記螺旋溝噴射口の螺旋溝が、横断面が略円形状に形成されたガス流路の内壁面に等間隔に形成されていることを特徴とする粉砕ノズル。
  6. スロート部とベンチュリーノズル導入部との間に形成された負圧発生部を備えたベンチュリーノズルと、前記ベンチュリーノズルと同軸に配設された押込ノズルと、を備えた供給ノズルであって、
    前記押込ノズル及び前記負圧発生部の内壁面に内壁螺旋溝部が形成されていることを特徴とする供給ノズル。
  7. 水平旋回流型のジェットミルであって、中空状の旋回粉砕室と、前記旋回粉砕室の中心部の上部に配設され微粉体が排出される微粉排出口と、前記旋回粉砕室の周壁に配設され砕料を高圧ガスに同伴して導入するi個の供給ノズルと、前記旋回粉砕室の周壁に噴射部が周壁側に傾斜して配設され旋回流を形成するj個の請求項1乃至5の内いずれか1に記載の粉砕ノズル(但し、i<j。i、jは自然数。)と、を備えていることを特徴とするジェットミル。
  8. 1の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルと旋回流の回転方向に隣り合って配設された他の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルが、1の前記供給ノズル又は前記粉砕ノズルの中心軸を中心にして360°/(i+j)ずつ旋回流の回転方向に順に角度を変えて配設されていることを特徴とする請求項7に記載のジェットミル。
  9. 請求項7又は8に記載のジェットミルを用いた砕料の粉砕方法であって、供給ノズル及び粉砕ノズルから略同一の流量の高圧ガスを噴射して旋回粉砕室内に旋回流を形成する旋回流形成工程と、前記旋回流形成工程の後、前記供給ノズルから噴射される高圧ガスの流量を前記粉砕ノズルから噴射される高圧ガスの流量よりも小さくする流量調整工程と、を備えていることを特徴とする砕料の粉砕方法。
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