JP2005114895A - 感光性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の分布が、100〜1000、1000〜3000、及び、3000〜30000の範囲にあるGPCパターンの面積比が、それぞれ、全面積に対して5〜20%、50%〜80%及び10〜35%であるノボラック樹脂、及び、赤外線吸収剤を含み、赤外レーザによってアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
そこで、バインダー樹脂として、本願とは異なる特定の範囲に重量平均分子量分布を規定したノボラック樹脂を用いた画像形成材料が知られているが(例えば、特許文献4参照。)、現像ラチチュードの点でなお改良の余地があった。
即ち、本発明の感光性組成物は、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の分布が、100〜1000、1000〜3000、及び、3000〜30000の範囲にあるGPCパターンの面積比が、それぞれ、全面積に対して5〜20%、50%〜80%及び10〜35%であるノボラック樹脂(以下、適宜「特定ノボラック樹脂」と称する)、及び、赤外線吸収剤を含み、赤外レーザによってアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする。
本発明の作用は明確ではないが、本発明の感光性組成物は、特定ノボラック樹脂を用いることで、露光部の溶解性を殆ど低下させることなく、未露光部の現像液浸透性を強化する作用を発現するものと推測される。
本発明に用いられる特定ノボラック樹脂は、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の分布が100〜1000、1000〜3000及び3000〜30000の範囲にあるGPCパターンの面積比が、それぞれ、全面積に対して5〜20%、50%〜80%及び10〜35%であれば特に制限はなく用いることができるが、より好ましくは、上記面積比が、それぞれ全面積に対して10〜20%、55%〜75%及び15〜30%である。なお、ここでいうGPCパターンの面積比とは、特定ノボラック樹脂の分子量分布を示す。
本発明に用いられる特定ノボラック樹脂は、特定の範囲における重量平均分子量の分布が高いことを特徴とする。通常使用される一般的なノボラック樹脂の分子量分布は、例えば、図1に示すようなGPCパターンを有する。本発明に用いられる特定ノボラック樹脂の分子量分布を一例を挙げて説明すれば、例えば、図2に示すようなGPCパターンを有する。図2に明らかなように、本発明に係る特定ノボラック樹脂は、分子量1000〜3000の分子量分布が他分子量の分子分布量と比べて特異的に多いことがわかる。原因は明確ではないが、このようなGPCパターンの形状を有する特定ノボラック樹脂が本発明の効果に寄与するものと考えられる。
また、該ノボラック樹脂を構成する、最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上縮重合または共重合させたものを用いることもできる。
このようなノボラック樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
このとき、分子量分布が狭いもの同士を組み合わせることもできるが、分子量が1000未満や3000を超えるものをある程度含むことを要するため、そのような分子量のものを含む、あまり分散度の低くないもの、分布が広いものを組み合わせることも有効である。
以下に、このような分子量集約ノボラック樹脂の製造方法及び合成例について記載するが本発明はこれに限定されるものではない。
また、さらに分散度を小さくするためには、フェノール誘導体同士の脱水縮合で得たノボラック樹脂をアセトンで溶解したのち、分子量分画用シリカゲルにかけることにより製造することが可能である。
また上記酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、メチルスルホン酸マグネシウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛等を挙げることができる。
本発明の感光性組成物中における特定ノボラック樹脂の含有量は、感度および形成された皮膜の耐久性の観点から、固形分で、40〜99質量%が好ましく、45〜95質量%がさらに好ましく、50〜90質量%が最も好ましい。
本発明に使用される赤外線吸収剤とは、波長700nm以上、好ましくは波長750〜1200nmの赤外域に光吸収域を有し、この範囲の波長域の光により、光/熱変換能を発現する物質を指す。具体的には、上記波長域の光を吸収し熱を発生する種々の染料または顔料を用いることができる。
R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光性組成物の保存安定性の観点からは、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
本発明の感光性組成物には、更に必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。
本発明においては、前記特定ノボラック樹脂がバインダーとして必須であるが、その他の水不溶性且つアルカリ可溶性の樹脂を併用することもできる。そのような樹脂としては、例えば、レゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性水酸基を有するアクリル樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。ウレタン系樹脂としては、例えば、特開昭63−124047号公報、特開昭63−261350号公報、特開昭63−287942号公報、特開昭63−287943号公報、特開昭63−287944号公報、特開昭63−287946号公報、特開昭63−287947号公報、特開昭63−287948号公報、特開昭63−287949号公報、特開平1−134354号公報および特開平1−255854号公報に記載されているものが好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂の添加量は、前記特定ノボラック樹脂の特性に起因して得られる本発明の効果の観点から、感光性組成物の全固形分中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の感光性組成物には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、溶解抑止剤を含有させることが好ましい。特に、前記赤外線吸収剤として溶解抑止能を有しないものを使用する場合には、この溶解抑止剤は該感光性組成物の耐アルカリ性を維持するための重要成分となりうる。
本発明に用いられる溶解抑止剤としては、前記特定ノボラック樹脂又はその他の水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、感光性組成物の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光により該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされない。具体的には、オニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等が挙げられ、中でも、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質が好ましい。
本発明の感光性組成物には、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を使用することができる。また、後述する界面活性剤、画像着色剤、および可塑剤も使用することができる。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類、及びカルボン酸類などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類、及び有機酸類の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
本発明の感光性組成物は、前記各成分(添加剤を含む全固形分)を溶媒に溶かして記録層塗布液とし、適当な支持体上に塗布することで平版印刷版原版を製造することができる。さらに、目的に応じて、保護層、下塗り層、バックコート層などを設けてもよく、これらは、記録層と同様の方法により設けることができる。
上記記録層塗布液を調整する際に使用される溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の前記成分の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般に、乾燥後の塗膜量が0.5〜5.0mg/m2となる量が好ましく、0.6〜2.0mg/m2となる量がより好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な強度、可撓性などの物性を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフイルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフイルム等が挙げられる。
本発明に適用し得る支持体としては、ポリエステルフイルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフイルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
本発明に係る平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に下塗層を設けることができる。この下塗層を設けることで、支持体と記録層との間の下塗層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。また、本発明に係る記録層は、この下塗層を設ける際にも、露光面或いはその近傍に位置するため、赤外線レーザに対する感度は良好に維持される。
なお、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である記録層自体が下塗層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された記録層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの下塗層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この下塗層は有用であると考えられる。
さらに、特開2000−108538号公報、特願2002−257484号公報、特願2003−78699号公報、等に記載されているような化合物についても、必要に応じて用いることができる。
本発明に係る平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
本発明に係る平版印刷版原版に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明に係る平版印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組合せて用いることができる。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を経て処理することで支持体を作製した。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
上記(a)〜(j)の各工程を順に行い、(e)工程におけるエッチング量を3.4g/m2となるようにして支持体Aを作製した。
<支持体B>
上記全工程のうち、(g)、(h)及び(i)の工程を省略した以外は、各工程を順に行い、支持体Bを作製した。
<支持体C>
上記全工程のうち、(a)、(g)、(h)及び(i)の工程を省略した以外は、各工程を順に行い、支持体Cを作製した。
<支持体D>
上記全工程のうち、(a)、(d)、(e)及び(f)の工程を省略した以外は、各工程を順に行い、(g)工程における電気量の総和が450C/dm2となるようにして、支持体Dを作製した。
上記によって得られた支持体A、B、C、Dには、引き続き下記の親水処理、下塗り処理を行った。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥して下塗り層を設けた。乾燥後の被覆量は15mg/m2であった。
・下記高分子化合物(I又はII;表2に記載の種類) 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
(記録層の形成)
上記で得られた下塗り層付き支持体A〜Dに、下記組成の記録層塗布液1をウエット塗布量が7.5cc/m2になるようにワイヤーバーで塗布を行い、140℃で70秒間の乾燥を行い、乾燥後の総塗布量を1.4g/m2として、実施例1〜10のポジ型平版印刷版原版を得た。
・第一のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.518g
・第二のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 1.554g
・シアニン染料A(下記構造) 0.052g
・化合物B(下記構造) 0.030g
・化合物C(下記構造) 0.015g
・化合物D(下記構造) 0.030g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.100g
・ビス−p−ヒドロキシフェニルスルホン 0.050g
・メチルエチルケトン 25.30g
記録層塗布液1において、第一のノボラック樹脂及び第二のノボラック樹脂を、以下のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11のポジ型平版印刷版原版を得た。
・第一のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.207g
・第二のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 1.865g
記録層塗布液1において、第一のノボラック樹脂及び第二のノボラック樹脂を、表2に記載のノボラック樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポジ型平版印刷版原版を得た。
記録層塗布液1において、第一のノボラック樹脂を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2のポジ型平版印刷版原版を得た。
記録層塗布液1において、第二のノボラック樹脂を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例3のポジ型平版印刷版原版を得た。
厚さ0.3mmのアルミニウム板を5質量%水酸化ナトリウム水溶液中で65℃で一分間脱脂処理を行なった後水洗し、0.5mol塩酸水溶液で25℃、電流密度60A/dm2の条件下で30分間電解エッチング処理を行った。次いで5質量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20質量%硫酸水溶液中で温度20℃、電流密度3A/dm2の条件下で1分間陽極酸化処理を行った。更に水洗し、続いて80℃の酢酸アンモニウム1%水溶液で30秒間浸漬し、水洗後80℃で3分間乾燥した。更に85℃のカルボキシメチルセルロース0.1%水溶液に30分間浸漬した後、80℃で5分間乾燥し、支持体を作製した。
該支持体の砂目上に、下記組成の記録層塗布液2を、乾燥質量が1.6g/cm2になるように塗布し、95℃の気流下で90秒間乾燥し、比較例4のポジ型平版印刷版原版を得た。
・第一のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.972g
・第二のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 1.457g
・シアニン染料B(下記構造) 0.101g
・プロピレングリコール 17.71g
・メチルエチルケトン 7.59g
実施例1〜10と同様の方法にて得られた下塗り層付き支持体A〜Dに、下記組成の記録層塗布液3(第1層用)を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥して塗布量を0.85g/m2とした。
得られた第1層付き支持体に、下記組成の記録層塗布液4(第2層用)をワイヤーバーで塗布した。塗布後145℃70秒間の乾燥を行ない、総塗布量を1.1g/m2として実施例12〜21のポジ型平版印刷版原版を得た。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル
(モル比36:34:30、重量平均分子量50,000) 2.13g
・シアニン染料A(前記構造) 0.134g
・ビス−p−ヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・2−メトキシ−4−(N−フェニルアミノ)
ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレット6−ナフタレンスルホン酸 0.078g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製) 0.023g
・γ−ブチロラクトン 13.16g
・メチルエチルケトン 25.39g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.95g
・第一のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.088g
・第二のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.263g
・シアニン染料A(前記構造) 0.029g
・ポリマーP/MEK30%溶液(下記構造) 0.14g
・4級アンモニウム塩(下記構造) 0.004g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製) 0.004g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−781、大日本インキ化学工業(株)製) 0.001g
・メチルエチルケトン 2.63g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.27g
記録層塗布液4において、第一のノボラック樹脂及び第二のノボラック樹脂を、以下のものに変更した以外は、実施例12と同様にして、実施例22のポジ型平版印刷版原版を得た。
・第一のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.035g
・第二のノボラック樹脂(表2に記載の種類) 0.315g
記録層塗布液4において、第一のノボラック樹脂及び第二のノボラック樹脂を、表2に記載のノボラック樹脂に変更した以外は、実施例12と同様にして、比較例5のポジ型平版印刷版原版を得た。
記録層塗布液4において、第一のノボラック樹脂を用いなかった以外は、実施例12と同様にして、比較例6のポジ型平版印刷版原版を得た。
記録層塗布液4において、第二のノボラック樹脂を用いなかった以外は、実施例12と同様にして、比較例7のポジ型平版印刷版原版を得た。
次に、実施例1〜22及び比較例1〜7のポジ型平版印刷版原版の性能評価を行った。なお、評価試験は前記記録層の塗布後、25℃で14日間保存したものについて行った。
特定ノボラック樹脂の重量平均分子量分布を示すGPCパターンは、東ソー製カラム(GMHXL 2本)、流量1ml/min、溶出溶媒テトラヒドロフランを用いて測定し、測定後の曲線から、各重量平均分子量範囲にあるGPCパターンの面積比(全面積に対する%)を算出した。結果を表3、表4に記す。
得られた実施例1〜22及び比較例1〜7のポジ型平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter800にて、ドラム回転速度250rpmとし、ビーム強度を5Wから15Wまで段階的に変えて、テストパターンを画像状に書き込みを行った。その後、実施例1〜11、比較例1〜4については、富士写真フイルム(株)製現像液LH−DRSに炭酸ガスを吹き込み電導度が70mS/cmとなった液を用いて、液温28℃に保ち現像時間26秒で現像し、実施例12〜22、比較例5〜7については、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2の水希釈液(1:8)により電導度が45mS/cmとなった液を用いて、液温30℃に保ち現像時間12秒で現像した。この現像液で非画像部が現像できる最小ビーム強度(W)を測定し、感度とした。この数値が小さいほど高感度であることを示す。結果を表3、表4に記す。
得られた実施例1〜22及び比較例1〜7のポジ型平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter800にて、ビーム強度10.0W、ドラム回転速度250rpmの条件でテストパターンの画像状に描き込み(露光)を行った。
次に、実施例1〜11、比較例1〜4については、富士写真フイルム(株)製現像液LH−DRSに電導度が78mS/cmになるまで炭酸ガスを吹き込んだ液を用い、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wの水希釈(1:1)液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、液温を28℃に保って現像時間26秒で現像した。その後、炭酸ガスを適量吹き込み、電導度を76mS/cmに調整し、先ほどと同じくテストパターンを画像状に描き込んだ平版印刷版原版を現像した。更に電導度を2mS/cmずつ下げ、現像不良の非画像部残膜に起因する汚れが顕著に観察されるまでこの作業を続けた。
また、実施例12〜22、比較例5〜7については、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2Rの水希釈(1:5)にて、電導度が37mS/cmになるまで炭酸ガスを吹き込んだ液及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1の水希釈(1:1)液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、液温を30度に保って現像時間12秒で現像した。その後、現像液にDT−2Rの水希釈(1:5)液を適量加え、電導度を39mS/cmに調整し、先ほどと同じくテストパターンを画像状に描き込んだ平版印刷版原版を現像した。更に電導度を2mS/cmずつ上げ、画像の現像による膜減りが顕著に観察されるまでこの作業を続けた。
これら現像後の実施例及び比較例の版において、各電導度で現像した版を、現像不良の非画像部残膜に起因する汚れや着色がないかを50倍のルーペで確認し、良好に現像が行われた現像液の電導度を決定した。次に、実質上耐刷に影響を及ぼさない程度に現像膜減りが維持される限界の電導度、具体的には、現像前のベタ部の画像濃度をGRETAG反射濃度計D196(GretagMacbeth社製)で測定して、この画像濃度から0.10以上少ない画像濃度となるベタ部が形成された現像液の電導度を決定した。
良好に現像が行えた現像液の電導度と実質上耐刷に影響を及ぼさない程度に現像膜減りが維持される限界の電導度の幅を現像ラチチュードとした。この幅が大きい程、現像ラチチュードに優れることを示す。結果を表3、表4に記す。
Claims (1)
- 単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の分布が、100〜1000、1000〜3000、及び、3000〜30000の範囲にあるGPCパターンの面積比が、それぞれ、全面積に対して5〜20%、50%〜80%及び10〜35%であるノボラック樹脂、及び、赤外線吸収剤を含み、赤外レーザによってアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大することを特徴とする感光性組成物。
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