JP2005114672A - 空洞測定装置並びに傾斜測定装置及び空洞傾斜測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水路部材近傍に電源が不要で遠隔計測が可能な空洞測定装置並びに傾斜測定装置及び空洞傾斜測定装置を提供する。
【解決手段】 河川等に設置された水路部材1の下方の空洞を測定する装置であって、水路部材1の下方の地盤2に載置される錘11と、錘11に接続されたワイヤ10と、ワイヤ10が巻き付けられたプーリ8と、プーリ8の回転によって回転駆動されるカム12と、カム12に接しその回転に伴って直線移動するスライダ22と、スライダ22の一部に当接する梁23と、梁23に固定されたファイバブラッググレーティング25と、ファイバブラッググレーティング25に接続された光ファイバ32、33と、光ファイバ32、33に接続された光源および波長計測器とを備えたもの。水路部材1の下方の地盤2が沈下して錘11が下がると、錘11の沈下量に応じて、ファイバブラッググレーティング25に歪みが生じるので、この歪みを光ファイバ32、33を介して遠隔地から光源および波長計測器によって計測することで、水路部材1の下方の空洞を測定できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 河川等に設置された水路部材1の下方の空洞を測定する装置であって、水路部材1の下方の地盤2に載置される錘11と、錘11に接続されたワイヤ10と、ワイヤ10が巻き付けられたプーリ8と、プーリ8の回転によって回転駆動されるカム12と、カム12に接しその回転に伴って直線移動するスライダ22と、スライダ22の一部に当接する梁23と、梁23に固定されたファイバブラッググレーティング25と、ファイバブラッググレーティング25に接続された光ファイバ32、33と、光ファイバ32、33に接続された光源および波長計測器とを備えたもの。水路部材1の下方の地盤2が沈下して錘11が下がると、錘11の沈下量に応じて、ファイバブラッググレーティング25に歪みが生じるので、この歪みを光ファイバ32、33を介して遠隔地から光源および波長計測器によって計測することで、水路部材1の下方の空洞を測定できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、河川等に設置された水路部材の下方に生じる空洞を測定する装置、並びに水路部材の傾斜を測定する装置、及びそれら空洞・傾斜を測定する装置に係り、特に、ファイバブラッググレーティング(FBG)に生じた歪みを光ファイバを介して計測することで上記空洞や傾斜を測定する装置に関する。
図11に示すように、河川に設置される水門、樋門又は樋管等の水路部材1は、地盤2(川底)に打設された杭基礎3上に構築され、例えば樋管1aと樋門ゲート1bとゲート開閉装置1cとを有する。かかる水路部材1は、周辺の堤体土との重量・剛性等の相違から、特に軟弱地盤に構築されている場合、基礎地盤2の沈下に伴った空洞化を発生する事例が多く、洪水時の堤防漏水の大きな原因となっている。すなわち、水路部材1と堤体の境界部には、洪水時に浸透流が卓越し水みちが形成され弱点となり易い。このため、上記境界部には、必要な浸透経路長を確保するための遮水工を施す等の対策がなされている。
このような対策の効果を確認する手段として、水路部材1の下方の地盤2の沈下量すなわち空洞化を計測することが行われている。具体的には、図12にも示すように、水路部材1の下部にグラウトホール1dを貫通形成し、各グラウトホール1d内に予め沈下板4を挿入しておく。これにより、地盤の沈下量Hに応じて沈下板4も同量降下するので、物差し等で沈下板4の上部の落込み量Hを計測することで、地盤2の沈下量Hを測定できる。
また、地盤2の沈下によって水路部材1全体がいずれかの方向に傾くことがある。この傾斜の計測は、水路部材1の上部に電気式傾斜計を据え付けるか、又はその都度水路部材1の上部に傾斜計を載せて傾斜角度及び傾斜方向を計測していた。
なお、河川においてFBGを使用して歪みを測定するものとして特許文献1に記載されたものが知られている。
しかし、通常、水路部材1(樋門)内には水が入っており、グラウトホール1d内の沈下板4の落込み量Hを計測するには、作業員が水中に潜って物差しを当てるか、水深が大きい場合には潜水夫を雇って計測する等の作業が必要となる。このため、計測に費用がかかり、頻繁に計測することが困難であった。また、計測場所には船で行くことが多いが、台風や大雨、強風時には船を出せないので、このような気象条件下での測定は困難である。また、大きな水路部材1(樋門)では、樋門1内を船が通行するので、複数箇所の沈下板4の落込み量Hを計測する時には、長時間船を通行止めしなければならない。
また、電気式傾斜計を用いた計測では、水路部材1(樋門)の上部まで商用電源を配線する必要がある。このため、ゲート1bが手動式のタイプでは、近場に電源がないため、電気配線に多大な費用が必要となる。また、計測時のみ傾斜計を設置する場合には、それ以前の傾斜量を記憶(記録)しておき、それに対する変化を観察することになるが、これでは以前と今回との計測条件が異なるため、正確な傾斜量を把握することは困難である。また、電気を用いるため、電磁誘導による誤動作が発生する可能性がある。
以上の課題を解決するために創案された本発明の目的は、水路部材近傍に電源が不要で遠隔計測が可能な空洞測定装置並びに傾斜測定装置及び空洞傾斜測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために第1の発明に係る空洞測定装置は、河川等に設置された水路部材の下方の空洞を測定する装置であって、水路部材の下方の地盤に載置される錘と、該錘に接続されたワイヤと、該ワイヤが巻き付けられたプーリと、該プーリの回転によって回転駆動されるカムと、該カムに接しその回転に伴って直線移動するスライダと、該スライダの一部に当接する梁と、該梁に固定されたファイバブラッググレーティングと、該ファイバブラッググレーティングに接続された光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたものである。
この発明によれば、水路部材の下方の地盤が沈下して錘が下がると、錘の沈下量に応じて、ワイヤを介してプーリが回転され、カムが回転され、スライダが直線移動されて梁に押し付けられる。よって、梁に固定されたファイバブラッググレーティングに、錘の沈下量すなわち地盤の沈下量に応じた歪みが生じる。そして、この歪みは、光ファイバを介して遠隔地から光源および波長計測器によって計測される。これにより、水路部材の下方の空洞を測定できる。また、水路部材近傍までの電線の敷設、及び水路部材近傍の電源は不要となる。
また、上記プーリとカムとの間に、プーリの回転によるカムの回転範囲を1回転以下とする歯車群を介設してもよい。こうすれば、カムの揚程に対するスライダの梁への押付量が1対1対応となるので、計測精度が向上する。
また、上記プーリとカムとの間に、錘の自重よりも若干軽い巻上力を発揮する巻き戻し機構を設けてもよい。こうすれば、本装置を設置する際に、錘が地盤に当たってワイヤが緩んだ時、ワイヤがプーリから外れることを防止できる。
また、上記プーリに、ワイヤが巻き付けられる螺旋状の溝を設けてもよい。こうすれば、ワイヤのプーリに対する巻付け・繰出しの際に、ワイヤが整列されて溝に入るため、ワイヤが重なることなくプーリが回転し、計測精度が保たれる。
第2の発明に係る傾斜測定装置は、河川等に設置された水路部材の傾斜を測定する装置であって、水路部材に取り付けられる筐体と、該筐体内に設けられたベースと、該ベースに鉛直に取り付けられた梁と、該梁に固定されたファイバブラッググレーティングと、該ファイバブラッググレーティングに接続された光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたものである。
この発明によれば、地盤が傾斜して水路部材が傾くと、それに応じて鉛直に取り付けられた梁に曲げが生じる。よって、梁に固定されたファイバブラッググレーティングに、水路部材の傾斜に応じた歪みが生じる。そして、この歪みは、光ファイバを介して遠隔地から光源および波長計測器によって計測される。これにより、水路部材の傾斜を測定できる。また、水路部材近傍までの電線の敷設、及び水路部材近傍の電源は不要となる。
また、上記梁が円柱状に形成され、上記ファイバブラッググレーティングがその円柱状の梁に90度間隔で複数固定されていてもよい。こうすれば、各ファイバブラッググレーティングの歪みを夫々計測することにより、円柱状の梁の傾斜角度のみならず傾斜方向も検出でき、水路部材の傾斜角度及び傾斜方向を計測できる。
また、上記梁の端部に、当該梁が傾斜したときの曲がりを強めるための加重錘を設けてもよい。こうすれば、計測の感度が向上する。
また、上記加重錘又は梁の周囲に、それら加重錘又は梁から所定間隔を隔てて、梁の撓みを制限するストッパを設けてもよい。こうすれば、梁に固定されるファイバブラッググレーティングを所定の許容歪内で使用できる。
第3の発明に係る空洞傾斜測定装置は、河川等に設置された水路部材の下方の空洞を測定すると共に水路部材の傾斜を測定する装置であって、水路部材に取り付けられる筐体と、該筐体に軸支されたプーリと、該プーリに巻き付けられたワイヤと、該ワイヤの先端に取り付けられ上記水路部材下方の地盤に載置される錘と、上記プーリによって回転駆動されるカムと、該カムに接しその回転に伴って直線移動するスライダと、該スライダの一部に当接する第1梁と、該第1梁に固定された第1ファイバブラッググレーティングと、上記筐体内に設けられたベースと、該ベースに鉛直に取り付けられた円柱状の第2梁と、該第2梁に90度間隔で固定された第2及び第3ファイバブラッググレーティングと、上記第1、第2及び第3ファイバブラッググレーティングを直列に接続する光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたものである。
この発明によれば、第1梁に固定した第1ファイバブラッググレーティングに生じた歪みを測定することで水路部材の下方の空洞を測定でき、第2梁に固定した第2及び第3ファイバブラッググレーティングに生じた歪みを測定することで水路部材の傾斜方向・傾斜角度を測定できる。
以上説明したように本発明によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)水路部材の近傍に電源が不要であり、遠隔リアルタイム計測が可能である。
(2)1本の光ファイバによって、空洞・傾斜の測定が可能となる。
(3)光信号を処理しているので、電磁誘導による誤動作を防止できる。
(4)筐体を一旦設置すれば遠隔から長期間計測でき、コストダウンとなる。
(1)水路部材の近傍に電源が不要であり、遠隔リアルタイム計測が可能である。
(2)1本の光ファイバによって、空洞・傾斜の測定が可能となる。
(3)光信号を処理しているので、電磁誘導による誤動作を防止できる。
(4)筐体を一旦設置すれば遠隔から長期間計測でき、コストダウンとなる。
本発明の好適実施形態を添付図面に基いて説明する。
図1は本実施形態に係る空洞傾斜測定装置の部分破断正面図であり、図2はその空洞傾斜測定装置の側断面図であり、図3は上記空洞傾斜測定装置の平面図である。
この空洞傾斜測定装置は、図11に示すように河川に設置された水路部材1(水門、樋門、樋管等)の下方に発生する空洞を測定すると共に水路部材1に生じる傾斜を測定するものであり、水路部材1の下部に貫通形成されたグラウトホール1d内に挿入されて装着される略円筒状の筐体5を有する。但し、当該筐体5は、グラウトホール1dに挿入される円筒タイプに限定されるものではなく、水路部材1の別の部分に装着される別の形状のタイプでもよい。
図1及び図2に示すように、筐体5は、円筒体5aと上蓋5bと下蓋5cとを有する。円筒体5aの下部には、半円柱状の凹部6が形成されている。凹部6には、入力軸7が筐体5の内外を貫通して略水平に軸支されている。入力軸7と筐体5との軸支部分には、軸受やシール等が設けられている。入力軸7の筐体5外側部には、計測プーリ8が取り付けられている。プーリ8には、螺旋状の溝9が形成されており、その溝9には、一端が当該プーリ8に固定された可撓性ワイヤ10が巻き付けられている。溝9の深さは、ワイヤ10径よりも深い。ワイヤ10の先端には、錘11が取り付けられている。錘11は、図11に示す水路部材1の下方の地盤2に載置される。
プーリ8の直径及び幅は、地盤2に予想される最大沈下量に合わせて決定されるが、筐体5をグラウトホール1d内に設置する場合には、プーリ8の直径はグラウトホール1dの内径(10cm程度)以下にする必要がある。また、筐体5は、河川水中に長期間設置されるケースが多いため、錆や固形物が発生して回転部が固着する等、計測に支障を来すことが考えられる。このため、ワイヤ10にはステンレス製のものを用い、プーリ8の表面にフッ素樹脂コーティングを施し、入力軸7の回転部と静止部との間にフッ素系塗料を塗布し又は抗菌処理を行う等の対策がなされている。
筐体5の内部には、プーリ8の回転によって回転駆動されるカム12が、出力軸13に取り付けられている。出力軸13は筐体5内に軸支されている。プーリ8とカム12との間には、プーリ8の回転をカム12に伝達すると共に、プーリ8の回転によるカム12の回転範囲を1回転以下とする歯車群14が介設されている。歯車群14は、入力軸7の筐体5内側部に取り付けられた第1ギヤ15と、第1ギヤ15と噛合すべく筐体5内に軸支された中間軸16に取り付けられた第2ギヤ17と、第2ギヤ17と一体回転すべく中間軸16に取り付けられた第3ギヤ18と、第3ギヤ18と噛合すべく出力軸13に取り付けられた第4ギヤ19とからなる。
すなわち、筐体5をグラウトホール1d内に設置する場合、プーリ8の直径がグラウトホール1dの内径(10cm程度)より小さくなり、他方、地盤2の沈下量は大きいところでは1m以上にもなるため、この距離を計測するにはプーリ8は数回転することになる。よって、地盤1沈下によるカム12の回転範囲を最大限で1回転とするためには、大きな減速比を有する歯車群14を用いる必要がある。なお、地盤2沈下量が小さい現場では、増速比を有する歯車群14を用いて地盤2沈下に対するカム12の回転の感度を高めてもよい。また、歯車群14は、図例のギヤ配列に限定されるものではない。
プーリ8とカム12との間には、プーリ8に錘11の自重よりも若干軽い巻上力を発揮させる巻き戻し機構として、ゼンマイバネ20が設けられている。ゼンマイバネ20は、図例では、一端が歯車群14の中間軸16に固定され他端が筐体5に固定されており、プーリ8に錘11の自重よりも若干軽い巻上力を生じさせる。なお、ゼンマイバネ20は、入力軸7に取り付けてもよく、出力軸13に取り付けてもよい。また、巻き戻し機構は、ゼンマイバネ20に限られない。
カム12は、図5にも示すように、出力軸13からの半径が徐々に大きくなるようなカム山21を有する。カム山21には、カム12の回転に伴って直線移動するスライダ22が、当接されている。スライダ22は、図示しないガイドにスライド自在に支持されており、後述する第1梁23に当接するテーパ部22aを有する。なお、スライダ22を図示しないバネで付勢して、先端が常にカム山21に接するようにしてもよい。
第1梁23は、バネ性を有する材料から成形され、一部が筐体5内に固定されており、その反対側部にスライダ22のテーパ部22aが当接される。第1梁23には、取付板24を介して、第1ファイバブラッググレーティング25(以下第1FBG25という)が固定されている。第1FBG25は、第1梁23がスライダ22に押圧されて反ったとき、スライダ22の移動量に応じた歪みが発生することになる。
ところで、FBG(Fiber Bragg Grating)とは、歪みが生じると、その歪み量に応じて、光ファイバを介して入射された光の入射波長に対する反射波長が、所定量シフト(変調)する性質を有するものである。詳しくは、この反射波長は、FBGに圧縮歪みが生じたときには入射波長に対して短波長側にシフトし、FBGに引張歪みが生じたときには入射波長に対して長波長側にシフトする。
他方、筐体5の上蓋5b近傍の内側には、図1、図2及び図8に示すように、ベース26が設けられている。ベース26には、バネ性材料から円柱状に成形された第2梁27が鉛直に取り付けられて垂下されている。第2梁27の下端には、当該第2梁27が傾斜したときの曲がりを強めるための円柱状の加重錘28が設けられている。加重錘28の周囲には、第2梁27の撓みを制限する円筒状のストッパ29が、所定間隔wを隔てて設けられている。第2梁27の側面には、90度間隔で第2ファイバブラッググレーティング30(第2FBG30)と第3ファイバブラッググレーティング31(第3FBG31)とが固定されている。
図1及び図2に示すように、第1FBG25と第2FBG30と第3FBG31とは、光ファイバ32によって直列に接続されている。光ファイバ32の端部は、筐体5の上部にその内外を連通して取り付けられた光ファイバケーブル33に、接続されている。光ファイバケーブル33は、筐体5が取り付けられる水路部材1から離れた所定の計測室まで布設されている。そして、光ファイバケーブル33の先端には、公知の光源及び波長測定器(図示せず)が接続されている。
以上の構成からなる本実施形態の作用を述べる。
先ず、水路部材1の下方に発生する空洞の測定を、図4を用いて説明する。
図11に示す水路部材1の下方の地盤2(川底)が沈下して空洞が発生すると、水路部材1のグラウトホール1dに装着された図1及び図2に示す筐体5のプーリ8から繰り出されたワイヤ10に取り付けた錘11が下がる。すると、錘11の沈下量に応じて、ワイヤ10を介してプーリ8が回転し、歯車群14を介してカム12が回転し、カム12に当接するスライダ22が直線移動し、そのテーパ部22aが第1梁23に押し付けられる。すると、錘11の沈下量に応じて、第1梁23(バネ性)に反りが生じ、第1梁23に固定した第1FBG25に歪みが生じる。
よって、この第1FBG25に生じた歪みを、光ファイバ32及び光ファイバケーブル33を介して遠隔地(計測室)から光源および波長計測器によって計測することで、錘11の沈下量を測定できる。すなわち、図10に示すように、光源から波長λ1の光を入射して、第1FBG25の歪みによる反射波長λ1’のシフト量を波長計測器で計測し、その波長変化量をコンピュータ等で錘11の沈下量に換算することで、地盤2の沈下量すなわち空洞深さを測定できる。なお、算出された沈下量は、モニタ等に表示される。
これにより、水路部材1の下方に生じた空洞(空洞深さ)を遠隔地からリアルタイムで測定できる。また、第1FBG25と光源及び波長計測器を光ファイバ32及び光ファイバケーブル33で接続して、入射波長λ1に対する反射波長λ1’のシフト(変調)を処理信号として測定しているので、電磁誘導による誤作動が発生しない。また、光信号を処理しているので、水路部材1近傍までの商用電線の敷設、及び水路部材1近傍の電源は不要となる。また、遠隔計測が可能となるので、従来のように船で樋門1内に入り水中に潜って計測する必要がなくなり、計測時間・計測費用の低減を図れる。
また、プーリ8とカム12との間に、プーリ8の予想回転数(予想地盤沈下量に基づいて設定される)に対するカム12の回転範囲を1回転以下とする歯車群14を介設したので、カム1回転当たりのカム山21の揚程に対するスライダ22の移動量(第1梁23への押付量)が1対1対応となり、計測精度が向上する。すなわち、図5及び図6に示すように、カム山21の最低部21aにスライダ22が当接する状態を初期状態としておくと、地盤2の沈下に伴ってカム12が回転するためスライダ22の当接位置がカム山21の最高部側にずれ、これに伴って第1FBG25の波長変化が大きくなり、最終的にはスライダ22がカム山21の最高部21bに当接する。
また、プーリ8に、ワイヤ10が巻き付けられる螺旋状の溝9を設けたので、ワイヤ10のプーリ8に対する巻付け・繰出しの際にワイヤ10が整列されて溝9に入る。よって、ワイヤ10が重なることなくプーリ8が回転し、計測精度が保たれる。また、歯車群14に、錘11の自重よりも若干軽い巻上力を発揮するゼンマイバネ20を設けたので、筐体5をグラウトホール1dに設置する際に、錘11が地盤2に当たってワイヤ10が緩み、ワイヤ10がプーリ8の溝9から外れることを防止でき、また、ワイヤ10の緩み巻きやバックラッシュも防止できる。
また、スライダ22に押圧されて反りが生じる第1梁23の材質、幅、厚さ等は、地盤2が予想最大沈下量になったときに第1FBG25に生じる歪みが、許容歪み(例えば0.3%)以下となるように、設定されている。
次に、水路部材1に生じる傾斜の測定を図7を用いて説明する。
図11に示す水路部材1の下方の地盤2(川底)が部分的に沈下して水路部材1に傾斜が生じると、水路部材1のグラウトホール1d内に装着された図1及び図2に示す筐体5が傾斜する。すると、筐体5内に鉛直に垂下された第2梁27に、重力によって水路部材1の傾斜に応じた曲げが生じる。すると、第2梁27に固定された第2及び第3FBG30、31に、水路部材1の傾斜に応じた歪みが生じる。
よって、この第2及び第3FBG30、31に生じた歪みを、光ファイバ32及び光ファイバケーブル33を介して遠隔地(計測室)から光源および波長計測器によって計測することで、水路部材1の傾斜方向・傾斜角度を測定できる。すなわち、図10に示すように、光源から波長λ2の光を入射して第2FBG30の歪みによる反射波長λ2’のシフト方向・量を波長計測器で計測し、光源から波長λ3の光を入射して第3FBG31の歪みによる反射波長λ3’のシフト方向・量を波長計測器で計測し、それらをコンピュータ等で換算することで、水路部材1の傾斜方向・傾斜角度を測定できる。
具体的な水路部材1の傾斜方向の測定について説明する。図8及び図9に示すように、第2梁27は、円柱状に成形されているので、どの方向にも同じ曲げ剛性を有し、そして、第2及び第3FBG30、31は、第2梁27の側面に90度間隔で配置されている。よって、第2及び第3FBG30、31の歪みの種類(引張り、圧縮)を検出することで、第2梁27の曲げ方向すなわち水路部材1の傾斜方向を検出できる。これを、図9及び図10を用いて説明する。
図9は、図8に示す第2梁27を下方から見たときの曲げ荷重の方向と第2及び第3FBG30、31に生じる歪みの種類(引張り+、圧縮−)とを示すものである。例えば、第2梁27が丸2方向に曲がると、第2FBG30には引張り歪み(+)が発生し、第3FBG31には圧縮歪み(−)が発生する。そして、丸1〜丸8方向では、第2及び第3FBG30、31に生じる歪みの組み合わせ(−0+)が全て異なった組み合わせとなる。よって、図10に示すように、入射波長λ2、λ3に対する第2、第3FBG30、31からの反射波長λ2’、λ3’のシフト方向を計測することで、第2梁27の曲げ方向すなわち水路部材1の傾斜方向を検出できる。
そして、水路部材1の傾斜角度の測定は次のようにして行う。第2及び第3FBG30、31には、第2梁27の曲げ量に応じた歪みが生じる。よって、第2及び第3FBG30、31の歪みの大きさを検出することで、第2梁27の曲げ量すなわち水路部材1の傾斜角度を検出できる。すなわち、図10に示すように、入射波長λ2、λ3に対する第2、第3FBG30、31からの反射波長λ2’、λ3’のシフト量を計測し、これら各シフト量を用いてコンピュータ等によって所定演算を行うことで、第2梁27の曲げ量すなわち水路部材1の傾斜角度を検出できる。なお、算出された水路部材1の傾斜方向・傾斜角度は、モニタ等に表示される。以上により、水路部材1の傾斜方向・傾斜角度を遠隔地からリアルタイムで測定できる。
また、第2及び第3FBG30、31と光源及び波長計測器とを、光ファイバ32及び光ファイバケーブル33で接続して、入射波長λ2、λ3に対する反射波長λ2’、λ3’のシフト(変調)を処理信号として測定しているので、電磁誘導による誤作動が発生しない。また、光信号を処理しているので、水路部材1近傍までの商用電線の敷設、及び水路部材1近傍の電源は不要となる。また、遠隔計測が可能となるので、従来のように船で樋門1内に入り水中に潜って計測する必要がなくなり、計測時間・計測費用の低減を図れる。
また、樋門等の水路部材1に生じる傾斜は、一般的に最大でも15度程度以下であるので、本実施形態では、第2梁27の端部に加重錘28を設け、加重錘28に作用する重力によって第2梁27の曲げをアシストし、計測感度を向上させている。荷重錘28の重量・形状は、第2梁27(円柱体)の材質・径・長さにより変わるが、水路部材1の予想最大傾斜時において第2・第3FBG30、31に生じる歪みが、許容歪み(例えば0.3%)以下となるように設定される。
また、本実施形態では、加重錘28の側面の周囲に、所定間隔wを隔てて、第2梁27の撓みを制限するストッパ29を設けているので、第2・第3FBG30、31の保護が万全となる。すなわち、加重錘28とストッパ29との間隔wは、加重錘28がストッパ29に当たるまで第2梁27が曲がったときに第2・第3FBG30、31に生じる歪みが、許容歪み(例えば0.3%)以下となるように設定されている。
また、本実施形態では、ベース26の下に第2梁27を鉛直に吊下し、第2梁27の下端に加重錘28を配置したが、逆に、ベース26の上に第2梁27を鉛直に立設し、第2梁27の上端に加重錘28を配置した構成としてもよい。筐体5が傾いたとき、第2梁27が重力によって曲がることに変わりないからである。なお、加重錘28と第2梁27とベース26とは、各部品を適当に組み合わせて一体成形してもよい。
また、本実施形態では、一つの筐体5内に水路部材1下方の空洞の深さを検出する機構と水路部材1の傾斜を検出する機構とを設けたので、一つの筐体5(センサ体)で空洞と傾斜とを同時に計測でき、筐体5(センサ体)の設置場所・設置費用を低減できる。
また、本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1、第2及び第3FBG25、30、31を光ファイバ32で直列に繋いでいるので、その光ファイバ32の一端から図10に示すような波長λ1、λ2、λ3の光を入射し、第1、第2及び第3FBG25、30、31の歪みによる反射波の波長λ1’、λ2’、λ3’のシフト量・方向を計測することで、水路部材1の下方に生じた空洞の深さ、水路部材1の傾斜方向・傾斜角度を測定できる。ここで、各入射波長λ1、λ2、λ3の間隔は、各FBG25、30、31に最大引張り・圧縮歪みが発生したと仮定したときの各反射波長λ1’、λ2’、λ3’が、入射波長λ1、λ2、λ3と重ならないように設定されている。
また、図11に示す複数のグラウトホール1dに図1及び図2に示す筐体5を夫々装着し、各筐体5から引き出された錘11の沈下量を測定することで、水路部材1下方の空洞の形状を把握できる。また、各筐体5の傾斜を夫々測定することで、水路部材1の傾斜を正確に把握できる。この場合、各筐体5内の第1、第2及び第3FBG25、30、31は光ファイバ32で全て直列に接続され、各FBG25、30、31に対応する入射波長の間隔は反射波長と重ならないように設定される。これにより、水路部材1から計測室まで布設される光ファイバケーブル33は1本で済む。
また、複数の水路部材1(樋門、樋管等)に夫々筐体5を取り付け、各筐体5内のFBG25、30、31を光ファイバ32で直列に接続してもよい。この場合も、入射波長の間隔は反射波長と重ならないように設定される。これにより、1本の光ファイバケーブル33で複数の水路部材1(樋門、樋管等)の空洞・傾斜を遠隔からリアルタイムで計測できる。
また、本実施形態では、一つの筐体5内に水路部材1下方の空洞の深さを検出する機構と水路部材1の傾斜を検出する機構とを設けた空洞傾斜測定装置を示したが、いずれか一方を省略して空洞測定装置又は傾斜測定装置としてもよい。
1 水路部材
5 筐体
8 プーリ
9 溝
10 ワイヤ
11 錘
12 カム
14 歯車群
20 巻き戻し機構としてのゼンマイバネ
22 スライダ
23 第1梁(梁)
25 第1FBG(FBG)
26 ベース
27 第2梁(梁)
28 加重錘
29 ストッパ
30 第2FBG(FBG)
31 第3FBG(FBG)
32 光ファイバ
W 所定間隔
5 筐体
8 プーリ
9 溝
10 ワイヤ
11 錘
12 カム
14 歯車群
20 巻き戻し機構としてのゼンマイバネ
22 スライダ
23 第1梁(梁)
25 第1FBG(FBG)
26 ベース
27 第2梁(梁)
28 加重錘
29 ストッパ
30 第2FBG(FBG)
31 第3FBG(FBG)
32 光ファイバ
W 所定間隔
Claims (9)
- 河川等に設置された水路部材の下方の空洞を測定する装置であって、水路部材の下方の地盤に載置される錘と、該錘に接続されたワイヤと、該ワイヤが巻き付けられたプーリと、該プーリの回転によって回転駆動されるカムと、該カムに接しその回転に伴って直線移動するスライダと、該スライダの一部に当接する梁と、該梁に固定されたファイバブラッググレーティングと、該ファイバブラッググレーティングに接続された光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたことを特徴とする空洞測定装置。
- 上記プーリとカムとの間に、プーリの回転によるカムの回転を1回転以下とする歯車群を介設した請求項1記載の空洞測定装置。
- 上記プーリとカムとの間に、錘の自重よりも若干軽い巻上力を発揮する巻き戻し機構を設けた請求項1乃至2いずれか記載の空洞測定装置。
- 上記プーリに、ワイヤが巻き付けられる螺旋状の溝を設けた請求項1乃至3いずれか記載の空洞測定装置。
- 河川等に設置された水路部材の傾斜を測定する装置であって、水路部材に取り付けられる筐体と、該筐体内に設けられたベースと、該ベースに鉛直に取り付けられた梁と、該梁に固定されたファイバブラッググレーティングと、該ファイバブラッググレーティングに接続された光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたことを特徴とする傾斜測定装置。
- 上記梁が円柱状に形成され、上記ファイバブラッググレーティングがその円柱状の梁に90度間隔で複数固定された請求項5記載の傾斜測定装置。
- 上記梁の端部に、当該梁が傾斜したときの曲がりを強めるための加重錘を設けた請求項5乃至6いずれか記載の傾斜測定装置。
- 上記加重錘又は梁の周囲に、それら加重錘又は梁から所定間隔を隔てて、梁の撓みを制限するストッパを設けた請求項5乃至7いずれか記載の傾斜測定装置。
- 河川等に設置された水路部材の下方の空洞を測定すると共に水路部材の傾斜を測定する装置であって、水路部材に取り付けられる筐体と、該筐体に軸支されたプーリと、該プーリに巻き付けられたワイヤと、該ワイヤの先端に取り付けられ上記水路部材下方の地盤に載置される錘と、上記プーリによって回転駆動されるカムと、該カムに接しその回転に伴って直線移動するスライダと、該スライダの一部に当接する第1梁と、該第1梁に固定された第1ファイバブラッググレーティングと、上記筐体内に設けられたベースと、該ベースに鉛直に取り付けられた円柱状の第2梁と、該第2梁に90度間隔で固定された第2及び第3ファイバブラッググレーティングと、上記第1、第2及び第3ファイバブラッググレーティングを直列に接続する光ファイバと、該光ファイバに接続された光源および波長計測器とを備えたことを特徴とする空洞傾斜測定装置。
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JP2003352332A JP2005114672A (ja) | 2003-10-10 | 2003-10-10 | 空洞測定装置並びに傾斜測定装置及び空洞傾斜測定装置 |
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JP2003352332A JP2005114672A (ja) | 2003-10-10 | 2003-10-10 | 空洞測定装置並びに傾斜測定装置及び空洞傾斜測定装置 |
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JP2005114672A true JP2005114672A (ja) | 2005-04-28 |
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