JP2005113869A - キャニスタユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも使用することのできるポンプモジュール及びキャニスタユニットを提供すること。
【解決手段】ポンプモジュールは、DCモータ37により駆動されるベーンポンプ31を備える。ベーンポンプ31は、DCモータ37により正転駆動させることで正圧を生じ、DCモータ37により逆転駆動させることで負圧を生じる。ベーンポンプ31は、カムリング42、ベーン43、ロータ44及びこれらの側面にあってカムリング42、ベーン43及びロータ44とともにポンプ室を45形成するサイドプレート46を含む。サイドプレート46には、吸入ポート51及び吐出ポート52がポンプ室46に連通可能に設けられる。サイドプレート46は、少なくともロータ44との間で生じる摩擦抵抗を受けてケーシング41に対し回動する。
【選択図】 図4

Description

この発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタを含むキャニスタユニットに関する。
従来、車両に搭載される装置の一つとして、燃料タンクで発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気へ放出させずに処理する蒸発燃料処理装置が知られている。この装置は、ベーパを捕集するキャニスタを備え、キャニスタ内部の吸着剤にベーパを一旦吸着させ、エンジンの運転時に吸気通路で発生する吸気負圧を利用して、キャニスタに捕集された燃料成分をパージ通路を通じて吸気通路へパージしてエンジンでの燃焼に供することにより処理するようになっている。
ところで、この種の処理装置において、万が一、何らかの原因で燃料タンクから吸気通路までの流路途中に孔があいていたり、配管接合部にシール不良が生じていたりした場合には、ベーパが外部へ漏れるおそれがり、ベーパを適正に処理することができなくなる。従って、このような漏れ故障を早期に発見するための診断を行う必要がある。
この種の故障診断に関する技術は、既に幾つか提案されているが、下記の特許文献1には、加圧式漏れ検査を行う故障診断装置の一例が開示されている。この診断装置は、蒸発燃料処理装置の漏れ検査を行う装置として、ポンプによりキャニスタ内に空気を送出することにより、燃料タンクから吸気通路に至るまでの流路を加圧する。そして、加圧された流路の圧力が所定値より低いときに、処理装置に漏れ故障が起きていることを診断するようになっている。この診断装置は、キャニスタ内を加圧するために、キャニスタとは別に設けられたポンプを備える。
一方、下記の特許文献2には、加圧式に対する減圧式漏れ検査を行う故障診断装置の一例が開示されている。この診断装置は、エンジン停止後に燃料タンクからパージ制御弁までの間の処理流路を密閉し、その後に負圧タンクに保持された負圧を処理流路内に導入して同流路を減圧する。そして、減圧後にその圧力が所定値より高いときに、処理流路に漏れ故障が起きていることを診断するようになっている。
ところで、特許文献2に記載の故障診断装置は、負圧タンクに保持された負圧を使用して処理流路内を減圧するが、この減圧を、特許文献1の記載に準じてポンプ(負圧ポンプ)を使用して行うことが考えられる。つまり、減圧式漏れ検査を行う故障診断についても、キャニスタ内を減圧するために、キャニスタとは別に設けられたポンプを設けることが考えられる。
ここで、加圧式漏れ検査を行う故障診断装置、減圧式漏れ検査を行う故障診断装置のそれぞれについて、キャニスタにポンプを一体的に設けてユニット化することが考えられる。ユニット化することで、車両等に対する搭載性を向上でき、量産化にも寄与できるからである。
特開2003−155958号公報(第2〜7頁,図1〜5) 特開2003−222057号公報(第2〜8頁,図1,2)
ところが、上記のようにキャニスタとポンプをユニット化した場合、加圧式漏れ検査用故障診断装置のためには、キャニスタと正圧ポンプとのユニットを製造しなければならず、減圧式漏れ検査用故障診断装置のためには、キャニスタと負圧ポンプとのユニットを製造しなければならない。このため、2種類のユニットについて製造管理と製品管理をしなければならないことになる。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも使用することのできるキャニスタユニットを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明のキャニスタユニットは、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタと、ケーシングの内部圧力を変更するためにケーシングに一体的に組み付けられ、モータにより駆動されるポンプとを備え、ポンプは、モータにより正転駆動させることで正圧を生じ、モータにより逆転駆動させることで負圧を生じることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、ポンプをモータにより正転駆動させることで、ポンプが正圧を生じ、ケーシングの内部圧力が加圧される。一方、ポンプをモータにより逆転駆動させることで、ポンプが負圧を生じ、ケーシングの内部圧力が減圧される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明のキャニスタユニットは、請求項1に記載の発明において、ポンプは、カムリング、ベーン、ロータ及びこれらの側面にあってカムリング、ベーン及びロータとともにポンプ室を形成するサイドプレートを含むベーンポンプであることと、サイドプレートは、ポンプ室に連通可能に設けられる吸入ポート及び吐出ポートを含むことと、サイドプレートは、所定の角度範囲内で回動可能に設けられることとを備え、サイドプレートが角度範囲の端まで回動された状態で、ポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、ベーンポンプをモータにより正転駆動させることで、吸入ポートからポンプ室に気体が吸入されて吐出ポートから吐出される。これにより、ベーンポンプが正圧を生じ、ケーシングの内部圧力が加圧される。一方、ベーンポンプをモータにより逆転駆動させることで、ポンプ室の気体が吸入ポートから吐出されて吐出ポートに気体が吸入される。これにより、ベーンポンプが負圧を生じ、ケーシングの内部圧力が減圧される。ここで、サイドプレートが所定の角度範囲の端まで回動された状態で、ポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となる。従って、ベーンポンプは最大効率で正圧を生じさせ、最大効率で負圧を生じさせることが可能となる。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明のキャニスタユニットは、請求項2に記載の発明において、サイドプレートは、少なくともロータとの間で生じる摩擦抵抗を受けて回動することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、モータによりベーンポンプが回転駆動し始めるとき、ロータが回転されることでサイドプレートがロータとの間の摩擦抵抗を受けて所定の角度範囲の端まで自動的に回動される。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明のキャニスタユニットは、請求項2に記載の発明において、サイドプレートを回動させるためのアクチュエータを更に備え、サイドプレートは、アクチュエータの駆動力を受けて回動することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、モータによりベーンポンプが回転駆動し始めるとき、アクチュエータによりロータが回転されることでサイドプレートが回動され、所定の角度範囲の端まで回動される。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明のポンプモジュールは、カムリング、ベーン、ロータ及びこれらの側面にあってカムリング、ベーン及びロータとともにポンプ室を形成するサイドプレートを含み、モータにより駆動されるベーンポンプと、サイドプレートは、ポンプ室に連通可能に設けられる吸入ポート及び吐出ポートを含むこととを備え、ベーンポンプは、モータにより正転駆動させることでポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通して正圧を生じ、モータにより逆転駆動させることでポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通して負圧を生じることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、ベーンポンプをモータにより正転駆動させることで、吸入ポートからポンプ室に気体が吸入されて吐出ポートから吐出され、ベーンポンプが正圧を生じさせる。一方、ベーンポンプをモータにより逆転駆動させることで、ポンプ室の気体が吸入ポートから吐出されて吐出ポートに気体が吸入され、ベーンポンプが負圧を生じさせる。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明のポンプモジュールは、請求項5に記載の発明において、サイドプレートは、所定の角度範囲内で回動可能に設けられ、サイドプレートが角度範囲の端まで回動された状態で、ポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項5に記載の発明の作用に対し、サイドプレートが所定の角度範囲の端まで回動された状態で、ポンプ室が吸入ポート又は吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となる。従って、ベーンポンプは最大効率で正圧を生じさせ、最大効率で負圧を生じさせることが可能となる。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明のポンプモジュールは、請求項5に記載の発明において、サイドプレートは、少なくともロータとの間で生じる摩擦抵抗を受けて回動することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項5に記載の発明の作用に加え、モータによりベーンポンプが回転駆動し始めるとき、ロータが回転されることでサイドプレートがロータとの間の摩擦抵抗を受けて自動的に回動され、所定の角度範囲の端まで回動される。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明のポンプモジュールは、請求項5に記載の発明において、サイドプレートを回動させるためのアクチュエータを更に備え、サイドプレートは、アクチュエータの駆動力を受けて回動することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項5に記載の発明の作用に加え、モータによりベーンポンプが回転駆動し始めるとき、アクチュエータによりロータが回転されることでサイドプレートが回動され、所定の角度範囲端まで回動される。
請求項1に記載の発明によれば、キャニスタユニットを加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも使用することができ、キャニスタユニットの製造管理と製品管理を簡略化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、キャニスタユニットのベーンポンプを加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも最大効率で使用することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、キャニスタユニットの構成を簡略化することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、サイドプレートを、アクチュエータの駆動力により確実に回動させることができ、任意のタイミングでサイドプレートを回動させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、ポンプモジュールを加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも使用することができ、ポンプモジュールの製造管理と製品管理を簡略化することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、ポンプモジュールのベーンポンプを加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも最大効率で使用することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、ポンプモジュールの構成を簡略化することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、サイドプレートを、アクチュエータの駆動力により確実に回動させることができ、任意のタイミングでサイドプレートを回動させることができる。
以下、本発明のキャニスタユニットを含む蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を具体化した一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に自動車に搭載された蒸発燃料処理装置と、その故障診断装置を概略構成図に示す。自動車に搭載されたエンジン1は、外気を吸入するための吸気通路2と、排気ガスを排出するための排気通路3とを備える。エンジン1の燃焼室(図示略)には、燃料タンク4に貯留された燃料が、燃焼のために燃料ポンプ5等よりなる所定の燃料供給装置により供給される。
吸気通路2には、吸気量を調節するために開閉されるスロットルバルブ6が設けられる。スロットルバルブ6には、その開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ21が設けられる。吸気通路2には、吸気圧PMを検出するための吸気圧センサ22が設けられる。エンジン1には、その回転速度(エンジン回転速度)NEを検出するための回転速度センサ23が設けられる。この他、自動車には、その車速SPDを検出するための車速センサ24が設けられる。これらスロットルセンサ21、吸気圧センサ22、回転速度センサ23及び車速センサ24は、エンジン1及び自動車の運転状態を検出するための運転状態検出手段に相当する。
自動車には、蒸発燃料処理装置が搭載される。この装置は、燃料タンク4で発生する蒸発燃料(ベーパ)を大気中へ放出させることなく捕集して処理するためのものである。この装置は、燃料タンク4で発生するベーパを、ベーパライン7を通じて捕集する本発明のキャニスタユニット8を備える。ベーパライン7には、同ライン7におけるベーパの流れを制御するためのベーパ制御弁9が設けられる。ベーパ制御弁9は、電磁弁より構成される。ベーパライン7には、同ライン7におけるベーパの圧力(ベーパ圧力)Pbを検出するためのベーパ圧センサ25が設けられる。この他、燃料タンク4には、燃料タンク4の雰囲気温度を検出するための温度センサ26が設けられる。
キャニスタユニット8は、ベーパを吸着するための吸着剤10をケーシング11に内蔵して構成される。吸着材10は活性炭より構成される。キャニスタユニット8から延びる大気パイプ12は、大気に連通する。キャニスタユニット8から延びるパージライン13は、スロットルバルブ6より下流の吸気通路2に連通する。パージライン13には、同ライン13におけるベーパのパージ流量を制御するためのパージ制御弁14が設けられる。パージ制御弁14は、電磁弁より構成される。
キャニスタユニット8を構成するケーシング11のほぼ中央部には、この蒸発燃料処理装置のための故障診断機能部品としてのポンプモジュール15が一体的に組み付けられる。ケーシング11は、全体が略U形の筒状体をなし、そのほぼ中央部にはU形の谷部11aが形成される。この谷部11aに対してポンプモジュール15が組み付けられる。ポンプモジュール15は、ケーシング11の内部圧力を変更するために動作する。
すなわち、ポンプモジュール15は、減圧式漏れ検査を行うための故障診断装置を構成することができ、ケーシング11から気体を吸引することにより、燃料タンク4から吸気通路2までのベーパライン7、キャニスタユニット8及びパージライン13を含む処理流路内を減圧する。そして、この故障診断装置は、減圧された処理流路内の圧力が所定値よりも高いときに、蒸発燃料処理装置に漏れ故障が起きていることを診断することができる。
また、ポンプモジュール15は、加圧式漏れ検査を行うための故障診断装置を構成することができ、ケーシング11に対して気体を吐出することにより、燃料タンク4から吸気通路2までのベーパライン7、キャニスタユニット8及びパージライン13を含む処理流路内を加圧する。そして、この故障診断装置は、加圧された処理流路内の圧力が所定値よりも低いときに、蒸発燃料処理装置に漏れ故障が起きていることを診断することができる。
図2に図1のポンプモジュール15の構成と、ポンプモジュール15とケーシング11との関係を等価構成図に示す。図2に示すように、ポンプモジュール15は、ベーンポンプ31と、そのベーンポンプ31の大気導入側に設けられる逆止弁32及びエアフィルタ33と、ベーンポンプ31の大気導出側に設けられる切替弁34、オリフィス35及びトラップキャニスタ36とを含む。エアフィルタ33は、ベーンポンプ31に導入される大気を清浄化する。逆止弁32は、ベーンポンプ31から大気へ向かう気体の流れを阻止する。ベーンポンプ31は、負圧を生じさせることにより、ケーシング11の内部圧力を減圧する。また、ベーンポンプ31は、正圧を生じさせることにより、ケーシング11の内部圧力を加圧する。切替弁34とオリフィス35は、ベーンポンプ31とトラップキャニスタ36との間にて互いに並列に接続される。切替弁34は、電磁弁より構成される。切替弁34は、ベーンポンプ31による発生負圧又は発生正圧を遮断及び導通させるために開閉される。オリフィス35は、切替弁34が閉じたときにベーンポンプ31とケーシング11との間に微小な連通を確保する。トラップキャニスタ36は、万が一、ケーシング11からベーパが漏れ出たときにそれを捕集する。
図1に示すように、この実施形態で、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、電子制御装置(ECU)30が設けられる。ECU30には、上記した各種センサ21〜26が接続される。同じく、ECU30には、ベーパ制御弁9、パージ制御弁14、ベーンポンプ31及び切替弁34がそれぞれ接続される。ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を制御するために、各種センサ21〜26からの検出信号に基づき各弁9,14,34及びベーンポンプ31を制御する。
ECU30は、周知のように中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ROMには、各種制御プログラム及び所定のデータが予め記憶される。RAMには、CPUの演算結果が一時記憶される。バックアップRAMには、予め記憶したデータが保存される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ21〜26の検出信号に基づき、蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置に関する各種制御を実行する。
図3にポンプモジュール15を構成するベーンポンプ31を平面図に示す。図4にベーンポンプ31の縦断面図を示す。ベーンポンプ31は、DCモータ37と、そのモータ37により駆動されるポンプ本体38とを含む。図4の断面図は、後述する図5においてサイドプレート46をA−A線に沿って切断したときの断面図に相当する。
図4に示すように、ポンプ本体38は、ハウジング41と、ハウジング41に収容されるカムリング42と、複数のベーン43と、各ベーン43を支持するロータ44と、これら部材42〜44の側面にあってハウジング41、カムリング42、ベーン43及びロータ44とともにポンプ室45を形成するサイドプレート46とを含む。DCモータ37の回転軸37aは、ロータ44に連結される。複数のベーン43は、ロータ44のラジアル方向へ移動可能に取り付けられる。カムリング42は、ベーン43の外側に設けられてポンプ室45の形成に寄与する。ハウジング41は、ベース41aとカバー41bとから構成される。ベース41aには、吸入凹部47と吐出凹部48が形成される。カバー41bには、吸入通路49と吐出通路50が形成される。ベース41aの吸入凹部47とカバー41bの吸入通路49は、互いに連通する。ベース41aの吐出凹部48とカバー41bの吐出通路50は、互いに連通する。DCモータ37は、通電極性を正逆切り替えることにより、回転軸37aを正転及び逆転させることが可能である。
図5,6にサイドプレート46の組付状態を正面図に示す。サイドプレート46は円盤状をなし、回転軸37aを中心に回転可能に設けられる。図4〜6に示すように、サイドプレート46には、その板厚方向に貫通する吸入ポート51及び吐出ポート52が形成される。両ポート51,52は、円弧状の長孔より構成される。吸入ポート51は、ベース41aの吸入凹部47に連通するように配置される。吐出ポート52は、ベース41aの吐出凹部48に連通するように配置される。これら吸入ポート51及び吐出ポート52は、ポンプ室45に連通可能に設けられる。サイドプレート46の外周部分には、円弧状の長孔53が形成される。この長孔53の中には、ベース41aに固定されたストッパピン54が配置される。そして、サイドプレート46は、この長孔53の両端53a,53bがストッパピン54に係合する所定の角度範囲内で、回転軸37aを中心に回動可能に設けられる。図5には、長孔53の一方の端53aがストッパピン54に係合する状態を示す。この状態で、サイドプレート46は矢印X1の方向の回動(正転)が規制される。図6には、長孔53の他方の端53bがストッパピン54に係合した状態を示す。この状態では、サイドプレート46は矢印X2の方向の回動(逆転)が規制される。この実施形態では、サイドプレート46は、回転軸37aの回転によりロータ44等が回転するとき、少なくともロータ44との間で生じる摩擦抵抗を受けて回動するように構成される。
この実施形態で、ポンプモジュール15を構成するベーンポンプ31は、DCモータ37により正転駆動させることで正圧を生じ、DCモータ37により逆転駆動させることで負圧を生じるようになっている。
この実施形態で、サイドプレート46が所定の角度範囲の端まで回動した状態で、すなわち、図5,6に示すように、長孔53の両端53a,53bがストッパピン54に係合する位置まで回動した状態で、ポンプ室45が吸入ポート51又は吐出ポート52に連通することにより、ベーンポンプ31の効率(ポンプ効率)が最大となるようになっている。
ここで、ベーンポンプ31の動作について図7〜9を参照して説明する。図7〜9にカムリング42及びロータ44等の関係を示す。図7は、ポンプ室45Aが正逆方向に対して対称になる状態を示す。図8は、ロータ44を矢印X1の方向へ正転させた場合の状態を示す。図9は、ロータ44を矢印X2の方向へ逆転させた場合の状態を示す。
図7におけるポンプ室45Aの容積VOは、図8におけるポンプ室45Aの容積VL及び図9におけるポンプ室45Aの容積VR(VL=VR)より若干大きいため、ポンプ効率は良好と言える。しかし、図7におけるポンプ室45Bの容積V1は、図8におけるポンプ室45Bの容積V2及び図9におけるポンプ室45Cの容積V3(V2=V3)に比べて非常に大きいため、図7でベーン43が矢印X1の方向へ正転して中間位置M1まで回転するときには、容積V1は縮小してポンプ負荷が大きくなる。また、吸入ポート51側への漏れによる新気の導入容積が少なくなり、ポンプ効率が落ちることもある。従って、最終的には、図8に示す吸入ポート51及び吐出ポート52の位置がポンプ効率とポンプ負荷の面で最適となる。また、ロータ44を矢印X2の方向へ逆転させた場合にも、図9に示す吸入ポート51及び吐出ポート52の位置がポンプ効率とポンプ負荷の面で最適となる。この実施形態では、サイドプレート46が長孔53の角度範囲で回動し、ロータ44が正転するときには、吸入ポート51及び吐出ポート52が図8に示す位置に配置され、ロータ44が逆転するときには、吸入ポート51及び吐出ポート52が図9に示す位置に配置されるので、正転及び逆転にかかわらず、ポンプ効率とポンプ負荷を最適にすることができる。
以上説明したキャニスタユニット8によれば、ベーンポンプ31をDCモータ37により正転駆動させることで、吸入ポート51からポンプ室45に気体が吸入されてポンプ室45にて加圧された気体が吐出ポート52から吐出される。これにより、ベーンポンプ3が正圧を生じ、ケーシング11の内部圧力が加圧される。一方、ベーンポンプ31をDCモータ37により逆転駆動させることで、ポンプ室45が減圧されてポンプ室45の気体が吸入ポート51から吐出されて吐出ポート52に気体が吸入される。これにより、ベーンポンプ31が負圧を生じ、ケーシング11の内部圧力が減圧される。このようにキャニスタユニット8では、ベーンポンプ31を選択的に正転又は逆転させることで、ケーシング11の内部圧力を選択的に加圧又は減圧することができる。これにより、ベーンポンプ31を加圧式漏れ検査又は減圧式漏れ検査に選択的に使用することができる。このため、キャニスタユニット8としては、加圧式漏れ検査のためにキャニスタと正圧ポンプとを組み合わせたもの、減圧式漏れ検査のためにキャニスタと負圧ポンプとを組み合わせたものを個別に製造する必要がない。この結果、2種類のキャニスタユニットについて製造管理と製品管理をする必要がなくなり、製造管理と製品管理を簡略化することができる。
同様に、ポンプモジュール15としても、加圧式漏れ検査のために正圧ポンプを組み付けたもの、減圧式漏れ検査のために負圧ポンプを組み付けたものを個別に製造する必要がない。この結果、2種類のポンプモジュールについて製造管理と製品管理をする必要がなくなり、製造管理と製品管理を簡略化することができる。
この実施形態のキャニスタユニット8では、サイドプレート46を、その長孔53の角度範囲内で相対回動可能に設け、その長孔53の端53a,53bにストッパピン54が係合する状態で、ポンプ室45が吸入ポート51又は吐出ポート52に連通可能に設けられる。そして、サイドプレート46は、長孔53の角度範囲内で回動可能に設けられ、サイドプレート46がその長孔53の端53a,53bまで回動された状態で、ポンプ室45が吸入ポート51又は吐出ポート52に連通することによりポンプ効率が最大となるように設定される。従って、ベーンポンプ31により、最大効率で正圧を生じさせ、最大効率で負圧を生じさせることが可能となる。この結果、キャニスタユニット8のベーンポンプ31を、加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも最大効率で使用することができる。同様に、ポンプモジュール15のベーンポンプ31を、加圧式漏れ検査にも減圧式漏れ検査にも最大効率で使用することができる。
図10に本実施形態のベーンポンプ31等の吐出量特性をグラフに示す。このグラフでは、ポンプの吐出量は、ポンプ回転数(ロータ44の回転数)が高くなるに連れて二次関数的に増大する。そして、このグラフからも明らかなように、実線で示す本実施形態の吐出量特性は(A:最大ポンプ効率時)、破線で示す対比例の吐出量特性(B:吸入、吐出ポート固定時)に比べ、吐出量が相対的に多く、ポンプ効率が高いことが分かる。
この実施形態のキャニスタユニット8では、DCモータ37によりベーンポンプ31が回転駆動し始めるとき、ロータ42が回転されることでサイドプレート46がロータ44との間の摩擦抵抗を受けて長孔53の端53a,53bまで自動的に回動される。このため、サイドプレート46を回動させるために特別な部品を設ける必要がなく、ポンプモジュール156の構成を簡略化することができ、延いては、キャニスタユニット8の構成を簡略化することができる。
尚、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
例えば、前記実施形態では、サイドプレート46を、少なくともロータ44との間で生じる摩擦抵抗を受けて回動するように構成した。これに対し、図11に示すように、サイドプレート46を回動させるためにステップモータ等のアクチュエータ61をハウジング41に設ける。そのアクチュエータ61の出力軸61aの先端に歯車62を設ける。また、その歯車62を、サイドプレート46の外周に噛み合わせる。そして、アクチュエータ61の出力軸61aにより歯車62を回転させることにより、サイドプレート46をロータ44等に対して回動するように構成する。従って、この構成によれば、サイドプレート46を、アクチュエータ61の駆動力により確実に回動させることができる。また、任意のタイミングでアクチュエータ61を動作させることにより、任意のタイミングでサイドプレート61を回動させることができる。これにより、ベーンポンプ31からの吐出量特性を任意に変更することが可能となる。
蒸発燃料処理装置及びその故障診断装置を示す概略構成図。 ポンプモジュールとケーシングの等価構成図。 ベーンポンプを示す平面図。 ベーンポンプを示す縦断面図。 サイドプレートの組付状態を示す正面図。 サイドプレートの組付状態を示す正面図。 カムリング及びロータ等の関係を示す端面図。 カムリング及びロータ等の関係を示す端面図。 カムリング及びロータ等の関係を示す端面図。 ベーンポンプの吐出特性を示すグラフ。 図4に準ずる縦断面図。
符号の説明
4 燃料タンク
8 キャニスタユニット
10 吸着剤
11 ケーシング
15 ポンプモジュール
31 ベーンポンプ
37 DCモータ
42 カムリング
43 ベーン
44 ロータ
45 ポンプ室
46 サイドプレート
51 吸入ポート
52 吐出ポート
61 アクチュエータ

Claims (8)

  1. 燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するための吸着剤をケーシングに内臓してなるキャニスタと、
    前記ケーシングの内部圧力を変更するために前記ケーシングに一体的に組み付けられ、モータにより駆動されるポンプと
    を備え、前記ポンプは、前記モータにより正転駆動させることで正圧を生じ、前記モータにより逆転駆動させることで負圧を生じることを特徴とするキャニスタユニット。
  2. 前記ポンプは、カムリング、ベーン、ロータ及びこれらの側面にあって前記カムリング、前記ベーン及び前記ロータとともにポンプ室を形成するサイドプレートを含むベーンポンプであることと、
    前記サイドプレートは、前記ポンプ室に連通可能に設けられる吸入ポート及び吐出ポートを含むことと、
    前記サイドプレートは、所定の角度範囲内で回動可能に設けられることと
    を備え、前記サイドプレートが前記角度範囲の端まで回動された状態で、前記ポンプ室が前記吸入ポート又は前記吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となることを特徴とする請求項1に記載のキャニスタユニット。
  3. 前記サイドプレートは、少なくとも前記ロータとの間で生じる摩擦抵抗を受けて回動することを特徴とする請求項2に記載のキャニスタユニット。
  4. 前記サイドプレートを回動させるためのアクチュエータを更に備え、前記サイドプレートは、前記アクチュエータの駆動力を受けて回動することを特徴とする請求項2に記載のキャニスタユニット。
  5. カムリング、ベーン、ロータ及びこれらの側面にあって前記カムリング、前記ベーン及び前記ロータとともにポンプ室を形成するサイドプレートを含み、モータにより駆動されるベーンポンプと、
    前記サイドプレートは、前記ポンプ室に連通可能に設けられる吸入ポート及び吐出ポートを含むことと
    を備え、前記ベーンポンプは、前記モータにより正転駆動させることで前記ポンプ室が前記吸入ポート又は前記吐出ポートに連通して正圧を生じ、前記モータにより逆転駆動させることで前記ポンプ室が前記吸入ポート又は前記吐出ポートに連通して負圧を生じることを特徴とするポンプモジュール。
  6. 前記サイドプレートは、所定の角度範囲内で回動可能に設けられ、前記サイドプレートが前記角度範囲の端まで回動された状態で、前記ポンプ室が前記吸入ポート又は前記吐出ポートに連通することによりポンプ効率が最大となることを特徴とする請求項5に記載のポンプモジュール。
  7. 前記サイドプレートは、少なくとも前記ロータとの間で生じる摩擦抵抗を受けて回動することを特徴とする請求項5に記載のポンプモジュール。
  8. 前記サイドプレートを回動させるためのアクチュエータを更に備え、前記サイドプレートは、前記アクチュエータの駆動力を受けて回動することを特徴とする請求項5に記載のポンプモジュール。
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JP7570987B2 (ja) 2021-08-05 2024-10-22 愛三工業株式会社 蒸発燃料処理システムの漏れ検出装置

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