JP2005113285A - ショート・インナーボトム - Google Patents

Abstract

【課題】 ショートガードル等のショートインナーボトムにおいて、裾からヒップ膨出部がはみ出して段状を呈することを防止する。
【解決手段】 ウエスト布と、該ウエスト布の前面下端と縫着して股部へと垂下する前面中央布と、該ウエスト布の左右両側より下向きに近接させて傾斜させると共に下端部分を上記前面中央布の下端に縫着するヒップ支持布とを備え、左右のヒップの膨出部を露出させて囲む一方、上記ヒップ支持布には下端位置から上記ウエスト布と縫着する上端までの長さの１／２〜２／３の位置まで臀溝に沿わせて、非伸縮あるいは難伸縮の帯状の芯材をＶ状に取り付けている。
【選択図】 図２

Description

本発明はショートガードル、ショーツ等のショート・インナーボトムに関し、詳しくは、左右ヒップの膨出部の下端縁に沿う臀溝に沿わせて膨出部を保持する機能を高めると共に挙動時における臀溝の動きに追従できるようにして、ヒップの膨出部の下部がショート・インナーボトムの裾よりはみ出さないようにし、かつ、締め付け感や引きつれ感がなく、ヒップをサポートできるようにするものである。

一般的に、ヒップに関して膨出部が垂れ下がらせず、所謂ヒップアップした形状に見せたい要求がある。そのため、特開平９−５９８０５号公報には、図１１（Ａ）（Ｂ）に示すように、膨出部に当たる位置では押さえつけないように伸縮性布１で囲み、あるいは孔２をあけておき、ヒップ持ち上げ機能を有する伸びの小さい吊り上げ用サポート布３を膨出部を囲むように下端縁からウエストにかけて配置したヒップライン補整法が提供されている。

この種のヒップライン補整機能を備えたショートボトムでは、挙動時、特に、脚を上げる等の臀溝から大腿部にかける動きが大きい場合には、ウエスト位置は動かないため、ウエストに上端が縫着された吊り上げ用サポート布３の臀溝に沿う部分が挙動に追従せず、臀溝に沿わせた吊り上げ用サポート布３の下縁よりヒップ膨出部の下部がはみ出し、段状を呈することとなる。
特に、ヒップ膨出部を伸縮性布１で囲み、吊り上げ用サポート３の内周縁全体を伸縮性布１と連結している場合、ウエスト部４による伸縮性布１を介した吊り上げ用サポート３の引き上げ力は大きいため、上記ヒップ膨出部の下部のはみ出しは大きくなる。

詳細には、図１２（Ａ）の運動前、（Ｂ）の脚上時における臀溝状態に示し、Ａはヒップ、Ｂは大腿部の脚、Ｃはその間の臀溝である。（Ｂ）に示す脚上時に脚Ｂの屈曲で臀溝Ｃの皮膚が脚Ｂ側に動き、臀溝Ｃに連続するヒップＡの下側部分も脚Ｂ側へと移動する。サポート布３はウエスト側に吊り上げられているため、臀溝Ｃの皮膚の動きに追従できず、相対的に臀溝Ｃより上方位置となり、サポート布３の下辺よりヒップＡの下側部分がはみ出すこととなる。脚を下げて元に戻しても、サポート布３はウエスト側に吊り上げられているため、臀溝Ｃに沿う元の位置に戻らず、図１２（Ｃ）に示すように、サポート布３よりヒップＡの下部がはみ出して、段状を呈することとなる。

図１２（Ｃ）に示す状態となると、ぴったりとしたアウターを着用している場合、アウターを通して上記段状が外観できる状態（所謂、ひびく状態）となる不具合がある。
この不具合は、大腿部を囲む脚回り部を有しないショートガードル等のショート・インナーボトムでは特に発生し易い問題である。

上記前記図１１に示すガードルは、吊り上げ用サポート３の下部に大腿部を囲む脚回り部分４を設けたロングガードルであり、脚回り部分４で吊り上げ用サポート３の裾上がりがある程度抑制できる。しかしながら、脚回り部を備えたロングガードルは、通常、腹部やウエストの締付機能が大きいと共に大腿部の締付機能も大きく、ショートガードルと比べて窮屈感が強くなっている。

特開平９−５９８０５号公報

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、締付感、窮屈感を余り発生させないショートボトム等のショート・インナーボトムにおいて、ヒップラインを美しく見せるために臀溝に沿って配置するサポータを挙動時に臀溝の動きに追従させ、ヒップ膨出部の下部がサポートの下端からはみ出さないようにし、よって、上記した外観にひびく段状を発生させず、かつ、締め付け感や引きつれ感がなく、ヒップをサポートできるようにすることを課題としている。

上記課題を解決するため、本発明は、ウエスト布と、該ウエスト布の前面下端と縫着して股部へと垂下する前面中央布と、該ウエスト布の左右両側より下向きに近接させて傾斜させると共に下端部分を上記前面中央布の下端に縫着するヒップ支持布とを備え、左右のヒップの膨出部を露出させて囲む一方、
上記ヒップ支持布には下端位置から上記ウエスト布と縫着する上端までの長さの１／２〜２／３の位置まで臀溝に沿わせて、非伸縮あるいは難伸縮の帯状の芯材をＶ状に取り付けていることを特徴とするショート・インナーボトムを提供している。

上記ショート・インナーボトムは、ショートガードルあるいは前面側に腹部締付機能を有しないショーツからなる。
上記構成からなるショートボトムでは、ヒップラインを保持するために配置する芯材を
ウエスト布と縫着していないため、芯材に直接引き上げ力を作用させていない。なお、芯材の上端は、下向き略半円弧状の臀溝の上端に当たる位置まで配置し、前記したように、ヒップ支持布の下端からウエスト布との縫着位置の上端までの長さ寸法の１／２〜２／３の位置に取り付けている。
さらに、前面中央布と左右両側に傾斜させるヒップ支持布とのＹ字に連結した基本構成とし、背面側にはヒップ膨出部を囲む伸縮性布は設けず露出させているため、ヒップ支持布がヒップ膨出部の囲む伸縮性布と縫着されて該伸縮性布を介してウエスト布に引き上げられることもない。
即ち、ウエスト布に上端が縫着される伸縮性を有するヒップ支持布を介して芯材に引き上げ力が負荷されることとなる。かつ、前面中央布の下端にヒップ支持布の下端中央が縫着されていることで、ヒップ支持布の下端中央が股部位置に固定されることとなる。このように、Ｙ字構成とすることで、芯材には中央下端位置が保持されて、左右両側への力が作用する。その結果、挙動時において、臀溝の動きに対して伸縮性を有するヒップ支持布は伸縮して追従して動き、該ヒップ支持布に取り付けて臀溝の皮膚に沿わせて配置した非伸縮性あるいは難伸縮性の芯材は、挙動時に臀溝の皮膚と共に移動する。
よって、前記図１２（Ｂ）に示すような挙動時において臀溝と共に移動するヒップ膨出部に対して芯材が上方へ相対的に移動し、芯材よりヒップ膨出部の下部分がはみ出して段状を呈することを防止でき、挙動前、挙動時および挙動後にいずれにおいても、常に、芯材を臀溝に沿わせてヒップラインを美しく保持することができる。

上記ウエスト布の下端と縫着して臀裂に沿わせる背面中央布を設け、該背面中央布の下端を上記ヒップ支持布に縫着していることが好ましい。
上記背面中央布を設けると、ヒップ支持布の下端中央を臀裂の真下位置に安定して支持でき、かつ、背面側の全体が露出するよりは、左右の臀部膨出部を囲むように露出させる方が、着用者に安定感を与えることができる。

上記ヒップ支持布に裏当てする上記芯材のＶ字角度は１００°以上１６０°以下に設定し、その上下幅寸法は３ｃｍ以上５ｃｍ以下とし、かつ、該芯材は上記ヒップ支持布よりも伸びを小さくし、臀溝延在方向の横伸びに対して直交する縦伸びが小さい或いは縦伸びが無いものとしている。
上記芯材のＶ字角度は、着用時の状態で規定しているのではなく、製品時の状態で規定している。１００°以上１６０°以下に設定しているのは、１００°未満であると、通常の臀溝位置よりも上向き急傾斜となり、ヒップ膨出部の左右外側部分の肉が芯材よりはみ出し易くなるからであり、１６０°を越えると芯材は直線となる方向に引っ張られ、左右のヒップ膨出部の近接側の下部が芯材よりはみ出し易くなると共に左右外側では臀溝に沿いにくくなりヒップラインを美しく形成できなくなる。なお、上記角度は１３０°近傍が好ましい。
また、芯材の上記幅は上記のように３ｃｍ以上５ｃｍ以下としている。これは、３ｃｍより細くなると、皮膚に食い込みやすく、筋がつく不具合が発生し、５ｃｍより広くなると挙動時における皮膚の伸びについていけず、ずれが生じ易くなるためである。なお、好ましくは３．８ｃｍ〜４．３ｃｍである。かつ、該上下幅を有する芯材は外側（下側）辺間の角度よりも内側（上側）辺間の角度を小さくして、左右両端側にむけて次第に幅広として、上縁が臀溝に沿い易くしている。

さらに、上記したように、芯材はヒップ支持布よりも伸びを小さくし、臀溝延在方向の横伸びに対して直交する縦伸びが小さい或いは縦伸びが無いものとし、ヒップの押し上げ機能を高めている。具体的には、芯材はワンウエイサテンパワーネットを２枚張り付けたものが最も好適に用いられる。
詳細には、芯材は曲げ剛性０．１〜１．５ｇｆ・ｃｍ²／ｃｍ、このましくは、０，２〜０．３ｇｆ・ｃｍ²／ｃｍとして平面形状の保持力を大としている。
この曲げ剛性の測定条件は、図１３に示すように、長さ２０ｃｍ、幅１ｃｍの試料Ｓを１ｃｍの間隔でチャックで把持して曲げ、曲率Ｋ＝−２．５〜＋２．５（ｃｍ^-1）の範囲で等速度曲率の純曲げを行い、其の際の変形速度０．５（ｃｍ^-1）／ｓｅｃとして、単位長さ当たりの曲げ剛性を測定している。この測定試験機としてカトーテック株式会社製のＫＥＳＦＢ２−ＡＵＴＯ−Ａを用いている。

上記ヒップ支持布は左右一対の布からなり、該左右のヒップ支持布の上端を上記背面中央布の上端と所要寸法離した脇線近傍か前面側で上記ウエスト布部と縫着すると共に、上記前面中央布部の左右両端に縫着し、かつ、左右のヒップ支持布の下側先端縁を互いに縫着し、該縫着箇所の上下両側端縁に上記前面中央布部の下端と上記背面中央布部の下端を縫着している。

本発明のショート・インナーボトムでは、腹部の締付機能は余り持たせておらず、ウエスト布の前面より垂下させる前面中央布は、その下端をヒップ支持布と連結させ、該ヒップ支持布に取り付けた上記芯材を股部の背面側中央位置に保持する機能を付与している。このように、前面中央布による腹部締付力を余り持たせていないため、一日中、着用しても窮屈感を発生させることなく、上記芯材によりヒップラインを美しく保持できるようにしている。
また、ヒップ保持布はＶ字状に裁断した一枚布から形成しても良いが、上記のように、左右一対のヒップ保持布から形成し、その下端を縫着してＶ形状とすると、下端の縫着位置で伸び止めが図れる共に、布の裁断上における歩留まりを高めることができる。
この左右ヒップ保持布の上端の背面側端とウエスト布との縫着位置を脇線近傍とし、他端の腹部側端は、腹部中央に垂下させる上記前面中央布の左右端縁に接する位置まで延ばし、左右ヒップ支持布の上側部を傾斜させながら前面側へと回り込ませている。このように左右ヒップ支持布を傾斜させて配置することで、臀溝に沿った吊り上げ力がウエスト布により左右ヒップ支持布に作用するようにしている。

上記ヒップ支持布および前面中央布の内面側に裏打布を縫着して強度を大とすると共に伸びを抑制している。かつ、ヒップ支持布では上記裏打布の内面に上記芯材を縫着してもよい。
例えば、前面中央布およびヒップ支持布を幅広のストレッチレースから形成した場合、前面中央布、ヒップ支持布の裏当て布を取り付けて強度を大とすると共に伸びを押さえることで、しっかり感を与えることが出来ると共に、レース布が直接肌に接するよりは着用感を良くすることができる。

上記ウエスト布、前面中央布、背面中央布、左右のヒップ支持布は同一の帯状布を裁断して用い、該帯状布は長さ方向の伸びが幅方向の伸びより大きくしていることが好ましい。この場合、上記前面中央布は２枚の上記帯状布を左右両側に配置させて中央部を縫着すると共に両側端縁を上向き拡大方向に傾斜させている。このように中央部で縫着することにより伸びを抑制でき、腹部押さえ機能も若干付与することができる。なお、前面中央布を一枚布から形成しても良いことは言うまでもない。
また、上記背面中央布は１枚の上記帯状布の中央部を裁断除去して左右２枚に分割し、該左右２枚にダーツを寄せて縫着している。
上記ウエスト布および左右のヒップ支持布はそれぞれ１枚の上記帯状布をそのまま用いている。

このように同一の帯状布を用いて、本発明のショート・インナーボトムを構成する全ての部分を形成すると、材料費の無駄が発生せずに各部に所要の機能を付与することができる。特に、幅広のストレッチテープを用いた場合、装飾性を有する素材で全体を統一して形成でき、材料コストの低減を図りながらデザイン性の優れたものとすることができる。

上述した如く、ショートガードル、ショーツ等のショート・インナーボトムにおいて、基本的にＹ字構造とすることで、ヒップライン保持用の芯材を臀溝に沿って取り付けた場合、挙動時等において、芯材よりヒップ膨出部の下部が芯材よりはみ出して、段状を呈することが防止できる。よって、この段差がアウターにひびくことをもなく、常にヒップラインを美しく保持できる。
また、腹部の締め付け機能を殆どなくしているため、一日中着用しても窮屈感が生じさせない利点等を有するものである。

以下、本発明のショートガードルからなる実施形態を図面を参照して説明する。
図１の正面図、図２の背面図、図３の側面図に示すように、ショートガードル１０は、ウエストラインに添わす環状のウエスト布１１、ウエスト布１１の背面中央に上端を縫着して臀裂に沿わせる背面中央布１２、該背面中央布１２とは所要間隔をあけてウエスト布１１の左右脇線より前面側にかけて上端を縫着すると共に下向きに近接させて傾斜させる左右のヒップ支持布１４（１４Ａ、１４Ｂ），ウエスト布１１の前面中央より股部へと垂下させる前面中央布１３と、上記ヒップ支持布１４の下部内面（裏面）に取り付ける芯材１５とからなる。

上記左右のヒップ支持布１４Ａと１４Ｂとの下側先端の幅端面を互いに縫着してＶ形状としている。この縫着位置Ｌ１の上側縁に背面中央布１２の下端を縫着すると共に、下側縁に前面中央布１３の股部の回り込ませた下端先端を縫着している。
Ｖ形状を呈する左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂの上部前面側端縁は前面中央布１３の上部左右端縁と縫着し、左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂの上部は前面側に傾斜させて回り込ませている。背面側ではウエスト布１１、背面中央布１２、ヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂで開口Ｈを囲み、左右の開口Ｈに左右のヒップ膨出部を露出させるようにし、ヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂの下部が臀溝に沿って傾斜するように配置している。
また、左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂの下縁と前面中央布１３の左右端縁で脚回りを形成し、股部前面より左右に深くきりこまれた所謂ハイレグな構成としている。

左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂの内面（裏面）には、Ｖ字の下端から左右両側にかけて上記芯材１５を部分的に縫着し、左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂで形成されるＶ形状と略相似のＶ形状としている。
芯材１５の左右両側の上端位置は、ヒップ支持布には下端位置からウエスト布１１と縫着する上端までの長さの１／２〜２／３の位置とし、ウエスト布１１と接する位置まで延在させていない。

芯材１５のＶ字角度θは１００°以上１６０°以下の範囲とし、本実施形態では１３０°に設定しいる。その上下幅寸法は３ｃｍ以上５ｃｍ以下の範囲としている。かつ、外側（下側）辺の左右両側辺間の角度θ１よりも内側（上側）片の左右両側辺間の角度θ２を若干小さくして、上下幅Ｗの寸法は左右両端に向けて若干幅広としている。本実施形態では芯材１５の下端側の上下幅を４ｃｍとしている。
芯材１５もヒップ支持布１４と同様に左右一対の芯材１５Ａ、１５Ｂより形成し、それぞれ左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂに縫着しておき、その下側幅方向先端縁を左右のヒップ支持布１４Ａと１４Ｂの縫着と一体的に行っている。該芯材１５の上下幅はヒップ支持布１４より狭くし、ヒップ支持布１４の上下端縁との間に隙間をあけた位置の芯材１５を位置させて取り付け、芯材１５の上下端縁よりヒップ支持布１４の上下端縁を突出させている。

芯材１５（１５Ａ、１５Ｂ）はヒップ支持布１４よりも伸びを小さくし、非伸縮性素材あるいは難伸縮性から形成し、曲げ剛性（ｇｆ・ｃｍ²／ｃｍ）が０．１以上０．５以下で、平面保持力を有するものとしている。
本実施形態では臀溝延在方向Ｘの横伸びに対して直交する上下幅方向Ｙの縦伸びが殆ど無い一方向伸びを有するものとし、具体的にはワンウエイサテンパワーネットを２枚重ねした難伸縮性素材を用いている。該素材からなる芯材の曲げ剛性は０．３ｇｆ・ｃｍ²／ｃｍである。

上記左右のヒップ支持布１４Ａ，１４Ｂ、ウエスト布１１、背面中央布１２、前面中央布１３は伸縮性を有する帯状布から形成している。該帯状布は長さ方向の伸びが大きく、幅方向の伸びが殆どないものを用いている。よって、ウエスト布１１は周方向の伸びが大きく上下方向の伸びが殆どない。背面中央布１２では上下方向の伸びが大きく、左右幅方向の伸が殆どないが、背面中央布１２の幅方向の中心線に沿ってゴムテープ（図示せず）を取り付けてギャザー１２ａを設け、臀裂に沿うようにしている。
左右のヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂは傾斜方向には伸びて臀部の動きに対して追従できるようにしている。
前側布１３は前部中央から下部に向けて若干幅狭になるように略台形状とし、股部を回り込んで先端をヒップ支持布１４Ａ、１４Ｂと連結する上下方向の伸びを大きくし、ウエスト布１１のずり下がりを抑制する一方、左右方向の伸びを殆どないものとし、腹部押さえ機能を若干持たせている。

上記構成のショートガードル１０を着用した状態を図４（Ａ）（Ｂ）に示す。該ショートガードルは、ショーツの上に重ねて着用しているのではなく、肌に直接接触させて着用している。
この着用時において、ヒップＡの左右膨出部Ａ１、Ａ２は開口Ｈ１、Ｈ２に露出し、該膨出部の下縁に沿う臀溝Ｃに接触して芯材１５が位置する。よって、左右膨出部Ａ１、Ａ２は芯材１５により膨出部Ａ１、Ａ２の垂れ下がりを抑止し、明確なヒップラインが保持することができる。

前記図１１（Ｂ）に示すように、挙動時に脚上げされた場合、臀溝Ｃの皮膚は脚部Ｂへと移動する。其の際、臀溝Ｃの皮膚に接触させた難伸縮性で幅広の芯材１５は臀溝Ｃの皮膚の動きと一体的に移動することができる。これは、芯材１５の上端をウエスト布１１に縫着しておらず、ウエスト側からの吊り上げ力が伸縮性を有するヒップ保持布１４を介してのみ伝わるので、背面側上方へ吊り上げる力が弱く、かつ、前面中央布１３からの引っ張り力も作用して、芯材１５には図５（Ａ）に示すようにＹ方向の３方向からの引っ張り力が略均等に作用し、芯材１５の臀溝Ｃへの接着力が強いことに起因する。
このように、脚上げ等の挙動時に臀溝Ｃの皮膚が移動した時、芯材１５は追従して移動し、芯材１５がヒップＡの膨出部Ａ１，Ａ２に対して相対的に上方へ移動しないため、図５（Ｂ）に示すように、芯材１５の下端縁から膨出部Ａ１，Ａ２の下部がはみ出すことを防止できる。その結果、上げた脚を下げて元に戻した場合においても、図５（Ｃ）に示すように、芯材１５を臀溝Ｃに沿わせて位置に保持でき、従来発生していた膨出部Ａ１，Ａ２の下部が芯材１５よりはみ出して段状を呈することを防止できる。

また、前面中央布１３は左右方向には伸びが無く、若干の腹部締付力はあるが、上下方向には伸びて腹部締付力は強くない。また、背面側においても、膨出部Ａ１，Ａ２が露出するため開放感があり、一日中着用しても窮屈感がなく着心地の良いものとできる。しかも、背面中央布１３は臀裂に沿ってフィットするため、ヒップラインもくっきりとさせることができ、ヒップ全体のシルエットを美しく保つことができる。

図６乃至図９は第２実施形態を示す。
第２実施形態は、同一素材からなる広幅の帯状で連続するストレッチレース・テープ２０（以下、テープ２０と略称する）より芯材を除く全ての部分を形成している。該テープ２０は長さ方向の横伸びを有し、直交する幅方向の縦伸びは殆ど伸びのないワンウエイストレッチテープからなり、幅は４ｃｍである。該テープ２０を裁断して、ウエスト布１１’、前面中央布１３’、背面中央布１２’、左右のヒップ支持布１４Ａ’、１４Ｂ’を形成し、これらを第１実施形態と同様に縫着している。芯材１５は第１実施形態と同一素材を用いて、同一形状としている。

ウエスト布１１’はテープ２０をそのまま用いて、所要長さに裁断して環状に縫着している。よって、ウエスト布１１’は長さ方向に周方向に伸びを有す、幅方向の上下方向には伸びを殆ど有せず、位置ズレを抑制できるようにしている。
前面中央布１３’は所要長さに裁断した２枚のテープ２０を用いて左右両側布１３Ａ’、１３Ｂ’に分割し、かつ、左右両側布１３Ａ’と１３Ｂ’とはテープ２０の一辺側を斜めに方向に切り落とし、この切り落とした辺側を縫着し、図７以降に示すように、全面布１３’は中央部を縫着すると共に左右両側端縁を上向き拡大方向に傾斜させた略台形状としている。該前面中央布１３’は上下縦伸びがあるが左右横伸びが殆どない状態となる。
背面中央布１２’は所要長さに裁断した１枚のテープ２０の中央部分を除去して幅狭な左右両側片に分割し、この分割片をゴムテープを介してギャザーを取りながら縫着し、狭い臀裂に沿わせることができるようにしている。
左右のヒップ支持布１４Ａ’、１４Ｂ’はそれぞれ所要長さに裁断した１枚のテープ２０をそのまま用いており、よって、傾斜方向に伸びがあるが上下方向に殆ど伸びのないものとなる。

上記左右のヒップ支持布１４Ａ’、１４Ｂ’および前面中央布１３’の内面（裏面）にはメッシュ布２１、２２を裏当てし、左右のヒップ支持布１４Ａ’、１４Ｂ’にはメッシュ布２２の内面側に上記芯材１５を縫着している。芯材１５の左右両側片の上端はウエスト布１１’ので延在せず、途中までの長さとしている点は第１実施形態と同様である。
このように、メッシュ布２１、２２を裏当てすることで、レースからなる前面中央布１３’、ヒップ支持布１４’、１４Ｂ’の補強を図ると共に着用者の皮膚の保護を図っている。
他の構成は第１実施形態と同様であるため、説明を省略する。

上記第２実施形態においても、第１実施形態と同様に、脚上げ等による挙動時に、芯材１５を臀溝の皮膚の移動に追従させることができ、よって、芯材１５よりヒップ膨出部の下部がはみ出し、段状を呈することを防止しながら、ヒップアップの機能があり、ヒップラインをくっきりと美しく保持することができる。かつ、前面中央布１３’も締め付け感がないため、一日中着用でき、美しいヒップのシルエットを保つことができる。
また、同一素材のテープ２０を裁断して用いているため、素材に無駄が発生せず材料コストの低減を図ることができる。さらに、同一のストレッチレース・テープ２０を用いているため、華やかな装飾性を付与できると共に統一した外観を付与でき、デザイン性の優れたものとすることができる。

図１０は第３実施形態を示し、第１実施形態とは、背面中央布を取り付けていない点を相違させているだけで、他は同一の構成としている。
このように、背面中央布を取り付けていない場合においても、ヒップ支持布１４（１４Ａ、１４Ｂ）の上端をウエスト布１１に縫着して左右両側に引き上げていると共に、前面中央布１３の下端にヒップ支持布１４の下端中央を縫着していることにより、ヒップ支持布１４の下端中央が股部の背面側位置に保持できる。このように、Ｙ字構造としていることで、ヒップ支持布１４の内面側に取り付けた芯材１５（１５Ａ、１５Ｂ）を挙動時においても臀溝に沿った位置に保持しておくことができる。

なお、本発明はヒップラインの保持が主目的であるため、前面側の構成は特に限定されず、従来のガードルと同様に腹部締付機能を付与しても良い。

第１実施形態のショートガードルを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は裏返した状態の正面図である。 （Ａ）は上記ショートガードルの背面図、（Ｂ）は裏返した状態の背面図である。 （Ａ）は上記ショートガードルの側面図、（Ｂ）は裏返した状態の側面図である。 ショートガードルの着用状態を示し、（Ａ）は背面図、（Ｂ）は側面図である。 （Ａ）は着用状態で股部を下方から見た状態を示す図面、（Ｂ）は脚上げ時における臀溝および芯材の動きを示す図面、（Ｃ）は脚を下げた状態でもヒップが芯材からはみ出していない状態を示す側面図である。 第２実施形態のショートガードルを構成するストレッチレース・テープを示す図面である。 第２実施形態のショートガードルを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は裏返した状態の正面図である。 （Ａ）は上記第２実施形態のショートガードルの背面図、（Ｂ）は裏返した状態の背面図である。 （Ａ）は第２実施形態のショートガードルの側面図、（Ｂ）は裏返した状態の側面図である。 第３実施形態のショートガードルの背面図である。 （Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。 （Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は従来のショートボトムの問題点を示す図面である。 芯材の曲げ構成の測定方法を示す図面である。

符号の説明

１０ ショートガードル
１１ ウエスト布
１２ 背面中央布
１３ 前面中央布
１４（１４Ａ、１４Ｂ） ヒップ支持布
１５ 芯材
Ｈ１、Ｈ１ 開口
Ａ（Ａ１、Ａ２） ヒップ膨出部
Ｂ 脚の大腿部
Ｃ 臀溝

Claims (7)

1. ウエスト布と、該ウエスト布の前面下端と縫着して股部へと垂下する前面中央布と、該ウエスト布の左右両側より下向きに近接させて傾斜させると共に下端部分を上記前面中央布の下端に縫着するヒップ支持布とを備え、左右のヒップの膨出部を露出させて囲む一方、
   上記ヒップ支持布には下端位置から上記ウエスト布と縫着する上端までの長さの１／２〜２／３の位置まで臀溝に沿わせて、非伸縮あるいは難伸縮の帯状の芯材をＶ状に取り付けていることを特徴とするショート・インナーボトム。
2. 上記ウエスト布の下端と縫着して臀裂に沿わせる背面中央布を設け、該背面中央布の下端を上記ヒップ支持布に縫着している請求項１に記載のショート・インナーボトム。
3. 上記ヒップ支持布に裏当てする上記芯材のＶ字角度は１００°以上１６０°以下に設定し、その上下幅寸法は３ｃｍ以上５ｃｍ以下とし、かつ、該芯材は上記ヒップ支持布よりも伸びを小さくし、臀溝延在方向の横伸びに対して直交する縦伸びが小さい或いは縦伸びが無いものとしている請求項１または請求項２に記載のショート・インナーボトム。
4. 上記ヒップ支持布は左右一対の布からなり、これら左右のヒップ支持布の上端を上記背面中央布の上端と所要寸法離した脇線近傍か前面側で上記ウエスト布部と縫着すると共に、上記前面中央布部の左右両端に縫着し、かつ、ヒップ支持布下端先端側を互いに縫着し、該縫着箇所の上下両側端縁に上記前面中央布部の下端と上記背面中央布部の下端を縫着している請求項２または請求項３に記載のショート・インナーボトム。
5. 上記ヒップ支持布および前面中央布部の内面側に裏打布を縫着して強度を大としている請求項２乃至請求項４のいずれか１項に記載のショート・インナーボトム。
6. 上記ウエスト布、前面中央布、背面中央布、左右のヒップ支持布は同一の伸縮性を有する帯状布を裁断して用い、該帯状布は長さ方向の伸びが幅方向の伸びより大きくし、
   上記前面中央布は２枚の上記帯状布を左右両側に配置させて中央部を縫着すると共に両側端縁を上向き拡大方向に傾斜させている請求項２乃至請求項５のいずれか１項に記載のショート・インナーボトム。
7. 上記背面中央布は１枚の上記帯状布の中央部を裁断除去して左右２枚に分割し、該左右２枚にダーツを寄せて縫着し、
   上記ウエスト布および左右のヒップ支持布はそれぞれ１枚の上記帯状布をそのまま用いている請求項２乃至請求項６のいずれか１項の記載のショート・インナーボトム。

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