JP2005113154A - 光ディスク用樹脂組成物、ドライフィルム、シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 側鎖に二重結合を有するアクリル樹脂と光重合開始剤と熱架橋剤とを含有する紫外線硬化樹脂組成物から成る光ディスク用樹脂組成物を構成する。また、側鎖に二重結合を有するアクリル樹脂と光重合開始剤と熱架橋剤とを含有する紫外線硬化樹脂組成物から成り、アクリル樹脂が熱架橋されているドライフィルムを構成する。また、このドライフィルムがカバーフィルム又は剥離シートに積層されたシートを構成する。
【選択図】 図1
Description
このような光ディスクにおいて、基板を貼り合わせる材料には、紫外線硬化樹脂や、粘着剤例えばPSA(感圧性接着剤)が多く用いられていた。
さらに、硬化収縮が大きく反りが発生しやすくなる等の問題もある。
また、本発明のシートは、カバーフィルム又は剥離シートに上記本発明のドライフィルムを積層したものである。
これにより、ズレ応力に強くなると共に、吸湿も少なくなり、吸湿に伴う反りも少なくなる。
従って、光ディスクの信頼性を高くすることができる。
本発明は、光ディスクの基板を貼り合せる粘着剤層を構成する光ディスク用樹脂組成物である。
そして、少なくとも光ディスクの情報の再生や記録を行う光(レーザ光等)を透過させる方の基板には、透明基板を用いる必要がある。
一方、この光を透過させない基板については特に限定されず、不透明の基板を用いることも可能である。
透明基板としては、例えばガラス基板やポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。
不透明の基板としては、不透明な樹脂類、顔料や染料を含有するために色づけされた樹脂類、金属、セラミックス類等を挙げることができる。
即ち、少なくとも側鎖に二重結合を有するアクリル系樹脂と光重合開始剤と熱架橋剤とを含有する紫外線硬化樹脂組成物から成るものとする。
尚、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(D1)のイソシアネート基NCOは、アクリル酸(B2)のカルボキシル基COOHと反応する場合もある。
尚、これら(メタ)アクリル酸エステルに併用して、(メタ)アクリル酸エステルと共重合することができる他のビニル系モノマーを用いてもよい。このビニル系モノマーとしては、例えばアクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、ビニルカプロラクタム等を挙げることができる。
この配合量が0.1重量部未満では後述する紫外線架橋による充分な強度が得られなくなるおそれがあり、一方配合量が20重量部より多いと紫外線硬化前の透明粘着層が硬くなりすぎるおそれがある。
光重合開始剤の配合量が少なすぎると、紫外線架橋による接着強度が低くなりすぎて、樹脂の流れや剥がれ、ずれ等が発生するおそれがある。
一方、光重合開始剤の配合量が多すぎると、紫外線硬化樹脂組成物が黄変したり、硬化後の臭気が強くなる等の問題を生じるおそれがある。
そこで、本発明では、さらに熱架橋剤を配合することにより、塗布や乾燥時にアクリル系樹脂の少なくとも一部を熱架橋により3次元化させて、フィルムが揺らがない程度に強度を上げるようにする。
熱架橋剤の配合量が少なすぎると、上述した効果が得られないおそれがある。
一方、熱架橋剤の配合量が多すぎると、紫外線硬化前の透明粘着層が硬くなりすぎるおそれがある。
また、光反応性のモノマー、オリゴマーとして、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビシフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスソトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を添加してもよい。この光反応性のモノマー、オリゴマーは、例えば図8A及び図8Bに4で示すように、アクリル系樹脂の二重結合間に介在して、その紫外線架橋を助成する。
また、カップリング剤として、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を使用してもよい。
また、レベリング剤として、例えばシリコーンオイル、ポリビニルブチラール等を使用してもよい。
また、界面活性剤として、例えば脂肪酸エステル類、リン酸エステル類、フッ素系誘導体等を使用してもよい。
この紫外線の照射量が0.1J/cm2より少ないと、硬化が不十分になるおそれがある。一方、紫外線の照射量が3.0J/cm2より多いと、樹脂組成物が黄変を引き起こすおそれがある。
このようにフィルム状とすることにより、取り扱い性及び加工性に優れると共に、予め半硬化状態にするときに溶剤が既に除去されているので、液状の接着剤を使用する場合と比較して、使用時に局所排気が不要になるという利点も有している。
表1には、紫外線硬化前及び紫外線硬化後の紫外線硬化樹脂組成物の各種特性、即ち引っ張り弾性率、引っ張り破断伸度、降伏強さ、保持力、接着力をそれぞれ示している。
また、保持力は、次のように測定を行ったものである。剥離フィルム上に紫外線硬化樹脂組成物を形成して成る粘接着剤フィルムの粘着面に厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り、これを幅25mmに裁断した後に、剥離フィルムを剥がして、測定用フィルム51を作製した。図10A及び図10Bに示すように、この紫外線硬化樹脂組成物52とPETフィルム53とから成る測定用フィルム51を、厚さ2mmのアクリル板(商品名:パラグラスP)54に、接着面積S(図10B参照)が25mm×25mmとなるように貼り付け、40℃・1kgの静荷重Loadをかけた状態で1時間保持した後のずれ量を測定した。このとき、ずれ量の測定は、PETフィルム53とアクリル板54に夫々切り込み53A,54Aを入れておいて、1時間後に各切り込み53A,54Aの間隔を測定することにより行った。
また、接着力は、保持力の測定用フィルム51と同様にして作製した幅20mmの測定用フィルムを、アクリル板及びガラス板に夫々貼り付け、室温で1時間放置した後、180°剥離強度を測定したものである。このとき、引っ張りの速度は300mm/分で行った。尚、得られた結果は、アクリル板でもガラス板でも同じであった。
また、紫外線硬化樹脂組成物の紫外線硬化条件は、メタルハライドランプを用いた照射量1.0J/cm2の紫外線照射とした。
また、紫外線硬化後の保持力及び接着力は、2枚の基板に対する固定保持の安定性及び貼り合わせの信頼性を示している。
図1は、本発明の一実施の形態として、光ディスクの概略構成図(断面図)を示す。この光ディスク10は、ディスク基板となるポリカーボネート基板11上に反射層12が形成され、このポリカーボネート基板11に透明なカバーフィルム15を粘着剤層14例えばUV−PSA即ち紫外線で硬化するPSA(Pressure Sensitive adhensive;感圧性接着剤)で貼り合わせて成る。ポリカーボネート基板11には図示しないプリグルーブが形成され、反射層12の上面に記録層13が形成される。
まず、図2Aに示す光ディスク21は、第1の記録層13A及び第2の記録層13Bの2層の記録層13を有し、片側から信号の読み書き(情報の再生又は記録)を行うものである。
この光ディスク21は、図示しないプリグルーブが形成されたポリカーボネート基板11上に、反射層12が形成されて、この反射層12の上面に第1の記録層13が形成されている。また、第2の記録層13Bを有する図示しないプリグルーブが形成されたカバーフィルム15により、その下面に第2の記録層13Bが形成されている。
そして、これらポリカーボネート基板11とカバーフィルム15とを粘着剤層14で貼り合わせて光ディスク21が形成されている。
また、この光ディスク21では、第2の記録層13Bからの信号を得るために、カバーフィルム15と粘着剤層14との間に半透過反射層17が設けられている。
この光ディスク21においても、ポリカーボネート基板11とカバーフィルム15とを貼り合わせる粘着剤層14として、前述した構成の紫外線硬化樹脂組成物が形成されている。これにより、信頼性の高い光ディスク21を実現することができる。
この光ディスク22は、それぞれ図示しないがプリグルーブが形成された2枚のポリカーボネート基板11A,11Bに、それぞれ反射層12A,12Bを設けることにより、それぞれ第1の記録層13Aと第2の記録層13Bを構成している。
そして、これら2枚のポリカーボネート基板11A,11Bを、反射層12A,12B及び記録層13A,13Bが内側になるように、粘着剤層14で貼り合わせて光ディスク22が形成されている。
この光ディスク22においても、2枚のポリカーボネート基板11A及び11Bを貼り合わせる粘着剤層14として、前述した構成の紫外線硬化樹脂組成物が形成されている。これにより、信頼性の高い光ディスク22を実現することができる。
尚、この光ディスク22の場合は、信号の読み書きのためのレーザ光Lを粘着剤層14には通さないので、粘着剤層14におけるレーザ光Lの透過率をそれほど高くしなくてもよい。
この光ディスク30は、図示しないプリグルーブが形成されたカバーフィルム15に記録層13を形成し、このカバーフィルム19を粘着剤層14によりポリカーボネート基板18と貼り合わせたものである。この場合、ポリカーボネート基板18にはプリグルーブは形成されない。
この光ディスク30においても、カバーフィルム19とポリカーボネート基板18とを貼り合わせる粘着剤層14として、前述した構成の紫外線硬化樹脂組成物が形成されている。これにより、信頼性の高い光ディスク30を実現することができる。
また、半固化状態(熱架橋がなされた状態)の前述した構成の紫外線硬化樹脂組成物から成る粘着剤層14が、その上下両面を例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る剥離シート31に挟まれた構造のシート20を用意する(以上図3A参照)。
まず、図4Aに一連の工程を示す。
ロール32Aから一方の剥離シート31(31A)を巻き出し、バックアップロール33の所でヘッド34により粘着剤となる紫外線硬化樹脂組成物を溶剤に分散したものを塗布する。
次に、乾燥機35において熱処理及び乾燥することにより、紫外線硬化樹脂組成物を熱架橋させて半固化状態の粘着剤層14にする。
次に、ロール32Bから他方の剥離シート31(31B)を巻き出して、表面に貼り付ける。
続いて、一方の剥離シート31A、半固化状態の粘着剤層14、他方の剥離シート31Bが積層された状態で巻き取ってロール36にする。
そして、紫外線硬化樹脂組成物が熱架橋により半固化状態となっていることにより、適度な柔らかさと強度を有し、厚さの分布が良好となり厚さの精度が高くなる。
そして、他方の基板(この場合は即ちカバーフィルム15)を、図3Cに示すように粘着剤層14に貼り付ける。
さらに、紫外線照射により、粘着剤層14の紫外線硬化樹脂組成物を硬化させる。
これにより、図1に示した光ディスク10を製造することができる。
これらの方法によれば、厚さを安定して形成することができるため、UV硬化樹脂を使用する場合と比較して、厚さの分布の良い接着層を得ることができる。
また、2枚の基板を貼り合わせた後の紫外線硬化時の収縮も少なくなることから、収縮に伴う反りも少なくなる。
ブチルアクリレート 28.2 重量部
アクリル酸 1.5 重量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 0.3 重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.03重量部
酢酸エチル 70 重量部
上記化合物を、80℃で8時間加熱し、還流して、重量平均分子量500000、固形分30%の水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系樹脂溶液を得た。
この得られたアクリル系樹脂溶液を室温まで冷却した後、このアクリル系樹脂溶液100重量部に対し、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを0.5重量部加え、1時間攪拌して、側鎖に二重結合を持つアクリル系樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液100重量部に対し、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2重量部、熱架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」)を1.0重量部加え、均一に混合して粘接着剤溶液とした。
この溶液を、シリコーン処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム上に100μmの厚さに塗布し、80℃の電気オーブンで5分間乾燥して、30μmの厚さのフィルムを得て、これを実施例1の粘接着剤フィルムとした。
実施例1と同様にして得られた粘接着剤溶液100重量部に対し、アクリルオリゴマー成分として1,6−ヘキサンジオールアクリレートを2重量部添加した粘接着剤溶液を作製し、さらに実施例1と同様の方法でフィルム化して、これを実施例2の粘接着剤フィルムとした。
実施例1と同様にして得られた水酸基及びカルボキシル基含有アクリル系樹脂溶液を室温まで冷却した後、このアクリル系樹脂溶液100重量部に対し、熱架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」)を0.3重量部加え、均一に混合して、粘接着剤溶液とした。
この溶液を、実施例1と同様の方法でフィルム化して、厚さ30μmの粘接着剤フィルムを得て、これを比較例1の粘接着剤フィルムとした。
実施例1と同様にして、側鎖に二重結合を有するアクリル系樹脂溶液100重量部に対し、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2重量部加え、均一に混合して、粘接着剤溶液とした。
この溶液を、実施例1と同様の方法でフィルム化して、厚さ30μmの粘接着剤フィルムを得て、これを比較例2の粘接着剤フィルムとした。
上述の各実施例及び比較例で得られた粘接着剤フィルムに対して、前述したと同様の試験方法により、紫外線照射による硬化前と硬化後の接着力(180°剥離強度)及び保持力をそれぞれ測定した。尚、いずれの測定においても、アクリル板又はガラス板に粘接着剤フィルムを貼り付けた後、直ちに紫外線照射を行って、その1時間後に夫々測定を行った。また、この紫外線照射の条件は、メタルハライドランプを使用して、フィルムの粘接着面に対して1.0J/cm2の紫外線が照射されるようにした。
測定結果を表3に示す。
一方、比較例1は、光重合開始剤及びイソシアネート基を有するアクリル系樹脂を含有していないため、紫外線を照射した後も硬化せず、そのため硬化後の剥離強度及び保持力の測定ができなかった。
また、比較例2は、熱架橋剤を含有していないので、硬化前の保持力は不十分であった。
一方、比較例2の粘接着剤フィルムにおいては、加圧エージング後に粘接着剤に揺らぎが発生してしまい、安定性が充分でないことがわかる。
一方、比較例2は、熱架橋剤を含有していないので、硬化前の破断伸度が非常に大きくなっていることがわかる。
例えば粘着剤層により貼り合わせる2枚の基板のうち、少なくとも一方の基板において、その基板が粘着剤層と接する面にグルーブ(上述したプリグルーブを含む)又はピットを形成することにより記録層を構成することができる。
Claims (5)
- 光ディスクの基板の貼り合わせに用いられる樹脂組成物であって、
側鎖に二重結合を有するアクリル樹脂と、光重合開始剤と、熱架橋剤とを含有した紫外線硬化樹脂組成物から成る
ことを特徴とする光ディスク用樹脂組成物。 - 上記紫外線硬化樹脂組成物が、上記アクリル樹脂100重量部に対して、上記光重合開始剤を0.1〜5重量部、上記熱架橋剤を0.1〜5重量部それぞれ含有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用樹脂組成物。
- 上記側鎖に二重結合を有するアクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上を主成分とする単量体(A)100重量部に対して、少なくとも水酸基又はカルボキシル基を含有する単量体から選ばれる1種以上の単量体(B)を0.1〜20重量部共重合させて得られた樹脂(C)100重量部に対して、イソシアネート基を含有したアクリル酸エステル及びイソシアネート基を含有したメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上(D)を0.1〜20重量部配合して、反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用樹脂組成物。
- 光ディスクの基板の貼り合わせに用いられるドライフィルムであって、
側鎖に二重結合を有するアクリル樹脂と、光重合開始剤と、熱架橋剤とを含有した紫外線硬化樹脂組成物から成り、
前記アクリル樹脂が熱架橋されている
ことを特徴とするドライフィルム。 - カバーフィルム又は剥離シートに、請求項4に記載のドライフィルムが積層されて成ることを特徴とするシート。
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