JP2005109191A - スピネル型フェリ磁性粉及び当該磁性粉を含有する磁気記録用媒体 - Google Patents

スピネル型フェリ磁性粉及び当該磁性粉を含有する磁気記録用媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性粉の微細化を図りつつ、さらなる保磁力の向上を図り、また、超常磁性粉の含有率の低く、記録媒体に用いることに好適な磁性材料を提供すること。
【解決手段】仕込み時の組成式が(MO)・n/2(Fe)(Mは、2価の金属)で表され、n=Fe/M(モル比)の値が、スピネル型フェライトの化学量論量(n=2)より大きく化学量論量の1.5倍未満である2.0<n<3.0であるスピネル型フェリ磁性粉であって、かつ、当該スピネル型フェリ磁性粉に含有される超常磁性粉が5質量%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属酸化物磁性粉及び当該磁性粉を含有する磁気記録用媒体にかかり、特に、高保磁力を有するスピネル型フェリ磁性粉及び当該磁性粉を含有する磁気記録用媒体に関する。
従来から、データファイル用テープの記録媒体に使用される磁性材料として、鉄を含む複合酸化物であるスピネル型フェライトに関する研究が行われている。そして、スピネル型フェライトとして、種々の組成MFe(M=Fe(II),Co,Ni,Mn,Al,Cu,Znなど)が考えられるが、その一例として、Coフェライトが挙げられる。このCoフェライトは、結晶磁気異方性定数の値が大きいために、より微細な微粒子になっても超常磁性粒子になりにくいので良好な磁気特性を保持できることから、高密度磁気記録材料としての応用が期待されている。
これまで、上記Coフェライトとしては、スピン・スプレー・フェライトめっき法を用いて、薄膜として作製される例が知られている。また、さらなる磁性材料の磁気特性の向上を図るべく、上記方法によりCo−Niフェライト薄膜の作製に関する研究が知られている(非特許文献1参照)。
張、他2名,「Coフェライト薄膜におけるNiの添加効果」,粉末及び粉末治金,平成12年2月25日,第47巻,第2号,p.171−174力の向上を図ることを目的とする。
しかしながら、従来から行われてきたCo−Ni系スピネルフェライトもフェリ磁性体であるが、バルク材、あるいは、薄膜のものであり、その保磁力は最高でも239[kA/m](3000[Oe])に満たない。従って、この磁性材料を用いた記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることが困難である。また、記録媒体に塗布される磁性材料の微細化の検討も図られ、マグネトプラムバイト型フェライト(M型フェライト)として、例えばBaフェライトの研究も盛んに行われているが、平均粒子径が30[nm]〜40[nm]の磁性粉末を作製することができるものの、上記同様にその保磁力は最高でも239[kA/m](3000[Oe])に満たず、依然として保磁力は低いものであった。従って、このような保磁力の低い磁性材料を、磁気記録用媒体、特に、磁気テープに使用したとしても、記録情報である磁気を安定して保持することができず、記録媒体自体の基本的な性能の向上を図ることができないという問題が生じる。
また、上述した従来例におけるフェライトは、バルク材や薄膜のものであるため、均一な微粒子を製造するまでに至っておらず、当該粒子における保磁力の均一化も図ることができない、という問題も生じる。そして、依然として磁性粉中に多くの割合で超常磁性粉が存在するため、周囲の磁界の強さに応じて磁化状態が変動し、磁化を安定に保つことができない。このため、かかる磁性粉を上述したようにデータストレージ用記憶媒体、特に磁気テープに使用すると、巻回されて積層状態にある箇所では、記録データの転写が発生し易くなるという問題が生じる。すなわち、超常磁性粉の存在や粒子特性の不均一により、保磁力が均一でなく、保磁力の弱い箇所では記録データを安定して保持できず、重なり合う磁気テープ間で転写が生じ、情報の記録性能の低下という問題が生じる。これに対し、安定した磁化状態とするために製造した磁性粉中から超常磁性体を取り除くことも考えられるが、かかる作業の手間が増大し、これにより、製造コストが増大する、という問題も生じる。
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、磁性粉の微細化を図りつつ、さらなる保磁力の向上を図り、また、超常磁性粉の含有率が低く、記録媒体に用いることに好適な磁性材料を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるスピネル型フェリ磁性粉は、仕込み時の組成式が(MO)・n/2(Fe)(Mは、2価の金属)で表され、n=Fe/M(モル比)の値が、スピネル型フェライトの化学量論量(n=2)より大きく化学量論量の1.5倍未満である2.0<n<3.0であるスピネル型フェリ磁性粉であって、かつ、当該スピネル型フェリ磁性粉に含有される超常磁性粉が5質量%以下である。このとき、例えば2価の金属Mは、Co,Ni,Zn,Mnから選ばれる一種以上の金属である。
そして、上記モル比であるnの値が、2.2<n<2.8であるスピネル型フェリ磁性粉であって、かつ、当該スピネル型フェリ磁性粉に含有される超常磁性粉が2質量%以下であると望ましい。さらには、保磁力が239〜637[kA/m]、飽和磁化が50.3×10−6〜88.0×10−6[Wb・m/kg]、であるとなお望ましい。
また、上述したスピネル型フェリ磁性粉は、鉄及びMの水可溶性金属塩をそれぞれ含む各水溶液を、上記nの条件を満たすように調合して混合水溶液とする工程と、当該混合水溶液にアルカリ水溶液を加え、pH値を、12.0≦pH≦14.0に調整して共沈物含有液を得る工程と、当該共沈物含有液を、80℃〜120℃で加熱処理した後、ろ過、洗浄して乾燥することにより粉末を製造する工程と、から成る製造工程によって製造されたものであると望ましい。このとき、共沈物含有液を得る工程が、pH値を13.0<pH<13.7に調整して当該共沈物含有液を得る工程であるとなお望ましい。
そして、上記製造したスピネル型フェリ磁性粉を含有した磁気記録用媒体を製造すると、なお望ましい。
上記のようにして製造されたスピネル型フェリ磁性粉は、粒径が微細かつ均一であり、さらに、高保磁力を有していて、磁気特性の優れた磁性材料である。そして、超常磁性粉の含有率がほぼ零に等しいため、記録媒体に使用したときに安定した記録保持を実現できる。特に、巻回され積層状態で使用される磁気テープに用いたとしても、磁気転写が生じすることなく、安定かつ確実に情報を記録可能である。
以下、本発明であるスピネル型フェリ磁性粉について、第1図乃至第17図を参照して説明する。本発明は、仕込み時の組成式が(MO)・n/2(Fe)(Mは、2価の金属)で表されるスピネル型フェリ磁性粉であって、特に、以下に説明する実施例では、2価の金属であるMがCo及びNiである場合を例示して説明する。但し、Mは、これらに限定されず、Co,Ni,Zn,Mnから選ばれる一種以上の金属であり、また、他の金属(例えば、Mg)であってもよい。このようにMが実施例に示していない他の金属である場合も、以下の説明と同様の磁気特性を有することを実験により確認している。
具体的に、以下の実施例にて例示するスピネル型フェリ磁性粉は、組成式(CoO)(NiO)・n/2Feであり、換言すると、組成式CoNiFeである。そして、n=Fe/M(モル比)の値が、2.0<n<3.0である。これは、スピネル型フェライトの化学量論量(n=2)より大きく化学量論量の1.5倍未満であることを示している。さらに、上記x,yの値が、0<x<1、0<y<1、x+y=1を満たす組成であり、CoとNiとが併存するスピネル型フェリ磁性粉である。但し、x,yのいずれか一方の値が「0」であってもよい。すなわち、2価の金属が少なくとも一種含まれていればよい。
上記本発明におけるスピネル型フェリ磁性粉の製造方法を説明する。まず、原料である鉄及びMであるCO,Niの水可溶性金属塩をそれぞれ水に溶解して、Fe3+,Co2+及びNi2+の各水溶液を所定濃度に調整する(第一の工程)。そして、各水溶液を所定のモル比(上述したnの値の範囲内)に調合して混合水溶液とする。このとき、n=Fe/M(モル比)の値を2.0<n<3.0に調整するが、特に、2.2<n<2.8を満たすよう調整してもよい(第二の工程)。
続いて、混合水溶液を攪拌しながらアルカリ水溶液を加え、pH値を、12.0≦pH≦14.0に調整して共沈物含有液を得る(第三の工程)。そして、この共沈物含有液(沈殿スラリー)を攪拌しながら、80℃〜120℃で加熱処理(第四の工程)した後、ろ過、洗浄して乾燥することにより粉末を製造する(第五の工程)。
ここで、上述したスピネル型フェリ磁性粉の製造法において、アルカリ水溶液を原料混合水溶液に添加して沈殿を生成する工程(第二の工程)では、アルカリの添加量は原料金属塩水溶液中の全金属イオンに対して1当量以上の量であり、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量である。そして、これにより生成する沈殿スラリーのpH値を通常12.0〜14.0、好ましくは、13.0〜13.7に調整するとよい。なお、アルカリの添加量を上記のようにしたのは、1当量以下では未反応の金属イオンが残存することがあり、また、アルカリ添加後の水溶液のOH基濃度が3[mol/l]以上ではコバルトが再溶出することがあるからである。
また、原料金属塩の沈殿スラリーを加熱してスピネル型結晶粒子を生成する第四の工程では、好ましい加熱温度は80〜101[℃]である。加熱温度が80[℃]以下では含水酸化鉄α−FeOOHが混合生成し、101[℃]を越えて加熱することは常圧下では困難であり、オートクレーブ等の特殊な装置を必要とするためである。なお、加熱温度の更なる好ましい温度は85〜100[℃]である。また、上記第五の工程は、反応生成物をろ過、洗滌、乾燥及び粉砕の各工程から成る常法の粉末精製工程である。
なお、上述した製造方法は、簡単な装置を用い、しかも100[℃]以下の水溶液中で、本発明の単相のスピネル型フェリ磁性微粒子を製造することが出来きるばかりではなく、製造粒子は常法により固液分離して粉末に精製することができるので、経済性が高い製造方法である。
ここで、本発明で使用する原料金属塩とは、鉄原料は塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの第二鉄塩、コバルト原料は塩化コバルト、硫酸コバルトなど、また、ニッケル原料は塩化ニッケル、硫酸ニッケルなどの水可溶性塩類である。但し、これらに限定されるものではない。また、本発明で使用するアルカリとは、苛性ソーダ、アンモニア水など水可溶性苛性アルカリ類であるが、これらに限定されるものではない。
そして、製造された磁性粉の磁気特性は以下のようである。まず、飽和磁化σsは、通常50.3×10−6〜88.0×10−6[Wb・m/kg](40乃至70[emu/g])であり、特に、好ましくは56.5×10−6〜88.0×10−6[Wb・m/kg](45乃至70[emu/g])である。なお、飽和磁化が50.3×10−6[Wb・m/kg](40[emu/g])以下の値では磁性材料として特性不足であるため、本発明は磁性材料として好ましいことがわかる。ちなみに、本願においては、1[emu/g]=4π×10−7[Wb・m/kg]として換算する(πは円周率)。
また、本発明のスピネル型フェリ磁性粉の保磁力HcJは、通常239〜637[kA/m](3000〜8000[Oe])であり、特に、好ましくは279〜637[kA/m](3500〜8000[Oe])である。なお、保磁力が239[kA/m](3000[Oe])以下では目的とする磁性材料として特性不足であるため、本発明は磁性材料として好ましいことがわかる。ちなみに、本願においては、1[Oe]=10/4π[A/m]としている(πは円周率)。
そして、上記磁性粉の粒子径は10〜50[nm]である。ここで、10[nm]以下の微粒子は磁化値が低いものであり、50[nm]以上の場合は微粒子の特徴が減少するため、本発明の磁性粉は高品質な磁性材料である。なお、さらに好ましい粒子径は20〜40[nm]である。
ここで、nの値について考えると、後述するように、n=Fe/(Co+Ni)>2.0の組成は1相から成るフェリ磁性粒子であるが、Fe/(Co+Ni)>3.0の組成ではFe分が大過剰になり酸化鉄が混在し、Fe/(Co+Ni)=2.0の組成は2相から成る磁性粒子となる。また、Fe/(Co+Ni)<2.0のものは、Feに対するCoとNiの総和で2価金属イオンが過剰であり異相が混在する。そして、2相以上の組成物が混在すると磁性材料としての磁気特性が劣化することから、本発明における2.0<n<3.0にて製造した磁性体は、組成が単相から成る粒子であり、磁気特性の高い高品質のものであると言える。
このようにして製造されたスピネル型フェリ磁性粉は、従来のCo系スピネルフェライト微粒子のフェリ磁性体であるCoフェライトの16d位置に占める二価金属イオンに注目して、Coの一部をNiで置換して、CoとNiを共存させることにより超交換相互作用が高められ、保磁力が向上することとなる。すなわち、Coの一部をNiで置換して、上述したx,y,nの値を所定範囲に設定することにより、以下に説明するように、特に、磁気記録用媒体として用いることに好適な、磁気特性の高い磁性材料となる。以下、上記特性について、各実施例にて詳述する。
(実施例1)
実施例1では、上記特性を確認すべく、組成式(CoO)(NiO)・n/2Fe(換言すると、組成式CoNiFe)において、CoとNiの比を変えて実験を行った。かかる実施例の概要を説明すると、図1に示すように、Coに対してNiを増加すると製造物粒子の保磁力HcJが増大することを見出した。なお、かかる図はn=2のものであるが、2.0<n<3.0の場合も同様に、Niを添加すると保磁力が増大することを確認している。また、図2に示すように、(Co+Ni)に対してFeのモル比を増加すると製造物粒子の保磁力HcJが増大することを見出した。さらに、これら製造微粒子の温度特性(σ−T)を測定した結果、図3(a)に示すように、(Co+Ni)に対するFeのモル比Fe/(Co+Ni)=2.0の時には製造物は2相から成るが、モル比Fe/(Co+Ni)が2.0より大きい場合の製造物は図3(b)に示すように1相から成るものであることなどを見出した。
なお、実施例1(後述する他の実施例でも同様)では、上述した製造方法にて磁性粉を製造したが、その際に、原料溶解と調合に1リットルガラスビーカーを用い、合成反応には温度計と攪拌機を備えた2リットル耐熱性ガラスのフラスコを使用し、ろ過洗滌はヌッチェとろ紙を用い、乾燥は電気オーブンで行い、粉砕は乳バチを用いて行った。また、原料水溶液の濃度、OH基濃度の決定は化学分析法で測定した。反応母液のpHはpHメーターを用いて測定分析を行い、生成物の評価では、磁気特性及びキュリー温度は振動試料型磁力計(VSM)を用い、沈殿物及び粒子の元素分析は、質量分析装置を使用して行った。結晶構造はX線回折装置で、粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)で、さらに、回転ヒステリシス損失Wはトルク磁力計を用いて測定した。以下、実施例1についてさらに詳述する。
まず、原料金属塩として、塩化第二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩及び塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれを1リットルガラスビーカー中で純水に溶解して、0.225[mol/l]のFe+3水溶液、0.10[mol/l]のCo2+水溶液及び0.10[mol/l]のNi2+水溶液を、各1リットル調製した。この水溶液を用いて、攪拌機と温度計を装備した容積が2リットルのフラスコにFe+3水溶液400[ml]、Co2+水溶液200[ml]及びNi2+水溶液200[ml]を投入してFe/(Co+Ni)=2.25の混合水溶液800[ml]を調合した後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3.0[mol/l]の苛性ソーダ水溶液240[ml]を投入して、金属塩混合水溶液から中和反応によりpH13.3の1040[ml]の沈殿スラリーを生成した。このとき、得られた沈殿スラリーの一部をサンプリングし、ろ過処理して得た沈殿物を、元素分析した結果、Feが46.95質量%、Coが11.00質量%、Niが11.60質量%であった。
次に、この沈殿スラリーを攪拌しながら85〜100[℃]の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この生成粒子はデカンテーション法で24時間毎に5回水洗を行った後、ヌッチェを用い2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は電気オーブンを用いて80[℃]で12時間乾燥し、乾燥物を乳バチで粉砕して黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末は、X線回折測定の結果、図5に示すようにスピネル結晶の微粒子であり、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、図6に示すように平均粒径が約30[nm]単分散微粒子であった。そして、その組成は、組成式(CoO)0.5(NiO)0.5・1.125Fe、すなわち、n=Fe/(Co+Ni)=2.25で、x=0.5,y=0.5であった。
ここで、上記図5,6に示すものとは異なり、n=2.5のときに得られた微粒子の粒子形態を図4(a)に示す。この図に示すように、かかる場合にも立方形状を呈した平均粒径が約30[nm]単分散微粒子であり、粒子径が均一となる。一方、図4(b)にn=3のときに得られた微粒子を示すが、かかる組成では針状粒子が観察され、単相ではないことがわかる。
また、この粒子は振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、飽和磁化σsが56.3×10−6[Wb・m/kg](44.8[emu/g])、保磁力HcJが507[kA/m](6370[Oe])であり、図7のσ−T曲線に示すようにキュリー点が557.3[℃]の単相結晶磁性粒子であった。
さらに、この磁性粒子の回転ヒステリシス損失Wを検討するためにトルク磁力計を用いて、回転ヒステリシス損失に相当する値であるW/Jの磁界依存性を測定した結果、Ha.ave.=2029[kA/m](25.5[kOe])であった。また、磁化機構に関連する回転ヒステリシス積分Rhは、1.57となるため、当該試料の磁化モデルはfanning(ファンニング)モデルに近い値が得られた。これにより、本磁性粒子粉が磁性材料として非常に優れた特性を有していると言える。
また、生成された磁性粉中に含有される超常磁性粉は、5質量%以下であることを確認した。特に、nの値が2.2<n<2.8の場合には、超常磁性粉の含有量が2質量%以下となった。このように、超常磁性粉の含有量がほぼ零に等しいことで、安定して磁化されうる磁性材料であることがわかる。なお、超常磁性粉含有量は、製造したスピネル型フェリ磁性粉のヒステリシスループにおいて、強磁界で磁化が飽和しているか否かを調べることにより、確認できる。
以上のように、本実施例におけるスピネル型フェリ磁性粉は、粒子径が微細かつ均一であり、保持力も高いことから、磁気記録用媒体として利用することで安定した記録保持を実現することができる。そして、さらに超常磁性粉の含有率も低いことから、特に、磁気記録テープに用いることに好適である。すなわち、磁気記録テープでは、巻回されて積層状態にある箇所では、まず保磁力が均一でないと保磁力の弱い箇所では磁気を安定して保持できず、重なり合う磁気テープ間で磁気転写が生じ、また、超常磁性が存在する箇所は、重なり合う磁気テープの磁化状態によって磁化状態が揺らぎ、上記同様に磁気転写が生じるなど、安定した記録保持を行うことができないという問題が生じる。従って、本実施例における磁性粉を含有した磁気記録用媒体は、特に、磁気記録テープでは、磁気転写の発生を抑制でき、安定した記録保磁を実現することができる。
(実施例2乃至5)
次に、上述した組成式CoNiFeにおいて、特に、Ni量が少ない場合、すなわち、0<y≦0.4範囲内においてモル比n:Fe/(Co+Ni)を変更した場合について、実施例2乃至実施例5を参照して説明する。当該組成によると、保磁力HcJが増大するという効果を有する。なお、y>0の場合の微粒子の具体的な諸特性の一例を、図8乃至図13の表に示す。但し、この表に示す特性値は、実験の結果得られた値の一例であって、必ずしもかかる値に限定されるものではない。
(実施例2)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、
(2−1):0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]及び0.1[mol/l]のCo2+水溶液200[ml]、
(2−2):0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液180[ml]及びNi2+水溶液20[ml]、
をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入してFe/(Co+Ni)=2.5の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末は、組成式CoNiFeにおいて、
(2−1):Fe/(Co+Ni)=2.5、x=1.0、y=0、
(2−2):Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.9、y=0.1、
であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約160乃至240[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。特に、上記(2−2)に示すケースでは、組成が(CoO)0.9(NiO)0.1・1.25Feであり、図13に示すように、平均粒子径が約25[nm]であり、また、飽和磁化σsが65.5×10−6[Wb・m/kg]、保磁力HcJが188[kA/m]であった。
(実施例3)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、
(3−1):0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、
(3−2):0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液200[ml]、
(3−3):0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液180[ml]及びNi2+水溶液20[ml]、
をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、(3−1)は、Fe/(Co+Ni)=2.25、(3−2),(3−3)は、Fe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末は、組成式CoNiFeにおいて、
(3−1):Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.8、y=0.2、
(3−2):Fe/(Co+Ni)=2.75、x=1.0、y=0、
(3−3):Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.9、y=0.1、
であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約240乃至320[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
(実施例4)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、
(4−1):0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、
(4−2):0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、
(4−3):0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、
をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、(4−1)は、Fe/(Co+Ni)=2.25、(4−2)は、Fe/(Co+Ni)=2.5、(4−3)は、Fe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末は、組成式CoNiFeにおいて、
(4−1):Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.7、y=0.3、
(4−2):Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.8、y=0.2、
(4−3):Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.8、y=0.2、
であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約320乃至400[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
(実施例5)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、
(5−1):0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、
(5−2):0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、
(5−3):0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、
(5−4):0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、
(5−5):0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、
をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、(5−1)は、Fe/(Co+Ni)=2.25、(5−2),(5−3)は、Fe/(Co+Ni)=2.5、(5−4),(5−5)は、Fe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末は、組成式CoNiFeにおいて、
(5−1):Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.6、y=0.4、
(5−2):Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.7、y=0.3、
(5−3):Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.6、y=0.4、
(5−4):Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.7、y=0.3、
(5−5):Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.6、y=0.4、
であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約400[kA/m]以上の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
なお、図8乃至図13の(5−6)に示すケースでは、各水溶液の濃度、量などを図に示すような値に設定して生成した。すると、Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.5、y=0.5であり、保磁力HcJが約400[kA/m]以上の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
以上、実施例2乃至実施例5をまとめると、Ni量の少ない組成別において、モル比nを2.25〜2.75と変化させると、保磁力HcJの高い単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉を得ることができる。ここで、Ni量であるyの値を変化させると共に、モル比Fe/(Co+Ni)を表すnを変化させたときの保磁力HcJ等の変化を表す図を図14に示す。この図を参照しても、Ni量の少ない組成である0.4≧y>0(のうち同一組成においては、モル比nを変化させることで、より保磁力HcJが高くなることがわかる。特に、n=2.75のときには、その効果が顕著である。これにより、Ni量が少量であることにより、スピネル型フェリ磁性粉のさらなる微細化を図ることができると共に、当該磁性粉の製造コストの低減を図ることができる。
(実施例6)
続いて、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子を用いた、磁気シートの作製方法及びその磁気特性を以下の実施例6にて説明する。特に、磁気異方性、及び、加圧減磁の評価を行う。
まず、実験に用いたスピネル微粒子の組成は、
(CoO)0.5・(NiO)0.5・n/2(Fe
であって、その粒子径Dは約30[nm]であり、反応母液のpH値及び磁気特性は、それぞれ
(1)n=2.25、pH=13.3、HcJ=509kA/m(6.4kOe)、σs=5.57×10−5Wbm/kg(44.3emu/g)
(2)n=2.50、pH=13.0、HcJ=438kA/m(5.5kOe)、σs=5.10×10−5Wbm/kg(40.6emu/g)
である。
続いて、磁性塗料作成条件を以下に示す。
(条件1)磁粉と混合溶液の重量比(固形分(磁粉+樹脂)濃度を25wt%とした場合の磁粉と混合溶液の重量比)
磁粉:1
樹脂(バインダー)と溶剤の混合溶液:4
ガラスビーズ(直径約0.3mm):8
(条件2)樹脂と溶剤の混合溶液の重量比
塩化ビニル系共重合樹脂:1
ヘクロヘキサン:6.21
トルエン:6.21
MEK:2.59
(条件3)分散装置:Spex社製ミキサーミル(Model 8000−D)
(条件4)分散時間:8時間
また、磁性シートの作成方法を説明すると、上記条件にて作成した磁性塗料を、ドクターブレードを用いて厚さ15μmのPETフィルム上に均一に塗布直後に、0.8MA/m(10kOe)の磁界中で配向させ、乾燥して磁性シートを作製した。
そして、磁気特性の評価法は、以下の通りである。
(評価法1)磁化曲線は、上述したVSMを用いて測定した。
(評価法2)磁気異方性定数K及びKは、Torque magnetometerを用いて測定したTorque曲線をフーリエ解析し、下記の式から決定した。
L=−(K/4+K/64)sin2θ−(3K/8+K/16)sin4θ+(3K/64)sin6θ
ちなみに、上記式については以下の文献を参考にする。
参考文献:近角聡伸,他,「強磁性体の物理(下)」,裳華房,昭和59年,12章,p.13
(評価法3)磁気異方性磁界Haは、Torque magnetometerを用いて測定した。ちなみに、その測定方法については、以下の文献を参考にする。
参考文献:I.S.Jacobs and
F.E..Luborsky, J.Appl.Phys., vol.28, pp467-473, 1957、D.M.Paige, S.R.Hoon, B.K.Tanner and KO'Grady,
IEEE Trans.Magen., vol20, pp1852-1854, 1984.
(評価法4)加圧前のシート試料に1.6MA/m(20kOe)の磁界を印加して、残留磁化MroをVSMで測定し、油圧プレスを用いて試料に静的圧力を60秒間加えた後の残留磁化Mrを測定する。そして、加圧減磁を、Mr/Mroから求める。これに関しては以下の文献を参考する。
参考文献:深谷敏雄,小口寿彦,竹内肇,日出山章蔵,横山弘毅,日本応用磁気学会誌,10,81(1986)
以上のようにして測定した磁気異方性あるいは加圧減磁について、図15乃至図17を参照して説明する。図15は、2.15[MA/m]の磁界中で測定した上記各スピネル磁性粉(1)(2)のトルク曲線を示す。図16は、回転ヒステリシス損失を示す。図17は、加圧減磁を示す。
図15に示すように、300KにおけるK及びKの値は、K≒1×10J/cm,K≒−3×10J/cmであった。また、図16に示すように、縦軸に回転ヒステリシス損失に相当する値であるWr/Jsを、横軸に外部磁界Hを取り、回転ヒステリシス損失を評価した。この結果、異方性磁界Haは、約2.79〜3.18MA/mが得られ、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉を用いて作製した磁気シートは、高い磁気異方性を有することがわかる。
さらに、図17に示すように、他の組成における磁気シート(例えば、BaフェライトやFe−Coによるシート)と、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉(上記(1)(2)の特性を有するもの)を用いて作製した磁気シートの静的な加圧減磁を測定した。この結果、本発明であるCo−Niスピネルによるものの加圧減磁が小さいことがわかる。これにより、Co−Niスピネルは立方晶で一軸異方性ではないが、磁気異方性エネルギーが加圧による磁気歪エネルギーよりも十分大きければ、加圧減磁は起こり難いと考えられ、優れた磁気特性を有する。
本発明によるスピネル型フェリ磁性粉は、その粒子径が微細かつ均一であり、高い保磁力を有し、また、超常磁性粉の含有量がほぼ零に近いという特徴を有する。さらには、回転ヒステリシス損失や磁化機構に関連する回転ヒステリシス積分値がfanning(ファンニング)モデルに近い値である等、非常に磁気特性の高い新規な磁性材料である。従って、磁気記録用媒体として利用することに好適であり、記録状態の安定化、及び、高記録密度化を図ることができる。
組成式CoNiFeの粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.0とした時のNi/Coの組成比と磁気特性の関係を示した図である。 組成式CoNiFeの粒子おいて、Ni/Co=1とした時のFe/(Co+Ni)の組成比と磁気特性の関係を示した図である。 組成式CoNiFeの粒子おいて、Fe/(Co+Ni)の比とσ−T曲線との関係を示す図で、図3(a)はFe/(Co+Ni)=2.0、図3(b)はFe/(Co+Ni)=2.5のときの組成粒子である。 生成粒子の電子顕微鏡TEM写真の図で、図4(a)は組成式CoNiFeの粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.5の粒子、図4(b)はFe/(Co+Ni)=3.0のときの粒子である。 実施例1で得られた生成粒子のX線回折パターンを示した図である。 生成粒子の電子顕微鏡TEM写真の図で、組成式CoNiFeの粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.25(実施例1)の粒子である。 実施例で得られた生成粒子のσ−T曲線を示す図である。 実施例2乃至5において生成するスピネル型フェリ磁性粉の生成条件を示す図である。 実施例2乃至5において生成するスピネル型フェリ磁性粉の生成条件を示す図である。 実施例2乃至5において生成するスピネル型フェリ磁性粉の生成条件を示す図である。 実施例2乃至5において生成するスピネル型フェリ磁性粉の生成条件を示す図である。 実施例2乃至5において生成するスピネル型フェリ磁性粉の組成を示す図である。 実施例2乃至5において生成したスピネル型フェリ磁性粉の磁気特性を示す図である。 組成式CoNiFeの粒子おいて、0.4≧y≧0の範囲で、Fe/(Co+Ni)の値を変化させたときの磁気特性を示した図である。 実施例6において作製した磁気シートのトルク曲線を示す図である。 実施例6において作製した磁気シートの外部磁界に対する回転ヒステリシス損失の変化を示す図である。 実施例6において作製した磁気シートの加圧減磁を示す図である。

Claims (7)

  1. 仕込み時の組成式が(MO)・n/2(Fe)(Mは、2価の金属)で表され、n=Fe/M(モル比)の値が、スピネル型フェライトの化学量論量(n=2)より大きく化学量論量の1.5倍未満である2.0<n<3.0であるスピネル型フェリ磁性粉であって、かつ、当該スピネル型フェリ磁性粉に含有される超常磁性粉が5質量%以下である、ことを特徴とするスピネル型フェリ磁性粉。
  2. 前記Mが、Co,Ni,Zn,Mnから選ばれる一種以上の金属である、ことを特徴とする請求項1記載のスピネル型フェリ磁性粉。
  3. 前記nの値が、2.2<n<2.8であるスピネル型フェリ磁性粉であって、かつ、当該スピネル型フェリ磁性粉に含有される超常磁性粉が2質量%以下である、ことを特徴とする請求項1又は2記載のスピネル型フェリ磁性粉。
  4. 保磁力が239〜637[kA/m]、飽和磁化が50.3×10−6〜88.0×10−6[Wb・m/kg]、であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のスピネル型フェリ磁性粉。
  5. 鉄及び前記Mの水可溶性金属塩をそれぞれ含む各水溶液を、前記nの条件を満たすように調合して混合水溶液とする工程と、
    当該混合水溶液にアルカリ水溶液を加え、pH値を、12.0≦pH≦14.0に調整して共沈物含有液を得る工程と、
    当該共沈物含有液を、80℃〜120℃で加熱処理した後、ろ過、洗浄して乾燥することにより粉末を製造する工程と、
    から成る製造工程によって製造されたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のスピネル型フェリ磁性粉。
  6. 前記共沈物含有液を得る工程が、pH値を13.0<pH<13.7に調整して当該共沈物含有液を得る工程である、ことを特徴とする請求項5記載のスピネル型フェリ磁性粉。
  7. 前記請求項1、2,3,4,5又は6記載のスピネル型フェリ磁性粉を含有する磁気記録用媒体。
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