JP3897347B2 - Fe−Co−Niから成るスピネル型フェリ磁性微粒子粉及びその生成方法 - Google Patents

Fe−Co−Niから成るスピネル型フェリ磁性微粒子粉及びその生成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物磁性微粒子粉及びその生成方法にかかり、特に、粒子径が微細であるにも関わらず高い保磁力を有するFe,Co及びNiから成るスピネル型フェリ磁性微粒子粉及びその生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、データファイル用テープの記録媒体に使用される磁性材料として、鉄を含む複合酸化物であるスピネル型フェライトに関する研究が行われている。そして、スピネル型フェライトとして種々の組成MFe(M=Fe(II),Co,Ni,Mn,Al,Cu,Znなど)が考えられるが、その一例として、Coフェライトが挙げられる。このCoフェライトは、結晶磁気異方性定数の値が大きいために、より微細な微粒子になっても超常磁性粒子になりにくいので良好な磁気特性を保持できることから、高密度磁気記録材料としての応用が期待されている。
【0003】
これまで、上記Coフェライトとしては、スピン・スプレー・フェライトめっき法を用いて、薄膜として作製される例が知られている。また、さらなる磁性材料の磁気特性の向上を図るべく、上記方法によりCo−Niフェライト薄膜の作製に関する研究が知られている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
張、他2名,「Coフェライト薄膜におけるNiの添加効果」,粉末及び粉末治金,平成12年2月25日,第47巻,第2号,p.171−174
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Co,NiとFeとから成るスピネル型フェリ磁性体の微粒子に関する研究は知られていない。従来から行われて来たCo−Ni系スピネルフェライトもフェリ磁性体であるが、バルク材、あるいは、薄膜のものであり、その保磁力は最高で239[kA/m](3000[Oe])程度であるため、この磁性材料を用いた記録媒体のさらなる高記録密度化を図ることが困難である。すなわち、上記スピネルフェライトは、記録媒体としてのテープに使用されるが、その保磁力の向上を図ることができないため、これまで以上に記録媒体の性能の向上を図ることができないという問題が生じる。
【0006】
一方、記録媒体に塗布される磁性材料の微粒子化の検討も図られ、マグネトプラムバイト型フェライト(M型フェライト)として、例えばBaフェライトの研究も盛んに行われているが、平均粒子径が30[nm]〜40[nm]の磁性粉末を作製することができるものの、その保磁力は最高で239[kA/m](3000[Oe])程度であって、依然として保磁力は低いものである。
【0007】
すなわち、従来における磁性材料では、これまで以上の保磁力の向上を図ることができず、さらなる記録媒体の高記録密度化を図ることが困難であるという問題が生じていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上述した従来の課題が有する欠点を改善し、特に、微粒子化を図りつつ保磁力の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、CoとNiとが併存するスピネル型フェリ磁性微粒子粉であって、
組成式が(CoO) (NiO) ・n/2(Fe )で表され、前記組成式のx及びyは、0.9≧x≧0.4、0.6≧y≧0.1及びx+y=1の関係式を満足するものであり、
Feと(Co+Ni)とのモル比であるnを、3>n≧2.25の範囲に規定することで、スピネル型フェリ磁性微粒子粉を単相粒子としたことを特徴とするスピネル型フェリ磁性微粒子粉である。
【0010】
そして、粒子径が10乃至50[nm]、飽和磁化σsが50.3×10−6乃至88.0×10−6[Wb・m/kg](40乃至70[emu/g])、保磁力HcJが239乃至637[kA/m](3000乃至8000[Oe])の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であると望ましい。
【0011】
上記のような範囲にモル比nの値を設定して生成されたスピネル型フェリ磁性微粒子粉は、粒子径が微細であるにもかかわらず高い保磁力を有するという特徴があり、回転ヒステリシス損失や磁化機構に関連する回転ヒステリシス積分値がfanning(ファンニング)モデルに近い値である等、非常に磁気特性の高い新規な磁性材料である。従って、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉は、デジタル磁気記録媒体として使用すれば記録密度を高密度化に大いに寄与できる。
【0012】
また、Feと(Co+Ni)との比であるn(=Fe/(Co+Ni))の値が、3.0>n≧2.25であったり、2.75≧n≧2.5であると、スピネル型フェリ磁性微粒子粉のさらなる保磁力の向上を図ることができ、なお望ましい。
【0013】
さらに、Ni量が少量であっても、Feと(Co+Ni)との比を変化させることにより、組成別において保磁力の向上を図ることができる。これにより、粒子径をさらに小さくすることができ、また、生成コストを削減することもできる。
【0014】
そして、かかる微粒子粉は、鉄(三価)、コバルト(二価)及びニッケル(二価)の水可溶性金属塩を水に溶解してFe3+,Co2+及びNi2+の各水溶液を所定濃度に調整する第1の工程と、前記各水溶液をコバルトとニッケルとの合計モル数に対する鉄のモル数が2.25より大きく3.0未満となるようなモル比に調合して混合水溶液とする第2の工程と、混合水溶液を攪拌しながら、アルカリ水溶液を当該混合水溶液中に全金族イオンに対して1当量以上で、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量を添加して沈殿スラリーを生成する第3の工程と、沈殿スラリーを攪拌しながら80乃至101[℃]の温度で加熱することによりスピネル型フェリ磁性微粒子を生成する第4の工程と、生成された粒子を固液分離して粉末に精製する第5の工程と、による方法にて生成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における磁性微粒子粉は、組成式(CoO)(NiO)・n/2(Fe )であって、、Feと(Co+Ni)との比(n)が、3>n≧2.25であり、0.9≧x≧0.4、0.6≧y≧0.1、、x+y=1である、CoとNiとが併存するスピネル型フェリ磁性体微粒子粉である。
【0016】
そして、Fe/(Co+Ni)>2.0の組成は1相から成るフェリ磁性粒子であるが、Fe/(Co+Ni)>3.0の組成ではFe分が大過剰になり酸化鉄が混在し、Fe/(Co+Ni)=2.0の組成は2相から成る磁性粒子となることを見出した。Fe/(Co+Ni)<2.0のものは、Feに対するCoとNiの総和で2価金属イオンが過剰であり異相が混在する。
【0017】
前記組成式のxを、0.9≧x≧0.4の範囲に規定したが、好ましくは0.9≧x≧0.45、さらに好ましくは0.9≧x≧0.5に設定するとよい。また、前記組成式のyを、0.6≧y≧0.1の範囲に規定したが、好ましくは0.55≧y≧0.1、さらに好ましくは0.5≧y≧0.1に設定するとよい。特に、上記x,yは、それぞれ0.5である場合に、保磁力のさらなる向上を図ることができる。
【0018】
また、粒子径は10〜50[nm]である。但し、10[nm]以下の微粒子は磁化値が低いものであり、50[nm]以上の場合は微粒子の特徴が減少する。なお、好ましい粒子径は20〜40[nm]である。
【0019】
また、スピネル型フェリ磁性体微粒子粉の飽和磁化σsは50.3×10−6〜88.0×10−6[Wb・m/kg](40乃至70[emu/g])であるが、50.3×10−6[Wb・m/kg](40[emu/g])以下の値では磁性材料として特性不足であり、88.0×10−6[Wb・m/kg](70[emu/g])以上の値は磁性材料として好ましいが、本発明の組成粒子では88.0×10−6[Wb・m/kg](70[emu/g])が最大値である。ちなみに、本願においては、1[emu/g]=4π×10−7[Wb・m/kg]としている(πは円周率)。
【0020】
また、スピネル型フェリ磁性体微粒子粉の保磁力HcJは239〜637[kA/m](3000〜8000[Oe])であるが、239[kA/m](3000[Oe])以下では目的とする磁性材料として特性不足であり、637[kA/m](8000[Oe])以上の特性は磁性材料として好ましいが、本発明の組成粒子では637[kA/m](8000[Oe])が最大値である。好ましくは279〜637[kA/m](3500〜8000[Oe])である。ちなみに、本願においては、1[Oe]=10/4π[A/m]としている(πは円周率)。
【0021】
また、本発明の磁性体は組成が単相から成る粒子である。2相以上の組成物が混在すると、磁性材料としての磁気特性が劣化することから、本発明の磁性体は、より磁気特性の高い高品質のものであると言える。
【0022】
本発明の生成方法とは、原料である水可溶性金属塩を水に溶解してFe3+,Co2+及びNi2+の各水溶液を所定濃度に調整する第1の工程、各水溶液を所定のモル比(上述したnの値の範囲内)に調合して混合水溶液とする第2の工程、さらに、混合水溶液を攪拌しながら、アルカリ水溶液を当該混合水溶液中に全金族イオンに対して1当量以上で、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量を添加して沈殿スラリーを生成する第3の工程、続いて、沈殿スラリーを攪拌しながら80乃至10[℃]の温度で加熱することによりスピネル型フェリ磁性微粒子を生成する第4の工程、及び、生成された粒子を固液分離して粉末に精製する第5の工程の、各工程から成る方法である。
【0023】
本発明で使用する原料金属塩とは、鉄原料は塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの第二鉄塩、コバルト原料は塩化コバルト、硫酸コバルトなど、また、ニッケル原料は塩化ニッケル、硫酸ニッケルなどの水可溶性塩類である。但し、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明で使用するアルカリとは、苛性ソーダ、アンモニア水など水可溶性苛性アルカリ類であるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明の生成法において、第3の工程は、アルカリ水溶液を原料混合水溶液に添加して沈殿を生成する工程であるが、アルカリの添加量は原料金属塩水溶液中の全金属イオンに対して1当量以上の量であり、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量である。そして、これにより生成する沈殿スラリーのpH値を通常12.7〜13.6、好ましくは、13.0〜13.3に調整する。なお、アルカリの添加量を上記のようにしたのは、1当量以下では未反応の金属イオンが残存することがあり、また、アルカリ添加後の水溶液のOH基濃度が3[mol/l]以上ではコバルトが再溶出することがあるからである。
【0026】
また、第4の工程は、原料金属塩の沈殿スラリーを加熱してスピネル型結晶粒子を生成する工程であるが、加熱温度は80〜101[℃]である。加熱温度が80[℃]以下では含水酸化鉄α−FeOOHが混合生成し、101[℃]を越えて加熱することは常圧下では困難であり、オートクレーブ等の特殊な装置を必要とするため好ましくない。加熱する好ましい温度は85〜100[℃]である。
【0027】
また、第5の工程は、反応生成物をろ過、洗滌、乾燥及び粉砕の各工程から成る常法の粉末精製工程である。
【0028】
そして、発明者らは、従来のCo系スピネルフェライト微粒子の磁気特性、特に保磁力の向上を図るべく、フェリ磁性体であるCoフェライトの16d位置に占める二価金属イオンに注目して、Coの一部をNiで置換してCoとNiを共存させることにより超交換相互作用が高められ保磁力の向上が図れるのではと考え、Coの一部をNiで置換することを研究した結果、本発明に到達したのである。
【0029】
即ち、組成式(CoO)(NiO)n/2(Fe において、CoとNiの比を変えて検討した実験では、図1に示すようにCoに対してNiのモル比を増加すると生成物粒子の保磁力HcJが増大することを見出した。また、図2に示すように、(Co+Ni)に対してFeのモル比を増加すると生成物粒子の保磁力HcJが増大することを見出した。さらに、これら生成物粒子の温度特性(σ−T)を測定した結果、図3(a)に示すように、(Co+Ni)に対するFeのモル比Fe/(Co+Ni)=2.0の時には生成物は2相から成るが、モル比Fe/(Co+Ni)が2.0より大きい場合の生成物は図3(b)に示すように1相から成るものであること等を見出し、本発明を完成したのである。但し、上述したようにNiを含まない場合(y=0)であっても、以下に示すようにモル比を所定の範囲に設定することにより、従来に比べ保磁力が向上するという効果を有する。次に実施例1により本発明を説明する。
【0030】
なお、実施例1では、原料溶解と調合に1リットルガラスビーカーを用い、合成反応には温度計と攪拌機を備えた2リットル耐熱性ガラスのフラスコを使用し、ろ過洗滌はヌッチェとろ紙を用い、乾燥は電気オーブンで行い、粉砕は乳バチを用いて行った。また、原料水溶液の濃度、OH基濃度の決定は化学分析法で測定した。反応母液のpHはpHメーターを用いて測定分析を行い、生成物の評価では、磁気特性及びキュリー温度は振動試料型磁力計(VSM)を用い、沈殿物及び粒子の元素分析は、質量分析装置を使用して行った。結晶構造はX線回折装置で、粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)で、さらに、回転ヒステリシス損失Wはトルク磁力計を用いて測定した。
【0031】
(実施例1)
原料金属塩として、塩化第二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩及び塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれを1リットルガラスビーカー中で純水に溶解して、0.225[mol/l]のFe+3水溶液、0.10[mol/l]のCo2+水溶液及び0.10[mol/l]のNi2+水溶液を、各1リットル調製した。この水溶液を用いて、攪拌機と温度計を装備した容積が2リットルのフラスコにFe+3水溶液400[ml]、Co2+水溶液200[ml]及びNi2+水溶液200[ml]を投入してFe/(Co+Ni)=2.25の混合水溶液800[ml]を調合した後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3.0[mol/l]の苛性ソーダ水溶液240[ml]を投入して、金属塩混合水溶液から中和反応によりpH13.3の1040[ml]の沈殿スラリーを生成した。このとき、得られた沈殿スラリーの一部をサンプリングし、ろ過処理して得た沈殿物を、元素分析した結果、Feが46.95重量%、Coが11.00重量%、Niが11.60重量%であった。
【0032】
次に、この沈殿スラリーを攪拌しながら85〜100[℃]の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この生成粒子はデカンテーション法で24時間毎に5回水洗を行った後、ヌッチェを用い2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は電気オーブンを用いて80[℃]で12時間乾燥し、乾燥物を乳バチで粉砕して黒色粉末を得た。
【0033】
得られた黒色粉末は、X線回折測定の結果、図5に示すようにスピネル結晶の微粒子であり、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、図6に示すように平均粒径が約30[nm]単分散微粒子であった。そして、その組成は、組成式(CoO)0.5(NiO)0.5・1.125(Fe 、すなわち、n=Fe/(Co+Ni)=2.25で、x=0.5,y=0.5であった。
【0034】
ここで、上記図5,6に示すものとは異なり、n=2.5のときに得られた微粒子の粒子形態を図4(a)に示す。この図に示すように、かかる場合にも立方形状を呈した平均粒径が約30[nm]単分散微粒子であった。一方、図4(b)にn=3のときに得られた微粒子を示すが、かかる組成では針状粒子が観察され、単相ではないことがわかる。
【0035】
また、この粒子は振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、飽和磁化σsが56.3×10−6[Wb・m/kg](44.8[emu/g])、保磁力HcJが507[kA/m](6370[Oe])であり、図7のσ−T曲線に示すようにキュリー点が557.3[℃]の単相結晶磁性粒子であった。
【0036】
さらに、この磁性粒子の回転ヒステリシス損失Wを検討するためにトルク磁力計を用いて、回転ヒステリシス損失に相当する値であるW/Jの磁界依存性を測定した結果、Ha.ave.=2029[kA/m](25.5[kOe])であった。また、磁化機構に関連する回転ヒステリシス積分Rhは、1.57となるため、当該試料の磁化モデルはfanning(ファンニング)モデルに近い値が得られた。これにより、本磁性粒子粉が磁性材料として非常に優れた特性を有していると言える。
【0037】
次に、上述した組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe において、Ni量が少ない場合、すなわち、0.4≧y≧0の範囲内であっても、モル比n:Fe/(Co+Ni)を変更することで、当該組成において保磁力HcJが増大することを見出した。これを、実施例2乃至実施例5を参照して説明する。なお、特に、y>0(y≧0.1)の場合の微粒子の具体的な諸特性の一例を、図8乃至図13の表に示す。但し、この表に示す特性値は、実験の結果得られた値の一例であって、必ずしもかかる値に限定されるものではない。
【0038】
(実施例2)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、≪1≫0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]及び0.1[mol/l]のCo2+水溶液200[ml]、≪2≫(図8乃至図13でケースa)0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液180[ml]及びNi2+水溶液20[ml]、をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入してFe/(Co+Ni)=2.5の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
【0039】
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
【0040】
得られた黒色粉末は、組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe において、≪1≫Fe/(Co+Ni)=2.5、x=1.0、y=0、また、≪2≫Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.9、y=0.1、であり(ケースa)、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約160乃至240[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。特に、上記≪2≫に示すケースaでは、組成が(CoO)0.9(NiO)0.1・1.25(Fe であり、図13に示すように、平均粒子径が約25[nm]であり、また、飽和磁化σsが65.5×10−6[Wb・m/kg]、保磁力HcJが188[kA/m]であった。
【0041】
(実施例3)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、≪1≫(図8乃至図13でケースb)0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、≪2≫0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液200[ml]、≪3≫(図8乃至図13でケースc)0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液180[ml]及びNi2+水溶液20[ml]、をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、≪1≫はFe/(Co+Ni)=2.25、≪2≫≪3≫はFe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
【0042】
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
【0043】
得られた黒色粉末は、組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe において、≪1≫Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.8、y=0.2(ケースb)、≪2≫Fe/(Co+Ni)=2.75、x=1.0、y=0、また、≪3≫Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.9、y=0.1(ケースc)、であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約240乃至320[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
【0044】
(実施例4)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、≪1≫(図8乃至図13でケースd)0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、≪2≫(図8乃至図13でケースe)0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、≪3≫(図8乃至図13でケースf)0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液160[ml]及びNi2+水溶液40[ml]、をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、≪1≫はFe/(Co+Ni)=2.25、≪2≫はFe/(Co+Ni)=2.5、≪3≫はFe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
【0045】
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
【0046】
得られた黒色粉末は、組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe において、≪1≫Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.7、y=0.3(ケースd)、≪2≫Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.8、y=0.2(ケースe)、また、≪3≫Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.8、y=0.2(ケースf)、であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約320乃至400[kA/m]の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
【0047】
(実施例5)
原料金属塩として、塩化二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩を用い、これらそれぞれをガラスビーカー中で純粋に溶解して、≪1≫(図8乃至図13でケースg)0.225[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、≪2≫(図8乃至図13でケースh)0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、≪3≫(図8乃至図13でケースi)0.25[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、≪4≫(図8乃至図13でケースj)0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液140[ml]及びNi2+水溶液60[ml]、≪5≫(図8乃至図13でケースk)0.275[mol/l]のFe3+水溶液200[ml]、0.1[mol/l]のCo2+水溶液120[ml]及びNi2+水溶液80[ml]、をそれぞれ調整した。これらの水溶液を用いて、pHメーターと温度計を装備した容積が1リットルの耐熱性ビーカーに投入して、≪1≫はFe/(Co+Ni)=2.25、≪2≫≪3≫はFe/(Co+Ni)=2.5、≪4≫≪5≫はFe/(Co+Ni)=2.75の混合溶液400[ml]をそれぞれ調合した。その後、攪拌混合しながら、別に用意した濃度が3[mol/l]の苛性ソーダ水溶液200乃至500[ml]を投入して金属塩混合水溶液から中和反応により、それぞれ600乃至900[ml]の沈殿スラリーを生成した。
【0048】
次に、この沈殿スラリーを100℃の温度で120分間加熱して、金属混合沈殿から縮重合反応により黒色粒子を生成した。この粒子は、デカンテーション法で24時間毎に5回水洗いを行った後、2号ろ紙でろ過して回収した。ろ過物は恒温槽を用いて80℃で12時間乾燥し、乾燥物を乳鉢で粉砕して黒色粉末を得た。
【0049】
得られた黒色粉末は、組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe において、≪1≫Fe/(Co+Ni)=2.25、x=0.6、y=0.4(ケースg)、≪2≫Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.7、y=0.3(ケースh)、≪3≫Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.6、y=0.4(ケースi)、また、≪4≫Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.7、y=0.3(ケースj)、≪5≫Fe/(Co+Ni)=2.75、x=0.6、y=0.4(ケースk)、であり、X線回折測定の結果、それぞれスピネル結晶の結晶構造であった。そして、その粒子形態は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果、略立方形状である平均粒子径が約20乃至40[nm]の単分散微粒子であった。また、それぞれの粒子は、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気測定を行った結果、保磁力HcJが約400[kA/m]以上の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
【0050】
なお、図8乃至図13のケースlでは、各水溶液の濃度、量などを図に示すような値に設定して生成した。すると、Fe/(Co+Ni)=2.5、x=0.5、y=0.5であり、保磁力HcJが約400[kA/m]以上の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であった。
【0051】
以上、実施例2乃至実施例5をまとめると、Ni量の少ない組成別において、モル比nを2.25〜2.75と変化させると、保磁力HcJの高い単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉を得ることができる。ここで、Ni量であるyの値を変化させると共に、モル比Fe/(Co+Ni)を表すnを変化させたときの保磁力HcJ等の変化を表す図を図14に示す。この図を参照しても、Ni量の少ない組成である0.4≧y≧0(特にy>0)のうち同一組成においては、モル比nを変化させることで、より保磁力HcJが高くなることがわかる。特に、n=2.75のときには、その効果が顕著である。これにより、Ni量が少量であることにより、微粒子粉のさらなる微粒子化を図ることができると共に、当該微粒子粉の生成コストの削減を図ることができる。
【0052】
(実施例6)
続いて、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子を用いた、磁気シートの作製方法及びその磁気特性を以下の実施例6にて説明する。特に、磁気異方性、及び、加圧減磁の評価を行う。
【0053】
まず、実験に用いたスピネル微粒子の組成は、
(CoO)0.5・(NiO)0.5・n/2(Fe
であって、その粒子径Dは約30[nm]であり、反応母液のpH値及び磁気特性は、それぞれ
(1)n=2.25、pH=13.3、HcJ=509kA/m(6.4kOe)、σs=5.57×10−5Wbm/kg(44.3emu/g)
(2)n=2.50、pH=13.0、HcJ=438kA/m(5.5kOe)、σs=5.10×10−5Wbm/kg(40.6emu/g)
である。
【0054】
続いて、磁性塗料作成条件を以下に示す。
≪1≫磁粉と混合溶液の重量比(固形分(磁粉+樹脂)濃度を25wt%とした場合の磁粉と混合溶液の重量比)
磁粉:1
樹脂(バインダー)と溶剤の混合溶液:4
ガラスビーズ(直径約0.3mm):8
≪2≫樹脂と溶剤の混合溶液の重量比
塩化ビニル系共重合樹脂:1
ヘクロヘキサン:6.21
トルエン:6.21
MEK:2.59
≪3≫分散装置:Spex社製ミキサーミル(Model 8000−D)
≪4≫分散時間:8時間
また、磁性シートの作成方法を説明すると、上記条件にて作成した磁性塗料を、ドクターブレードを用いて厚さ15μmのPETフィルム上に均一に塗布直後に、0.8MA/m(10kOe)の磁界中で配向させ、乾燥して磁性シートを作製した。
【0055】
そして、磁気特性の評価法は、以下の通りである。
≪1≫磁化曲線は、上述したVSMを用いて測定した。
≪2≫磁気異方性定数K及びKは、Torque magnetometerを用いて測定したTorque曲線をフーリエ解析し、下記の式から決定した。
L=−(K/4+K/64)sin2θ−(3K/8+K/16)sin4θ+(3K/64)sin6θ
ちなみに、上記式については以下の文献を参考にする。
参考文献:近角聡伸,他,「強磁性体の物理(下)」,裳華房,昭和59年,12章,p.13
≪3≫磁気異方性磁界Haは、Torque magnetometerを用いて測定した。ちなみに、その測定方法については、以下の文献を参考にする。
参考文献:I.S.Jacobs and F.E..Luborsky, J.Appl.Phys., vol.28, pp467-473, 1957、D.M.Paige, S.R.Hoon, B.K.Tanner and KO'Grady, IEEE Trans.Magen., vol20, pp1852-1854, 1984.
≪4≫加圧前のシート試料に1.6MA/m(20kOe)の磁界を印加して、残留磁化MroをVSMで測定し、油圧プレスを用いて試料に静的圧力を60秒間加えた後の残留磁化Mrを測定する。そして、加圧減磁を、Mr/Mroから求める。これに関しては以下の文献を参考する。
参考文献:深谷敏雄,小口寿彦,竹内肇,日出山章蔵,横山弘毅,日本応用磁気学会誌,10,81(1986)
【0056】
以上のようにして測定した磁気異方性あるいは加圧減磁について、図15乃至図17を参照して説明する。図15は、2.15[MA/m]の磁界中で測定した上記各スピネル微粒子(1)(2)のトルク曲線を示す。図16は、回転ヒステリシス損失を示す。図17は、加圧減磁を示す。
【0057】
図15に示すように、300KにおけるK及びKの値は、K≒1×10J/cm,K≒−3×10J/cmであった。また、図16に示すように、縦軸に回転ヒステリシス損失に相当する値であるWr/Jsを、横軸に外部磁界Hを取り、回転ヒステリシス損失を評価した。この結果、異方性磁界Haは、約2.79〜3.18MA/mが得られ、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉を用いて作製した磁気シートは、高い磁気異方性を有することがわかる。
【0058】
さらに、図17に示すように、他の組成における磁気シート(例えば、BaフェライトやFe−Coによるシート)と、本発明であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉(上記(1)(2)の特性を有するもの)を用いて作製した磁気シートの静的な加圧減磁を測定した。この結果、本発明であるCo−Niスピネルによるものの加圧減磁が小さいことがわかる。これにより、Co−Niスピネルは立方晶で一軸異方性ではないが、磁気異方性エネルギーが加圧による磁気歪エネルギーよりも十分大きければ、加圧減磁は起こり難いと考えられ、優れた磁気特性を有する。
【0059】
【発明の効果】
本発明の磁性微粒子粉は、組成式(CoO)(NiO)・n/2(Fe)において、Feと(Co+Ni)との比が3.0>Fe/(Co+Ni)≧2.25、0.9≧x≧0.4、0.6≧y≧0.1、x+y=1であり、また粒子径が10乃至50[nm]であり、また飽和磁化σsが50.3×10−6乃至88.0×10−6[Wb・m/kg](40乃至70[emu/g])であり、また保磁力HcJが239乃至637[kA/m](3000乃至8000[Oe])の単相粒子であるスピネル型フェリ磁性微粒子粉であり、上述したように、その粒子径が微細であるにもかかわらず高い保磁力を有するという特徴があり、回転ヒステリシス損失や磁化機構に関連する回転ヒステリシス積分値がfanning(ファンニング)モデルに近い値である等、非常に磁気特性の高い新規な磁性材料であるので、デジタル磁気記録媒体として使用すれば記録密度を高密度化に大いに寄与できると言う従来にない優れた効果を有する。
【0060】
また、本発明である上記スピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法は、鉄、コバルト及びニッケルの水可溶性金属塩を水に溶解してFe3+,Co2+及びNi2+の各水溶液を所定濃度に調整する第1の工程と、各水溶液を所定のモル比に調合して混合水溶液とする第2の工程と、混合水溶液を攪拌しながら、アルカリ水溶液を当該混合水溶液中に全金族イオンに対して1当量以上で、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量を添加して沈殿スラリーを生成する第3の工程と、沈殿スラリーを攪拌しながら80乃至10[℃]の温度で加熱することによりスピネル型フェリ磁性微粒子を生成する第4の工程と、生成された粒子を固液分離して粉末に精製する第5の工程と、による方法であるが、この方法は簡単な装置を用い、しかも10[℃]以下の水溶液中で、本発明の単相のスピネル型フェリ磁性微粒子を生成することが出来きるばかりではなく、生成粒子は常法により固液分離して粉末に精製することができるので、経済性が高い生成方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.0とした時のNi/Coの組成比と磁気特性の関係を示した図である。
【図2】 組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、Ni/Co=1とした時のFe/(Co+Ni)の組成比と磁気特性の関係を示した図である。
【図3】 組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、Fe/(Co+Ni)の比とσ−T曲線との関係を示す図で、図3(a)はFe/(Co+Ni)=2.0、図3(b)はFe/(Co+Ni)=2.5のときの組成粒子である。
【図4】 生成粒子の電子顕微鏡TEM写真の図で、図4(a)は組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.5の粒子、図4(b)はFe/(Co+Ni)=3.0のときの粒子である。
【図5】 実施例1で得られた生成粒子のX線回折パターンを示した図である。
【図6】 生成粒子の電子顕微鏡TEM写真の図で、組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、Fe/(Co+Ni)=2.25(実施例1)の粒子である。
【図7】 実施例で得られた生成粒子のσ−T曲線を示す図である。
【図8】 実施例2乃至5で得られた微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図9】 実施例2乃至5で生成した微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図10】 実施例2乃至5で生成した微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図11】 実施例2乃至5で生成した微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図12】 実施例2乃至5で生成した微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図13】 実施例2乃至5で生成した微粒子の具体的な諸特性の一例を示す図である。
【図14】 組成式(CoO) (NiO) ・n/2(Fe の粒子おいて、0.4≧y≧0の範囲で、Fe/(Co+Ni)の値を変化させたときの磁気特性を示した図である。
【図15】 実施例6において作製した磁気シートのトルク曲線を示す図である。
【図16】 実施例6において作製した磁気シートの外部磁界に対する回転ヒステリシス損失の変化を示す図である。
【図17】 実施例6において作製した磁気シートの加圧減磁を示す図である。

Claims (17)

  1. CoとNiとが併存するスピネル型フェリ磁性微粒子粉であって、
    組成式が(CoO) (NiO) ・n/2(Fe )で表され、前記組成式のx及びyは、0.9≧x≧0.4、0.6≧y≧0.1及びx+y=1の関係式を満足するものであり、
    Feと(Co+Ni)とのモル比であるnを、3>n≧2.25の範囲に規定することで、スピネル型フェリ磁性微粒子粉を単相粒子としたことを特徴とするスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  2. 好ましくは前記nは、2.75≧n≧2.25の範囲であある、請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  3. 好ましくは前記xは、0.9≧x≧0.45の範囲である、請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  4. 好ましくは前記xは、0.9≧x≧0.5の範囲である、請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  5. 好ましくは前記yは、0.55≧y≧0.1の範囲である、請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  6. 好ましくは前記yは、0.5≧y≧0.1の範囲である、請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  7. 前記スピネル型フェリ磁性微粒子は、平均粒子径10乃至50nmの単分散微粒子である、請求項記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  8. 前記単分散微粒子が立方体形状である、請求項7に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  9. 前記スピネル型フェリ磁性微粒子の保磁力 H J は、239乃至637〔 kA/m 〕であって、飽和磁化σsが50.3×10 −6 〜88.0×10 −6 [Wb・m/kg]である請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  10. 前記スピネル型フェリ磁性微粒子の保磁力 H J は、好ましくは400〔kA/m〕以上である、請求項7に記載の前記スピネル型フェリ磁性微粒子粉。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のいずれか一項に記載のスピネル型微粒子からなる磁気記録媒体用磁性粉。
  12. 鉄、コバルト及びニッケルの水可溶性金属塩を水に溶解してFe3+,Co2+及びNi2+の各水溶液を、組成式が(CoO) (NiO) ・n/2(Fe )であって、前記組成式のx及びyが、0.9≧x≧0.4、0.6≧y≧0.1及びx+y=1の関係式を満足する濃度に調整する第1の工程と、
    前記各水溶液を、前記コバルトとニッケルとの合計モル数に対する鉄のモル数のモル比nを、3>n≧2.25の範囲に調合して混合水溶液とする第2の工程と、
    前記混合水溶液を攪拌しながら、アルカリ水溶液を当該混合水溶液中に全金族イオンに対して1当量以上で、添加後の溶液のOH基濃度が3[mol/l]以下となる量を添加して沈殿スラリーを生成する第3の工程と、
    前記沈殿スラリーを攪拌しながら80乃至101[℃]の温度で加熱することにより、金属混合沈殿から縮重合反応により、スピネル型フェリ磁性微粒子を生成する第4の工程と、
    前記生成された粒子を固液分離して、単分散微粒子に精製する第5の工程と、
    を含むことを特徴とするスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
  13. 好ましくは前記nを、2.75≧n≧2.25の範囲に規定した、請求項12に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
  14. 好ましくは前記xを、0.9≧x≧0.45の範囲に規定した、請求項12に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
  15. 好ましくは前記xを、0.9≧x≧0.5の範囲に規定した、請求項12に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
  16. 好ましくは前記yを、0.55≧y≧0.1の範囲に規定した、請求項12に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
  17. 好ましくは前記yを、0.5≧y≧0.1の範囲に規定した、請求項12に記載のスピネル型フェリ磁性微粒子粉の生成方法。
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