JP2005108782A - Nb3Al基超伝導線材および該線材の製造方法 - Google Patents

Nb3Al基超伝導線材および該線材の製造方法 Download PDF

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Osamu Idohara
修 井戸原
Yoshiaki Inoue
好明 井上
Akira Terajima
章 寺島
Seiji Yokota
誠二 横田
Hidehiro Yasutake
英宏 安武
Kazuhiro Kawasaki
一博 川嵜
Kyoji Tachikawa
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Abstract

【課題】 超伝導特性に優れたNbAl基超伝導線材を提供する。
【解決手段】 化学量論比でA15型構造のNbAl基合金をシース材内に充填し、該合金の酸素含有量が1000ppm以下であるNbAl基超伝導線材。化学量論比のNbAl基合金を溶製する工程、合金に水素を吸蔵させて粉砕する工程、粉末を脱水素処理する工程と、脱水素した粉末をシース材内に充填して線材に加工する工程、線材を熱処理する工程とを備えるNbAl基超伝導線材の製造方法。他の形態では化学量論比組成でA15型構造のNbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agから選択される1種以上の金属とからなる焼結体をシース材内に充填したNbAl基超伝導線材とする。
【効果】 超伝導線材として優れた超伝導特性を示す。また、本発明の製造方法により該線材を効率よく製造できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高分解能NMR分析装置や高密度エネルギー貯蔵装置、核融合装置等の種々の新技術に適用が可能なNbAl基超伝導線材および該線材の製造方法に関するものである。
従来、超伝導線材としては、Nb−Ti系合金線材が主として用いられており、該超伝導線材の使用によって電力消費なしに大電流を通電して磁界を発生するなどの目的を達成することが出来る。しかし、Nb−Ti系合金系線材では、液体ヘリウム温度(4.2K)における発生磁界の限界は約9T(テスラ)であり、高分解能NMR分析装置や高密度エネルギー貯蔵装置、核融合装置等の用途に有用な10T以上の磁界発生には、NbSn、NbAl等のA15型化合物系超伝導体の線材化が必要とされている。
現在、NbAl超伝導体の線材化には、Nb箔とAl箔を重ね合せた捲回体をシース材に挿入し、線材に加工後熱処理によりNbとAlを拡散させることによって超伝導相を形成する方法がとられている(例えば非特許文献1)。
IEEE Transactions on magnetics,vol.MAG−11,no,2,March 1975 P263〜265
しかし、従来のように加熱によって超伝導相を形成する方法では、化学量論比組成のA15型NbAlが生成されず、Alに乏しい組成にずれてNbAl本来の特性が発揮されないなどの問題点がある。これに対し、NbAl組成の合金を機械的方法などによって粉砕し、この粉末を用いて線材を製造する方法も考えられる。得られた線材はA15型構造を有するものの予期される程に良好な超伝導性が得られないという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、化学量論比組成でA15型構造を有し、その結果、優れた超伝導性を示すとともに結晶粒間結合が改善されたNbAl基合金超伝導線材および該線材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明のNbAl基超伝導線材のうち請求項1記載の発明は、化学量論比組成で実質的にA15型構造からなるNbAl基合金がシース材内に充填された線材からなり、前記NbAl基合金の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とする。
請求項2記載のNbAl基超伝導線材の発明は、化学量論比組成で実質的にA15型構造からなるNbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属とが焼結した焼結体がシース材内に充填された線材からなることを特徴とする。
請求項3記載のNbAl基超伝導線材の発明は、請求項2記載の発明において、前記NbAl基合金の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とする。
請求項4記載のNbAl基超伝導線材の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記NbAl基合金が、NbAl1−xの化学式を有し、MがGe、Si、Bの一種または2種以上からなり、さらにx≦0.5であることを特徴とする。
請求項5記載のNbAl基超伝導線材の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記NbAl基合金を収容したシース材の外側がCuマトリックスで被覆されていることを特徴とする。
請求項6記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、化学量論比組成からなり、酸素含有量を1000ppm以下としたNbAl基合金粉末をシース材内に充填して線材に加工し、該線材を熱処理することを特徴とする。
請求項7記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、化学量論比組成のNbAl基合金を溶製する工程と、該合金に水素を吸蔵させて粉砕する工程と、前記粉砕工程で得られるNbAl基合金粉末を真空中で脱水素処理する工程と、脱水素したNbAl基合金粉末をシース材内に充填して線材に加工する工程と、該線材を熱処理する工程とを備えることを特徴とする。
請求項8記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項7記載の発明において、前記脱水素処理を真空中で行うことを特徴とする。
請求項9記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項7または8記載の発明において、前記脱水素処理を600〜900℃の温度に加熱して行うことを特徴とする。
請求項10記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項7〜9のいずれかに記載の発明において、前記NbAl基合金粉末中の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とする。
請求項11記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項6〜10のいずれかに記載の発明において、前記NbAl基合金粉末に、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合することを特徴とする。
請求項12記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、化学量論比組成からなるNbAl基合金粉末に、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合し、該混合粉末をシース材内に充填して線材に加工し、該線材を熱処理することを特徴とする。
請求項13記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項11または12に記載の発明において、前記線材加工工程の中間で、前記シース材を800℃以下で加熱する中間熱処理を行うことを特徴とする。
請求項14記載のNbAl基超伝導線材の製造方法の発明は、請求項6〜13のいずれかに記載の発明において、前記熱処理が、非酸化性雰囲気下で加熱温度600℃超1000℃未満で行われることを特徴とする。
すなわち、本発明のNbAl基超伝導線材の一つの形態によれば、化学量論比組成を有するA15型構造によって、超伝導性が得られ、さらに、酸素含有量が低減されていることによって優れた超伝導特性を示す。発明者らは、このように、NbAl基合金の酸素濃度を低下させると超伝導特性が向上する新しい知見を得た。
その理由の詳細は明らかではないが、酸素含有量を1000ppm以下としたことにより、特別な配慮をすることなく1000ppmを越える酸素を含有するNbAl基超伝導線材に比べて明らかに優れた超伝導特性を示す。
また、本発明のNbAl基超伝導線材の他の形態によれば、化学量論比組成を有するA15型構造によって、超伝導性が得られ、さらに、NbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属とを焼結することで、優れた超伝導特性が得られる。焼結体はNbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属を主組織とすればよく、また、これらで焼結体を構成するものでもよい。この形態のNbAl基超伝導線材は、臨界電流値を増加させる作用があり、NbAl基超伝導線材の超伝導特性を向上させる。これら金属の添加量は、30体積%以下が望ましく、さらに好適には10〜15体積%である。
また、前記したNbAl基合金の酸素含有量の低減と、上記In等の金属組織とを組み合わせることによって超伝導特性の向上効果を一層顕著なものとすることができる。
また、NbAl基合金では、構成元素の一部をGe、Si、Bの1種以上で置換することができる。Ge、Si、BによるAlの一部置換によって超伝導性、特に磁界特性をさらに良好にすることができる。なお、Ge、Si、Bの置換量は量比において0.5以下とするのが望ましい。0.5を越えて置換すると、却って超伝導特性が低下する。なお、上記量比はさらに0.25以下が望ましい。また、置換による効果を充分に得るためには、上記量比を0.15以上とするのが望ましい。
また、NbAl基合金を収容するシース材は、代表的にはTaが例示されるが、本発明としては特に限定されるものではなく、その他に加工性が良好な、Nb、キュプロニッケル、Ti、ステンレス鋼などが例示される。また、シース材の表面には、Cuマトリックスを被覆するのが望ましい。該Cuマトリックスは、超伝導が破れた場合に線材の損傷を防ぐ効果がある。
上記線材は、化学量論比組成のNbAl基合金粉末をシース材内に充填して線材加工、熱処理することにより得られる。また、NbAl基合金粉末には、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合することができる。
上記粉末は、常法により溶製し、粉末化したものを用いることができる。溶製法としてはアーク溶解法が好適例として示される。また、粉末化としては機械的粉化などが挙げられるが、水素吸蔵を利用した粉化が好ましい。NbAl基合金粉末として酸素含有量を1000ppm以下としたものを使用する場合、酸素含有量の低減は、原料の選別や合金溶製時の脱ガスなどによって行うことが可能であるが、上記した粉砕時の水素吸蔵による作用を利用するのが望ましい。該水素吸蔵によってNbAl基合金の粉砕がなされるとともに吸蔵される水素の還元作用によって含有酸素量の低減を図ることができる。
水素吸蔵は、合金を高圧水素ガス雰囲気中に晒すことなどによって行うことができる。水素吸蔵によって脆化するNbAl基合金は、機械的粉砕を組み合わせるなどして粉末化される。粉末に対してはさらに分級をおこなってもよい。分級によって結晶粒径の均一化がなされるので均一な線材が得られる。
なお、上記製造時に原料として用いるNbAl基合金は、前記したようにAlの一部をGe、Si、Bの1種又は2種以上で置換してもよく、その場合の好ましい置換量は上記のとおりである。
また、NbAl基合金粉末に、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合する場合、これら金属粉末の混合量は、30体積%以下が望ましく、さらに好適には10〜15体積%である。なお、NbAl基合金粉末の粒径は本発明としては特に限定されないが、20〜100μmの粒径を例示することができる。なお、上記In等は、NbAl基合金粉末と同等の大きさとすることもできるが、NbAl基合金粉末よりも小径とするものであってもよい。
また、水素吸蔵によって粉砕および脱酸素を行ったNbAl基合金粉末では、脱水素処理を行うのが望ましい。また、この脱水素の際に行う熱処理では、同時にNbAl粉体の結晶を規則化させる効果があり、超伝導特性の向上に役立つ。その加熱条件としては、600°〜900℃で1〜10時間加熱する条件を示すことが出来る。該脱水素は、NbAl基合金粉末を加熱することにより行うことができ、加熱は真空下で行うことができる。なお、真空度は高いほどよいが、例えば、5×10−5Torr以下の高真空下で行うのが望ましい。
なお、NbAl基合金粉末にIn等を混合する場合は、脱水素工程の前後を問わないが、処理負担を軽減するために、脱水素工程後にNbAl基合金粉末にIn等の金属粉末を混合するのが望ましい。なお、混合処理は、粉末の酸化を防止するため、不活性ガス中または真空中の非酸化性雰囲気下で行うのが望ましい。
シース材にNbAl基合金粉末を収容した後、常法により線材加工を行うことができる。該線材加工は、例えばロール加工を繰り返して線材化することができる。なお、線材加工においては中間焼鈍をおこなうことができる。前記In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの1種以上の金属粉末を添加したものでは、該中間焼鈍によって結晶粒間結合を改善する効果がある。該中間焼鈍の条件としては例えば200〜800℃の加熱条件を示すことができる。この加熱条件が示されるのは、200℃未満では中間焼鈍の効果が充分ではなく、800℃を越えると、結晶自体に影響して超伝導特性が悪くなるためである。
上記線材加工後には、熱処理を行う。該熱処理によってNbAl基合金として所望のA15型構造が確実に得られる。該熱処理温度は本発明として600℃超1000℃未満が挙げられる。NbAl基合金は、脱水素処理や線材加工等の熱履歴、加工履歴を受けることによってA15型結晶構造が乱れやすい。このNbAl基超伝導線材に対し適切な熱処理を行うことでA15型構造に規則化させることができる。ここで熱処理温度が600℃以下であるとA15型構造の規則化が難しくなる。また、1000℃以上になるとA15型以外の異相、例えばσ相が形成されて熱伝導特性を低下させる。また、同様に理由で750℃以上、900℃以下が望ましい。なお、熱処理時間は本発明としては特に限定されないが、1〜50時間を例示することができる。また、熱処理時の雰囲気は真空下または不活性ガス中の非酸化性雰囲気とする。
以上説明したように、本発明のNbAl基超伝導線材によれば、化学量論比組成でA15型構造のNbAl基合金がシース材内に充填された線材からなり、前記NbAl基合金の酸素含有量が1000ppm以下であるので、優れた超伝導特性を示す。
また、本発明の他のNbAl基超伝導線材によれば、化学量論比組成で実質的にA15型構造からなるNbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属とからなる焼結体がシース材内に充填された線材からなるので、優れた超伝導特性を示す。
また、本発明のNbAl基超伝導線材の製造方法によれば、化学量論比組成からなるNbAl基合金粉末を酸素含有量を1000ppm以下にして、または/およびNbAl基合金粉末にIn、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合してシース材内に充填して線材に加工し、該線材を熱処理するので、上記線材が容易に得られる。 さらに、本発明の製造方法を、化学量論比組成のNbAl基合金を溶製する工程と、該合金に水素を吸蔵させて粉砕する工程と、前記粉砕工程で得られる粉末を脱水素処理する工程と、脱水素した粉末をシース材内に充填して線材に加工する工程と、該線材を熱処理する工程とを備えるものとすれば、A15型構造を有し、化学量論比組成を有して酸素含有量の低減されたNbAl基超伝導線材が得られるので、優れた超伝導特性を有するNbAl基超伝導線材を効率よく製造することができる。
以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
アーク溶解法等によって溶製した化学量論比組成のNbAl基合金(Alの一部をGe、Siで置換したものでもよい)に水素を吸蔵させて粉砕し、例えば20〜100μm径のNbAl基合金粉末1を調製する。なお、該調製に際し分級を行ってもよい。
NbAl基合金粉末1は、次に、真空中で加熱するなどして脱水素処理(Dehydrogenation)を行う。図には、該処理例のヒートパターンが示してあり、200℃まで0.5時間、次に850℃まで3時間をかけて昇温させ、850℃で5時間保持して脱水素処理し、その後、炉冷している。
脱水素を行ったNbAl基合金粉末1は、所望によりIn、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末2を例えば、10〜30体積%混合し、Taなどからなるシース材3内に収容する。
このシース材3は、例えば溝付きローラ10、10でロール加工(Grooved Rolling)して厚肉線材3aとし、これを平ローラ11、11でロール加工(Flat Rolling)して線材30を得る。この例では該線材としては4mm幅、0.6mm厚のものを得ている。なお、上記線材加工の中間では、中間熱処理(Intermediate Annealing)を行うことができる。該中間熱処理は200〜800℃の加熱条件によって行うことができる。この実施形態では250℃×2時間の条件が例示される。
上記線材加工によって得られたNbAl基超伝導線材は、さらに、非酸化性雰囲気下で、600℃超、1000℃未満の加熱温度によって熱処理を行い、A15型構造で化学量論比組成を有するNbAl基合金で構成される超伝導線材が得られる。In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合したものでは、この熱処理によって焼結体が得られる。
以下に本発明の実施例を比較例と対比しつつ説明する。
アーク溶解したNbAl合金鋳魂に、水素を吸蔵させて粒径20〜100μmに粉砕し、これを高真空中(1×10−6Torr)、850℃で10時間脱水素処理して、酸素濃度を約910ppmに低下させたNbAl合金粉末を作製した。また、他の形態として、脱水素処理後の粉末の取扱いをAr雰囲気中で行う以外は上記と同様にして酸素濃度を450ppmに低下させたNbAl合金粉末を作製した。これらの粉末の残留水素は前者で約30ppm、後者で約35ppmであった。これらの粉末の超伝導臨界温度Tcを磁化法により測定したところ17.9Kを示し、アーク溶解後の鋳塊のTc17.2Kに対し上昇がみられ、また、超伝導遷移もシャープになった。これはA15型結晶構造の規則度の向上によるものと考えられる。これらの粉末をTaシース材に充填した。なお一部の供試材では、NbAl合金粉末に、10体積%In粉末、10体積Sn粉末または10体積%Ag粉末を混合してTaシース材に充填した。これらシース材をテープ線材(幅4mm、厚さ0.6mm)に加工後、熱処理(850℃×10時間または800℃×10時間)を行って発明材を用意した。また、比較のため、上記水素の吸蔵、脱水素処理を行わない以外は、上記と同様の工程によって比較材を用意した。この比較材の酸素濃度は1970ppmであった。
上記により得られた各供試材につき、温度4.2Kにおいて磁束密度に対する臨界電流値Icを測定し、その結果を表1、2および図2〜図5に示した。表および図から明らかなように、発明材は、比較材に比べて高い磁束密度においても大きな臨界電流値を示しており、超伝導特性に優れ、実用性に優れたものとなっている。例えば、NbAl線材No.4は、線材を800℃で10時間熱処理すると超伝導臨界温度が加工後の14.2Kから17.5Kに上昇し、表1に示すように4.2K、13Tの高磁界で235Aの臨界電流Icを得た。
なお、NbAl粉末に、In粉末、Sn粉末またはAg粉末を混合して作製した線材では、臨界電流値が改善された。特に、In添加は高磁界の臨界電流を増大させ、Ag添加は低磁界の臨界電流を増大させる傾向にある。
また、図6はIc遷移の際のn値を示したものである。本発明材は高いn値を示しており、超伝導特性に優れていることが分かる。n値は超伝導線材の質を示すものであって、電気抵抗が0であることが必要である永久電流モードで超伝導線材を使用するときにn値が30以上であることが必要であるといわれており、実用線材としては20以上が望ましいとされている。
図7は、NbAl合金粉末にIn金属粉末を混合し、850℃×10時間の熱処理を行って製造した試験材(酸素濃度約910ppm)のEPMA分析結果を示す図面代用写真である。NbAl合金粒子間にIn金属が介在して焼結体が構成されていることが分かる。
また、熱処理温度による作用の違いを確認するため、アーク溶解によってNbAl合金を溶製した後、上記発明材の工程によって製造した供試材について、熱処理温度を変えて結晶構造を調査し、その結果を図8に示した。図からあきらかなように、600℃超1000℃未満の温度での熱処理によってA15型構造が得られている。一方、600℃では結晶構造の改善効果が殆ど見られず、1000℃ではσ相の出現が見られた。また、850℃ではA15型構造となった。
本発明の一実施形態の製造工程を示すフロー図である。 酸素量低減効果を表すために各供試材におけるIc(臨界電流値)−磁界特性を示すグラフである。 In添加効果を表すために各供試材におけるIc(臨界電流値)−磁界特性を示すグラフである。 Sn添加効果を表すために各供試材におけるIc(臨界電流値)−磁界特性を示すグラフである。 Ag添加効果を表すために各供試材におけるIc(臨界電流値)−磁界特性を示すグラフである。 各供試材における遷移n値−磁界特性を示すグラフである。 実施例供試材におけるEPMA分析結果を示す代用写真(倍率200倍)である。 熱処理温度を変えた供試材のXRD回折図である。
符号の説明
1 NbAl基合金粉末
2 金属粉末
3 シース材
10 溝付きロール
11 平ロール
30 NbAl基超伝導線材

Claims (14)

  1. 化学量論比組成で実質的にA15型構造からなるNbAl基合金がシース材内に充填された線材からなり、前記NbAl基合金の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とするNbAl基超伝導線材。
  2. 化学量論比組成で実質的にA15型構造からなるNbAl基合金と、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属とが焼結した焼結体がシース材内に充填された線材からなることを特徴とするNbAl基超伝導線材。
  3. 前記NbAl基合金の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項2記載のNbAl基超伝導線材。
  4. 前記NbAl基合金が、NbAl1−xの化学式を有し、MがGe、Si、Bの一種または2種以上からなり、さらにx≦0.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のNbAl基超伝導線材。
  5. 前記NbAl基合金を収容したシース材の外側がCuマトリックスで被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のNbAl基超伝導線材。
  6. 化学量論比組成からなり、酸素含有量を1000ppm以下としたNbAl基合金粉末をシース材内に充填して線材に加工し、該線材を熱処理することを特徴とするNbAl基超伝導線材の製造方法。
  7. 化学量論比組成のNbAl基合金を溶製する工程と、該合金に水素を吸蔵させて粉砕する工程と、前記粉砕工程で得られるNbAl基合金粉末を脱水素処理する工程と、脱水素したNbAl基合金粉末をシース材内に充填して線材に加工する工程と、該線材を熱処理する工程とを備えることを特徴とするNbAl基超伝導線材の製造方法。
  8. 前記脱水素処理を真空中で行うことを特徴とする請求項7記載のNbAl基超伝導線材の製造方法。
  9. 前記脱水素処理を600〜900℃の温度に加熱して行うことを特徴とする請求項7または8記載のNbAl基超伝導線材の製造方法。
  10. 前記NbAl基合金粉末中の酸素含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のNbAl基超伝導線材の製造方法。
  11. 前記NbAl基合金粉末に、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のNbAl基超伝導線材の製造法。
  12. 化学量論比組成からなるNbAl基合金粉末に、In、Sn、Al、Cu、Pb、Au、Agの群から選択される1種または2種以上の金属粉末を混合し、該混合粉末をシース材内に充填して線材に加工し、該線材を熱処理することを特徴とするNbAl基超伝導線材の製造方法。
  13. 前記線材加工工程の中間で、前記シース材を800℃以下で加熱する中間熱処理を行うことを特徴とする請求項11または12に記載のNbAl基超伝導線材の製造方法。
  14. 前記熱処理が、非酸化性雰囲気下で加熱温度600℃超1000℃未満で行われることを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載のNbAl基超伝導線材の製造方法。
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