JP2005106698A - 全有機炭素含量の測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料液中の全有機炭素含量を測定する方法の酸化工程において、超音波発振器25によって酸化器21内の試料液を振動させつつ、光源22から該試料液に対して紫外線を照射して、該試料液中の有機化合物から二酸化炭素を発生させる。
【選択図】 図1
Description
かかるTOC値を測定する方法として、紫外線(UV)酸化を用いる方法が広く利用されている。具体的には、試料液を紫外線照射部へ導入し、ここで試料液に紫外線を照射することによって試料液中の有機化合物を酸化して二酸化炭素を発生させる。そして、二酸化炭素の濃度変化に応じて生じる導電率変化を測定し、これに基づいて試料液のTOC値を求めている(例えば、下記特許文献1,2)。
前記酸化工程において、前記試料液中の有機化合物の全部を酸化させててもよく、または前記試料液中の有機化合物の一部を酸化させることもできる。
したがって、酸化工程で、試料液中の有機化合物の全部を酸化させてから測定を行う場合には、該有機化合物の酸化に要する時間を短縮することができる。
また、酸化工程で、試料液中の有機化合物の一部を酸化させてから測定を行う場合には、反応時間が同じでも、有機化合物の酸化がより進んだ状態とすることができるので、これにより測定精度を向上させることができる。
酸化部20には、光源22を備えた酸化器21と、酸化器21内に充填された試料液を振動させる超音波発振器25が設けられている。
光源22は、その内側に充填された試料液に対して、該試料液中の有機化合物に酸化分解反応を生じせしめ得る波長の紫外線を照射できるものが用いられる。具体例としては、水銀ランプが挙げられるが、中でも、発振波長に185nmおよび/または254nmを含む低圧水銀ランプが、有機化合物の酸化反応を促進するうえで好ましい。光源22から出射される紫外線の強度は所定の値で一定となるように制御される。
内筒23の外面には光触媒がコーティングされている。光触媒は光源22から照射される紫外線に感度を有するものであればよいが、例えば、酸化チタン(TiO2)、SrTiO3、CDS、WO3、Fe2O3、MO3等を挙げることができる。好ましくはTiO2が用いられる。
また、隔壁26の近傍において、内筒23の先端が該隔壁26に向かって漸次縮径しており、これによって超音波発振器25から発振された超音波が、隔壁26を介して酸化器21内の試料液に効率良く伝達されるようになっている。
超音波発振器25は、波長0.1〜1mm程度の高周波の超音波を発振できるものが好ましい。
さらに、必要に応じて、第1のバルブV1と第2のバルブV2との間に、標準液槽15、洗浄液槽16、酸化補助剤槽17等を、それぞれバルブを介して設けてもよい。また、シリンジポンプに代えて流量計を用いることもできる。
検出光の波長は試料液中の有機化合物による光吸収が生じ得る波長であればよいが、例えば185〜400nmの範囲内の波長を好ましく用いることができる。より好ましい波長は200〜254nmの範囲内であり、例えば210nm近傍と254nmが好適である。
検出用光源32の具体例としては、重水素ランプ、キセノンフラッシュランプ等が挙げられる。
具体的には、試料導入部10の第1のバルブV1、第2のバルブV2、およびシリンジポンプ11を操作するとともに、測定部30のバルブ35を開いて酸化器21内および測定セル31内に試料液を導入する。このとき、測定セル31内に気泡が存在すると吸光度の測定精度が悪くなり、また酸化器21内に気泡が存在すると酸化器21内の試料液の体積が一定とならないので、予め試料液を槽14内に導入して脱気した後に、酸化器21内および測定セル31内へ移送することが好ましい。また、酸化補助剤槽17から槽14内に酸化補助剤を導入し、ここで試料液と酸化補助剤を混合した混合液を酸化器21および測定セル31へ移送してもよい。酸化補助剤は、特に難分解性の有機化合物の酸化分解を促進するのに有効である。酸化補助剤として、例えばペルオキソ二硫酸カリウムと、リン酸または塩酸を併用することが好ましい。
測定セル31内に試料液を導入後、該試料液に対して検出光を照射し、試料液を透過して光の強度を受光素子33で検知して吸光度(第1の吸光度)を測定する。
超音波発振器25を作動させる時間と光源22から紫外線を照射する時間は同一でも異なっていてもよいが、それぞれ予め設定された時間で一定とする。具体的には、酸化器21内の試料液の体積と照射される紫外線の強度にもよるが、5〜20分の範囲内が好ましく、より好ましい範囲は5〜10分程度である。
なお、酸化工程において酸化器21内で二酸化炭素や溶存酸素が気泡となって発生しているので、吸光度の測定を行う前に、該試料液中の気泡を除去することが好ましい。例えば、測定部30の外部に通じるバルブ37を閉じ、測定部30と酸化器21との間のバルブ35および第1のバルブV1を開いた状態でシリンジポンプ11を操作して測定セル31内を陰圧にすることにより、試料液中の気泡を除去してもよい。
一方、酸化処理前後の吸光度の変化量は、酸化処理によって減少した有機化合物の量に比例する。したがって、酸化処理前後の吸光度の変化、すなわち第1の吸光度から第2の吸光度を差し引いた値は、酸化処理前の試料液のTOC値に比例する。
よって、予め有機化合物の濃度が既知の標準液について、TOC値と吸光度の変化量(第1の吸光度と第2の吸光度との差)との関係を示す検量線を得ておけば、試料液について測定して得られた吸光度の変化量(第1の吸光度と第2の吸光度との差)から、前記検量線を用いて、該試料液のTOC値を求めることができる。標準液としては、例えば、フタル酸水素カリウム溶液を好ましく用いることができる。
さらに、超音波の洗浄力によって酸化器21内における汚れの付着も防止される。
また、本実施形態では、酸化部20における試料液の酸化処理に紫外線照射を用いるとともに、測定部30における吸光度の測定にも検出光として紫外線を用いることができるので、酸化部20の光源が、測定部30における検出光の光源を兼ねる構成とすることもできる。例えば、酸化部20の光源から出射される紫外線が試料液を透過した後に受光素子に入射されるように構成してもよい。
特に、本実施形態のように、吸光度の変化量によって、酸化処理によって減少した有機化合物の量を間接的に測定する方法は、試料液中の有機化合物以外の成分の存在によって測定結果に誤差が生じるのが防止されるという利点が得られるので好ましい。
また、二酸化炭素の発生量からTOC値を求める方法では、有機化合物に由来する二酸化炭素以外の二酸化炭素の影響を排除するために、予め、試薬を用いるなどして試料液中の無機炭素や二酸化炭素を除去することが好ましい。
これに対して、本実施形態では試料液中に無機炭素や二酸化炭素が存在しても、これによってTOC値の測定結果が影響を受けない。したがって、本実施形態によれば、有機化合物以外の成分を含有する試料であっても、そのTOC値を精度良く測定することができるので、例えば上水のTOC値の測定に特に好適である。
酸化器41の先端は開口しており、該開口には開閉弁44が設けられている。図3に示すように、ピストン61を酸化器41の先端側に押し下げると、内筒43および開閉弁44がピストン61と一体的に移動して開閉弁44が開となる。一方、図2に示すように、ピストン61を酸化器41の先端から遠ざかる方向へ引き上げると、内筒43および開閉弁44がピストン61と一体的に移動して開閉弁44が閉となる。したがって、ピストン61の往復によって酸化器41内に試料液が導入したり、酸化器41内の試料液を排出できるようになっている。
また酸化器41の先端近傍において、酸化器41の周面に光透過性のセル窓45,45が2個対向して設けられており、該セル窓45,45の外方には、検出光を出射する光源52と受光素子53がそれぞれ設けられている。すなわち、酸化器41の先端部分を測定セルとして用いて、酸化器41内の試料液の吸光度を測定できるようになっている。
吸光度測定のための光源52および受光素子53は、前記第1の実施形態における光源32および受光素子33と同様の構成とすることができる。また、受光素子53は、前記第1の実施形態に同様に、図示しない演算装置(演算部)に電気的に接続されている。
また、隔壁66の先端の直径は、酸化器41の内径、すなわち筒状の光源42の内径よりも若干小さく形成されており、隔壁66の先端部には酸化器41内を液密に保つワイパー62が設けられている。
次に、前記第1の実施形態と同様にして、超音波発振器65を作動させて酸化器41内の試料液を超音波によって振動させるとともに、酸化器41の光源42から該試料液に紫外線を照射することによって、試料液に酸化処理を施す。これにより試料液中の有機化合物は酸化分解されて二酸化炭素が発生する(酸化工程)。
所定時間の酸化処理を終えたら、再び光源52から検出光を出射し、酸化器41を透過した透過光を受光素子53で検知して吸光度(第2の吸光度)を測定する(第2の測定工程)。
この後、前記第1の実施形態と同様にして演算装置で試料液のTOC値を求める。
図1に示す構成の装置を用いて試料液のTOC値を測定した。酸化器21の容量は10mlであった。光触媒としては酸化チタンを用いた。
まず、試料液を酸化器21および測定セル31に導入して、測定セル31内の試料液について吸光度を測定した。測定部30の光源32としては重水素ランプまたはキセノンフラッシュランプを用い、検知光の波長は254nmとした。
次いで超音波発振器25を作動させると同時に酸化器21の光源22を点灯して酸化処理を施した。酸化器21の光源22としては低圧水銀ランプを用い、超音波発振器25としては本多電子社製、製品名:HM−2412(発振波長2.4MHz)を用いた。酸化器21の光源22の波長は254nm、照射強度は0.05mW/cm2とした。超音波発振器25を作動させる時間および光源22を点灯する時間は、いずれも5分間とした。
この後、測定セル31内を、酸化処理が施された試料液で満たし、吸光度を測定した。
試料液は、フタル酸水素カリウム(KHP)を、所定濃度となるように純水に溶解させて調製した。酸化処理前後の吸光度の測定結果を下記表1に示す。
実施例1において、酸化器21の光源22を点灯して酸化処理を施す際に、超音波発振器25を作動させない他は同様にした。酸化処理前後の吸光度の測定結果を下記表1に示す。
20 酸化部
21、41 酸化器
22、42 光源(紫外線)
25、65 超音波発振器
30 測定部
32、52 光源(検知光)
33、53 受光素子
Claims (4)
- 試料液中の全有機炭素含量を測定する方法であって、
超音波によって前記試料液を振動させつつ、該試料液に対して紫外線を照射して、該試料液中の有機化合物から二酸化炭素を発生させる酸化工程を有することを特徴とする全有機炭素含量の測定方法。 - 前記酸化工程において、前記試料液中の有機化合物の全部を酸化させることを特徴とする請求項1記載の全有機炭素含量の測定方法。
- 前記酸化工程において、前記試料液中の有機化合物の一部を酸化させることを特徴とする請求項1記載の全有機炭素含量の測定方法。
- 試料液中の全有機炭素含量を測定する装置であって、
試料液中の有機化合物から二酸化炭素を発生させる酸化部を備えてなり、
前記酸化部には、超音波によって前記試料液を振動させる装置超音波発振器と、該試料液に対して紫外線を照射する光源が設けられていることを特徴とする全有機炭素含量の測定装置。
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