JP2005106536A - 生化学解析用カートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】 フイルタの装填ミスを防止するとともにその交換作業の手間を軽減する生化学解析用カートリッジを提供する。
【解決手段】 カートリッジ28は、カートリッジ本体53とフイルタユニット54とからなる。カートリッジ本体53は、フロースルータイプの生化学解析用ユニットを収容するとともに反応溶液を注入するチャンバーを備えている。フイルタユニット54は、チャンバーへ注入される反応溶液を濾過するものであり、カートリッジ本体53の下面にネジ止めによって固定される。生化学解析用ユニットは、このカートリッジ28に収容された形態で、リアクタ本体22に着脱自在に装填される。カートリッジ28を装填することにより、生化学解析用ユニットとともにフイルタも装填されるから、フイルタの装填ミスが防止されるとともにその交換作業の手間も軽減される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、DNAの塩基配列などの解析に用いられる生化学解析用ユニットを収容する生化学解析用カートリッジに関する。
生体由来物質、例えばDNAの塩基配列の解析などの生化学解析を行うために、生化学解析用ユニットが使用される。生化学解析用ユニットは、基板に微細な貫通孔を複数形成し、これら各貫通孔内に多孔質材料等の吸着性物質を押し込むことで、複数の吸着性領域(以下、スポット領域と称する)を形成したものであり、基板上に複数の微細なスポット領域が配列されていることからマイクロアレイなどと呼ばれる。この生化学解析用ユニットを使用した生化学解析方法は、生化学解析用ユニットの複数のスポット領域に、試薬となる特異的結合物質(以下、プローブと称する)を点着して固定化するスポッティング工程と、スポット領域に検体となる特異的結合物質(以下、ターゲットと称する)を浸透させて特異的結合(プローブとターゲットとの結合)を生じさせる反応工程と、生化学解析用ユニットから、各スポット領域の特異的結合反応の結果を示す生化学解析用データを読み取るデータ読み取り工程と、読み取られた解析用データをパーソナルコンピュータなどで解析するデータ解析工程とを含む(例えば、下記特許文献1及び特許文献2参照)。
プローブは、ターゲットの発現情報を調べるための試薬となるものであるから、分子構造、例えば、塩基配列や組成などが既知のものが使用される。プローブとしては、例えば、生体由来物質であるホルモン類,腫瘍マーカー,酵素,抗体,抗原,アブザイム,レセプタ,その他のタンパク質,リガンド,核酸,cDNA,DNA,RNAなどであり、ターゲットと特異的結合が可能な物質である。ターゲットは、分子構造が未知のものであり、生体由来物質であるホルモン類,腫瘍マーカー,酵素,抗体,抗原,アブザイム,レセプタ,その他のタンパク質,リガンド,核酸,cDNA,DNA,mRNAなどを生体から抽出,単離して採取されたものや、この採取後に化学的処理が施されたものである。
塩基配列を調べる場合には、スポッティング工程において、生化学解析用ユニットの各スポット領域に、異なる種類のプローブが固定化される。そして、反応工程において、ターゲットを溶媒に溶かした溶液(以下、単に反応溶液と称する)を各スポット領域に浸透させることで、ターゲットと、このターゲットと相補的な関係にあるプローブとを特異的結合させる。
特異的結合が生じたことを検出するために、反応溶液には、例えば、標識物質が付与される。この標識物質としては、例えば、化学反応によって発光する化学発光物質が使用される。特異的結合を生じさせた後、生化学解析用ユニットは、洗浄されて、特異的結合が生じたスポット領域以外の部分に付着した反応溶液が取り除かれる。
特異的結合が生じたスポット領域には、標識物質が残留するので、データ読み取り工程では、この標識物質を読み取って特異的結合の有無を検出する。検出手段としては、例えば、光学情報を読み取るCCDイメージセンサなどの撮像デバイスが使用される。
特異的結合反応を生じさせる方式としては、生化学解析用ユニットを収納した反応室(以下、チャンバーという)内に反応溶液を注入し、この反応溶液をピストンやポンプなどの機械的な動力を用いて流動させることにより、スポット領域の一方の側から他方の側へ通過させるフロースルー方式が一般的になってきている(例えば、特許文献2参照)。
また、最近では、生化学解析用ユニットの取り扱いの簡便性を考慮して、このフロースルー方式の生化学解析用ユニットを収容するチャンバー付きカートリッジが開発されている。このカートリッジを使用すれば、生化学解析用ユニットをリアクタへ装填したりそこから取り外す際に該ユニットを裸のまま取り扱う必要が無くなる。このようなカートリッジ方式に対応したリアクタには、カートリッジが装填されるリアクタ本体と、前記ピストンや循環パイプなど反応溶液を循環させる循環機構とが設けられている。前記装填部は、循環機構と接続されており、カートリッジを装填部に装填するだけで、循環機構と前記チャンバーとが接続されるようになっている。
しかし、フロースルー方式の生化学解析用ユニットでは、反応溶液中に混入した未溶解物や反応溶液中に析出した析出物などの異物がスポット領域に詰まって目詰まりが発生するという欠点があった。この目詰まりは、データ読み取りの際にはノイズとして現れるので、データ解析精度の低下につながる。そこで、下記特許文献1に記載のリアクタでは、反応溶液の循環経路内に、反応溶液を濾過するフイルタを設けることにより、チャンバーに供給される反応溶液から前記未溶解物や析出物を除去するようにしている。
特開2003−227825号公報 WO01/45843号公報
しかしながら、前記フイルタは、実験の度に前記カートリッジとともに交換する必要がある。このように交換部位が増えると、交換作業の手間が増えるだけでなく、装填不良,装填忘れ,交換ミスなど装填ミスの原因になりやすい。
本発明は、フイルタの装填ミスを防止するとともにその交換作業の手間を軽減する生化学解析用カートリッジを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の生化学解析用カートリッジは、基板上に試薬となるプローブが固定化されたスポット領域が複数個配列されたフロースルータイプの生化学解析用ユニットを収容するチャンバーを備え、前記チャンバーへ検体となるターゲットを含む反応溶液を供給するリアクタに、着脱自在に装填される生化学解析用カートリッジにおいて、前記チャンバーへ供給される前記反応溶液を濾過するフイルタをカートリッジ本体と一体化したことを特徴とする。
なお、前記フイルタを、前記カートリッジ本体とは別体のフイルタケースに収納し、このフイルタケースを前記カートリッジ本体に固定することによって、前記カートリッジ本体と一体化してもよい。
本発明の生化学解析用カートリッジは、リアクタに着脱自在に装填可能であり、カートリッジ本体に、生化学解析用ユニットを収容するチャンバーが設けられた生化学解析用カートリッジにおいて、前記チャンバーへ供給される前記反応溶液を濾過するフイルタをカートリッジ本体と一体化したから、フイルタの装填ミスを防止するとともにその交換作業の手間を軽減することができる。
図1に示すように、生化学解析用ユニット10を使用した生化学解析方法は、スポッティング工程と、特異的結合反応工程と、洗浄工程と、化学発光反応工程と、データ読み取り工程と、データ解析工程とを含む。生化学解析用ユニット10は、基板11に、微細な貫通孔12をマトリックス状に複数形成し、各貫通孔12に吸着性物質であるメンブレン13を圧入して複数のスポット領域14を形成したものであり、フロースルータイプのものである。
スポッティング工程では、スポッターを用いて、生化学解析用ユニット10の各スポット領域14に、異なる種類のプローブを含む溶液(以下、プローブ溶液という)が各々点着される。スポッターは、先端に割り溝が形成され、プローブ溶液を点着するスポットピン16を備えている。このスポットピン16により、ウエルプレート上に分注された複数種類のプローブ溶液を吸い上げ、吸い上げられたプローブ溶液を各スポット領域14に点着する。この後、各スポット領域14に紫外線などを照射することによりプローブがスポット領域14に固定される。こうして、プローブが固定された生化学解析用ユニット10は、チャンバー29を備えた生化学解析用カートリッジ(以下、単にカートリッジという)28に収容され、その形態で特異的結合反応工程に送られる。
特異的結合反応工程では、リアクタ21を用いて、プローブと、検体となるターゲットとを特異的結合反応させる。リアクタ21は、リアクタ本体22,循環パイプ23,ポンプ24,バルブ25,溶液貯蔵タンク26,排出漕27などからなる。リアクタ本体22には、生化学解析用カートリッジ28が着脱自在にセットされる。実験に使用される反応溶液は、反応溶液調製装置によって、標識物質が付与されたターゲットを溶媒に溶かし込むことにより作成される。
循環パイプ23は、ポンプ24及びバルブ25とともに循環機構を構成する。リアクタ本体22には、チャンバー29に接続される供給路22a及び排出路22bが設けられている。これら供給路22a及び排出路22bのそれぞれに前記循環パイプ23が接続されて、チャンバー29内を流動する特異的反応溶液の循環経路が構成される。また、循環パイプ23には、バルブ25を介して、未使用の反応溶液を貯蔵するタンク26と、使用済みの反応溶液を排出する排出漕27とが接続されている。
チャンバー29に注入された反応溶液は、図中、下面側から各スポット領域14に浸透して、各スポット領域14を透過して、図中上面側へ流動する。注入された反応溶液は、各スポット領域14に浸透するが、この浸透時に、ターゲットと相補的なプローブを有するスポット領域では、ターゲットとプローブとが特異的結合反応を生じる。各スポット領域14を透過した反応溶液は、排出口29bからチャンバー29外へ排出される。チャンバー29から排出された反応溶液は、循環パイプ23及びポンプ24介して、再び注入口29aへ送られてチャンバー29に再び注入される。
この特異的結合反応工程の後、洗浄工程において、生化学解析用ユニット10が洗浄されて、特異的結合反応を生じたスポット領域以外の部分から反応溶液が取り除かれる。この洗浄も、特異的結合反応工程と同様に、リアクタ21を用いて行われる。チャンバー29には、反応溶液の代わりに洗浄液が供給され、この洗浄液を流動させることにより、洗浄が行われる。なお、この洗浄効果をさらに向上させるためには、反応を実行する前に、生化学解析用ユニット10にいわゆるブロッキング剤を浸透させておくことが好ましい。こうすれば、洗浄工程において、特異的結合反応しない反応溶液がより剥離しやすくなり洗浄効果がより向上する。このブロッキング剤と生化学解析用ユニット10との浸透についても、洗浄液と同様に、リアクタ21を用いて行うとよい。
この洗浄工程を経た後、化学発光反応処理が実行される。化学発光反応工程では、特異的結合が生じたスポット領域を化学反応によって発光させる。
この化学発光反応工程の後、リアクタ本体22からカートリッジ28が取り外されて、データ読み取り工程に送られる。データ読み取り工程では、カートリッジ28から生化学解析用ユニット10を取り出し、検出装置31によって生化学解析用データを光電的に読み取る。
検出装置31は、標識物質から発光される光を受光してこれを光電変換するCCDイメージセンサ32を備えている。CCDイメージセンサ32の受光面前方には、標識物質が発光する光をCCDイメージセンサ32の受光素子へ導くライトガイド33が設けられる。ライトガイド33は、各スポット領域14の数に対応した複数本の光ファイバーから構成され、各光ファイバーの一端が前記受光面に、他端がスポット領域にそれぞれ対向するように配置される。特異的結合反応が生じたスポット領域では、標識物質が残留するため、発光する。他方、特異的結合反応が生じないスポット領域では、発光しない。CCDイメージセンサ32によって、こうした各スポット領域14の特異的結合反応の結果を示す画像データが取得される。データ解析工程では、この画像データを生化学解析用データとして解析する。
図2は、生化学解析用ユニット10の説明図である。基板11の材質としては、光の散乱を防止するために、光を減衰させる材質が好ましく、金属、セラミック、プラスチックなどが使用される。光の散乱を防止する趣旨は、あるスポット領域で発せられた光が、基板壁を透過して、隣接するスポット領域に到達することにより、発光していないスポット領域から光があたかも光が発せられているかのように見えてしまうという誤認識を防止することにある。光を減衰させる効率が高い材質を使用することで、誤認識が防止され、信頼性の高い解析用データが得られる。光の減衰率(スポット領域から発せられる光強度の低下率)は、あるスポット領域から発せられる光強度が、隣接するスポット領域においては、1/5以下になることが好ましく、1/10以下になることがより好ましい。
基板11の厚みは、50〜1000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜500μmの範囲である。金属としては、銅、銀、金、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、錫、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、タンタルなどを用いることができる。または、ステンレス鋼や黄銅などの合金も用いることができるが、必ずしもこれらに限定されない。また、セラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、等があげられるが、必ずしもこれらに限定されない。
前記プラスチックとしては、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなど)、ポリスチレン、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレートなど)、含塩素ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、含フッ素ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)、含塩素フッ素ポリマー(例えば、ポリクロロトリフルオロエチレンなど)、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミド(例えば、ナイロン−6やナイロン−66など)、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ケイ素樹脂(例えば、ポリジフェニルシロキサンなど)、フェノール樹脂(例えば、ノボラックなど)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、セルロース類(例えば、酢酸セルロースやニトロセルロースなど)などが挙げられる。または、コポリマー(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体など)、さらには前記プラスチックをブレンドしたものも挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
プラスチックを基板材料に用いると貫通孔の形成が容易となり好ましいが、光の減衰が生じ難い場合もある。そこで、光をより一層減衰させるために、プラスチックに、金属酸化物粒子やガラス繊維などの粒子を充填して、これらをプラスチック内部に分散させることが好ましい。金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化銅などがあげられるが、必ずしもこれらに限定されない。
貫通孔12の形成方法は、パンチング法、放電パルス法、食刻技術法(フォトリソグラフィー法),電解エッチング法,エキシマレーザー及びYAGレーザーなどのレーザーを基板に照射する方法などがあるがこれらに限定されるものではない。これら各形成方法は、基板の材料等に応じて適宜選択される。
貫通孔12の密度を高めるために、貫通孔の開口部の面積は、5mm2 未満であることが好ましく、より好ましくは1mm2 未満であり、0.3mm2 未満がより好ましく、0.01mm2 未満がさらに好ましい。そして、最も好ましくは0.001mm2 以上である。また、貫通孔の孔形状を略円形とした場合には、その直径が、200μm〜300μmであることが好ましい。
貫通孔12の配列ピッチ(隣接する二つの孔の中心から中心までの距離)Pは、50μm〜3000μmの範囲が好ましく、隣接する2つの貫通孔12の端部から端部までの距離Lは、10μm〜1500μmの範囲とすることが好ましい。また、貫通孔12の密度は、10個/cm2 以上が好ましく、100個/cm2 以上がより好ましく、さらに好ましくは500個/cm2 以上、さらに最も好ましくは1000個/cm2 以上10000個/cm2 以下の範囲である。
貫通孔12が形成された基板11には、洗浄効果を高めるために、表面処理が施される。基板11の材料に金属,合金(例えば、ステンレス鋼など)を用いた際には、コロナ放電,プラズマ放電または陽極酸化法などの少なくともいずれかの方法により表面処理が施される。この表面処理によって基板11には、表面処理層が形成されるが、この表面処理層は、カルボニル基,カルボキシル基などの極性基が導入され、親水性である金属酸化膜の層となる。
表面処理が施された後、基板11のメンブレン13が圧入される面に接着剤が塗布される。なお、接着剤を塗工する方法は、特に限定されるものではないが、ロール塗布,ワイヤーバー塗布,ディップ塗布,ブレード塗布,エアナイフ塗布などにより行なうことができる。接着剤には、スチレンブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。なお、余剰の接着剤は、ブレードにより掻き落としたり、レーザー光の照射により熱分解させて除去する方法などにより行なうことが後の工程で不純物の発生を防止するために好ましい。なお、本発明において、基板の表面処理、接着剤の塗工の工程は省略することもできる。
接着剤が塗布された後、貫通孔12にメンブレン13が圧入される。メンブレン13には、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。また、多孔質材料と繊維材料とを併用して用いることもできる。本発明において用いられるメンブレン13は、多孔質材料(有機,無機,有機/無機)、繊維材料(有機,無機)のいずれでもよく、それらを混合して用いても良い。メンブレン13の厚さは特に限定されないが、100μm〜200μm(0.10mm〜0.20mm)の範囲のものを用いることが好ましい。また、体積空隙率Cが、10%〜90%の範囲のものを用いることが好ましく、空隙を構成する微細孔の平均孔径は0.1μm〜50μmの範囲にあるものを用いることが好ましい。体積空隙率Cは、吸着性材料の見掛け体積に対する無数の孔の体積和の百分率で示される。
有機多孔質材料は、特に限定されるものではないが、ポリマーを用いることが好ましい。ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、ニトロセルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなど)、脂肪族ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10など)、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、含塩素ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、フッ素樹脂類(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなど)、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなど)、コラーゲンなどがあげられ、これらポリマーの共重合体や複合体(混合体)も用いることができる。なお、本発明においては、多孔質としたナイロンを用いることが吸水性の点から好ましい。
無機多孔質材料も、特に限定されるものではないが、好ましくは、金属(例えば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなど)、金属等の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなど)、金属塩(例えば、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)及びこれらの複合体などが挙げられる。また、活性炭などの炭素多孔質材料も好ましく用いられる。
また、有機繊維材料,無機繊維材料も特に限定されるものではない。例えば、前記セルロース誘導体類、脂肪族ポリアミド類などの有機繊維材料や、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維材料を用いることができる。また、メンブレン13の強度を高めるため、多孔質材料を溶解する溶媒に不溶な繊維材料を混合させても良い。
メンブレン13の圧入は、基板11とメンブレン13とを重ね合わせた状態で上下からプレス板により間欠的にプレスすることによって行われる。なお、メンブレン13に有機多孔質材料及び/または有機繊維材料を用いているときには、プレス板を加熱して、これを基板11に浸透させることで基板11の温度を上げる。これにより、メンブレン13が軟化して押込みが容易となる。また、プレス板の代わりにローラを用いてもよい。こうして、貫通孔12にメンブレン13が押し込まれることによりスポット領域14が形成される。
複数のスポット領域14が配列されたフロースルーエリア41は略矩形をしており、各スポット領域14は、所定の数毎に、輪郭が略矩形のブロック単位で規則的に区画されている。基板11のサイズは、例えば、縦が70mmで、横が90mmである。各ブロック42のサイズは、例えば、約4mm四方である。これらのブロック42は、マトリックス状に配列されており、その数は、例えば、縦が12個で横が16個である。これらブロックのサイズ及び数,各スポット領域14のサイズ及び配列ピッチなどのフロースルーエリアの仕様は、CCDイメージセンサ32の仕様と対応するように決定される。符号44は、生化学解析用ユニット10をカートリッジ28に取り付ける際の位置決め穴である。なお、本例では、各スポット領域14をブロック単位で区画しているが、こうした区画はしなくてもよく、例えば、フロースルーエリア41全域に渡って、各スポット領域14を同じピッチで配列してもよい。
図3は、カートリッジ28と、それが装填された状態のリアクタ本体22の断面図であり、図4及び図5は、カートリッジ28及びリアクタ本体22のそれぞれの分解斜視図である。図3及び図4に示すように、カートリッジ28は、上半部51及び下半部52とからなるカートリッジ本体53と、これと一体化されたフイルタユニット54とからなる。上半部51及び下半部52には、それぞれ略四角錐形の上ハウジング51a及び下ハウジング52aが形成されており、これらを組み合わせることで、断面が略菱形のチャンバー29が構成される。上半部51及び下半部52は、例えば、透明なプラスチックで形成されており、外部からチャンバー29内の様子を確認できるようになっている。
また、上半部51には、チャンバー29から前記反応溶液を排出する排出口51bと、この排出口51bから延びる排出路51cが形成されている。下半部52には、チャンバー29へ反応溶液を注入する注入口52bが形成されるとともに、前記排出路51cとリアクタ本体22に形成された排出路22bとを接続する接続路52cが形成されている。
下半部52には、ハウジング52aの四隅に位置決めピンが設けられており、このピンを位置決め穴44に挿通させることによって生化学解析用ユニット10の位置決めが行われる。生化学解析用ユニット10を位置決めした状態で、その上から上半部52を被せると、生化学解析用ユニット10が、上下の各ハウジング51a,52aに挟まれてチャンバー29に収容される。各ハウジング51a,52aの周縁には、生化学解析用ユニット10のフロースルーエリア41を取り囲むように矩形枠形状をしたパッキン56a,56bがそれぞれ取り付けられる。これらのパッキン56a,56bによって、生化学解析用ユニット10と、上半部51及び下半部52とのそれぞれの隙間が埋められて、チャンバー29が密閉される。また、排出路51cと接続路52cの間には、接続部分を密閉するために、パッキンとしてゴム製のOリング57が取り付けられる。こうして生化学解析用ユニット10を収容した上半部51及び下半部52は、断面が略コの字形の2つの留め金58(図4及び図5参照)によって両側から挟み込まれて固定される。
フイルタユニット54は、フイルタ61,フイルタケース62,保持部材63からなる。フイルタ61は、注入口52bと供給路22aの間に配置され、供給された反応溶液を濾過して該溶液中の未溶解物や析出物などの異物を排除する。フイルタ61は、その素材として、例えば、メンブレン13を使用しており、これを略円板状に成形したものである。
フイルタケース62は、例えば、フイルタ61を収納する収納部64aが形成されたケース本体64と、前記収納部64aに嵌合してフイルタ61を覆う蓋65とからなる。ケース本体64と蓋65には、フイルタ61の上下に隙間が空くように、フイルタ61と対面する部分にハウジングが形成されている。ケース本体64に蓋65が取り付けられると、これらのハウジングがフイルタ61を挟んで対面することによってチャンバー66が形成される。このチャンバー66を設けることにより、供給された反応溶液がフイルタ61の全面に行き渡るようにしている。チャンバー66は、ケース本体64に形成された接続路を介して供給路22aと接続され、蓋65に形成された開口を介して注入口52bと接続される。フイルタケース62と、注入口52b及び供給路22aのそれぞれが接続する部分には、流路を密閉するためのOリング57が取り付けられる。
保持部材63は、フイルタケース62を保持してカートリッジ本体53に固定するための部材である。保持部材63には、フイルタケース62を収納する収納部63aと、ネジ67を挿通させるネジ穴63bが形成されている。保持部材63は、収納部63aにフイルタケース62を収納した状態で、ネジ67によってカートリッジ本体53に取り付けられる。こうしてカートリッジ本体53とフイルタ61とが一体化されて、カートリッジ28が組み立てられる。
リアクタ本体22は、本体基部71と上蓋72とからなる。供給路22a及び排出路22aとは本体基部71に設けられている。本体基部71の側面には、供給路22aの入口と排出路22aの出口が形成されており、これらがそれぞれ循環パイプ23に接続される。本体基部71の上面には、カートリッジ28が装填される装填部71aが形成されている。装填部71aは、カートリッジ28の外形に合わせて象られている。装填部71aの底面には、供給路22aの出口と排出路22bの入口が設けられており、それぞれは、カートリッジ28が装填されたときに、供給路22aが注入口52bへ接続するフイルタユニット54と接続され、排出路22bが接続路52cと接続されるように配置されている。これら供給路22aの出口と排出路22bの入口には、Oリング57が取り付けられる。
上蓋72は、装填されたカートリッジ28を覆うように本体基部71の上方に被せられる。この状態で、上蓋72と本体基部71とは図示しない圧着機構によって圧着される。これにより、装填部71a内のカートリッジ28の上半部51及び下半部52が上下から締め付けられて、チャンバー29や、各流路の接続部分の密閉性が確保される。
以下、上記構成による作用を説明する。スポッティング工程において、生化学解析用ユニット10の各スポット領域14には、異なる種類のプローブが点着して固定化される。この生化学解析用ユニット10は、フイルタユニット54が一体化されたカートリッジ28に収納され、このカートリッジ28の形態で特異的結合反応工程に送られる。
特異的結合反応工程では、まず、カートリッジ28をリアクタ本体22に装填する。カートリッジ28にはフイルタユニット54が一体化されているから、この装填作業により、生化学解析用ユニット10とフイルタ61とが同時にリアクタ本体22にセットされる。このため、フイルタ61の装填不良や装填忘れなどの装填ミスが防止される。
カートリッジ28を装填した後、バルブ25を開いて、タンク26から反応溶液をチャンバー29へ供給する。反応溶液は、循環パイプ23及び供給路22aを通り、フイルタユニット54へ進入する。反応溶液は、フイルタ61によって濾過された後、チャンバー29へ供給される。チャンバー29及び循環経路内を反応溶液で満たしエアーを抜いた状態で、バルブ25を閉じる。
この状態で、ポンプ24を駆動すると、反応溶液が加圧された状態で循環経路内を循環する。フイルタ61は、供給路22aとチャンバー29の間に配置されているから、チャンバー29へは、フイルタ61によって濾過された後の反応溶液が供給される。このため、生化学解析用ユニット10の目詰まりの発生も抑制される。
こうした反応溶液の流動により、ターゲットと相補的な関係を有するプローブが固定化されたスポット領域14においては、特異的結合反応が生じる。他方、ターゲットと相補的な関係に無いプローブが固定化されたスポット領域14においては、特異的結合反応が生じない。
特異的結合反応工程が終了すると、バルブ25が開かれて循環経路内の反応溶液が排出漕27へ排出される。この後、循環経路内に洗浄液が注入されて洗浄が行われる。洗浄後、化学発光反応工程を経て、カートリッジ28がリアクタ21から取り外される。カートリッジ28を取り外すと、生化学解析用ユニット10とともにフイルタ61も取り外されるので、次回の実験の際に、フイルタ61を交換し忘れてしまうこともない。また、フイルタと生化学解析用ユニットを別々に交換する場合と比較して作業の手間も少ない。
リアクタ21から取り外されたカートリッジ28は、データ読み取り工程に送られる。データ読み取り工程では、カートリッジ28から生化学解析ユニット10を取り出して、検出装置31によってデータ読み取りが行われる。このデータ読み取り工程では、標識物質である化学発光物質を発光させて、その光を検出装置31によって読み取る。特異的結合反応が生じたスポット領域14には化学発光物質が残留しているから、特異的結合反応が生じたスポット領域14は発光し、特異的結合反応が生じないスポット領域14は発光しない。この光の有無を検出装置31によって検出することで、生化学解析用データが読み取られる。フイルタ61を設けたことにより、反応溶液中の未溶解物や析出物が取り除かれるので、ノイズの少ない解析データが得られる。
上記実施形態では、カートリッジ本体へのフイルタユニットの固定方法としてネジ止めを使用している。こうすれば、ネジを外すだけでフイルタを交換することができるので、カートリッジのうちフイルタだけを交換する必要が生じた場合でも、柔軟に対応することができる。もちろん、フイルタ交換の容易性を考慮しないのであれば、例えば、接着剤を使用して、フイルタケースをカートリッジ本体に固定してもよい。また、フイルタをカートリッジ本体とは別体のフイルタケースに収納している例で説明しているが、フイルタケースを使用なくてもよく、カートリッジ本体にフイルタ収納部を形成し、そこにフイルタを収納するようにしてもよい。
生化学解析用ユニットを使用した生化学解析方法の全体工程を示すフローチャートである。 生化学解析用ユニットの平面図である。 カートリッジ及びリアクタ本体の断面図である。 カートリッジの分解斜視図である。 リアクタ本体の分解斜視図である。
符号の説明
10 生化学解析用ユニット
21 リアクタ
22 リアクタ本体
28 カートリッジ
53 カートリッジ本体
54 フイルタユニット
61 フイルタ
62 フイルタケース
64 保持部材

Claims (2)

  1. 基板上に試薬となるプローブが固定化されたスポット領域が複数個配列されたフロースルータイプの生化学解析用ユニットを収容するチャンバーを備え、前記チャンバーへ検体となるターゲットを含む反応溶液を供給するリアクタに、着脱自在に装填される生化学解析用カートリッジにおいて、
    前記チャンバーへ供給される前記反応溶液を濾過するフイルタをカートリッジ本体と一体化したことを特徴とする生化学解析用カートリッジ。
  2. 前記フイルタは、前記カートリッジ本体とは別体のフイルタケースに収納されており、このフイルタケースが前記カートリッジ本体に固定されることによって、前記カートリッジ本体と一体化されることを特徴とする請求項1記載の生化学解析用カートリッジ。
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