JP2005106205A - 転がり軸受の保持器 - Google Patents

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Yasuyuki Shimizu
康之 清水
Koji Ueda
光司 植田
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Abstract

【課題】過酷な条件下であっても良好な耐摩耗性が得られる保持器を提供する。
【解決手段】SPPC製の冷間圧延鋼板を用いてプレス成形法により形成された保持器に窒化処理を行って、表面に窒化物層2を形成する。次に、この保持器に酸化処理を行って、前記窒化物層の外側に、Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層1を形成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、転がり軸受の保持器に関する。
従来より、高負荷がかかる転がり軸受用の保持器としては、強度に優れた高力黄銅製のもみ抜き保持器が使用されている。この保持器は、自己潤滑性を有するため摺動性および耐摩耗性に優れるが、材料コストが高いとともに、加工費も高く、歩留まりも低いため、特殊な用途にのみ使用されている。
これに対して、SPCCに代表される冷間圧延鋼板やSPDHに代表される熱間圧延鋼板を、プレスにより所定形状に加工して形成されるプレス保持器は、高力黄銅製のもみ抜き保持器と比較して、コストの点で有利であるが、摺動性および耐摩耗性の点では劣っている。そのため、窒化処理を施して保持器の表面に硬質な窒化物層を形成することにより、プレス保持器の摺動性および耐摩耗性を向上させることが行われている。
一般に、SPCCやSPDH等の低炭素鋼(炭素含有率0.25重量%以下の鉄鋼材料)からなる鉄鋼部材に窒化処理を施すと、鉄鋼部材の表面で鉄および合金成分と窒素が反応し、窒素原子が鉄鋼部材の中に拡散して、表面に窒化物層(窒素と鉄および合金成分との化合物からなる層)が形成される。この窒化物層に含まれる窒化鉄は、部材の表面側に向かうにつれて窒素濃度が高い相になっている。すなわち、窒化物層は、最も内側の母材との境界付近から最表面に向かって、γ’相(Fe4 N)、ε相(Fe2`3 N)、ζ相(Fe2 N)の順に変化する。
そして、従来のプレス保持器で行われている窒化処理(タフトライド法およびガス軟窒化法)では、550〜600℃の高温で窒化処理が行われるため、窒化物層表面のε相およびζ相は多孔質構造になり易い。ここで、タフトライド法は、シアン化ナトリウムとシアン酸ナトリウムとの混合塩浴中に保持器を浸漬して、550〜600℃で1〜3時間加熱処理する方法である。ガス軟窒化法は、RXガスとアンモニアガスとの混合ガス中に、550〜600℃で0.3〜5時間保持する方法である。
下記の特許文献1には、窒化物層(化合物層)により安定した耐摩耗性を確保するために、母材側の緻密層と表面側の多孔質層の厚さを特定することが記載されている。すなわち、多孔質層の厚さを、油溜まりとして好適に機能する範囲に特定し、緻密層の厚さを摩耗量が少なくなる範囲に特定することにより、保持器の耐摩耗性を改善している。
また、この多孔質層を酸化して緻密な酸化層を表面に設けることにより、更なる耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることも記載されている。そして、この酸化層の酸素含有率を所定範囲に限定することで、Fe3 4 相を主成分としてFe2 3 相を含まない酸化層を設けるようにしている。
特開2001−90734号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の酸化層と窒化物層を備えた保持器には、高荷重および高速回転の過酷な条件下での耐摩耗性の点で、更なる改善の余地がある。
なお、耐摩耗性を更に改善する方法として、窒化物層全体を硬質にする方法も挙げられる。そのためには、ガス軟窒化法や塩浴窒化法を従来より低温で行うか、イオン窒化法(例えば、窒素と水素の混合ガス雰囲気で、保持器を陰極、処理炉の内壁を陽極として、550℃程度の温度で10時間程度グロー放電する方法)を行う必要がある。
これらの方法では、窒化処理にかかる材料コストまたは時間が掛かるため、製造コストが上昇する。また、表面を硬質な窒化物層とすると、表面で潤滑油を保持する機能が得られなくなる。
本発明は、鉄鋼材料を用いて所定形状に加工した後、窒化処理を行うことにより表面に窒化物層が形成された保持器に関し、この保持器の過酷な条件下での耐摩耗性を、製造コストを上昇させない方法で改善することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、鉄鋼材料を用いて所定形状に加工した後、窒化処理を行うことにより表面に窒化物層が形成された保持器において、窒化処理後に酸化処理を行うことで、前記窒化物層の外側に、Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層が形成されていることを特徴とする保持器を提供する。すなわち、この保持器は、最表面に前記混合相からなる酸化層を有し、その直下に窒化物層を有する。
本発明の保持器によれば、窒化物層の外側に、Fe2 3 相を積極的に含有させた「Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層」を設けることにより、「Fe3 4 相を主成分としてFe2 3 相を含まない酸化層」を設けた場合よりも、耐摩耗性が向上する。
「Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層」は、空気中等の酸化雰囲気で、300〜500℃に30分〜5時間保持する熱処理を行うことにより形成することができるため、前述の特許文献1の方法と比較して製造コストが上昇しない。
本発明の保持器において、前記窒化物層が、480℃〜520℃に保持されたアルカリ金属塩からなる塩浴に1〜2時間浸漬した後に水冷する塩浴窒化法で形成されたものである場合には、前記酸化層の厚さの前記窒化物層に対する厚さの比が0.03以上1.0以下とすることにより、耐摩耗性が特に高くなる。
本発明の保持器によれば、過酷な条件下であっても良好な耐摩耗性が得られる。また、この保持器は、窒化物層全体を硬質にする方法と比較して低いコストで製造できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
先ず、SPPC製の冷間圧延鋼板を用いて、自動調心ころ軸受(JIS呼び番号22211)用の保持器をプレス成形法により作製した。次に、下記の表1に示す各条件で窒化処理と酸化処理を行うことにより、各保持器の表面に窒化物層と酸化層を形成した。
なお、塩浴窒化(1)では、シアン化ナトリウムとシアン酸ナトリウムとの混合組成の塩浴を、塩浴窒化(2)では、アルカリ金属塩からなる塩浴を使用した。
次に、得られた各保持器を用いて自動調心ころ軸受を組み立て、荷重:15415N、潤滑:グリース潤滑、回転速度:6750min-1、温度:25℃の条件で、48時間、軸受を回転させる試験を行った。試験前後に保持器の重量を測定し、重量減少量を摩耗量として算出した。そして、各サンプルの摩耗量をNo. 1の摩耗量で除算することにより、No. 1の値を「1」とした相対値を算出した。
得られた各保持器について、保持器の柱を切断し、切断面を研磨して、研磨面を走査型電子顕微鏡で観察した。また、この電子顕微鏡像から保持器の表面に形成された窒化物層と酸化層の厚さを測定した。また、最表面に形成された酸化層の酸化鉄の結晶構造を、CoKα線を用いたX線回折装置により調べた。なお、酸化層の厚さは数μm以下であったため、結晶構造の同定は薄膜X線回折法で行った。
これらの結果を下記の表1に示す。
また、前記研磨面の電子顕微鏡写真の一例(No. 21)を図1に示す。この写真から、保持器の最表面に酸化層1が形成され、その直下に窒化物層2が形成されていることが分かる。
また、No. 21の保持器の断面を模式図で示すと図2のようになる。すなわち、この保持器は、表面側から順に、Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層1、窒化物層2、SPPCに窒素原子が拡散している拡散層3、母材(SPPCからなる部分)4となっている。なお、窒化物層2は、拡散層3側の下層21と酸化層1側の上層22とで異なる相になっており、上層22には空孔23が含まれている。
また、図3に示すように、窒化物層の厚さに対する酸化層の厚さの比を横軸とし、摩耗量比(No. 1を「1」とした相対値)を縦軸としたグラフに、No. 1〜26の結果をプロットした。
このグラフから、窒化物層に耐する酸化物層の厚さの比が小さすぎても大き過ぎても摩耗量は大きくなり、前記比には適正な範囲があることが分かる。また、窒化処理が塩浴窒化(2)である場合には、前記比が0.03以上1.0以下の範囲(図3の「A」)であると、耐摩耗性が特に高くなることが分かる。
また、Fe3 4 相のみからなる酸化層が形成されていたNo. 25と26は、前記比が図3のAの範囲である他のデータと比較して、摩耗量が大きくなっている。なお、酸化処理を行ったサンプルのうちNo. 25と26以外のサンプルには、Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層が形成されていた。このことから、酸化層を「Fe3 4 相のみからなるもの」でなく「Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなるもの」にすることで、耐摩耗性が高くなることが分かる。
なお、この実施形態では、自動調心ころ軸受の保持器について試験を行っているが、その他の転がり軸受(玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受等)の保持器でも同様の効果が得られる。
実施形態で得られた保持器の断面を示す電子顕微鏡写真である。 実施形態で得られた保持器の断面を示す模式図である。 実施形態で行った試験で得られた、窒化物層の厚さに対する酸化層の厚さの比と、摩耗量比(No. 1を「1」とした相対値)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 酸化層
2 窒化物層
3 拡散層
4 母材

Claims (2)

  1. 鉄鋼材料を用いて所定形状に加工した後、窒化処理を行うことにより表面に窒化物層が形成された保持器において、
    窒化処理後に酸化処理を行うことで、前記窒化物層の外側に、Fe2 3 とFe3 4 との混合相からなる酸化層が形成されていることを特徴とする保持器。
  2. 前記窒化物層は、480℃〜520℃に保持されたアルカリ金属塩からなる塩浴に1〜2時間浸漬した後に水冷する塩浴窒化法で形成されたものであり、
    前記酸化層の厚さの前記窒化物層に対する厚さの比が0.03以上1.0以下である請求項1記載の保持器。
JP2003341354A 2003-09-30 2003-09-30 転がり軸受の保持器 Pending JP2005106205A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009109018A (ja) * 2008-12-09 2009-05-21 Ntn Corp 転がり軸受
JP2009162217A (ja) * 2008-01-03 2009-07-23 Kingtec Korea Co Ltd 圧縮機の斜板及びその製造方法
US8182155B2 (en) 2005-09-02 2012-05-22 Ntn Corporation Lubricating grease and lubricating grease-enclosed roller bearing

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