JP2005105226A - インクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法 - Google Patents

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賢一 大久保
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、長期色変動安定性に優れ、出射安定性が向上したインクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法を提供することである。
【解決手段】 少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいて、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、下記式(1)と式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とするインクジェット用分散染料インク。
式(1)
A<520nm
式(2)
|H−A|>15nm
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法に関すし、詳しくは、インクジェット方式により布帛を捺染する捺染用のインクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法に関する。
インクジェット方式による画像の印刷方法は、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドより飛翔させ、対象となる記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式は、その機構が比較的簡便で、安価であり、かつ高精細で高品位な画像を形成できることが利点である。
このインクジェット方式の利点を生かして、布帛への画像印字、いわゆるインクジェット捺染についても開発が進められている。インクジェット捺染は、従来の捺染方式とは異なり、以下の様な利点を有している。
1.高価な彫刻ロールやスクリーン型が不要になり、型製作に要する時間が不要
2.CADシステムと連動させることができるので、デザインの保管が容易
3.図柄に制限が無く、自由に再現できる
4.図柄や配色の変更が容易で、ユーザーの要望に即座に対応可能
5.従来の染色で使用されていて、実績のある染料を使用できる
6.受注後、直ちに印捺作業に取りかかれるため、短期間での生産が可能
等の利点がある。
また、インクジェット方式により布帛に図柄を形成するとき、色の濃度を出すため、あるいは滲みを防止する目的で、印字前に布帛を撥水剤や捺染糊等による前処理を行い、布帛表面にインクを止める方法が用いられる。しかしながら、この前処理は、インクジェット印字工程とは別の工程が必要となり、処理時間の延長、あるいは新たな工程を設けることによるコスト増の要因となっている。
インクジェット捺染方式においては、例えば、ポリエステル等の合成繊維の染色に対して、一般に分散染料が用いられているが、インクジェット捺染用のインクとしてこの分散染料を用いる場合には、従来の捺染用の染料の重要な選択基準である色調、耐光性等の性能の他に、100nm程度の微細な染料粒子とするための分散適性、記録ヘッドにおけるノズル目詰まり耐性、インク溶媒中での保存安定性等の特性も要求されるため、それらに用いることのできる染料として制限を受けることととなる。
また、1色毎に版を用いて染色する方法とは異なり、インクジェット捺染方式では各色のインクをほぼ同時に布帛上に印字するため、各色インクの布帛への浸透性のバランスも重要な要素となってくる。更には、多色同時印字を行う場合には、各色インクで用いる染料の耐光性バランスも重要な因子であり、各色インクで用いる色材の選択が非常に難しいのが現状である。
インクジェット用インクの記録ヘッドにおけるノズル目詰まり耐性、インク溶媒中での保存安定性を改良する方法として、インクジェット記録用水性分散インクの製造条件(水洗精製工程、着色剤濃厚分散液の調製工程、インク化分散液の調製工程、工程超音波照射処理等)を特定条件に規定することにより、長時間経過後においてもノズル詰まりが生じることのない極めて安定なインクジェット記録用水性分散インクの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、インクジェット記録用水性分散インクの色変動に関しては一切言及がなされておらず、また保存安定性を実現するためには、色剤の選択も重要な因子であり、これらに関する示唆は一切なされていない。
また、熱または酸若しくはアルカリの作用で開裂可能な結合により分散染料に親水性セグメントと疎水性セグメントを有するブロックコポリマーが結合した分散染料を用いたインクにより、分散安定性に優れ、長期保存性、環境安定性が良好であるとともに、連続吐出中のフィルター、ノズルの目詰まりがなく、発色・染着性にも優れたインクジェット捺染用の分散染料インクが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、インクジェット記録用水性分散インクの色変動に関しては一切言及がなされておらず、また保存安定性を実現するためには、上記提案されている方法だけでは不十分であることが判明した。
また、インクジェット捺染用インクとして、水に不溶または難溶性の分散染料及び水から成り、分散染料が粒径0.1〜2.0μmで分散されていると共に、1μm以下の粒子の占有率が85〜99体積%であり、積算体積90%での粒子径が0.1〜0.8μmであるインクジェット捺染用インクにより、ノズル目詰まり等を生じることがなく、かつ高濃度の捺染を可能にするインクジェット捺染用インクが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法には、分散染料の最大粒径に関する規定は一切なく、また保存安定性を実現するためには、上記提案されている方法だけでは不十分であることが判明した。
特開平11−228892号公報 特開2000−297236号公報 特開平6−145568号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、長期色変動安定性に優れ、かつ出射安定性が向上したインクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいて、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、下記式(1)と式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とするインクジェット用分散染料インク。
式(1)
A<520nm
式(2)
|H−A|>15nm
(請求項2)
前記|H−A|が20nmを超えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項3)
前記アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)との差(H−A)が、−15nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項4)
前記差(H−A)が、−20nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項5)
少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいて、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、下記式(3)と前記式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とするインクジェット用分散染料インク。
式(3)
A≧520nm
(請求項6)
前記|H−A|が20nmを超えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項7)
前記アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)との差(H−A)が、15nmを超えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項8)
前記差(H−A)が、20nmを超えることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項9)
前記分散染料のレーザー散乱粒径測定器により測定した平均粒径が、100nm以上、250nm未満であり、かつ最大粒径が400nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項10)
前記分散染料のレーザー散乱粒径測定器により測定した平均粒径が、100nm以上、200nm未満であり、かつ最大粒径が300nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インク。
(請求項11)
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インクを、布帛に付与して捺染を行うことを特徴とするインクジェット捺染方法。
本発明によれば、長期色変動安定性に優れ、かつ出射安定性が向上したインクジェット用分散染料インクとそれを用いたインクジェット捺染方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいては、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、前記式(1)と前記式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とする
本発明でいう極大吸収波長とは、インクジェット用分散染料インク(以下、単にインクともいう)をそれぞれの溶媒で希釈した時の吸光度が極大値を示す波長を指す。染料によっては二つ以上の極大値を示す場合があるが、本発明においては、より高い吸光度を示す波長を極大吸収波長として扱うこととする。
本発明者らは、水希釈時で、分散染料が分散状態で存在している時の極大吸収波長Hが、アセトン希釈時で、分散染料が溶解状態で存在している時の極大吸収波長Aに対して、絶対値で15nm以上シフトするようにインクを設計することによって、長期色変動性が少ない安定なインクが得られることを見出した。このシフト幅は、好ましくは20nm以上である。また、アセトン希釈時の極大吸収波長Aが520nm未満の場合は、水希釈時に短波側へ、アセトン希釈時の極大吸収波長Aが520nm以上の場合は水希釈時に長波側へシフトすることがより好ましい。
このようなインクは、染料の選択、結晶構造の改質などにより、使用する色材を適切なものとすることによって得ることができる。簡便に色材を選択する方法として、候補となる染料を、界面活性剤、水とともにペイントシェーカーで分散し、得られた仮の分散液のスペクトルを測定する等の手段が挙げられる。
上記極大吸収波長の測定方法としては、特に制限はなく、従来公知の測定機器を用いることができ、例えば、島津製作所社製の分光光度計UVIDFC−610、日立製作所社製の330型自記分光光度計、U−3210型自記分光光度計、U−3410型自記分光光度計、U−4000型自記分光光度計、ミノルタ社製CM−2022分光測色計等を用いて、吸光度スペクトルを作成し、極大吸収波長を測定することができる。
極大吸収波長のシフトが、長期色変動性に関与する原因については定かではないが、染料の会合状態が影響しているものと推測している。インクの分光吸収測定において、アセトン希釈時には染料の溶解状態のスペクトルが、水希釈時には染料の分散状態のスペクトルが測定されるものと考えられる。溶解状態、すなわち溶液中において、染料は溶媒に単一分子で拡散した状態となり、そのスペクトルも基本的に単一分子の性質を反映したものとなる。一方、染料が固体状態にある場合、特定の配向をもった結晶となり、隣接分子との相互作用によって、そのスペクトルが単一分子の場合と異なる挙動を示すことがある。このように固体状態において、会合してスペクトル形状の変化や極大吸収波長のシフトを示す化合物は、結晶内の分子間相互作用が強固であるものと考えられる。インク中には有機溶媒、界面活性剤が存在しており、染料の結晶の変質、再溶解、凝集、沈降等を引き起こして、長期保存時の色変動の一因となることがある。本発明においては、分子間相互作用の強固な染料、すなわち一定以上のスペクトル変化を示す染料を選択することによって、この問題が回避できたものと考えられる。以上の推論に基づき、長期色変動性の少ない安定なインクが得られたと推測されるが、本発明はこの推論に何ら限定されるものでは無い。
本発明のインクにおいては、含有される分散染料粒子の平均粒径が、100nm以上、250nm未満であることが好ましく、より好ましくは100nm以上、200nm未満である。また、最大粒径については、好ましくは400nm未満であり、300nm未満であることが更に好ましい。分散染料の平均粒径の測定は、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
平均粒径及び最大粒径をを上記で規定する範囲とすることにより、本発明の効果がより顕著となるだけでなく、出射安定性が良好なインクを得ることができる。平均粒径をこの範囲よりも小さくするのは、多くの分散エネルギーを必要とするため実用上困難となるばかりか、分散染料粒子の分子間相互作用が弱くなることが予測され、本発明の効果が不十分になると考えられる。また、平均粒径や最大粒径が前述の範囲よりも大きい場合には、インクの出射においてサテライトや枝分かれ、飛翔状態が不安定になる、といった現象が生じやすい。特開平6−145568号、特開平9−291235号において、染料粒子の粒径を特定の範囲とすることにより、目詰まり、吐出安定性が良好になるという記載があるが、インクの飛翔状態を安定化するまでには至らず、本発明のように400nm以上の粗大粒子を実質的に無くすことが重要である。粒径分布をこの範囲に制御する方法としては、分散時間、分散メディアのサイズ、といった分散条件を調整する方法、遠心分離、ろ過により粗大粒子を除去する方法などが挙げられる。
次いで、本発明のインクジェット用分散染料インクの詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクで用いる分散染料について説明する。
本発明で用いることのできる分散染料の一例を以下に列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
C.I.Disperse Yellow:3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
C.I.Disperse Orange:1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
C.I.Disperse Red:1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
C.I.Disperse Violet:1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
C.I.Disperse Green:9、
C.I.Disperse Brown:1、2、4、9、13、19、
C.I.Disperse Blue:3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
C.I.Disperse Black:1、3、10、24等が挙げられる。
また、本発明のインクにおいては、少なくとも1色のインクが、同色で分散染料含有量が異なる2つのインク、いわゆる濃淡インクから構成することもできる。本発明においては、広い濃度範囲にわたって連続的かつなめらかに変化する階調性を表現するために、同色で分散染料濃度が異なる2つのインク間の色材濃度比(濃色インク/淡色インク)は2.0〜10が好ましい。
本発明に係る分散染料は、公知の分散剤を用いて分散される。
本発明で用いられる分散剤としては、例えば、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物(例えば、デモールC)、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、β−ナフタリンスルホン酸ナトリウム(例えば、デモールN)とβ−ナフトールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩(例えば、バニレックスRN)等が挙げられるが、本発明のインクセットにおいては、特に、リグニンスルホン酸塩(例えば、バニレックスRN)等を用いることが、高い分散度と安定性が得られる観点から好ましい。
分散剤の使用量は、分散染料に対して、20〜200質量%が好ましい。分散剤が少ないと、微粒子化や分散安定性が劣り、分散剤が多いと、微粒子化や分散安定性が劣り、粘度が高くなり好ましくない。
これらの分散剤は単独で使用してもよいが、併用しても良い。
また、本発明に係る分散染料の分散の際に、湿潤剤を併せて用いることが好ましく、好ましい湿潤剤とは、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、2−エチルへキシルスルホ琥珀酸ソーダ、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、フェノールの酸化エチレン付加物、アセチレンジオールの酸化エチレン付加物等である。
使用する分散染料の構造により、分散中に、発泡したり、ゲル化したり、流動性が悪くなることが有るので、分散剤や湿潤剤は、湿潤能力や微粒子化能力や分散安定性の他、分散時の発泡、分散液のゲル化、分散液の流動性等を考慮して選定する必要がある。ただし、上記の要求を全て満たす分散剤は無いので、分散する染料に合わせて、最適な分散剤を選定して、必要に応じて、消泡剤等を添加する必要がある。
本発明に用いられる分散染料は、分散剤を用いて、公知の方法に従って分散することができ、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。
次いで、本発明で用いられる水溶性有機溶剤について説明する。
本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶剤としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが、特に好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶剤のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
本発明のインクセットにおいては、上記説明した各構成要素の他に、各種添加剤を用いることができる。
添加剤としては、公知の無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、ヒドロトロープ剤、分散剤、均染剤、濃染剤等を必要に応じて添加することができる。
インクの粘度や染料を安定に保つため発色をよくするために、インク中に無機塩を添加することもできる。無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することができ好ましい。
インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などが挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
次いで、本発明のインクジェット捺染方法の詳細について説明する。
本発明のインクジェット捺染方法は、上記説明した本発明のインクジェット用分散染料インクを、布帛に付与して捺染を行う。
本発明のインクジェット捺染方法において使用する布帛を構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するものであれば、特に制限はないが、中でも、ポリエステル、アセテート、トリアセテート等の繊維を含有するものが好ましい。その中でも、少なくともポリエステル繊維が含有されている布帛が特に好ましい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。又、本発明で使用し得る布帛としては、分散染料で染色可能な繊維が100%であることが好適であるが、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、羊毛及び絹等との混紡織布又は混紡不織布等も捺染用布帛として使用することができる。又、上記の様な布帛を構成する糸の太さとしては、10〜100dの範囲が好ましい。
本発明のインクジェット捺染方法においては、均一な染色物を得るために、水溶性高分子類を布帛に前処理する前に、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素等)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留分(のり剤等)、よごれなどを洗浄しておくことが望ましい。洗浄に用いられる洗浄剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムといったアルカリ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤といった界面活性剤、酵素等が用いられる。
本発明のインクジェット捺染方法の場合、インクを布帛上でにじませずに鮮明な画像を得ることが重要な技術である。にじみ防止の技術としては、水溶性高分子類を布帛に前処理するなどの公知の方法から繊維素材やインクに適した方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
本発明のインクでは、水溶性金属塩、ポリカチオン化合物、水溶性高分子、界面活性剤及び撥水剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が、0.2〜50質量%付与された布帛に対して使用すれば、高度な滲み防止が可能であり、高精細な画像を布帛にプリントすることができ好ましい。
水溶性金属塩としては、KCl、CaCl2などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩、有機酸塩などを用いることができる。ポリカチオンとしては、各種の4級アンモニウム塩のポリマまたはオリゴマー、ポリアミン塩などを用いることができる。
水溶性高分子のひとつである天然水溶性高分子としては、トウモロコシ、小麦等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アラビアゴムなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、ケラチン等の蛋白質物質、合成水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系ポリマなどを用いることができる。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系のものが使用され、代表的には、アニオン系の界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、ナフタレン誘導体のスルホン酸塩等;カチオン系の界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等;両性界面活性剤としては、イミダゾリン誘導体等;ノニオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等;が挙げられる。又、撥水剤としては、例えば、シリコン、フッ素系及びワックス系のものが挙げられる。
本発明のインクジェット捺染方法においては、滲み防止効果のため、前記の前処理剤を、インク、素材、布帛構造に対応して適宜選択し、布帛中に0.2〜50質量%含有するように、パッド法、コーティング法、スプレー法などで付与せしめるのが好ましい。本発明に係るインクジェット捺染方法では、上記した分散染料で染色することが可能な繊維が含有されている布帛上に、先に述べた構成のインクを用いてインクジェット記録方法で画像を形成した後(インク付与工程)、インクが付与されている布帛を熱処理し(熱処理工程)、更に熱処理された布帛を洗浄すること(洗浄工程)によって布帛への捺染が完了し、捺染物が得られる本発明の捺染方法において、分散染料を繊維に定着させるには、インクが付与されている布帛を熱処理する方法等により行うが、特に、熱処理に、高温蒸熱法であるHTスチーミング法を用いた場合や、サーモゾル法等を用いた場合に、染料が繊維に良好に染着して本発明の顕著な効果が得られる。また、本発明に係るインクジェット捺染方法において、未定着の染料を布帛上から除去する方法に関しては、従来公知の洗浄方法を用いることが出来るが、特に還元洗浄を行うことが好ましい。
布帛に印字を行うインクジェット捺染方法は、インク出射後印字された布帛を巻き取り、加熱により発色し、布帛を洗浄、乾燥させることが望ましい。本発明に係るインクジェット捺染において、インクを布帛に印字し、ただ放置しておくだけではうまく染着しない。また、長尺の布帛に長時間印字し続ける場合などは、布帛が延々と出てくるため床などに、印字した布帛が重なっていき場所をとるため、印字後、巻き取る操作が必要となる。この操作時に布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んでもかまわない。ただし、途中で切断する場合や短い布帛に対しては必ずしも巻き取る必要はない。
印字された布帛は直ちに加熱処理しても、しばらくおいてから加熱処理しても用途に合わせて乾燥・発色処理すればよい。加熱処理法としては、オーブン、ヒートロール、スチーム等、用途にあった方法を選択すればよい。
加熱処理後は、洗浄が必要である。なぜなら染着に関与しなかった染料が残留することで、色の安定性が悪くなり堅牢度が低下するからである。また、布帛に施した前処理物を除去することも必要である。そのままにしておくと堅牢性の低下ばかりでなく布帛が変色する。そのため除去対象物や目的に応じた洗浄が必須である。
洗浄後は、乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
この一連の作用により、インクジェット捺染用インクとしての特徴が生かされ、美しい図柄が印字された布帛が出来上がる。
分散染料を用いた染色の際は、高温で発色させる方法だけではなく、キャリヤーを用いてもよい。キャリヤーとして用いられる化合物は、染色促進が大きい、使用法が簡便、安定、人体や環境に対して負荷が少ない、繊維からの除去が簡単、染色堅牢度に影響しないといった特徴を持つものが好ましい。キャリヤーの例としてはo−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、メチルナフタリン、安息香酸アルキル、サリチル酸アルキル、クロロベンゼン、ジフェニルといったフェノール類、エーテル類、有機酸類、炭化水素類などを挙げることができる。これらは、ポリエステルのように100℃前後の温度での染色が難しい難染性繊維の膨潤と可塑化を促進し、分散染料を繊維内に入りやすくする。キャリヤーは、インクジェットプリントに使用する布帛の繊維にあらかじめ吸着させておいてもよいし、インクジェットインク中に含まれていてもよい。
本発明のインクジェット捺染方法に用いられるインクジェット記録ヘッドとしては、特に制限はなく、サーマル型、ピエゾ型のいずれも用いることができる。
本発明に用いられるインクジェット記録ヘッドのノズル径としては、形成される画像の鮮鋭性の観点から100μm以下が好ましく、また不溶物によるノズル目詰まり耐性の観点から10μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、50μm以下である。
本発明のインクジェット捺染方法において、インク飛翔時の液滴体積としては、ヘッド近傍の気流の影響を受けにくくする観点から5pl以上が好ましく、また印字画像の粒状性の観点から150pl以下であることが好ましく、より好ましくは5〜80plである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《染料分散体の調製》
〔染料分散体1の調製〕
分散染料(Palanil Red FD−BE BASF社製) 30質量%
リグニンスルホン酸Na(日本製紙製バニレックスRN) 20質量%
エチレングリコール 20質量%
プロキセルGXL(ゼネカ製 防かび剤) 1質量%
イオン交換水 29質量%
上記の混合液をサンドグラインダーを用いて、分散染料粒子の目標平均粒径が270nm、目標最大粒径が450nmとなるように分散条件、遠心分離操作、濾過操作を組み合わせて、染料分散体1を得た。
〔染料分散体2〜16の調製〕
上記染料分散体1の調製において、分散染料を表1に記載の分散染料に変更し、更に表1に記載の目標平均粒径、目標最大粒径となるように、混合液の分散条件、遠心分離操作、濾過操作を適宜調整並びに組み合わせて調製を行った以外は同様にして、染料分散体2〜16を調製した。
Figure 2005105226
《インクの調製》
各染料分散体 各20質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
グリセリン 5質量%
イオン交換水 55質量%
上記組成物を十分撹拌、混合した後、金属メッシュフィルターを用いたろ過により粗大粒子を除いて、インク1〜16を調製した。
〔インクの分光吸収特性及び粒径測定〕
(分光吸収特性の測定)
〈極大吸収波長Hの測定〉
上記調製した各インクを適当量の水で希釈し、分光光度計UVIDFC−610(島津製作所製)により、350nmから800nmの波長範囲での分光吸収を測定して、極大吸収波長H(nm)を求めた。
〈極大吸収波長Aの測定〉
上記調製した各インクを適当量のアセトンで希釈、溶解し、分光光度計UVIDFC−610(島津製作所製)により、350nmから800nmの波長範囲での分光吸収を測定して、極大吸収波長A(nm)を求めた。
〈分散染料粒子の粒径測定〉
上記調製した各インクを1000倍に水で希釈した後、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)の散乱強度分布測定により5回の測定を行い、測定値を算術平均して体積平均粒径(nm)、体積最大粒径(nm)を算出した。
上記各測定結果を、表2に示す。
《プリント画像の形成及び評価》
(画像印字)
上記調製した各色インクを、ノズル孔径40μm、駆動周波数20kHz、インク滴70pl、ノズル数64、ノズル密度60dpi(dpiは2.54cmあたりのドット数を示す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度360×360dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにセットして連続印字を行った。
なお、印字は、各色インクのベタ画像パターンを出力した。この際使用した布帛は、ポリエステル繊維100%を予め、前処理剤(高分子カチオン化合物とグアーガム)に浸し、絞り、乾燥したものを使用した。印字後、布帛を180℃10分間熱処理を行い、水洗、乾燥した。
(長期色変動耐性)
上記作成した各色ベタ画像パターン部1と、上記のインクジェットプリンタをインクを装填した状態で1ヶ月間放置した後、同様の条件で作成した各色ベタ画像パターン部2について、下記の方法に従って色差ΔEの測定を行った。
色差測定は、白地部及び墨部を、X−rite938 Spectrodensitometer(X−Rite社製)を用いて、測定条件としてD50光源、2°視野にて測定し、L*、a*、b*の値を10点測定し、その平均値を求め、下式に従って色差ΔEを求め、これを長期色変動耐性の尺度とした。Δ*は各色ベタ画像パターン部1のL*と各色ベタ画像パターン部2のL*との差であり、Δa*は各色ベタ画像パターン部1のa*と各色ベタ画像パターン部2のa*との差であり、Δb*は各色ベタ画像パターン部1のb*と各色ベタ画像パターン部2のb*との差を表す。
ΔE={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
(出射安定性の評価)
上記画像形成に用いたインクジェットプリンタに装備したピエゾ型ヘッドにより、各インクを連続して1L吐出した。
この連続吐出の状態を、特開2002−363469号の図2に記載のストロボ発光方式の観察装置を用いて、インク液滴の吐出と、ストロボ発光の同期をとることにより、インクの飛翔状態を観察し、下記の基準に従って出射安定性の評価を行った、なお、下記の評価ランクにおいて、A〜Cのランクであれば、実用上許容範囲にあると判定した。
A:1L出射してもインク液滴の乱れが無く、飛翔状態は非常に安定していた
B:時折、サテライトや枝分かれの発生は認められたが、直ちに復帰し、概ね良好な飛翔状態であった
C:画像に大きな欠陥が及ぶほどではないが、いくつかのノズルでサテライト、枝分かれの発生や液滴速度が不安定になる現象が認められた
D:総ノズル数64の内、10以上のノズルでサテライト、枝分かれ、速度不安定が生じ、出射欠となったノズルも発生した
以上により得られた各評価結果を、表2に示す。
Figure 2005105226
表2に記載の結果より明らかなように、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、本発明で規定する条件を同時に満たす本発明のインクは、比較例に対し、長期停滞前後での形成した画像の色変動が小さく、かつ連続出射を行って出射安定性に優れていることが分かる。

Claims (11)

  1. 少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいて、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、下記式(1)と式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とするインクジェット用分散染料インク。
    式(1)
    A<520nm
    式(2)
    |H−A|>15nm
  2. 前記|H−A|が20nmを超えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
  3. 前記アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)との差(H−A)が、−15nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
  4. 前記差(H−A)が、−20nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用分散染料インク。
  5. 少なくとも水、水溶性有機溶媒、分散染料及び分散剤を含有するインクジェット用分散染料インクにおいて、アセトンと水とで希釈し、それぞれの350nm〜800nmの分光吸収スペクトルを測定した時、アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)が、下記式(3)と前記式(2)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とするインクジェット用分散染料インク。
    式(3)
    A≧520nm
  6. 前記|H−A|が20nmを超えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用分散染料インク。
  7. 前記アセトン希釈時の極大吸収波長A(nm)と、水希釈時の極大吸収波長H(nm)との差(H−A)が、15nmを超えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用分散染料インク。
  8. 前記差(H−A)が、20nmを超えることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット用分散染料インク。
  9. 前記分散染料のレーザー散乱粒径測定器により測定した平均粒径が、100nm以上、250nm未満であり、かつ最大粒径が400nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インク。
  10. 前記分散染料のレーザー散乱粒径測定器により測定した平均粒径が、100nm以上、200nm未満であり、かつ最大粒径が300nm未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インク。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用分散染料インクを、布帛に付与して捺染を行うことを特徴とするインクジェット捺染方法。
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