JP2005104773A - 情報記録ガラス基板用ガラス材料、情報記録ガラス基板、情報記録ディスク及びハードディスク装置 - Google Patents

情報記録ガラス基板用ガラス材料、情報記録ガラス基板、情報記録ディスク及びハードディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 情報記録ガラス基板用のガラス材料の靱性を改善し、情報記録ディスクにおけるマイクロクラックによる強度低下と磁気ヘッド衝突時のクラック発生を低減する。
【解決手段】 情報記録ガラス基板用のガラス材料の組成を、5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、1〜15mass%のBと0〜5mass%のKO、もしくは0〜15mass%のBと0.5〜5mass%のKOを含有するものとすることでガラス材料の靱性が改善し、情報記録ディスクの強度低下、クラックの発生を低減できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、情報記録ガラス基板用のガラス材料、該ガラス材料を成形、加工した情報記録ガラス基板、さらにその情報記録用ガラス基板の表面に磁性膜を形成した情報記録ディスク及びこれを組み込んだハードディスク装置に関する。
近年、ハードディスク装置に用いる情報記録ディスクにはガラス製の基板が用いられるようになっている。このような情報記録ガラス基板は、表面が平滑なほど、硬度が大きいほど、ヤング率が大きいほど好ましい。特許第2987804号公報(特許文献1)には、情報記録ガラス基板に適したガラス材料組成が開示されている。この組成のガラス材料は、硬度及びヤング率が大きいので、表面に傷がつきにくく、回転による変形も少ない優れた情報記録ガラス基板を得ることができる。また、このガラス材料は溶融性に優れ泡・脈理などの欠点が生じにくいので、ガラス基板の製造効率にも優れている。
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
特許第2987804号公報
情報記録ディスクはますます記録情報の高密度化が要請され、これに伴い情報記録ガラス基板もさらに高品質なものが求められている。前記従来のガラス材料は確かに硬度及びヤング率に優れるのであるが、さらに製造工程やハンドリング時の基板の割れや、磁気ヘッドが衝突したとき等の衝撃による表面クラックの発生を低減したいという要請がある。
製造工程やハンドリング時に基板が割れやすくなる原因として、研磨の際に表面に生じるマイクロクラックによる強度低下が考えられる。これは、ガラス材料の脆さが原因しており、靱性(ねばり強さ)を改善できればマイクロクラックの低減が可能である。また、ハードディスク装置の磁気ヘッドが基板に衝突した場合でも、靱性に優れていれば基板表面にクラックが発生するのを防止できる。
本発明は、情報記録ガラス基板用のガラス材料の靱性を改善し、マイクロクラックによる強度低下と磁気ヘッド衝突時のクラックの発生を低減することを課題としてなされたものである。
(構成1)本発明は、5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、1〜15mass%のBと0〜5mass%のKOを含有することを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料である。
(構成2)また本発明は、5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、0〜15mass%のBと0.5〜5mass%のKOを含有することを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料である。
(構成3)また本発明は、前記構成1又は2のいずれかのガラス材料において、LiO、NaO及びKOの含有量の合計が10〜20mass%であることを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料である。
(構成4)また本発明は、前記構成1〜3のいずれかのガラス材料において、クラック発生率が、90%以下であることを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料である。
(構成5)また本発明は、円板状に成形した前記構成1〜4のいずれかのガラス材料に外周加工、内孔加工及び研磨加工を施したことを特徴とする情報記録ガラス基板である。
(構成6)また本発明は、前記構成5の情報記録ガラス基板に、さらに化学強化処理を施したことを特徴とする情報記録ガラス基板である。
(構成7)また本発明は、前記構成5又は6の情報記録ガラス基板の表面に磁性膜を形成したことを特徴とする情報記録ディスクである。
(構成8)また本発明は、前記構成7の情報記録ディスクが組み込まれていることを特徴とするハードディスク装置である。
本発明の情報記録ガラス基板用ガラス材料は、溶融性に優れるのでガラス基板を効率よく成形可能であり、硬度及びヤング率が大きいので傷つきにくく変形も少なく、さらに靱性が向上したことでマイクロクラックや表面のクラックを防ぐ効果がある。
したがって、本発明の情報記録ガラス基板及び情報記録ディスクは、製造効率に優れ、研磨時のマイクロクラックの発生が低減して強度低下が防止されるので割れにくく、磁気ヘッドが衝突したときに表面にクラックが発生しにくいという特徴を有する。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭利研究した結果、次の組成を持つガラスはクラックの発生が少ないことを発見した。
本発明の情報記録ガラス基板用ガラス材料は、組成として、5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、1〜15mass%のBと0〜5mass%のKO、もしくは0〜15mass%のBと0.5〜5mass%のKO を含有するものである。
本発明の情報記録ガラス基板用ガラス材料の各成分の適正範囲については、下記の通りである。
(NaOの含有率について)
NaOは、5mass%未満では、十分な溶融性を得ることができず、15mass%を越えると化学的耐久性が悪くなるので、5〜15mass%の範囲が望ましい。
(LiOの含有率について)
LiOは、溶融性を良くする効果があるが、10mass%を越えると化学的耐久性が悪くなるので、0〜10mass%の範囲が望ましい。
(Alの含有率について)
Alは、5mass%未満では、化学的耐久性が悪くなり、15mass%を越えると失透を生じやすくなるので、5〜15mass%の範囲が望ましい。
(CaOの含有率について)
CaOは、硬度を高め溶融性を良くする効果があるが、0.5mass%未満では、その効果が十分でない。また、TiOと併用する場合、6mass%を越えると失透を生じやすくなるので、0.5〜6mass%の範囲が望ましい。
(TiOの含有率について)
TiOは、2mass%未満では、硬度及びヤング率を高める効果が十分でなく、10mass%を越えると結晶化しやすいので、2〜10mass%の範囲が望ましい。
(SiOの含有率について)
SiOは、53mass%未満では、化学的耐久性が悪くなり、75mass%を越えると溶融性が悪くなるので、53〜75mass%の範囲が望ましい。
(Bの含有率について)
上記組成にBを加えることで、硬度、ヤング率の特性を損なうことなく、研磨時のマイクロクラック、衝撃時のクラックの発生を抑制できる。これはガラスの靱性が改善されるためであると考えられる。Bの含有量は0〜15mass%が適当で、より好ましくは1〜15mass%である。Bは含まれなくても良いが、1mass%未満であるとクラック発生の抑制効果が十分でなく、15mass%を超えるとホウ素が3配位となってヤング率が低下し好ましくない。Bが含まれない場合、KOは少なくとも0.5mass%含まれる必要がある。
(KOの含有率について)
上記組成にKOを加えることで、硬度、ヤング率が低減することなく比重、熱膨張率を調整できる。比重、熱膨張率は、各ハードディスク装置によって適正な値(範囲)が指定される場合が多いのであるが、KOを適宜量加えることで品質を低下させることなく適正な値(範囲)に調整可能となる。さらに、KOを加えることで、ガラス基板を化学強化処理する場合に混合アルカリ効果が生じ、Naイオン→Kイオンのイオン交換が促進される。KOの含有量は5mass%以下が適当で、5mass%を越えて多く配合しても混合アルカリ効果が向上することはないので不必要であるばかりでなく、ヤング率の低下及び比重の上昇を生じるため望ましくない。また、Bの含有量が0〜15mass%の場合、KOの含有率は0.5mass%未満であると比重・熱膨張率を調整できる範囲が狭くなり、混合アルカリ効果も小さいので、0.5mass%以上であることが望ましい。特に、Bを添加した場合、ガラス材料の比重及び熱膨張率が低下するが、KOを適宜量加えることで品質を低下させることなく比重及び熱膨張率を大きくし、所望の値(範囲)に調整することができる。なお、Bを添加した場合で、比重、熱膨張率を調整する必要がない場合には、KOを添加しなくともよい。
上記の組成において、LiO、NaO及びKOの含有量の合計が10〜20mass%であることがより望ましい。20mass%を越えると、アルカリ溶出が問題となり、情報記録ガラス基板として使用できなくなり、逆に10mass%未満であると、溶融性が悪くなる。
本発明のガラス材料は、上記に示すように、所定の組成となるように原材料を混合、溶融し、従来の情報記録ガラス原板用ガラス材料と同様の工程で得ることができる。成形法は従来のガラス基板の成形法と同様でよく、プレス成形で円板状に成形する方法、円筒状に成形した後に円板状にスライスカットする方法などが適用できる。円板状に成形した情報記録ガラス基板用ガラス材料の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.2〜1.8mmの範囲のものとすることができる。また、上記のいずれかの組成を持つ情報記録ガラス基板用ガラス材料は、クラック発生率が90%以下となり望ましい。クラック発生率の測定方法については後述する。
円板状に成形した本発明の情報記録ガラス原板用ガラス材料に外周加工、内周加工及び研磨加工を施して情報記録ガラス基板を得る。外周加工は、例えば外周を所定の外径に切断し、その後厳密に規定された外径寸法、外周形状(面取り形状)となるように研磨される。ただし、外径の切断工程は省略されることがある。内孔加工は例えばコアドリルなどで内孔をくり抜いた後、厳密に規定された内孔寸法、形状(面取り形状)となるように研磨される。研磨加工は、通常数段階に分けて徐々に表面の平滑度が増すように、所定の厚さとなるまで行われる。このような加工方法は周知であるので、詳しい説明を省略する。
本発明のガラス基板は、化学強化処理を行うことで、基板全体の強度が向上する。化学強化処理は、基板表面付近のアルカリ金属イオンを、より大きなイオン半径のアルカリ金属イオンとイオン交換し、基板の表面付近に圧縮応力を発生させる処理である。この化学強化処理は、特に限定されるものではなく、公知の方法が適用できる。例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムを主成分とする溶融塩処理液を用い、約350〜380℃程度に加熱後、一定時間浸漬して、その後洗浄、乾燥するなどして行う方法がある。
本発明の情報記録ディスクは、本発明のガラス基板の表面に磁性膜を形成したものである。磁性膜は、例えば、下から順次、Cr層からなる下地層、Co−Ni−Cr等からなる記録層である磁性膜層、保護層、潤滑層からなるものが揚げられる。このような磁性膜は周知の方法で形成できる。
本発明の情報記録ディスクは、従来の情報記録ディスクと全く同様にハードディスク装置に組み込むことができる。ハードディスク装置は、情報記録ディスク、その駆動手段、読み出し書き込み手段などがユニット化されたもので、情報を磁気記録し、記録情報を読み出しできるものであればよい。
表1に実施例1〜11のガラス組成とクラック発生率を示す。実施例のガラス材料はプレス成形により直径67mm、厚さ1.0mmの円板状に成形し所定寸法に加工し、サンプルとした。各サンプル10枚をポリッシュしてクラック発生率を測定した。この測定は次のように行った。アカシ製マイクロビッカース硬度計MVK−G2型を用い、図1に示すように、該硬度計の針2の正方形四角錐形状の先端をサンプル1表面に接触させて垂直に立て、500gの荷重を加え15秒間保持した。このとき、図2に示すように、サンプル表面に四角錐状の窪み3ができるが、窪み3の4個の角部の少なくとも1つにクラック4が発生した場合に、クラック発生有りと判定し、10枚のサンプルの内のクラック発生有りの枚数の比率をクラック発生率(%)とした。
Figure 2005104773
表2に比較例1、2のガラス組成とクラック発生率を示す。前記の実施例と同様に比較例のサンプルを作成し、各サンプル10枚につき前記実施例と同様にクラック発生率を測定した。
Figure 2005104773
表1の実施例1〜11と表2の比較例1、2とを比較すると、比較例1、2はいずれもクラック発生率が100%で、全てのサンプルにクラックが発生しているが、実施例はいずれもクラック発生率が改善されている。特に実施例3、9については、クラック発生率が0%であり、クラック発生を抑える効果が大いに改善されたことが証明されている。
クラック発生率の測定方法の説明図である。 クラック発生の判定方法の説明図である。
符号の説明
1 サンプル
2 針
3 窪み
4 クラック

Claims (8)

  1. 5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、1〜15mass%のBと0〜5mass%のKOを含有することを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料。
  2. 5〜15mass%のNaO、0〜10mass%のLiO、5〜15mass%のAl、0.5〜6mass%のCaO、2〜10mass%のTiO、53〜75mass%のSiOを含有し、かつ、0〜15mass%のBと0.5〜5mass%のKOを含有することを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料。
  3. 請求項1又は2のいずれかのガラス材料において、LiO、NaO及びKOの含有量の合計が10〜20mass%であることを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかのガラス材料において、クラック発生率が、90%以下であることを特徴とする情報記録ガラス基板用ガラス材料。
  5. 円板状に成形した請求項1〜4のいずれかのガラス材料に外周加工、内孔加工及び研磨加工を施したことを特徴とする情報記録ガラス基板。
  6. 請求項5の情報記録ガラス基板に、さらに化学強化処理を施したことを特徴とする情報記録ガラス基板。
  7. 請求項5又は6の情報記録ガラス基板の表面に磁性膜を形成したことを特徴とする情報記録ディスク。
  8. 請求項7の情報記録ディスクが組み込まれていることを特徴とするハードディスク装置。
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