JP2005104751A - 単結晶育成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 浮遊帯域溶融法において、結晶成長部の温度分布の制御を可能にし、結晶性の良い単結晶を育成することができる単結晶育成装置を提供すること。
【解決手段】 浮遊帯域溶融法による単結晶の製造装置に使用する高周波誘導加熱コイルであって、溶融帯部3に配置された複数コイル1と、育成単結晶部2に配置された複数コイル5から成り、溶融帯部と育成単結晶部の2箇所に、溶融帯幅を1としたとき軸方向に1.5〜2.5倍の間隔を隔てて、高周波磁界による加熱部を発生するように構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 浮遊帯域溶融法による単結晶の製造装置に使用する高周波誘導加熱コイルであって、溶融帯部3に配置された複数コイル1と、育成単結晶部2に配置された複数コイル5から成り、溶融帯部と育成単結晶部の2箇所に、溶融帯幅を1としたとき軸方向に1.5〜2.5倍の間隔を隔てて、高周波磁界による加熱部を発生するように構成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高周波加熱式のFZ法(floating zone melting:浮遊帯域溶融法)による単結晶育成装置に関するものであり、さらに詳しくは、単結晶育成装置の主に高周波誘導加熱コイルの技術に関するものである。
高周波加熱式FZ法は、通常、上軸または下軸に保持した原料となる多結晶棒の一部を高周波誘導加熱コイルにより溶融し、加熱コイルと多結晶棒との相対的な回転と移動により、溶融帯部を多結晶側に順次移動させながら単結晶を製造する方法である。
上記製造方法においては、溶融帯部が移動して不安定な状態で溶融しないように軸方向の溶融帯幅を小さくし、また、高品質の単結晶を育成するには溶融帯部と単結晶の成長界面の温度勾配を緩やかにする必要がある。これらの要請を満たすべく、溶融帯部近傍の磁界分布を制御する種々の高周波誘導加熱コイルが既に公知の技術として知られている。例えば、FZ法による大口径シリコン単結晶の製造では、単巻の扁平な高周波誘導加熱コイルが用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
例えば図4に単結晶育成装置の一部を切断して端面図で示すように、高周波誘導加熱コイル1により発生する高周波磁界で、原料棒における溶融帯部3のみを加熱するように構成する。ここで、高周波誘導加熱コイル1の材質は銅から成り、その内部には冷却水を循環させるための空洞が形成されている。二硼化ジルコニウムを原料とした多結晶棒2は、図中の矢印に示されるように下方向から上方向に移動され、溶融帯部3を経て単結晶棒4が育成される。
このように、従来の高周波誘導加熱コイルには種々の技法が用いられているが、加熱される場所は溶融帯部のみである。
特開平8−64354号公報
上述した要請に対して、多結晶棒の中心軸方向の溶融帯幅を小さくするために、高周波誘導加熱コイルによる溶融帯の加熱を狭小な領域に限ると、加熱部が局所に集中し、成長界面の温度勾配が急峻になるので、製造過程で熱歪みによるクラックや転位等が発生し、結晶性の低下を招く。特に単結晶化する物質の融点が高いと、上記の相反する問題が顕著に現れる。
そこで本発明は、このような問題に鑑みて提案されたものであり、その目的は溶融帯長さを従来と同じ長さに抑えるとともに、成長界面の温度勾配を緩やかにして、結晶性の良い単結晶を育成することができる単結晶育成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の単結晶育成装置は、浮遊帯域溶融法により原料棒から単結晶を育成するための高周波誘導加熱コイルを備えた単結晶育成装置であって、前記高周波誘導加熱コイルは、原料棒を溶融する第1の加熱コイルと、該第1の加熱コイルによって生じた溶融帯部から移動させて形成された単結晶部を、前記第1の加熱コイルより低温で加熱する第2の加熱コイルとからなることを特徴とする。ここで特に、育成した単結晶にクラックが生じないようにさせるために、前記第2の加熱コイルを、前記溶融帯部から該溶融帯部の前記原料棒の中心軸方向長さの1.5〜2.5倍の距離を隔てた位置に配設する。
また特に、前記高周波誘導加熱コイルは、複数の単巻コイルを並列に配置した単巻並列コイル、または1つの複数巻コイルから構成されるものとする。
本発明では、高周波誘導加熱コイルは、原料棒を溶融する第1の加熱コイルと、該第1の加熱コイルによって生じた溶融帯部から形成された単結晶部を、前記第1の加熱コイルより低温で加熱する第2の加熱コイルとからなる。これにより、溶融帯部のみならず育成後の単結晶部にも高周波誘導加熱コイルを配置することで、育成単結晶部から溶融帯部への熱移動が起こり、成長界面における温度勾配が緩やかになると同時に、アフターヒーターの作用を生じさせることで、熱歪みを緩和し、クラックが抑制され、結晶性の良い単結晶が育成できるという効果が図れる。特に第2の加熱コイルを、溶融帯部の端から該溶融帯部の原料棒の中心軸方向長さの1.5〜2.5倍の距離を隔てた位置に配設されることでクラックの全く生じない結晶性の良好な単結晶を得ることができる。
また、育成単結晶部に配置された高周波誘導加熱コイルを機能させたとしても、これにより加熱される場所が溶融帯部から離れているため、従来と同じ溶融帯幅を維持できる。
以下、本発明に係る単結晶育成装置の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、浮遊帯域溶融法により原料棒である多結晶棒4から単結晶(単結晶棒2)を育成するための高周波誘導加熱コイルを備えた単結晶育成装置の一部を切断して示した端面図である。ここで、高周波誘導加熱コイルは、多結晶棒4を溶融する第1の高周波誘導加熱コイル1と、この第1の高周波誘導加熱コイルによって生じた溶融帯部3を多結晶棒4の中心軸L方向へ移動させて得られた単結晶棒2を、第1の高周波誘導加熱コイル1より低温で加熱する第2の高周波誘導加熱コイル5とから構成されている。また、第2の高周波誘導加熱コイル5は、溶融帯部3の端から溶融帯部3における多結晶棒4の中心軸方向長さの1.5〜2.5倍の距離を隔てた位置に配設すると、後記するように単結晶にクラックが全く発生しないことが判明した。このように、図1は溶融帯部3のみならず育成後の単結晶棒2に対しても第2の高周波誘導加熱コイル5を配置したものである。
具体的には、第2の高周波誘導加熱コイル5の中心軸L方向の配置位置は、図4に示す従来の高周波誘導加熱コイルを用いた場合の溶融帯幅8mmから13mmを基にして、第1の高周波誘導加熱コイル1から上方向にその中心値の約2倍の20mmとした。なお、図1において、高周波誘導コイルと多結晶棒と溶融帯部、単結晶棒は回転対称形としている。
育成単結晶部に配置された高周波誘導加熱コイル5の効果を確認するため、図1と図4に示す単結晶育成装置のそれぞれの高周波誘導加熱コイルのパターンに対して、有限要素法による計算機シミュレーションで推定した成長界面の温度勾配と軸方向の溶融帯幅と、実際に育成した単結晶のクラックについて比較した。この結果について説明する。
計算手順として、まず、高周波誘導コイルから発生する電磁場が結晶表層部に進入することよって、結晶表層部に生じる定常渦電流を解析し、この渦電流によるジュール熱を求めた。次に、ジュール熱から発熱密度を初期条件として熱流体解析を行なった。
図2に結晶中心軸方向の温度分布について計算し、図3に図2の温度分布を微分することで得られる温度勾配の計算結果を示す。これらの図において、従来例とは図4の単結晶育成装置の高周波誘導加熱コイルに対する結果を、実施例とは図1の単結晶育成装置の高周波誘導加熱コイルに対する結果を示したものである。図2で実施例と従来例とを比較すると、実施例の方が溶融帯部から育成単結晶部にかけて、温度が緩やかに変化することが判明した。
さらに、図3から実施例の成長界面付近の温度勾配は従来例よりも低減しており、具体的数値としては、成長界面付近で従来例が約280℃/cmであるのに対し、実施例では約42℃/cmと改善されていることも判明した。
また、二硼化ジルコニウムの融点である3245℃の温度域を溶融帯部として決め、結晶中心軸方向の溶融帯幅を求めると、従来例で約8mm、実施例で約11mmでありほとんど変化はなかった。
次に、図1と図4のそれぞれの高周波誘導加熱コイルを用いて、二硼化ジルコニウムの単結晶を実際に育成した。それぞれの単結晶育成装置において、直径22.5mmの原料多結晶棒を使用し、直径18mmの単結晶を育成した。また、溶融帯部を加熱する高周波誘導加熱コイル1は内径30mm、育成単結晶部を加熱する高周波誘導加熱コイル2は内径36mmであり、これらは1つの複数巻きコイルから構成されているが、2つ以上の単巻コイルを並列に配置した単巻並列コイルで構成しても同じことである。単結晶の育成条件は、各コイルとも同一とした。
育成された単結晶棒を放電加工機で結晶の中心を軸方向に切断し、エックス線トポグラフにより切断面上のクラックを観察したところ、図4に示す高周波誘導加熱コイルで育成した単結晶はクラックが発生していたが、図1に示す高周波誘導加熱コイルで育成した単結晶には、クラックが全く発生していなかった。
かくして、本発明の単結晶育成装置によれば、溶融帯幅を従来と同じ幅に抑え、成長界面における温度勾配が緩やかになると同時に、熱歪みを緩和し、クラックが抑制され、結晶性の良い単結晶を育成することができることが確認された。
1:溶融帯部加熱用コイル(第1の加熱用コイル)
2:単結晶棒(原料棒が単結晶に変化した部分)
3:溶融帯部
4:多結晶棒(原料棒の一部)
5:単結晶部加熱用コイル(第2の加熱用コイル)
W1:溶融帯部の中心軸方向長さ
W2:W1の端からW1の1.5〜2.5倍の長さ(第2の加熱用コイルの配設位置を示す間隔)
2:単結晶棒(原料棒が単結晶に変化した部分)
3:溶融帯部
4:多結晶棒(原料棒の一部)
5:単結晶部加熱用コイル(第2の加熱用コイル)
W1:溶融帯部の中心軸方向長さ
W2:W1の端からW1の1.5〜2.5倍の長さ(第2の加熱用コイルの配設位置を示す間隔)
Claims (1)
- 浮遊帯域溶融法により原料棒から単結晶を育成するための高周波誘導加熱コイルを備えた単結晶育成装置であって、前記高周波誘導加熱コイルは、原料棒を溶融する第1の加熱コイルと、該第1の加熱コイルによって生じた溶融帯部から形成された単結晶部を、前記第1の加熱コイルより低温で加熱する第2の加熱コイルとから構成されていることを特徴とする単結晶育成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003337503A JP2005104751A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 単結晶育成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003337503A JP2005104751A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 単結晶育成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005104751A true JP2005104751A (ja) | 2005-04-21 |
Family
ID=34533306
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003337503A Pending JP2005104751A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 単結晶育成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005104751A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007059292A (ja) * | 2005-08-26 | 2007-03-08 | Tokuyama Corp | 加熱装置の設定方法 |
JP2013177254A (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-09 | Shin Etsu Handotai Co Ltd | Fz法による単結晶製造装置の誘導加熱コイルの洗浄方法 |
CN104726929A (zh) * | 2013-12-23 | 2015-06-24 | 刘剑 | 用于七根硅芯生产带葫芦形拉制孔的高频感应线圈装置 |
JP2016141612A (ja) * | 2015-02-04 | 2016-08-08 | 信越半導体株式会社 | 半導体単結晶製造装置及び半導体単結晶の製造方法 |
-
2003
- 2003-09-29 JP JP2003337503A patent/JP2005104751A/ja active Pending
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JP2013177254A (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-09 | Shin Etsu Handotai Co Ltd | Fz法による単結晶製造装置の誘導加熱コイルの洗浄方法 |
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