JP2005103908A - 視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物及びその印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 視覚的な動的効果を、安価にかつ効果的に生じさせることができるシルクスクリーン印刷物を提供することを課題とする。
【解決手段】 透明平板12の表裏二面12a,12bの模様を第1、第2の線状パターン13,14で構成し、かつ、これらの線状パターン13,14を平行直線状とすると共に、各パターン13,14を構成する直線15,16を両線状パターン13,14間で平行とし、さらに、直線15,16の繰返し周期としてのピッチP1,P2を同一とすると共に、第1線状パターン13を構成する直線15の幅W1を同一とし、第2線状パターン14を構成する直線16の幅W2を、該パターン14を構成する一端の直線16側から他端の直線16側に次第に細くする。加えて、表面12a側の線状パターン13を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷する。
【選択図】 図2
【解決手段】 透明平板12の表裏二面12a,12bの模様を第1、第2の線状パターン13,14で構成し、かつ、これらの線状パターン13,14を平行直線状とすると共に、各パターン13,14を構成する直線15,16を両線状パターン13,14間で平行とし、さらに、直線15,16の繰返し周期としてのピッチP1,P2を同一とすると共に、第1線状パターン13を構成する直線15の幅W1を同一とし、第2線状パターン14を構成する直線16の幅W2を、該パターン14を構成する一端の直線16側から他端の直線16側に次第に細くする。加えて、表面12a側の線状パターン13を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、シルクスクリーン印刷物に関し、視覚的な動的効果を生じさせるシルクスクリーン印刷技術の分野に属する。
従来より、レンチキュラーレンズを用いて印刷物に視覚的な動的効果を付与する方法が知られており、例えば特許文献1に、連続した動作の前後を表す2枚の画像を縦または横に多数の線状帯に分割し、これら異なる画像の線状帯を交互に並べて印刷し、その上に上記線状帯の幅と方向を一致させたかまぼこ状の微細レンズをアクリル樹脂等で形成したレンチキュラー板を設けることにより、視点を移動したときに見える画像が切り換わるようにしたものが開示されてる。また、特許文献2には、プラスチック製のレンチキュラー板の裏面に線状帯に分割された画像をレンチキュラーレンズの幅と方向とに精度よく一致させて印刷する方法が開示されている。
ところで、上記レンチキュラー板は、上記プラスチックやアクリル素材を金型等で成形することにより製造されるが、この金型は高価であり、レンチキュラー板の価格が高くなる。しかも、上記線状帯の幅を変更しようとすると、金型も製造し直さなければならないが、前述のように金型は高価であることから、容易に変更することはできない。そこで、これに代わる動的効果の付与方法として、例えば、特許文献3に、透明平板の表面に、レンチキュラーレンズに代えてストライプ状のマスキングを印刷等で形成すると共に、裏面に、上記線状帯を印刷することにより、印刷物に動的効果や立体感を付与するものが開示されている。また、特許文献4には、透明平板の表裏二面に、平行直線状、放射線状等の同一の線状パターンで、それぞれ微妙に異なるピッチを有する第一、第二の線状パターンをシルクスクリーン印刷することにより、当該第一、第二の線状パターンによって視覚的に立体感のあるモアレ模様を生じさせるものが開示されている。
ところで、上記特許文献3に記載のものは、レンチキュラーレンズに代えてマスキングを施すものであるから、レンズ特有の屈折作用による動的効果を得ることはできない。そこで、特許文献4に記載のシルクスクリーン印刷法により線状パターンを透明なインクで印刷することが考えられるが、インク層が薄く十分な動的効果を得ることはできない。
そこで、本発明は、視覚的な動的効果を、安価にかつ効果的に生じさせることができるシルクスクリーン印刷物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、透明平板の表裏二面にそれぞれ模様が印刷された視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物であって、表面側の模様は、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷されていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明(以下、第2発明という)は、第1発明において、透明平板の表裏二面の模様は第1、第2の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、各パターンを構成する直線は両線状パターン間で平行とされており、さらに、各パターンを構成する直線の繰返し周期としてのピッチは同一とされていると共に、表面側の第1の線状パターンを構成する直線の幅は同一とされ、裏面側の第2の線状パターンを構成する直線の幅は、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に次第に細くされていることを特徴とする。
そして、本願の請求項3に記載の発明(以下、第3発明という)は、第1発明において、透明平板の表面側の模様は単一の線状パターンで構成されていると共に、裏面側の模様は色彩の異なる複数の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、各パターンを構成する直線は全ての線状パターン間で平行とされており、さらに、各パターンを構成する直線の繰返し周期としてのピッチは同一とされていると共に、上記表面側の線状パターンを構成する直線の幅は同一とされ、裏面側の線状パターンを構成する直線の幅は、各線状パターン毎に、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に変化していることを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に記載の発明(以下、第4発明という)は、第1発明において、透明平板の表面側の模様は単一の線状パターンで構成されていると共に、裏面側の模様は色彩の異なる複数の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、裏面側の線状パターンを構成する直線は、各線状パターン毎に異なる角度で傾斜して、一つの線状パターンに係る直線のみが表面側の線状パターンを構成する直線とほぼ平行とされており、さらに、これらの線状パターンを構成する直線の幅は、各線状パターン毎に、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に変化していることを特徴とする。
また、本願の請求項5に記載の発明(以下、第5発明という)は、第2発明から第4発明に記載のいずれかの発明において、複数の線状パターンにより所定の物が表現されていることを特徴とする。
そして、本願の請求項6に記載の発明(以下、第6発明という)は、透明平板の表裏二面に視覚的な動的効果を有する模様を印刷する方法であって、表面側の模様を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン法で印刷することを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、第1発明によれば、透明平板の表面側の模様を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷するから、レンチキュラーレンズとほぼ同様の動的効果を安価にしかも確実に実現することができる。また、印刷によりレンズを形成するから、印刷物の模様にあわせてレンズの幅、高さ等を柔軟に変更することができる。
ここで、その理由を説明すると、従来からシルクスクリーン印刷に一般に用いられるインキには溶剤が含まれていることから、乾燥中に溶剤が揮発してレンズとしての厚みが失われるだけでなく表面が平坦となり、この結果、十分なレンズ効果を実現することができず、動的効果を十分に達成することができないという問題があったが、本発明で用いる紫外線硬化インキは揮発性の物質を含まず、しかも速やかに固化するから、印刷時のレンズ形状がそのまま残り、十分なレンズ効果を実現することができるようになるのである。
また、第2発明によれば、スクリーン印刷物を見る角度を変えると、第1の線状パターンとしてのレンチキュラーレンズにより、第2の線状パターンの見え方が変化し、濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。
また、第3発明によれば、スクリーン印刷物を見る角度を変えると、表面側の線状パターンとしてのレンチキュラーレンズにより、裏面側の複数の線状パターンの見え方が変化し、色彩及びその濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。
また、第4発明によれば、スクリーン印刷物を見る角度を変えると、表面側の線状パターンとしてのレンチキュラーレンズにより、裏面側の複数の線状パターンの見え方が変化し、色彩及びその濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。その場合、表面側の線状パターンと表面側から見てほぼ平行とされた線状パターンが特にその効果が高められる。換言すれば、特に強調したい色彩について選択的に動的効果を付与することができる。
また、第5発明によれば、複数の線状パターンにより所定の物が表現されたスクリーン印刷物に、第1発明から第4発明で説明したような動的効果を付与することができる。
また、第6発明によれば、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状の模様を容易にかつ安価にしかも確実に形成することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物について説明する。
図1は、このスクリーン印刷物1をコインゲーム装置の表示板2に適用した例を示す。表示板2には、グラフィックイコライザ状の模様3が印刷されており、該表示板2を見る位置が変ると、該グラフィックイコライザ状の模様3の濃度やグラデーション等が変化する動的効果が得られるようになっている。以下、スクリーン印刷物1としての表示板2に係る複数の実施の形態を説明する。
図2は、第1の実施の形態に係るスクリーン印刷物1としての表示板11の断面(図1のA−A断面)を示す。アクリル材からなる透明平板12の表面12a及び裏面12bには、模様としてそれぞれ第1、第2の線状のパターン13,14が印刷されている。また、図3に示すように、これらの線状パターン13,14はそれぞれ平行直線状とされていると共に、各パターン13,14を構成する直線15,16は両線状パターン13,14間で平行とされている。また、各パターン13,14を構成する直線15,16の繰返し周期としてのピッチP1,P2は同一とされていると共に、表面12a側の第1線状パターン13を構成する直線15の幅W1は同一とされ、裏面12b側の第2線状パターン14を構成する直線16の幅W2は、図3(b)において上方から下方に(該パターン14を構成する一端の直線16側(図2左側の直線16側、図3(b)上側の直線16側)から他端の直線側(図2右側の直線16側、図3(b)下側の直線16側)に)、次第に細くされている。なお、上記ピッチP1,P2は、図柄に応じて変更すればよいが、一例として言えば約0.6mm程度とすればよく、またレンズの厚みは10〜20μmとすればよい。また、透明平板12の裏面12bには、第2線状パターン14に重ねて、白色のベタ塗り層17が印刷されている。
その場合に、透明平板12の表面12a側の第1線状パターン13は、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷されている。この紫外線硬化インキ(UVインキ)は、紫外線のエネルギーで光化学反応を起こして液状から固状へ速やかに(秒単位で)硬化する性質を有し、その主成分は、光重合性樹脂、光重合開始材、着色料および助剤等であり、有機溶剤の揮発分は含まず、100%不揮発分からなる。また、粘性を有することから、この紫外線硬化インキを用いて印刷すれば、印刷時の形状を維持したまま、例えばレンズ形状に印刷すれば、レンズ形状を維持したまま速やかに固化させて、十分なレンズ効果を実現することができるようになるのである。なお、従来からシルクスクリーン印刷に一般に用いられるインキには溶剤が含まれていることから、レンチキュラーレンズ状に印刷しても、乾燥中に溶剤が揮発してレンズとしての厚みが失われるだけでなく平面的となり、この結果、レンズによる十分な動的効果を実現することができないという問題があった。
このように構成したことにより、第1の実施の形態によれば、スクリーン印刷物1としての表示板11を見る角度を変えると、第1線状パターン13としてのレンチキュラーレンズにより、第2線状パターン14の濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。
しかも、第1の実施の形態に係るスクリーン印刷物1としての表示板11によれば、透明平板12の表面側12aの模様を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷するから、レンチキュラーレンズとほぼ同様の動的効果を安価にしかも確実に実現することができる。また、印刷によりレンズを形成するから、印刷物の模様にあわせてレンズの幅、高さ等を柔軟に変更することができる。
ここで、その理由を説明すると、従来からシルクスクリーン印刷に一般に用いられるインキには溶剤が含まれていることから、乾燥中に溶剤が揮発してレンズとしての厚みが失われるだけでなく表面が平坦となり、この結果、十分なレンズ効果を実現することができず、動的効果を十分に達成することができないという問題があったが、本実施の形態で用いる紫外線硬化インキは揮発性の物質を含まず、しかも速乾性であるから、印刷時のレンズ形状がそのまま残り、十分なレンズ効果を実現することができるようになるのである。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物1としての表示板21について説明する。図4は、表示板21の断面(図1のA−A断面)を示す。透明平板22の表面22aには模様として第1の線状パターン23が印刷され、裏面22bには模様として色彩の異なる第2(シアン)、第3(マゼンタ)、第4(イエロー)の線状パターン24,25,26が印刷されている。また、図5に示すように、これらの線状パターン23〜26はそれぞれ平行直線状とされていると共に、各パターン23〜26を構成する直線27,28,29,30は全ての線状パターン23〜26間で平行とされている。また、各パターン23〜36を構成する直線27〜30の繰返し周期としてのピッチP11,P12は同一とされていると共に、上記表面22a側の第1線状パターン23を構成する直線27の幅W11は全て同一とされ、裏面22b側の線状パターン24〜26を構成する直線28〜30の幅Wc,Wm,Wyは、各線状パターン24〜26毎に、該パターン24〜26を構成する一端の直線28,29,30側から他端の直線28,29,30側に変化している。すなわち、第2の線状パターン24を構成する直線28の幅Wcは、図5(b)において上方から下方に次第に細くされている。また、第3の線状パターン25を構成する直線29の幅Wmは、図5(c)において上方から下方に次第に太くされている。また、第4の線状パターン26を構成する直線30の幅Wyは、図5(d)において上方から中ほどへ次第に太くなり、中ほどから下方へ再び細くなっている。また、透明平板22の裏面22bには、第2〜第4線状パターン24,25,26に重ねて、白色のベタ塗り層31が印刷されている。
その場合に、透明平板22の表面22a側の第1線状パターン23は、第1の実施の形態同様、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷されており、これによれば、スクリーン印刷物21を見る角度を変えると、透明平板22の表面側の線状パターン23としてのレンチキュラーレンズにより、裏面側の複数の線状パターン24,25,26の見え方が変化し、色彩及びその濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物1としての表示板41について説明する。図6は、表示板41の断面(図1のA−A断面)を示す。透明平板42の表42aには模様として第1の線状パターン43が印刷され、裏面42bには模様として色彩の異なる第2(シアン)、第3(マゼンタ)、第4(イエロー)、第5(ブラック)の線状パターン44,45,46,47が印刷されている。また、図7に示すように、これらの線状パターン43〜47はそれぞれ平行直線状とされていると共に、これらのパターン43〜47を構成する直線47,48,49,50,51は、各線状パターン43〜47毎に異なる角度で傾斜し、第3線状パターン45に係る直線49のみが表面42a側から見て表面42a側の線状パターン43を構成する直線42とほぼ平行とされている。また、各線状パターン43〜47を構成する直線48〜52の幅は、各線状パターン43〜47毎に、該パターン43〜47を構成する一端の直線48〜52側から他端の直線48〜52側に変化している。なお、図6に示す各直線47,48,49,50,51の幅は、一例として表記したものである。
すなわち、図7(a)に示すように、第1線状パターン43を構成する直線48は、約75°の角度で左下りに傾斜しており、かつ幅が左側から右側にかけて次第に太くなっており、図7(b)に示すように、第2線状パターン44を構成する直線49は、表面42a側から見て約105°の角度で右下りに傾斜しており、かつ幅が左側から右側にかけて次第に細くなっており、図7(c)に示すように、第3線状パターン45を構成する直線50は、表面42a側から見て約75°の角度で左下りに傾斜しており、かつ幅が左側から右側にかけて次第に太くなっており、図7(d)に示すように、第4線状パターン46を構成する直線51は、上下方向に延びて、幅が左側から(一端の直線51側から)中ほどへ次第に太くなり、中ほどから右側に(他端の直線51側に)再び細くなっており、図7(e)に示すように、第5線状パターン47を構成する直線52は、表面42a側から見て約45°の角度で左下りに傾斜しており、かつ幅が左上方から(一端の直線52側から)中ほどへ次第に太くなり、中ほどから右下方に(他端の直線52側に)再び細くなっている。また、透明平板42の裏面42bには、第2〜第5線状パターン44〜47に重ねて、白色のベタ塗り層53が印刷されている。
その場合に、透明平板42の表面42a側の第1線状パターン43は、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷されており、これによれば、スクリーン印刷物41を見る角度を変えると、透明平板42の表面42a側の第1線状パターン43としてのレンチキュラーレンズにより、裏面42b側の第2〜第5線状パターン44〜47の見え方が変化し、色彩及びその濃淡が見る角度により変化するグラデーションを実現することができる。その場合、第1線状パターン43と第3線状パターン45とを表面42a側から見てほぼ平行としたことにより、第3線状パターン45が最も見る角度により変化し易く、効果的に動的効果を付与することができる。換言すれば、強調したい特定の色彩に係る線状パターンとレンチキュラーレンズ状の第1の線状パターン43とをほぼ平行とすると共にそのピッチもほぼ同一とすることにより選択的に動的効果を付与することができるようになる。
次に、第4の実施の形態に係る視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物61について説明する。第4の実施の形態に係るスクリーン印刷物61は、第3の実施の形態をベースとしたもので、各線状パターンは、第3の実施の形態と同様の傾きとされている。図8(a)に示す炎の模様に動的効果を付与しようとするものである。すなわち、該模様を、前述の図6(a)〜(e)のような第1〜第5の線状パターンで構成するものであり、そのうちの第3線状パターン61の模様を図8(b)に示す。第3線状パターン61は、炎を構成する重要な色彩のマゼンタ色の平行な複数の線62で構成されている。
ここで、一般に、スクリーン印刷によるカラー印刷物の模様は、通常シアン,マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の点で構成され、これらの点は不規則に配置されるが、これにレンチキュラーレンズを組み合わせても、動的効果を得にくいという問題がある。そこで、本実施の形態においては、各線状パターンを構成する直線は複数の点で構成されているものの、点状に不規則に設けるのでなく、これらを直線上に配置し、かつ幅が1本の直線の中で細くなったり太くなるようにしている。また、表面側の第1線状パターンは、表面側から見て上記マゼンタ色の直線62と平行とされており、これにより、該マゼンタ色の直線62に最も効果的な動的効果を付与して、炎のゆらめきを表現するようにしている。
このように第4の実施の形態によれば、絵画等においても効果的に動的効果を付与することができるようになる。
次に、上記複数の実施の形態で説明したスクリーン印刷物の印刷方法について、第2の実施の形態に係るスクリーン印刷物21を例にとって説明する。
まず、透明平板22の裏面22bに第2線状パターン24(シアン)を印刷する。次に、同裏面22bに第3線状パターン25(マゼンタ)を印刷する。次に、同裏面22bに第4線状パターン26(イエロー)を印刷する。次に、これらの線状パターン24,25,26に重ねて、白べた塗り層31を印刷する。そして、透明平板22の表面22aに、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン法で第1線状パターン23(無色透明)を印刷する。その場合に、第1線状パターン23は、前述のように紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状に印刷されるが、該紫外線硬化インキは速やかに固化する性質を有するので、その形状が平坦になったりすることなく、印刷時のまま維持されることとなる。そして、この印刷方法によれば、レンチキュラーレンズ状の模様を容易にかつ安価にしかも速やかにかつ確実に形成することができる。
なお、第3、第4の実施の形態で説明した線状パターンを構成する直線の角度は一例であり、図柄等に応じて変更すればよい。
本発明は、視覚的な動的効果を生じさせるシルクスクリーン印刷物の印刷技術に広く適用することができる。
1 シルクスクリーン印刷物
12 透明平板
12a 表面
12b 裏面
13 第1線状パターン
14 第2線状パターン
15 第1線状パターンを構成する直線
16 第2線状パターンを構成する直線
12 透明平板
12a 表面
12b 裏面
13 第1線状パターン
14 第2線状パターン
15 第1線状パターンを構成する直線
16 第2線状パターンを構成する直線
Claims (6)
- 透明平板の表裏二面にそれぞれ模様が印刷された視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物であって、表面側の模様は、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン印刷されていることを特徴とする視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物。
- 透明平板の表裏二面の模様は第1、第2の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、各パターンを構成する直線は両線状パターン間で平行とされており、さらに、各パターンを構成する直線の繰返し周期としてのピッチは同一とされていると共に、表面側の第1の線状パターンを構成する直線の幅は同一とされ、裏面側の第2の線状パターンを構成する直線の幅は、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に次第に細くされていることを特徴とする請求項1に記載の視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物。
- 透明平板の表面側の模様は単一の線状パターンで構成されていると共に、裏面側の模様は色彩の異なる複数の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、各パターンを構成する直線は全ての線状パターン間で平行とされており、さらに、各パターンを構成する直線の繰返し周期としてのピッチは同一とされていると共に、上記表面側の線状パターンを構成する直線の幅は同一とされ、裏面側の線状パターンを構成する直線の幅は、各線状パターン毎に、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に変化していることを特徴とする請求項1に記載の視覚的な動的効果を有するシルクスクリーン印刷物。
- 透明平板の表面側の模様は単一の線状パターンで構成されていると共に、裏面側の模様は色彩の異なる複数の線状パターンで構成されており、かつ、それぞれの線状パターンは平行直線状とされていると共に、裏面側の線状パターンを構成する直線は、各線状パターン毎に異なる角度で傾斜して、一つの線状パターンに係る直線のみが表面側の線状パターンを構成する直線とほぼ平行とされており、さらに、これらの線状パターンを構成する直線の幅は、各線状パターン毎に、該パターンを構成する一端の直線側から他端の直線側に変化していることを特徴とする請求項1に記載の視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物。
- 複数の線状パターンにより所定の物が表現されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の視覚的な動的効果を有するスクリーン印刷物。
- 透明平板の表裏二面に視覚的な動的効果を有する模様を印刷する方法であって、表面側の模様を、紫外線硬化インキを用いてレンチキュラーレンズ状にシルクスクリーン法で印刷することを特徴とする視覚的な動的効果を有する模様の印刷方法。
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