ところが、上述のような蓋体1では、ラッチ用アーム4の基端部がカム部材3で捕捉されて延出されながら上方へ持ち上げられることで、ラッチ用アーム4が支点5を中心に回動する構成であるため、てこの原理に置き換えると、ラッチ用アーム4の基端が力点、先端が作用点、支点5が支点となっている。
この場合において、容器本体内の機密性を高めるために蓋体1を容器本体に強く押し付けるには、ラッチ用アーム4の先端を、容器本体側の穴部に強く押し付けることが必要である。
これを実現するためには、カム部材3とラッチ用アーム4の強度を高める必要がある。これは、ラッチ用アーム4の先端部と支点5との間隔が長いためである。この場合、支点5をラッチ用アーム4の先端側にずらせば、カム部材3とラッチ用アーム4の強度を高めなくても、ラッチ用アーム4の先端を容器本体側の穴部に強く押し付けることができる。
しかし、支点5を先端側にずらすと、ラッチ用アーム4の基端部を上方へ持ち上げる距離を長くしなければならず、この持ち上げる距離を確保しようとすると、蓋体1が厚くなってしまうという問題がある。
また、蓋体の裏面には通常ウエハ押えが設けられ、容器本体に収納された半導体ウエハを上側から押さえて支持しているが、半導体ウエハの直径が大きくなると各半導体ウエハを支持する力も大きくする必要がある。このため、ウエハ押えが受ける半導体ウエハからの反発力が大きくなる。また、半導体ウエハの収納枚数が増える場合も同様に、半導体ウエハからの反発力が大きくなる。この結果、反発力によって蓋体及びウエハ押えが外側へ撓んでウエハ押えの中央部の押圧力が弱くなるため、外部から振動が伝わると、半導体ウエハが回転してしまうという問題がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、嵩張ることなく、強い力で確実に固定することができ、外部から振動が伝わっても薄板の回転を防止することができる薄板支持容器用蓋体を提供することを目的とする。
第1の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体に対して容易に固定及び固定解除して着脱できる簡易着脱機構を備え、当該簡易着脱機構が、延出して上記容器本体側に係止する係止部材と、当該係止部材に連結して出没動させる繰り出し部材と、当該繰り出し部材によって上記係止部材が繰り出される際に上記係止部材の先端側を一方へ押しやる先端側カムと、上記係止部材が繰り出される際に上記係止部材の基端側を他方へ押しやる基端側カムとを備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、繰り出し部材によって係止部材が繰り出される際に、先端側カムが係止部材の先端側を一方へ押しやると共に、基端側カムが係止部材の基端側を他方へ押しやる。これにより、蓋体が容器本体側に固定される。
第2の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第1の発明に係る薄板支持容器用蓋体において、上記先端側カムが、上記係止部材の先端側を一方へ押しやる斜面を備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、先端側カムの斜面で、係止部材の先端側が一方へ押しやられて、容器本体側に係止する。
第3の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第1又は2の発明に係る薄板支持容器用蓋体において、上記基端側カムが、上記係止部材の基端側を他方へ押しやる斜面を備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、基端側カムの斜面で、係止部材の基端側が他方へ押しやられて、容器本体側に係止する。
第4の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第1ないし3の発明のいずれかに係る薄板支持容器用蓋体において、上記係止部材の先端側に、係止部材の回動の支点部を設けたことを特徴とする。
上記構成により、支点部を中心にして係止部材が回動する。支点部は係止部材の先端側に設けられているため、てこの原理により、蓋体を容器本体に強い力で押し付けることができる。
第5の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第1ないし4の発明のいずれかに係る薄板支持容器用蓋体において、上記簡易着脱機構が、着脱自在に設けられると共に、構成部品を分解可能に組み付けたことを特徴とする。
上記構成により、洗浄する場合は、取り外して、各構成部品に分解して、個々に洗浄する。これにより、隅々まで洗浄できると共に、速やかに乾燥させることができる。
第6の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが互い違いに配設された支持片を備えたことを特徴とする。
上記構成により、互い違いに配設された支持片が薄板の周縁を支持する。このとき、薄板の周縁は、各支持片が互い違いに当接して、確実に支持する。
第7の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが、互い違いに配設された支持片を備えた2つの当接片と、当該各当接片を弾性的に支持する弾性支持板部とからなり、上記弾性支持板部が各当接片の間及び両側を支持して取り付けられると共に、各当接片の間の弾性支持板部が、僅かに浮いた状態で各当接片を支持することを特徴とする。
上記構成により、各当接片の間の弾性支持板部を、取付面より僅かに浮いた状態で当接片を支持するため、通常はあまり強くない力で薄板を支持する。薄板支持容器が誤って落下した場合等のように、外部から大きな衝撃が加わると、各当接片の間の弾性支持板部が支持面に当接して、各当接片を強く支持する。これにより、薄板を強い衝撃から守る。
第8の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体に取り付けられた状態でその外側から覆って固定する蓋体ホルダーを備えたことを特徴とする。
上記構成により、蓋体ホルダーを容器本体に取り付けて蓋体を支持する。これにより、落下等により強い衝撃が加わっても容器本体から蓋体が外れることがなくなる。
第9の発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された複数の薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが、並列に複数配設されて上記複数の薄板にそれぞれ直接に当接される当接片を備え、上記並列の各当接片が、その両側に位置するものに比べて中央側に位置するものを上記薄板側へ隆起させて配設されたことを特徴とする。
上記構成により、両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて配設された各当接片が、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
第10発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第9発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記薄板押えが、蓋体裏面側に固定される基端支持部と、当該基端支持部に支持されて上記各当接片の一端をそれぞれ支持する複数の弾性支持板部とを備え、上記各当接片を支持する各弾性支持板部が、両側に位置する上記当接片に比べて中央側に位置する上記当接片を上記薄板側へ隆起させるように、形成されたことを特徴とする。
上記構成により、各弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
第11発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第9発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記薄板押えが、蓋体裏面側に固定される基端支持部と、上記基端支持部に支持されて上記各当接片の一端をそれぞれ支持する複数の一側弾性支持板部と、上記各当接片の他端をそれぞれ支持して上記蓋体裏面側に当接する複数の他側弾性支持板部とを備え、上記各当接片を支持する一側弾性支持板部又は他側弾性支持板部の一方又は両方が、両側に位置する上記当接片に比べて中央側に位置する上記当接片を上記薄板側へ隆起させるように、形成されたことを特徴とする。
上記構成により、一側弾性支持板部又は他側弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
第12発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第9発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記薄板押えが、蓋体裏面側に固定される基端支持部と、上記基端支持部に支持されて上記各当接片の一端をそれぞれ支持する複数の一側弾性支持板部と、上記各当接片の他端をそれぞれ支持して上記蓋体裏面側に当接する複数の他側弾性支持板部と、上記蓋体裏面側に設けられ上記他側弾性支持板部に当接して当該他側弾性支持板部を支持する支持用凸条とを備え、上記支持用凸条又は他側弾性支持板部の一方又は両方を、両側に位置する上記当接片に比べて中央側に位置する上記当接片を上記薄板側へ隆起させるように、形成されたことを特徴とする。
上記構成により、支持用凸条又は他側弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
第13発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第9ないし第12の発明のいずれかに記載の薄板支持容器用蓋体において、上記当接片が、40°〜44°の傾斜を有するV字溝を備えたことを特徴とする。
上記構成により、薄板の縁部が40°〜44°の傾斜を有するV字溝に嵌合すると、当該V字溝が薄板の縁部を掴み、各薄板を確実に支持することができる。
第14発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが、蓋体裏面側に固定される2つの基端支持部と、上記薄板の周縁に沿って複数個配設されて当該薄板に直接に当接される当接片と、上記各基端支持部にそれぞれ支持されて上記複数の当接片のうち両端の当接片の外側端を支持する2つの弾性支持板部と、上記各当接片の間を互いに連接して各当接片を支持する連接支持板部と、当該連接支持板部の上記蓋体裏面に沿うズレを防止して上記蓋体裏面に垂直な方向の変動を許容する支持用部材とを備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、複数の当接片のうち両端の当接片の外側端を弾性支持板部で支持され、各当接片の間を連接支持板部で支持されると共にこの連接支持板部が支持用部材で支持されることで、各当接片が薄板の周縁を確実に支持する。特に、各当接片の間が、支持用部材に支持された連接支持板部によって支持されるので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
第15発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第14発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記支持用部材が、上記各連接支持板部を上記蓋体裏面に沿ってズレないように個別に支持する支持用リブを備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、支持用リブが連接支持板部を支持するので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
第16発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第14発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記支持用部材が、上記連接支持板部に設けられた嵌合穴に嵌合することで、上記連接支持板部の上記蓋体裏面に沿うズレを防止して上記蓋体裏面に垂直な方向の変動を許容する嵌合突起を備えて構成されたことを特徴とする。
上記構成により、連接支持板部に設けられた嵌合穴に嵌合突起が嵌合して連接支持板部を支持するので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
第17発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第14発明にかかる薄板支持容器用蓋体において、上記弾性支持板部が上記当接片を支持する弾性力よりも、上記連接支持板部が上記当接片を支持する弾性力を強くしたことを特徴とする。
上記構成により、連接支持板部が当接片を支持する弾性力を強くすることで、薄板押えの中央部と端部とでの弾性力(支持力)の違いを解消して、薄板を押さえる力を全体に均等化させることができ、薄板を確実に支持することができる。
第18発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された上記薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが、上記薄板に直接に当接して当該薄板を支持する当接片を備え、当該当接片が、上記薄板の縁部に嵌合するV字溝を備え、当該V字溝の傾斜角が20°〜60°に設定したことを特徴とする。
上記構成により、上記当接片のV字溝に薄板が嵌合すると、この薄板の縁部がV字溝に食い込む。このとき、V字溝の傾斜角を20°〜60°に設定していると、薄板の縁部がV字溝に食い込んで支持される。さらに、当接片を薄板から引き離すときも、V字溝に食い込んだ薄板は、V字溝に引っかかることなく、スムーズに離れる。V字溝の傾斜角を20°以下に設定すると、当接片を薄板から引き離すときに、薄板がV字溝に引っかかって引っ張り出されてしまう。V字溝の傾斜角を60°以上に設定すると、当接片のV字溝への薄板の食い込みが足りずに回転してしまう。V字溝の傾斜角を20°〜60°に設定すると、薄板のV字溝への食い込みによる回転防止と、スムーズな引き離しを両立できる。
第19発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第18発明に係る薄板支持容器用蓋体であって、上記V字溝に、上記薄板の縁部が嵌合した状態で当該薄板の縁部と当該V字溝の底部との間に隙間を有することを特徴とする。
上記構成により、当接片のV字溝に薄板が嵌合すると、この薄板の縁部がV字溝に食い込むが、このとき、薄板の縁部とV字溝の底部との間には隙間があって互いに接触していないため、薄板の縁部とV字溝の傾斜面とが強く押し付けられる。これにより、薄板がV字溝に食い込んで確実に支持される。
第20発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された上記薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが、上記薄板に直接に当接して当該薄板を支持する当接片を備え、当該当接片が、上記薄板の縁部のエッジ角と同じ傾斜角度を有するV字溝を備えると共に、当該V字溝に上記薄板の縁部が嵌合した状態で当該薄板の縁部と上記V字溝の底部との間に隙間を有することを特徴とする。
上記構成により、当接片のV字溝に薄板が嵌合すると、この薄板の縁部のエッジ角とV字溝の傾斜角度とが整合して、広い面積で接触する。このとき、薄板の縁部とV字溝の底部との間には隙間があって互いに接触していないため、薄板の縁部とV字溝の傾斜面とが広い面積で接触した状態で強く押し付けられる。
第21発明に係る薄板支持容器用蓋体は、第20発明に係る薄板支持容器用蓋体において、上記当接片のV字溝の傾斜角度が44°に設定されたことを特徴とする。
上記構成により、エッジ角が44°に設定された薄板が、44°の傾斜角度に設定された当接片のV字溝に嵌合すると、薄板の縁部とV字溝とが整合して、広い面積で接触した状態で強く押し付けられる。
第22発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された上記薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが上記薄板に当接して当該薄板を支持する際に、その反発力で外側へ撓む中央部を、その撓みを打ち消すように予め上記容器本体側へ窪ませて形成されたことを特徴とする。
上記構成により、薄板支持容器用蓋体の中央部を窪ませることで、薄板押えが薄板に当接して当該薄板を支持する際に、その反発力を吸収することができる。薄板を支持する際の反発力で薄板支持容器用蓋体の中央部が外側へ撓むが、この撓みによって予め窪まされた中央部が平らな状態になって打ち消され、薄板全体を均一な力で支持する。
第23発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、上記容器本体内に収納された上記薄板を支持するための薄板押えを備え、当該薄板押えが上記薄板に当接して当該薄板を支持する際に、その反発力で外側へ撓む周囲の補強用フランジを、その撓みを打ち消すように予め上記容器本体側へ湾曲させて形成されたことを特徴とする。
上記構成により、薄板支持容器用蓋体の周囲の補強用フランジを予め湾曲させておくことで、薄板押えが薄板に当接して当該薄板を支持する際に、その反発力を吸収することができる。薄板を支持する際の反発力で補強用フランジが外側へ撓むが、この撓みによって予め湾曲させて形成された補強用フランジが直線状になって打ち消され、薄板全体を均一な力で支持する。
第24発明に係る薄板支持容器用蓋体は、内部に薄板を複数枚収納して搬送される薄板支持容器の容器本体を塞ぐ薄板支持容器用蓋体であって、周囲を形成する補強用フランジに補強部材を入れてインサート成形したことを特徴とする。
上記構成により、薄板支持容器用蓋体の周囲を形成する補強用フランジに補強用部材を入れてインサート成形したので、薄板押えが薄板に当接して当該薄板を支持する際に、その反発力に耐えることができ、薄板全体を均一な力で支持する。
以上詳述したように、本発明の薄板支持容器によれば、次のような効果を奏する。
(1) てこの原理を用いて係止部材を繰り出すので、製造ライン用蓋体を容器本体に強い力で確実に固定することができる。
(2) 簡易着脱機構は各構成部品に容易に分解することができるため、洗浄する場合は、取り外して各構成部品に分解して、隅々まで洗浄できると共に、速やかに乾燥させることができる。
(3) 支持片を互い違いに配設したので、薄板の周縁に各支持片が互い違いに当接して、確実に支持することができる。
(4) 並列の各当接片のうち、その両側に位置するものに比べて中央側に位置するものを薄板側へ隆起させて配設したので、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
(5) 各弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
(6) 一側弾性支持板部又は他側弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
(7) 支持用凸条又は他側弾性支持板部が、並列に配設された各当接片のうち両側に比べて中央側を薄板側へ隆起させて支持するため、蓋体の撓みを吸収して、各薄板を均等な力で支持することができる。
(8) 各当接片の間の連接支持板部が支持用部材に支持されるので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
(9) 連接支持板部が支持用リブに支持されるので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
(10) 連接支持板部に設けられた嵌合穴に嵌合突起が嵌合して連接支持板部を支持するので、各当接片が蓋体裏面に沿ってズレるのを防止することができ、薄板を確実に支持することができる。
(11) 連接支持板部が当接片を支持する弾性力を強くすることで、薄板押えの中央部と端部とでの支持力の違いを解消して、薄板を押さえる力を全体に均等化させることができ、薄板を確実に支持することができる。
(12) 当接片のV字溝の傾斜角を20°〜60°に設定するため、薄板の縁部がV字溝に食い込んで支持され、薄板の回転が防止される。さらに、当接片を薄板から引き離すときも、V字溝に食い込んだ薄板は、V字溝に引っかかることなく、スムーズに離れる。これにより、薄板を確実に支持できると共に、蓋体の着脱が容易になる。
(13) 薄板の縁部と当接片のV字溝の底部との間に隙間を有するため、V字溝に薄板が嵌合したときに、薄板の縁部とV字溝の底部とが互いに接触せず、薄板の縁部とV字溝の傾斜面とが強く押し付けられる。これにより、薄板がV字溝に食い込んで確実に支持される。
(14) 当接片が、薄板の縁部のエッジ角と同じ傾斜角度を有するV字溝を備えると共に、当該V字溝に上記薄板の縁部が嵌合した状態で当該薄板の縁部と上記V字溝の底部との間に隙間を有するため、薄板の縁部のエッジ角とV字溝の傾斜角度とが整合して広い面積で接触し、薄板の縁部とV字溝の底部との隙間によって、薄板の縁部とV字溝とが強く押し付けられる。即ち、当接片を薄板に強く押し付けなくても、薄板の縁部をV字溝の傾斜面に強く押し付けることができる。この結果、薄板押えを薄板にあまり強く押し付けなくても、この薄板押えで薄板を確実に支持することができ、振動等による薄板の回転を防止することができる。これにより、蓋体を容器本体にあまり強く取り付けなくても薄板を確実に支持することができ、蓋体の強度を増す必要もなくなる。
(15) 当接片のV字溝の傾斜角度を44°に設定したため、このV字溝と、エッジ角が44°に設定された薄板とが整合し、広い面積で接触して強く押し付けられる。この結果、薄板押えを薄板にあまり強く押し付けなくても、この薄板押えで薄板を確実に支持することができ、振動等による薄板の回転を防止することができる。これにより、蓋体を容器本体にあまり強く取り付けなくても薄板を確実に支持することができ、振動等による薄板の回転を防止することができる。これにより、蓋体を容器本体にあまり強く取り付けなくても薄板を確実に支持することができ、蓋体の強度を増す必要もなくなる。
(16) 薄板支持容器用蓋体の中央部を窪ませて、薄板押えが薄板に当接して当該薄板を支持する際の反発力による薄板支持容器用蓋体の中央部の撓みを上記窪みによって打ち消して、全体を均一な力で支持することができるため、振動等による薄板の回転を防止することができる。
薄板支持容器用蓋体の周囲の補強用フランジを上記容器本体側への撓ませる場合も、薄板押えが薄板に当接して当該薄板を支持する際の反発力による補強用フランジの撓みを上記容器本体側への撓みによって打ち消して、全体を均一な力で支持することができるため、振動等による薄板の回転を防止することができる。
(17) 本体部の周囲の補強用フランジに補強用部材を入れてインサート成形して補強し、薄板押えが薄板を支持する際に、その反発力に耐えて全体を均一な力で支持するため、振動等による薄板の回転を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明の薄板支持容器は、半導体ウエハ、記憶ディスク、液晶ガラス基板等の薄板を収納して、保管、輸送、製造ライン等における使用に供するための容器である。なお、ここでは、半導体ウエハを収納する薄板支持容器を例に説明する。薄板支持容器を塞ぐ蓋体として、輸送用の蓋体と、製造ラインで使用する蓋体とを使い分けている。
[第1実施形態]
本実施形態に係る薄板支持容器11は、図3〜8に示すように、内部に半導体ウエハ(図示せず)を複数枚収納する容器本体12と、この容器本体12内の対向する側壁にそれぞれ設けられて内部に収納された半導体ウエハを両側から支持する2つの薄板支持部13と、容器本体12を塞ぐ輸送用蓋体14及び製造ライン用蓋体15と、工場内の搬送装置(図示せず)の腕部で把持されるトップフランジ16と、作業者が手で薄板支持容器11を持ち運ぶときに掴む持ち運び用ハンドル17とから構成されている。
容器本体12は、図3,4に示すように、全体をほぼ立方体状に形成されている。この容器本体12は縦置き状態(図3,4の状態)で、周囲の壁となる4枚の側壁部12A,12B,12C,12Dと底板部12Eとから構成され、その上部に開口12Fが設けられている。この容器本体12は、半導体ウエハの製造ライン等においてウエハ搬送用ロボット(図示せず)に対向して据え付けられるときには、横置きにされる。この横置き状態で底部となる側壁部12Aの外側には、薄板支持容器11の位置決め手段(図示せず)が設けられている。横置き状態で天井部となる側壁部12Aの外側にはトップフランジ16が着脱自在に取り付けられている。横置き状態で横壁部となる側壁部12C,12Dの外側には持ち運び用ハンドル17が着脱自在に取り付けられている。
容器本体12の各側壁部12A,12B,12C,12Dの上端部には、図5及び図6に示すように、蓋体4が嵌合するための蓋体受け部21が設けられている。この蓋体受け部21は容器本体12の上端部を、蓋体4の寸法まで広げて形成されている。これにより、蓋体4は、蓋体受け部21の垂直板部21Aの内側に嵌合し、水平板部21Bに当接することで、蓋体受け部21に取り付けられるようになっている。さらに、水平板部21Bには、その全周にシール溝21Cが設けられ、輸送用蓋体14の下側面に取り付けられたガスケット22が嵌合して薄板支持容器11の内部を密封するようになっている。蓋体受け部21の四隅の垂直板部21Aの内側面には、後述する輸送用簡易着脱機構26の蓋体係止爪(図示せず)が嵌合して輸送用蓋体14を容器本体12側に固定するための第1被嵌合部23が設けられている。この第1被嵌合部23は、垂直板部21Aを四角形状に窪ませて形成され、その内側上面に蓋体係止爪が嵌合するようになっている。
さらに、各第1被嵌合部23の近傍には、第2被嵌合部24が設けられている。この第2被嵌合部24は、製造ラインで使用するためのものである。第2被嵌合部24は、製造ライン用蓋体15の簡易着脱機構32の係止部材42が嵌合されて、製造ライン用蓋体15を容器本体12側に固定するようになっている。
輸送用蓋体14は、公知の蓋体である。この輸送用蓋体14は、皿状に形成され、その中央部が、内部に収納される半導体ウエアの上部に接触しないように、円筒状に盛り上げて形成されている。
輸送用蓋体14の四隅には、図3、4に示すように、輸送用蓋体14を容器本体12に対して着脱自在に固定する輸送用簡易着脱機構26が設けられている。この輸送用簡易着脱機構26は主に、輸送用蓋体14の周縁部から突出した状態で設けられた蓋体係止爪(図示せず)を備えて構成されている。この蓋体係止爪が第1被嵌合部23に嵌合するようになっている。
製造ライン用蓋体15は、輸送されてきた薄板支持容器11の容器本体12をそのまま工場内の製造ラインに使用できるようにするための蓋体である。この製造ライン用蓋体15は、上記薄板支持容器11とは独立した単体の製品として半導体製造工場等に置かれる。製造ライン用蓋体15は図7,8に示すように、本体部30と、カバー板(図示せず)と、簡易着脱機構32とから構成されている。
本体部30は、全体を薄肉のほぼ四角形状に形成されると共にその周囲に補強用フランジが形成され、容器本体12の蓋体受け部21に装着された状態で外部にはみ出さないようになっている。本体部30の下部の周囲にはガスケット受け部31が取り付けられている。このガスケット受け部31には、ガスケット(図示せず)が設けられ、本体部30が蓋体受け部21に装着された状態で、シール溝21Cに嵌合して容器本体12内をシールするようになっている。なお、ガスケットは、輸送用蓋体14のガスケット22と同様に、シール溝21Cの形状に合わせて適宜形成される。
製造ライン用蓋体15の本体部30のうち長手方向両側(図7中の左上、右下方向両側)の端部には、簡易着脱機構32が取り付けられる凹部33がそれぞれ設けられている。この凹部33は、本体部30の端部をほぼ長方形状に窪ませて形成されている。凹部33の長手方向両端部(図7中の右上、左下方向両端部)には、後述する係止部材42の先端嵌合部56が出没する開口34が設けられている。この開口34は、本体部30が蓋体受け部21に嵌合された状態で、蓋体受け部21の第2被嵌合部24に整合する位置に設けられている。凹部33の底部には、回転支持軸36と、ストッパ37と、係止爪38と、基端下側カム39と、先端側カム40とがそれぞれ設けられている。凹部33には、カバー板が着脱自在に取り付けられている。このカバー板は、凹部33内に設けられる簡易着脱機構32を洗浄する際に取り外される。
回転支持軸36は、後述する繰り出し部材43を回転可能に支持するための部材である。回転支持軸36は、底部から円柱状に隆起させて設けられている。この回転支持軸36が、繰り出し部材43の回転筒部63に嵌合されて、繰り出し部材43を回転可能に支持する。ストッパ37は、繰り出し部材43を所定角度に回動した状態で支持するための部材である。このストッパ37は、回転支持軸36の周囲2カ所に、底部から立ち上げた板状部材によって構成されている。この板状部材を湾曲させて受け部37Aが形成されている。この受け部37Aに、繰り出し部材43の係合片65の突起部65Aが嵌合することで、繰り出し部材43を所定角度で支持する。
係止爪38は、後述するカバー押え46を凹部33の底部に固定するための部材である。カバー押え46は、凹部33の長手方向両側にそれぞれ取り付けられるため、それに合わせて係止爪38も、凹部33の長手方向両側に6個ずつそれぞれ取り付けられている。係止爪38は、L字状の部材で構成され、カバー押え46の下側支持板片88が嵌合するようになっている。
基端下側カム39と先端側カム40は後述するカム機構44を構成する部材である。また、基端下側カム39と後述する基端上側カム53は、係止部材42が繰り出される際に係止部材42の基端側を下方へ押し下げる基端側カムを構成している。
基端下側カム39は、図1及び図7に示すように、係止部材42の繰り出しに伴って、その基端側を他方(図1の下方)へ押しやる(押し下げる)ための部材である。この基端下側カム39は、回転支持軸36の両側にそれぞれ設けられている。基端下側カム39は、その側面断面形状をほぼ三角形状に形成されて、係止部材42の基端側を上下させる斜面39Aを備えて構成されている。この斜面39Aは、係止部材42の基端側摺接面52との摩擦抵抗を小さくするために鏡面仕上げがされている。
先端側カム40は、係止部材42の繰り出しに伴って、その先端嵌合部56を一方(図1の上方)へ押しやる(持ち上げる)ための部材である。この先端側カム40は、凹部33の長手方向両端部に、開口34に臨ませた状態で設けられている。先端側カム40は、その側面断面形状を三角形状に形成されて、係止部材42の先端側を上方へ持ち上げる斜面40Aを備えて構成されている。この斜面40Aは、係止部材42の支点部55の先端側摺接面55Aとの摩擦抵抗を小さくするために鏡面仕上げがされている。斜面40Aの上端部には、嵌合凹部40Bが設けられている。この嵌合凹部40Bは、係止部材42の支点部55が嵌合する部分である。
凹部33内には簡易着脱機構32が設けられている。この簡易着脱機構32は、製造ライン用蓋体15を容器本体12に対して容易に着脱できるようにするための装置である。簡易着脱機構32は、図1に示すように、係止部材42と、繰り出し部材43と、カム機構44と、保持カバー45と、カバー押え46とから構成されている。
係止部材42は、製造ライン用蓋体15が容器本体12の蓋体受け部21に装着された状態で、本体部30の開口34から延出して、蓋体受け部21の第2被嵌合部24に嵌合するための部材である。この係止部材42は、図1、図9〜11に示すように、連結軸51と、基端側摺接面52と、基端上側カム53と、上側溝部54と、支点部55と、先端嵌合部56と、基端側板部57と、先端側板部58とから構成されている。
連結軸51は、後述する繰り出し部材43の長穴部64に嵌合して、繰り出し部材43と係止部材42とを互いに連結するための部材である。連結軸51は、丸棒状に形成され、係止部材42の基端部に上側へ向けて設けられている。
基端側摺接面52は、基端下側カム39の斜面39Aに摺接して、係止部材42の基端部を上下動させるための部分である。この基端側摺接面52は、係止部材42の基端部の下側を斜めに削って形成されている。基端側摺接面52は、基端下側カム39の斜面39Aとの摩擦抵抗を小さくするために鏡面仕上げがされている。この基端側摺接面52が基端下側カム39の斜面39Aに摺接した状態で、係止部材42が繰り出されることによって、係止部材42の基端部が下方へ押し下げられ、係止部材42が引き込まれることによって、係止部材42の基端部が上方へ押し上げられるようになっている。
基端上側カム53は、基端下側カム39と共に、係止部材42の基端部を上下動させるための部分である。この基端上側カム53は、てこの原理で力点になる部分である。なお、連結軸51は、てこの原理の力点とはならず、単に係止部材42を出没動させる際の長手方向の力を受ける部分である。
基端上側カム53は、係止部材42の基端部の近傍に上側へ向けて設けられている。基端上側カム53は、その側面断面形状を三角形状に形成されて、係止部材42の基端側を上下させる斜面53Aを備えて構成されている。この基端上側カム53の斜面53Aは、基端下側カム39の斜面39Aと同様に、鏡面仕上げされ、後述する保持カバー45側のカム押え突起69と摺接するようになっている。基端上側カム53の斜面53Aは、基端下側カム39の斜面39Aとほぼ平行になるように設定されている。これにより、カム押え突起69と基端上側カム53の斜面53Aとが摺接した状態で係止部材42が繰り出されると、カム押え突起69で基端上側カム53が押されて係止部材42の基端部が下方へ押し下げられるようになっている。また、係止部材42が引き込まれると、基端下側カム39の斜面39Aで基端側摺接面52が押されて係止部材42の基端部が上方へ押し上げられるようになっている。
支点部55は、係止部材42の先端部を支持して回動中心になる部分である。この支点部55は、てこの原理での支点となる部分である。支点部55は、係止部材42の先端近傍の下側に、ほぼ直角に角張らせて形成されている。この角張った支点部55の頂点部分には先端側摺接面55Aが形成されている。この先端側摺接面55Aは、先端側カム40の斜面40Aに摺接して、係止部材42の先端嵌合部56を上下動させるための部分である。先端側摺接面55Aは、支点部55の頂点部分を斜めに削って形成されている。先端側摺接面55Aは、先端側カム40の斜面40Aとの摩擦抵抗を小さくするために鏡面仕上げがされている。この先端側摺接面55Aが先端側カム40の斜面40Aに摺接した状態で、係止部材42が繰り出されることによって、係止部材42の先端嵌合部56が上方へ押し下げられ、係止部材42が引き込まれることによって、係止部材42の先端部が下方へ押し上げられるようになっている。
さらに、支点部55は、先端側カム40の嵌合凹部40Bに嵌合することで、この嵌合凹部40Bを中心にして回動するようになっている。
先端嵌合部56は、凹部33の開口34から外部に延出して、蓋体受け部21の第2被嵌合部24に直接に嵌合するための部分である。この先端嵌合部56が、てこの原理の作用点になっている。先端嵌合部56は、蓋体受け部21の第2被嵌合部24に嵌合した状態で十分な力を発揮できるように、支点部55から僅かな距離を隔てて設けられている。
基端側板部57及び先端側板部58は、係止部材42を支持して往復動を許容するための部材である。
繰り出し部材43は、係止部材42に連結して係止部材42を出没動させるための部材である。この繰り出し部材43は、凹部33の回転支持軸36に回転可能に取り付けられている。繰り出し部材43は、図1,7,12〜15に示すように、天板部61と、キー溝62と、回転筒部63と、長穴部64と、係合片65とから構成されている。
天板部61は、ほぼ円盤状に形成されている。この天板部61の対向する2カ所には、係合片65を設けるための切り欠き66が設けられている。
キー溝62は、蓋体着脱装置(図示せず)で製造ライン用蓋体15を自動的に着脱する際に装置のラッチキーが嵌合するための溝である。このキー溝62は、天板部61の上側面の中心に設けられている。
回転筒部63は、繰り出し部材43を凹部33の回転支持軸36に回転可能に取り付けるための部材である。この回転筒部63は、天板部61の下側面の中央部に設けられている。この回転筒部63の中心に、キー溝62が位置するようになっている。
長穴部64は、繰り出し部材43の回転を係止部材42の出没動作に変換するための部分である。長穴部64は、天板部61の対向する2カ所にそれぞれ設けられている。この長穴部64は、その一端部64Aが天板部61の中心に近く、他端部64Bが遠くなるように、螺旋の一部で構成されている。係止部材42の連結軸51が長穴部64の一端部64Aで嵌合しているときに、係止部材42は引き込まれ、他端部64Bで嵌合しているときに、係止部材42は繰り出されるようになっている。
この長穴部64のうち天板部61の下側面には、なだらかに傾斜した壁面64Cが設けられている。この壁面64Cは、長穴部64の一端部64Aで天板部61の下側面と同じ高さに、他端部に行くに従って次第に高くなるように設定されている。これは、係止部材42と繰り出し部材43とを確実に連結するためである。即ち、係止部材42の連結軸51が長穴部64の他端部64Bで嵌合して繰り出されている状態では、係止部材42の基端部は下方へ押し下げられているため、その基端部が押し下げられた状態でも連結軸51が長穴部64に確実に嵌合できるようにするためである。
係合片65は、繰り出し部材43を所定角度だけ回動させた状態で支持するための部材である。係合片65は、天板部61の周縁の対向する2カ所にそれぞれ設けられている。係合片65は、天板部61から周縁に沿って延びた板状部材で構成されている。係合片65の先端部は、ストッパ37の受け部37Aに嵌合する突起部65Aが設けられている。さらに、係合片65は弾性を有し、突起部65Aを弾性的に支持している。この突起部65Aがストッパ37の受け部37Aに嵌合することで、繰り出し部材43が所定角度(係止部材42を延出させて製造ライン用蓋体15を容器本体12に固定した角度)回動したところで支持されるようになっている。
カム機構44は、繰り出し部材43で繰り出された係止部材42の先端嵌合部56が蓋体受け部21の第2被嵌合部24に嵌合された状態で、その第2被嵌合部24の上面に当接して、製造ライン用蓋体15を容器本体12側に押し下げて固定するための部材である。このカム機構44によって、繰り出し部材43で繰り出される係止部材42の先端嵌合部56を押し上げて第2被嵌合部24の上面に当接させると共に、基端部を押し下げることでてこの原理により製造ライン用蓋体15を容器本体12側に押し下げて固定するようになっている。カム機構44は、基端下側カム39と、基端上側カム53と、基端側摺接面52と、カム押え突起69と、先端側カム40と、先端側摺接面55Aとから構成されている。なお、基端下側カム39、基端上側カム53、基端側摺接面52、先端側カム40及び先端側摺接面55Aは上述した通りである。
カム押え突起69は、基端上側カム53の斜面53Aに当接して、係止部材42の繰り出しに伴って係止部材42の基端部を押し下げるための部材である。このカム押え突起69は、保持カバー45の下側面に設けられている。具体的には、基端下側カム39の斜面39に係止部材42の基端側摺接面52が摺接した状態で、カム押え突起69と基端上側カム53の斜面53Aとが隙間なく摺接する位置に設けられている。
保持カバー45は、係止部材42と繰り出し部材43とを保持するための部材である。保持カバー45は、図16,17に示すように、繰り出し部材保持部71と、係止部材保持部72とから構成されている。
繰り出し部材保持部71は、繰り出し部材43をその回転を許容した状態で支持するための部材である。この繰り出し部材保持部71は、周縁板74と、天板75とから構成されている。周縁板74は、繰り出し部材43の周縁を覆って形成されている。天板75は、繰り出し部材43の上側を覆って形成されている。天板75の中央部には、繰り出し部材43のキー溝62と同じ大きさのキー穴76が設けられている。このキー穴76は、天板75が繰り出し部材43を覆った状態で繰り出し部材43のキー溝62と整合するようになっている。これにより、係止部材42が引き込まれた状態で、キー溝62とキー穴76とが整合するようになっている。
係止部材保持部72は、係止部材42をその往復動を許容した状態で支持するための部材である。この係止部材保持部72は、繰り出し部材保持部71の左右両側にそれぞれ設けられている。各係止部材保持部72は、側板78と、天板79とから構成されている。
側板78は、係止部材42の基端付近をその左右から支持するための部材である。側板78は、広幅部78Aと、狭幅部78Bとから構成されている。広幅部78Aは、係止部材42の基端側板部57がはめ込まれる部分である。狭幅部78Bは、係止部材42の基端側板部57と先端側板部58との間がはめ込まれる部分である。
天板79は、係止部材42をその上側から支持するための部材である。この天板の下側面の基端部には、上述したカム押え突起69が設けられている。天板79の下側面の先端部には、係止部材42の上側溝部54に嵌合する支持用突起80が設けられている。天板の先端側には、スリット81が設けられ、そのスリット81の先端に隆起部82が設けられている。この隆起部82は、中央隆起片82Aと、左右係止片82Bとから構成され、スリット81で弾性支持されている。この隆起部82の中央隆起片82A及び左右係止片82Bが、カバー押え46の十字状切り欠き86Aと嵌合することで、保持カバー45とカバー押え46との間の位置決めがなされるようになっている。
カバー押え46は、図1,18,19に示すように、保持カバー45を製造ライン用蓋体15の凹部33に固定するための部材である。具体的には、2つのカバー押え46が各係止部材保持部72をそれぞれ支持して、保持カバー45を凹部33に固定するようになっている。このカバー押え46は、側板85と、天板86と、上側支持板片87と、下側支持板片88とから構成されている。
各側板85は、係止部材42の左右を覆って、係止部材42の往復動を許容する。天板86は、各側板85を一体的に支持すると共に、係止部材42の上側を覆って、係止部材42の往復動を許容する。上側支持板片87は、保持カバー45の係止部材保持部72の天板79を、その下側から支持するための部材である。係止部材保持部72の天板79は、カバー押え46の天板86と上側支持板片87とで、上下から支持される。下側支持板片88は、カバー押え46を凹部33に固定するための部分である。下側支持板片88は、各側板85の下端部に3つずつ設けられている。各下側支持板片88が、凹部33に設けられた係止爪38に嵌合することで、カバー押え46を凹部33に固定する。各下側支持板片88には、係止爪38に嵌合しやすいように、テーパ88Aが設けられている。
輸送用蓋体14及び製造ライン用蓋体15の下側面には、図20,21,22に示すように、薄板押えとしてのウエハ押え91が設けられている。このウエハ押え91は、容器本体12内に収納された複数枚の半導体ウエハを、その上側から支持するための部材である。ウエハ押え91は、基端支持部92と、弾性支持板部93と、当接片94とから構成されている。
基端支持部92は、弾性支持板部93及び当接片94を支持するための部材である。基端支持部92は、ウエハ押え91の全長に亘って四角棒状に形成されて、蓋体の下側面に固定されている。
弾性支持板部93は、当接片94を弾性的に支持するための部材である。弾性支持板部93は、容器本体12内に収納される半導体ウエハの枚数分だけ並べて設けられている。各弾性支持板部93は、横一列に並べられた状態で基端支持部92にそれぞれ固定されている。弾性支持板部93は、側面形状をS字状に折り曲げられて第1支持板片93Aと、U字状に折り曲げた第2支持板片93Bとから構成されている。第1支持板片93Aはその基端部を基端支持部92に固定され、先端部に第1当接片94Aが固定されている。第2支持板片93Bは、その基端部が第1当接片94Aを介して第1支持板片93Aに一体的に接続され、先端部に第2当接片94Bが固定されている。
当接片94は、各半導体ウエハを直接的に支持するための部材である。各当接片94は、第1当接片94Aと、第2当接片94Bとからなり、半導体ウエハを2カ所で支持するようになっている。各当接片94は、2つのブロック96と、互い違いに配設された支持片としての支持爪97とから構成されている。
ブロック96は、傾斜面96Aと、当接面96Bとを備えている。傾斜面96Aは、2つのブロック96が互いに対向して取り付けられた状態で外側へ開くように形成され、半導体ウエハの周縁部が2つのブロック96の間に挿入しやすいようになっている。当接面96Bは、2つのブロック96が互いに対向して取り付けられた状態で、一定幅(半導体ウエハの厚さよりも僅かに広い幅)の溝を構成するように形成されている。
支持爪97は、半導体ウエハの周縁部に直接に接触して支持するための部材である。この支持爪97は、各ブロック96の当接面96Bにそれぞれ設けられている。支持爪97は縦長の凸条によって構成されている。この支持爪97は、対向する各当接面96Bに互い違いに配設されている。具体的には、支持爪97が、一方の当接面96Bの両端に2つ、他方の当接面96Bの中央に1つ設けられることで、対向する各支持爪97が互い違いに配設されている。各支持爪97は弾性部材で成形され、半導体ウエハの周縁部を弾性的に支持するようになっている。2つの当接面96Bの間の幅は半導体ウエハの厚さよりも僅かに広い幅であるため、各当接面96Bに配設される支持爪97の先端の間隔は半導体ウエハの厚さよりも狭くなる。このため、半導体ウエハは、互い違いに配設された弾性部材からなる各支持爪97を少し押し潰しながら各支持爪97の間に挿入されるようになっている。これにより、半導体ウエハの周縁部を、互い違いに配設された支持爪97が確実に支持するようになっている。
製造ライン用蓋体15の外側には、図23に示すように、蓋体ホルダー100が設けられている。この蓋体ホルダー100は、製造ライン用蓋体15が容器本体12から外れるのを防止するための部材である。蓋体ホルダー100は、支持板部101と、フック部102と、嵌合突起103とから構成されている。
支持板部101は、フック部102及び嵌合突起103を支持するための部材である。支持板部101の両端部にフック部102がそれぞれ設けられている。このフック部102は、容器本体12のフランジに引っ掛かるようになっている。
嵌合突起103は、支持板部101の一側面に設けられている。嵌合突起103は、キー溝62と同じ形状に形成され、キー穴76を介してキー溝62に嵌合するようになっている。嵌合突起103は、2つのキー溝62に整合する位置に2つ設けられている。これにより、フック部102を容器本体12のフランジに引っ掛けた状態で、各嵌合突起103が各キー溝62に嵌合して繰り出し部材43を固定するようになっている。これは、薄板支持容器の輸送中に、振動や衝撃等によって繰り出し部材43が回動して、製造ライン用蓋体15の容器本体12への固定が緩んでしまうのを防止するためである。
以上のように構成された薄板支持容器11は、次のようにして使用される。
製造ライン用蓋体15を容器本体12から取り外す場合は、ラッチキーをキー溝62に嵌合して回転させる。これにより、図24(A)の状態から、繰り出し部材43が回転して係止部材42が徐々に引き込まれる。これにより、係止部材42の支点部55の先端側摺接面55Aが先端側カム40の斜面40Aに摺接して、図24(B)(C)(D)のように、先端嵌合部56が下方へ押し下げられる。これと同時に、係止部材42の基端側摺接面52が基端下側カム39の斜面39Aに摺接して、係止部材42の基端部が押し上げられる。これにより、先端嵌合部56は、本体部30内部に完全に収納される。そして、製造ライン用蓋体15を容器本体12から取り外す。
製造ライン用蓋体15を容器本体12に取り付ける場合は、蓋体受け部21に製造ライン用蓋体15を取り付けて、ラッチキーをキー溝62に嵌合して回転させる。これにより、上記の場合と逆に、係止部材42が本体部30が押し出される。このとき、係止部材42の支点部55が先端側カム40の斜面40Aに摺接して先端嵌合部56が上方へ押し上げられる。さらに、基端上側カム53の斜面53Aにカム押え突起69が当接して、係止部材42の基端部を押し下げる。これにより、係止部材42の基端側摺接面52が基端下側カム39の斜面39Aに沿って下方へ押し下げられる。
係止部材42の支点部55では、先端側摺接面55Aが嵌合凹部40Bに嵌合して、係止部材42が嵌合凹部40Bを中心に回動する。
係止部材42の基端部では、基端側摺接面52が基端下側カム39の斜面39Aに摺接すると共に、カム押え突起69が基端上側カム53の斜面53Aに当接して、係止部材42の基端部を押し下げる。
これにより、係止部材42は、嵌合凹部40Bに嵌合した支点部55を支点にしたてことして機能し、先端嵌合部56が蓋体受け部21の第2被嵌合部24に嵌合した状態で、製造ライン用蓋体15を容器本体12側へ強く押し下げて固定する。
製造ライン用蓋体15を容器本体12に取り付けた状態で、蓋体ホルダー100を取り付ける。具体的には、フック部102を容器本体12のフランジ部に引っ掛ける。これにより、嵌合突起103がキー溝62に嵌合して繰り出し部材43を固定する。
容器本体12の内部では、半導体ウエハの周縁部が当接片94に嵌合される。当接片94では、半導体ウエハの周縁部は互い違いに配設された支持爪97の間にはまり込み、各支持爪97で確実に支持される。
薄板支持容器11の外部から強い衝撃が加わった場合は、係止部材42がてこの原理で製造ライン用蓋体15を容器本体12に強く押し付けているため、製造ライン用蓋体15が容器本体12から外れることはない。さらに、蓋体ホルダー100で繰り出し部材43を固定しているため、繰り出し部材43が回転して係止部材42が第2被嵌合部24から外れることもない。
一方、薄板支持容器11内の半導体ウエハは、ウエハ押え91の当接片94に嵌合して、互い違いに配設された支持爪97で両側から支持されているため、半導体ウエハが当接片94から外れることはない。さらに、当接片94は弾性支持板部93で支持しているため、第1支持板片93A及び第2支持板片93Bが自己の弾力で、また製造ライン用蓋体15の下側面に当たって半導体ウエハを支持し、半導体ウエハの破損を防止する。
洗浄する場合は、カバー押え46をずらして係止爪38から外すことで、簡易着脱機構32は、係止部材42、繰り出し部材43、カム機構44、保持カバー45及びカバー押え46がバラバラになり、個別に洗浄して乾燥させることができる。
以上のように、薄板支持容器11によれば、次のような効果を奏する。
(1) てこの原理を用いて係止部材42を繰り出すので、製造ライン用蓋体15を容器本体12に強い力で確実に固定することができる。
(2) 簡易着脱機構は各構成部品に容易に分解することができるため、洗浄する場合は、取り外して各構成部品に分解して、隅々まで洗浄できると共に、速やかに乾燥させることができる。
(3) 支持爪97を互い違いに配設したので、半導体ウエハの周縁に各支持爪97が互い違いに当接して、確実に支持することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、ウエハ押えを改良したものである。
薄板支持容器は搬送中等の種々の要因により振動することがある。この振動が半導体ウエハに伝わると、その振動によって半導体ウエハが回転してしまうことがあり、望ましくない。このため、薄板支持容器が振動に晒される態様で使用される場合は、本実施形態のウエハ押え(薄板押え)を用いる。図34〜図43に基づいて、本実施形態のウエハ押え121を説明する。なお、ウエハ押え121以外は上記第1実施形態の薄板支持容器11と同様であるため、同様の部材には同一符号を付してその説明を省略する。
ウエハ押え121は、図40に示すように、基端支持部122と、弾性支持板部123と、当接片124と、連接支持板部125と、支持用リブ126とから構成されている。
基端支持部122は、ウエハ押え121の両端にそれぞれ設けられて2つの弾性支持板部123を直接的に支持するための部材である。基端支持部122は、四角棒状に形成されると共に、ウエハ押え121の長手方向全長(図35の上下方向)に亘って形成されている。蓋体127の下側面には2つの鈎状支持部128がそれぞれ設けられている。基端支持部122は、各鈎状支持部128にはめ込まれて、蓋体裏面側に固定されている。
弾性支持板部123は、当接片124の外側端を弾性的に支持するための部材である。2つの弾性支持板部123は、容器本体12内に収納される半導体ウエハ120の枚数分だけ並べて設けられている。各弾性支持板部123は、横一列に並べられた状態で基端支持部122にそれぞれ固定されている。弾性支持板部123は、側面形状をS字状に折り曲げられて構成されている。2つの弾性支持板部123は、その基端部を2つの基端支持部122にそれぞれ固定され、先端部に当接片124がそれぞれ取り付けられて、各当接片124を弾性的に支持している。
当接片124は、各半導体ウエハ120の周縁部に直接に当接して各半導体ウエハ120を直接的に支持するための部材である。各当接片124の一側面には、図42及び図43に示すように、半導体ウエハ120が嵌合するV字状の嵌合溝124Aが設けられている。この嵌合溝124Aは2段階のV字溝になっている。1段目は、角度124°のなだらかな傾斜を有する溝となっている。2段目は、角度44°の傾斜を有する溝となっている。これにより、1段目の溝に半導体ウエハ120の縁が接触した場合は、この半導体ウエハ120の縁がなだらかな傾斜に案内されて2段目の溝に落ち込み、この2段目の溝で半導体ウエハ120が支持されるようになっている。2段目の溝の底部は、半導体ウエハ120の厚さとほぼ同じ幅で平坦面状に形成されている。この2段目の溝の傾斜角度及び底部の幅は、半導体ウエハ120の縁部の寸法に合わせて形成されている。半導体ウエハ120の縁部は44°のエッジ角でカットされているため、溝の傾斜角度を44°に設定している。さらに、溝の底部の幅も、半導体ウエハ120の縁部の幅に合わせて設定している。これにより、2段目の溝が、半導体ウエハ120の縁部を掴むことで、半導体ウエハ120を広い面積で接触しながら確実に支持し、振動に対して半導体ウエハ120の回転を抑えることができるようになっている。なお、2段目の溝は、半導体ウエハ120のエッジ角に合わせて44°に設定したが、当接片124の材質との関係で多少狭い角度でもよい。具体的には、弾性力の違いに応じて40°〜44°程度の範囲で適宜設定する。2段目の溝の角度があまり狭いと、半導体ウエハ120の縁部を挟んでしまい、蓋体127を持ち上げるときに半導体ウエハ120が一緒に持ち上がってしまうことがあるため、半導体ウエハ120を挟まない程度の角度に設定する。また、半導体ウエハ120のエッジ角度が異なる場合や、半導体ウエハ120以外の他の薄板の場合等においては、それに合わせて20°〜60°程度の範囲で適宜設定する。
嵌合溝124Aの底部は、図40及び図41に示すように、半導体ウエハ120の外周縁形状に沿った角度、即ち半導体ウエハ120の外周縁の接線方向になるように設定され、後述するようにウエハ押え121の撓み量に比例して弾性力が強くなるため、各当接片124が半導体ウエハ120を押さえる力を全体に均等化させている。即ち、2つの当接片124の一方の変化量が大きくなると、その変化量に応じて弾性力が強くなって他方の当接片124側に半導体ウエハ120を僅かに押しやり、2つの当接片124の弾性力が同じ強さになる点で落ち着くため、結果的に左右が同じ弾性力になるように自動的に調整されるようになっている。さらに、容器本体12に蓋体127が取り付けられた状態で、嵌合溝124Aのほぼ中央部付近(図41中の接点A)で底部と接触するように設定されている。
連接支持板部125は、2つの当接片124の間を互いに連接して支持するための部材である。連接支持板部125の両端部が各当接片124にそれぞれ接続されて各当接片124を弾性的に支持している。連接支持板部125は、側面形状をほぼU字状に折り曲げて形成されている。具体的には、両側の縦板部125A,125Bと、横板部125Cとから構成されている。縦板部125A,125Bは、蓋体127の裏面に垂直な方向に配設され、ほとんど撓むことなく、各当接片124を支持する。
横板部125Cは、弾性的に撓むようになっている。連接支持板部125が各当接片124を弾性的に支持する機能は主に横板部125Cが担っている。横板部125Cは、その両端に縦板部125A,125Bがそれぞれ接続された状態で、蓋体127の裏面に沿う方向に配設されている。横板部125Cは、その中央部を後述する支持用凸条131に支持され、この支持用凸条131を中心にして両端部が撓むようになっている。
横板部125Cの変形によって発生する弾性力(連接支持板部125が当接片124を支持する弾性力)は、弾性支持板部123が当接片124を支持する弾性力よりも強く設定されている。これにより、2つの当接片124は、その内側端が強い弾性力で支持され、外側端が弱い弾性力で支持されている。さらに、2つの当接片124の嵌合溝124Aの底部は、上述のように、半導体ウエハ120の外周縁の接線方向に配設されている。これにより、ウエハ押え121による半導体ウエハ120の支持力が、半導体ウエハ120の移動量(振動量)に比例して強くなるように設定されている。即ち、通常の状態では、図41中の実線のように、半導体ウエハ120は嵌合溝124Aの底部にそのほぼ中央部付近(図41中の接点A)で接触して支持されている。半導体ウエハ120が振動すると、連接支持板部125の強い弾性力で支持された当接片124の内側端は余り変化せず、弾性支持板部123の弱い弾性力で支持された外側端が大きく変化して図41中の仮想線のように、半導体ウエハ120は嵌合溝124Aの底部に内側端側(図41中の接点B側)に移動して支持される。これにより、半導体ウエハ120の振動量が小さい(ウエハ押え121の撓み量が小さい)ときには、半導体ウエハ120は嵌合溝124Aの底部にその外側端側(図41中の接点A側)で接触して弱い弾性力で支持され、半導体ウエハ120の振動量が大きくなってくる(ウエハ押え121の撓み量が大きくなってくる)と、半導体ウエハ120の接触点が嵌合溝124Aの内側端側(図41中の接点B側)に移動して強い弾性力で支持される。さらに、半導体ウエハ120の接触点の内側端側への移動量が大きくなればなるほど、弾性支持板部123よりも連接支持板部125へかかる力が大きくなって弾性力が強くなり、半導体ウエハ120の振動を効率的に抑えるようになっている。
支持用リブ126は、連接支持板部125を支持して蓋体裏面に沿った方向にズレるのを防止するための支持用部材である。支持用リブ126は、図34〜図40に示すように、蓋体127の裏面の中央部に設けられている。支持用リブ126は、多数配設されるウエハ押え121の連接支持板部125の全部を覆うように設けられている。具体的には、収納される半導体ウエハ120の枚数分だけ並べて設けられる連接支持板部125を全て嵌合できる長さに設定されている。支持用リブ126は、2つの支持壁部129,130で構成されている。
各支持壁部129,130は互いに対向して平行に設けられている。各支持壁部129,130は、支持板片133と、仕切り板片134とから構成されている。
支持板片133は、連接支持板部125の縦板部125A,125Bを、半導体ウエハ120の円周方向(図40の左右方向)にずれないように支持するための部材である。支持板片133は、連接支持板部125の縦板部125A,125Bを直接的に支持することで、間接的に各当接片124を、半導体ウエハ120の円周方向にずれないように支持している。
仕切り板片134は、多数配設される連接支持板部125を個別に仕切るための板片である。各仕切り板片134は、最外側及び各連接支持板部125の間にそれぞれ位置して設けられている。これにより、各仕切り板片134が各連接支持板部125をその幅方向両側から支持している。これにより、各仕切り板片134は、連接支持板部125を直接的に支持することで、間接的に各当接片124を、半導体ウエハ120の円周方向と直交する方向にずれないように支持している。
上記支持板片133と仕切り板片134とで、連接支持板部125を周囲(容器本体12内に収納された半導体ウエハ120の円周方向と直交する方向)から挟んで個別に支持することで、連接支持板部125の蓋体裏面に沿う方向のズレを防止し、蓋体裏面に垂直な方向の変動を許容するようになっている。
支持板片133及び仕切り板片134と、連接支持板部125との間は、僅かな隙間が空くように設定され、小さい振動のとき接触しないようになっている。即ち、半導体ウエハ120が僅かに振動する程度のときには、連接支持板部125は、支持板片133及び仕切り板片134と接触しないで撓んで振動を吸収するようになっている。振動が激しくなったときには、各当接片124を介して連接支持板部125も激しく振動するため、連接支持板部125は支持板片133及び仕切り板片134に接触して支持されるようになっている。
支持用リブ126の2つの支持壁部129,130の間には、図34、図37〜図39に示すように、支持用凸条131が設けられている。支持用凸条131は、各連接支持板部125に直接当接して支持するための部材である。具体的には、各連接支持板部125の横板部125Cの中央部が支持用凸条131に当接して支持され、横板部125Cの両端部が自由に撓むことができるようになっている。支持用凸条131は、互いに対向して平行に設けられた2つの支持壁部129,130の間の中央部にこれら支持壁部129,130と平行でかつほぼ同じ長さに設けられている。
支持用凸条131は、図38及び図39に示すようになっている。即ち、両側に位置する当接片124に比べて中央側に位置する当接片124を半導体ウエハ120側へ隆起させるように、両側(図38のb側)を薄く、中央側(図38のa側)を厚く成形されている。本実施形態では、全体を弓なりに湾曲して形成されている。これにより、ウエハ押え121が蓋体127に取り付けられた状態で、各連接支持板部125との間隔が、図39に示すように、両側で広く、中央側で狭くなるように設定されている。この支持用凸条131の具体的な寸法は、蓋体127の撓み量に応じて適宜設定される。
支持用凸条131をこのように形成するのは次の理由による。容器本体12内に複数枚の半導体ウエハ120を収納した状態で蓋体127を取り付けると、蓋体127に一定の反発力が作用する。蓋体裏面に取り付けられたウエハ押え121は、各半導体ウエハ120を1枚ずつ一定の力で支持するため、半導体ウエハ120の直径が大きくなってその1枚の半導体ウエハ120を支持する力が大きくなればなるほど、また枚数が多くなればなるほど、ウエハ押え121を押し返す反発力も大きくなる。この反発力により、ウエハ押え121が取り付けられた蓋体127が外側へ多少撓むようになる。そして、蓋体127が外側へ撓むと、ウエハ押え121で半導体ウエハ120を支持する力が中央部で弱くなってしまう。この半導体ウエハ120を支持する力の不均一を解消するために、支持用凸条131が設けられている。中央側を厚くした支持用凸条131によって蓋体127の撓みが吸収され、ウエハ押え121が各半導体ウエハ120を均等な力で支持するようになっている。
以上のように構成された薄板支持容器は次のように作用する。
容器本体12内に複数枚の半導体ウエハ120が収納された状態で、蓋体127が取り付けられると、ウエハ押え121が各半導体ウエハ120に嵌合する。具体的には、各当接片124の嵌合溝124Aが各半導体ウエハ120の周縁に個別に嵌合し、各半導体ウエハ120の周縁を嵌合溝124Aの底部に案内する。このとき、半導体ウエハ120の縁部が2段目の溝に嵌合した状態で、2段目の溝が、半導体ウエハ120の縁部を掴んで、半導体ウエハ120を広い面積で接触しながら確実に支持する。各当接片124は、弾性支持板部123と連接支持板部125とで支持される。
弾性支持板部123は、その基端部を蓋体127の裏面に固定された基端支持部122に支持された状態で、その先端部で各当接片124の外側端を弾性的に支持している。連接支持板部125は、その中央部を支持用リブ126に支持された状態で、その両側端部で各当接片124の内側端を弾性的に支持している。
さらに、弓なりに湾曲した支持用凸条131が、蓋体127の撓みを吸収した状態で、各当接片124を支持している。これにより、各当接片124が各半導体ウエハ120を均等な力で支持している。
また、各当接片124は、その内側端が比較的強い力で弾性的に支持され、その外側端が比較的弱い力で弾性的に支持されている。このとき、各当接片124は、その嵌合溝124Aの底部が各半導体ウエハ120の周縁の接線方向に沿った状態で各半導体ウエハ120に接触していると共に、2つの当接片124の弾性力が同じ強さになるように自動的に調整されて半導体ウエハ120を押さえる力を全体に均等化させ、半導体ウエハ120は安定して支持されている。
薄板支持容器の搬送中等において、薄板支持容器に振動が加わると、各半導体ウエハ120も振動することになる。さらに、半導体ウエハ120の振動に応じて各当接片124も振動する。
このとき、振動が緩やかな場合は、各当接片124の振幅は小さいため、半導体ウエハ120と各当接片124との接点は外側(例えば図41の接点A近傍)にあって主に弾性支持板部123が撓み、弱い弾性力で支持する。
振動が激しい場合は、各当接片124の振幅は大きくなるが、当接片124が大きく振れるに従って半導体ウエハ120と各当接片124との接点が内側(例えば図41の接点B近傍)へ移動し、その移動量に応じて、弾性支持板部123より連接支持板部125にかかる力が大きくなり、弾性力が強くなる。このため、半導体ウエハ120が大きく振動しようとすると当接片124が強い弾性力で押し戻して半導体ウエハ120の振動を抑える。これにより、振動の激しさに応じて、半導体ウエハ120を支持する力を自動的に変化させて、半導体ウエハ120を確実に支持している。
この結果、全ての半導体ウエハ120が均一な力で支持されると共に、外部からの振動に対して半導体ウエハ120の振動を最小限に抑えることができ、半導体ウエハ120が回転するのを防止することができる。
[変形例]
(1) 上記第1実施形態では、ウエハ押え91を、基端支持部92と、弾性支持板部93と、当接片94とから構成したが、図25,26,27に示すように、基端支持部110と、弾性支持板部111と、当接片112とから構成されている。弾性支持板部111は、基端部を基端支持部110に固定された状態で当接片112の一端を支持している。さらに、当接片112の他端から弾性支持板部111を製造ライン用蓋体15の下側面に延ばして形成されている。当接片112には、傾斜面112Aと当接面112Bは、上記実施形態の傾斜面96A及び当接面96Bとほぼ同様の機能を備えている。支持爪113は、対向して3個ずつ互い違いに配設されている。この支持爪113の数は、必要に応じて設定する。
この構成の場合も、上記実施形態同様の作用、効果を奏することができる。
(2) 上記第1実施形態では、ウエハ押え91を片持ち構成としたが、図28,29に示すように、両持ち構成にしてもよい。弾性支持板部が当接片の間及び両側を支持して取り付けられると共に、各当接片の間の弾性支持板部が、製造ライン用蓋体15の下側面から隙間Sだけ僅かに浮いた状態で各当接片を支持するようになている。
これにより、各当接片の間の弾性支持板部を、取付面より僅かに浮いた状態で当接片を支持するため、通常はあまり強くない力で薄板を支持する。薄板支持容器が誤って落下した場合等のように、外部から大きな衝撃が加わると、隙間Sがなくなって各当接片の間の弾性支持板部が支持面に当接して、各当接片を強く支持する。これにより、薄板を強い衝撃から守る。
(3) 上記第1実施形態では、半導体ウエハを支持爪97で支持するようにしたが、ブロックで支持するようにしてもよい。図30,31に示すように、上記実施形態と同様にブロック115を2つ突き合わせた状態で、互い違いに配設する。即ち、2つ突き合わせた一組のブロック115を互いの間隔を一定に保ったまま4組ずつ並べると共に、それらを互い違いにずらす。さらに、一組のブロック115のうちの各当接面115Aを、垂直に対して20°と4°に設定した。そして、半導体ウエハが当接する側を4°に設定した。これにより、半導体ウエハの周縁を片側4°(両側で8°)の角度で挟み持つことで、半導体ウエハをずらすことなく、確実に支持することができる。
この場合、各ブロックを、図32,33に示すように設けてもよい。これは、上記図28,29を基に説明したものとほぼ同様の構成であり、同様の作用、効果を奏することができる。
(4) 上記第1実施形態では、薄板支持容器用蓋体を製造ラインにおいて使用した例を説明したが、保管や輸送等に用いる場合に使用することもできる。この場合も、上記実施例同様の作用、効果を奏することができる。
(5) 上記第1実施形態では、簡易着脱機構32を製造ライン用蓋体15に2つ設けたが、規格等に応じて、1つ、3つ以上でもよい。
(6) 上記第1実施形態では、薄板支持容器用蓋体を半導体ウエハの収納容器に適用した場合を例に説明したが、半導体ウエハに限らず、他の薄板の収納容器にも適用することができる。この場合も、上記実施例同様の作用、効果を奏することができる。
(7) 上記第1実施形態及び変形例では、容器本体内に収納された薄板を支持するための薄板押えとしてのウエハ押えを上記実施形態の薄板支持容器11に適用したが、本発明はこれに限らず、他の構造の薄板支持容器にも適用することができる。この場合も、上記実施例同様の作用、効果を奏することができる。
(8) 上記第1実施形態では、蓋体ホルダー100を薄板支持容器11に適用したが、本発明はこれに限らず、他の構造の薄板支持容器にも適用することができる。この場合も、上記実施例同様の作用、効果を奏することができる。
(9) 上記第2実施形態では、ウエハ押え121の当接片124を2つ設けたが、3つ以上設けてもよい。当接片124を3つ以上設ける場合は、各当接片124の間に連接支持板部125及び支持用リブ126を設けることになる。この場合も、上記実施例同様の作用、効果を奏することができる。
(10) 上記第2実施形態では、横板部125Cを支持用凸条131で支持するようにしたが、横板部125Cの中央部に支持用突起を設けてもよい。支持用突起を設ける場合は、支持用凸条131は設けても設けなくてもよい。支持用突起は、支持用凸条131を設けている場合、支持用凸条131に当接して、支持用凸条131を設けていない場合、蓋体127の裏面に当接して、横板部125Cを支持する。
支持用凸条131を設けない場合は、横板部125Cの中央部の支持用突起の高さを、上記第2実施形態のように、両側よりも中央側が高くなるように設定する。支持用凸条131を設ける場合は、横板部125Cの中央部の支持用突起と支持用凸条131とを合わせた高さを、両側よりも中央側が高くなるように設定する。この場合も、上記第2実施形態同様の作用、効果を奏することができる。
(11) 上記第2実施形態では、当接片124の嵌合溝124AをV字状に成形したが、上記第1実施形態の当接片94のように、当接片124に、互い違いに配設された支持片を備えてもよい。即ち、第2実施形態の当接片124を第1実施形態の当接片94のように、2つのブロック96と、互い違いに配設された支持爪97(支持片)とから構成してもよい。これにより、互い違いに配設された支持片が半導体ウエハ120の周縁に互い違いに当接して、半導体ウエハ120が確実に支持される。この結果、外部からの振動に対して半導体ウエハ120の振動を最小限に抑えることができることと相まって、半導体ウエハ120が回転するのをより確実に防止することができる。
(12) ウエハ押え121の当接片124を支持する構成は、第2実施形態に限らず他の構成でもよい。当接片124を、その両側に位置するものに比べて中央側に位置するものを半導体ウエハ120側へ隆起させて配設することができる構成であればよい。
例えば、弾性支持板部123を、両側に位置する当接片124に比べて中央側に位置する当接片124を半導体ウエハ120側へ隆起させて配設するように、形成してもよく、弾性支持板部123又は連接支持板部125の一方又は両方を、両側に位置する当接片124に比べて中央側に位置する当接片124を半導体ウエハ120側へ隆起させて配設するように、形成してもよい。
(13) 上記第2実施形態では、連接支持板部125を支持用リブ126で支持するようにしたが、突起で支持してもよい。具体的には、図44に示すように、連接支持板部125に設けた嵌合穴141に嵌合することで、連接支持板部125の蓋体裏面に沿うズレを防止して蓋体裏面に垂直な方向の変動を許容する嵌合突起142によって、連接支持板部125を支持してもよい。この場合も、上記第2実施形態同様の作用、効果を奏することができる。
(14) 上記第2実施形態では、当接片124のV字状の嵌合溝124Aの底部を、半導体ウエハ120の厚さとほぼ同じ幅で平坦面状に形成したが、図45に示すように底部を細くしても良い。具体的には、当接片151は、半導体ウエハ152の縁部のエッジ角44°と同じ傾斜角度44°を有するV字溝151Aを備える。なお、このV字溝151Aは、2段階に角度を設定しているが、角度を1段階に設定してもよい。
このV字溝151Aの底部は、半導体ウエハ152の暑さよりも薄く形成されている。これにより、V字溝151Aに半導体ウエハ152が嵌合した状態で、この半導体ウエハ152の縁部と上記V字溝151Aの底部との間に隙間153が形成されて、半導体ウエハ152が上記V字溝151Aの傾斜面で支持される。このとき、半導体ウエハ152の縁部のエッジ角と当接片151のV字溝151Aの傾斜角とが共に44°であるため、半導体ウエハ152の縁部とV字溝151Aの傾斜面とが広い面積で接触する。
さらに、半導体ウエハ152の縁部とV字溝151Aの底部との間に隙間153があるため、半導体ウエハ152の縁部が直接支持されず、結果的に半導体ウエハ152の縁部がV字溝151Aにくさびのように食い込む。これにより、半導体ウエハ152の縁部がV字溝151Aの傾斜面に強く押し付けられる。
この結果、薄板押えの当接片151を半導体ウエハ152にあまり強く押し付けなくても、この薄板押えの当接片151で半導体ウエハ152を確実に支持することができ、振動等による半導体ウエハ152の回転を防止することができる。これにより、蓋体を容器本体にあまり強く取り付けなくても半導体ウエハ152を確実に支持することができ、振動等による半導体ウエハ152の回転を防止することができる。これにより、蓋体の強度を増す必要もなくなる。これにより、蓋体の着脱作業の自動化も容易になる。
なお、当接片151のV字溝151Aの傾斜角は20°〜60°に設定することで、ほぼ上記同様の作用、効果を奏することができる。この場合、当接片151のV字溝151Aに半導体ウエハ152が嵌合すると、この半導体ウエハ152の縁部がV字溝151Aに食い込む。このとき、V字溝151Aの傾斜角を20°〜60°に設定していると、半導体ウエハ152の支持及び着脱が確実かつ容易になる。即ち、半導体ウエハ152をV字溝151Aに嵌合させると、半導体ウエハ152の縁部がV字溝151Aに食い込んで支持される。このとき、V字溝151Aの傾斜角を60°以上に設定すると、このV字溝151Aへの半導体ウエハ152の食い込みが足りずに回転してしまうことがある。実際に、V字溝151Aの傾斜角を60°に設定して実験してみたところ、外部からの振動により少し回転した。傾斜角が60°を超えると、外部からの振動により回転がひどくなった。
さらに、当接片151を半導体ウエハ152から引き離すときも、V字溝151Aに食い込んだ半導体ウエハ152は、V字溝151Aに引っかかることなく、スムーズに離れる。このとき、V字溝151Aの傾斜角を20°以下に設定すると、当接片151を半導体ウエハ152から引き離すときに、半導体ウエハ152がV字溝151Aに引っかかってその半導体ウエハ152が引っ張り出されてしまうことがある。実際に、V字溝151Aの傾斜角を20°に設定して実験してみたところ、半導体ウエハ152がV字溝151Aに引っかかっりぎみになり、半導体ウエハ152が容器本体から引っぱり出された。傾斜角が20°を下回ると、引っかかっりがひどくなった。
このため、V字溝151Aの傾斜角を20°〜60°に設定することが望ましい。これにより、半導体ウエハ152のV字溝151Aへの食い込みによる回転防止と、スムーズな引き離しを両立させることができる。
これにより、半導体ウエハ152を確実に支持することができると共に、蓋体の着脱が容易になり、蓋体の着脱の自動化も容易になる。
また、V字溝151Aの傾斜角を20°〜60°に設定すると共に、半導体ウエハ152の縁部と当接片151のV字溝151Aの底部との間に隙間を設けることが望ましい。この場合、V字溝151Aに半導体ウエハ152が嵌合したときに、半導体ウエハ152の縁部とV字溝151Aの底部とが互いに接触せず、半導体ウエハ152の縁部とV字溝151Aの傾斜面とが強く押し付けられ、半導体ウエハ152がV字溝151Aに食い込んで確実に支持される。また、着脱も上述のように容易になる。
(15) 上記第2実施形態では、蓋体127の支持用凸条131の中央側を厚くして蓋体127の撓みを吸収し、ウエハ押え121が各半導体ウエハ120を均等な力で支持するようにしたが、蓋体127自体を改良してもよい。
具体的には、平板状の蓋体127の中央部を容器本体側へ窪ませて、各半導体ウエハ120による撓みを打ち消す。即ち、蓋体127を容器本体に取り付けると、各半導体ウエハ120によって、蓋体127が押し返されてその中央部が外側へ撓むが、その撓みを打ち消すように予め蓋体127の中央部を上記容器本体側へ窪ませて形成しておく。これにより、蓋体127の中央部が外側へ撓むと、その撓みを窪みが吸収して平らな状態になって打ち消し、ウエハ押え121が各半導体ウエハ120の全体を均等な力で支持することができる。
この蓋体127の中央部を容器本体側へ窪ませる寸法は、半導体ウエハ120の枚数等によって異なる反発力等の諸条件に応じて設定する。また、窪みの形状も、球面状、楕円状、非球面状等の反発力等による変形の状態に応じて、それを打ち消して均等な力で半導体ウエハ120を支持できる状態に適宜設定する。これにより、各半導体ウエハ120全体を均等な力で支持することができ、振動等による半導体ウエハ120の回転を防止することができる。なお、この場合、蓋体127の支持用凸条131は、両端側と中央側とで同じ厚さに設定しておく。また、蓋体127の撓みを、蓋体127の中央部の窪みと支持用凸条131の厚みの両方で吸収するように、これら蓋体127の中央部の窪みと支持用凸条131の厚みの両方を調整するようにしてもよい。
また、蓋体127の周囲の補強用フランジを湾曲させてもよい。即ち、各半導体ウエハ120による反発力で、蓋体127の周囲を形成する補強用フランジが撓むことがあるが、この補強用フランジの撓みを打ち消すように予め容器本体側へ湾曲させて形成してもよい。
薄板押えが半導体ウエハ120に当接して半導体ウエハ120を支持する際に、その反発力で蓋体127の周囲を形成する補強用フランジも外側へ撓むが、その補強用フランジを予め容器本体側へ湾曲させておくことで、この外側への撓みを吸収する。即ち、予め湾曲させた補強用フランジが外側への撓みによって直線状になって撓みを打ち消し、各半導体ウエハ120全体を均一な力で支持する。補強用フランジの具体的な寸法は、蓋体127の中央部の場合と同様に、撓みを吸収して打ち消すことができる寸法及び形状に適宜設定する。この補強用フランジを湾曲させる態様と、上記蓋体127の中央部を窪ませる態様と、支持用凸条131の厚みを調整する態様を適宜組み合わせてもよい。
また、蓋体127の周囲を形成する補強用フランジに補強部材を入れてインサート成形してもよい。これにより、補強用フランジの強度が増して、各半導体ウエハ120による反発力に耐えることができ、各半導体ウエハ120全体を均一な力で支持することができる。この場合も、補強用フランジに補強部材を入れて補強する態様と、補強用フランジを湾曲させる態様と、上記蓋体127の中央部を窪ませる態様と、支持用凸条131の厚みを調整する態様とを適宜組み合わせてもよい。
これらの場合も、上記各実施形態同様の作用、効果を奏することができる。
11:薄板支持容器、12:容器本体、12A,12B,12C,12D:側壁部、12E:底板部、12F:開口、13:薄板支持部、14:輸送用蓋体、15:製造ライン用蓋体、16:トップフランジ、30:本体部、32:簡易着脱機構、34:開口、36:回転支持軸、37:ストッパ、39:基端下側カム、40:先端側カム、42:係止部材、43:繰り出し部材、44:カム機構、45:保持カバー、46:カバー押え、53:基端上側カム、55:支点部、55A:先端側摺接面、56:先端嵌合部、69:カム押え突起、120:半導体ウエハ、121:ウエハ押え、122:基端支持部、123:弾性支持板部、124:当接片、124A:嵌合溝、125:連接支持板部、125A,125B:縦板部、125C:横板部、126:支持用リブ、127:蓋体、128:鈎状支持部、129,130:支持壁部、131:支持用凸条、、133:支持板片、134:仕切り板片、136:連接支持板部嵌合部、141:嵌合穴、142:嵌合突起。