以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
本プリンタは、第1無端移動体、第2無端移動体として、それぞれ第1ベルト、第2ベルトを用いるとともに、それぞれのベルトに転写するための像担持体として、それぞれのベルトに個別に対応する第1像担持体、第2像担持体を用いている。これに対し、両方のベルトに共通して対応する第1像担持体だけを用いる方式(以下、共通像担持体方式という)である。本実施形態に係るプリンタを説明する前に、まず、この共通像担持体方式のプリンタについて説明する。
図1は、共通像担持体方式のプリンタの概略構成図である。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径25〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。
先に示した図1において、上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その更に下方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材を設けている。
上記画像データ処理装置E1の図中下方や側方には、記録体供給手段たる給紙手段が配設されている。この給紙手段は、第1紙収容カセット26a、第2紙収容カセット26b、これらカセットにそれぞれ個別に組み込まれた給紙ローラ27a,bなどを有している。また、給紙路35や、この路内に設けられたレジストローラ対28、ガイド板対29なども有している。レジストローラ対28は、2つのレジストローラを有しており、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを所定のタイミングで後述の2次転写ニップの入口に向けて送り込む。送り込まれる途中の転写紙Pは、ガイド板対29の板間に挟まれて2次転写ニップに向けて案内される。2つの紙収容カセット(26a,b)は、それぞれ画像形成装置本体の内部で記録体たる転写紙Pを収容する内部収容手段として機能しており、その内部には転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容している。2つの紙収容カセット(26a,b)に収容される転写紙束の一番上の転写紙Pには、それぞれ給紙ローラ27a,bが当接している。これら給紙ローラ27a,bが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pが給紙路35に向けて送られる。そして、給紙路35の最下流側に配設されているレジストローラ対28の両レジストローラ間に至る。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両レジストローラを回転駆動させるが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。なお、プリンタ100の下方には、多量の転写紙Pをストックしている給紙バンク101が設けられており、ここからも転写紙Pが給紙路35に向けて送り出されるようになっている。
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方には、第1無端移動体たる第1中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる第1転写ユニット15が配設されている。この第1転写ユニット15は、第1中間転写ベルト8の他、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、ニップ上流ローラ11、ニップ出口ローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1ベルトたる第1中間転写ベルト8は、これら4つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを印加する方式のものであるが、電極から放電させるチャージャ方式のものであってもよい。上記第1中間転写ベルト8は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜1000[μm]の厚みのベルト基体に、必要に応じて低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、105〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。1次転写ローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、4つの感光体1Y,M,C,K上でそれぞれ個別に形成される4つのY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルト8と、後述の第2中間転写ベルト16とは、互いに当接しながら順方向に無端移動して2次転写ニップを形成している。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、この2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、ニップ通過後の第1中間転写ベルト8が、そのおもて面(ループ外面)に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、その裏面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。
かかる構成の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像装置(5Y,M,C,K)に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。なお、現像装置としては、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いるものと、磁性キャリアを含まない1成分現像剤を用いるものとのうち、何れを用いてもよい。また、トナーとしては、粉砕法によって製造された粉砕トナー、重合法等によって製造された球形トナーとのうち、何れを用いてもよい。平均粒径6[μm]程度のトナーが良好である。
また、第1転写ユニット15の図中左側方には、プリンタ本体内の空気を外部に排出する冷却ファンF1が配設され、本体内の温度の過昇を防いでいる。
また、第1転写ユニット15の図中右側方には、第2無端移動体たる第2中間転写ベルト16を張架しながら無端移動せしめる第2転写ユニット25が配設されている。この第2転写ユニット25は、第2中間転写ベルト16の他、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23、廃トナー収容器24などを備えている。また、第1テンションローラ19、2次転写ローラ17、第2テンションローラ20、第2クリーニングバックアップローラ21、3次転写バックアップローラ22なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら5つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層やスポンジ層などが被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが印加される。第2転写ユニット25におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
上述したレジストローラ対28は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップでニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像であったとする。すると、レジストローラ対28は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第2面に2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、2次転写ニップで転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに転写されるわけではない。以上のような2次転写が行われる2次転写ニップは、2段階の転写部における前段転写部として機能している。なお、上記第2中間転写ベルト16は、第1トナー像や第2トナー像の静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、必要に応じてフッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が106〜1014になっている。また、表面抵抗率が105〜1015[Ω/□]に調整されている。ベルト基体を他の材料で構成することも可能である。
上述の2次転写ニップは、第1転写ユニット15におけるニップ上流ローラ11とニップ出口ローラ12とを架橋している第1中間転写ベルト8部分と、第2転写ユニット25の第2中間転写ベルト16との当接によって形成されている。また、第1転写ユニット15において、ニップ出口ローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向をほぼ反転させるような形状で張架している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2転写ユニット25内において、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、2段階の転写部における後段転写部である3次転写部に送られる。この3次転写部では、第2中間転写ベルト16の3次転写バックアップローラ22による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して臨むように配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、この転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。この電荷の付与により、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に静電的に3次転写されてフルカラー画像になる。以上のようにして転写紙Pに対する両面転写を行う本プリンタ100では、第1転写ユニット15と第2転写ユニット25との組合せにより、記録体たる転写紙Pの両面に可視像たる4色トナー像を転写する両面転写装置が構成されている。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9Y,M,C,K、17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
上記3次転写バックアップローラ22は、第2中間転写ベルト16をほぼ90[°]に折り曲げるような形状で張架している。このような張架形状では、上記3次転写部を通過した転写紙Pの先端側が第2中間転写ベルト16の折れ曲がり地点付近でベルトから離間して、ベルトの折れ曲がり前の移動方向(図中矢印D方向)に延出する。この移動方向側には、定着手段たる定着装置30が配設されている。よって、第2中間転写ベルト16から離間した転写紙Pは、定着装置30内に送られる。
上記定着装置30は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する2つの定着ローラ30a,bを有している。これら定着ローラ30a,bは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写紙Pを両面から加熱する。この加熱により、転写紙Pの両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写紙Pに定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、排出ガイド部材31に沿って搬送されて反転せしめられた後、排紙ローラ対32を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
上述の2つの定着ローラ30a,bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、上記ボトル収容器54の図中左側方に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、定着ローラ30a,bの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、定着ローラ30a,bの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。但し、転写紙Pの片面にだけ画像を形成する片面プリントモードが実行されている場合には、両面プリントモードの場合に比べて少ない熱量で画像を定着させることができる。よって、片面プリントモードのときに、両面プリントモードのときよりも上記表面温度の目標範囲を低くすれば、省エネルギー化を図ることが可能になる。また、単色画像はフルカラー画像よりもトナー量が少なくなるので、単色プリントモードとフルカラープリントモードとの違いに応じて上記表面温度の目標範囲を切り替えることによっても、省エネルギー化を図ることが可能になる。
上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、第2クリーニングバックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、おもて面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。クリーニングによって第2クリーニング装置18に回収された転写残トナーは、スクリュウ部材等によって廃トナー収容器24に落とし込まれる。廃トナー収容器24を第2クリーニング装置18とは別に設けることで、廃トナーの取り扱い性を向上させることができる。
上記第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
以上の構成のプリンタ100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成速度を大幅に速めることができる。
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上述の如く上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を上に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された第2トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pの第2面に担持される過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体ドラム上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるわけである。これに対し、第1トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体ドラム上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
プリンタ100本体には、側方カバー50が配設されている。この側方カバーは、第2転写ユニット25、廃トナー収容器24、定着装置30の一部、排紙ローラ対の一方のローラ及び排出ガイド部材31の一方のガイド部材を内包している。また、回動軸50aを中心に回動自在に構成されている。回動軸50aを中心に図中時計回りに回転せしめられた側方カバー50は、プリンタ本体から大きく見開かれた状態になる。この状態では、側方カバー50とともに回転した第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、定着装置30が2分され、一方がプリンタ本体側に残るとともに、もう一方が側方カバー50とともに移動する。更に、排紙ローラ対の一方のローラや、排出ガイド部材31の一方のガイド部材も側方カバー50とともに移動する。これらの結果、内部収容手段たる2つの紙収容カセット26a,bから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分して大きく露出する。このことにより、紙搬送路内で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。また、第2クリーニング装置18や廃トナー収容器24の交換も可能になる。
本プリンタ100は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)200などから送られてくる画像情報信号に基づいて画像を形成する。図3では、パソコン200とプリンタ100とを通信ケーブルによって接続した画像形成システムの例を示したが、無線方式による接続を採用してもよい。プリンタ本体の前面左隅には、タッチパネル等からなる操作表示器51が固定されている。ユーザーは、この操作表示器51のディスプレイに現れるガイド表示に従って、作像プロセス条件や用紙条件等の各種パラメータを入力することができる。上述の片面プリントモードと、両面プリントモードとの切替については、この操作表示器51に用意されているモード切替ボタンを操作することによって行う。また、紙種の選択(紙収容カセットの選択)も、この操作表示器51に対する操作によって行う。但し、これらモードの切替や紙種の選択については、パソコン200から設定信号を送信させることによっても行うことができる。
プリンタ本体の前面には、前扉52が開閉自在に設けられている。前扉52が開かれると、図示しない上記第1転写ユニット(15)を支持する支持体53が大きく露出する。この支持体53は、図示しないガイドレール上をプリンタ本体の前後方向にスライド移動可能に構成され、プリンタ本体内から前面側に向けて引き出されることで、上記第1転写ユニット(15)を露出させる。そして、この露出により、上記第1転写ユニットの保守点検作業を容易にしている。また、前扉52が開かれると、支持体53の上方に配設されたボトル収容器54内のトナーボトルBY、BM、BC、BKの端面が露出する。それぞれ端面を露出させたトナーボトルBY、BM、BC、BKは、ボトル収容器54に対してプリンタ前後方向に着脱可能される。前扉52を開けば、プリンタ本体に対するトナーボトルBY、BM、BC、BKの前後方向への着脱が可能になる構成である。スタック部40が形成されているプリンタ本体上面を開閉自在な上扉とし、これを開いてトナーボトルBY、BM、BC、BKを上下方向に着脱するといった構成ではない。このため、オプションの図示しないスキャナ装置をプリンタ100の上方に配設してコピー機を構成する場合でも、トナーボトルBY、BM、BC、BKを着脱することができる。2つの紙収容カセット26a,bは、前扉52の下方に配設され、前後方向のスライド移動によってプリンタ本体から着脱されるように構成されている。前扉52を開いても、紙収容カセット26a,bの着脱や、操作表示器51への入力の操作性を損ねることはない。
次に、以上の構成のプリンタ100に、特徴的な形状に2次転写ニップを採用した場合の例について説明する。
図4は、上記2次転写ニップや3次転写部とそれらの周囲構成とを示す拡大構成図である。図4において、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とがベルト長さ方向の領域Rで当接して前段転写部たる2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップの入口側は、第2中間転写ベルト16が2次転写ローラ17に押圧されて、第1中間転写ベルト8におけるニップ上流ローラ11とニップ出口ローラ12との架橋部分に食い込んでいる。また、2次転写ニップの出口側は、これとは逆に、第1中間転写ベルト8がニップ出口ローラ12に押圧されて、第2中間転写ベルト16における2次転写ローラ17と3次転写バックアップローラ22との架橋部分に食い込んでいる。第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが互いに食い込んで2次転写ニップが形成されているのである。
第1中間転写ベルト8において第2中間転写ベルト16に食い込んでいる部分は、ニップ出口ローラ12の周面のうち、ローラ法線角度θ1の範囲にある曲面に押圧されている。2次転写ニップの出口側は、この曲面に沿った形状になっている。そして、図示しない転写紙は、2次転写ニップの出口周辺において、自らの腰の強さによってこの曲面との中心接線L1に沿った姿勢をとろうとする。そうすると、転写紙は2次転写ニップよりも下流側で第2中間転写ベルト16の表面に密着する。前段転写部たる2次転写ニップは、ニップ下流側で転写紙を第2中間転写ベルト16の表面に密着させる形状になっているのである。よって、2次転写ニップよりも下流側にて転写紙と第2中間転写ベルト16との密着が促される。そして、このことにより、転写紙が転写チャージャ23との対向位置である3次転写部に進入する前に第2中間転写ベルト16から離間してしまうことによる第1トナー像の乱れが有効に抑えられる。
ところで、図示の2次転写ニップに挟まれた転写紙には、第1中間転写ベルト8上に担持された上記第2トナー像が2次転写される。この2次転写は、2次転写ローラ17に印加されている2次転写バイアスの作用によって実現されるが、2次転写バイアスは2つのベルトが当接している2次転写ニップだけに厳密に作用するわけではない。第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが当接する寸前の2次転写ニップ入口付近にも作用する。そして、これによって2次転写ニップよりも上流側で第1中間転写ベルト8上の第2トナー像の静電的な移動を開始させてしまう場合がある。このとき、2次転写ニップよりも上流側で転写紙が第1中間転写ベルト8に密着していればよいが、離間していると、第2トナー像中のトナーが空を舞って転写チリを引き起こすおそれがある。
そこで、次のような特徴的な形状で2次転写ニップを形成するとよい。即ち、同図に示したように、先端側が2次転写ニップに挟み込まれた転写紙の後端側を、2次転写ニップよりも上流側で第1中間転写ベルト8表面に密着させる形状で2次転写ニップを形成するのである。具体的には、第2中間転写ベルト16において第1中間転写ベルト8に食い込んでいる部分は、2次転写ローラ17の周面うち、ローラ法線角度θ2の範囲にある曲面に押圧されている。2次転写ニップの入口側は、この曲面に沿った形状になっている。そして、図示しない転写紙は、2次転写ニップの入口周辺において、自らの腰の強さによってこの曲面との中心接線L2に沿った姿勢をとろうとする。そうすると、転写紙は2次転写ニップよりも上流側で第1中間転写ベルト8の表面に密着する。2次転写ニップは、ニップ上流側で転写紙を第1中間転写ベルト8の表面に密着させる形状になっているのである。よって、2次転写ニップよりも上流側にて転写紙と第1中間転写ベルト8との密着が促される。そして、このことにより、2次転写ニップの直前で第1中間転写ベルトと転写紙とが離間していることによる第2トナー像の乱れが有効に抑えられる。
2次転写ニップにおける第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とは、それぞれ次のような形状で張架されている。即ち、ニップ入口側から出口側にかけて、第1中間転写ベルト8側に撓んでから第2中間転写ベルト16側に撓む半円状のカーブを描いた後、そのまま直線状に延びる形状である。このような張架形状により、2次転写ニップよりも上流側で転写紙を第1中間転写ベルト8に密着させる一方で、下流側で第2中間転写ベルト16に密着させることを実現することができる。本プリンタ100では、上記張架形状を次のようにして容易に作り出している。即ち、2次転写ニップの入口側では、2次転写ローラ17による第2中間転写ベルト16張架部分を第1中間転写ベルト8に食い込ませる。この一方で、出口側では、ニップ出口ローラ12による第1中間転写ベルト8張架部分を第2中間転写ベルト16に食い込ませるのである。第2中間転写ベルト16を第1中間転写ベルト8に食い込ませる役割を担っている2次転写ローラ17は、上述のように、図示しない電源から2次転写バイアスの印加を受けている。2次転写ニップにおいて2次転写バイアスを作用させるためのバイアスローラとしての役割も担っているのである。よって、前者の役割を担当させるためのローラと、後者の役割を担当させるためのローラとを別々に設ける場合に比べ、低コスト化や省スペース化を図ることができる。
上記第2中間転写ベルト16が2次転写ニップを通過してから、転写チャージャ23と対向する3次転写部を通過して転写紙Pを定着装置30に受け渡すまでの移動経路は、図示のように直線状になっている。このような直線状の移動経路にすることで、2次転写ニップから3次転写部に至るまでのベルト移動経路が凸凹になっていることに起因する第2中間転写ベルト16表面からの転写紙の離間を回避する。これにより、第1トナー像の乱れをより確実に抑えることができる。
また、この直線状の移動経路は、相対的に鉛直方向の上方に向けて移動する経路である。このような経路では、プリンタ本体内で転写紙Pを相対的に上方に搬送しながら、それに両面転写を施すことが可能になる。そして、図示のように、両面転写が施された後の転写紙Pをプリンタ本体の上面に排出して、この上面をプリントアウト紙のスタック部40として容易に利用することができる。
更に、上述の直線状の移動経路は、水平方向から上方に向けて20〜60[°]傾斜した角度になっている。このような傾斜になっているのは、次に説明する理由による。即ち、2次転写ニップを通過した第2中間転写ベルト16からは、第1中間転写ベルト8が直ちに離間する。このため、2次転写ニップを通過してから、転写装置30に転写紙を受け渡されるまでの転写紙Pは、第1中間転写ベルト8によって押圧されることなく、第2中間転写ベルト16表面に保持されなければならない。このように転写紙Pを第2中間転写ベルト16表面に保持させる力としては、2次転写ニップに挟まれた転写紙Pの腰の強さのが挙げられる。また、この他、第2中間転写ベルト16上で第1トナー像中のトナーが紙やベルトに対して発揮する付着力、転写紙Pの自重などもある。上述の直線状の移動経路を垂直な移動経路にしてしまうと、これら力のうち、転写紙Pの自重を利用することができなくなる。そこで、垂直ではなく、傾斜した移動経路にすることで、転写紙Pを第2中間転写ベルト16表面に保持させる力としてその自重も利用するようになっている。これにより、2次転写ニップよりも下流側で転写紙Pと第2中間転写ベルト16とを更に確実に密着させることができる。なお、転写紙Pを第2中間転写ベルト表面に保持させる力としてその自重を利用する場合、上述の直線状の移動経路を水平にすると最も効率がよい。水平にすると自重の全部を保持力として利用することができるのに対し、水平方向から傾斜させてしまうと自重の一部しか利用することができなくなるからである。しかしながら、水平にしてしまうと、第2中間転写ベルト16から転写紙Pに受け渡される転写紙Pを自重によって鉛直方向下側に大きく撓ませてしまう。そして、転写紙Pの第1面を定着装置30の筺体やその周囲の部材に摺擦させて、第1トナー像を乱してしまうおそれがある。そこで、本プリンタ100では、上述の直線状の移動経路を水平方向から傾斜させることで、かかる第1トナー像の乱れをも抑えるようにしている。
先に示した図1において、上述の給紙手段は、2つの紙収容カセット(26a,b)、2つの給紙ローラ27a,b、レジストローラ対28、ガイド板対29、給紙路35などから構成されている。これらのうち、レジストローラ対28は、転写紙Pを所定のタイミングで前段転写部たる2次転写ニップの入口に向けて送り込む送り込み手段としての役割を担っている。また、ガイド板対29は、送り込まれる転写紙を2次転写ニップ内に案内する案内手段としての役割を担っている。これらレジストローラ対28とガイド板対29とを設けることにより、転写紙Pの先端側を2次転写ニップに確実に挟み込ませる。そして、このことにより、2次転写ニップよりも上流側における転写紙Pと第1中間転写ベルト8との密着をより確実に図ることができる。
上記第1転写ユニット15内において、第1中間転写ベルト8は複数のローラによって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架されている。そして、各感光体1Y,M,C,Kは、それぞれ、このように横長の形状で張架される第1中間転写ベルト8における横方向の張架部分に対向して当接するように配設されている。かかる構成では、図示のように、第1中間転写ベルト8の横方向の張架部分を利用して各色トナー像の重ね合わせ1次転写を実現しながら、プリンタ本体内で第1中間転写ベルト8を縦方向に嵩張らせないレイアウトにすることができる。
一方、上記第2転写ユニット25内において、第2中間転写ベルト16は複数のローラによって水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の形状で張架されている。そして、本プリンタ100では、横長の形状に張架される第1中間転写ベルト8の側方から、縦長の形状で張架される第2中間転写ベルト16を当接させて2次転写ニップを形成している。かかる構成では、第1中間転写ベルト8の下方で、且つ第2中間転写ベルト16の側方に大きなスペースが形成される。本プリンタ100では、このスペースを利用して、2つの紙収容カセット(26a,b)や給紙路35などから構成される上記給紙手段を配設している。このことにより、第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16のそれぞれについて十分な周長を確保しながら、デッドスペースの少ないコンパクトなレイアウトを可能にしている。なお、例えばA3サイズ縦の画像領域確保するためには、500[mm]程度の周長が必要になる。
上記定着装置30は、上述のように、発熱手段を有する2つの定着ローラ30a,bを備えており、この発熱手段からの熱一部は定着装置30外部に放熱される。この放熱によって第1中間転写ベルト8を温めてしまうと、このベルトに当接して1次転写ニップを形成している各感光体(1Y,M,C,K)に熱を伝えて画像に悪影響を及ぼすおそれがある。そこて、本プリンタ100では、定着装置30と第1中間転写ベルト8との間に、断熱部材61を設けて、かかる悪影響を抑えるようにしている。また、本プリンタ100においては、この断熱部材61が、定着装置30からの熱を第1クリーニング装置10やボトル収容器54にも伝え難くする。よって、第1クリーニング装置10内で回収トナーを熱によって軟化、固着させることによるクリーニング性能の低下を抑えることができる。更に、ボトル収容器54内のトナーを熱によって軟化、固着させることに起因する画質劣化を抑えることもできる。なお、断熱部材61としては、耐熱性樹脂からなる樹脂板、耐熱性樹脂に植毛が施された部材、内部に複数の空気層が多段形成された部材、内部に無数の空泡セルが形成された発泡材などが挙げられる。断熱部材61の代わりに、断熱手段として排気ファンや吸気ファンを設けてもよい。また、第2中間転写ベルト16は定着装置30に転写紙Pを受け渡すという役割を担っていることから、定着装置30にかなり近づいて配設される。よって、第2中間転写ベルト16については、定着装置30からの放熱に耐え得るだけの耐熱性を発揮する材料で構成することが望ましい。本プリンタ100では、ポリイミドやポリアミドを用いることで、定着装置30に近接配設した第2中間転写ベルト16の熱劣化を抑えている。
本プリンタ100では、定着装置30と、第2クリーニング装置18及び廃トナー収容器24との間にも、断熱部材60を配設しており、定着手段30からの熱を第2クリーニング装置18や廃トナー収容器24に伝え難くしている。このことにより、第2クリーニング装置18は、その内部で回収トナーを熱によって軟化(あるいは溶融)、固着させることによるクリーニング性能の低下が抑えられる。また、廃トナー収容器24は、その内部で廃トナーを熱によって軟化、固着させることによるトナー廃棄性能の低下が抑えられる。なお、断熱部材60を、定着装置30の下面と第2クリーニング装置との間にだけ設けているが、定着装置30の側面と第2ベルト16との間にも設けると、第2ベルト16に対する熱の影響をなくすことができ好都合である。
次に、本発明を適用した実施形態に係るプリンタ100Aについて説明する。図5は、本プリンタ100Aを示す概略構成図である。本プリンタ100Aにおいて、次に掲げる点の他は、これまで説明したプリンタ100とほぼ同様の構成になっている。即ち、像担持体として、第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16にそれぞれ個別に対応する専用のものを備えている点である。具体的には、本プリンタ100Aは、プロセスカートリッジと露光装置との組合せについて、これまで説明したプリンタ100における組合せに加えて、もう1つの組合せを備えている。上述した4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kと露光装置7との組合せの他に、他の4つのプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kと露光装置87との組合せを備えているのである。前者の組合せは、第2トナー像を形成するためのものである。また、後者の組合せは、第1トナー像を形成するためのものである。なお、以下、前者の組合せについては、その構成要素に第1系統用という文言を付して説明する。また、後者の組合せについては、その構成要素に第2系統用という文言を付して説明する。
第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kや、第1系統用の露光装置7は、それぞれ第1中間転写ベルト8に対向するように配設されている。これに対し、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kや、第2系統用の露光装置87は、第2転写ユニット25の図中右側方に配設されている。第2転写ユニット25は、その構成要素として、プリンタ100で述べたものの他に、押圧ローラ64や、4つの第2系統用1次転写ローラ69Y,M,C,Kを有している。
上記押圧ローラ64は、第2クリーニング装置18によるクリーニング位置よりもベルト移動方向下流側で、第2中間転写ベルト16をそのおもて面から押圧している。この押圧により、第2中間転写ベルト16は、ベルト移動軌道をベルトループ内に食い込ませるように湾曲させている。このようにベルト移動軌道がベルトループ内に食い込んでいる領域には、上述の第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kが配設されている。これら第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kは、それぞれ第2像担持体たる感光体81Y,M,C,Kを第2中間転写ベルト16のおもて面に当接させて第2系統用1次転写部たる第2系統用1次転写ニップを形成している。
第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kは、それぞれ第2トナー像を形成するための専用の画像形成部として機能している。これに対し、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kは、それぞれ第1トナー像を形成するための専用の画像形成部として機能している。プリントジョブが開始すると、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kの感光体81Y,M,C,Kに対し、それぞれ第2系統用の露光装置87による露光走査が開始される。そして、感光体81Y,M,C,K上に、第1トナー像用のY,M,C,Kトナー像が形成され、これらは第2系統用Y,M,C,K1次転写ニップにて第2中間転写ベルト16上に順次重ね合わせ転写されて転写される。これにより、第2中間転写ベルト16上に4色の重ね合わせからなる第1トナー像が形成される。この第1トナー像の形成とほぼ並行して、第1系統用のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの感光体1Y,M,C,K上では、第2トナー像用のY,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらが第1系統用Y,M,C,K1次転写ニップにて第1中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色の重ね合わせからなる第2トナー像が形成される。
第1紙収容カセット26aの下方に配設された第2紙収容カセット26bの更に下方には、第3紙収容カセット26cが配設されている。この第3紙収容カセット26cも、給紙ローラ27cを備えており、内部に収容している転写紙束の一番上の転写紙Pを、この給紙ローラ27cの回転駆動によってレジストローラ対29に向けて送り出す。
先に説明したプリンタ100において、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが当接している2次転写ニップは、第1トナー像や第2トナー像を2次転写するための2次転写部となっていた。また、転写チャージャ23と第2中間転写ベルト16との対向部が、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像を転写紙Pの第1面に3次転写するための3次転写部となっていた。これに対し、本プリンタ100Aにおいて、2次転写ニップは、第1中間転写ベルト8上の第2トナー像だけを2次転写するための第1系統用2次転写部となっている。また、転写チャージャ23と第2中間転写ベルト16との対向部は、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像を転写紙Pの第1面に2次転写するための第2系統用2次転写部になっている。先に説明したプリンタ100において3次転写バックアップローラとして機能していたローラは、本プリンタ100Aでは第2系統用2次転写バックアップローラ63となっている。
第1中間転写ベルト8上に重ね合わせ転写された第2トナー像は、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが当接している第1系統用2次転写部において、両ベルト間に送り込まれた転写紙Pの第2面に一括2次転写される。この後、転写紙Pは、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、転写チャージャ23と第2中間転写ベルト16とが対向している第2系統用2次転写部に搬送される。そして、ここで転写チャージャ23によって第2面側にプラスの電荷が付与されて、第2中間転写ベルト16上のマイナス極性の第2トナー像が第1面に一括2次転写せしめられる。なお、第2トナー像は、先に説明したプリンタ100とは異なり、2次転写工程までしか経ないため、第2中間転写ベルト16上に鏡像として形成される。
先に説明したプリンタ100において、第2中間転写ベルト16上の転写残トナーをクリーニングする第2クリーニング装置18は、第2中間転写ベルト16に対して接離可能に構成されていた。これは、先に述べたように、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像のクリーニングを回避するためである。しかし、本プリンタ100Aでは、各第2系統用1次転写ニップでの重ね合わせによって第2中間転写ベルト16上に形成された第1トナー像が、第2クリーニング装置18によるクリーニング位置に進入する前に転写紙Pに一括2次転写される。よって、第2クリーニング装置18には上記接離機構が設けられていない。
図6は、本プリンタ100Aの側方端部付近を示す拡大構成図である。同図において、プリンタ本体の側方カバー50は、第2転写ユニット25、第2クリーニング装置18、第2系統用のプロセスカートリッジ86Y,M,C,K、第2系統用の露光装置87などを内包している。また、定着装置30における2つの定着ローラ30a,bのうちの一方(30b)、反転ガイド部材31の2つのガイド板のうちの一方、排紙ローラ対32の一方のローラなども内包している。そして、本体底部に設けられた伸縮自在な伸縮アーム55に案内されて図中左右方向に動くことで、本外筺体から開閉されるようになっている。側方カバーが開かれると、第2転写ユニット25がプリンタ本体側に固定された第1転写ユニット15から大きく離間し、2次転写ニップを形成しなくなる。また、3つの紙収容カセット26a,b,cから排紙ローラ対32に至るまでの紙搬送路が縦方向に2分して大きく露出する。これにより、紙搬送路内で発生したジャム紙の処理作業や、紙搬送路回りの各装置の保守点検作業が容易になる。
ボトル収容器54内には、Yトナー用のトナーボトルBY、Mトナー用のトナーボトルBM、Cトナー用のトナーボトルMC、Kトナー用のトナーボトルBKが、それぞれ2つずつ収容されている。これにより、同色のトナーについて、第1系統用の現像装置と、第2系統用の現像装置とに対し、別々のトナーボトルからトナー補給を行うことができる。
従来、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16としては、次のようなものを用いるのが一般的であった。即ち、フッ素樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂等からなる基層の上に、トナーとの離型性の良好なフッ素樹脂等からなる表面層を被覆したものである。しかしながら、かかる構成のベルトは、硬度が比較的高いことから、トナー像を圧縮して文字の転写中抜け現象等を発生させ易かった。また、和紙などと言った表面平滑性に劣る記録体との密着性が悪いことからも、転写中抜け等を発生させ易かった。更には、密着性を高めるべく、ニップ圧を高めると、トナーを強く凝集させて転写中抜けをより一層引き起こし易くなってしまう。
そこで、本プリンタ100Aでは、第1中間転写ベルト8や第2中間転写ベルト16(以下、これらをまとめて転写ベルトという)として、図7に示すような構造のものを用いている。同図において、転写ベルトは、基層8a,16aと、これの上に被覆された弾性層8b,16bと、更にこの上に被覆された表面層8c,16cとからなる三層構造になっている。
上記基層8a,16aは、例えば伸縮性に劣る樹脂などからなる。伸縮性に優れたゴム材料に帆布などの伸縮性に劣る材料を固定したものでもよい。伸縮性に劣る材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等が挙げられる。これらを2種類以上混合して使用してもよい。
上記弾性層8b,16bは、弾性ゴムやエラストマーからなる。弾性ゴムとしては、ウレタンゴム、フッ素系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。また、エラストマーとしては、熱可塑性のポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系等のものが挙げられる。これら材料を2種類以上混合して使用してもよい。
上記弾性層8b,16bについては、層全体の硬度にもよるが、厚くし過ぎるとベルト全体に対する弾性層の伸縮率を大きくし過ぎて亀裂を発生させたり、伸縮による画像への悪影響を引き起こしたりといった事態が発生し易くなる。よって、極端に厚くし過ぎないようにすることが望ましい。
また、弾性層8b,16bについては、硬度HSを、10〜65[度](JIS−A)に調整することが望ましい。層厚によって最適な硬度は異なってくるが、10度より低いと寸法精度良く成型することが困難になる。これは成型時に収縮・膨張を受け易い事に起因する。また硬度を下げる方法として基材にオイル成分を含有させることが一般的に行われるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲みだしてしまう。そして、滲みだしたオイル成分により、転写ベルト表面に接触する感光体等を汚染して画像に横帯状ムラ等を発生させることがある。また、弾性層8b,16bの上にはトナー離型促進のために表面層8c,16cを設けているが、弾性層かららのオイル浸みだしを表面層によって防止するためには非常には耐久性に優れた表面層材質を選ばなくてはならない。このため、表面層8c,16cの材料選択の自由度を大きく悪化させてしまう。一方、硬度を65度(JIS−A)よりも高くすると、上述したような転写中抜け等を発生させ易くなってしまう。また、自由な形状で張架するといった形状自由度も悪化させてしまう。
弾性層8b,16bについては、必要に応じて可能な伸びを抑える対策を講ずることが望ましい。かかる対策としては、例えば、基層8a,16aとして、伸縮性に劣るものを形成する方法が挙げられる。伸縮性に劣る基層8a,16aとしては、上述したように、伸縮性に劣る材料を用いたものや、伸縮性に優れたなゴム等の材料に帆布などの伸縮性に劣る芯材を混ぜたものなどが挙げられる。かかる芯材としては、天然繊維(綿や絹)、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維から選ばれる1種以上の材料からなる糸状や織布状のものが挙げられる。糸状のものについては、1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸など、どのような撚り方であってもよい。また、上述した繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方、織布状のものについては、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すことも可能である。
基層8a,18aや、弾性層8b,16bには、必要に応じて電気抵抗調整剤を分散せしめてもよい。かかる電気抵抗調整剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物が挙げられる。また、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。
上記表面層8c,16cは、トナー離型性に優れた材料からなり、優れた表面平滑性を発揮する。かかるのよい層からなるものである。トナー離型性に優れた材料としては、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、何らかの基材にフッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等を分散したものでもよい。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものでもよい。
以上のような3層構造の転写ベルトを製造する方法としては、回転する円筒形の型に材料を流し込んでベルト状に成型する遠心成型法が挙げられる。また、表層の薄い膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法などでもよい。
かかる構成の転写ベルトを用いる本プリンタ100Aでは、2次転写ニップ(第1系統用2次転写部)にて、弾性層8b,16bの優れた弾性により、ベルト表面側をニップ圧によって転写紙P表面にならわせて自在に変形させる。そして、この変形により、過剰な圧力を加えることなく、ベルト表面と転写紙P表面との密着性を高めることができる。よって、和紙等の表面平滑性に劣る記録体を用いた場合でも、転写中抜けのない良好な画像を得ることができる。
本プリンタは、トナー像の形成に用いるY,M,C,Kトナーとして、次の(a)〜(e)の条件を何れも具備するものを使用するように、ユーザーに対して指定している。
(a)重量平均粒径が3〜8[μm]である。
(b)重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40である。
(c)平均円形度が0.93〜1.00である。
(d)形状係数SF−1が100〜180である。
(e)形状係数Sf−2が100〜180である。
かかるトナーを使用させるようにユーザーに指定する方法としては、例えば、上記(a)〜(e)の条件を全て具備するトナーを、プリンタとともに梱包して出荷することが挙げられる。また例えば、かかるトナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記製品番号や商品名などを通知することによって行ってもよい。また例えば、かかるトナーを収容しているトナー収容手段である上記トナーボトル(BY,BM,BC,BK)をプリンタ本体にセットした状態で出荷することによって行うこともできる。本プリンタでは、これら全ての方法を採用しているが、少なくとも何れか1つの方法を採用すれば足りる。
上記(a)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。即ち、重量平均粒径が3[μm]よりも小さいトナーでは、二成分現像剤として用いた場合に現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させるからである。また、一成分現像剤として用いた場合には現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させ易くなる。逆に、重量平均粒径が0.99よりも大きいと、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることが多くなるからである。
解像度600dpi以上の微少ドットを再現する場合には、特に重量平均粒径3〜8μmという特性が有効になる。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均粒径が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。また、重量平均粒径(D4)が8μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
上記(b)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。即ち、重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40の範囲にあると、様々なメリットが発生する。例えば、トナーの中から、静電潜像のパターンに適した粒径のトナー粒子が他のトナーに優先して現像に寄与するといった現象が進みやすいため、様々なパターンの画像を安定して形成することが可能になるというメリットがある。また、感光体等の像担持体に残留したトナーを回収してリサイクル使用する構成を装置に採用している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされる。このようなリサイクルにおいて上述の値の比較的大きいものを用いると、新たなトナー補給から次のトナー補給に至るまでのトナー粒径変動が大きいことにより、現像性能に悪影響を及ぼしてしまう。
なお、トナーの重量平均粒径や個数平均粒径については、コールターカウンター法による測定装置、例えば、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)によって測定することができる。具体的には、まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解水溶液としては1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)を用いることができる。得られた溶液に更に測定試料を2〜20mg加える。そして、その溶液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、上述した測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの重量及び個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径と、個数平均粒径とを求めることができる。なお、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満のトナー粒子を対象とする。
上記(c)の条件を具備するトナーを指定したのは次に説明する理由による。即ち、トナーの平均円形度が0.93を下回ると、即ち、トナーの形状が球形ではなく不定形になり始めると、転写性が急激に悪化し始めるとともに、静電転写時における転写チリが急激に起こり易くなるからである。更に、平均円形度が0.93未満であると、適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのが困難になるからでもある。平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じ難い。加えて、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体、帯電部材等の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。なお、より好ましい平均円形度の範囲は0.93〜0.97であり、円形度が0.94未満になるトナー粒子を10%以下に留めると更に好適である。
トナーの平均円形度については、次のようにして測定することができる。即ち、まず、被検トナーのトナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的にその粒子画像を撮影する。そして、個々の粒子画像について、投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値を求めたものの平均値を算出する。この平均値が平均円形度である。かかる平均円形度を測定するには、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)などを用いるとよい。この装置を用いる場合には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に被検トナーを0.1〜0.5[g]程度加える。そして、この懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度を3000〜1[万個/μl]に調整したものを、上記装置にかけてトナーの形状及び分布を測定する。
トナーとして、上記(c)の条件を具備するものを指定したのは、次に説明する理由による。即ち、平均円形度が0.90未満であるトナー、即ち、球形としてよりも不定形としての形状にあるトナーでは、転写性が急激に悪化するとともに、静電転写時における転写チリを急激に起こし易くなるからである。また、0.90未満であると、適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのが困難になるからでもある。更には、平均円形度が0.99を越えると、ブレードクリーニングを採用している装置では、感光体や中間転写ベルトなどの被クリーニング体のクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こし易くなるからでもある。画像面積率の比較的低い画像を出力する場合には、転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることは少ない。しかし、カラー写真画像など画像面積率の高い画像を出力する場合や、給紙不良等で未転写の状態の画像が感光体上に残ってしまった場合などに、特にクリーニング不良が発生し易くなる。なお、より好ましい平均円形度の範囲は0.93〜0.97であり、円形度が0.94未満になるトナー粒子を10%以下に留めると更に好適である。
上記(d)や(e)の条件を具備するトナーを指定したのは以下に説明する理由による。即ち、形状係数SF−1や形状係数SF−2は、トナーの形状を表すパラメータの一つであり、粉体工学の分野では馴染みのパラメータである。ここで言う形状係数SF−1とは、トナー粒子等の球形物質における丸さの度合いを示す値である。図9に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる楕円状図形における最大径箇所の長さMXLNGの二乗を面積AREAで除算し、更に100π/4を乗じた値である。つまり、「形状係数SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)」という数式で表すことができる。なお、形状係数SF−1の値が100の球形物質は真球であり、SF−1の値が大きくなるほど、球形物質の形状は不定形となる。
また、形状係数SF−2は、球形物質の表面における凹凸の度合いを示す数値である。図10に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる図形の周長PERIの二乗を面積AREAで除算し、更に100/4πを乗じて求められる値である。つまり、形状係数SF−2は、「形状係数SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)」という数式で表すことができる。なお、形状係数SF−2の値が100である球形物質は、その表面に凹凸が全く存在しない。形状係数SF−2の値が大きくなるほど、球形物質の表面の凹凸は顕著となる。
トナーの形状が真球に近づく(SF−1、SF−2ともに100に近づく)ほど、転写効率が高くなることが本発明者の検討により明らかになっている。これは、真球に近づくほど、トナー粒子とこれに接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体など)との間の接触面積が小さくなって、トナー流動性が高まったり、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まって転写電界の影響を受け易くなったりするためと考えられる。本発明者の研究によれば、形状係数SF−1で180、形状係数SF−2で180をそれぞれ超えると、転写効率を急激に悪化させ始めることが明らかになった。
なお、形状係数SF−1や形状係数SF−2については、次のようにして求めることが可能である。即ち、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー粒子を無作為に100個選んで順次その画像を撮影し、その画像情報をニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入してMXLING、AREA、PERIを求める。そして、上述した式によって得た形状係数の100個あたりの平均値として算出するのである。
図8は、実施形態に係るプリンタ100の第1変形例装置100Bを示す概略構成図である。この第1変形例装置100Bにおいては、第2中間転写ベルト16をおもて面から押圧してその移動軌道を湾曲せしめる押圧ローラを設けていない。よって、第2系統用の各プロセスカートリッジ86Y,M,C,Kを、押圧ローラによってループ内側に向けて食い込むように湾曲させている領域に配設するといったことを行っていない。代わりに、第1系統用の作像ユニットと、第2系統用の作像ユニットとを、上下方向で線対称にするように配設することで、コンパクトなレイアウトを実現している。具体的には、第1系統用の作像ユニットにおいては、露光装置7と、4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kと、第1転写ユニット15とが上から順に積み重ねられたレイアウトになっている。かかる第1系統用の作像ユニットの下に、第2系統用の作像ユニットが配設されている。そして、第2系統用作像ユニットは、第2中間転写ユニット25と、4つのプロセスカートリッジ86Y,M,C,Kと、露光装置87とが上から順に積み重ねられたレイアウトになっている。
本第1変形例装置100Bは、転写紙P上に画像をプリントするためのプリンタ部90と、このプリンタ部に転写紙Pを供給するための給紙部91とが別体で構成されている。給紙部91は、前段転写部に供給する記録体を画像形成装置本体の外部側方で収容する外部記録体収容手段として機能している。内部に収容している転写紙束の一番上の転写紙Pに押し当てている給紙ローラ92を所定のタイミングで回転駆動させることで、その転写紙Pをプリンタ部90の給紙路88に向けてほぼ直線的に送り出す。送り出された転写紙Pは、複数の搬送ローラ対を経た後、給紙路88の末端付近に配設されたレジストローラ対29のローラ間に挟まれる。そして、第1転写ユニット15の第1中間転写ベルト8上の第2トナー像や、第2転写ユニット25の第2中間転写ベルト16上の第1トナー像に同期するように、2次転写ニップに向けて送り出される。
本第1変形例装置100Bにおいても、次のようにして第2系統用2次転写部である2次転写ニップが形成されている。即ち、第1中間転写ベルト8におけるニップ上流ローラ11とニップ出口ローラ12とによる展張部分に対し、第2中間転写ベルト16の2次転写ローラ17による張架部分が食い込むように当接して2次転写ニップが形成されている。2次転写ニップよりもベルト移動方向上流側では、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが非接触で対向しており、2次転写ニップに向けて互いのベルトが徐々に近づいていくように移動する。レジストローラ対29から排出された転写紙Pは、このように両ベルトが2次転写ニップにむけて互いに近づくように移動する領域を経由することで、2次転写ニップに向けて確実且つ円滑に案内される。よって、転写紙Pとして薄厚で腰の著しく弱いものが用いられても、ジャム等が発生し難くなっている。
2次転写ニップで第1中間転写ベルト8上の第2トナー像が2次転写せしめられた転写紙Pは、第2中間転写ベルト16と転写チャージャ23とが対向している第2系統用2次転写部に送られる。そして、ここで、第2中間転写ベルト16上の第1トナー像が2次転写される。なお、本第1変形例装置100Bにおいては、転写紙Pにおける図中上側を向いている面が第2面となっている。
上述の第2系統用2次転写部で第1面に第1トナー像が2次転写された転写紙Pは、第2中間転写ベルト16から搬送ユニット70に受け渡される。この搬送ユニット70は、搬送ベルト71を駆動ローラ72と従動ローラ73とによって張架しながら、駆動ローラ71の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめる。第2中間転写ベルト16上に保持されていた転写紙Pは、この搬送ベルト71上に受け渡される。そして、搬送ベルト71の無端移動によって定着装置30に送られた後、排紙トレイ41上に排紙される。
本第1変形例装置100Bにおいては、図示のように、第1中間転写ベルト8を、複数の張架ローラによって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架している。また、第2中間転写ベルト16も同様に横長の形状で張架している。そして、横長の形状の両ベルトを、鉛直方向の投影像が重なるように鉛直方向に並べて配設している。即ち、横長形状の2つのベルトを鉛直方向に重ねるように配設しているのである。このようにすることで、横長形状の2つのベルトを、互いの鉛直方向の投影像が全く重ならないように水平方向に並べて配設する場合とは異なり、縦横のバランスのとれたレイアウトにすることができる。
なお、これまで、像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト状の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。この場合、ベルト状の感光体を、第1ベルトとして機能させることも可能である。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、フルカラー画像を形成する例について説明したが、1つの感光体(像担持体)を用いて単色画像を形成する画像形成装置でもよい。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。本発明に係る画像形成装置の直接記録方式では、トナー飛翔装置から飛翔したトナーが付着せしめられる被付着体が像担持体としての機能を発揮することになる。
図11は、実施形態に係るプリンタ100Aの第2変形例装置100Cを示す概略構成図である。図8に示した第1変形例装置100Bと比べると、転写紙Pを供給する給紙路から排出路に至るまでの経路が直線的である点が似ている。但し、2つの中間転写ベルトの張架形状や、これらベルトの周辺に配設するプロセスカートリッジの構成が第1変形例装置100Bとは異なる。
図11において、第2変形例装置100Cは、プリンタ部300、操作表示部390、第1給紙部340、画像読取部400、自動原稿送り部410、第2給紙部420等を備えている。
プリンタ部300は、紙搬送路343を境にして、その上方に配設された第1転写ユニット320と、下方に配設された第2転写ユニット330とからなる両面転写装置を備えている。第1転写ユニット320は図中時計回りに無端移動する第1中間転写ベルト321を有している。また、第2転写ユニット330は図中反時計回りに無端移動する第2中間転写ベルト331を有している。第1中間転写ベルト321の上部張架面の上方には、4個の第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kが配置されている。一方、第2中間転写ベルト331の側部張架面の側方には、4個の第2トナー像形成手段である第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kが配置されている。
各プロセスカートリッジ(380Y,M,C,K、381Y,M,C,K)は、それぞれ像担持体たる感光体(301Y,M,C,K)を有している。第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kは等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1中間転写ベルト321の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第1受像面という。
一方、第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kも等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第2中間転写ベルト331の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第2受像面という言う。
第1中間転写ベルト321は、複数のローラにより、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとりながら、その第1受像面をほぼ水平に延在させる横長の姿勢で張架されている。第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kは、このようなほぼ水平の第1受像面に接するように、互いにほぼ水平方向で等間隔に並列配設されている。
一方、第2中間転写ベルト331は、複数のローラにより、日本語ひらがな「へ」の字状の姿勢で張架されている。但し、「へ」の字の左辺に該当する箇所は、ほぼ水平になっている。これに対し、「へ」の字の右辺に該当する箇所は、図中左上から右下にかけての傾斜になっている。第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kは、このような傾斜した第2受像面に接するように、第2中間転写ベルト331の図中右側方にて、図中左上から右下にかけての斜めの配列になるように等間隔で並列配設されている。
図12は、4つの第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kのうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「380」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。同図において、感光体301は、プリンタ部(300)の動作時に、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。かかる感光体301の周囲には、帯電手段であるスコロトロンチャージャ303、露光装置304、現像装置305、感光体クリーニング装置302、光除電装置Q等の作像部材や、電位センサS1、画像センサS2等が配設されている。
ドラム状の感光体301は、例えば直径30〜120[mm]程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)が被覆されたものである。アモルファスシリコン(a−Si)層を被覆したものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。
感光体クリーニング装置302は、クリーニングブラシ、クリーニングブレード、回収部材等を有し、後述の1次転写ニップを通過した後の感光体表面に残留する転写残トナーを除去、回収する。
スコロトロンチャージャ303は、回転駆動される感光体301の表面を例えばマイナス極性に一様帯電せしめるものである。かかる一様帯電を行う帯電手段として、スコロトロンチャージャの代わりに、コロトロンチャージャを用いても良い。また、帯電バイアスが印加される帯電バイアス部材を感光体1の表面に接触させる方式のものでもよい。
露光装置304は、各色のうちの1色に対応する画像データに基づいて生成した光で、一様帯電後の感光体1の表面を光走査して、感光体1の表面に静電潜像を形成する。図示の例では、露光装置304として、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなるものを用いている。レーザー光源やポリゴンミラー等を用いて、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザースキャン方式のものでもよい。
現像装置305は、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いて感光体301上の静電潜像を現像する二成分現像方式のものである。かかる二成分現像剤を2つの搬送スクリュウ305cによって攪拌しながら、図中奥行き方向に搬送する。これら2つの搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向は互いに逆方向である。例えば、図中左側の搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向が図中奥側から手前側であれば、図中右側の搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向は図中手前側から奥側である。前者の搬送スクリュウ305cによって現像装置5の図中奥行き方向端部まで搬送された二成分現像剤は、後者の搬送スクリュウ305cに受け渡される。そして、その端部から反対側の端部に向けて攪拌搬送される過程で、一部が後述の現像ロール305aに担持される。また、担持されなかったり、現像ロール305aから右側の搬送スクリュウ305cに戻されたりした二成分現像剤は、上記反対側の端部で左側の搬送スクリュウ305cに受け渡される。このようにして、二成分現像剤が現像装置305内で循環搬送される。なお、現像装置305として、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤による一成分現像方式のものを用いてもよい。
現像ロール305aは、ステンレスやアルミニュウム等からなる非磁性円筒の形状である。そして、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられるスリーブと、これに連れ回らないように内部固定されたマグネットローラとを有している。このマグネットローラは、スリーブの内部にて、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。図中右側の搬送スクリュウ305cによって搬送される二成分現像剤は、このマグネットローラの発する磁力によって引き寄せられて、回転駆動されるスリーブの表面で汲み上げられる。そして、スリーブ表面に連れ回って感光体301に対向する現像領域に搬送されるのに先立ち、ブレード305bとの対向位置である規制位置を通過する。
ブレード305bは、所定の間隙を介してその先端をスリーブ表面に近接させるように配設されている。そして、スリーブ表面上の二成分現像剤がその直下である規制位置を通過する際に、二成分現像剤の厚みを所定の大きさに規制する。
このようにして層厚が規制された二成分現像剤は、スリーブの回転に伴って感光体301との対向位置である現像領域に搬送される。マイナス極性に一様帯電せしめられた感光体301の表面に対する光走査によって電荷が減衰せしめられて形成された静電潜像は、現像領域にてスリーブ表面上の二成分現像剤に摺擦せしめられる。そして、潜像と同極性であるマイナス帯電性のトナーの付着によって、Y,M,C,Kの何れかの色に現像される。第1プロセスカートリッジ380においては、いわゆる反転現像が行われるのである。これにより、感光体301上には、Y,M,C,Kの何れかの色のトナー像が形成される。
上記現像領域でトナーを消費した二成分現像剤は、上記スリーブの回転に伴って現像装置305内に戻る。そして、上記マグネットローラの互いに同極で隣り合う磁極によって形成される反発磁界の影響を受けて、スリーブ表面から離脱して、図中右側の搬送スクリュウ305c上に戻された後、図中左側の搬送スクリュウ305cに受け渡される。
図中左側の搬送スクリュウ305cの下方には、トナー濃度センサ305eが配設されており、左側の搬送スクリュウ305cによって搬送される二成分現像剤の透磁率を検知する。
図示しない制御部は、このトナー濃度センサ305eからの出力信号に基づいて二成分現像剤のトナー濃度を所定の閾値未満であると判断すると、図示しない8つのトナー供給手段のうち、その二成分現像剤に対応するものを所定時間駆動する。これら8つのトナー供給手段は、それぞれ、第1プロセスカートリッジ(380Y,M,C,K)の4つの現像装置、あるいは、第2プロセスカートリッジ(381Y,M,C,K)の4つの現像装置の何れか1つに対応するものである。プリンタ部(300)の上部のボトル収納部385に着脱可能にセットされた4つのY,M,C,Kトナーボトル(図11の386Y,M,C,K)の何れかに接続されている。そして、接続されたトナーボトルから、対応する現像装置内における図中左側の供給スクリュー305d上に、所定色のトナーを供給する。これにより、現像によってトナーを消費した二成分現像剤のトナー濃度が回復する。かかる構成のトナー供給手段としては、従来から公知のモーノポンプによる吸引力で、トナーボトル内のトナーを吸引して現像装置内まで搬送する方式のものがよい。この方式によれば、トナーボトルの設置場所の制約が少ないため、プリンタ部(300)内部のスペース配分に有利である。またトナーが適時補給できるため、現像装置305に大きなトナー貯留スペースを設けなくてすみ、現像装置305の小型化を図ることができる。
なお、センサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために制御部(395)に情報を出す。また、クリーニング後の感光体301の表面は除電装置Qによって残留電荷が除電されて初期化せしめられる。
一般に、本第2変形例装置100Cのように、転写紙Pのそれぞれの面に対応する中間転写ベルト及びプロセスカートリッジを別々に設ける場合には、それぞれのプロセスカートリッジとして互いに共通仕様のものを用いることが困難になる。これは次に説明する理由による。即ち、第1中間転写ベルトと第2中間転写ベルトとについては、2次転写ニップで互いに同方向に表面移動させるべく、互いに逆回りに無端移動させる必要がある。一方の中間転写ベルトを時計回りに、他方の中間転写ベルトを反時計回りに、それぞれ無端移動させるのである。すると、第1プロセスカートリッジと第2プロセスカートリッジとで、感光体の回転方向を互いに逆にしなければならない。例えば、先に説明した第1変形例装置100Bでは、図8に示したように、第1プロセスカートリッジ6の感光体1を反時計回りに回転させているのに対し、第2プロセスカートリッジ86の感光体については時計回りに回転させている。図8において、第1プロセスカートリッジ6の感光体1を単純に逆方向に回転させるものを、第2プロセスカートリッジ86として使用することはできない。単純に逆回転させてしまうと、露光、現像、転写、クリーニング、除電という一連の画像形成プロセスを逆に実行させることになり、トナー像を形成することができなくなるからである。第1プロセスカートリッジ6の感光体1を図示のものとは逆に時計回りに回転させつつ、一連の画像形成プロセスを正常に行わせるには、感光体1を逆回転させるのではなく、プロセスカートリッジ6の姿勢を工夫する必要がある。具体的には、図示の第1プロセスカートリッジ6を上下反転させるか、あるいは垂直軸を中心に前後反転させるかして、第2プロセスカートリッジとして使用する必要がある。このようにすれば、感光体を時計回りに回転させつつ正常な順序で画像形成プロセスを行う第2プロセスカートリッジ86が得られる。しかしながら、上下反転させてしまうと、現像装置内におけるトナーの収容位置も上下反転させるため、現像装置内でトナーを正常に搬送することができなくなってしまう。また、前後反転させた場合には、現像装置内でのトナー搬送には支障ないが、感光体に第2中間転写ベルトを対向させることが困難になる。例えば、図示の例では、第2プロセスカートリッジ86の上部を第2中間転写ベルト16に対向させる必要があるにもかかわらず、第1プロセスカートリッジ6を前後反転させたものでは、その下部だけが第2中間転写ベルト16との対向可能領域になってしまう。このため、図示の例では、第2プロセスカートリッジ86として、全体的には第1プロセスカートリッジ6の上下を反転させたような構造であるが、現像装置だけが上下反転していない構造のものを用いている。両プロセスカートリッジとして、互いに共通仕様のものを用いていることができていないので、それぞれのプロセスカートリッジがコスト高になっている。
そこで、本第2変形例装置100Cでは、次のようにして、プロセスカートリッジの共通仕様化を図っている。即ち、図11に示したように、第1中間転写ベルト321を第1変形例装置と同様に横長の形状で張架している。また、第2中間転写ベルト331を縦長で、且つその所定領域が鉛直方向下側から上側に向けて斜めに移動する形状で張架している。そして、第2中間転写ベルト331におけるこの所定領域に対向させて、第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kを配設している。このようにすることで、第1プロセスカートリッジと第2プロセスカートリッジとを共通仕様化し得る理由は、以下の通りである。
即ち、図12に示した第1プロセスカートリッジ380において、感光体301の周りにおけるセンサS2からクリーニング装置302に至るまでの領域は、感光体301に対向するものが何もない。感光体301は、この領域で第2中間転写ベルトと当接することになる。現像装置305をできる限り第2中間転写ベルトに接近させる姿勢で第1プロセスカートリッジ380を配設した場合、第2中間転写ベルトは次のような軌道を辿って移動することになる。即ち、感光体301との接点と、現像装置305のトナー濃度センサ305eの下端近傍点C1とを結ぶ直線に沿った軌道である。一方、クリーニング装置302をできる限り第2中間転写ベルトに接近させる姿勢で第1プロセスカートリッジ380を配設した場合、第2中間転写ベルトは次のような軌道を辿って移動することになる。即ち、感光体301との接点と、クリーニング装置302の下端近傍点C2とを結ぶ直線に沿った軌道である。これら2つの直線のなす角βが、第1プロセスカートリッジ380における第2中間転写ベルト対向可能領域となっている。なお、図中の点線は、本第2変形例装置100Cにおける第2中間転写ベルト331の移動軌道を示しており、これはほぼ水平方向に延びる軌道である。この移動軌道は、当然ながら、角βで形成される第2中間転写ベルト対向可能領域内に含まれている。
このような構造の第1プロセスカートリッジ380に対し、第2プロセスカートリッジ381は、図13に示すような構造になっている。4つの第2プロセスカートリッジ(381Y,M,C,K)も、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図においてもY,M,C,Kの添字を省略している。第2プロセスカートリッジ381は、図12に示した第1プロセスカートリッジ(380)とは、感光体301の回転方向が異なっている。また、図12との比較からわかるように、第2プロセスカートリッジ381は、鉛直方向に延びる仮想線を基準にして、第1プロセスカートリッジ380とは線対称のレイアウトになる構造になっている。即ち、第2プロセスカートリッジ381は、第1プロセスカートリッジ381と同じ仕様のものが、前後反転させて配設されたものである。但し、第1プロセスカートリッジ380とは、ベルトとの相対位置関係が異なっている。具体的には、第1プロセスカートリッジ380は、第1中間転写ベルト321の上方に配設され、且つ、感光体301を第1中間転写ベルト321の水平張架面に対向させている。これに対し、第2プロセスカートリッジ381は、第2中間転写ベルト331の側方に配設され、且つ、感光体301を第2中間転写ベルト331の傾斜張架面に対向させている。何れの中間転写ベルトも、プロセスカートリッジとの対向位置にて、角βで形成される中間転写ベルト対向可能領域内に位置している。
先に示した図8のように、両プロセスカートリッジともに、ベルトの水平張架面に対向させるようにすると、角βで形成される中間転写ベルト対向可能領域にそれぞれベルトを位置させることはできない。しかし、一方のベルトを横長に張架してその水平張架面にプロセスカートリッジを対向させる一方で、他方のベルトを縦長で且つ傾斜張架面を形成する形状で張架してその傾斜張架面にプロセスカートリッジを対向させるようにすると、本第2変形例装置100Cのように、両ベルトをそれぞれ中間転写ベルト対向可能領域に位置させることができるようになる。そして、このことにより、両プロセスカートリッジの共通仕様化を図ることができるのである。
第1プロセスカートリッジ(380Y,M,C,K)で使用されるトナーと、第2プロセスカートリッジ(381Y,M,C,K)で使用されるトナーとは同じものである。トナーとしては、従来から公知の方法で得られる球形や不定形のトナーが用いられる。また、磁性キャリアも従来から公知の方法で得られるものが用いられる。体積平均粒径が25[μm]〜60[μm]程度のものがよい。
先に示した図11において、第1転写ユニット320は、第1中間転写ベルト321を複数のローラ323,324,325,326(2個),327,328a,328bによって張架している。そして、それを第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第1転写ユニット320では、感光体301Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第1中間転写ベルト321上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第1中間転写ベルト321は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ322の何れかが、感光体301Y,M,C,Kとの間に第1中間転写ベルト321を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第1中間転写ベルト321に重ね合わされて1次転写される。
第1中間転写ベルト321の外周部には、ローラ323に対向する位置にベルトクリーニング装置320aが設けられている。このローラ323は第1クリーニングバックアップローラとして機能している。ベルトクリーニング装置320aは、各1次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト321の表面に残留する転写残トナーや、紙粉などの異物を拭い去る。第1中間転写ベルト321に関連する部材は、第1転写ユニット320として一体的に構成してあり、プリンタ部300に対し着脱が可能となっている。一体的に構成しないで、クリーニング装置320aを着脱可能に構成してもよい。ベルトクリーニング装置320aよりもベルト移動方向下流側では、押圧ローラ329が第1中間転写ベルト321をおもて面から押圧して、その張架形状をループ内側に向けて湾曲させている。
一方、第2転写ユニット330は、第2中間転写ベルト331を複数のローラ333,334,335,336(2つ)、338、346に張架して感光体301Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第2画像形成部330では、感光体301Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第2中間転写ベルト331上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第2中間転写ベルト331は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ332の何れかが、感光体301Y,M,C,Kとの間に第2中間転写ベルト331を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第2中間転写ベルト331に重ね合わせて1次転写される。
第2中間転写ベルト331の外周部には、ローラ333に対向する位置にベルトクリーニング装置330aが設けられている。このローラ333は、第2クリーニングバックアップローラとして機能している。ベルトクリーニング装置330aは、各1次転写ニップを通過した後の第2中間転写ベルト331の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を除去する。第2中間転写ベルト31に関連する部材も、第2画像形成部330として一体的に構成してあり、プリンタ部300に対し着脱が可能となっている。一体的に構成しないで、クリーニング装置320aを着脱可能に構成してもよい。クリーニング装置320aよりもベルト移動方向下流側では、押圧ローラ337が第2中間転写ベルト331をおもて面側から押圧して、その張架形状をループ内側に向けて湾曲させている。
第1中間転写ベルト321、第2中間転写ベルト331、感光体から除去された転写残トナーは、それぞれ、図示しない回収手段により、プリンタ部300筺体の下部に設けられた廃トナー収納部387に送られる。このように廃トナーを集中的に回収することで、ベルトクリーニング装置や感光体クリーニング装置に大容量の廃トナーを収容するための収納部を設ける必要がなくなる。そして、これにより、クリーニング装置の小型化を図るとともに、廃トナーの廃棄の操作性を向上させることができる。廃トナー収容部387には、内部の廃トナーの上限レベルを検知する図示しない満杯センサを設けている。この満杯センサによる検知結果に基づいて、トナー廃棄作業や容器交換作業などを操作者に促している。
第1転写ユニット320の転写手段たる4つの1次転写ローラ322や、第2転写ユニットの転写手段たる4つの1次転写ローラ332としては、例えば次のような構成のものを用いることができる。即ち、芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に、不図示の電源からバイアスが印加されるものである。本実施形態では、導電性ゴム材料として、ウレタンゴムにカーボンを分散したものを用い、体積抵抗を105〜107Ωcm程度に調整している。
プリンタ部300は、K(ブラック)トナーだけによるモノクロ画像の出力も可能である。モノクロ画像を出力する場合には、第1転写ユニット320におけるY,M,C用のプロセスカートリッジ380Y,M,Cを使用しない。第1転写ユニット320は、モノクロ出力の際に、プロセスカートリッジ380Y,M,Cを稼動させないだけでなく、これらの感光体と第1中間転写ベルト321とを非接触に保つための機構を備えている。ローラ326と1次転写ローラ322とを支持する内部フレーム(不図示)を回動可能に支持しており、これを各感光体から遠ざける方向に回転させることで、第1中間転写ベルト321をY,M,C感光体301Y,M,Cから離間させる。そして、K感光体301Kだけを第1中間転写ベルト321と接触させて、K感光体301K上のKトナー像を転写紙Pの第1面に転写する。なお、第2転写ユニット330も同様にして、モノクロ画像出力時に第2中間転写ベルト331をY,M,C感光体301Y,M,Cから離間させるようになっている。
第1中間転写ベルト321の外周で、支持ローラ328の近傍には、転写手段たる2次転写ローラ346が配設されており、支持ローラ328aと支持ローラ328bとの間に第1中間転写ベルト321を挟み込んで前段転写部としての2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ346は芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴムを被覆したもので、芯金部に対して、図示しない電源から2次転写バイアスが印加される。導電性ゴムはカーボンの分散によって体積抵抗が105〜107Ωcm程度に調整されたものである。
前段転写部たる2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対345が配設されている。このレジストローラ対345は、後述の第1給紙部340から送られて来る転写紙をローラ間に挟み込んだ後、両ローラの回転を一時中断する。そして、第1中間転写ベルト321上の重ね合わせトナー像である4色トナー像および第2中間転写ベルト331に形成される画像に同期させ得るタイミングで、転写紙を前記前段転写部における2次転写ニップに向けて送り出す。送り出された転写紙は、2次転写ニップでその一方の面である第1面(図中上側を向く面)に4色トナー像が密着せしめられる。そして、2次転写ローラ346に印加される2次転写バイアスやニップ圧の作用により、第1中間転写ベルト321上の4色トナー像がその第1面に一括2次転写されながら、前段転写部の2次転写ニップを通過する。
前段転写部たる2次転写ニップを通過した転写紙Pは、第1中間転写ベルト321から離れるが、第2中間転写ベルト331の上部張架面上に密着して第2中間転写ベルト331とともに移動する。第2中間転写ベルト331の上部張架面の上方には、転写チャージャ347が上部張架面と所定の間隙を介して対向するように配設されている。この転写チャージャ347と第2中間転写ベルト331との間が、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像を転写紙の他方の面である第2面(図中下側を向く面)に転写するための後段転写部となる。転写チャージャ347は公知の方式によるチャージャであり、タングステンや金の細い線を放電電極として有している。そして、ケーシングで包囲された放電電極には、図示しない電源から転写電流が付与される。第2中間転写ベルト331と転写チャージャ347の間を通過する転写紙Pは、転写チャージャ347から発せられる電荷が第1面に付与されて、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像が第2面に一括2次転写される。上述の2次転写バイアスや、転写チャージャ347による付与電荷は、何れもトナーの帯電極性とは逆のプラス極性である。
プリンタ部300の図中右側方には、第1給紙部340が配設されている。この第1給紙部340内には、画像形成装置本体としてのプリンタ部300の外部側方で記録体を収容する外部記録体収容手段である4つの給紙カセットが多段に収容されている。これらは、一番上から順に、第1外部給紙カセット340a、第2外部給紙カセット340b、第3外部給紙カセット340c、第4給紙カセット340dという順で配設されている。それぞれ異なるサイズの転写紙Pを収容することができ、第1給紙部340に対して、それぞれ引き出し可能に構成されている。第1,第2,第3,第4外部給紙カセット340a,b,c,d内に収容される転写紙束の一番上の転写紙Pは、分離給紙手段341a,b,c,dによって束から分離されながら、第1給紙用排出路348に送り出される。この第1給紙用排出路348は、第1外部給紙カセット340aの図中左上でプリンタ部300に向けてほぼ水平方向に延びる水平搬送部と、各給紙カセットの図中左側方で水平搬送部に向けて鉛直方向に延びる垂直搬送部とから構成されている。
第2,第3,第4外部給紙カセット340b,c,dから水平方向に送り出される転写紙Pは、まず、先端側から順に約90[°]の角度で曲げられながら、第1給紙用排出路348の垂直搬送部に進入する。そして、垂直搬送部内で下側か上側に向けて搬送された後、第1給紙用排出路348の水平搬送部に進入する。次いで、先端側から順に約90[°]の角度で曲げられながら、水平搬送部を図中右側から左側に向けて搬送されて、プリンタ部300の給紙路に至る。一方、第1外部給紙カセット340aから水平方向に送り出される転写紙Pは、第1給紙用排出路348の垂直搬送部を経由しないで、送り出された姿勢のままで、水平搬送部に進入する。そして、ほぼ水平の姿勢を保ったままの状態で、プリンタ部300内に送り込まれる。第1外部給紙カセット340aから送り出される転写紙Pは、その姿勢が曲げられることなく、プリンタ部300の給紙路に送り込まれるのである。更に、プリンタ部300内の紙搬送路343は、その先端側の給紙路から、後端側の排紙路に至るまで、ほぼ水平に延びる形状になっているため、転写紙Pは紙搬送路343内で姿勢が曲げられることなく搬送される。第1給紙部340の第1外部給紙カセット340a内から、プリンタ部300の排出路に至るまでの経路が、ほぼ水平に延びているのである。よって、転写紙Pとして腰の強い厚紙を使用したい場合には、それを第1給紙部340の第1外部給紙カセット340aから給紙させるようにすれば、腰の強い厚紙であっても、ジャムを引き起こすことなく搬送することができる。なお、各給紙カセットの分離給紙手段341a,b,c,dとしては、多様な特性の転写紙Pをそれぞれ確実に給紙できるように、バキューム機構からなるエアー給紙を採用することが望ましい。
プリンタ部300の紙搬送路343において、路先端から上述の2次転写ニップの入口までは、給紙路となっている。この給紙路には、2次転写ニップで紙とトナー像とを同期させるタイミングをはかるためのレジストローラ対345の他に、転写紙の搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にするための横レジ補正機構344が設けられている。この横レジ補正機構344は、第1給紙部340から両面転写装置(第1、第2転写ユニット)に向けて搬送されている途中の転写紙における搬送方向からの姿勢の傾きを補正する傾き補正手段である。レジストローラ対345よりも搬送方向上流側で、搬送方向に直交する紙面方向に並べられたガイド板対を、転写紙の搬送方向に直交する両端に突き当てることで、転写紙の姿勢の傾きを補正する。ガイド板対の2つのガイド板は、搬送方向に直交する紙面方向に移動可能になっており、給紙された転写紙の幅に合わせて移動することで、板間距離を転写紙の幅に合わせることができる。横レジ補正機構344としては、この他、次のようなものを採用してもよい。即ち、横方向の基準ガイドと斜行コロ対から構成され、転写紙の横方向端部を該基準ガイドに押付けるように転写紙をスライド搬送する。そして、転写紙を所定の位置に整合させるものである。また、転写紙の搬送方向に対し転写紙の両方の横方向から、転写紙の両辺を短時間及び複数回押し、転写紙を所定の位置に整合させる規制部材から構成されるジョガー方式のものでもよい。横レジ補正機構344によって姿勢の傾きが補正された転写紙Pは、レジストローラ対345のローラ間に至り、そこでタイミングが計られて2次転写ニップに送り出される。
第1給紙部340の第1外部給紙カセット340aの上方には、第2給紙用排出路339が水平方向に延在するように配設されている。この第2給紙用排出路339の先端は、第1給紙用排出路348の水平搬送部と合流するようになっている。
第1給紙部340の図中右側方には、外部記録体収容手段たる第2給紙部420が配設されており、内部に多量の転写紙Pを収容している。第2給紙部420から送り出された転写紙Pは、第1給紙部340内の第2給紙用排出路339を経由した後、プリンタ部300の給紙路に送り出される。第2給紙部420から水平方向に送り出される転写紙Pも、その姿勢が曲げられることなく、プリントアウトが完了する。よって、第2給紙部420から厚紙を給紙させるようにしてもよい。なお、図示を省略しているが、第1給紙用排出路348、第2給紙用排出路339、プリンタ部300の紙搬送路343の要所には、転写紙Pを検知する紙検知センサを設けており、これら紙検知センサによる検知信号を、画像形成プロセス制御のトリガーに利用している。
第2転写ユニット330の図中左側方には、搬送ベルトユニット350が配設されている。この搬送ベルトユニット350は、搬送ベルト351、これを張架する複数の張架ローラ、吸着用チャージャ357、ベルトクリーニング装置350a、分離チャージャ358などを有している。搬送ベルト351を張架する複数の張架ローラは、入り口ローラ352と、支持ローラ353と、分離ローラ354と、クリーニングバックアップローラ355と、テンションローラ356とから構成されている。搬送ベルト351は、これら張架ローラにより、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢で張架されながら、図示しない駆動手段によって回転せしめられる分離ローラ354によって、図中反時計回りに無端移動せしめられる。
後段転写部でトナー像が第2面に2次転写された転写紙Pは、張架ローラである駆動ローラ334による第2中間転写ベルト掛け回し位置で、第2中間転写ベルト331から分離されて、搬送ベルト351に受け渡される。そして、搬送ベルト351によって定着装置360に向けて搬送される。
第2中間転写ベルト331は、2次転写ニップ出口から駆動ローラ334による掛け回し位置に至るまで、ほぼ水平に直線状に移動する。よって、2次転写ニップを通過した後、2中間転写ベルト331から分離されるまでの転写紙Pは、ほぼ水平に直線状に搬送される。一方、第2中間転写ベルト331から受け取った転写紙Pを表面に保持しながら定着装置360に向けて搬送する搬送ベルト351の上側張架面の大部分も、ほぼ水平に直線状に移動するようになっている。しかも、2次転写ニップ出口から駆動ローラ334による掛け回し位置に至るまでの第2中間転写ベルトの上側張架面の延長線上に位置している。よって、転写紙Pは、第2中間転写ベルト331から搬送ベルト351への受け渡し途中で、先端側が搬送ベルト351上に保持されつつ後端側が第2中間転写ベルト331に保持されている状態でも、水平方向に延びる一直線上の姿勢を維持する。
このように、第2中間転写ベルト331の2次転写ニップ通過後の上側張架面と、搬送ベルト351の上側張架面の大部分とが、互いに延長線上に位置しながら水平方向に直線状に移動することで、受け渡し途中の転写紙Pの姿勢を真っ直ぐに維持する。但し、搬送ベルト351の上側張架面のうち、第2中間転写ベルト331の近傍に位置する僅かな領域は、水平方向に直線状に移動するのではなく、鉛直方向下側から上側に向けて僅かに斜めに移動するようになっている。搬送ベルト351を張架する複数の張架ローラのうち、転写装置(第2中間転写ベルト)の最も近くに位置する入口ローラ352が、第2中間転写ベルト331からの紙分離位置よりも鉛直方向の低い位置にあることで、このような斜めの移動(角度θ)が行われる。搬送ベルト351が、第2中間転写ベルト331の付近において、第2中間転写ベルト331の紙分離位置よりも低い位置から、同程度のレベルまで僅かに傾いて移動するのである。このような移動により、第2中間転写ベルト331から分離した転写紙先端がその腰の弱さによって重力方向に撓んだとしても、搬送ベルト351の全領域のうち、紙分離位置よりも下側で移動する領域でその撓んだ部分を捉えることができる。そして、紙分離位置と同程度のレベルまで持ち上げつつ、定着装置360に向けて搬送することができる。よって、転写紙Pとして、比較的腰の弱い薄紙を用いても、両面転写装置から搬送ベルトユニット350に確実に受け渡すことができる。
なお、上述のように、搬送ベルト351を両面転写装置の近傍でθという斜めの角度で移動させるようにしているが、この角度θについては、5〜20[°]にすることが望ましい。また、第2中間転写ベルト331と搬送ベルト351との間のギャップについては、10〜30[mm]の範囲に設定することが望ましい。このようにすることで、転写紙Pとして、腰の弱い45キロ紙を用いた場合でも、その先端側を円滑に第2中間中間転写ベルト331上から搬送ベルト351上に受け渡しすることができるからである。
搬送ベルト351は、第2中間転写ベルト331から転写紙Pを受け取るのに先立って、吸着用チャージャ357によってトナーの帯電極性と同極性(例えばマイナス)の電荷が付与される。そして、これにより、第2中間転写ベルト331から受け取った転写紙Pをおもて面に静電吸着させる。吸着用チャージャ357の代わりに、ベルトと接触する帯電ローラを採用することもできる。また、ベルトの帯電量を転写紙Pの種類や、画像のトナー付着量に応じて変化させ、適切な吸着力を発揮させるようにすると好都合である。一般的にアート紙、コート紙は平滑性に優れ、搬送ベルトに吸着しやすく、過度のベルト帯電により、下流での分離が困難となる。またフルカラー画像であるとか、用紙前面にフルカラー画像があると、トナー付着量が多いことから、用紙がベルトに吸着し難いからである。
搬送ベルト351としては、基材がポリイミド又はポリアミドからなるものが用いられている。この基材とは、搬送ベルト351が単層構造である場合にはベルトそのもののことである。また、搬送ベルト351が多層構造である場合には、最も厚みの大きい層のことである。ポリイミドやポリアミドは非常に耐熱性に優れた材料であるため、搬送ベルト351の基材にそれらを用いることにより、紙受け渡しのために定着装置360の近傍に配設しなければならない搬送ベルト351に優れた耐熱性を発揮させる。そして、定着装置360からの熱の影響による搬送ベルト351の伸縮や寿命低下を抑えることができる。
なお、本第2変形例装置100Cでは、搬送ベルト351として、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)等のトナー離型性に優れた樹脂を含む材料からなる表面層が基材に被覆されたものを用いている。かかる表面層が被覆されることで、搬送ベルト351のおもて面のトナー離型性を高めてトナー汚れ落ちを良好にするとともに、ベルト全体の電気抵抗値を帯電可能な所望の値に調整することができる。
搬送ベルト351のループ内面における幅方向の両端付近には、それぞれ、ベルト全周に渡って延在する突起である図示しないベルト寄り止め部材が設けられている。両端付近のベルト寄り止め部材がそれぞれ張架ローラの端部に突き当たることにより、搬送ベルト351の片寄り走行が規制される仕組みである。
搬送ベルト351を張架する複数の張架ローラのうち、定着装置360の最も近くに位置するのは、分離ローラ354である。搬送ベルト351は、この分離ローラ354による掛け回し位置の前後で、その移動方向をほぼ反転させるように、分離ローラ354の周面の大部分に掛け回されている。分離ローラ354としては、直径16〜30[mm]という比較的小径のものが用いられている。搬送ベルト351のおもて面に吸着されながら、定着装置360に向けて搬送される転写紙Pは、小径の分離ローラ354によるベルト掛け回し位置の前後におけるベルト移動方向の急激な変化に追従することが困難になる。加えて、搬送ベルト351の分離ローラ354掛け回し箇所には、分離チャージャ358がベルトおもて面に所定の間隙を介して対向するように配設されており、搬送ベルト351を除電してベルトと転写紙Pとの静電吸着をキャンセルする。これらにより、転写紙Pは、分離ローラ354によるベルト掛け回し箇所にて搬送ベルト351から分離して、定着装置360に向けて移動する。そして、搬送ベルト351から定着装置360に受け渡される。なお、分離ローラ354はベルトを駆動させ得る摩擦抵抗を発揮するように表面にゴム材料が被覆されているが、接地によるベルト除電作用も発揮するようにそのゴム材料として導電性のものが用いられている。先に図8に示した搬送ベルト71についても、図11に示す搬送ベルト351と同様のものを用いることができる。また、同様にして、吸着搬送させるようにしてもよい。
搬送ベルトユニット350の図中左側方には、加熱手段を有する定着装置360が配設されている。この定着装置360としては、ローラ内部にヒータを備えるもの、加熱されるベルトを走行させるベルト方式のもの、電磁誘導による加熱を行う誘導加熱方式のものなどを採用することができる。図示のようなローラ方式の場合には、転写紙両面の画像の色合いや、光沢度を同等にするべく、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを定着ローラ対の各ローラで同じにすることが望ましい。フルカラーとモノクロ画像との違いや、片面プリントと両面プリン値との違いに応じて、定着条件を制御したり、転写紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、制御部395によって制御される。
本第2変形例装置100Cのように、第2中間転写ベルト331と定着装置360との間に搬送ベルトユニット350を設けると、設けない場合に比べて、第2中間転写ベルト331と定着装置360との距離を遠ざけることができる。そして、このことにより、定着装置360からの熱伝搬によって第2中間転写ベルト331を昇温せしめて、その熱によって転写残トナーを軟化させてベルトに固着させてしまうといった事態を回避することができる。
定着装置360の図中左側方には、定着装置360から排出される転写紙Pを冷却して、軟化したトナーを早期に固化させるための冷却ローラ対370が配設されている。この冷却ローラ対370としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のものを採用することができる。冷却ローラ対370によって冷却された転写紙Pは、排紙ローラ対371により、プリンタ部300の図中左側の筺体側板に設けられた排紙スタック部375に排紙、スタックされる。この排紙スタック部は、大量の転写紙Pのスタックを可能にする目的で、図示しないエレベータ機構によってスタックレベルに応じて受け部材が上下する機構を有している。なお、排紙スタック部375を通過させた後、別の後処理装置に向けて転写紙Pを搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置を採用することができる。
第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kと、第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kとで、互いに同色のトナーを扱うものに対しては、共通のトナーボトル(386Y,M,C,K)からその現像装置にトナーが供給される。但し、それぞれ別のトナーボトルからトナーを供給させるように、各色についてトナーボトルを2つずつ設けてもよい。また、特に消耗の多いKトナー用のトナーボトル386Kについては、他のボトルよりも大容量にしてもよい。
ボトル収容部385は、プリンタ部筺体上面の図中奥側に配設されており、プリンタ部筺体上面におけるボトル収容部385の図中手前側には、作業台として機能し得るスペースが確保されている。
プリンタ部筺体上面におけるボトル収容部385の図中右側方には、操作・表示ユニット390が載置されている。この操作・表示ユニット390は、キーボード等の入力手段と、表示手段たるディスプレイとを有しており、入力手段から各種の情報を入力して、制御部395に送ることができる。また、ディスプレイには、様々な情報を表示することができ、操作者とプリンタ部300との情報交換を容易なものとする。
プリンタ部300内部に設けられた制御部395には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。定着装置360による熱や電装装置からの発熱により、プリンタ部筐体内の空気は昇温せしめられるが、筐体上部の側面に設けられたファン396が温められた空気を外部に逃がすので、過剰な内部温度の上昇が回避される。このファン396は、上述した冷却ローラ対370の図示しない放熱部と結合しており、冷却ローラ対370の冷却効果を高める役割も担っている。
第1給紙部340の上方には、原稿読取部400が配設されている。また、原稿読取部400の更に上方には、図示しない原稿を自動搬送しながらその片方の面の画像を読み取る自動原稿送り部410が配設されている。原稿読取部400においては、本などの厚い原稿が載置可能な原稿ガラス401に置かれた原稿が、照明ランプ402と共に走行する第1ミラー403、第1ミラー403の半分の速度で走行する第2ミラーユニット404で走査される。この走査によって得られた反射光は、結像レンズ406を経てCCD407にとり込まれる。そして、CCD407による読取情報が制御部395に送られる。送られた読取情報に基づいて、プリンタ部300が駆動制御されて、原稿と同じ画像が出力される仕組みである。
プリンタ部300に対しては、図示しないパーソナルコンピュータ等からの画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。更に、図示しない電話回線から送られてくる画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。
プリンタ部300において、転写紙の片面にフルカラー画像を形成する片面プリントモードの動作は、以下の通りである。即ち、片面記録の方法は大別して2種類あり、操作・表示ユニット390による操作で何れの方法を用いるのかを選択することができる。2種類のうちの1つは、第1中間転写ベルト321に転写した4色トナー像を転写紙Pの第1面に一括2次転写する方法である。また、もう1つの方法は、第2中間転写ベルト331に転写した4色トナー像を転写紙の第2面に一括2次転写する方法である。画像データが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部375上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。
2種類のうち、最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせることができる前者の方法における動作は、以下の通りである。即ち、プリンタ部300がプリント動作を開始すると、第1中間転写ベルト321と第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kにおける感光体301Y,M,C,Kとが作動する。同時に第2中間転写ベルト331も作動するが、第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kにおける感光体301Y,M,C,Kからは離間した状態になっている。また、第2プロセスカートリッジ381の各感光体は停止状態になっている。そして、第1プロセスカートリッジ380Yによる画像形成が開始される。LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置304の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置303によって一様帯電された感光体301Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、Y用の第1プロセスカートリッジ381Yの現像装置によってYトナー像に現像され、Y用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト321上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が感光体301M,C,K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。そして、第1中間転写ベルト321上のYトナー像に対して、M,C,K用の1次転写ニップでM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、第1中間転写ベルト321上に4色トナー像が形成される。
定着装置360内では、転写紙Pの第1面のフルカラー画像中の各色トナーが、加熱によって溶融、混色される。転写紙はその第1面だけにトナーを有しているので、両面にトナーを有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギは少なくて済む。制御部395が画像に応じて定着装置360の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナーも転写紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等にこすられ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を抑える目的で、定着装置360を通過した転写紙Pは、冷却手段である冷却ローラ対370に受け渡される。そして、そこでトナーが完全に固着せしめられた後、排紙ローラ371によって排紙スタック部375に排紙される。排紙スタック部375で若い頁の転写紙が順次上に重ねられるように、作像順序がプログラムされているので、スタック部375で頁順が揃う。排紙スタック部375は、排紙される転写紙の増加に従って、下降するので、転写紙Pは整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。
転写紙Pの片面だけに画像を形成する他の方法では、第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kでの画像の形成をおこなわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なる。しかし、基本的には上述の片面記録の工程と同じなので、説明を省略する。
転写紙Pの両面に画像を形成する両面プリントモードにおける動作は、以下に説明する通りである。即ち、プリンタ部300に画像信号が入力されると、第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト321に順次重ね合わせて1次転写される。この工程とほぼ並行して、第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第2中間転写ベルト331に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして、第1中間転写ベルト321、第2中間転写ベルト331上に、それぞれ4色トナー像が形成される。第2プロセスカートリッジ381Y,M,C,Kのユニット間隔は、第1プロセスカートリッジ380Y,M,C,Kのユニット間隔よりも小さくなっている。第2転写ユニットでは、第1転写ユニットよりも速く重ね合わせ1次転写が終了する。
タイミングが計られてレジストローラ対345から2次転写ニップに送られた転写紙Pは、その第1面に第1中間転写ベルト321上の4色トナー像が2次転写された後、第2中間転写ベルト331上に受け渡される。そして、第2中間転写ベルト331と転写チャージャ347とが所定の間隙を介して対向する後段転写部にて、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像が第2面に2次転写される。
数の頁に渡る転写紙Pに両面記録する場合には、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部375にスタックされるように作像順序が制御される。これにより排紙スタック部375から取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置360に入力する電力を片面記録時より増やすとか、テキストデータとフルカラーデータ(トナー付着量の少ないデータと多いデータ)に対する定着電力変更などの制御は、制御部395によって実行される。
片面プリントモード、両面プリントモードに関して、フルカラー画像を記録する例について説明したが、Kトナーだけによるモノクロ記録も可能である。メンテナンスや部品交換等の必要性が生じた場合には、不図示の外装カバー等を開放し、メンテナンスを行う。
図14は、実施形態に係るプリンタの第3変形例装置の要部を示す要部構成図である。図11に示した第2変形例装置100Cとは、定着装置360の構成が異なっている。定着ローラ360aと定着ベルト360cとの当接によって定着ニップを形成している。定着ローラ360aは、第2変形例装置100Cと同様のものである。定着ベルト360cは、加熱ローラ360dと加圧ローラ360eとに張架されながら無端移動せしめられ、加圧ローラ360eによる掛け回し箇所を定着ローラ360bに圧接させる。定着ベルト360cを張架しながら裏面から加熱する加熱ローラ360dは、第2中間転写ベルト331に対して加圧ローラ360eよりも近くに位置するように配設されている。即ち、定着ニップよりも紙搬送上流側に配設されている。かかる構成の定着装置360では、定着ニップを形成するためのローラ対の一方として、加圧ローラ360eのように、発熱源を内包しないものを用いことが可能になる。また、定着ベルト360cを加熱するための加熱ローラ360dとして、幅広い定着ニップを形成する目的で表面に弾性層を相当の厚みで設けたものではなく、弾性層を設けないか、設けたとしても、ベルトスリップを抑える程度に薄い弾性層にすることができる。そして、発熱源を内包する加熱ローラ360dの熱容量を、定着ローラ対方式の定着ローラよりも小さくして、ローラ表面温度の立ち上がりを速くすることができる。これらの結果、定着ローラ対方式のものに比べて、省電力化やウォーミングアップ時間の短縮化を図ることができる。
定着ベルト360cには、トナーの極性と同じ極性のバイアスを印加しており、これによって転写紙Pを定着ベルト360cに静電吸着させながら定着ニップに送り込んでいる。定着ベルト360cとしては、導電性材料からなるベース層に、非導電性材料からなる表層を被覆したものを用いている。また、ベース層としては、Niあるいは導電性ポリイミドからなるものを用いている。また、表層としては、シリコンゴムからなるものを用いている。シリコンゴム層の上に、フッ素系樹脂からなる表層を形成してもよい。
定着ローラ360aとしては、アルミニュウムや鉄等の金属からなる円筒に、シリコンゴムを被覆し、且つ、その上に更に定着ベルト360cの表層と同じ非導電性材料かなる表層を被覆したものを用いている。転写紙Pの両面における定着後のトナー像の色合いや光沢度をできるだけ近づける上で、定着ローラ360aの表層と、定着ベルト360cの表層とを同じ材料にすることは重要である。
定着ベルト360cについては、紙吸着面を、搬送ベルト351側から定着ニップ側に向けて5〜20[°]の昇り勾配で移動させるように張架している。また、その表面速度を、搬送ベルト351の表面速度と等しくなるように無端移動させている。
定着ベルト360cのおもて面に当接しながら静電吸着用のバイアスを印加するバイアスローラ360fは、定着ベルト360cに所定のテンションをかけるテンション手段としても機能している。
同図において、L2は、転写後定着前搬送路の長さを示している。この転写後定着前搬送路とは、両面転写手段からの紙分離位置である転写分離位置から、定着装置360の紙受入位置である定着受入位置に至るまでの紙搬送路である。なお、本第3変形例装置では、第2中間転写ベルト331からの紙分離位置が両面転写手段からの紙分離位置となり、これは、分離ローラ354の軸中心位置となる。また、定着装置の紙受入位置は、定着ベルト360cを張架する複数の張架ローラのうち、第2中間転写ベルト331の最も近くに配設される加熱ローラ360dの軸中心位置となる。
ワンパス方式の画像形成装置では、転写紙の片面だけに画像を形成する片面方式のものや、スイッチバック方式のものに比べて、単位時間あたりにおける必要定着熱量がプリントアウト毎に変化し易い。この必要定着熱量とは、転写紙に対して未定着のトナー像を定着せしめるのに必要な単位時間あたりの加熱量のことである。片面方式やスイッチバック方式では、転写紙が片方だけに未定着のトナー像を保持した状態で定着装置に進入する。これに対し、ワンパス方式では、転写紙が片面だけに未定着のトナー像を保持した状態で定着装置に進入したり、両面のそれぞれに未定着のトナー像を保持した状態で定着装置に進入したりする。未定着のトナー像を片面だけに保持した転写紙と、両面のそれぞれに保持した転写紙とでは、未定着トナー保持量が大きく異なる。このため、ワンパス方式では、必要定着熱量がプリントアウト毎に変化し易いのである。
特に、ワンパス方式のカラー画像形成装置では、片面、両面の違いに加えて、単色トナー像の重ね合わせ回数の違いによっても必要定着熱量が変化する。例えば、転写紙の片面だけに単色トナー像を形成する場合と、複数の単色トナー像の重ね合わせによるカラートナー像を形成する場合とでは、転写紙の未定着トナー保持量が相当に異なってくる。このため、プリントアウト毎の必要定着熱量が更に変化し易くなる。
ワンパス方式の画像形成装置では、以上のようにしてプリントアウト毎の必要定着熱量が変化し易くなることから、片面方式やスイッチバック方式に比べて、ホットオフセットや定着不良を引き起こし易い。このホットオフセットは、定着装置内において、転写紙体を加熱しながら押圧する定着ローラ等の加熱部材にトナー像を転移させて、転写紙の画像に白抜けを発生させてしまう現象であり、転写紙が必要以上に加熱されることによって生ずる。また、定着不良は、転写紙に対する加熱量が不足することによって生ずる。
このようなホットオフセットや定着不良を抑える目的で、本発明者らは、片面モードと両面モードとの違いや、重ね合わせ回数の違いなどに応じて、定着装置の加熱部材の温度(以下、加熱温度という)を変化させる画像形成装置を開発した。この画像形成装置によれば、プリントアウト毎の必要定着熱量の違いによる定着不良やホットオフセットを抑えることができる。しかしながら、両面にベタカラー画像が形成された転写紙など、必要定着熱量が相当に大きくなる転写紙であっても限られた定着時間内で十分に加熱できるように、定着装置の加熱能力を相当に高くしなければならない。すると、定着装置の定着ローラやその周辺部材として、かなりの耐熱性を発揮するものを用いなければならず、コストアップを招来するという不具合があった。
そこで、本第3変形例装置では、転写後定着前搬送路の長さL2を、420[mm]よりも大きく設定している。記録体収容手段である図示しない給紙カセットに収容され得る最大サイズの転写紙が、A3サイズ紙となっている。即ち、長さL2を、最大サイズであるA3サイズ紙の搬送方向寸法よりも大きくしているのである。このような構成においては、定着装置360による紙搬送速度を必要定着熱量に応じて変更することで、転写紙に対する単位時間あたりの定着熱量を変化させる。すると、定着装置360による加熱温度を変化させることなく、転写紙Pに対する定着熱量を変化させることができる。このため、必要定着熱量がかなり大きくなる場合であっても、定着装置360による加熱温度を相当に高めることなく、転写紙に対して十分な加熱量で定着処理を施す。また、必要定着熱量がかなり小さくなる場合であっても、転写紙を過剰に加熱することなく、適切な加熱量で定着処理を行う。よって、必要定着熱量が相当に大きくなることを想定して定着装置360の耐熱性を設定することによるコストアップを回避しつつ、必要定着熱量がプリントアウト毎に変化することによる定着不良及びホットオフセットの発生を抑えることができる。
なお、転写後定着前搬送路の長さL2を、A3サイズ紙の長さよりも短くすると、A3サイズ紙の先端側を定着装置360で搬送しながら、後端側を第2中間転写ベルト331で搬送するといった事態が生ずる。すると、定着装置360による紙搬送速度を、第2中間転写ベルト331による紙搬送速度(転写速度)よりも遅くした場合に、定着装置360と第2中間転写ベルト331手段との間で紙の搬送を滞らせる。そして、転写紙を大きく湾曲させたり、ジャムを発生させたりしてしまう。また、定着装置360による紙搬送速度を、第2中間転写ベルト331による紙搬送速度よりも速くした場合には、転写紙の後端側を第2中間転写ベルト331上でスリップさせて画像を乱すおそれがある。
そこで、長さL2を420mmよりも大きくしているのである。すると、A3サイズ紙の先端を定着装置360の紙受入位置に到達させるのに先立ち、A3サイズ紙の後端を第2中間転写ベルト331から分離させることになる。このため、搬送ベルト351による紙搬送速度と、第2中間転写ベルト331による紙搬送速度とに速度差を設けたとしても、両ベルトの間でA3サイズ紙を大きく湾曲させたり、ジャムを発生させたりといった事態を引き起こすことがない。また、A3サイズ紙を第2中間転写ベルト331上でスリップさせることもない。よって、定着装置360や搬送ベルト351による紙搬送速度を、第2中間転写ベルト331の紙搬送速度に合わせる必要がなくなり、必要定着熱量に見合うように独自に変化させることが可能になる。そして、このことにより、画像の解像度に応じて転写速度を変更することによる定着不良及びホットオフセットの発生を抑えることができる。なお、紙の最大サイズとして、A3サイズを例にして説明したが、他のサイズを最大サイズとしてもよい。例えば、A3サイズよりも一回り大きく、且つ余白にトンボ等の画像を形成することができるノビサイズを最大サイズとして、これよりも大きな値にL2を設定してもよい。
前段転写中心点から後段転写中心点に至るまでの前段後段転写距離L1については、30〜100[mm]に設定している。前段転写中心点とは、2次転写ニップの入口側において第2中間転写ベルト331の裏面に当接するローラ部材である2次転写ローラ346と、第2中間転写ベルト331との接触領域におけるベルト移動方向の中心点のことである。また、後段転写中心点とは、後段転写部におけるベルト移動方向の中心点のことであり、これは、転写チャージャ347と第2中間転写ベルト331との対向領域におけるベルト移動方向の中心点となる。前段後段転写距離を30〜100[mm]に設定している理由は次の通りである。即ち、前段後段転写距離が30[mm]を下回ると、第2中間転写ベルト331における前段転写部と後段転写部との間の箇所で電流が急激に流れ易くなり、両転写部でそれぞれ適切な電流を維持することが困難になるからである。また、第2中間転写ベルト331の周長を不必要に長くして、転写装置の寸法しいては画像形成装置全体の寸法やコストの増大をさせないことが肝心である。また図5、図8におけるローラ12とローラ63との間隔や、図11、図14、図15におけるローラ328とローラ334との間隔が100mmを超えると、ローラ間でのベルト展張箇所が急激に波打ちし易くなる。そして、この波打ちにより、後段転写時に用紙とベルトの画像との密着不良による不具合を発生させ易くなる。上記ベルト展張箇所は、上述のように第2転写ニップを形成するため屈曲されたベルトがローラ328から開放された箇所であり、且つ押圧ローラ等によって押圧される箇所でないため、平面性が保たれ難くなっている。特に長期にわたって使用したベルトにこの傾向が強い。このため余裕を見込んで、ローラ334に対向する転写チャージャ347と2次転写ローラ346との距離を100mm以下にする。
図15は、実施形態に係るプリンタの第4変形例装置100Dの要部構成を示す要部構成図である。後段転写部から定着装置360に到る紙搬送経路が、図11に示した第2変形例装置とは異なっている。具体的には、第2変形例装置では、2次転写ニップを通過した転写紙Pが、搬送ベルトユニット350上を経由してから定着装置360に送られるようになっていた。これに対し、第4変形例装置では、搬送ベルトユニット350上で搬送されている途中の転写紙Pが、定着装置360内を経由するようになっている。このような経由を実現するために、定着装置360の2つの定着ローラ360a,bのうち、一方の定着ローラ360bは、搬送ベルト351のループ内側に配設されて、ベルト内面に当接している。もう一方の定着ローラ360aは、搬送ベルト351のおもて面に当接しながら、一方の定着ローラ360bとの間に搬送ベルト351を挟み込むようになっている。定着用ローラ360a,bは、それぞれ内蔵された加熱ヒータH1,H2に対する電源供給がオン/オフされることにより、所定の温度になるように制御される。
搬送ベルト351としては、その表面に帯電処理を施して転写紙Pを良好に静電吸着させるべく、表面層がシリコンゴム等の非導電性材料からものを用いている。シリコンゴム層に非導電性材料であるフッ素系樹脂からなる表面層を被覆したものでもよい。搬送ベルト351の基材については、Ni(ニッケル)等の金属材料からなる厚み数十μmのものを用いている。なお、加熱ヒータH1を内包する定着用ローラ360aは、アルミや鉄材料のパイプの外周にシリコンゴムからなる表面層を有している。この表面層としては、搬送ベルト351の表面層と同じ材料からなるものを採用することができる。転写紙Pの裏表の定着品質を同じくする目的で、2つの定着ローラの表面層に、同じものを用いることが望ましい。
本第4変形例装置では、未定着トナー像を両面に担持する転写紙Pを搬送ベルト351から分離することなくその転写紙Pの両面にトナー像を定着せしめることができる。このため、転写紙Pを搬送ベルト351より分離してから定着装置に搬送してその未定着画像を定着せしめる場合に比べて、トナー像の乱れを抑えることができる。また、ベルト部材たる搬送ベルト351の基材として、金属材料からなるものを用いることで、樹脂材料からなるものを用いる場合に比べて、ベルト裏面から転写紙Pへの熱伝導効率を高めている。
以上、実施形態に係るプリンタ100A及び第1変形例装置100Bにおいては、前段転写部たる2次転写ニップを次に説明する形状で形成している。即ち、ベルト間に挟み込んでいる転写紙Pの後端側を2次転写ニップよりもベルト移動方向上流側で第1中間転写ベルト8の表面に密着させる形状である。このような形状で2次転写ニップを形成することで、2次転写ニップの直前で第1中間転写ベルトと転写紙とを離間させることによる第2トナー像の乱れを有効に抑えることができる。
また、2次転写ニップにおいて、第1中間転写ベルト8及び第2中間転写ベルト16が次のような形状で張架されている。即ち、2次転写ニップの入口側から出口側にかけて、第1中間転写ベルト8側に撓んでから第2中間転写ベルト16側に撓む半円状のカーブを描いた後、そのまま直線状に延びる形状である。両ベルトが2次転写ニップでこのような張架形状になることで、2次転写ニップよりも上流側で転写紙Pを第1中間転写ベルト8に密着させる一方で、下流側で第2中間転写ベルト16に密着させることを実現することができる。
また、2次転写ニップの入口側において、2次転写ローラ17による第2中間転写ベルト16張架部分を第1中間転写ベルト8に食い込ませている。この一方で、出口側において、ニップ出口ローラ12による第1中間転写ベルト8張架部分を第2中間転写ベルトに食い込ませている。このことにより、上述のような張架形状を容易に作り出すことができる。
また、第2中間転写ベルト16を第1中間転写ベルト8に食い込ませる役割と、2次転写ニップに2次転写バイアスを作用させる役割とを、2次転写ローラ17に担わせている。このことにより、それぞれの役割のために別々のローラを設ける場合に比べ、低コスト化や省スペース化を図ることができる。
また、2次転写ニップを通過してから後段転写部たる3次転写部を通過するまでの第2中間転写ベルト16の移動経路を直線にしている。このことにより、2次転写ニップから3次転写部に至るまでのベルト移動経路が凸凹になっていることに起因する第2中間転写ベルト16表面からの転写紙の離間を回避して、第1トナー像の乱れをより確実に抑えることができる。
また、記録体供給手段たる給紙手段に、送り込み手段たるレジストローラ対28と、案内手段たるガイド板対29とを設けている。このことにより、転写紙Pの先端側を2次転写ニップに確実に挟み込ませて、2次転写ニップよりも上流側における転写紙Pと第1中間転写ベルト8との密着をより確実に図ることができる。
また、像担持体として複数の感光体を設け(1Y,M,C,K)、各感光体で形成したトナー像を第1中間転写ベルト8に重ね合わせて転写するいわゆるタンデム方式を採用している。このことにより、像担持体を1つだけ設ける場合に比べ、短時間で多色画像等の重ね合わせ画像を形成することができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aにおいては、第1中間転写ベルト8を、垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架している。そして、各感光体を第1中間転写ベルト8における横方向の張架部分に対向配設させている。かかる構成では、第1中間転写ベルト8の横方向の張架部分を利用して各色トナー像の重ね合わせ1次転写を実現しながら、プリンタ本体内で第1中間転写ベルト8を縦方向に嵩張らせないレイアウトにすることができる。
また、第2中間転写ベルト16における3次転写部から定着装置30に向けての移動方向が、相対的に鉛直方向の上方に向かう方向になっている。このことにより、プリンタ本体内で転写紙Pを相対的に上方に搬送しながら、プリントアウト紙を本体上面のスタック部40に排出してスタックする構成を容易に採用することができる。
また、第1変形例装置100Bにおいては、第2中間転写ベルト16を、垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架している。そして、第1中間転写ベルト8における横方向の張架部分に、第2中間転写ベルト16における横方向の張架部分を当接させて2次転写ニップを形成している。かかる構成では、転写紙Pを相対的に水平方向に搬送しながらそれに両面転写を施すことができる。
また、定着装置30を通過した転写紙Pを本体側方に向けて搬送して外に排出するための側方排出路67を備えている。このことにより、転写紙Pを相対的に水平方向に搬送しながら、それに対して、両面転写処理、定着処理及び排出処理を施すことができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aにおいては、第2中間転写ベルト16を、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の形状で張架している。そして、第1中間転写ベルト8の下方で且つ第2中間転写ベルト16の側方のスペースに、記録体供給手段たる給紙手段を配設している。このことにより、第1中間転写ベルト8、第2中間転写ベルト16のそれぞれについて十分な周長を確保しながら、デッドスペースの少ないコンパクトなレイアウトを可能にしている。
また、図1に示した例と同様に、定着装置30と、第1中間転写ベルト8との間に断熱部材61を備えているので、定着装置30からの熱を各感光体(1Y,M,C,K)に伝えてしまうことによる画像への悪影響を抑えることができる。更には、第2のクリーニング装置18と定着装置30との間にも断熱部材60を備えているので、定着装置30からの熱を第2のクリーニング装置18に与えることに起因した不具合が発生しない。断熱部材60の形状をL型にして、第2中間転写ベルト16との間の断熱を行うこともできる。
また、実施形態に係るプリンタ100A、又は第1変形例装置100Bと、パソコン200とからなる画像形成システムにおいては、パソコン200からの制御信号に基づいてプリンタ100に画像を出力させる。そして、この出力の際に、転写紙Pと第2中間転写ベルト16との密着不良による画像の乱れを抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aや第1変形例装置100Bにおいては、第1ベルトたる第1中間転写ベルト8や、第2ベルトたる第2中間転写ベルト16として、それぞれ多層構造で且つ少なくとも何れか一層が弾性材料からなる弾性層8b,16bであるものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、2次転写ニップにて、両ベルトを転写紙Pの表面凹凸にならわせて自在に変形させることで、転写紙Pとの密着性を高めて転写中抜け等による画像劣化を抑えることができる。
また、像担持体として、複数の第1像担持体たる第1系統用の感光体1Y,M,C,Kと、複数の第2像担持体たる第2系統用の感光体81Y,M,C,Kとを設けている。そして、第1系統用の各感光体1Y,M,C,K上で形成したトナー像を第1中間転写ベルト8に重ね合わせて転写して第2トナー像を形成させている。この一方で、第2系統用の各感光体81Y,M,C,K上で形成したトナー像を第2中間転写ベルト16に重ね合わせて転写して第1トナー像を形成させている。かかる構成では、かかる構成では、第1トナー像を形成して第2中間転写ベルト16に2次転写しておいてから、第2トナー像を形成しなければならない共通像担持体方式のプリンタとは異なり、第1トナー像と第2トナー像とを並行して形成することができる。よって、共通像担持体方式のプリンタよりも、転写紙Pの両面に画像を形成するための両面画像形成時間を大幅に短縮することができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aや各変形例装置においては、後段転写部が、前段転写部たる2次転写ニップを通過した後の第2中間転写ベルトに所定の間隙を介して対向する電荷付与手段たる転写チャージャにより、第2中間転写ベルトの表面に保持される転写紙に電荷を付与することで、第2中間転写ベルト上のトナー像を転写紙に転写している。かかる構成では、2次転写ニップ通過によって第1中間転写ベルトから離間して第1面を露出させるようになった転写紙Pに対し、その第1面に部材を接触させることなく、第2面にトナー像を転写することができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、バイアスローラである2次転写ローラ346と、第2中間転写ベルト331との当接領域におけるベルト移動方向の中心点から、電荷付与手段たる転写チャージャ347と第2中間転写ベルト331との対向領域におけるベルト移動方向の中心点に至るまでの距離を、30〜100[mm]にしている。このような距離設定により、第2中間転写ベルト331における前段転写部と後段転写部との間の電流リークによって両転写部でそれぞれ適切な電流を維持することが困難になるといった事態を抑えることができる。更には、第2中間転写ベルトの波打ちによるベルトと用紙との密着不良を抑えることもできる。
また、各変形例装置においては、前段転写部たる2次転写ニップに供給する転写紙Pを画像形成装置本体であるプリンタ部の外部側方で収容する外部記録体収容手段を設けている。かかる構成では、供給から排出までの紙搬送路を、転写紙を外部記録体収容手段から2次転写ニップに向けて水平方向に供給した後、2次転写ニップから定着装置に向けて更に水平方向に搬送して機外に排出するという水平搬送路にすることができる。
また、第1変形例装置100Bにおいては、第1中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架するとともに、第2中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架し、且つ、両ベルトを鉛直方向の投影像が互いに重なるように鉛直方向に並べて配設している。このような配設により、縦横にバランスのとれたレイアウトにすることができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aにおいては、一方のベルトである第1中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架するとともに、他方である第2中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の形状で張架している。そして、両ベルトを鉛直方向の投影像の少なくとも一部が互いに重なるように鉛直方向に並べて配設している。更に、2次転写ニップに供給する記録体を収容する記録体収容手段である給紙カセットを、第2中間転写ベルトの側方に配設している。縦ながらの第2中間転写ベルトを、横長の第1中間転写ベルトに対して鉛直方向で重ねるように配設すると、第2中間転写ベルトの側方にスペースをあけてしまうことになるが、このスペースに給紙カセットを配設することで、縦横でバランスのとれたレイアウトにすることができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、一方のベルトである第1中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって垂直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の形状で張架するとともに、他方である第2中間転写ベルトを、複数のローラ部材によって水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の形状で、且つベルト収容光における所定領域が鉛直方向下側から上側に向けて斜めに移動するように張架している。更に、第2中間転写ベルトに対応する感光体をこの所定領域に対向させて配設している。このように配設することで、上述した理由により、第1プロセスユニットと第2プロセスユニットとを共通仕様化して、それらの製造コストを低減することができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、ベルト部材たる搬送ベルト351を複数の張架ローラに張架しながら無端移動させ、後段転写部から送られてくる転写紙をこの搬送ベルト351の表面に保持して定着装置360に向けて搬送する搬送ベルトユニット350を設けているので、上述した理由により、定着装置360からの熱伝搬による第2中間転写ベルト331への転写残トナーの固着を回避することができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、搬送ベルト351を張架する複数の張架ローラのうち、両面転写装置の最も近くに位置する入口ローラ352を、両面転写装置からの紙分離位置よりも鉛直方向の低い位置に配設している。そして、このようにすることで、上述した理由により、転写紙Pとして、比較的腰の弱い薄紙を用いても、転写装置から搬送ベルトユニット350に確実に受け渡すことができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、搬送ベルト351として、基材がポリイミド又はポリアミドからなるものを用いているので、定着装置360からの熱伝搬による搬送ベルト351の伸縮を抑えつつ、搬送ベルト351に適度な弾性を発揮させることができる。
また、第2、第3、第4変形例装置においては、転写紙を両面転写装置から受け取る前の搬送ベルト351表面に電荷を付与する電荷付与手段たる吸着用チャージャ357を設けているので、転写紙Pを搬送ベルト351に静電吸着せしめて、搬送ベルト上での転写紙Pの微妙な擦れによるトナー像の乱れを抑えることができる。
また、第4変形例装置100Dにおいては、搬送ベルト351の表面に保持されながら搬送される転写紙の両面に対してトナー像の定着処理を施すように、定着装置360を構成しているので、トナー像が未定着のままの転写紙を搬送ベルト351から分離することによる画像の乱れを回避することができる。
また、第4変形例装置100Dにおいては、搬送ベルト351として、多層構造のものであって且つ基材が金属材料からなるものを用いているので、基材が樹脂材料からなるものを用いる場合に比べて、搬送ベルト351から転写紙への熱伝導効率を高めて省エネルギー化を図ったり、ウォーミングアップ時間の短縮化を図ったりすることができる。
また、第3、第4変形例装置においては、両面転写装置からの紙分離位置から、定着装置の紙受入位置に至るまでの紙搬送路である転写後定着前搬送路の長さL2を、給紙カセットに収容され得る最大サイズの紙であるA3サイズ紙の搬送方向寸法よりも大きくしているので、上述した理由により、必要定着熱量が相当に大きくなることを想定して定着装置360の耐熱性を設定することによるコストアップを回避しつつ、必要定着熱量がプリントアウト毎に変化することによる定着不良及びホットオフセットの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタ100Aや各変形例装置においては、可視像としてトナー像を形成し、トナー像の形成に用いるトナーとして、平均円形度0.93〜1.00という条件を満たすものを指定しているので、上述した理由により、トナーの不定形さ起因する転写性の悪化や転写チリを抑えることができる。
また、形状係数SF−1が100〜180で且つ形状係数SF−2が100〜180という条件を満たすものを指定しているので、上述した理由により、トナーの形状の不定形さによる転写効率の悪化を抑えることができる。
また、トナー像の形成に用いるトナーとして、重量平均粒径が3〜8[μm]で、且つ重量平均粒径を個数平均粒径で除算した値が1.00〜1.40であるという条件を満たすものを指定しているので、上述した理由により、様々なパターンの画像を安定して形成することができる。更には、キャリアの表面へのトナー融着や、現像ローラへのトナーフィルミングを抑えることができる。