JP2005099149A - 焦点調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でレンズをすばやく焦点微調節領域まで移動させることができる。
【解決手段】レンズ5と、このレンズ5を光軸方向に移動させるレンズ移動機構と、このレンズ移動機構を駆動する中空モータとを有すると共に、レンズ移動機構が、中空モータに備えられる回転体を含み、この回転体の内周面を形成するアウターカム8に、レンズを光軸方向に移動させるように案内する第1ガイド溝8a1、8a2を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空モータを駆動させて小型カメラ等のレンズを移動させ、焦点を調節する焦点調節装置に関する。
この種の従来技術として、特許文献1に記載されるものがある。この特許文献1に記載される技術は、中空モータの回転体を形成するマグネットにピンを形成し、レンズを保持するレンズホルダに上述のピンを係合させてある。また、レンズホルダと本体とをねじ状のガイド溝で連結した構成にしてある。
この従来技術は、中空モータの駆動によって回転体すなわちマグネットを回転させると、このマグネットのピンを介してレンズホルダが回転する。すなわち、このレンズホルダの回転により上述のねじ状のガイド溝を介して、レンズホルダに保持されたレンズが本体から突出するように前進し、あるいは本体に収納されるように後退する。これにより、レンズが光軸方向に移動し、焦点が調節される。
特開2000−51524公報(段落番号0058,0059、及び図7)
ところで、レンズを所定の待機位置、例えば収納位置から焦点微調節領域まですばやく移動させたいという要望がある。しかし上述した従来技術では、レンズを保持するレンズホルダは、ねじ状のガイド溝に沿って回転しながら移動するので、焦点微調節領域まで移動させるのに時間がかかる問題があり、上述した要望に応えることができない。
この場合、焦点微調節領域まで例えばカム溝を介してレンズをすばやく移動させることが考えられる。しかし、これを実現させるには、カム溝に係合する突起に加えて、カム溝を形成するための部材等が必要になり、全体の構成が複雑になって、製作費が高くなる別の問題を生じる。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、簡単な構成でレンズをすばやく焦点微調節領域まで移動させることができる焦点調節装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、レンズと、このレンズを光軸方向に移動させるレンズ移動機構と、このレンズ移動機構を駆動する中空モータとを有すると共に、上記レンズ移動機構が、上記中空モータに備えられる回転体を含み、この回転体の内周面に、上記レンズを光軸方向に移動させるように案内するガイド溝を形成したことを特徴としている。
このように構成した本発明は、レンズが所定の待機位置、例えば収納位置に保持されている状態においてモータを駆動すると、レンズ移動機構が駆動され、このレンズ移動機構に含まれる回転体が回転し、この回転体に形成したガイド溝に案内されてレンズが焦点位置まで移動する。この場合、ガイド溝の形状寸法をレンズを速く移動させることを考慮して設定することにより、レンズをすばやく光軸方向に移動させることができる。また、ガイド溝は、中空モータに備えられる回転体に形成され、したがってガイド溝を形成するための特別な部材を要しないことから構成を簡単にすることができる。
また本発明は、上記発明において、上記中空モータは、クローポール式のモータであって、上記回転体は円環状に形成され周方向にS極とN極が交互に着磁された磁石と、この磁石が外嵌される筒部材とから成り、この筒部材に上記ガイド溝を形成したことを特徴としている。
また本発明は、上記発明において、上記筒部材が磁性材から成ることを特徴としている。
このように構成した本発明は、筒部材がヨークを兼ねるので、部品数をさらに少なくすることができる。
また本発明は、上記発明において、上記レンズを保持するレンズホルダと、このレンズホルダの外側に嵌合されると共に上記筒部材の内部に収容され、上記レンズホルダの移動と連動するガイド筒と、このガイド筒の外周面に突出形成されたガイド突起とを備え、このガイド突起が上記筒部材の上記ガイド溝に係合し、上記中空モータの駆動によって上記回転体に含まれる上記筒部材が回転すると、上記ガイド突起が上記ガイド溝に沿って移動して上記ガイド筒と共に上記レンズホルダが光軸方向に移動することを特徴としている。
このように構成した本発明は、レンズを保持するレンズホルダと、回転体に含まれる筒部材との間に、ガイド溝に係合する突起を備えたガイド筒を設ける簡単な構成で、レンズホルダに保持されるレンズを光軸方向にすばやく移動させることができる。
本発明は、中空モータに備えられる回転体にガイド溝を形成したことから、簡単な構成でレンズをすばやく焦点微調節領域まで移動させることができ、従来からの要望に応えることができると共に、製作費を抑えることができ、実用性に富む。したがって、小型カメラを内蔵する携帯電話等に適用するのに好適である。
以下,本発明に係る焦点調節装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
[本実施形態の主要構成]
図1は本実施形態を示す分解斜視図、図2は本実施形態の外観を示す斜視図、図3は本実施形態の縦断面図である。
これらの図1〜3に示すように、本実施形態は、複数枚のレンズ片を集合させて成るレンズ5と、これらのレンズ5を光軸方向に移動させるレンズ移動機構と、このレンズ移動機構を駆動する中空モータとを主要構成としている。
[中空モータの構成]
本実施形態の中空モータは、例えばクローポール式のPM(Permanent Magnet)モータから成り、筒状部2を有するベース1と、筒状部2に挿入されて回転体つまりロータを形成する磁石、すなわちマグネット9、及び筒部材を形成するアウターカム8とを備えている。また、磁極歯10a,11aを有し、図示しないコイルが巻回されてステータを形成するボビン10,11と、これらのボビン10,11を固定し、回転体であるマグネット9及びアウターカム8の軸心方向の動きを規制しながら、その回転動作を許容させる絶縁体から成る軸受、すなわちアッパーガイド12を備えている。さらに、上述した筒状部2、アウターカム8、マグネット9、ボビン10,11、及びアッパーガイド12を覆うカバー13を備え、このカバー13はベース1に固定させてある。上述した各構成のうちのアウターカム8は磁性材から成り、バックヨークを形成している。また、カバー13も磁性材から成り、アウターヨークを形成している。また、マグネット9は円環状に形成され周方向にS極とN極が交互に着磁されている。
図4,5は、それぞれ本実施形態においてカバー及びアッパーガイドを除いた状態を示す平面図、斜視図、図6は、本実施形態に備えられるアウターカム、マグネット、及びボビンの組み付け関係を示す要部斜視図である。図7は本実施形態に備えられる中空モータの要部構成を示す分解斜視図である。
図3〜6等に示すように、回転体を形成するアウターカム8及びマグネット9は、アウターカム8にマグネット9を外嵌させた装着関係になっている。このように構成した回転体が収納されるようにボビン10,11が位置し、ボビン10,11を固定するようにアッパーガイド12及びカバー13を配置してある。
[レンズ移動機構]
図8〜10は、それぞれ本実施形態に備えられるアウターカム、インナーカム、レンズホルダを示す斜視図、図11は本実施形態に備えられるばねとレンズホルダとの係着関係を示す斜視図である。図12,13はそれぞれ本実施形態に備えられる筒状部を有するベース、ばね、及びレンズホルダの組み付け関係を示す斜視図、平面図である。図14は本実施形態に備えられるばね、レンズホルダ、及びインナーカムの係着関係を示す斜視図、図15は本実施形態に備えられる筒状部を有するベース、ばね、レンズホルダ、及びインナーカムの組み付け関係を示す要部斜視図である。
本実施形態の複数枚のレンズ片から成るレンズ5は、第1焦点位置と第2焦点位置の2つの焦点位置を備えている。このレンズ5を光軸方向に移動させるレンズ移動機構は、ベース1の筒状部2と、レンズ5を保持するレンズホルダ4と、このレンズホルダ4を付勢するばね3と、ガイド筒を形成するインナーカム6と、筒部材を形成するアウターカム8とによって構成されている。
このレンズ移動機構は、第1焦点微調節領域、第2焦点微調節領域相互間の距離である第1所定距離だけレンズ5を光軸方向に移動させる第1移動機構と、第1,第2焦点微調節領域において第2所定距離だけレンズ5を光軸方向に微小移動させる第2移動機構とを含んでいる。第2所定距離は第1所定距離よりも短く設定してある。例えば、第2所定距離の上限値を500μm、第1所定距離を2mmに設定してある。
中空モータの回転体の内周面を形成するアウターカム8には、図8に示すように、第1ガイド溝8a1,8a2を形成してある。これらの第1ガイド溝8a1,8a2は軸対称に、同一形状に形成されている。例えば第1ガイド溝8a1は、立ち下り部8a11と、立ち上がり部8a13と、これらの立ち下がり部8a11と立ち上がり部8a13とを連通させる傾斜部8a12とを備えている。同様に、第1ガイド溝8a2も、立ち下がり部8a21、立ち上がり部8a23、傾斜部8a22を備えている。上述した第1ガイド溝8a1,8a2の構成のうちの傾斜部8a12,8a22は、上述した第1移動機構に含まれ、レンズ5を第1,第2焦点微調節領域間の第1所定距離だけ光軸方向に移動させるように案内する第1ガイド部を構成している。上述した第1ガイド溝8a1,8a2の傾斜部8a12,8a22の高低差は、例えば第1所定距離に相応する2mmに設定してある。
アウターカム8の内部にインナーカム6が配置される。また、レンズ5を保持するレンズホルダ4がばね3によって付勢されて常時インナーカム6に当接するようになっている。ばね3は、その全体形状が、円錐の上側部分を切断除去した形状に設定してあり、ベース1の筒状部2内に収納される。
ベース1の筒状部2には、図12等に示すように、軸対称に、第2ガイド溝2a1,2a2を形成してある。第2ガイド溝2a1は、レンズ5の光軸方向と一致する軸心方向に対して直交する周方向に延設される第1横溝部2a11と、この第1横溝部2a11と平行に形成される第2横溝部2a13と、これらの第1横溝部2a11と第2横溝部2a13とを連通させる縦溝部2a12とを備えている。第2ガイド溝部2a2も同様の構成になっている。上述した縦溝部2a12等は、例えば上述した第1所定距離に相応する2mmの長さに設定してある。
上述したレンズホルダ4には、その外周面に、図10等に示すように、軸対称に第1カム体4a1、第2カム体4a2を形成してある。これらのカム体4a1,4a2は、上述した第2移動機構に含まれ、レンズ5を第2所定距離だけ光軸方向に微小移動させるように案内する第2ガイド部を形成している。図10に示す第1カム体4a1,4a2の図示上面は、高低差を有する斜面に形成してあり、その高低差を例えば上述の第2所定距離の上限値に相応する500μmに設定してある。
また、レンズホルダ4の第1カム体4a1、第2カム体4a2の一端のそれぞれには、第1突起4a11、第2突起4a21を形成してある。これらの第1突起4a11、第2突起4a21のそれぞれは、図3,4等に示すように、ベース1の筒状部2に一対形成され、光軸方向に沿って延設される第1ガイド穴2b1、第2ガイド穴2b2のそれぞれに、光軸方向のみの移動が可能に収納される。これらのカム体4a1,4a2の突起4a11,4a21と、筒状体2のガイド穴2b1,2b2のそれぞれによって、レンズホルダ4を、光軸方向への移動を許容させると共に、その回転を阻止させる規制手段が構成されている。
図3,10,11に示すように、レンズホルダ4のカム体4a1,4a2の図示下部のそれぞれには、ばね3が係着される切り欠き部4bを形成してある。ばね3の先端部は、この切り欠き部4b内に収容されるようになっている。
レンズホルダ4の外側に嵌合され、このレンズホルダ4と連動するインナーカム6には、図9の図示下方部分に、軸対称に、レンズホルダ4のカム体4a1,4a2が常時当接する第1係合部6a1、第2係合部6a2をそれぞれ形成させてある。これらの係合部6a1,6a2は同一形状に形成してあり、カム体4a1,4a2の当接面を例えば転写させた面に形成してある。これらの第1係合部6a1、第2係合部6a2の面の長さは例えばカム体4a1,4a2の2倍に、また高低差は例えば500μmの2倍の1mmに設定してある。
また、このインナーカム6には、ピンから成る第1ガイド突起7a1が挿入される第1穴6b1と、ピンから成る第2ガイド突起7a2が挿入される第2穴6b2とを形成してある。これらの第1穴6b1と第2穴6b2とは、軸対称に配置してある。
インナーカム6の第1穴6b1に挿入され、インナーカム6の外周面から突出する第1ガイド突起7a1は、図15に示すように、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1に係合すると共に、筒状部2の外側に配置されるアウターカム8の第1ガイド溝8a1に係合する形状寸法に設定してある。同様に、インナーカム6の第2穴6b2に挿入され、インナーカム6の外周面から突出する第2ガイド突起7a2は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a2に係合すると共に、アウターカム8の第1ガイド溝8a2に係合する形状寸法に設定してある。
上述した各構成のうちの、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1,2a2を形成する縦溝部2a12等と、第1ガイド突起7a1、第2ガイド突起7a2と、筒部材であるアウターカム8の第1ガイド溝8a1,8a2の第1ガイド部を形成する傾斜部8a12,8a22とによって、レンズ移動機構に含まれる上述した第1移動機構,すなわち、第1,第2焦点微調節領域間の距離である第1所定距離、例えば2mmだけ、レンズ5を光軸方向に移動させる第1移動機構が構成されている。
また、上述した各構成のうちの、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1,2a2の第1横溝部2a11、第2横溝部2a13等と、レンズホルダ4の第1カム体4a1、第2カム体4a2と、ガイド筒であるインナーカム6の第1係合部6a1、第2係合部6a2と、第1ガイド突起7a1、第2ガイド突起7a2と、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の立ち下がり部8a11、立ち上がり部8a13、第1ガイド溝8a2の立ち下がり部8a21、立ち上がり部8a23とによって、レンズ移動機構に含まれる上述した第2移動機構、すなわち、第1,第2焦点微調節領域において第2所定距離、例えば500μmを上限とする距離だけ、レンズ5を光軸方向に微小移動させる第2移動機構が構成されている。
[本実施形態の動作]
本実施形態は、レンズホルダ4の移動時の安定性、すなわちレンズ5の移動時の安定性を確保するために、上述したようにレンズ移動機構の第1移動機構を軸対称となる2組の部品要素によって構成してあり、また第2移動機構も軸対称となる2組の部品要素によって構成してある。
すなわち、第1移動機構のうちの第1組は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1を形成する縦溝部2a12と、第1ガイド突起7a1と、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の傾斜部8a12とによって構成されている。また第2組は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a2を形成する図示しない縦溝部と、第2ガイド突起7a2と、アウターカム8の第1ガイド溝8a2の傾斜部8a22とによって構成されている。各組の動作は同等であるので以下にあっては、第1組の動作についてだけ説明する。
同様に第2移動機構のうちの第1組は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の第1横溝部2a11、第2横溝部2a13と、レンズホルダ4の第1カム体4a1と、インナーカム6の第1係合部6a1と、第1ガイド突起7a1と、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の立ち下がり部8a11、立ち上がり部8a13とによって構成されている。また第2組は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a2を形成する図示しない第1横溝部、第2横溝部と、レンズホルダ4の第2カム体4a2と、インナーカム6の第2係合部6a2と、第2ガイド突起7a2と、アウターカム8の第1ガイド溝8a2の立ち下がり部8a21、立ち上がり部8a23とによって構成されている。これらの組の動作も同等であるので、以下にあっては第1組の動作についてだけ説明する。
図16〜20は、本実施形態の動作説明図である。図16はレンズホルダが所定の第1待機位置に保持されているときの状態を示す要部展開図である。この第1待機位置は収納位置であり、レンズホルダ4、すなわちレンズ5がベース1に最も近づくように収納されており、インナーカム6に固定させた第1ガイド突起7a1は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の第1横溝部2a11の端部に位置すると共に、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の立ち下がり部8a11に位置している。また、ここでは図示しないばね3の力によりレンズホルダ4の第1カム体4a1の上端部4a12がインナーカム6の第1係合部6a1の下端部6a11に当接した状態にある。
図17はレンズホルダを第1待機位置から第1焦点微調節領域に移動させて微調節するときの状態を示す要部展開図である。上述した図16に示す状態から、中空モータを駆動して回転体、すなわちアウターカム8を図16の矢印20方向に回転させると、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の立ち下がり部8a11の縁部によって第1ガイド突起7a1が押されることにより、インナーカム6がアウターカム8と一体に矢印20方向に回転する。この間、第1ガイド突起7a1はベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の第1横溝部2a11内を移動するので、インナーカム6は光軸方向に移動することはない。また、インナーカム6の回転により、レンズホルダ4の第1カム体4a1の上端部4a12が、インナーカム6の第1係合部6a1の下端部6a11から中央部6a12に向って相対的に移動する。この間、ばね3の力により、また、第1突起4a11、第2突起4a21が筒状部2の第1ガイド穴2b1、第2ガイド穴2b2によって回転方向の動きを規制されることにより、レンズホルダ4は図16の矢印30で示すように光軸方向に例えば500μm前進し、図17に示す状態となる。このような動作の間に第1焦点微調節領域におけるレンズ5の微調節が行なわれる。図16に示すベース1の図示上面とレンズホルダ4の図示上面との距離をL1、図17に示すベース1の図示上面とレンズホルダ4の図示上面との距離をL2とすると、
L1−L2=500(μm)
となる。
図17に示す状態となると、インナーカム6に固定される第1ガイド突起7a1は、ベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の縦溝部2a12の最下部に至る。また、この第1ガイド突起7a1は、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の傾斜部8a12の最下方位置に至る。このとき例えば上述したように、レンズホルダ4の第1カム体4a1の上端部4a12は、インナーカム6の第1係合部6a1の中央部6a12に当接した状態となる。
図18はレンズホルダを第1焦点微調節領域から第2焦点微調節領域方向へ前進させる途中の状態を示す図である。図17に示す状態から引き続きアウターカム8が同図17の矢印21で示すように回転すると、インナーカム6に固定した第1ガイド突起7a1が、筒状部2の第2ガイド溝2a1の縦溝部2a12内を上昇すると共に、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の傾斜部8a12内を上昇する。この第1ガイド突起7a1の上昇に連動してばね3の力によりレンズホルダ4は、第1焦点微調節領域から第2焦点微調節領域に向って図17の矢印31で示すように前進し、図18に示す状態となる。この間、レンズホルダ4の第1カム体4a1とインナーカム6の第1係合部6a1との間に相対的な変位を生じないように、レンズホルダ4とインナーカム6とが保持される。
図19はレンズホルダを第2焦点微調節領域まで前進させた状態を示す要部展開図である。上述の図18に示す状態からアウターカム8が引き続いて同図18の矢印22に示すように回転すると、インナーカム6に固定された第1ガイド突起7a1はベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の縦溝部2a12の最上部に至る。また、この第1ガイド突起7a1は、アウターカム8の第1ガイド溝8a1の傾斜部8a12の最上方位置を経て立ち上がり部8a13に至る。すなわち、第1ガイド突起7a1を介してインナーカム6が図18の矢印32に示すように前進し、これに伴ってばね3の力によりレンズホルダ4は、前述の第1焦点微調節領域から2mm前進し、図19に示すように第2焦点微調節領域に至る。この図19に示すベース1の図示上面とレンズホルダ4の図示上面との距離をL3とすると、図17に示した距離L2との関係から、
L2+L3=2(mm)
となる。
図20はレンズホルダを第2焦点微調節領域において微調節するときの状態を示す図である。図19に示す状態から、この図19の矢印23で示すように引き続いてアウターカム8が回転すると、このアウターカム8の第1ガイド溝8a1の立ち上がり部8a13の縁部によって第1ガイド突起7a1が押されることにより、インナーカム6がアウターカム8と一体に図19の矢印23方向に回転する。この間、第1ガイド突起7a1はベース1の筒状部2の第2ガイド溝2a1の第2横溝部2a13内を移動するので、インナーカム6は光軸方向に移動することはない。また、インナーカム6の回転により、レンズホルダ4の第1カム体4a1の上端部4a12が、インナーカム6の第1係合部6a1の中央部6a12から上端部6a13に向って相対的に移動する。この動作により、ばね3の力によってレンズホルダ4は図19の矢印33で示すように光軸方向に、例えば500μm前進し、図20に示す状態に至る。このような動作の間に、第2焦点微調節領域におけるレンズ5の焦点調節が行なわれる。図20に示すレンズホルダ4の図示上面とベース1の図示上面との距離をL4とすると、前述した図19に示す距離L3との関係から、
L4−L3=500(μm)
となる。なお、例えば図20に示した第2焦点微調節領域が、レンズホルダ4の第2待機位置となる。
以上のように、第1焦点微調節領域にあっては、第2所定距離すなわち500μmを上限値とする距離範囲でレンズホルダ4が微小移動して第1焦点の微調節が行なわれ、第1焦点微調節領域から第2焦点微調節領域までは第1所定距離、すなわち2mmだけレンズホルダ4を前進させ、第2焦点微調節領域にあっては、第2所定距離すなわち500μmを上限値とする距離範囲でレンズホルダ4が微小移動して第2焦点の微調節が行なわれる。第1所定距離2mmのレンズホルダ4の移動は、ベース1の筒状部2の縦溝部2a12内と、アウターカム8の傾斜部8a12内、すなわちカム溝内をピンより成る第1ガイド突起7a1が移動するので、その移動を瞬時に行なわせることができる。
レンズ5を第1焦点位置に合わせるために、第2待機位置、すなわち第2焦点微調節領域から第1焦点微調節領域にレンズホルダ4を移動させる動作は、前述と逆の動作であり、図20に示す状態からアウターカム8を同図20の矢印24方向に回転させるように中空モータを駆動することによって行なわれる。
[本実施形態の作用効果]
このように構成した本実施形態によれば、第1焦点微調節領域、第2焦点微調節領域相互間においては、レンズ移動機構の第1移動機構に含まれる第1ガイド部、すなわちアウターカム8の第1ガイド溝8a1,8a2の傾斜部8a12,8a22によってレンズ5をすばやく2mm移動させることができる。また、第1焦点微調節領域、第2焦点微調節領域それぞれにおいてのレンズ5の500μmを上限値とする微小移動を、レンズ移動機構の第2移動機構に含まれる第2ガイド部、すなわちレンズホルダ4の第1カム体4a1、第2カム体4a2によって実現できる。すなわち、レンズ5の微小移動を実現しながらも焦点調節に要する全体の時間を短時間とすることができ、実用性に富む。したがって、小型カメラを内蔵する携帯電話等に適用するのに好適である。
また本実施形態は、レンズ5を保持するレンズホルダ4と、中空モータの回転体に含まれる筒部材であるアウターカム8との間に、アウターカム8に形成した第1ガイド溝8a1,8a2に係合する第1ガイド突起7a1、第2ガイド突起7a2を備えたガイド筒であるインナーカム6を設ける簡単な構成で、レンズホルダ4に保持されるレンズ5を光軸方向にすばやく移動させることができる。すなわち、中空モータの回転体を形成するアウターカム8を、第1ガイド溝8a1,8a2を形成する部材として活用したことから、ガイド溝を形成するための部材として他に特別な部材を要せず、構成が簡単で製作費を安くすることができる。
また本実施形態は、中空モータを構成するカバー13及びアウターカム8がそれぞれ磁性材から成り、ヨークを兼ねるので、この点でも部品点数を少なくすることができ、製作費を安くすることに貢献する。
また本実施形態は、レンズホルダ4の第2ガイド部すなわち第1カム体4a1、第2カム体4a2の形状寸法を変えることにより、レンズ5の微調節に関係する第2所定距離を変えることができる。したがって、予め第2ガイド部、すなわち第1カム体4a1、第2カム体4a2の形状寸法の異なるレンズホルダ4を複数用意しておけば、レンズホルダ4を交換するだけでレンズ5の微調節量を変更させることができる。すなわち、レンズ5の微調節量の変更を簡単な構成で実現できる。
また本実施形態は、レンズホルダ4の第2ガイド部である第1カム体4a1、第2カム体4a2と、ガイド筒であるインナーカム6の第1係合部6a1、第2係合部6a2とが係合する方向へ、レンズホルダ4を付勢するばね3を設けたことにより、ばね3の付勢力を介してレンズホルダ4を光軸方向に円滑に移動させることができ、これにより優れた性能を確保できる。
また本実施形態は、ばね3の全体形状を、円錐の上側部分を切断除去した形状に設定してあることから、巻数に対する大きなばね力を確保できる。すなわち、レンズホルダ4に対する大きな付勢力を確保できる。したがって、レンズホルダ4の光軸方向への円滑な移動の実現に貢献し、これによっても優れた性能を確保できる。
また本実施形態は、レンズホルダ4にばね3が係着される切り欠き部4bを形成してある。この切り欠き部4bにばね3の一部が収容されることから、ばね3とレンズホルダ4を含めた長さ寸法を短く設定でき、全体形状の小型化を実現できる。
また本実施形態は、レンズホルダ4を、光軸方向への移動を許容させると共に、その回転を阻止させる規制手段、すなわちレンズホルダ4の第1突起4a11、第2突起4a21と、ベース1の筒状部2の第1ガイド穴2b1、第2ガイド穴2b2の組み合わせを備えている。したがって、中空モータの駆動によるアウターカム8を含む回転体の回転時に、レンズホルダ4が回転することなく光軸方向に円滑に移動し、これによっても優れた性能を確保できる。
また本実施形態は、クローポール式の中空モータを備え、この中空モータの内部に第1ガイド部すなわち傾斜部8a12,8a22を有するアウターカム8と、第2ガイド部すなわち第1カム対4a1、第2カム体4a2を有するレンズホルダ4とを含むレンズ移動機構を収納でき、全体形状のコンパクト化を実現できる。
本発明の焦点調節装置の一実施形態を示す分解斜視図である。 本実施形態の外観を示す斜視図である。 本実施形態の縦断面図である。 本実施形態においてカバー及びアッパーガイドを除いた状態を示す平面図である。 本実施形態においてカバー及びアッパーガイドを除いた状態を示す斜視図である。 本実施形態に備えられるアウターカム、マグネット、及びボビンの組み付け関係を示す要部斜視図である。 本実施形態に備えられる中空モータの要部構成を示す分解斜視図である。 本実施形態に備えられるアウターカムを示す斜視図である。 本実施形態に備えられるインナーカムを示す斜視図である。 本実施形態に備えられるレンズホルダを示す斜視図である。 本実施形態に備えられるばねとレンズホルダとの係着関係を示す斜視図である。 本実施形態に備えられる筒状部を有するベース、ばね、及びレンズホルダの組み付け関係を示す斜視図である。 本実施形態に備えられる筒状部を有するベース、ばね、及びレンズホルダの組み付け関係を示す平面図である。 本実施形態に備えられるばね、レンズホルダ、及びインナーカムの係着関係を示す斜視図である。 本実施形態に備えられる筒状部を有するベース、ばね、レンズホルダ、及びインナーカムの組み付け関係を示す要部斜視図である。 本実施形態の動作説明図であって、レンズホルダが所定の第1待機位置に保持されているときの状態を示す要部展開図である。 本実施形態の動作説明図であって、レンズホルダを第1焦点微調節領域において微調節するときの状態を示す要部展開図である。 本実施形態の動作説明図であって、レンズホルダを第1焦点微調節領域から第2焦点微調節領域方向へ前進させる途中の状態を示す要部展開図である。 本実施形態の動作説明図であって、レンズホルダを第2焦点微調節領域まで前進させた状態を示す要部展開図である。 本実施形態の動作説明図であって、レンズホルダを第2焦点微調節領域において微調節するときの状態を示す図である。
符号の説明
1 ベース
2 筒状部(レンズ移動機構)
2a1 第2ガイド溝
2a11 第1横溝部(第2移動機構)
2a12 縦溝部(第1移動機構)
2a13 第2横溝部(第2移動機構)
2a2 第2ガイド溝
2b1 第1ガイド穴(規制手段)
2b2 第2ガイド穴(規制手段)
3 ばね(レンズ移動機構)
4 レンズホルダ(レンズ移動機構)
4a1 第1カム体(第2ガイド部)〔第2移動機構〕
4a11 第1突起(規制手段)
4a12 上端部
4a2 第2カム体(第2ガイド部)〔第2移動機構〕
4a21 第2突起(規制手段)
4b 切り欠き部
5 レンズ
6 インナーカム(ガイド筒)(レンズ移動機構)
6a1 第1係合部(第2移動機構)
6a11 下端部
6a12 中央部
6a13 上端部
6a2 第2係合部(第2移動機構)
6b1 第1穴
6b2 第2穴
7a1 第1ガイド突起(第1移動機構)(第2移動機構)
7a2 第2ガイド突起(第1移動機構)(第2移動機構)
8 アウターカム(筒部材)(回転体)〔レンズ移動機構〕
8a1 第1ガイド溝
8a11 立ち下がり部(第2移動機構)
8a12 傾斜部(第1ガイド部)(第1移動機構)
8a13 立ち上がり部(第2移動機構)
8a2 第1ガイド溝
8a21 立ち下がり部(第2移動機構)
8a22 傾斜部(第1ガイド部)(第1移動機構)
8a23 立ち上がり部(第2移動機構)
9 マグネット(回転体)
10 第1ボビン
10a 磁極歯
11 第2ボビン
11a 磁極歯
12 アッパーガイド
13 カバー
L1 距離
L2 距離
L3 距離
L4 距離

Claims (4)

  1. レンズと、このレンズを光軸方向に移動させるレンズ移動機構と、このレンズ移動機構を駆動する中空モータとを有すると共に、
    上記レンズ移動機構が、上記中空モータに備えられる回転体を含み、
    この回転体の内周面に、上記レンズを光軸方向に移動させるように案内するガイド溝を形成したことを特徴とする焦点調節装置。
  2. 上記請求項1記載の発明において、
    上記中空モータは、クローポール式のモータであって、
    上記回転体は円環状に形成され周方向にS極とN極が交互に着磁された磁石と、この磁石が外嵌される筒部材とから成り、
    この筒部材に上記ガイド溝を形成したことを特徴とする焦点調節装置。
  3. 上記請求項2記載の発明において、
    上記筒部材が磁性材から成ることを特徴とする焦点調節装置。
  4. 上記請求項3記載の発明において、
    上記レンズを保持するレンズホルダと、このレンズホルダの外側に嵌合されると共に上記筒部材の内部に収容され、上記レンズホルダの移動と連動するガイド筒と、このガイド筒の外周面に突出形成されたガイド突起とを備え、このガイド突起が上記筒部材の上記ガイド溝に係合し、上記中空モータの駆動によって上記回転体に含まれる上記筒部材が回転すると、上記ガイド突起が上記ガイド溝に沿って移動して上記ガイド筒と共に上記レンズホルダが光軸方向に移動することを特徴とする焦点調節装置。
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