JP2005099112A - 適応制御のスペクトルピーク平坦化処理 - Google Patents

適応制御のスペクトルピーク平坦化処理 Download PDF

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Abstract

【課題】 ピーク値の大小にかかわらずスペクトルピーク成分を重点的に低減する適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を提供すること。
【解決手段】 入力した騒音又は振動の検出波形Aに基づいてその騒音又は振動を低減させる制御音又は制御振動を出力すべく、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御において、検出波形Aにおけるレベルの高いスペクトルピークP1,P2の値と、レベルの低いスペクトルピークP3,P4の値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークP1´,p2´,P3,P4がほぼ同一に揃うようにして適応制御を行うようにした適応制御のスペクトルピーク平坦化処理。
【選択図】 図3

Description

本発明は、騒音又は振動を低減する制御音又は制御振動を発生させる制御信号を生成するための適応制御に関するスペクトルピーク平坦化処理に関する。またそのスペクトルピーク平坦化処理を利用した能動制御装置に関する。
従来から騒音を低減する方法としては、騒音をマイクで検出して制御系によりその騒音に対して逆位相の音をスピーカで発生させるANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)が知られている。図6は、特許第3391031号公報に記載されている、ANC装置の一般的な構成を示すブロック図である。このANC装置では、騒音検出器111の検出信号が適応フィルタ112により信号処理され、制御スピーカ113から空間伝達関数Cを通して制御音が出力されることにより、騒音源100から伝達関数Gを通って誤差検出器114に達する騒音に対する消音が行われる。また、誤差検出器114の検出信号は、誤差信号として係数更新演算器116に入力され、一方、あらかじめ制御空間Cを通る制御スピーカ113から誤差検出器114までの伝達関数に一致させた前置フィルタ117を介して、騒音検出器111で検出した騒音検出信号が参照信号として係数更新演算器116に入力される。検出信号と参照信号とが入力された係数更新演算器116では、誤差検出信号が小さくなるように適応フィルタの係数更新が行われる。
特許第3391031号公報(第2−4頁、図1−図7)
ところで、制御対象となる騒音は、その波形に現れるスペクトルピークの大きさが周波数帯によって偏りを生じ、例えば図5の騒音波形A(破線)に示すように低周波部分では音圧レベルが高く、高周波部分では音圧レベルが低くなることがある。こうした場合、従来のANC装置に代表される能動制御装置では、そのまま適応制御が行われると、音圧レベルの高い部分の周波数帯の騒音に制御が集中してしまい、音圧レベルの低い部分の周波数帯の騒音は、スペクトルピークがノイズレベルと判断されるなど、適応制御がかかり難いといった問題があった。すなわち、ANC制御後の波形を示す図5の制御波形B(実線)に見られるように、音圧レベルの高い100Hz〜200Hzの周波数帯にあるスペクトルピークP1,P2部分は低下しているものの、音圧レベルの低い2kHz前後の周波数帯にあるペクトルピークP3,P4部分はほとんど適応制御が行われず変化がみられなかった。
こうした問題提起は、特許第3391031号公報にも同様になされている。すなわち、図6に示した従来のANC装置では、騒音源100の信号が伝達関数Gを通って誤差検出器114に有色性の高い周波数スペクトラムで到達した場合、その周波数に対して集中的に係数更新が行われ、そのためその周波数での最大消音量に達すると、それ以上消音されなくなる結果、広い帯域にわたて騒音が消音できなくなってしまうといった記載がある。そこで、同公報では、こうした問題を解決する方法として、白色フィルタを用いて信号レベルを周波数帯全体にわたり同時に同量ずつ低減させる方法が提案されている。
これに対して本発明は、同様に広い周波数帯域に渡って騒音や振動の低減を実現するものであるが、特にピーク値の大小にかかわらず、スペクトルピーク成分を重点的に低減する適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を提供することを目的とする。
また、本発明は、そうした適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理は、入力した騒音又は振動の検出波形に基づいてその騒音又は振動を低減させる制御音又は制御振動を出力すべく、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御において、前記検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、レベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにして適応制御を行うようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理は、騒音や振動の検出波形信号に対して高域強調関数をかけることにより、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにして適応制御を行うようにしたことを特徴とする。
よって、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理によれば、例えば騒音や振動の検出波形信号に対して高域強調関数をかけることにより、レベルの高い周波数帯のスペクトルピークをレベルの低い周波数帯のスペクトルピークにまで下げてピークのレベルを揃えることができ、これに対して適応制御を行えば、従来ではノイズレベルと判断されてしまい適応制御がかけられなかったスペクトルピーク部分にも適応制御がかけられるようになる。
一方、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置は、制御音や制御振動を出力する駆動手段と、その制御音又は振動を検出する検出手段と、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御手段とを有し、その適応制御手段からの制御信号によって駆動手段から出力された制御音又は制御信号を騒音又は振動と干渉させて騒音や振動を低減させる能動制御装置であって、前記検出手段は、そこから入力した騒音又は振動の検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、同じ検出波形におけるレベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分のスペクトルピークをほぼ同一に揃えるスペクトルピーク平坦化処理手段を介して前記適応制御手段に接続され、前記駆動手段は、前記適応制御手段によって生成された制御信号による制御音や制御振動の波形を元のスペクトル状態に戻すスペクトルピーク平坦化逆処理手段を介して前記適応制御手段に接続されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置は、スペクトルピーク平坦化処理手段が、前記騒音や振動の検出波形信号に対して高域強調関数をかけることにより、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにし、前記スペクトルピーク平坦化逆処理手段は、制御信号による制御音や制御振動の波形に対して高域強調逆関数をかけることにより、制御音や制御振動の波形を元のスペクトル状態に戻すことを特徴とする。
また、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置は、フィードバック方式又はフィードフォワード方式を採用したものであることを特徴とする。
よって、従来では、レベルが突出していて耳障りや不快な体感となるスペクトルピーク部分の音や振動であっても、他の周波数帯のスペクトルピークと比べて相対的にレベルが低い場合には、適応制御がかけられずにそのままの音や振動として残ってしまっていたが、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置によれば、スペクトルピークのレベルを同一に揃えて適応制御を行うことにより、相対的にレベルは低くてもスペクトルピークが現れる耳障りな音や不快な体感となる振動も抑えることが可能になる。すなわち、レベルの大小に関わらず、スペクトルのピーク成分を重点的に低減できる適応制御を行わせることが可能になる。
また、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置は、フィードバック方式又はフィードフォワード方式のいずれでもよいが、フィードバック方式を採用することにより、検出手段を一つにして構成を単純することができて装置の小型化やコストの低下をはかることができる。
本発明は、入力した騒音又は振動の検出波形に基づいてその騒音又は振動を低減させる制御音又は制御振動を出力すべく、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御において、前記検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、レベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにスペクトルピーク平坦化処理を行うようにしたので、ピーク値の大小にかかわらずスペクトルピーク成分を重点的に低減する適応制御をかけることができるようになった。
また、本発明は、制御音や制御振動を出力する駆動手段と、その制御音又は振動を検出する検出手段と、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御手段とを有し、その適応制御手段からの制御信号によって駆動手段から出力された制御音又は制御信号を騒音又は振動と干渉させて騒音や振動を低減させる能動制御装置であって、前記検出手段を、そこから入力した騒音又は振動の検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、同じ検出波形におけるレベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分のスペクトルピークをほぼ同一に揃えるスペクトルピーク平坦化処理手段を介して前記適応制御手段に接続し、前記駆動手段を、前記適応制御手段によって生成された制御信号による制御音や制御振動の波形を元のスペクトル状態に戻すスペクトルピーク平坦化逆処理手段を介して前記適応制御手段に接続するようにしたので、ピーク値の大小にかかわらずスペクトルピーク成分を重点的に低減する適応制御をかけることで、広い周波数帯域に渡って騒音や振動の低減が可能になった。
次に、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理およびその平坦化処理を実行する能動制御装置について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態の適応制御については、鉄道車両のデッキ部擬似環境に設けたANC装置を例に挙げて説明する。図1は、そのANC装置全体の構成を示したブロック図である。このANC装置1では、評価マイク12によって制御音発生スピーカ11からの制御音に加えてデッキ部擬似環境内の騒音を収集し、図3に示す検出波形A(破線)が検出されるとする(この検出波形Aは、図5に示す騒音波形Aと一致するものである)。ところが、こうした検出波形Aの音圧レベルは、消音対象としている300Hz以下の音(例えばスペクトルピークP1)と2kHz付近の音(例えばスペクトルピークP3)との差が20dB程もある。そのため、このまま後述する適応制御をかけても2kHz付近にあるスペクトルピークP3,P4の音は、ANC制御演算上300Hz以下にあるスペクトルピークP1,P2の音に対してノイズレベルと判断されてしまう。
そこで、本実施形態では、ANC制御の演算上、音圧レベルの低いスペクトルピークに対して反応を良くすべく、適応制御をかける前にスペクトルピークを平坦化する処理が行われるよう構成されている。すなわち、本実施形態のANC装置1には、評価マイク12に対して、騒音波形に現れるスペクトルピークを平坦化処理するためのスペクトルピーク平坦化フィルタ21が接続されている。このスペクトルピーク平坦化フィルタ21によれば、図3の平坦化処理波形C(実線)に示すように、検出波形Aにおける音圧レベルの高いスペクトルピークP1,P2が60dBを下回る音圧レベルにまで下げられてスペクトルピークP1´,P2´とされる。こうして、音圧レベルの低いスペクトルピークP3,P4と値を合わせて、全てのスペクトルピークP1´,P2´,P3,P4がほぼ同一になるように揃えられる(平坦化処理される)。
つまり、スペクトルピーク平坦化フィルタ21により、評価マイク12によって検出された検出波形データに対して高域強調関数(PE(z)=1−az-1(0<a<1))をかける、スペクトルの平坦化処理が実行されるようになっている。こうすることによって制御演算上のスペクトルは平坦化処理波形Cで示すようなものとなり、2kHz付近の騒音も300Hz以下の騒音と均等に扱うことが可能となる。そして、このスペクトルピークの平坦化処理した検出データに対して適応制御がかけられる。
一方で、制御音発生スピーカ11へと出力される制御信号には高域強調逆関数(1/PE(z))をかけてスペクトルを元に戻す必要がある。そのため、制御音発生スピーカ11にはスペクトルピーク平坦化逆フィルタ22が接続されている。なお、高域強調関数(PE(z))は、係数aの値を大きくすることによって高域強調の度合いが増すようになるものであるが、本実施形態における鉄道車両デッキ部の騒音用ANC装置1では、実験によりa=0.95の値が好適であった。
次に、その評価マイク12に接続されたスペクトルピーク平坦化フィルタ21には、制御音発生スピーカ11から出力した制御音を評価マイク12で収集した音から減算する演算器23が接続されている。さらにスペクトルピーク平坦化フィルタ21には、アルゴリズムに基づいて評価マイク12からの検出信号がゼロになるように演算係数を調整する適応フィルタ係数演算器24が接続されている。また、演算器23には、伝達特性S(n)を同定した伝達特性同定フィルタ25と、制御音発生スピーカ11の制御手段である適応フィルタ26とが接続されている。ここで、「元騒音」とは、評価マイク12で検出された音のうち、制御音発生スピーカ11から出力された制御音を差し引いた車両デッキ内の騒音そのものをいう。そして、その適応フィルタ26には、制御対象となる制御音発生スピーカ11がスペクトルピーク平坦化逆フィルタ22を介して接続される他、制御音発生スピーカ11から出力した制御音を演算器に送る伝達特性同定フィルタ27が接続されている。
本実施形態のANC装置1は、こうした構成により、評価マイク12で検出した音に対してマイク位置で同振幅・逆位相となる音を演算し(音波として作り出し)、制御音発生スピーカ11から制御音を出力するフィードバック方式(追従演算方式)を採用したものである。また、本実施形態では、デッキ部騒音のような速度依存性騒音を低減するために、その瞬間の音場に合わせて制御を自動補正することが可能なデジタル型を採用している。更に、本実施形態では、ANC装置1で行われる演算を、対象とする信号の非定常性・時変性などを扱うことに優れている適応制御で実施する構成になっている。
次に、こうした本実施形態のANC装置1の作用について説明する。図1に示す本実施形態のANC装置1によれば、評価マイク12で収集した検出音に対して位相反転演算が行われて、制御音発生スピーカ11から制御音が出力される。その際、評価マイク12には、車両デッキ内に生じる騒音と、位相反転演算によって制御音発生スピーカ11から出力された制御音との加算された音が収集される。収集された検出音は検出データとしてスペクトルピーク平坦化フィルタ21へ送られ、図3に示す検出波形Aは、そこで高域強調関数をかけたスペクトルの平坦化処理が行われて平坦化処理波形Cに変換される。つまり、高域強調関数をかけることにより、右肩下がりだったスペクトルにおける各ピークの音圧レベルが低周波帯から高周波帯までほぼ同一に揃えられる。
評価マイク12では、元騒音と、制御音発生スピーカ11から出力された制御音とが収集され、その収集された音による検出信号がスペクトルピーク平坦化フィルタ21を介して演算器23に送られる。一方、適応フィルタ26からは、そこで生成した制御信号が、制御音発生スピーカ11に与えられると共に、伝達特性が設定された伝達特性同定フィルタ27を介して演算器23の減算入力端子にも与えられる。伝達特性同定フィルタ27の伝達特性は、制御音発生スピーカ11から評価マイク12に至る伝達経路の音響伝達特性と同じ伝達特性である。従って、演算器23では、こうした評価マイク12からの検出信号と適応フィルタ26からの制御信号によって、評価マイク12で収集され検出音から制御音発生スピーカ11によって出力された制御音を減算することで元騒音を得ることが行われる。これによって本実施形態では、元騒音についてのみ制御演算(位相反転演算)を実行することができ、ハウリングが発生する機会を減らし、システムの安定を高めることを可能としている。
演算器23での演算によって得られた元騒音の信号は、適応フィルタ26および伝達特性同定フィルタ25を介して適応フィルタ係数演算器24へと入力される。伝達特性同定フィルタ25の伝達特性は、制御音発生スピーカ11から評価マイク12に至る伝達経路の音響伝達特性と同じ伝達特性である。この場合、伝達特性同定フィルタ25を介在させているのは、評価マイク12により検出された信号が、制御音発生スピーカ11から伝播して評価点に至る経路の音響伝達特性を考慮するようにしているからである。
適応フィルタ係数演算器24には、伝達特性同定フィルタ25から信号が与えられると共に、評価マイク12からはスペクトルピークの平坦化処理が施された検出信号が与えられ、アルゴリズムに基づいて評価マイク12から与えられた検出信号がゼロになるように適応フィルタ26の演算係数の調整が行われる。そして、適応フィルタ26ではその演算係数に基づき、騒音と干渉を起こさせて消音するための制御信号が演算される。適応フィルタ26からは、その制御信号がスペクトルピーク平坦化逆フィルタ22を介して制御音発生スピーカ11へと送られる。つまり、適応フィルタ26からの制御信号は、高域強調逆関数をかけてスペクトルが元に戻った状態で制御音発生スピーカ11へと送られる。そして、制御音発生スピーカ11から出力された制御音が、評価点において車両デッキ内を伝播してきた騒音の振幅と同振幅で且つ逆位相となって騒音と干渉を起こして打ち消し合うことにより消音する。
図4は、この適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行うANC装置1において、そのANC制御結果を示した図である。評価マイク12で検出した図4の検出波形A(破線)に対して(この騒音波形Aは、図5に示す騒音波形Aと一致するものである)ANC制御を行った結果、図4の制御波形D(実線)に示す音圧レベルとなった。そこで、適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行った制御波形Dと、従来通りの適応制御を行った図5に示す制御波形Bとを比較すると、140Hz付近のピークP1に関しては、両方とも同じように10dB程度音圧が下がっており、低周波帯での差はほとんどない。しかし、2kHz付近の高周波帯では、従来の適応制御ではほとんど音圧が下がっていないのに対し、本実施形態では、音圧レベルが15dB程も下がった。
従って、従来は、音圧レベルが突出していて耳障りとなるスペクトルピーク部分の音であっても、他の周波数帯のスペクトルピークと比べて相対的に音圧レベルが低い場合には、適応制御がかけられずにそのままの音として残ってしまっていた。しかし、本実施形態に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理によれば、全体のスペクトルピークの音圧がほぼ揃えられることにより、相対的に音圧レベルは低いがスペクトルピークを示している耳障りな音も抑えることが可能になった。すなわち、音圧レベルの大小に関わらず、スペクトルのピーク成分を重点的に低減できる適応制御を提供することが可能になった。
そして、この適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を利用したANC装置1を車両デッキに採用することで、図4の検出波形Aに示す騒音が発生するような場所でも、高域強調関数をかけることにより高周波帯から低周波帯においてスペクトルピークをほぼ同一に揃えて適応制御を行うことで、デッキ部内のピーク音を効果的に下げることができる。
ところで、適応制御のスペクトルピーク平坦化処理は、フィードバック方式の他にも、フィードフォワード方式(予測演算方式)にも採用可能である。図2は、そうしたフィードフォワード型ANC装置を示したブロック図である。なお、図1に示したフィードバック型のものと同様の構成要素には同符号を付して説明する。
フィードフォワード型のANC装置2には、先ず図1に示したフィードバック型のANC装置1にはない、騒音源に設置された騒音検出マイク31を有し、それがスペクトルピーク平坦化フィルタ32を介して伝達特性同定フィルタ25と適応フィルタ26とに接続されている。
一方、評価位置に設置された評価マイク12には、スペクトルピーク平坦化フィルタ21を介して適応フィルタ係数演算器24が接続され、その適応フィルタ係数演算器24には、伝達特性同定フィルタ25が接続されている。更に適応フィルタ係数演算器24は、アルゴリズムに基づいて評価マイク12からの検出信号がゼロになるように演算係数を演算するものであり、その演算結果を制御音発生スピーカ11を駆動させる適応フィルタ26に反映させる。適応フィルタ26は、スペクトルピーク平坦化フィルタ21,32で平坦化されたスペクトルを元にもどすためのスペクトルピーク平坦化逆フィルタ22を介して制御音発生スピーカ11に接続され、制御信号を送るように構成されている。
そして、こうしたフィードフォワード方式のANC装置2では、騒音検出マイク31で検出した音から消音を行う位置での音を予測し、そこで同振幅・逆位相となる音を演算して(音波として作り出して)制御音発生スピーカ11から制御音を出力し、評価マイク12で収集した騒音からその残差成分(低減しきれなかった騒音)を演算して、評価マイク位置12での音圧を最小にするよう適応制御による予測演算が行われる。その際、前記フィードバック方式のANC装置1と同様、図3に示すように、評価マイク12からの検出音や騒音検出マイク31からの騒音に対して、スペクトルピーク平坦化フィルタ21,31によって、スペクトルピークを同一に揃えるスペクトルピーク平坦化処理が行われる。そして、その平坦化された信号について適応制御がかけられ、スペクトルピーク平坦化逆フィルタ22を介してスペクトルが元に戻されて制御信号として制御音発生スピーカ11へと送られる。
従って、フィードフォワード方式の場合でも、従来は音圧レベルが突出していて耳障りな音となるスペクトルピークについても、他の周波数帯のスペクトルピークと比べて相対的に低い値であると適応制御がかけられずにピーク音が残ってしまっていたが、適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行うことにより全体のスペクトルピークの音圧がほぼ同一に揃えられ、耳障りな音を取り除くことが可能になった。
以上、本発明に係る適応制御のスペクトルピーク平坦化処理および、その適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行うANC装置の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、低周波帯の方が音圧レベルが高い場合を例にあげて説明したが、逆に高周波帯の方が音圧レベルが高い場合や、その他、低いレベルのスペクトルピークがノイズレベルと判断されてしまい適応制御がかけられなくなる波形を示すもの全てについて有効である。
また、前記実施形態では騒音に対するANC装置を例にあげて説明したが、音だけでなく振動に対する適応制御であっても同様に実施可能である。
適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を利用したANC装置であって、特にフィードバック型のANC装置の構成を示したブロック図である。 適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を利用したANC装置であって、特にフィードフォワード型のANC装置の構成を示したブロック図である。 スペクトルピーク平坦化処理における波形を示した図である。 スペクトルピーク平坦化処理を行った場合のANC制御における波形を示した図である。 スペクトルピーク平坦化処理を行わない場合のANC制御における波形を示した図である。 従来のANC装置の一般的な構成を示すブロック図である。
符号の説明
1,2 ANC装置
11 制御音発生スピーカ
12 評価マイク
21 スペクトルピーク平坦化フィルタ
22 スペクトルピーク平坦化逆フィルタ
23 演算器
24 適応フィルタ係数演算器
25 伝達特性同定フィルタ
26 適応フィルタ
27 伝達特性同定フィルタ
31 騒音検出マイク
32 スペクトルピーク平坦化フィルタ
A 検出波形
C 平坦化処理波形
D 制御波形
P1,P2,P3,P4 スペクトルピーク
P1´,P2´ 平坦化処理したスペクトルピーク

Claims (5)

  1. 入力した騒音又は振動の検出波形に基づいてその騒音又は振動を低減させる制御音又は制御振動を出力すべく、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御において、
    前記検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、レベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにして適応制御を行うようにしたことを特徴とする適応制御のスペクトルピーク平坦化処理。
  2. 請求項1に記載する適応制御のスペクトルピーク平坦化処理において、
    騒音や振動の検出波形信号に対して高域強調関数をかけることにより、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにして適応制御を行うようにしたことを特徴とする適応制御のスペクトルピーク平坦化処理。
  3. 制御音や制御振動を出力する駆動手段と、その制御音又は振動を検出する検出手段と、アルゴリズムに従い制御対象となる騒音波形又は振動波形の特性変化に応じて制御系の特性を自動調整し、騒音又は振動に干渉する制御音又は制御振動を発生させるための制御信号を生成する適応制御手段とを有し、その適応制御手段からの制御信号によって駆動手段から出力された制御音又は制御信号を騒音又は振動と干渉させて騒音や振動を低減させる能動制御装置において、
    前記検出手段は、そこから入力した騒音又は振動の検出波形におけるレベルの高いスペクトルピークの値と、同じ検出波形におけるレベルの低いスペクトルピークの値のレベルを合わせるように信号処理し、制御対象となる周波数部分のスペクトルピークをほぼ同一に揃えるスペクトルピーク平坦化処理手段を介して前記適応制御手段に接続され、前記駆動手段は、前記適応制御手段によって生成された制御信号による制御音や制御振動の波形を元のスペクトル状態に戻すスペクトルピーク平坦化逆処理手段を介して前記適応制御手段に接続されたものであることを特徴とする適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置。
  4. 請求項3に記載する適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置において、
    スペクトルピーク平坦化処理手段は、前記騒音や振動の検出波形信号に対して高域強調関数をかけることにより、制御対象となる周波数部分におけるスペクトルピークがほぼ同一に揃うようにし、前記スペクトルピーク平坦化逆処理手段は、制御信号による制御音や制御振動の波形に対して高域強調逆関数をかけることにより、制御音や制御振動の波形を元のスペクトル状態に戻すことを特徴とする適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載する適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置において、
    フィードバック方式又はフィードフォワード方式を採用したものであることを特徴とする適応制御のスペクトルピーク平坦化処理を行う能動制御装置。
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