JP2005098109A - 樹脂マットとこれを用いた建材マット - Google Patents

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Hidenori Kobayashi
秀紀 小林
Shinji Toriyama
信治 鳥山
Jiro Akimoto
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Abstract


【課題】 接着剤による接着固定の対象である建材の剥がれ防止の実効性を高める。
【解決手段】 樹脂マット20のマット面23にマット面23に重ねた状態で、貫通孔30にはその内部に接着剤Sが介在し、この接着剤Sは、マット面23の側でタイルTのタイル裏面Trに接着して硬化している。しかも、接着剤Sは、マット下面26の側では、貫通孔30周囲のマット下面26にはみ出た形状で硬化している。つまり、接着剤Sは、この貫通孔30からはみ出して硬化したアンカー形状部分Sa自体で、樹脂マット20に対するタイルTの剥がれ防止機能を果たす。アンカー形状部分Saの周囲には、これを取り囲むような湾曲凹所38を有する。この湾曲凹所38は、その開孔広狭の変形により、シート体24の反りに基づく貫通孔30の変形や貫通孔周囲箇所の反り等を抑制する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、タイル等の建材を固定するための樹脂マットとこれを用いた建材マットに関する。
近年になり、この種の建材マット、例えばタイルを樹脂マットに重ねて接着剤で固定したタイルマットは、マットをその施工場所に敷き詰めればよいことから施工が簡便であるとして、バルコニーやベランダ等に多用されつつある。こうしたタイルマットでは、樹脂マットとタイルとの接着固定を図るため、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許第2783127号公報
この公報では、接着剤で樹脂マットとタイルを接着固定するに当たり、樹脂マットの貫通孔の内部に硬化した接着剤を係止する係止部を形成し、こうすることでタイルの剥がれを防止している。
上記公報で提案されたタイルマットでは、硬化した接着剤に割れ等が起きて接着剤が欠落すると、タイルの剥がれを招きかねない。しかしながら、こうした点についての配慮がなされていないのが現状である。
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、接着剤による接着固定の対象である建材の剥がれ防止の実効性を高めることを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明の樹脂マットは、
建材を固定するための樹脂マットであって、
前記建材を前記樹脂マットに接着固定する接着剤を注入するため、前記建材の裏面側のマット上面とこれに対向するマット下面とにかけて形成された貫通孔と、
前記貫通孔の周囲に形成され、前記貫通孔の変形を来すような応力が前記樹脂マットに掛かかると、前記貫通孔の変形を抑制するよう前記応力を緩和する緩和手段とを備える
ことをその要旨とする。
上記構成を有する本発明の樹脂マットでは、建材固定のために貫通孔で硬化した接着剤に、貫通孔の変形に基づく力が掛かってしまうことを抑制できる。よって、本発明の樹脂マットによれば、貫通孔で硬化した接着剤に割れ等が起きがたくして、接着剤の欠落を効果的に防止できる。この結果、接着剤による接着固定の対象である建材の剥がれ防止の実効性を高めることができる。
上記の構成を有する本発明の樹脂マットは、以下の態様を採ることもできる。即ち、前記マット下面の側で前記貫通孔から孔周囲の前記マット下面にはみ出た形状で硬化している前記接着剤を少なくとも一部領域に亘って取り囲むように緩和手段を形成することができる。こうすれば、次の利点がある。
接着剤は、樹脂マットを貫通する貫通孔の内部に介在した状態で、樹脂マットのマット上面の側で建材裏面に接着して硬化する。これにより、建材と接着剤は、マット上面側で一体化する。その上で、接着剤は、貫通孔周囲のマット下面にはみ出た形状で硬化した接着剤部分(はみ出し接着剤部分)で、樹脂マットに対する建材の剥がれ防止機能を果たすことになり、樹脂マットの側には、建材の剥がれ防止機能を一切設ける必要がなくなる。この結果、樹脂マットには単に貫通孔を形成すればよくなるので、樹脂マットの形状を単純化でき、その金型についても単純化することができる。また、こうした成型金型の単純化により、金型や樹脂マットは勿論、この樹脂マットを用いた建材マットの低コスト化も達成できる。しかも、緩和手段はこのはみ出し接着剤部分を取り囲むことから、当該はみ出し接着剤部分についても割れ等を起きないようにする。よって、はみ出し接着剤部分による建材の剥がれ防止機能が低下しないようにできるので、建材剥がれ防止の実効性をより高めることができる。
また、緩和手段を弧状凹所を有するものとすれば、マット下面にこの弧状凹所を形成すれば足りるので、簡便である。この場合、弧状凹所は、開口部を広げたり縮めたりすることで、上記した応力を緩和して接着剤の割れ等を抑制する。
そして、上記した樹脂マットに建材を重ねて接着剤で固定した本発明の建材マットによれば、建材の剥がれ防止に優れた建材マットを容易に提供できる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は実施例に係るタイルマット10を表す概略斜視図、図2はタイルマット10が有する樹脂マット20の底面の一部を示す説明図、図3は図2における3−3線断面をタイルTを上にして示す説明図、図4は樹脂マット20の要部を概略的に示すための斜視図である。
図示するように、タイルマット10は、正方形状の樹脂マット20の上面(マット上面23)に正方形状のタイルTを3X3列に亘って重ねて有する。タイルマット10は、図における左右方向および前後方向に連結可能とされ、その連結のための連結腕21とこれに入り込む連結フック22を、樹脂マット20の端片に有する。
樹脂マット20は、図1に一部破断して示すように、タイルTの載置面となるマット面23を形成する正方形状のシート体24を周縁壁部25で支える。また、樹脂マット20は、それぞれのタイルTの載置領域ごとに、貫通孔30と、脚31とを有する。貫通孔30は、各載置領域の各コーナーに形成されている。
脚31は、タイルTの中央部分に該当するものについては、各載置領域ごとに2個形成され、貫通孔周囲の脚31については、周縁壁部25の側に位置する貫通孔ごとに1個形成され、それ以外の貫通孔については、貫通孔ごとに2個形成されている。タイルTの中央部分に該当する2個の脚31は、各コーナーの貫通孔30の側から延びた梁部33で連結された脚台座34に形成されている。この梁部33と脚台座34は、樹脂マット20のシート体24に穴35を抜くことで形成される。これらそれぞれの脚31は、図示するようにリブで補強された上、周縁壁部25より長くシート体24の裏面(マット下面26)から突出し、タイルマット10がその施設箇所におかれた場合の支えとなる。
また、樹脂マット20は、タイルTの載置領域を区切るV字状の区画溝36を縦・横に2本ずつ交差して備え、溝に沿って並ぶ脚31の間に、窓37を有する。ここで、この区画溝36が奏する機能について説明する。図1に示すタイルマット10は、その施工に際して作業者の両手でマット両端側が持ち上げられる。すると、タイルTの自重により、タイルマット10にはマット中央が垂れ下がるような反りが生じるようとする。この場合、区画溝36はこの反りに倣うよう広がるので、タイルマット10は容易に反りを起こし、作業者による持ち上げに支障を来すことがない。しかも、容易に反りを起こすことから、タイルマット10を順次並べる場合における施工性、つまり、連結腕21への連結フック22の係合も容易である。
このほか、樹脂マット20は、それぞれの貫通孔30の周囲に、弧状の湾曲凹所38を有する。この湾曲凹所38は、貫通孔30の変形を来すような応力が樹脂マット20に掛かかると、貫通孔30の変形を抑制するよう応力を緩和するためのものである。そして、周縁壁部25の側に位置する貫通孔30と、それ以外の位置の貫通孔30とでは、湾曲凹所38の弧状軌跡の長さが相違する。これは、次のことによる。
上記した応力が作用する状況として、タイルマット10を既述したようにその両端で持ち上げて反りを起こす場合や、マットの一端側だけを持ち上げて反りを起こすような場合がある。こうしたマットの持ち上げによる反りは、図1における左右両端或いは左右の一端での持ち上げによる反りや、図1における前後両端或いは前後一端での持ち上げによる反りがある。こうした左右・前後の反りによりシート体24には応力が作用するが、周縁壁部25の側は持ち上げ対象部分であるため、この周縁壁部25の側では、左右或いは前後の一方の反りによる応力しか実質的には作用しないと考えられる。よって、周縁壁部25の側に位置する貫通孔30では、区画溝36を挟んで約1/4周分の弧状軌跡で湾曲凹所38を形成して、この凹所を対向させた。その一方、それ以外の位置の貫通孔30では、区画溝36がクロスしていることから、約半周分の弧状軌跡で湾曲凹所38を形成し、それぞれの区画溝36を挟んで湾曲凹所38が対向するようにした。つまり、本実施例では、湾曲凹所38を、貫通孔30をその一部領域に亘って取り囲むよう形成した。なお、湾曲凹所38を、貫通孔30を全周に亘って取り囲むようにすることもできる。
本実施例では、上記した樹脂マット20を、耐久性や耐候性に優れた樹脂であって、こうしたタイルマットの樹脂マットとして一般的な樹脂材料、例えば、PE(ポリエチレン)やEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)から型成型した。
次に、上記した樹脂マット20とタイルTとの接着の様子について説明する。
図3に示すように、樹脂マット20のマット面23に載置されたタイルTは、タイル裏面Trをマット面23に重ねる。この状態で、貫通孔30にはその内部に接着剤Sが介在し、この接着剤Sは、マット面23の側でタイルTのタイル裏面Trに接着して硬化している。しかも、接着剤Sは、マット下面26の側では、貫通孔30周囲のマット下面26にはみ出た形状で硬化している。つまり、接着剤Sは、この貫通孔30からはみ出した接着剤部分(以下、アンカー形状部分Saという)を、貫通孔30に内在してタイル裏面Trと接着した部分と一体とした状態で硬化している。この場合、アンカー形状部分Saは、貫通孔30周囲のマット下面26に貫通孔全周に亘ってはみ出た形状で硬化している。従って、このアンカー形状部分Saは、これ自体で、樹脂マット20に対するタイルTの剥がれ防止機能を果たすことになり、いわゆるアンカー効果を奏することができる。
上記した接着剤Sは、貫通孔30の周囲でアンカー効果を奏する一方、貫通孔30ではタイルTとの直接の接着に関与する。よって、貫通孔30にあっても、タイル接着の面積を確保する上から、その直径が約5〜15mm程度であることが望ましい。つまり、直径が5mm以上で有れば、タイル接着面積を確保でき、15mm以下で有れば、不用意に接着剤Sの使用量を増大させないので、好ましい。
貫通孔30の形成箇所についても、タイル裏面の4隅の位置であることが、タイル接着の接着箇所のバランス確保や接着構造上、好ましい。また、例えば100mm方形のタイル1枚あたりの接着剤Sによる接着面積は、合計で約1cm2以上有ればよいので、上記した直径範囲の4つの貫通孔30で、約3〜10cm2程度の接着面積を確保できれば好ましい。300mm方形のタイルにあっては、貫通孔30の合計で約27〜90cm2程度を確保できれば好ましい。
上記したように貫通孔30にて接着剤SによりタイルTを接着するに当たり、貫通孔30の周囲においてタイル裏面Trとマット面23がほぼ隙なく重なることが好ましい。ところで、タイル製造上、タイル裏面Trにいわゆる裏足が凸状に残ることがあるので、こうした場合には、次のようにすればよい。第1に、この裏足が貫通孔30と重ならないようにすることが上記した隙のない重なりを確保する上で簡便である。また、裏足と貫通孔30が重なる場合は、裏足を貫通孔30より大きくしてこの裏足の範囲で貫通孔30が形成されるようにすれば、上記の隙のない重なりを確保できる。しかし、樹脂マット20の貫通孔30位置とタイルTの裏足位置とが一部で干渉してずれているような場合には、貫通孔30の周囲に裏足高さの段差が生じる。この場合は、後述の接着剤Sの性状を変えることで対処できる。例えば、接着剤Sの粘性を高めて上記の段差に接着剤Sが僅かに入り込むようにすることもできる。こうすれば、タイル裏面Trとマット面23の隙(段差部)が接着剤Sで埋められた状態で、タイルTを接着できる。
こうして接着剤Sが硬化した状態で、湾曲凹所38は、図3や図4に示すように、このアンカー形状部分Saと干渉することなく、このアンカー形状部分Saを図2に示す形状で取り囲む。
次に、上記した本実施例のタイルマット10の製造方法について説明する。図5はタイルマット10の製造工程を説明するための説明図である。
図示するように、まず、樹脂マット20とタイルTとを、タイルTが下方側で樹脂マット20が上方側となるように重ね、これを製造台車40に載せる。タイルTは、3X3列の状態で樹脂マット20に載置され、そのタイル裏面Trをマット面23に重ねる(図3参照)。この製造台車40では、タイルTと樹脂マット20は、ほぼ水平となり、樹脂マット20が上側となる。
次いで、製造台車40を図示しないコンベアにより接着剤注入ステーションに搬入する。このステーションでは、接着剤注入ガン42による接着剤注入を行う。この接着剤注入ガン42は、樹脂マット20に対して接近・退避が可能であると共に、X−Yの平面移動(2軸移動)が可能に構成されている。そして、接着剤注入ガン42は、樹脂マット20におけるそれぞれの貫通孔30の上方に移動した後、貫通孔30の側への接近、接着剤Sの注入、貫通孔30からの退避を順次行い、それぞれの貫通孔30に接着剤を注入する。
こうした接着剤Sの注入に際しては、次のようにした。
まず、接着剤注入ガン42からの接着剤Sの注入に当たっては、貫通孔30の孔内容積より多い量の接着剤Sを樹脂マット20の側から貫通孔内に注入した。つまり、貫通孔30を充填するに足りる量と、アンカー形状部分Saを形成するに足りる量との和の注入量で、接着剤Sをそれぞれの貫通孔30に注入した。こうすることで、注入後の接着剤Sは、貫通孔30をほぼ埋め尽くすと共に、貫通孔周囲にはみ出し、そのはみ出し部分をアンカー形状部分Saとする。
用いる接着剤Sとしては、エポキシ樹脂を主成分(接着成分)とする反応硬化型2液性接着剤を用いた。その性状は、2液混練直後の粘度(Pa・s)が10〜50であり、構造粘性指数が約1.0〜4.0である。これらは、JIS K6833に準拠した物性値である。なお、粘度にあっては、BH型粘度計(ロータNo.6或いはNo.7)にて1分間の攪拌を行い、攪拌開始から30秒後に測定した。また、硬化後の性状としては、引っ張りせん断接着強さ(N/mm2)が5以上とした。これはJIS K6850に準拠した物性値である。この接着強さは次のように測定した。まず、軟鋼板(SPCC)の表面にサンドブラスト処理を施して脱脂し、1/2インチに亘り接着剤を接着硬化させた。硬化条件は、50℃環境下で2時間乾燥させ、その後、20℃環境下で24時間乾燥させた。そして、20℃の測定室で、約2.5mm/分の引っ張り速度で引っ張り試験を行い、上記の接着強さを求めた。
こうした接着剤の性状を規定したのは、次の理由による。
上記した注入量で接着剤Sを注入した場合、硬化後の接着剤Sの形状は、図3で示したようにアンカー形状部分Saを有する形状(便宜的に、この形状をキノコ形状と呼ぶ)に安定することが望ましい。つまり、キノコ形状を採ったとしても、硬化後の接着剤Sがそのアンカー形状部分Saを湾曲凹所38に干渉させてしまうような事態を避け、湾曲凹所38がアンカー形状部分Saを弧状に取り囲むようにすることが好ましい。
よって、上記したような粘度・構造粘度指数を有する接着剤Sであれば、注入後の接着剤Sがアンカー形状部分Saと湾曲凹所38との干渉のない理想的なキノコ形状をより確実に採るようにすることが可能となる。また、上記の引っ張りせん断接着強さを有すれば、硬化後のアンカー形状部分SaはタイルTの剥がれ防止を果たすアンカー効果をより確実に発揮できる。
また、接着剤Sの注入に際しては、その性状を上記したように規定した他、次のような温度制御を行った。つまり、接着剤注入ガン42にヒータ43を内蔵し、当該ヒータで接着剤Sを所定温度(約40〜60℃)に温度制御するようにした。そして、この温度に制御済みの接着剤Sを貫通孔30に注入するようにした。よって、次の利点がある。
接着剤Sの注入時の温度が約40℃を下回ると、注入接着剤の粘性が高まるので、接着剤の流れが弱くなる。よって、注入後の接着剤Sは、貫通孔30をほぼ埋め尽くすものの、流れが弱い分だけ、貫通孔周囲へのはみ出しが控えられ、はみ出し部分が狭くなる。つまり、アンカー形状部分Saが小さくなって貫通孔周囲との引っ掛かり面積が狭くなり、アンカー効果が弱まる。一方、接着剤Sの注入時の温度が約60℃を越えると、注入接着剤の粘性が低くなって、接着剤Sは流れ易くなる。よって、注入後の接着剤Sは、貫通孔周囲に容易に流れ出して広くはみ出す。こうなると、アンカー形状部分Saは広くなるものの、その部分の厚みが薄くなるので硬化後の強度の低下をきたし、やはりアンカー効果が弱まる。これに対し、接着剤Sの注入時の温度が上記範囲で有れば、注入後の接着剤Sで、貫通孔30をほぼ埋め尽くすことができると共に、貫通孔周囲へのはみ出しの程度も湾曲凹所38の手前で留まってアンカー形状部分Saの大きさも最適となり、このアンカー形状部分Saの厚みも確保できる。この結果、好適なアンカー効果を奏することができる。
このようにして貫通孔30に注入された接着剤Sが接着硬化後に呈する接着強度、即ち貫通孔301ヶ所当たりの剥がれ強度は、10kg以上であることが望ましく、本実施例のように、100mm方形のタイルでは、タイル1枚当たりで約40kg以上の剥がれ強度を確保できることが望ましい。本実施例では、こうした剥がれ強度を確実に確保できた。
上記したアンカー形状部分Saの形状については、接着剤Sの性状を上記したものとしたこと、および温度制御を図ったことと相まって、次のようにすることができる。
図3に示すように、貫通孔30の外周とアンカー形状部分Saの外周との差、即ちアンカー形状部分Saの広がり程度t1は、約0.6mmであり、t1>約0.5mmであることが望まし。また、貫通孔30の外周を貫通孔軸方向に垂直に延長した線分がアンカー形状部分Saの外縁に当たるまでの長さ、即ちアンカー形状部分Saの厚みt2は、約1.2mmであり、t2>約1mmであることが望ましい。
このように接着剤注入ガン42でそれぞれの貫通孔30に接着剤Sを注入すると、製造台車40を接着剤注入ステーションから乾燥ステーションに搬入し、注入済みの接着剤Sを乾燥硬化させる。このステーションでは、ヒータ43とファン44により、乾燥雰囲気温度を約40〜60℃に制御し、接着剤Sの速やかな養生(乾燥硬化)を図る。こうした速やかな養生により、生産効率を高めることができる。
この養生に際して、乾燥温度が約40℃を下回ると、接着剤の硬化が遅くなるので生産効率の低下を来たし、約60℃を越えると、硬化速度は速くなるものの、この養生時での接着剤の流れを招いたり、PE製の樹脂マット20の熱変形を招いたりするので、好ましくない。これに対し、養生温度が上記範囲で有れば、これら不具合がなく好ましい。
以上説明したように、本実施例のタイルマット10によれば、貫通孔30の周囲で硬化したアンカー形状部分Sa自体でアンカー効果を発揮してタイルTの剥がれ防止を図ることができる。よって、樹脂マット20には、タイルTの剥がれ防止のための構成を一切必要とせず、単に貫通孔30を形成すればよくなる。この結果、樹脂マット20の形状を単純化でき、その金型についても単純化することができるので、成型金型の単純化により、金型や樹脂マット20は勿論、この樹脂マット20を用いたタイルマット10の低コスト化も達成できる。
しかも、接着剤Sの性状を上記したように規定したので、硬化後の接着剤Sの形状の安定化(アンカー形状部分Saと湾曲凹所38との干渉回避、キノコ形状の安定化)を図ることができると共に、アンカー形状部分Saによるアンカー効果をより確実に発揮できる。また、接着剤Sの注入時およびその後の養生時に接着剤の温度制御を行うので、性状の規定と相まって、上記した接着剤の形状の安定化をより確実なものとできる。
この場合、用いる接着剤の性状に合わせて温度制御の様子(注入温度範囲や養生温度範囲)を調整することもできる。
また、本実施例では、タイルTと樹脂マット20を製造台車40でほぼ水平とし、接着剤Sを貫通孔30に対してその上方から注入するようにした。このため、接着剤Sは、貫通孔周囲へのはみ出しを貫通孔30の周回りに亘ってほぼ均等に起こすので、アンカー形状部分Saは、貫通孔全周に亘ってはみ出た形状となる。この結果、アンカー形状部分Saはアンカー効果を貫通孔30の全周で発揮するので、タイルTの剥がれ防止効果をより確実なものとでき、剥がれ防止の実効性を高めることができる。
また、本実施例では、上記のようにアンカー形状部分Saを形成するに当たり、貫通孔30の周囲に湾曲凹所38を設け、この湾曲凹所38にアンカー形状部分Saが干渉しないようにした。よって、次の利点がある。
完成したタイルマット10をバルコニー等に設置する際には、タイルマット10をその両端やマット一端だけで持ち上げたりすることが必要である。こうした持ち上げがなされると、樹脂マット20を用いた都合上、樹脂マット20には反りが起き、シート体24にはこの反りに基づく応力が作用する。こうした応力は、貫通孔30の変形をもたらすと共に、貫通孔周囲箇所にも変形(反り)をもたらす。
本実施例では、それぞれの貫通孔30の周囲にアンカー形状部分Saと干渉しない湾曲凹所38をこのアンカー形状部分Saを取り囲むよう設けたので、上記した応力をこの湾曲凹所38で受けて、湾曲凹所38を変形(開孔側の広狭変形)させる。このため、貫通孔30の変形や貫通孔周囲箇所(詳しくは貫通孔周縁と湾曲凹所38との間の周囲箇所)の変形(反り)を抑制できる。この結果、貫通孔30で硬化済みの接着剤Sには貫通孔変形に基づく力が掛からないようにして、また、貫通孔周囲で硬化済みのアンカー形状部分Saには貫通孔周囲箇所の変形に基づく力が掛からないようにできるので、アンカー形状部分Saを含む接着剤に割れ等が起き難くする。よって、接着剤の欠落を効果的に防止できるので、接着剤Sによる接着固定の対象であるタイルTの剥がれ防止の実効性をより高めることができる。
しかも、本実施例では、貫通孔30の形成箇所に応じて湾曲凹所38の弧状軌跡を変えたので、具体的には、周縁壁部25の側の貫通孔30とそれ以外の貫通孔30とで湾曲凹所38の弧状軌跡を変えたので、それぞれの貫通孔30におけるタイルTの剥がれ防止の実効性を確実に確保できる。
また、本実施例では、湾曲凹所38を区画溝36を挟んで形成したので、この区画溝36が上記したシート体24(樹脂マット20)の反りに応じて屈曲する。よって、この区画溝36の屈曲と相まって、貫通孔30で硬化済みの接着剤Sおよび貫通孔周囲で硬化済みのアンカー形状部分Saには割れ等を起き難くできるので、タイルTの剥がれ防止の実効性をより一層高めることができる。
さらに、本実施例で採用した製造方法によれば、アンカー形状部分Sa自体でタイルTの剥がれ防止機能を果たすようにしたタイルマット10を容易に製造することができると共に、その製造コストの低コスト化を図ることができる。
しかも、接着剤Sの注入・養生時に接着剤Sの温度管理を行うので、アンカー形状部分Saの形状の安定化はもとより、このアンカー形状部分Saによるアンカー効果を確実に発揮できる。
次に変形例について説明する。図6ないし図10は湾曲凹所38の変形例を説明するための説明図である。
図示するように第1の変形例では、湾曲凹所38は、貫通孔30を二重に取り囲むように形成されている。第2の変形例では、区画溝36に沿って直線状に形成されて交差した湾曲凹所38が貫通孔30を取り囲むようにされている。第3の変形例では、円弧状の軌跡に沿って湾曲凹所38を点在させて、貫通孔30を取り囲むようにされている。第4の変形例では、湾曲凹所38は、貫通孔30の全周を取り囲むよう円状に形成されている。第5の変形例では、貫通孔30を取り囲む区画溝36をその谷部分を切り欠く或いは陥没させて湾曲凹所38が形成されている。こうしたいずれの変形例であっても、既述したような効果(アンカー形状部分Saの割れ回避、剥がれ防止等)を奏することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、建材としてタイルTを用いた場合を説明したが、木材、石材、コンクリート材のいずれかの建材を樹脂マット20に接着剤Sで接着固定したものとできる。 例えば、建材としてタイルTを用いた場合を説明したが、木材、石材、コンクリート材のいずれかの建材を樹脂マット20に接着剤Sで接着固定したものとできる。また、建材(実施例にあってはタイルT)の配列も、3X3列に限定されるものではなく、その大きさも種々な態様で実施することができる。例えば、樹脂マット20に300mm方形のタイルを接着する場合にも、本発明を適用できる。
また、湾曲凹所38を樹脂マット20(シート体24)のマット下面26に設けたが、湾曲凹所38をマット面23に設けるようにすることもできる。
また、上記実施例では、接着剤Sのアンカー形状部分Sa自体でアンカー効果を発揮してタイルTの剥がれ防止を図ったが、貯め置いた接着剤を梁状部等で係止する既存の方式にも適用できる。この場合には、接着剤を貯め置くようリング状とされた部材の回りに、これを取り囲む湾曲凹所38を形成すればよい。
実施例に係るタイルマット10を表す概略斜視図である。 タイルマット10が有する樹脂マット20の底面の一部を示す説明図である。 図2における3−3線断面をタイルTを上にして示す説明図である。 樹脂マット20の要部を概略的に示すための斜視図である。 タイルマット10の製造工程を説明するための説明図である。 湾曲凹所38の第1の変形例を説明するための説明図である。 湾曲凹所38の第2の変形例を説明するための説明図である。 湾曲凹所38の第3の変形例を説明するための説明図である。 湾曲凹所38の第4の変形例を説明するための説明図である。 湾曲凹所38の第5の変形例を説明するための説明図である。
符号の説明
10…タイルマット
20…樹脂マット
21…連結腕
22…連結フック
23…マット面
24…シート体
25…周縁壁部
26…マット下面
30…貫通孔
31…脚
33…梁部
34…脚台座
35…穴
36…区画溝
37…窓
38…湾曲凹所
40…製造台車
42…接着剤注入ガン
43…ヒータ
44…ファン
S…接着剤
Sa…アンカー形状部分
T…タイル
Tr…タイル裏面

Claims (1)

  1. 建材を固定するための樹脂マットであって、
    前記建材を前記樹脂マットに接着固定する接着剤を注入するため、前記建材の裏面側のマット上面とこれに対向するマット下面とにかけて形成された貫通孔と、
    前記貫通孔の周囲に形成され、前記貫通孔の変形を来すような応力が前記樹脂マットに掛かかると、前記貫通孔の変形を抑制するよう前記応力を緩和する緩和手段とを備える
    ことを特徴とする樹脂マット。
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