JP2005097802A - パルプ組成物とその構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は酸素吸収性能に優れるパルプ組成物とそのパルプ組成物を用いて形状の自由度が高く、かつ容器中の無酸素状態もしくは低酸素状態が実現でき、ガスバリア性と内面に酸素吸収性能を併せ持つパルプ構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】
パルプに乾式法を選択することにより酸素吸収材および吸湿・吸水材料を混合することを可能にし、脱酸素性能を付与したパルプ組成物と、さらにパルプ組成物の形状を折り目や継ぎ目のないパルプ構造体とし、その外面にガスバリア層を設けることにより、パルプ構造体が脱酸素性能を発揮できるガスバリア構造体である。
【選択図】 図4
【解決手段】
パルプに乾式法を選択することにより酸素吸収材および吸湿・吸水材料を混合することを可能にし、脱酸素性能を付与したパルプ組成物と、さらにパルプ組成物の形状を折り目や継ぎ目のないパルプ構造体とし、その外面にガスバリア層を設けることにより、パルプ構造体が脱酸素性能を発揮できるガスバリア構造体である。
【選択図】 図4
Description
本発明は、ガスバリア性能および容器内部の酸素吸収能を有する、パルプを主体とした組成物とその構造体に関するものである。
従来より、食品包装容器のガスバリア性の不足、または包装袋内の空間部分や食品中に存在する酸素の影響による、食品の酸化劣化、カビの発生、好気性菌発生等を防止するために、ガスバリア性の高い容器や酸素吸収剤が利用されてきた。
また、プラスチックに鉄系脱酸素剤を練り込んだ熱可塑性樹脂フィルムとガスバリアフィルムを貼り合わせてコーヒー類の香りおよび風味と長期間維持可能とする包装方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
さらに、ガスバリアプラスチックフィルムの包装袋に酸素吸収剤を別途収納するなど、プラスチックを主原料にした包装材料により食品の収納・保存を行う手法が用いられてきた。
しかし一般的にプラスチック包装材料は可燃ごみとして捨てられず、廃棄時に嵩張るといった利便性の悪さがある。また近年主原料である石油が枯渇しているという大きな問題にも直面しており、材料面からの見直しが迫られている。
そこで、より環境に配慮した原料としてパルプを主体とする容器が考えられる。パルプ製の容器としては、板紙を折り曲げ、貼り合わせて成型される紙トレーや、パルプスラリーを金型により吸引脱水した後に加熱乾燥して成型する湿式パルプモールドがある。
上記のように環境を考慮して、できる限りプラスチックフイルムの使用量を少なくするためにパルプを主体として、容器の内側及び/又は外側にプラスチックフイルムが積層されている複合容器(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
上記のような包装材料にガスバリア性および脱酸素性能を付与し、容器内を無酸素状態あるいは低酸素状態とするために、紙を貼り合わせて成型される容器に、酸素吸収材を練り込んだフィルムとガスバリアフィルムを貼り合わせる方法が検討されている、しかし、構成が非常に複雑であり、コーティングを多段に行うためにコストが高くなると言う問題がある。
また湿式法によりパルプ自体に酸素吸収剤を混合することは、パルプのスラリー化および抄紙工程における水分の影響により酸素吸収剤が反応するために不可能であった。さらに酸素吸収剤の反応を誘発させるための吸水および吸湿材料の添加もできなかった。
以下に先行技術文献を示す
特開2000−210021号公報
特開2000−296828号公報
本発明は上記した従来の問題点を鑑みてなされたものであり、容器中の無酸素状態もしくは低酸素状態を実現するために、ガスバリア性と内面に酸素吸収性能を併せ持つパルプ組成物とその構造体を提供することを目的とするものである。
本発明は上記の課題を解決するためになされるもので、請求項1に係る発明はパルプ繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂、さらに第3成分として酸素吸収能を有する材料を混合し、乾式積繊法にて積繊した層を一層以上設けた後、熱処理を施すことにより繊維同士および層同士を融着させることを特徴とするパルプ組成物である。
請求項2に係る発明はパルプ繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂、さらに第3成分として酸素吸収能を有する材料を練り込んだ樹脂を混合し、乾式積繊法にて積繊した層を一層以上設けた後、熱処理を施すことにより繊維同士および層同士を融着させることを特徴とするパルプ組成物。
請求項3に係る発明は請求項1または2記載のパルプ組成物において第4成分として吸湿・吸水性材料を混合したことを特徴とする請求項1または2記載のパルプ組成物である。
請求項4に係る発明は請求項3記載の第4成分として混合する吸湿・吸水材料がポリアクリル酸ナトリウム塩繊維(PAA−Na繊維)であることを特徴とする請求項3記載のパルプ組成物である。
請求項5に係る発明は請求項3または4記載の第4成分として混合する吸湿・吸水材料の繊度(繊維の太さ)が2.0〜12.0dtexであることを特徴とする請求項3または4のパルプ組成物である。
請求項6に係る発明は請求項1または2記載の熱融着可能な熱可塑性樹脂が樹脂繊維であり、繊度(繊維の太さ)が0.5〜4.0dtexであることを特徴とする請求項1〜5記載のパルプ組成物である。
請求項7に係る発明は酸素吸収能を有する材料を複合化させたパルプ組成物が、熱処理を行った後熱プレスを行うことにより立体成型加工して、トレー形状、カップ状、どんぶり形状にしたことを特徴とする請求項1〜6記載の構造体である。
請求項8に係る発明は請求項7記載の酸素吸収能を有する材料を複合化させたパルプ組成物から成るトレー、カップ、どんぶりの外面が、酸素バリア性の高い層で被覆されていることを特徴とする請求項7記載の構造体である。
請求項8に係る発明は請求項7記載の酸素吸収能を有する材料を複合化させたパルプ組成物から成るトレー、カップ、どんぶりの外面が、酸素バリア性の高い層で被覆されていることを特徴とする請求項7記載の構造体である。
上記の方式によって、鉄に代表される酸素吸収剤を混合したパルプ組成物、およびその構造体は以下のような効果を示す。
一つには酸素吸収剤の持つ脱酸素性能をパルプ組成物とその構造体においても発現できる。二つめに、酸素吸収剤入りのパルプ組成物とその構造体へPAA−Na繊維のような吸水・吸湿性材料を混合することにより、より迅速に低酸素状態に導くことができる。
上記のような効果を利用して、ガスバリア性の高い酸素吸収剤入りの構造体に食品を保存することにより、食品の酸化劣化を防止して長期保存が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、植物繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂、さらに第3成分として酸素吸収能を有する材料を混合・積層し、加熱処理および熱プレスにより繊維同士および層同士を融着させた組成物と、得られた組成物を熱プレス成型した成型体外面をガスバリア性の高い層で被覆した構造体、およびその組成物と構造体の製造方法に関するものである。
特にパルプモールド成型体とすることにより、折り曲げ部や貼り合わせ部において発生しやすいガスバリア層の欠陥を回避できる。また乾式法を選択することにより、乾燥処理が不要になるだけでなく、製造時における第3成分である酸素吸収剤の水による反応や流出が防止でき、安定した酸素吸収能力を発現することができる。また酸素吸収剤の反応を誘発する成分として吸水・吸湿性材料の混合も可能となる。
本発明のパルプ組成物は乾式法で綿状に解繊したパルプ等の植物繊維にバインダー機能を付与する目的で樹脂繊維を混合し、その後、熱を与えて、まず多少のテンションでは破断しないようなパルプマット等の繊維層を作り、さらに熱プレス等でシートあるいは立体形状を付与するといった製造方法かあるいは主原料のパルプ繊維、およびパルプ繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂の混合組成物を用いて、熱融着性樹脂により固着している繊維層を一層以上設ける製造方法等のほか、シート状あるいは立体形状に製造できる方法であればいずれの方法であっても良く、特に限定するものでない。
上記のパルプ組成物に第3成分として酸素吸収能を有する材料を配することによって、組成物およびその構造体自体にも酸素吸収性能を付与することが可能となる。もちろん熱融着性樹脂自体に酸素吸収材を練り込んだり、ポリエチレン、ポリテレフタル酸エステルやエチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等の樹脂に適宜酸素吸収材を練り込んで混合しやすい形状に成型しても良い。
酸素吸収剤は自力反応型および水分依存型がある。水分依存型の鉄系酸素吸収剤を選択した場合には脱酸素反応に水を必要とする。また空気に触れると反応を開始する自己反応型の場合は有機系酸素吸収剤よりも反応の制御が容易である。また鉄系酸素吸収剤はポリマー系酸素吸収剤よりも酸素吸収能が速く、経済的である。
しかし用いる酸素吸収剤の種類はこれらに限定されるものではなく、パルプ組成物および構造体に要求される脱酸素性能や、他の材料との分散状況、および構造体や包装袋に収納される内容物の水分活性により適宜選択できる。例えば、ブタジエンやエチレンメチルアクリレート共重合ポリマーなどをベースとした有機系または酸素欠陥を有する酸化チタン等の無機系、あるいは自力反応型や水分依存型等でも良い。さらに酸素吸収ポリマー型を選択した場合には、酸素との反応をスムーズにするために、コバルトなどの遷移金属やベンゾフェノンなどの光増感剤等も適宜添加することができる。
また、混合する酸素吸収剤の量は、容器内の空間体積、酸素濃度により適宜選択が可能であり、酸素吸収材料の種類は構造体や包装袋に収納される内容物の水分量や保存期間によって脱酸素に要求される日数が適宜選択される。
また、これらの酸素吸収材料の混合方法としては、繊維層の形状や性質により適宜選択可能である。通常は散布で十分であるが、樹脂に混合・成型した粒子等を繊維層へ混ぜこんだり、接着剤と混合して塗布などの手段をとっても良い。
さらにパルプ組成物へ第4成分として吸水・吸湿材料を添加することにより、酸素吸収材料の反応を促進させることが可能となる。つまり吸水・吸湿材料が組成物へ水分を取り
込みやすくするために、吸水・吸湿材料がない場合よりも低湿度の環境下で酸素吸収能を発現することが可能となる。
込みやすくするために、吸水・吸湿材料がない場合よりも低湿度の環境下で酸素吸収能を発現することが可能となる。
また混合する吸湿・吸水材料の量は、構造体や包装袋に収納される内容物の水分量によって適宜選択される。例えば水分の多い生切り餅、半生麺等は、水分の少ないピーナツ、煮干し、米穀類や医薬品とでは適した吸湿吸水材料の添加量が異なり、構造体や包装袋に収納される内容物に合わせて適宜選択すれば良い。
また、吸水・吸湿材料としては組成物への混合・融着に障害にならない材料であることが望ましく、繊維状の材料、特にポリアクリル酸ナトリウム塩繊維が好ましい。さらに吸水・吸放湿性材料として、吸水性樹脂では、例えばポリアクリル酸塩系樹脂、デンプン−アクリル酸塩グラフト系ポリマー、酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸共重合体、ビニルアルコール系共重合体などを使用することができる。
また、無機系材料としてはA型シリカゲル、B型シリカゲル等がある。また天然材料としてはパルプやコットン等の植物性材料もその一群として上げられるが、架橋度を上げたポリアクリル酸ナトリウム塩以外は繊維形状への加工が難しい。また、相対湿度に対する平衡含水率の挙動もポリアクリル酸ナトリウム塩が最も動的である。さらに混合後に加熱処理工程を経るため、加工温度以上の耐熱性能が必要である。SAP等の吸水性樹脂では70℃前後で性能劣化を起こし、一方ポリアクリル酸ナトリウム塩繊維では150℃の高温にも耐性を有するため、本発明のプロセスには好ましい。
パルプ組成物に混合する熱可塑性樹脂は樹脂繊維であり、パルプ組成物への分散状態やパルプとの接着性を考慮すると、繊度0.5〜4.0dtexであることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、表面が少なくとも熱融着性があることが必要であり、例えば、その内部が非熱可塑性樹脂、つまり植物繊維や化学繊維等で構成されている樹脂繊維であっても、界面活性剤等の添加物を含むものであっても良い。
また、パルプ組成物をさらに熱プレスして立体成型加工することにより、2次元のマット状シートやプレスシートのみならず、トレー形状、カップ状、どんぶり形状等、用途に応じた構造体を適宜選択することが可能である。
酸素吸収材料を複合化させたパルプ組成物による構造体の外面を、酸素バリア性の高い層で被覆し、ガスバリア性部材により密閉することにより、構造体外面からの酸素の侵入が防げる。また、折り目や継ぎ目の無い立体成型体とすることにより、ガスバリア性のプラスチックフィルムを真空成型した場合にコーナー部に発生しやすいピンホールが生じることがない。そのために構造体外部の酸素を遮断し、構造体内部の酸素を効果的に吸収できる。
上記の用途としては、主に食品の悪変を防止するために、酸素吸収材料を複合化させたパルプ組成物をガスバリア包装材料へ封入したり、酸素吸収剤混合構造体をガスバリア部材で密閉することにより、その効果を発現できる。
構造体や包装袋に収納される内容物としては切り餅、生パン粉、どら焼き等の半生菓子等が考えられる。また食品用途以外には、構造体や包装袋に収納される内容物として金属を入れ、金属の酸化により発生するサビも防止することができる。
以下に、本願発明の一実施例を図面に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈製造法〉
押し出し混練機を用いて図1に示すようにポリプロピレンに、酸素吸収剤として平均粒径が10μmの鉄紛を重量換算で30%添加した。混練してできた化合物を2mm程度の粒子に加工し、酸素吸収材Aを得た。
押し出し混練機を用いて図1に示すようにポリプロピレンに、酸素吸収剤として平均粒径が10μmの鉄紛を重量換算で30%添加した。混練してできた化合物を2mm程度の粒子に加工し、酸素吸収材Aを得た。
次に、酸素吸収剤Aと、パルプB、熱融着性樹脂繊維Cおよび吸水・吸湿材料Dをそれぞれ重量比20:65:10:5で混合した。パルプBは針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKPと称する)を解繊しフラフパルプとしたものであり、熱融着性樹脂繊維Cとしては芯鞘構造をもつ樹脂繊維〔芯/鞘=ポリプロピレン(以下PPと称する)/ポリエチレン(以下PEと称する)〕、そして吸水・吸湿材料DとしてはPAA−Na繊維を用いた。その混合物をエアレイド法によってシート化し、熱融着性樹脂繊維の鞘部の融点以上かつ芯部の融点以下(130〜140℃)の温度でオーブンに晒すことによって、材料同士が融着した図2に示すようなパルプマットa1(目付け300g/m2)を作成した。
続けてパルプマットa1を熱プレス成型器により図3に示すように立体成型し、フランジ部を打ち抜くことにより、酸素吸収材料を複合化させたパルプ組成物による構造体a2を得た。構造体の形状は、高さ30mm、天面間口90mm×115mm(角R22.5)、フランジ長さ7mm、テーパー角度15°のトレー形状とした。トレー1個当りの重量は7.3〜8.2gであった。構造体a2の組成を表1に示す。
また、酸素吸収材料を複合化させたパルプ組成物による構造体a2の外面を、ガスバリアフィルムで真空成型した図4に示すような構造体a3を得た。真空成型用フィルムEの構成は未延伸ポリプロピレン(CPP)(140μm)/エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)(16μm)/エチレ ンーメタクリル酸共重合体(EMAA)(40μm)でエチレ ンーメタクリル酸共重合体(EMAA)面にコロナ処理を施した総厚200μmのものを使用した。真空成型後のフィルム厚は、底部で90〜140μm、側壁部で90〜150μm、フランジ部においては190〜200μmであった。完成した構造体a3のフランジ部に蓋材Fをヒートシールして、その酸素透過性について測定を行った。用いた蓋材Fの構成はエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)(12μm)/未延伸ポリプロピレン(CPP)(70μm)のものを使用した。MOCON法による測定の結果、22℃、45%RHの環境下での酸素透過量は0.0198cc/24hrであった。
〈使用例1〉
完成した構造体a3の酸素吸収能を評価した。評価は構造体a3に酸素濃度21%、湿度60%RHの空気を封入して、温度25℃、湿度40%RHの環境下に一昼夜保存した後、酸素濃度計により測定した構造体a3内の酸素濃度の値から、酸素吸収量を算出した。結果を表2に示す。酸素吸収剤と吸水・吸湿材料を混合し、ガスバリアフィルムを真空成型した構造体a3は、構造体内部を21%酸素充満状態から無酸素状態まで、酸素濃度を低下させる能力があることが分かった。
完成した構造体a3の酸素吸収能を評価した。評価は構造体a3に酸素濃度21%、湿度60%RHの空気を封入して、温度25℃、湿度40%RHの環境下に一昼夜保存した後、酸素濃度計により測定した構造体a3内の酸素濃度の値から、酸素吸収量を算出した。結果を表2に示す。酸素吸収剤と吸水・吸湿材料を混合し、ガスバリアフィルムを真空成型した構造体a3は、構造体内部を21%酸素充満状態から無酸素状態まで、酸素濃度を低下させる能力があることが分かった。
〈使用例2〉
酸素吸収剤と、パルプB、熱融着性樹脂繊維Cおよび吸水・吸湿材料Dをそれぞれ重量比20:70:10で混合し、実施例1と同様にシート化・オーブンによる熱処理した後、熱プレス成型して酸素吸収剤を含まない構造体b2とし、続けて真空成型を行い構造体b3を得た。構造体b2の組成を表1に示す。
構造体a3およびb3を用いて、その酸素吸収能を評価した。構造体内の酸素濃度は実施例1
と同様に測定し、構造体に蓋材を密閉した直後、密閉してから1日経過後、および3日経過後で評価した。結果を表2に示す。吸水・吸湿材料を含む構造体と含まない構造体では、酸素吸収の速度、およびその脱酸素量能に差が観られ、吸水・吸湿材料が酸素吸収剤の性能発現を助長することが分かった。
酸素吸収剤と、パルプB、熱融着性樹脂繊維Cおよび吸水・吸湿材料Dをそれぞれ重量比20:70:10で混合し、実施例1と同様にシート化・オーブンによる熱処理した後、熱プレス成型して酸素吸収剤を含まない構造体b2とし、続けて真空成型を行い構造体b3を得た。構造体b2の組成を表1に示す。
構造体a3およびb3を用いて、その酸素吸収能を評価した。構造体内の酸素濃度は実施例1
と同様に測定し、構造体に蓋材を密閉した直後、密閉してから1日経過後、および3日経過後で評価した。結果を表2に示す。吸水・吸湿材料を含む構造体と含まない構造体では、酸素吸収の速度、およびその脱酸素量能に差が観られ、吸水・吸湿材料が酸素吸収剤の性能発現を助長することが分かった。
〈比較使用例〉
パルプおよび熱融着性樹脂繊維をそれぞれ重量比85:10:5で混合し、実施例1と同様にシート化・オーブンによる熱処理した後、熱プレス成型して酸素吸収剤を含まない構造体c2とし、続けて真空成型を行い構造体b3を得た。構造体c2の組成を表1に示す。構造体c3に実施例1で使用した蓋材で密閉シールして、その酸素透過量を測定したところ、0.0199cc/24hrであり、構造体a3とほぼ同レベルの酸素バリア性を有することが分かった。実施例2と同様の方法で構造体c3の酸素吸収能を評価した結果を表3に示す。
パルプおよび熱融着性樹脂繊維をそれぞれ重量比85:10:5で混合し、実施例1と同様にシート化・オーブンによる熱処理した後、熱プレス成型して酸素吸収剤を含まない構造体c2とし、続けて真空成型を行い構造体b3を得た。構造体c2の組成を表1に示す。構造体c3に実施例1で使用した蓋材で密閉シールして、その酸素透過量を測定したところ、0.0199cc/24hrであり、構造体a3とほぼ同レベルの酸素バリア性を有することが分かった。実施例2と同様の方法で構造体c3の酸素吸収能を評価した結果を表3に示す。
ガスバリア性の高い酸素吸収剤入りの構造体に食品を保存することにより、食品の酸化劣化を防止して長期保存が可能になり、質の良い食品が提供できる以外に産業部材あるいは医療機器類等の精密部材の長期品質保持分野等への利用が可能である。
A…酸素吸収材
B…パルプ
C…熱融着性樹脂繊維
D…吸水・吸湿材料
E…真空成型用フィルム
F…蓋材
B…パルプ
C…熱融着性樹脂繊維
D…吸水・吸湿材料
E…真空成型用フィルム
F…蓋材
Claims (8)
- パルプ繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂、さらに第3成分として酸素吸収能を有する材料を混合し、乾式積繊法にて積繊した層を一層以上設けた後、熱処理を施すことにより繊維同士および層同士を融着させることを特徴とするパルプ組成物。
- パルプ繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂、さらに第3成分として酸素吸収能を有する材料を練り込んだ樹脂を混合し、乾式積繊法にて積繊した層を一層以上設けた後、熱処理を施すことにより繊維同士および層同士を融着させることを特徴とするパルプ組成物。
- 前記パルプ組成物に第4成分として吸湿・吸水性材料を混合したことを特徴とする請求項1または2記載のパルプ組成物。
- 前記第4成分として混合した吸湿・吸水材料がポリアクリル酸ナトリウム塩繊維(PAA−Na繊維)であることを特徴とする請求項3記載のパルプ組成物。
- 前記第4成分として混合する吸湿・吸水材料の繊度(繊維の太さ)が2.0〜12.0dtexであることを特徴とする請求項3または4記載のパルプ組成物。
- 前記熱融着可能な熱可塑性樹脂が樹脂繊維であり、繊度(繊維の太さ)が0.5〜4.0dtexであることを特徴とする請求項1〜5記載のパルプ組成物。
- 前記酸素吸収能を有する材料を複合化させたパルプ組成物が、熱処理を行った後熱プレスを行うことにより立体成型加工して、トレー形状、カップ状、どんぶり形状にしたことを特徴とする請求項1〜6記載の構造体。
- 前記酸素吸収能を有する材料を複合化させたパルプ組成物から成るトレー、カップ、どんぶりの外面が、酸素バリア性の高い層で被覆されていることを特徴とする請求項7記載の構造体。
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