JP2005096516A - 交流き電回路用事故点標定装置 - Google Patents

交流き電回路用事故点標定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 中性点電流計測用変流器を設けることなく、トロリ線とレールとの短絡事故やフィーダ線とレールとの短絡事故を検出でき、しかも識別できる交流き電回路用事故点評定装置を提供することである。
【解決手段】 各々のオートトランス14a、14bのトロリ線12側の電流を検出する第1の保護用変流器24a、24b及びフィーダ線13側の電流を検出する第2の保護用変流器25a、25bで検出された電流に基づいてオートトランス14a、14bの吸上線15a、15bに流れる中性点電流をそれぞれ算出し、その中性点電流に基づいて故障点の標定をする。また、第1の保護用変流器24a、24b及び第2の保護用変流器25a、25bで検出された電流値の大小比較により事故回線を判別する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、変電所から交流電力が供給されるトロリ線とフィーダ線との間に設置されたオートトランスの中点とレールとの間を吸上線で接続した交流き電回路の事故点を評定する交流き電回路用事故点評定装置に関する。
電車に交流電力を供給するトロリ線とフィーダ線との間にオートトランスを設置した交流き電回路においては、オートトランスの中点とレールとを吸上線で接続して、交流を直流に変換した際に発生する高調波による電磁誘導障害を軽減するようにしている。
このような交流き電回路においてフィーダ線とレールの間またはトロリ線とレールの間に短絡事故が発生した場合には、すみやかに故障点及び故障内容を標定すると共に故障点を区分して、その故障による他への影響を少なくする必要がある。そのためにも、故障点及び故障内容をより正確に詳しく標定できることが望ましい。
図3は、従来の事故点標定装置11を交流き電回路に適用した場合のシステム構成図である。交流き電回路には、変電所から交流電力が供給されるトロリ線12とフィーダ線13との間に所定の間隔を保って複数個のオートトランス14が設置される。図3では、2個のオートトランス14a、14bの部分を示している。各々のオートトランス14a、14bの中点は吸上線15a、15bにてレール16に接続されている。また、吸上線15a、15bには、吸上線15a、15bを流れる中性点電流を計測する中性点電流計測用変流器17a、17bがそれぞれ設置されており、その検出電流I1at、I2atは事故点評定装置11に入力され、事故点評定装置11ではこれらの検出電流I1at、I2atに基づいて事故点を評定する。このような交流き電回路においては、オートトランス14a、14bがそれぞれ電源の働きをしている。
オートトランス14a、14bの中点間の距離はDであり、オートトランス14aの中点からXの地点で、トロリ線12とレール16との間の事故点Fで短絡事故点が発生したとする。この場合の従来の事故点標定装置11の動作を説明する。図4は、従来の事故点標定装置11のブロック構成図である。
中性点電流計測用変流器17a、17bの検出電流I1at、I2atは事故点評定装置11の入力変換手段18に入力され、入力変換手段18にて予め定められた比で変換されてアナログフィルタでノイズが除去される。そして、サンプリングホールド手段19でサンプリングホールドされ、このサンプリングホールド値はA/D変換手段20によりディジタル値に変換される。ディジタル値に変換されたディジタルデータはデータ格納手段21に記憶される。
データ格納手段21に記憶された検出電流I1at、I2atはオートトランス14a、14bの設置位置と事故点Fまでの距離にほぼ反比例するので、事故点評定手段22では下記の(1)式で中性点電流比Hiを求め、(2)式でオートトランス14aからの距離Xを求める。
Hi=I1at/(I1at+I2at) …(1)
X={(Hi−H1)/(H1−H2)}・D …(2)
図5は、中性点電流比Hiとオートトランス14aからの距離Xとの関係を示すグラフである。図5に示すように、中性点電流比Hiは距離Xに対して線形特性となる。従って、事故点Fまでの距離Xは(2)式で求めることができる。そして、出力処理手段23は、事故点評定手段22で求められた事故点Fまでの距離Xを外部に出力する。
以上の説明では、オートトランス14aの中点からXの地点で、トロリ線12とレール16との間で短絡事故点が発生した場合について説明したが、フィーダ線13とレール16との間の短絡事故点の場合にも同様にして事故点Fが求められる。
この場合、事故点Fでの事故がトロリ線12とレール16との間(T−N間)の短絡事故か、フィーダ線13とレール16との間(F−N間)の短絡事故かの評定を行っていないので、T−N間又はF−N間のいずれの事故かの識別ができない。
そこで、トロリ線とレールとの短絡事故及びフィーダ線とレールとの短絡事故のいずれであるかを、吸上電流の位相差を測定し判別するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開平11−227503号公報
ところが、従来のものでは、吸上線に短絡事故検出のための中性点電流計測用変流器を設け、その中性点電流計測用変流器で検出された電流に基づいて、トロリ線とレールとの短絡事故やフィーダ線とレールとの短絡事故を検出するようにしているのでコストがかかる。
本発明の目的は、中性点電流計測用変流器を設けることなく、トロリ線とレールとの短絡事故やフィーダ線とレールとの短絡事故を検出でき、しかも識別できる交流き電回路用事故点評定装置を提供することである。
請求項1の発明に係わる交流き電回路用事故点評定装置は、変電所から交流電力が供給されるトロリ線とフィーダ線との間に所定の間隔を保って複数個のオートトランスを設置し各々のオートトランスの中点とレールとの間を吸上線で接続した交流き電回路の事故点を評定する交流き電回路用事故点評定装置において、各々のオートトランスのトロリ線側の電流を検出する第1の保護用変流器及び各々のオートトランスのフィーダ線側の電流を検出する第2の保護用変流器で検出された電流に基づいてオートトランスの吸上線に流れる中性点電流をそれぞれ算出する中性点電流算出手段と、前記中性点電流算出手段で算出された中性点電流に基づいて故障点の標定をする事故点標定手段と、前記第1の保護用変流器及び前記第2の保護用変流器で検出された電流値の大小比較により事故回線を判別する事故回線判別手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、オートトランスの保護用変流器からの電流を用いてオートトランスの吸上線に流れる中性点電流をそれぞれ算出し故障点の標定をするので、短絡故障の検出をするための専用の中性点電流計測用変流器を設ける必要がなくコストを低減できる。また、オートトランスのフィーダ線側の電流値とオートトランスのトロリ線側の電流値との大小比較により事故回線を判別できるので、トロリ線とレールとの短絡事故かフィーダ線とレールとの短絡事故かの識別ができる。
交流き電回路のトロリ線とレールとの短絡事故やフィーダ線とレールとの短絡事故を中性点電流計測用変流器を設けることなく検出し識別するという目的を、オートトランスの保護用変流器からの電流を用いてオートトランスの吸上線に流れる中性点電流をそれぞれ算出し、算出した中性点電流に基づいて故障点の標定を行い、オートトランスのフィーダ線側の電流値とオートトランスのトロリ線側の電流値との大小比較により事故回線を判別することで実現した。
図1は本発明の実施例1に係わる事故点評定装置11を交流き電回路に適用した場合のシステム構成図である。この実施例1は図3に示した従来例に対し、事故点標定装置11には、中性点電流計測用変流器17a、17bからの検出電流に代えて、オートトランス14a、14bの第1の保護用変流器24a、24b及び第2の保護用変流器25a、25bで検出された検出電流I1T、I2T、I1F、I2Fが入力されている。図3と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図1において、実施例1の交流き電回路においては、オートトランス14a、14bがそれぞれ電源の働きをしており、オートトランス14a、14bの第1の保護用変流器24a、24bの検出電流I1T、I2T、第2の保護用変流器25a、25bの検出電流I1F、I2Fが事故点標定装置11に入力されている。
いま、オートトランス14a、14bの中点間の距離はDであり、オートトランス14aの中点からXの地点で、トロリ線12とレール16との間の事故点Fで短絡事故点が発生したとする。また、事故点Fで短絡事故が起きた場合のオートトランス14aの吸上線15aに流れる吸上電流をI1A、I1Bとし、オートトランス14bの60kV電流を0.5I1A、オートトランス14aの60kV電流を0.5I1Bとする。なお、図1ではオートトランス14aに着目した電流の流れを示しており、添え字Aは図1の左側から供給される電力による電流であり、添え字Bは図1の右側から供給される電力による電流である。
オートトランス14aの吸上線15aに流れる吸上電流I1A、I1Bは、吸上線15a、オートトランス14a、トロリ線12、故障点F、レール16、吸上線15aを循環する電流である。オートトランス14bの60kV電流0.5I1Aは、左側から供給される電力によるオートトランス14bに流れる電流であり、トロリ線12、オートトランス14b、フィーダ線13を流れる電流である。オートトランス14aの60kV電流0.5I1Bは、右側から供給される電力によるオートトランス14aに流れる電流であり、トロリ線12、オートトランス14a、フィーダ線13を流れる電流である。
従って、オートトランス14aの第1の保護用変流器24aには、吸上電流I1A、I1B及び60kV電流0.5I1Aが同一方向に流れ、60kV電流0.5I1Bが逆方向に流れる。オートトランス14aの第2の保護用変流器25aには、60kV電流0.5I1Aと60kV電流0.5I1Bとが互いに逆方向に流れる。
次に、このオートトランス14aに着目した場合の事故点標定装置11の動作を説明する。図2は、本発明の実施例1の事故点標定装置11のブロック構成図である。オートトランス14aの第1の保護用変流器24aで検出された検出電流I1T及び第2の保護用変流器25aで検出された検出電流I1Fは、事故点評定装置11の入力変換手段18に入力され、入力変換手段18にて予め定められた比で変換されてアナログフィルタでノイズが除去される。
なお、オートトランス14bの第1の保護用変流器24bで検出された検出電流I2T及び第2の保護用変流器25bで検出された検出電流I2Fも、同様に、事故点評定装置11の入力変換手段18に入力されるが、オートトランス14aに着目しているので、オートトランス14bの検出電流I2T及び検出電流I2Fの演算処理については後述する。
入力変換手段18で変換されたオートトランス14aの検出電流I1T及び検出電流I1Fは、サンプリングホールド手段19でサンプリングホールドされ、このサンプリングホールド値はA/D変換手段20によりディジタル値に変換される。ディジタル値に変換されたディジタルデータはデータ格納手段21に記憶される。データ格納手段21に記憶された検出電流I1T、I1Fは、それぞれ下記の(3)式及び(4)式で示される。
I1T=I1A+I1B−0.5I1B+0.5I2A …(3)
I1F=0.5I1B−0.5I2A …(4)
オートトランス14aの吸上線15aに流れる中性点電流I1atは下記の(5)式で示されることから、吸上線15aに流れる中性点電流I1atは、(6)式に示すように、オートトランス14aの第1の保護用変流器24aで検出された検出電流I1Tと第2の保護用変流器25aで検出された検出電流I1Fとの和で求められる。
I1at=I1A+I1B …(5)
I1at=I1T+I1F=I1A+I1B …(6)
同様に、オートトランス14bの吸上線15bに流れる中性点電流I2atも、(7)式に示すように、オートトランス14bの第1の保護用変流器24bで検出された検出電流I2Tと第2の保護用変流器25bで検出された検出電流I2Fとの和で求められる。
I2at=I2T+I2F …(7)
そこで、中性点電流算出手段26では、オートトランス14aの第1の保護用変流器24aで検出された検出電流I1Tと第2の保護用変流器25aで検出された検出電流I1Fとを加算して、オートトランス14aの吸上線15aに流れる中性点電流I1atを求めると共に、オートトランス14bの第1の保護用変流器24bで検出された検出電流I2Tと第2の保護用変流器25bで検出された検出電流I2Fとを加算して、オートトランス14bの吸上線15bに流れる中性点電流I2atを求める。
そして、従来例で述べたように、中性点電流I1at、I2atはオートトランス14a、14bの設置位置と事故点Fまでの距離にほぼ反比例するので、事故点評定手段22にて、(1)式により中性点電流比Hiを求め、(2)式でオートトランス14aからの距離Xを求め事故点Fを評定する。
一方、事故回線判別手段27では以下条件により、トロリ線12とレール16との間(T−N間)の短絡事故か、フィーダ線13とレール16との間(F−N間)の短絡事故かの判別を行う。
T−N間事故=|I1T|>|I1F|
F−N間事故=|I1T|<|I1F|
すなわち、オートトランス14aの第1の保護用変流器24aで検出された検出電流I1Tの値が第2の保護用変流器25aで検出された検出電流I1Fの値より大きいときは、トロリ線12とレール16とに短絡事故が発生していると判断でき、同様に、オートトランス14aの第2の保護用変流器25aで検出された検出電流I1Fの値が第1の保護用変流器24aで検出された検出電流I1Tの値より大きいときは、フィーダ線13とレール16とに短絡事故が発生していると判断できる。従って、事故回線の識別も評定できる。そして、出力処理手段23は、事故点評定手段22で求められた事故点Fまでの距離Xを外部に出力する。
本発明の実施例1に係わる事故点評定装置を交流き電回路に適用した場合のシステム構成図。 本発明の実施例1の事故点標定装置のブロック構成図。 従来の事故点標定装置を交流き電回路に適用した場合のシステム構成図。 従来の事故点標定装置のブロック構成図。 吸上線を流れる中性点電流比Hiとオートトランス14aからの距離Xとの関係を示すグラフ。
符号の説明
11…事故点標定装置、12…トロリ線、13…フィーダ線、14…オートトランス、15…吸上線、16…レール、17…中性点電流計測用変流器、18…入力変換手段、19…サンプリングホールド手段、20…A/D変換手段、21…データ格納手段、22…事故点評定手段、23…出力処理手段、24…第1の保護用変流器、25…第2の保護用変流器、26…中性点電流算出手段、27…事故回線判別手段

Claims (1)

  1. 変電所から交流電力が供給されるトロリ線とフィーダ線との間に所定の間隔を保って複数個のオートトランスを設置し各々のオートトランスの中点とレールとの間を吸上線で接続した交流き電回路の事故点を評定する交流き電回路用事故点評定装置において、各々のオートトランスのトロリ線側の電流を検出する第1の保護用変流器及び各々のオートトランスのフィーダ線側の電流を検出する第2の保護用変流器で検出された電流に基づいてオートトランスの吸上線に流れる中性点電流をそれぞれ算出する中性点電流算出手段と、前記中性点電流算出手段で算出された中性点電流に基づいて故障点の標定をする事故点標定手段と、前記第1の保護用変流器及び前記第2の保護用変流器で検出された電流値の大小比較により事故回線を判別する事故回線判別手段とを備えたことを特徴とする交流き電回路用事故点評定装置。
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