JP2005096284A - 画像記録媒体用支持体及び画像記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録面の正反射率が高く、輝き感及び奥行き感を有して鮮鋭で鮮やかな写真ライク高画質画像の形成を可能とすると共に、画像未形成の地肌耐光性を向上させ得る画像記録媒体用支持体を提供する。
【解決手段】 基材上に、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを含む層を設けて構成されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、画像記録媒体用支持体及びこれを用いた画像記録媒体に関し、詳しくは、例えば水性もしくは油性インク等の液状インクや常温固体であって溶融液状化させて記録に供する固体状インク等、転写記録に共する着色組成物、有色トナーなどを用いて、写真ライク高画質画像を形成するのに好適な画像記録媒体用支持体及びこれを用いた画像記録媒体に関する。
近年、情報産業の急速な発展に伴ない、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法及び装置も開発されて、各々実用化されている。
実用化されている記録方法として、銀塩写真法以外に電子写真法、インクジェット記録方法、感熱記録方法、昇華転写法、熱転写法などが挙げられる。そして、画像が鮮鋭で色合いの鮮やかな高画質画像が得られることが要求されるのは上記いずれの記録方法においても同様である。
上記記録方法のうち、例えばインクジェット記録方法は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられるようになっている。そして近年では、インクジェットプリンタの高解像度化やハード(装置)の発展に伴ない、インクジェット記録用の媒体も各種開発され、近年ではいわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきた。
インクジェット記録用の媒体の場合、特に要求される特性として一般に、(1)速乾性があること(インク吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(クスミのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐ガス性、耐水性が良好なこと、(8)記録面の白色度が高いこと、(9)記録媒体の保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形し難く寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
具体的な例として、微細な無機顔料粒子と水溶性樹脂とを含有し、高い空隙率を有する多孔性の色材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用シートがある(例えば、特許文献1〜2参照)。これらシート、特に無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる色材受容層が設けられたインクジェット記録用シートは、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有すると共にさらに高光沢をも示すとされている。
光沢感が付与されると写真ライクな画像が得られることから、近年では更なる高光沢化が求められる状況にある。高光沢性に構成された例としては、基材の表面にパール顔料などの特殊視覚効果を発生する原料を含有するインキを塗布して特殊視覚効果層を形成し、その上にインクジェットインクに対する受理性を有する樹脂を塗布して色材受容層を形成したインクジェット記録用シートが記載されたものがある(例えば、特許文献3参照)。しかし、この構成では、高い空隙率を有する多孔性の色材受容層が得られず、インク受容性(速乾性)や解像度が不充分であるとの問題があった。
また、画像品質の向上には、光沢感のみならず、奥行き感のある立体的表現や輝き感のある鮮やかさ、鮮鋭でくっきり感が表出される写真ライク感が求められる。
一方、パール顔料などの光沢顔料を用いる場合、一般にパール顔料などは比重が高いため、例えば分散させて塗布液状にして用いようとすると沈降を起こし易く塗布等を均一に行なえない、塗布面状が悪い等の課題があり、結果的に光沢感が低く、形成された画像の奥行き感や輝き感、鮮鋭でくっきりとした鮮やかさを充分に表出し得る性能を確保するに至っていなかったのが現状である。
かかる現状に対応して、光沢顔料と共に脂肪酸アミドや酸化ポリエチレンを用いる技術が開示されているが(例えば、特許文献4参照)、この技術によってもなお調製液中での顔料沈降性を抑止するには不充分であり、画像品質の点でも満足される性能を具備することは困難である。
特開平10−119423号公報 特開平10−217601号公報 特開2001−293943号公報 特開2001−174989号公報
以上のように、例えばパール顔料等の比重の高い顔料を含む液を塗布等する場合でも顔料の液中沈降をより効果的に回避し、良好な面状とし、従来にない光沢感や奥行き感、輝き感を発揮して鮮鋭で鮮やかな写真ライク画像が得られる技術は未だ確立されるまでには至っていない。
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、記録面の正反射率が高く、輝き感及び奥行き感を有して鮮鋭で鮮やかな写真ライク高画質画像の形成を可能とすると共に、画像未形成の地肌耐光性を向上させ得る画像記録媒体用支持体及び該画像記録媒体用支持体を用いた画像記録媒体を提供することを目的とし、該目的を達成することを本発明の課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基材及び、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを含む層を有することを特徴とする画像記録媒体用支持体である。
<2> 前記真珠光沢顔料が、平均粒子厚が0.2〜0.7でかつ粒子径が5〜60μmである、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク、及びオキシ塩化ビスマスの少なくとも一種である前記<1>に記載の画像記録媒体用支持体である。
<3> 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の少なくとも一種である前記<1>又は<2>に記載の画像記録媒体用支持体である。
<4> 前記親水性合成スメクタイトの質量(x1)と前記真珠光沢顔料の質量(y1)との質量比率(x1/y1)が0.1以上5以下である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の画像記録媒体用支持体である。
<5> 前記真珠光沢顔料の質量(x2)と前記水溶性高分子の質量(y2)との質量比率(x2/y2)が0.1以上10以下である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の画像記録媒体用支持体である。
<6> 前記基材が、紙基材の両面に樹脂層を有する樹脂被覆紙である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の画像記録媒体用支持体である。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれかに記載の画像記録媒体用支持体と画像記録層とを有することを特徴とする画像記録媒体である。
<8> 前記画像記録層がインク受容層であり、前記インク受容層が、水溶性樹脂と該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤と微粒子と媒染剤とを含む前記<7>に記載の画像記録媒体(インクジェット記録媒体)である。
<9> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類より選択される少なくとも一種であり、かつ前記微粒子がシリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトから選択される少なくとも一種である前記<8>に記載の画像記録媒体(インクジェット記録媒体)である。
<10> 前記インク受容層が、少なくとも微粒子と水溶性樹脂とを含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行なわれる前記<8>又は<9>に記載の画像記録媒体(インクジェット記録媒体)である。
本発明によれば、記録面の正反射率が高く、輝き感及び奥行き感を有して鮮鋭で鮮やかな写真ライク高画質画像の形成を可能とすると共に、画像未形成の地肌耐光性を向上させ得る画像記録媒体用支持体及び該画像記録媒体用支持体を用いた画像記録媒体を提供することができる。
本発明においては、画像記録層が設けられる支持体を、基材と該基材上に設けられる真珠光沢顔料含有の層とで構成しようとする場合に、真珠光沢顔料含有の層の構成成分に更に親水性合成スメクタイトを用いることを特徴とするものである。以下、本発明の画像記録媒体用支持体及びこれを用いた画像記録媒体について詳細に説明する。
<画像記録媒体用支持体>
本発明の画像記録媒体用支持体は、基材及び、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを含む層(以下、「下塗り層」ともいう。)で構成したものである。すなわち、所望の基材上に少なくとも一層の下塗り層を設けて構成され、後述のように基材の上に設けられた下塗り層上に更に画像記録層を形成できるようになっている。
[下塗り層]
本発明に係る下塗り層は、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを少なくとも含んでなり、必要に応じて更に他の成分を含み、例えば、これらの成分を用いて調製された調製液(例えば塗布液)を塗布等することにより樹脂被覆紙の樹脂層の上に(場合により他の層を介して)設けることができる。本発明においては、真珠光沢顔料に対して特に親水性合成スメクタイトを併用する構成とすることによって調製液中での真珠光沢顔料の沈降を効果的に抑止でき、その分散安定性を保持し得ると共に、塗布等による場合の面状を良好にすることができる。その結果、画像記録層からみて支持体側、すなわち画像記録層の下層側からの正反射率が高められ、光沢感やくっきり感が向上し、輝き感及び奥行き感のある鮮鋭で鮮やかな写真ライクの高画質画像を形成することができる。
−親水性合成スメクタイト−
本発明に係る下塗り層は、親水性合成スメクタイトの少なくとも一種を後述の真珠光沢顔料と共に含有する。
親水性合成スメクタイトは、水に分散する親水性、膨潤性を有すると共に透明性でかつチクソトロピー性の高い、膨潤性層状粘土鉱物と称される合成スメクタイトであり、特にケイ酸とマグネシウム塩の均質混合液にアルカリ溶液を反応させてケイ素・マグネシウム複合体を合成し、副生した電解質を除去した後、このケイ素・マグネシウム複合体にリチウムイオンと必要に応じてナトリウムイオン及び/又はフッ素イオンとを添加して100〜350℃で水熱反応させ、その後乾燥させて得られる、ヘクトライト型粘土鉱物に類似した下記式で表される構造を有する合成スメクタイトが好ましい。
c Mgd Lie Sifg (OH及び/又はF)h
前記式中、Xは層間イオンであり、Li+及び/又はNa+を表す。cは0.1〜1.0を、dは2.4〜2.9を、eは0.1〜0.6を、fは3.5〜4.5を、gは9.5〜10.5を、hは1.5〜2.5を、各々表す。
この親水性合成スメクタイトとしては、例えば、コープケミカル(株)製の合成スメクタイト ルーセンタイトSWN、同SWFなどを好適に挙げることができる。
本発明においては、特に上記の親水性の合成スメクタイトを用いることにより、分散状態の真珠光沢顔料の沈降防止能が高められ、そのチクソトロピー性により例えば塗布等の際に流動性を発して塗布等を良好に行ない得ると共に塗布後に固定化されて真珠光沢顔料の分散を均一に保持し、下塗り層の形成過程における真珠光沢顔料の沈降に伴なう面状不良を回避することができる。そのため、画像記録層の下層に位置する下塗り層の正反射率がより効果的に向上し、画像記録層に形成された画像の品質、すなわち輝き感及び奥行き感があって、かつ鮮鋭で鮮やかな写真ライクな品質を具備した高画質画像を形成することができる。また、透明性であるため、分散質である真珠光沢顔料の反射特性を損なうこともない。
前記親水性合成スメクタイトの下塗り層中における含有量(x1)は、後述の真珠光沢顔料の質量(y1)に対する質量比率(x1/y1)として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。該含有量を特に上記範囲とすることによって、過度の粘度上昇を伴なうことなく、真珠光沢顔料の液中での沈降現象を効果的に防止することができる。
−真珠光沢顔料−
本発明に係る下塗り層は、真珠光沢顔料の少なくとも一種を含有する。真珠光沢顔料には、シルバーホワイトタイプ真珠光沢顔料と干渉色タイプ真珠光沢顔料が含まれる。また、他の公知の層状無機化合物を併用することもできる。
真珠光沢顔料とは、光の反射・干渉現象を利用して真珠のような輝きを付与できる顔料をいい、薄片状基質表面に屈折率の高い透明性又は半透明性の金属酸化物を被覆せしめることによって、その表面及び被覆界面双方からの多重層反射や反射光の相互干渉作用により、銀色や干渉色を発色させることを原理としているものである。
また、前記シルバーホワイトタイプ真珠光沢顔料とは、真珠光沢顔料のうち銀色を発現する顔料を意味し、前記干渉色タイプ真珠光沢顔料とは、真珠光沢顔料のうち干渉色(虹彩色)を発現する顔料を意味する。また、干渉色とは、例えば屈折率の高い薄膜に光が入射した場合、膜の入射側の面の境界と、その裏側の面の境界との両方で反射・屈折が起こり、一定条件で膜の入射面で反射した光と、裏側の面で反射した光とが互いに強め合ったり弱め合ったりして光が干渉する時に発色する色を意味する。
上記のシルバーホワイトタイプ真珠光沢顔料を含有することにより、画像記録層の下からの正反射率を高くし、画像に輝き感、奥行き感を与えることができ、干渉色タイプ真珠光沢顔料を含有することにより、特定波長の全反射率を高くし、白地部に黒ずみをなくし、さらに特徴ある白色性、奥行き感を付与することができ、いずれの場合においても画像のくっきり感、鮮鋭度をより向上させることができる。
なお、本明細書中において正反射率とは、全反射率から拡散反射率を差し引いたものである。
前記真珠光沢顔料としては種々あるが、樹脂被覆層の樹脂層に悪影響がないものであれば、特に制限なく用いることができる。真珠光沢顔料の具体例としては、魚類の鱗から抽出したグアニンの結晶、オキシ塩化ビスマスや、天然雲母又は酸化アルミナフレークにアナターゼ型二酸化チタンやルチル型二酸化チタンをコーティングした二酸化チタン被覆雲母又は二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク等がある。本発明では、これらのうち、価格や耐光性、安定性等の観点から、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク又はオキシ塩化ビスマスを好ましく用いることができる。
特に、シルバーホワイトタイプ真珠光沢顔料では、上記二酸化チタンのコーティング膜厚が、光学的厚さ(幾何学的厚さ×屈折率)で一定以上となると入射する可視光線の波長のいずれかはこの膜厚によって干渉し、その結果干渉色を発色するが、前記光学的厚さを比較的薄くする(200nm以下)とすることにより、反射色が銀色で見る角度によっても色が変化しない、シルバーホワイトタイプ真珠光沢顔料とすることができる。
また、干渉色タイプ真珠光沢顔料では、上記二酸化チタンのコーティング膜厚が、光学的厚さ(幾何学的厚さ×屈折率)で200nm以上となると入射する可視光線の波長のいずれかはこの薄膜によって干渉し、その結果干渉色を発色する。この干渉色(反射色)の色は、前記二酸化チタン微粒子の膜厚の増加とともに金色、赤色、紫色、青色、緑色と変化するが、本発明においては、反射色が金色(透過色では紫色)、又は青色(透過色では橙色)となる厚みに二酸化チタン微粒子が被覆された干渉色タイプ真珠光沢顔料が、後述する画像記録媒体(特にインクジェット記録媒体)の記録面の白さ、輝き感を発現させるために好ましく用いられる。例えば、平板状基材の表面に金色の反射色となる厚みに二酸化チタン微粒子が被覆された干渉色タイプ真珠光沢顔料を用いた場合には、440nm付近の全反射率が高くなることで、白地部に黒ずみがなく特徴ある白色性を付与することができる。また、平板状基材の表面に青色の反射色となる厚みに二酸化チタン微粒子が被覆された干渉色タイプ真珠光沢顔料を用いた場合には、600nm付近の全反射率が高くなることで、青みを強調し白地部に黒ずみがなく特徴ある白色性を付与することができる。前記平板状基材には、厚みが薄く且つ均一で整った、そしてアスペクト比の大きなものでそれ自体が極力無色透明で高温耐熱性があって、かつ薄片状態で機械的強度が高いなどの特性を有するものが望まれる。具体例として、天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウムフレーク、酸化ケイ素フレーク、ガラスフレーク等が挙げられる。
真珠光沢顔料としては、西独のE.Merck社から登録商品名「Iriodin」として販売されており、粒子サイズ、二酸化チタンの被覆率等を変化させた種々のものがあり、シルバータイプ、虹彩色タイプ、着色タイプ等として売られているが、本発明には、上記のようにシルバー(銀色)タイプのもの、虹彩色(干渉色)タイプのものを好適に用いることができる。なお、真珠光沢顔料の製造法は、例えば特開昭62−91565号公報、特開平9−77512号公報等に記載されている。
本発明における真珠光沢顔料の平均粒子厚は、0.2〜0.9μmの範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.7μmであり、平均粒径(平面サイズ)は3〜150μmの範囲であるのが好ましく、5〜60μmの範囲であるのがより好ましい。
特にフレーク(平板)状の雲母に二酸化チタン微粒子を被覆した前記真珠光沢顔料では、主な粒子径が5〜30μmの範囲であることが最も好ましい。前記粒子径が、5μmに満たないと上層として積層される画像記録層表面の輝き感が得られなくなる場合があり、粒子径が30μmを超えると画像記録層の表面にぎらつき感が出てしまう場合がある。ここで、上記主な粒子径とは、全体の90質量%以上の粒子がこの範囲内に存在することを意味し、希薄水分散液に調整し、粒度分布測定機LA910(ホリバ社製)を用いて測定することができる。
さらに、拡散反射制御のためには、厚さは薄ければ薄いほど良く、平面サイズは塗布面の平滑性及び透明性を損なわない範囲で大きいほど良い。平面サイズが3μmよりも小さいと、シャープネスとブライトネスの向上効果が小さく、一方、平面サイズが150μmよりも大きいと真珠光沢顔料が含有される樹脂/高分子層の平滑性が劣ることがある。また、真珠光沢顔料のアスペクト比は6以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。
前記公知の層状無機化合物を併用してもよく、該層状無機化合物の具体例としては、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。これらの膨潤性層状無機化合物は10〜15オングストロームの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はその傾向が強く、特に水膨潤性雲母が好ましい。
水膨潤性雲母としては、NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si410)F2Na、Liテニオライト(NaLi)Mg2(Si410)F2Na、又はLiヘクトライト(NaLi)1/3Mg2/3Li1/3(Si410)F2等が挙げられる。
前記真珠光沢顔料の下塗り層中における含有量は、15〜500質量%が好ましく、60〜300質量%がより好ましい。該含有量を特に上記範囲とすることによって、顔料としての効果を充分に発揮し得、しかも分散性が不充分となったりあるいは粉落ちが発生(樹脂量に対して顔料が多くなり顔料の保持力が低下する)する等、製造上の安定性を損なうこともない。
また、前記真珠光沢顔料と公知の層状無機化合物とを併用する場合の、真珠光沢顔料の質量Aと層状無機化合物の質量Bとの質量比A/Bは10〜100の範囲が好ましい。
−水溶性高分子−
本発明に係る下塗り層は、水溶性高分子の少なくとも一種を含有する。水溶性高分子としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等〕、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。また、水溶性高分子は単独で用いるほか、二種以上を併用することもできる。
上記の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂又はポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
前記ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載のものが挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
下塗り層中において、上記の真珠光沢顔料の質量(x2)と水溶性高分子の質量(y2)との質量比率(x2/y2)としては、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましく、2.0〜4.0が特に好ましい。該質量比率を特に上記範囲とすることによって、下塗り層の粉落ちがなく、かつ白色度の低下が小さく正反射率の低下もほとんどなく、正反射率を効果的に向上させることができる。
また、上記の真珠光沢顔料の塗布量は、酸素透過抑制及び白色性付与の点で、0.5g/m2以上であるのが好ましく、前記水溶性高分子の塗布量及び水溶性高分子との質量比率から導きだせるものが好ましい。
また、下塗り層には更に白色顔料を添加してもよい。白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン等が挙げられる。これらは単独もしくは混合して用いることができる。これらのうち、特に二酸化チタンと酸化亜鉛が、白色度、分散性及び安定性の観点から好ましい。下塗り層への白色顔料の充填量は、白色顔料の種類や樹脂の種類や樹脂層の厚みによって異なるが、通常1〜10質量%の範囲になるように選ばれる。
さらに、下塗り層には蛍光増白剤、酸化防止剤、ブルーイング剤等の公知の添加剤を添加することも可能である。二酸化チタン、蛍光増白剤、ブルーイング剤としては、特開平9−204001号公報に記載のものが挙げられる。
基材(好ましくは樹脂被覆紙)上への下塗り層の形成は、例えば、真珠光沢顔料及び水溶性高分子、並びに必要により白色顔料等の他の成分を溶解又は分散してなる塗布液を、ブレード塗布法、スプレー塗布法等の公知の塗布法により基材(好ましくは樹脂被覆紙の樹脂層表面)に塗布し、乾燥させることによって好適に形成することができる。なお、塗布液の固形分濃度は、均一な膜を形成する等の観点から、5〜25質量%の範囲であることが好ましい。
下塗り層の層厚は、0.2〜5.0μmが好ましく、0.5〜3.0μmがより好ましい。該層厚を特に上記範囲内とすることによって、少量の真珠光沢顔料の添加でも効率よく高い輝き感、奥行き感を得ることができる。
[基材]
本発明の画像記録媒体用支持体は、基材を用いて構成される。基材としては、例えば、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料で構成される不透明支持体のいずれもを挙げることができる。中でも本発明においては、紙基材の両面に樹脂層を有する樹脂被覆紙で構成された形態が好ましい。
この樹脂被覆紙を構成する紙基材としては、通常の天然パルプを主成分とする天然パルプ紙、天然パルプと合成繊維とから成る混抄紙、合成繊維を主成分とする合成繊維紙、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの合成樹脂フィルムを擬紙化した、いわゆる合成紙のいずれでもよいが、天然パルプ紙(以下、単に「原紙」という)が特に好ましく用いられる。原紙は、中性紙(pH5〜9)でも酸性紙でもよいが、中性紙が好ましい。
原紙は、針葉樹、広葉樹等から選ばれる天然パルプを主原料に、必要に応じ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子等の填料、ロジン、アルキルケテンダイマー、高級脂肪酸、エポキシ化脂肪酸アミド、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸等のサイズ剤、でんぷん、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、硫酸バンド、カチオン性ポリマー等の定着剤等を添加したものを用いることができる。また、界面活性剤等の柔軟剤を添加してもよい。さらに、前記天然パルプに代えて合成パルプを使用した合成紙を使用してもよく、天然パルプと合成パルプとを任意の比率に混合したものを使用してもよい。中でも、短繊維で平滑性が高くなる広葉樹パルプを用いるのが好ましい。使用するパルプ材の水度は、200〜500ml(C.S.F)の範囲であることが好ましく、300〜400mlの範囲であることがより好ましい。
紙基材は、サイズ剤、柔軟化剤、紙力剤、定着剤等の他の成分を含有していてもよい。前記サイズ剤としては、ロジン、パラフインワックス、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、脂肪酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合物、アルキルケテンダイマー、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられ、前記柔軟化剤としては、無水マレイン酸共重合物とポリアルキレンポリアミンとの反応物、高級脂肪酸の4級アンモニウム塩等が挙げられ、前記紙力剤としては、ポリアクリルアミド、スターチ、ポリビニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ゼラチン等が挙げられ、また、前記定着剤としては、硫酸バンド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が挙げられる。その他、染料、螢光染料、帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。
樹脂層で紙基材を被覆する場合には、紙基材にコロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理を施すことが好ましい。
また、樹脂層を構成する樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線照射により硬化しうる不飽和有機化合物の電子線硬化物を含むことが好ましい。上記樹脂層は単層でも多層でもよい。また、多層の場合には、ポリオレフィンを含む層の組合せ、電子線硬化物を含む層の組合せ、ポリオレフィン樹脂を含む層と電子線硬化物を含む層との組合せ等が適用できるが、ポリオレフィン樹脂を含む層と電子線硬化物を含む層とから構成される積層体であることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂の中ではポリエチレンが特に好ましいが、ポリエステルも有効である。ポリエステルとしては2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルや、NDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステルや、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。
紙基材表面に樹脂層を有する支持体として、原紙(紙基材)の両面をポリオレフィンでラミネートしてなる樹脂被覆紙が好適に挙げられる。原紙の両面をポリオレフィンラミネートしてなる支持体を用いると、優れた耐水性、平面性が得られ、特に塗液中の水分が支持体に染み込まず乾燥後の戻りも起こらないため、高い平面性を有する塗工層が得られる。ここでのポリオレフィンとしてポリエチレンが好適である。
前記電子線により硬化しうる不飽和有機化合物としては、(1)脂肪族、脂環族、及び芳香族の1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールのアクリレート化合物類、(2)脂肪族、脂環族、及び芳香族の1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させたもののアクリレート化合物類、(3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類、(4)カルボン酸と、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物、(5)イソシアネートと、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物、(6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物、(7)エポキシ化合物と、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物等が挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレンエピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、カプロラクタム変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタジエンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及びネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート等を用いることができる。本発明においては、これらの化合物を単独で、或いはその2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂被覆紙を構成する樹脂層が例えばポリオレフィン樹脂を含む層である場合は、ポリオレフィン樹脂を必要に応じて分散助剤、白色顔料等と共に2本ロール、3本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、連続混練機等の混練機で樹脂中に練りこみ、ペレットを形成し、このペレットを、必要に応じてポリオレフィン樹脂で希釈し、溶融し、紙基材表面に、通常ラミネート法、逐次ラミネート法、又はフィートブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプ等の単層あるいは多層押出用ダイによるラミネート法のいずれかの方法により積層することで好適に形成できる。ダイの形状は特に制限されるものではないが、一般にTダイ、コートハンガーダイ等が好ましく用いられる。
ラミネート法としては、例えば、加工技術研究会編「新ラミネート加工便覧」に記載されたような公知の方法から適宜選択して採用することができ、いわゆるドライラミネーション、無溶剤型ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション等の方法を採用することができる。例えば、ドライラミネーションによって上記ポリオレフィン樹脂を含む層を形成する場合は、ポリオレフィン樹脂フィルムの片面に、接着剤を塗布して、所望により乾燥し、原紙の表面に熱圧着することによって形成することができる。上記接着剤としては、溶剤型のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、原紙の表面、及び/又は、裏面にコロナ放電処理を施し、ポリオレフィン樹脂を含む層との密着性を向上させてもよい。
なお、紙基材と樹脂層の密着力を改良するために、ロジン誘導体樹脂、テルペン樹脂(例えば、高分子β−ピネン)、クマロン・インデン樹脂及び石油系炭化水素樹脂等の中から適宜選択できる粘着付与剤樹脂をポリオレフィン樹脂に配合することができる。これらは単独で用いても2種以上を混合していてもよい。
前記石油系炭化水素樹脂の具体例としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水添系石油樹脂及び脂環族系石油樹脂等が挙げられる。脂肪族系石油樹脂は、特に炭素原子数5のものが好ましく、芳香族系石油樹脂は、特に炭素原子数9のものが好ましい。このような粘着付与剤樹脂の配合量はポリオレフィンに対し、0.5〜60質量%の範囲であることが好ましく、10〜35質量%の範囲であることがより好ましい。粘着付与剤樹脂の配合量が、0.5質量%未満となると接着不良となることがあり、60重量%を超えると製造時に塗布幅方向の厚みムラが生じ、特に支持体の端部が厚くなり、製造時の効率に悪い影響を及ぼすことがある。また、ポリオレフィンと熱融着可能な接着性樹脂をポリオレフィン中に配合してもよい。このような接着性樹脂としては、例えば、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体並びにこれらの金属塩等が挙げられる。この接着性樹脂の配合量は、ポリオレフィンに対して20〜500質量%の範囲であることが好ましく、50〜200質量%の範囲であることがより好ましい。なお、前記粘着付与剤樹脂と接着性樹脂とを併用してもよい。
電子線で硬化しうる不飽和有機化合物の電子線硬化物を含む層の場合には、電子線硬化性不飽和有機化合物を紙基材表面に塗布する。
電子線で硬化し得る不飽和有機化合物の組成物の塗布方法としては、例えばバーコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法及びトランスファーコート法等のいずれを用いてもよい。さらにこのために、ファウンテンコーターあるいはスリットダイコーター方式を用いることもできる。特に金属製ドラムの表面を成型面として使用する場合には、成型面表面に傷を付けないために、ゴムロールを使用するロールコート法あるいはオフセットグラビアコート法が用いられ、さらには非接触タイプのファウンテンコーターやスリットダイコーター法が有利に用いられる。
上記の樹脂被覆紙の一方の面には必要に応じバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
本発明の画像記録媒体用支持体の好ましい実施態様、用途としては、特に制限はなく、輝き感、奥行き感、クッキリ感、鮮鋭性の高い高画質な画像が要求される各種用途に好適に用いることができ、具体的に後述するインクジェット記録媒体をはじめそのほか、熱転写受像記録媒体、昇華転写受像記録媒体、電子写真受像記録媒体、感熱発色記録媒体、銀塩写真感光媒体、印刷用紙などの支持材料として好適である。
<画像記録媒体>
本発明の画像記録媒体は、既述した本発明の画像記録媒体用支持体と、該画像記録媒体用支持体の上に設けられた画像記録層とで構成したものである。前記画像記録層は、画像記録媒体用支持体を構成する下塗り層の上に直接あるいは他の層を介して少なくとも一層設けることができる。
本発明の画像記録媒体には、インクジェット記録媒体、電子写真用受像材料、感熱発色記録材料、昇華転写受像材料、熱転写受像材料、銀塩写真感光材料などの各種記録媒体が含まれる。
以下、本発明の画像記録媒体についてインクジェット記録媒体を一例に詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体は、既述した本発明の画像記録媒体用支持体と、少なくとも一層のインク受容層(画像記録層)とで構成され、基材(好ましくは紙基材の両面に樹脂層が設けられた樹脂被覆紙)とインク受容層との間に、少なくとも一層の、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性樹脂とを含む層(下塗り層)を設けて構成されている。基材が樹脂被覆紙で構成されるときには、該樹脂被覆紙を構成する少なくとも一方の樹脂層とインク受容層との間に少なくとも一層の下塗り層を設けて構成される。また必要に応じ、更に他の層を有するように構成することができる。
[インク受容層]
本発明のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層は、水溶性樹脂と該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤と微粒子と媒染剤とを少なくとも含有して構成することができ、必要に応じ更に媒染剤や界面活性剤等の他の成分を含有することができる。
インク受容層は、微粒子を含有することにより多孔質構造に構成され、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造とすることが可能となり、インク吸収性をより向上させることができる。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量は、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
上記の多孔質構造のインク受容層とは、空隙率が50〜75%、好ましくは60〜70%である層をいう。前記空隙率が、50%以下であるとインク吸収性が不充分となることがあり、75%以上であるとバインダー不足による粉落ちの問題を生ずることがある。また、インクジェット記録媒体の品質上、インク受容層の層厚は20〜40μmであることが、60°光沢度は30〜70%であることが好ましい。
−微粒子−
微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子のいずれをも用いることができる。前記有機微粒子の好ましいものとして、例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
また、無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。
これらの中でも、インク吸収性及び画像安定性の点から無機微粒子が好ましく、さらに良好な多孔質構造を形成する点から、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、又は擬ベーマイトが好ましい。
このうち、シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明におけるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
前記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行なえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
前記気相法シリカの平均一次粒子径としては、50nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が50nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
前記無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。このうち、アルミナ水和物は、インクをよく吸収し定着すること等から好ましく、特に擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜25nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、細孔半径及び細孔容積は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)を用いて測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では、気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナ微粒子の平均一次粒子径は50nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。また更に、平均一次粒径が50nm以下のコロイダルシリカも好ましいものとして挙げられる。
上述の微粒子は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等の公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
−水溶性樹脂−
前記インク受容層に用いられる水溶性樹脂としては、例えば、上記の下塗り層を構成する水溶性高分子と同様の化合物を用いることができる。中でも特に、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類からなる群より少なくとも一種を選択して用いるのが好ましい。
前記水溶性樹脂のインク受容層中における含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。なお、これら水溶性樹脂と既述の微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
また、インク受容層の透明性を確保する観点からは、微粒子、特にシリカ微粒子に組合される水溶性樹脂の種類が重要となる。上記の気相法シリカを用いる場合には、水溶性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を組合せるのが好ましく、中でも鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。ポリビニルアルコールの例は既述の通りである。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造のインク受容層が形成されると考えられる。インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質構造に構成されたインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂には、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂とポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合の、ポリビニルアルコール系樹脂の量は、全水溶性樹脂の50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子の質量(x3)と水溶性樹脂の質量(y3)との質量比〔PB比;=x3/y3〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。すなわち、質量比(PB比)が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
インク受容層における前記PB比(x3/y3)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、かつ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
また、インクジェットプリンタの搬送系を通過する場合、インクジェット記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要であり、シート状に裁断加工する場合にもインク受容層の割れや剥がれ等を防止する点からも、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。これらを考慮すると、前記PB比は5以下がより好ましく、一方でインクジェットプリンタでの高速インク吸収性を確保する観点からは2以上がより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x3/y3)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布、乾燥させた場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が25nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
−架橋剤−
本発明に係るインク受容層は、微粒子及び水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
前記架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点で硼酸又は硼素化合物が好ましい。前記硼素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)、等が挙げられる。
中でも、速やかに架橋反応を起こす点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、硼酸がより好ましく、これらを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが特に好ましい。
架橋剤は、前記水溶性樹脂1質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、水溶性樹脂を架橋して効果的にひび割れ等を防止することができる。
また、前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合など、硼素及び硼素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤は、インク受容層形成用の塗布液(インク受容層用塗布液)を塗布する際にインク受容層用塗布液中及び/又はインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した画像記録媒体用支持体上に前記インク受容層用塗布液を塗布する、架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、硼素化合物を例に説明する。すなわち、インク受容層がインク受容層用塗布液(第一液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(第二液)を前記塗布層に付与することにより行なうことができる。架橋剤である硼素化合物は、第一液又は第二液のいずれかに含有すればよく、第一液及び第二液の両方に含有させておいてもよい。具体的には後述する。
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐水性、耐経時ニジミの更なる向上を図るために、インク受容層に媒染剤を含有することが好ましい。媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、有機媒染剤が好ましく、特にカチオン性媒染剤が好ましい。
少なくともインク受容層の上層部に前記媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時ニジミを更に改善することができる。
この場合、インク受容層を形成するときのインク受容層用塗布液(第一液)及び塩基性溶液(第二液)のいずれに含有してもよいが、無機微粒子(特に気相法シリカ)を含む液とは別液となる第二液に含有して用いることが好ましい。すなわち、媒染剤を直接インク受容層用塗布液に添加すると、アニオン電荷を有する気相法シリカとの共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む液とインク受容層用塗布液とをそれぞれを独立に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、無機微粒子の凝集を考慮する必要がなく、媒染剤の選択範囲が広がる。
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」という。)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
更に、カチオン性媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基をエステル部分に有する(メタ)アクリレート含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基を有するスチリル型ポリマー等も好ましいものとして挙げることができる。
前記カチオン性媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号、特公平5‐35162号、同5-35163号、同5‐35164号、同5-88846号、特開平7-118333号、特開2000-344990号等の各公報、特許第2648847号、同2661677号等の各明細書に記載のもの等が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体が好ましく、構造的にはジアリルジアルキルカチオンポリマーが好ましい。
前記ポリアリルアミン又はその誘導体としては、公知の各種アリルアミン重合体及びその誘導体が使用できる。このような誘導体としては、ポリアリルアミンと酸との塩(酸としては塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸などの有機酸、あるいはこれらの組合せや、アリルアミンの一部分のみを塩にしたもの)、ポリアリルアミンの高分子反応による誘導体、ポリアリルアミンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(該モノマーの具体例としては(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、(メタ)アクリルアミド類、アクリロニトリル、ビニルエステル類等)が挙げられる。
ポリアリルアミン及びその誘導体の具体例としては、特公昭62‐31722号、特公平2‐14364号、特公昭63-43402号、同63-43403号、同63-45721号、同63-29881号、特公平1-26362号、同2-56365号、同2-57084号、同4-41686号、同6-2780号、同6-45649号、同6-15592号、同4-68622号、特許第3199227号、同3008369号、特開平10‐330427号、同11‐21321号、特開2000‐281728号、同2001‐106736号、特開昭62-256801号、特開平7‐173286号、同7‐213897号、同9-235318号、同9-302026号、同11‐21321号、WO99/21901号、WO99/19372号、特開平5-140213号、特表平11‐506488号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
上記のカチオン性媒染剤の中でも、ジアリルジアルキルカチオンポリマーが好ましく、特にジアリルジメチルカチオンポリマーが好ましい。また、カチオン性媒染剤は、分散能、特に増粘の防止の観点から、重量平均分子量が60000以下、特に40000以下のカチオンポリマーが好ましい。
なお、カチオン性媒染剤は既述の微粒子の分散剤としても有用である。
また、インク受容層用塗布液に加える場合には、該塗布液中の硫酸イオン濃度としては、該液の増粘防止の点から1.5質量%以下が好ましい。この硫酸イオンは、カチオン性のポリマー製造時の重合開始剤等に含まれているものであり、これがポリマー中に残存することから、硫酸イオンを出さない重合開始剤等を用いてなるカチオン性媒染剤が望ましい。
無機媒染剤としては、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。具体的には、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
具体例として、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス、等が挙げられる。
無機媒染剤の中でも、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
前記媒染剤のインク受容層中における添加量は、0.01〜5g/m2が好ましく、0.1〜3g/m2がより好ましい。
−他の成分−
本発明に係るインク受容層には、必要に応じて、各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を更に含有することができる。
本発明に係るインク受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加してインク受容層の表面pHを3〜8、好ましくは3.5〜6.0に調整することによって、白地部の耐黄変性が向上させることができる。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定のうちA法(塗布法)により行なうことができ、例えば、前記A法に相当する、(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行なうことができる。
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、インク受容層の表面PHが3〜8になるように決めればよい。
上記の酸は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
本発明においては、インク受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。
これら併用できる紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の少なくとも一種を含有するのが好ましい。
具体的な化合物例は、特願2002−13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号、等の各公報に記載のものが挙げられる。
他の添加剤は、一種単独でも二種以上を併用してもよい。他の添加剤は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。また、他の添加剤を添加する場合の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
また、微粒子の分散性を改善する目的で、微粒子表面をシランカップリング剤で処理してもよく、該シランカップリング剤として、カップリング処理を行なう部位の他に有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好適に使用できる。
また、本発明に係るインク受容層(インク受容層用塗布液)は界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤の中から適宜選択することができる。また、界面活性剤は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、インク受容層用塗布液(第一液)及び塩基性溶液(第二液)のいずれに含有してもよく、また、一種単独で又は二種以上を併用することもできる。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。これらは、一種単独で又は二種以上を併用することができる。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
前記界面活性剤のインク受容層用塗布液における含有量としては、0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として二液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。前記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
−インクジェット記録媒体の作製−
次に、インクジェット記録媒体の作製方法について一例を示す。例えばインクジェット記録媒体を作製する場合には、該媒体を構成するインク受容層(画像記録層)を、微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含むインク受容層形成用の塗布液(第一液)及び塩基性溶液(第二液)の少なくとも一方に架橋剤を添加すると共に、前記塗布液(第一液)を本発明の画像記録媒体用支持体(好ましくは樹脂被覆紙の少なくとも一方の側に下塗り層を有する支持体;以下、単に支持体ともいう)の下塗り層上に塗布して塗布層を形成し、かつ更に(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液(第一液)を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pHが7.1以上の前記塩基性溶液(第二液)を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法(Wet on Wet法)により形成することによって好適に得ることができる。
媒染剤を第二液に添加するようにすることで、例えば、a)微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤を含む塗布層を形成し、媒染剤含有溶液をその上に塗布する方法、b)微粒子及び水溶性樹脂を含む塗布液と媒染剤含有溶液を重層塗布する方法など任意の方法により形成することができ、媒染剤をインク受容層の表面近くに多く存在させ得るので、インクの色材が十分に媒染され、記録された文字や画像の耐水性が向上させることができる。このようにすると、媒染剤がインク受容層の所定の部分に多く存在するので、インクジェット記録用インクの色材が十分に媒染され、色濃度、経時によるインク滲み、印画部光沢、印画後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が向上するので好ましい。また、媒染剤含有溶液中に微粒子、水溶性樹脂、及び架橋剤等が含有されていてもよい。媒染剤の一部は第一液に含有させてもよく、その場合には第一液と第二液の媒染剤は同一でも異なっていてもよい。
前記第一液である、例えば気相法シリカとポリビニルアルコールと硼素化合物とカチオン性ポリマーとを用いてなる塗布液の調製例について以下に説明する。
すなわち、気相法シリカをカチオン性ポリマーと共に水中に添加し(例えば10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えばクレアミックス(エム・テクニック(株)製))を用いて例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散させて微粒子分散液とした後、これに更に硼素化合物とポリビニルアルコール水溶液(例えばシリカ量の1/3程度の質量となるように)とを加えて更に上記と同じ条件で分散を行なうことによって調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗布方法で画像記録媒体用支持体の下塗り層上に塗布形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。第一液には、必要に応じて更にpH調整剤、他の分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
上記の第一液や第二液等の調製には、溶媒として水、有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
第一液(インク受容層用塗布液)の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行なうことができる。
第一液(インク受容層用塗布液)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に第二液(塩基性溶液)が付与されるが、該第二液は、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。すなわち、インク受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塩基性溶液を導入することで好適に製造される。この第二液には、媒染剤を含有させてもよい。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記の通り、第一液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
減率乾燥を示すようになる前に第二液を付与する方法としては、(i)第二液を塗布層上に更に塗布する方法、(ii)スプレー等の方法により噴霧する方法、(iii)第二液中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(i)において、第二液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
第二液の付与量としては、5〜50g/m2が一般的であり、10〜30g/m2が好ましい。
第二液の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、第一液中に含有する架橋剤を硼酸や硼素化合物(硼砂など)とする場合には、60〜100℃での加熱を5〜20分間行なうことが好ましい。
また、前記塩基性溶液(第二液)を、インク受容層用塗布液(第一液)を塗布すると同時に付与する場合、第一液及び第二液を、第一液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行なった場合、同時に吐出される二種の液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、第一液及び第二液の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
前記インク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
次に、上記のインクジェット記録媒体以外の画像記録媒体について説明する。
−電子写真用受像材料−
前記電子写真用受像材料は、本発明の画像記録媒体用支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも一層のトナー受像層(画像記録層)を有し、必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、表面保護層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調整層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
−銀塩写真感光材料−
前記銀塩写真感光材料としては、例えば、本発明の画像記録媒体用支持体上に、少なくともYMCに発色する感光層(画像記録層)を設けた構成を有し、焼付露光されたハロゲン化銀写真用シートを複数の処理槽内を浸漬しながら通過することにより、発色現像、漂白定着、水洗を行ない、乾燥させて画像を得るハロゲン化銀写真方式に用いられる材料、等が挙げられる。
−熱転写受像材料−
前記熱転写材料としては、例えば、本発明の画像記録媒体用支持体上に、少なくとも熱発色層(画像記録層)を設けた構成を有し、感熱ヘッドによる加熱と紫外線による定着の繰り返しにより画像を形成するサーモオートクローム方式(TA方式)に用いられる感熱発色記録材料、等が挙げられる。
−感熱発色記録材料−
前記感熱発色記録材料としては、例えば、本発明の画像記録媒体用支持体上に、少なくとも熱溶融性インク層(画像記録層)を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱して熱溶融性インク層からインクを感熱転写記録用受像シート上に溶融転写する方式に用いられる材料、等が挙げられる。
−昇華転写受像材料−
前記昇華転写受像材料としては、本発明の画像記録媒体用支持体上に、少なくとも熱拡散性色素(昇華性色素)を含有するインク層(画像記録層)を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱してインク層から熱拡散性色素を感熱転写記録受像シート上に転写する昇華転写方式に用いられる材料、等が挙げられる。
また、上記の電子写真用受像材料、感熱発色記録材料、昇華転写受像材料、熱転写受像材料、又は銀塩写真感光材料は、少なくとも各々の材料に対応した画像記録層(トナー受像層、熱溶融性インク層、インク層、熱発色層、又は感光層)が既述の下塗り層上に設けられるように、本発明の画像記録媒体用支持体を用いた既述の−インクジェット記録媒体の作製−に類似した方法によって作製することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例ではインクジェット記録媒体の一例としてインクジェット記録用シートを作製するものとし、実施例中の「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準であり、重合度は重量平均重合度を表す。
(実施例1)
−支持体の作製−
(基材の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whitex BB、住友化学工業(株)製)を0.04%添加し、これを絶乾重量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/ccに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/m2となるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように溶融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、基材とした。
(下塗り層用塗布液の調製)
1)12.85%アセトアセチル変性PVA溶液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ケン化度95〜97%、重合度約1000;商品名:ゴーセファイマーZ−210、日本合成化学工業(株)製)12.85部、及び水87.15部を混合し、80℃以上で撹拌、溶解してアセトアセチル変性PVA溶液を調製した。
2)25質量%顔料分散液の調製
水75部に親水性合成スメクタイト(商品名:合成スメクタイト ルーセンタイトSWN、コープケミカル(株)製)0.7部を加えて充分に撹拌、混合し、これにシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母(商品名:Iriodin#123(粒度5〜25μm、二酸化チタン被覆率39%)、MERCK社製)24.3部を更に混合し、25質量%顔料分散液を調製した。
3)下塗り層用塗布液の調製
上記1)で得た12.85%アセトアセチル変性PVA溶液100部に水13部及びメタノール93部を加え、充分に撹拌混合した後、これに上記2)で得た25質量%顔料分散液53部を加えて充分に撹拌混合し、さらにエチレンオキサイド系界面活性剤(商品名:エマレックス710、日本エマルジョン社製)の1.66%メタノール溶液5部と2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)エチル]アセトアミドの4%水溶液6部とを加え、液温度を30〜40℃に保って9.8%の下塗り層用塗布液(二酸化チタン被覆雲母/合成スメクタイト=1/0.03)を得た。
(支持体の作製)
上記より得た基材のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、得られた下塗り層用塗布液を、支持体のオモテ面に乾燥塗布量が2.0g/m2となるように斜線65メッシュグラビアロールにて塗布し、下塗り層が形成された本発明の支持体(画像記録媒体用支持体)を得た。
−インクジェット記録用シートの作製−
(インク受容層用塗布液の調製)
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pとを混合し、KD−P((株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて分散してシリカ分散液とした後、(7)イオン交換水に(4)ポリビニルアルコールと(5)硼酸と(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテルとを溶解した水溶液を上記のシリカ分散液に添加し、インク受容層用塗布液を調製した。このとき、微粒子と水溶性樹脂との質量比〔PB比=(1):(4)〕は4.5:1であり、インク受容層用塗布液のpHは3.5で酸性を示した。
〈インク受容層用塗布液の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(微粒子) ・・・10.0部
(レオロシールQS−30、平均一次粒子径7nm、(株)トクヤマ製)
(2)イオン交換水 ・・・51.6部
(3)シャロールDC−902P(51%水溶液) ・・・ 1.0部
(日東紡(株)製;分散剤)
(4)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)8%水溶液 ・・・27.8部
(PVA−124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400)
(5)硼酸(架橋剤) ・・・ 0.4部
(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) ・・・ 1.2部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、花王(株)製、HLB値13.6)
(7)イオン交換水 ・・・33.0部
(インク受容層用塗布液の塗布)
上記のように支持体上に形成された下塗り層の上に、得られたインク受容層用塗布液をエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この期間、塗布層は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の塩基性溶液に30秒浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。これより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録用シート(1)を得た。
〈塩基性溶液の組成〉
・硼酸(架橋剤) … 0.65部
・ポリアリルアミン …12.5部
(PAA−03(20%水溶液)、日東紡(株)製;媒染剤)
・イオン交換水 …72.0部
・塩化アンモニウム(表面pH調整剤) … 0.8部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …10部
(エマルゲン109P、2%水溶液、HLB値13.6、花王(株)製)
・フッ素系界面活性剤 … 2.0部
(メガファックF1405(10%水溶液)、大日本インキ化学工業(株)製)
(実施例2)
実施例1の(下塗り層用塗布液の調製)において、親水性合成スメクタイトとして用いた「ルーセンタイトSWN」を「合成スメクタイト ルーセンタイトSWF(コープケミカル(株)製)」に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シート(2)を得た。
(実施例3)
実施例1の(下塗り層用塗布液の調製)において、25質量%顔料分散液の調製に用いた親水性合成スメクタイト及び二酸化チタン被覆雲母の量を、親水性合成スメクタイト0.1部及び二酸化チタン被覆雲母24.9部に代えた(二酸化チタン被覆雲母/合成スメクタイト=1/0.005)こと以外、実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シート(3)を得た。
(実施例4)
実施例1の(下塗り層用塗布液の調製)において、シルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母(商品名:Iriodin#123)をシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆アルミナ(商品名:Xirallic T50−10 WNT Crystal Silver(粒度10〜30μm、二酸化チタン被覆率20〜32.5%)、MERCK社製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用シート(4)を得た。
(比較例1)
実施例1において、下塗り層用塗布液を用いた下塗り層を形成せず、基材のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、該オモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて直接インク受容層用塗布液の塗布を行なってインク受容層を形成するようにしたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(5)を得た。
(比較例2)
実施例1の「2)25質量%顔料分散液の調製」おいて、水75部と親水性合成スメクタイト0.7部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母24.3部との混合を、水75部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母25部との混合に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(6)を得た。
(比較例3)
比較例2において、シルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母(商品名:Iriodin#123)を、シルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆アルミナ(商品名:Xirallic T50−10 WNT Crystal Silver(粒度10〜30μm、二酸化チタン被覆率20〜32.5%)、MERCK社製)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(7)を得た。
(比較例4)
実施例1の「2)25質量%顔料分散液の調製」おいて、水75部と親水性合成スメクタイト0.7部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母24.3部との混合を、水72.8部と25%高級脂肪酸アマイド水溶液(商品名:チクゾールW300、共栄化学社製)2.9部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母24.3部との混合に代えたこと以外(二酸化チタン被覆雲母/高級脂肪酸アマイド=1/0.03)、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(8)を得た。
(比較例5)
実施例1の「2)25質量%顔料分散液の調製」おいて、水75部と親水性合成スメクタイト0.7部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母24.3部との混合を、水72.8部と25%高級脂肪酸アマイド・ポリエチレンワックス水溶液(商品名:チクゾールW400LP、共栄化学社製)2.9部とシルバーホワイトタイプ二酸化チタン被覆雲母24.3部との混合に代えたこと以外(二酸化チタン被覆雲母/高級脂肪酸アマイド及びポリエチレンワックス=1/0.03)、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シート(9)を得た。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた各下塗り層用塗布液、並びに本発明のインクジェット記録用シート(1)〜(4)及び比較のインクジェット記録用シート(5)〜(9)について、以下の評価を行なった。
(1) 下塗り層用塗布液の粘度の測定評価
実施例1〜4及び比較例2〜5で得た下塗り層用塗布液について、東機産業(株)製のRB80型粘度計を用いて液温30℃での粘度を測定し、下記基準にしたがって評価した。測定評価の結果は下記表1に示す。
A:粘度は150mPa・s以下であり、取扱い性は非常に良好であった。
B:粘度は150〜250mPa・sであり、取扱い性は良好であった。
C:粘度は250mPa・s以上であり、取扱い性に劣っていた。
(2) 真珠光沢顔料の液中沈降性の評価
実施例1〜4及び比較例2〜5で得た下塗り層用塗布液100mlを各々メスシリンダーに分取し、液温30℃で1日間放置した後、各液中における真珠光沢顔料(二酸化チタン被覆雲母又は二酸化チタン被覆アルミナ)の沈降度合いを目視により観察し、下記基準にしたがって評価した。測定評価の結果は下記表1に示す。
A:沈降は全く認められず、取扱い性は非常に良好であった。
B:僅かに沈降が認められたものの、取り扱い性は良好であった。
C:顕著に沈降してその上澄みはかなり透明になっており、取扱い性に非常に劣っていた。
(3) 下塗り層形成後の正反射率の測定
各実施例及び比較例において、インク受容層形成前の、下塗り層が形成された支持体の該下塗り層形成面について、日立製作所(株)製のカラーアナライザー607型を用いて440nmでの全反射率、拡散反射率を測定し、全反射率から拡散反射率を減算した差を求めて正反射率〔%〕とした。測定結果は下記表2に示す。なお、正反射率は値が大きいほど画像の輝き感やクッキリ感、奥行き感、及び鮮鋭度の良化に効果的である。
(4) 塗布面状の評価
各実施例及び比較例において、インク受容層形成前の、下塗り層が形成された支持体の該下塗り層形成面の塗布面状を目視により観察し、下記基準にしたがって評価した。評価結果は下記表2に示す。
A:塗布ムラ及びバー筋は全く認められず、面状は良好であった。
B:塗布ムラが若干認められたものの、面状は許容範囲内であった。
C:塗布ムラ及びバー筋が認められ、面状はあまり良好ではなかった。
(5) 画質の評価
各インクジェット記録用シートに対して、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンタPM−970Cを用いて人物、風景の画像を印画し、これを目視により観察して下記基準にしたがって評価した。
A:画像は輝き感や奥行き感を有して鮮やかで鮮鋭であり、画像品質は非常に良好であった。
B:画像はある程度の輝き感や奥行き感、鮮やかさ、鮮鋭さを有し、画像品質は良好であった。
C:画像は支障を来さない程度の画像品質を有するものの、充分な程度ではなかった。
D:画像の品質は悪かった。
(6) 地肌耐光性の評価
各インクジェット記録用シートについて、予め反射濃度測定計(Xrite938、Xrite社製)を用いて下塗り層形成面側の地肌濃度D1を測定しておき、測定後、各インクジェット記録用シートに対して、Xenon Weatherometer Ci65A(ATLAS社製)により365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルタを通して温度25℃/相対湿度32%環境条件下で3.8時間点灯して照射を行ない、その後消灯した状態でさらに温度20℃/相対湿度91%の環境条件下で1時間放置するサイクルを168時間継続して行なった。その後再度、上記同様に下塗り層形成面側の地肌濃度D2を測定した。そして、測定値D1,D2からサイクル開始前後での変化量(ΔDmin;=D1−D2)を求め、地肌耐光性を評価する指標とした。結果は下記表2に示す。
Figure 2005096284
各下塗り層用塗布液に係る評価の結果、前記表1に示すように、実施例1〜4で調製した下塗り層用塗布液においては、比較例2〜5に比し、増粘が小さく取扱い性に優れると共に、真珠光沢顔料の沈降を効果的に防止することができた。一方、比較例2〜5で調製した下塗り層用塗布液では、親水性合成スメクタイトを含有しない場合には沈降性が特に悪く、また、従来の脂肪酸アマイドやポリエチレンワックスを含有した場合でも真珠光沢顔料の沈降抑止が不充分であり、取扱い性に劣っていた。
Figure 2005096284
また、各インクジェット記録用シートに係る測定評価の結果、前記表2に示すように、真珠光沢顔料と共に親水性合成スメクタイトを含有する下塗り層が設けられたインクジェット記録用シート(1)〜(4)においては、正反射率が高く、良好な塗布面状が得られ、そのため輝き感や奥行き感のある鮮やかで鮮鋭な高画質画像を得ることができた。一方、比較例においては、下塗り層を設けなかったインクジェット記録用シート(5)は画像品質に劣っており、また、下塗り層を設けたものの、親水性合成スメクタイトを含有しないインクジェット記録用シート(6)〜(9)は正反射率が低く、塗布面状も不充分であり、良好な画質及び地肌耐光性を得ることはできなかった。

Claims (10)

  1. 基材及び、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを含む層を有することを特徴とする画像記録媒体用支持体。
  2. 前記真珠光沢顔料が、平均粒子厚が0.2〜0.7でかつ粒子径が5〜60μmである、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆酸化アルミナフレーク、及びオキシ塩化ビスマスの少なくとも一種である請求項1に記載の画像記録媒体用支持体。
  3. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の少なくとも一種である請求項1又は2に記載の画像記録媒体用支持体。
  4. 前記親水性合成スメクタイトの質量(x1)と前記真珠光沢顔料の質量(y1)との質量比率(x1/y1)が0.1以上5以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像記録媒体用支持体。
  5. 前記真珠光沢顔料の質量(x2)と前記水溶性高分子の質量(y2)との質量比率(x2/y2)が0.1以上10以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像記録媒体用支持体。
  6. 前記基材が、紙基材の両面に樹脂層を有する樹脂被覆紙である請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像記録媒体用支持体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像記録媒体用支持体と画像記録層とを有することを特徴とする画像記録媒体。
  8. 前記画像記録層がインク受容層であり、前記インク受容層が、水溶性樹脂と該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤と微粒子と媒染剤とを含む請求項7に記載の画像記録媒体。
  9. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類より選択される少なくとも一種であり、かつ前記微粒子がシリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトから選択される少なくとも一種である請求項8に記載の画像記録媒体。
  10. 前記インク受容層が、少なくとも微粒子と水溶性樹脂とを含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行なわれる請求項8又は9に記載の画像記録媒体。
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