JP2005096037A - 工具電極、工具電極を備えた放電加工装置、放電加工方法、及び工具電極によって形成される加工物 - Google Patents

工具電極、工具電極を備えた放電加工装置、放電加工方法、及び工具電極によって形成される加工物 Download PDF

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Abstract

【課題】 加工の際に、加工液の流速の上昇を低減させ、加工を効率的に行うことができる工具電極を備えた放電加工装置を提供する。さらに、放電加工方法を提供する。さらにまた、工具電極によって製造される加工物を提供する。
【解決手段】 工具電極6を加工深さ方向に移動すると、領域16では、加工液2が左右方向(面Aの形成方向)に押し出され、加工液2は、穴部13から流路14を介して開口部15に流動する。これによって、加工液2に掛かる圧力は上昇することもないので、工具電極6を被加工物W1に近づけた際の加工液2の流速の上昇は抑制される。この結果、加工液2に加工の際に発生する加工屑が含まれていた場合でも、不要な気化爆発を低減でき、形彫放電加工装置は安定した加工を実現できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、工具電極、同工具電極を備えた放電加工装置、放電加工方法、及び工具電極によって形成される加工物に関する。
従来、アーク放電を発生させることによって、加工を行う放電加工装置が広く知られている。
この放電加工装置は、工具電極を備え、加工液中に浸漬した状態の工具電極及び被加工物とを所定の間隔をおいて対向配置するとともに、工具電極と被加工物に電圧を印加して、工具電極と被加工物とで形成される隙間にアーク放電を発生させる。また、この加工液は、油や水等の絶縁性の液体であって、アーク放電が行われると、これに応じて気化爆発する。この気化爆発を利用することによって、放電加工装置は、被加工物を徐々に削る、又は切断することによって加工するようになっている。
この種の放電加工装置の1つには、形彫放電加工装置があって、この形彫放電加工装置は、工具電極と被加工物とを相対移動させるとともに、徐々に被加工物を削ることによって、工具電極の形状を被加工物に複写するように加工を行う装置である。
この形彫放電加工装置は、微細な加工を行うことができるので、樹脂等を加工するための金型の形成に用いられる。そして、例えば、図5に示すような金型30の形成に用いられる。この金型30は、板状に形成され、その一側面には凸状に形成された凸部31を7個備えている。
このような金型30を形成する場合、図6に示すような、形彫放電加工装置41を用いる。この形彫放電加工装置41は、図6に示すように、加工液42を入れる液槽43、テーブル44、工具電極46を備えている。さらに、この工具電極46には軸47を介してモータ48を接続している。
そして、図7に示すように、この工具電極46は、その中央部に金型30と対応するように板部51が突出形成されている。この板部51は、上述した金型30の凸部31と対応するように凹状に形成した凹部52を7個備えている。
そして、この形彫放電加工装置1では、工具電極46と、テーブル44を、液槽43内にて相対向するように配置するとともに、この液槽43を加工液42にて満たし、工具電極46とテーブル44を浸漬する。そして、テーブル44の上面45に被加工物W2を置くとともに、被加工物W2、工具電極46に電源回路49から電圧を印加して、工具電極46の面Dと被加工物W2の隙間d2(図8参照)にアーク放電を発生させる。さらに、電源回路49からモータ48に、電流を供給し、工具電極46を被加工物W2に対して加工深さ方向に相対移動させ加工を行うようになっている。
このような形彫放電加工装置を用いた放電加工方法が種々提案されている(例えば、特許文献1。)。
特許文献1に記載の放電加工装置では、工具電極と被加工物を相対移動させつつ、これらの間にアーク放電を発生させて加工深さ方向に放電加工を行う。そして、この放電加工装置では、工具電極による加工深さ方向の単位動作当たりの加工制限量を規定している。この規定では、加工深さ方向に加工が進むに従って加工制限量を徐々に小さくしている。
これにより、加工時間の短縮化と加工底面の精度向上をはかっている。
特開平10−156630号公報
しかしながら、特許文献1の放電加工装置では、その工具電極を加工液中にて加工深さ方向に移動させた場合、特に加工の際に工具電極を被加工物に近づけたときには、この工具電極によって加工液を流動させてしまうことがあった。
図6に示す放電加工装置41を用いて金型30を加工する場合、その工具電極46の本体50を被加工体W2に近づけた際に、図8(図6の部分拡大図)に示すように、工具電極46と被加工体W2の隙間d2に加工液42の流動を発生させてしまう。この隙間d2における加工液42の流動は、特に被加工体W2の上面(形成後の金型30の面C)と、工具電極46の板部51の面Dが対向し狭くなっている領域54に発生する。この領域54では、加工液42が工具電極46と被加工体W2から圧力を受け左右方向(面Cの平面方向)に押し出される。これによって、加工液42は、狭い領域54を流動するに従ってその流速を次第に上昇させてしまう。
このように加工液42に流動が発生し、その流速が上昇したとき、加工液42中に加工の際に生成される加工屑が含まれていると、この加工屑も流動の影響を受けて、その混合状態が不均一となってしまう。この状態において、工具電極46と被加工体W2の隙間d2にてアーク放電が行われると、領域54に位置する部分では、加工液42に含まれる加工屑に反応してさらに気化爆発が生じ、被加工体W2は不均一に加工されてしまう。
このため、形彫放電加工装置では、その加工面において平面度を確保するのが難しく、例えば図6に示す放電加工装置41を用いて図5に示す金型30を加工する場合では、加工された金型30の面Cに微小の凸凹、又は歪みを生じてしまうことがあった。
また、このような形彫放電加工装置は、図9に示すような液体噴射装置の液体噴射ヘッド60の各種部材を形成するための金型を形成することができる。図9に示すように、この液体噴射ヘッド60は、ノズルプレート61、壁部材62、振動板63、緩衝部材64、ヘッドケース65、圧電素子ユニット66、FPC67から構成されている。そして、例えば、緩衝部材64又はヘッドケース65を形成するための図示しない金型を形成したとき、形成される金型は、上述したようにその平面に微小の凸凹、又は歪みを生じてしまう。従って、これら金型から形成される緩衝部材64又はヘッドケース65もその表面に凸凹、又は歪みが生じてしまっていた。このため、これら緩衝部材64又はヘッドケース65から構成される液体噴射ヘッド60が、この凸凹又は歪みの影響を受け、噴射する液滴の精度を低減させる恐れがあった。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、第1の目的は、加工の際に、加工液の流速の上昇を低減させ、加工を効率的に行うことができる工具電極を提供することにある。加えて、第2の目的は、工具電極を備えた放電加工装置を提供することにある。さらに、第3の目的は、加工の際に、加工液の流速の上昇を低減させ、加工を効率的に行うことができる放電加工方法を提供することにある。さらにまた、第4の目的は、その放電加工方法によって製造される加工物を提供することにある。
本発明の工具電極は、加工液の中で放電し、被加工物の加工を行う工具電極であって、前記工具電極には、前記被加工物とを対向するように配置した際に、その工具電極とその被加工物とによって形成される空間にある前記加工液を同空間の外に開放する開放手段を
設けた。
これによれば、工具電極には、同工具電極と被加工物とを対向するように配置した際に、同工具電極と同被加工物とによって形成される空間にある加工液を空間の外に開放する開放手段を設けた。従って、この加工液にかかる圧力を低減することができる。
この工具電極は、請求項1に記載の工具電極において、前記開放手段は、前記工具電極の非放電領域を構成する凹部に、前記加工液が前記空間の外に流出する流路を形成した。
これによれば、開放手段は、非放電領域を構成する凹部に、前記加工液が前記空間の外に流出する流路として形成した。従って、例えば、工具電極を移動したことによって、圧力がかかり加工液が流動した場合でも、加工液は、この流路を介して空間の外に流動する。従って、加工液にかかる圧力を低減することができるので、加工液の流速の上昇を低減することができる。従って、この工具電極は、特に高い平面度が要求される放電加工に有用である。
本発明の放電加工装置は、請求項1又は2に記載の工具電極を備えた放電加工装置であって、前記空間端部と前記工具電極端部の相対距離が短い側に前記開放手段を設けた。
これによれば、工具電極であって、その工具電極端部と空間端部の相対距離が短い側に前記開放手段を設けた。従って、この放電加工装置では、加工液の中にて工具電極と被加工物に電圧をかけるとともに、工具電極と被加工物の相対距離を縮めると、工具電極と被加工物が対向することによって形成され空間には放電が発生し、この相対距離を縮めることによって、被加工物は放電によって加工される。このとき、工具電極と被加工体の相対距離が縮まると、加工液は、上述した流路を介して、上述した空間の外に流動する。従って、加工液にかかる圧力は低減し、その流速、及びその流速の上昇を低減する。この結果、工具電極と被加工物よって形成される空間では、その空間端部と工具電極の相対距離が長い側と短い側の加工液の流速を均一にすることができる。つまり、工具電極の形状によらず、流速の上昇を低減することができる。そして、加工液に加工の際に発生する加工屑が含まれていても、加工液の流速の上昇を低減させ、その流速を均一化することによって、不要な気化爆発を引き起こすことを低減でき、形彫放電加工装置は安定した加工を実現できる。つまり、この放電加工装置は、特に高い平面度の加工を実現することができる。
本発明の放電加工方法は、加工液の中で、工具電極と被加工物を対向するように配置し、同工具電極と同被加工物によって空間を形成するとともに、同工具電極及び同被加工物に電圧を印加することによって、同空間に放電を発生させて、同被加工物を加工する放電加工方法であって、前記工具電極の非放電領域を構成する凹部に、前記加工液が前記空間の外に流出する流路を形成し、放電加工時において、その流路を介して前記加工液を前記空間の外に流出させる。
これによれば、放電加工方法は、放電加工時において、その流路を介して前記加工液を前記空間の外に流出させるので、加工液にかかる圧力は低減し、加工液の流速、及びその流速の上昇を低減する。この結果、加工液に加工の際に発生する加工屑が含まれていても、加工液の流速の上昇を低減させることによって、不要な気化爆発を引き起こすことを低減でき、安定した加工を実現できる。そして、この放電加工方法を用いることによって、高い平面度を持つ加工物を加工することができる。
本発明の加工物は、請求項1又は2に記載の工具電極によって、放電加工されて形成された。
これによれば、上述した工具電極によって、安定して加工される。従って、例えば、この加工物が平面を備えていた場合、この平面は高い平面度を有することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1は、本実施形態の形彫放電加工装置の概略を説明するための概略図である。
図1に示すように、形彫放電加工装置1は、加工液2を入れる液槽3を備え、この加工液2は、例えば、油や水等の絶縁性を有する加工液である。この液槽3内の底部には、被加工物W1を載置するテーブル4が設けてある。このテーブル4の上面5(被加工物W1を載置する面)に対向する位置には、工具電極6が設けてあって、この工具電極6は、軸7の一端に取り付けられている。また、軸7の他端はモータ8が取り付けられ、このモータ8は、入力されるパルス電流に応じて、軸7を介して工具電極6を加工深さ方向(上下方向)に往復移動させるようになっている。
形彫放電加工装置1は、電源回路9を備えている。この電源回路9は、工具電極6及び被加工物W1に接続し、アーク放電に必要な電圧を供給するようになっている。さらに、電源回路9は、上述したモータ8に接続し、同モータ8に向けて予め設定されているパルス電流を出力するようになっている。
このように構成することによって、形彫放電加工装置1は、液槽3に加工液2を満たした状態において、電源回路9から工具電極6及び被加工物W1に電圧を印加してアーク放電を発生させるとともに、モータ8によって工具電極6を加工深さ方向に移動させることによって、加工を行うことができるようになっている。
次に上述した形彫放電加工装置1の工具電極6の構成について図2及び図3に従って説明する。
図2は、本実施形態の工具電極6の構成を説明するための斜視図である。図3は、本実施形態の工具電極6の構成を説明するための側面部分断面図である。
上述した工具電極6は、図2に示すように、その本体10が板状を形成しており、さらに、同本体10の一側面(テーブル4の上面5と対向する面)には、その中央部に板状の板部11を突出するように形成している。そして、この板部11の面Aには、凹状の溝に形成した非放電領域としての凹部12を7個備えている。従って、この工具電極6を用いて加工を行った場合には、被加工物W1の表面(加工面)には、この凹部12に対応する凸部が形成されるようになっている。このように構成することによって、加工の際に、この工具電極6の形状(特に凹部12)が被加工物W1に転写されるようになっている。
一方、図2及び図3に示すように、この板部11の凹部12は、その底部(本体10側)に、本体10に連通する穴部13を形成している。この穴部13は、各凹部12に対応するようにそれぞれ2個ずつ形成され、図3に示す本体10内に形成されている流路14にそれぞれ連通するようになっている。この流路14は本体10の長手方向に2本形成され、その両端部は、図2及び図3に示すように、本体10の側面に開口部15として片側に2箇所ずつ形成される。これによって、凹部12の穴部13と本体10の開口部15は連通し、開放手段としての流路を構成するようになっている。また、このように構成することによって、工具電極6には、被加工物W1と対向することによって形成される空間の端部との相対距離が短い側、つまり突出している端部(この場合、板部11の面A)側の付近に開放手段としての流路を設けたことになる。
次に、このように構成された形彫放電加工装置1を用いて、金型の加工を行う場合について図1、図3、図4に従って説明する。図4は、本実施形態の形彫放電加工装置1によって形成される金型を説明するための斜視図である。
まず、図1に示すように、テーブル4の上面5に被加工物W1を、工具電極6と相対向
するように載置する。この被加工物W1は、予め工具電極6に対応する大きさに切削等によって加工されている。
そして、電源回路9は、工具電極6及び被加工物W1に電圧を印加するとともに、モータ8にパルス電流を出力する。これに応じて、工具電極6は加工深さ方向に移動し、被加工物W1に対して近づく。この工具電極6の放電領域としての面Aが被加工物W1に近づくことによって形成される隙間d1には、アーク放電が発生し加工が行われる。
そして、図3に示すように、工具電極6を加工深さ方向に移動すると、隙間d1における加工液2は流動する。そして、被加工物W1の上面と工具電極6の面Aが対向し狭くなっている領域16では、加工液2が左右方向(面Aの形成方向)に押し出される。このとき、領域16を流動する加工液2は、上述した穴部13から流路14を介して開口部15に流動する。つまり、領域16にて工具電極6と被加工物W1から圧力を受け左右方向(面Aの形成方向)に押し出される加工液2は、穴部13に逃げることができる。これによって、加工液2に掛かる圧力は上昇することもないので、工具電極6を被加工物W1に近づけた際の領域16における加工液2の流速の上昇を抑制することができる。つまり、板部11の面Aと凹部12における流速の不均一を解消し均一化することができる。この結果、加工液2に加工の際に発生する加工屑が含まれていた場合でも、加工液2の流速を低減させ、その流速を均一化することによって、不要な気化爆発を引き起こすことを低減でき、形彫放電加工装置1は安定した加工を実現できる。そして、形彫放電加工装置1は、図4に示すように、加工物としての金型17を加工することができ、さらに、この金型17の面Bを滑らかな平面(高い平面度を有する平面)に形成するとともに、その歪みを低減することができる。
尚、本実施形態の金型17を、例えば、上述した図9に示す液体噴射ヘッド60の緩衝部材64又は、ヘッドケース65を形成するための金型に具体化し、さらに、これに伴って、形彫放電加工装置1を適宜変更してもよい。これによって、この金型17を用いて、樹脂等から緩衝部材64又はヘッドケース65を形成した場合、形成される緩衝部材64又はヘッドケース65は、より歪みのない滑らかな平面を備えることができる。従って、これら緩衝部材64及びヘッドケース65を備えた液体噴射ヘッド60は、より精密に構成される。そして、この液体噴射ヘッド60を備えた図示しない液体噴射装置は、精度の高い液滴の噴射を実現することが出来る。
一方、加工液2は、上述したように穴部13から開口部15に流動するので、工具電極6からの圧力を受け難く、工具電極6を移動させた場合にもその流速が上昇し難い。
従って、工具電極6の移動速度を上げても加工液2の流速は上昇し難くなっているので、モータ8は、工具電極6の加工深さ方向への移動速度を上げることができる。これによって、工具電極6はより速く所定の位置に配置することができるので、形彫放電加工装置1は、その加工の効率を上げることができる。この結果、形彫放電加工装置1は、加工時間を短縮することができるので、金型17の製造コストを低減することができる。
以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、工具電極6の凹部12の底部に穴部13を形成し、さらに、この穴部13を、流路14を介して開口部15に連通させた。このように構成することによって、被加工物W1の上面と工具電極6の面Aが対向し狭くなっている領域16を流動する加工液2は、上述した穴部13から流路14を介して開口部15に流出する。つまり、領域16にて工具電極6と被加工物W1から圧力を受け左右方向(面Aの形成方向)に押し出される加工液2は、穴部13に逃げることができる。これによって、加工液2に掛かる圧力は上昇することもないので、工具電極6を被加工物W1に近づけた際の領域16における加工液2の流速の上昇を抑制することができる。つまり、板部11の面Aと凹部12
における流速の不均一を解消し均一化することができる。この結果、加工液2に加工の際に発生する加工屑が含まれていた場合でも、加工液2の流速を低減させ、その流速を均一化することによって、不要な気化爆発を引き起こすことを低減でき、形彫放電加工装置1は安定した加工を実現できる。そして、形彫放電加工装置1は、金型17の面Bを滑らかな平面(高い平面度を有する平面)に形成するとともに、その歪みを低減することができる。
尚、発明の実施の形態は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の形彫放電加工装置1では、金型17を形成したが、この限りではなく、他の加工物を加工してもよい。特に平面度を必要とする加工に有用である。この場合、隙間d1における加工液2の流速の上昇を低減するように、形彫放電加工装置1を適宜変更することが望ましい。これによって、例えば、プラスチック金型、ダイカスト金型、鍛造形ガラス金型等の各種金型を製作する場合にも、同様に平面度を得ることができる。
・上記実施形態の形彫放電加工装置1では、凹部12の穴部13を、本体10の側面に形成した開口部15に連通させ、加工液2を穴部13から開口部15に逃がすように構成したが、この限りではなく、隙間d1(特に領域16)における加工液2の流速の上昇を低減することができれば、どのように構成してもよい。従って、例えば、穴部13を工具電極6の上部側(軸7の取り付けられる面側)に連通するように構成してもよい。このとき、穴部13は、工具電極6の強度に影響を及ぼさない程度にその径を大きく形成すると、より加工液2への圧力を低減でき、流速の上昇を低減するのに効果的である。また、形成する被加工物W1に影響がない場合に限っては、被加工物W1に、隙間d1(特に領域16)における加工液2の流速の上昇を低減できるように穴部を形成してもよい。これによって、放電加工装置をワイヤ放電加工装置に具体化した場合にも、同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態の形彫放電加工装置1では、加工液に油や水等の絶縁性の加工液を用いたが、この限りではなく、この加工液にチタン等の硬質炭化物を形成する材料(鉱物)を加えてもよい。従って、例えば加工液に油を用いた場合、この材料は、アーク放電の熱により分解された加工液の構成元素である炭素と反応して硬質炭化物となり、加工物の表面上であって、放電した箇所のみに硬質皮膜を生成する。これによって、形成される加工物の表面は硬質皮膜され、その表面をコーティングして保護することができる。また、本実施形態の工具電極6をチタン等の硬質炭化物を形成する材料(鉱物)によって形成しても同様の効果を得ることができる。
本実施形態の形彫放電加工装置の概略を説明するための概略図。 同実施形態の工具電極の構成を説明するための斜視図。 同実施形態の工具電極の構成を説明するための側面部分断面図。 同実施形態の形彫放電加工装置によって形成される金型を説明するための斜視図。 従来の形彫放電加工装置によって形成される金型を説明するための斜視図。 従来の形彫放電加工装置の概略を説明するための概略図。 従来の工具電極の構成を説明するための斜視図。 従来の工具電極の構成を説明するための側面部分断面図。 従来の液体噴射装置の液体噴射ヘッドの構成を説明するための分解斜視図。
符号の説明
1…放電加工装置としての形彫放電加工装置、2…加工液、6…工具電極、12…凹部
、13…流路を構成する穴部、14…開放手段としての流路、15…流路を構成する開口部、16…流速が速くなる箇所としての領域、17…加工物としての金型、d1…空間としての隙間、W1…被加工物。

Claims (5)

  1. 加工液の中で放電し、被加工物の加工を行う工具電極であって、
    前記工具電極には、前記被加工物とを対向するように配置した際に、その工具電極とその被加工物とによって形成される空間にある前記加工液を同空間の外に開放する開放手段を設けたことを特徴とする工具電極。
  2. 請求項1に記載の工具電極において、
    前記開放手段は、前記工具電極の非放電領域を構成する凹部に、前記加工液が前記空間の外に流出する流路を形成したことを特徴とする工具電極。
  3. 請求項1又は2に記載の工具電極を備えた放電加工装置であって、
    前記空間端部と前記工具電極端部の相対距離が短い側に前記開放手段を設けたことを特徴とする放電加工装置。
  4. 加工液の中で、工具電極と被加工物を対向するように配置し、同工具電極と同被加工物によって空間を形成するとともに、同工具電極及び同被加工物に電圧を印加することによって、同空間に放電を発生させて、同被加工物を加工する放電加工方法であって、
    前記工具電極の非放電領域を構成する凹部に、前記加工液が前記空間の外に流出する流路を形成し、放電加工時において、その流路を介して前記加工液を前記空間の外に流出させることを特徴とする放電加工方法。
  5. 請求項1又は2に記載の工具電極によって、放電加工されて形成された加工物。
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