JP2005095628A - 結腸人工肛門用警告装置および方法 - Google Patents

Abstract

【課題】結腸人工肛門患者または医療従者に糞便物の存在を警告する方法および装置を提供する。
【解決手段】本装置は、ストーマまわりに位置決めされる可撓性ポートに脱着可能に固定可能な中空プラグを含む。ポートは、糞便物がプラグルーメンに入ったときトリガされるアラーム回路を保持し、それによって結腸人工肛門患者に症状出現が差し迫っていることが警告される。信号は、振動式、可聴式または可視式でよく、遠く離れた場所に送られることができる。装置は、膨張可能な空気カフを備え、それが膨張されると、糞便物の通路に物理的バリヤがもたらされる。ガスは管内のフィルタを通過することができる。本方法は、ストーマ内に装置を位置決めし、カフを膨張させ、糞便が送られてきたときアラームを発することを含む。
【選択図】図１

Description

本発明は、人に排便をより良く制御できるように警告する装置および方法に関し、より詳細には、結腸人工肛門設置患者（ｃｏｌｏｓｔｏｍｙ ｐａｔｉｅｎｔｓ）のための警告装置および方法に関する。

様々な病状により、多くの患者が牽制的（ｄｉｖｅｒｓｉｏｎａｒｙ）な結腸人工肛門形成術を受けている。結腸人工肛門は、結腸を切開し次いで表面まで延ばすことによる、腹壁内における人工肛門の外科的形成物である。ストーマ（ｓｔｏｍａ：小穴）は腹部を通って延びる小腸の端部にある。癌または良性のもの、閉塞性腫瘍または重症の腹部創傷が原因で、よく結腸人工肛門形成術が実施される。多くの結腸人工肛門設置患者（ｃｏｌｏｓｔｏｍａｔｅ）には、適切なケア、結腸人工肛門洗浄および適切なポーチシステム（袋状システム：ｐｏｕｃｈｉｎｇ ｓｙｓｔｅｍ）を含む、決まったスケジュールが定められる。

しかし、適切な外科術および術後管理（ｐｏｓｔ−ｓｕｒｇｉｃａｌ ｃａｒｅ）をしても、結腸人工肛門設置患者は、失禁に悩まされ、正常な肛門括約筋によってもたらされるガスおよび糞便の制御が欠如することがある。

したがって、症状出現（ｅｐｉｓｏｄｅ）が差し迫っていることを患者に警告し、また糞便物の通路に障害物またはバリヤを形成する、結腸人工肛門患者が使用する装置が必要とされている。現存の公表技術の再調査により、そうした失禁症状出現の検出、表示および防止のための様々な装置および方法があることが示唆されている。

米国特許第４、８１３、４２２号は、失禁症状出現を感知し、防止するための腸制御プローブ器具および方法に関する（特許文献１）。プローブは、カテーテルを備え、そのカテーテルは直腸内の糞便物を感知するＩＰセンサチップおよび空気で膨張されて糞便物の通路を妨げるカフを有する。失禁症状出現を感知し防止する方法は、直腸にプローブを挿入し、カフを膨張させ、直腸内に赤外光を透過し、反射した赤外光をモニタリングし、事前に定めた大きさの反射赤外光を測定したときアラーム信号を生成することを含む。

ヨーロッパ特許出願第８８３０３０５４．６号にはまた、先端にセンサ要素を有し、光透過要素を有する、結腸に挿入可能なプローブが開示されている（特許文献２）。センサは、糞便物の存在に応答して透過された光を反射する。プローブは、好ましくは、挿入のための使い捨て部分を有するツーピース型であり、膨張式カフが直腸をブロックするように設けられている。ベントポート（ｖｅｎｔ ｐｏｒｔｓ）を設けてもよい。

前記２つの特許は、直腸内の糞便物をモニタリングする装置および方法に関する。特許文献にはまた、結腸人工肛門設置患者が使用する他のタイプの装置が示唆されている。米国特許第４、３５１、３２２号は、ストーマ制御装置および方法に関し、体内の実質上ストーマまわりに延びる腹壁の真下における外科的移植（ｓｕｒｇｉｃａｌ ｉｍｐｌａｎｔａｔｉｏｎ）のための支持リングを含む（特許文献３）。支持体は軟性材料からなり、腸に対する大きな支持表面まで外側にテーパされている。プラグは、ストーマを制御するために腸内部のストーマ内で受けられるようになされている。プラグは、膨張可能バルーンを含み、それが膨張されるとき、支持体のテーパされた内側表面を生かす（ｃｏｍｐｌｉｍｅｎｔｉｎｇ）形で外側にテーパされる表面をもたらす。

米国特許第６、１７１、２８９号は、接触面によって患者に貼り付けられる接着シールを有する、ストーマに結腸瘻袋を取り付けるための使い捨て装置に関する（特許文献４）。貫通通路はストーマに連通している。導電率を測定する少なくとも２連の電極を備える湿り度検知装置が、事前に定めたレベルの湿り度に達したときアラームをトリガするように設けられている。

したがって、上記より、光学湿り度センサの使用を含む、腸失禁を患っている人に快適さを提供する様々な手法があることが理解されよう。結腸人工肛門設置患者の場合、現存する技術には、糞便物を遮断する膨張可能要素を含む挿入可能装置が示唆されている。
米国特許第４、８１３、４２２号 ヨーロッパ特許出願第８８３０３０５４．６号 米国特許第４、３５１、３２２号 米国特許第６、１７１、２８９号

しかし、それでもやはり、快適で、糞便物の通路に障害物をもたらし、外科的移植を必要としない、結腸人工肛門用警告装置が必要とされている。また、使用者に差し迫った症状出現の徴候を示し、それによって使用者が事前通告を有することにより、どんな不愉快でやっかいな失禁症状出現も回避するように適切な処置を講じることができるようにする装置が必要とされている。歩行できる患者の場合、自分自身でトイレへ移動することができる。寝たきりの患者の場合、排泄の前に医療従者を呼び、トイレ設備に行くのを手伝ってもらうことができる。したがって、恥ずかしさや衣服および寝具を汚すことを防ぐかたちで排泄を制御することができる。

本発明は、ストーマ内の糞便物の存在をモニタリングし、使用者に差し迫った症状出現の徴候を示すアラーム信号をもたらす装置および方法を提供する。さらに、本発明の装置および方法は、腸管からの糞便物の通路に物理的バリヤまたは障害物をもたらす。

警告システムは、中空プラグおよびストーマに接着的に取り付けられるしなやかなポートを備える。プラグには吸収性フィルタおよび脱臭フィルタの両方が組み込まれている。プラグは、プラグがポートに係合するときセンサに接続される、一対の電気的コンタクトを有する。コンタクトは、プラグの下位端にある一対のコンタクトにも接続される。糞便物がプラグに入り下位コンタクトを橋絡させるとき、回路が完成し、それによってセンサが活動化されて（ａｃｔｉｖａｔｅ）触覚式または聴覚式警告が発せられる。管まわりの膨張可能カフは、糞便物の通路にバリヤを作り出す。プラグは、必要に応じて取り外す、洗浄するまたは取り替えることができる。ポーチシステム（袋状システム）は、患者の皮膚を保護するように、摺動可能ポートを取り外すことなく利用することができる。

図１の分解図には、警告装置の構成要素が示されている。装置は、中央開口部１６を有するパッド１２を含む。パッド１２は、患者に、パッド１２の開口部１６と一致する中央開口部を有する接着リング１８によって接着される。中央開口部１６は、プラグ１４を受ける。プラグ１４は、上位端７４および下位端７６を有するルーメン（管腔）７２によって形成されている。吸収スリーブ９０が、プラグ１４を取り囲んでどんな湿分も吸収する。スリーブは、ガーゼまたは任意の他の適当な材料から作られており、必要に応じて取り外し交換することができる。

回路板は交換インジケータを有することができる。交換インジケータは、装置が使用された経過時間またはプラグが取り外され交換された回数を数える。それら測定のどちらかの閾値に達した後、使用者に装置全体を交換する必要があることを警告するために、回路板によってインジケータに信号が送られる。装置の定期的な交換により、装置が電池切れによって故障しなくなることが保証される。

図２を参照して、パッド１２の詳細を見ることができる。パッドは、開口部１６により深さを与える中央隆起領域を有する。開口部１６の側壁には導電リング２０，２２が収容されている。各導電リングは、中央開口部からパッドの縁部上のある位置３０まで通じる導線２４、２６に接続されている。導線２４、２６の終端には回路板３２が取り付けられている。回路板３２は、パッドに恒久的に取り付けられることができ、または所定の位置に維持されるように適当なコネクタ３４によって導線２４、２６に接続されることができる。回路板３２は、電池などの電源３６、アラーム３８およびＬＥＤなどの信号器４０を含む。回路板３２に加えて、パッドは、ナースステーション近くにいる医療従者など、遠く離れた場所に信号を送る送信器４４を備えることができる。信号器４０の代わりまたはそれに加えて、パッドは、バイブレータ６０のような触覚式アラームを含むことができる。バイブレータ６０は電池３６からその電力を得る、またはそれ自体の電源を備えることができる。

図３、４を参照して、プラグ１４の構造を最も良く見ることができる。図３において、上位端７４の下方には、プラグの外側表面を取り囲む２つの導電リング８０、８２が配置されている。プラグをパッドの中央開口部に挿入するとき、上位リング８０は上位リング２０と接触する。同様なかたちで、下位リング８２は下位リング２２と接触する。リング導電体は細片または点など他の形状でよいが、リングによって導電体の整列がより簡単になされる。また、プラグの外側表面上には膨張可能なカフ（ｃｕｆｆ）１２０がある。プラグをストーマに挿入するとき、カフは膨張されてプラグを所定の位置に保持する助けをすることができる。

図４にはプラグ１４の内部構造が示されている。プラグの下位端７６近くに、第１および第２の導電体１００、１０２がプラグの内側表面を取り囲んでいる。各下位導電リング１００、１０２は、導線９２、９４によって上位導電リング８０、８２に電気的に接続されている。図示のように、下位導電リング１０２は、第１の導線９２によって上位導電リング８０に接続されているのに対して、下位導電リング１００は、第２の導線９４によって上位導電リング８２に電気的に接続されている。上位リングの一方が下位リングの一方に接続されていれば、どちらの下位リングがどちらの上位リングに接続されるかは重要ではない。プラグの頂部には、親水性フィルタ８４および木炭製フィルタ８６が配置されている。それらのフィルタを組み合わせることによって、ガス抜きが可能になって鼓脹（ｂｌｏａｔｉｎｇ）が防止される。

プラグ１４の底部は、図４に示されているように開放されてよく、あるいは調整可能または交換可能なクロージャを備えることができる。これによって開口部を患者の糞便の粘度に応じて調整することができる。図５にはプラグの底部についての調整可能な開口部が示されている。クロージャは、プラグと一体にまたは別個のクロージャとして形成されることができ、適合するねじなど任意の適当な方法でプラグに取り付けられる。底部表面は半円形開口部７７を備える。半円形クロージャ７８は、クロージャに回転可能に取り付けられる。クロージャ７８を回転させることによって、半円形開口部７７の露出量を調整することができる。

図６Ａ〜６Ｃには、プラグ１４の底部に取り付けることができる交換可能クロージャが表されている。図６Ａには、単一の小さな開口部を有する構造が示されている。図６Ｂには、２つの小さな開口部を有するものが示され、図６Ｃは２つの大きな開口部を有する。これら３つの構造はそれぞれ、軟らかい糞便、中程度の糞便、硬い糞便用である。プラグを取り付け可能式にする代わりに、図６Ａ〜６Ｃに見られる構造を有する底壁付きで形成することもできる。一体型の場合、適当に寸法設定された開口部を有するプラグを選択する。

述べてきた装置の構造とあわせて、その動作を以下に説明する。

吸収スリーブ９０をプラグ１４まわりに嵌合させる。次いで、プラグ１４を中央開口部１６に挿入する。プラグ１４とパッド１２の間の固定嵌合（ｓｅｃｕｒｅ ｆｉｔ）を確実にするように、プラグは摩擦的に嵌合される、または適合するコネクタを有することができる。プラグが適切に挿入されるとき、２つの電気枝路（ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌ ｂｒａｎｃｈｅｓ）が形成される。図示の実施形態において、第１の枝路は、導線２４、導電リング２０、導電リング８０、導線９２および導電リング１０２からなる。第２の枝路は、導線２６、導電リング２２、導電リング８２、導線９４および導電リング１００からなる。腸管を通過した糞便物がプラグの中空部分に入り、下位導電リング１００、１０２に物理的に接触するとき、前記で述べた２つの電気枝路は回路を完成させる。回路の完成によって、回路板３２によりアラーム３８が活動化され、ＬＥＤ４０が活動化されてもよい。さらに、信号がナースステーションなど遠く離れた場所に送信されるように送信器４４が使用されることができる。また、患者に触覚式警告をもたらすようにバイブレータ６０が活動化されてもよい。アラームによって、患者に症状出現（ｅｐｉｓｏｄｅ）の可能性が高いという警告がもたらされる。次いで、患者はトイレに行ってプラグを取り外し空にすることができる。プラグの清浄化後、プラグをパッド内の元の位置に戻すことができる。木炭製フィルタおよび親水性フィルタによって、ガスがプラグを通過して鼓脹（ｂｌｏａｔｉｎｇ）が解消され、患者に快適さがもたらされ得る。

本発明の装置および方法によって、腸管ガスおよび糞便物が制御され使用者に症状出現の事前警告がもたらされる失禁が実現される。装置の下位輪郭を適切に位置決めすると、他人にはほとんどわからない。

本発明を好ましい実施形態を参照して述べてきたが、変形形態および修正形態が当業者には明らかであろう。本発明は、そうした変形形態および修正形態を包含する。

本発明の結腸人工肛門用警告装置の分解図である。 本発明の結腸人工肛門用警告装置のパッドの上面図である。 プラグの斜視図である。 プラグの断面図である。 調整可能開口部を有するプラグの斜視図である。 プラグ用の交換可能な端部の平面図である。 プラグ用の交換可能な端部の平面図である。 プラグ用の交換可能な端部の平面図である。

符号の説明

１２ パッド
１４ プラグ
１６ 中央開口部
１８ 接着リング
２０、２２ 導電リング
２４、２６ 導線
３２ 回路板
３４ コネクタ
３６ 電源
３８ アラーム
４０ 信号器
４４ 送信器
６０ バイブレータ
７２ ルーメン
７４ 上位端
７６ 下位端
７７ 半円形開口部
７８ 半円形クロージャ
８０、８２ 導電リング
８４ 親水性フィルタ
８６ 木炭製フィルタ
９０ 吸収スリーブ
９２ 第１の導線
９４ 第２の導線
１００ 第１の導電体
１０２ 第２の導電体
１２０ カフ

Claims (20)

1. 糞便物の存在を検出するための警告装置であって、
   ストーマに位置あわせされる開口部を有するポート部材と、
   前記ポート部材に取り付けられているアラームと、
   前記開口にあり、前記アラームと電気的に接触している第１の導電体と、
   外側表面とルーメンとを定め、表面に第２の導電体を有するプラグであって、前記第１の導電体と前記第２の導電体とが電気的に接触した状態で前記ポート部材の前記開口部に取り外し可能に取り付けられているプラグと、
   前記ルーメン内に配設され、前記第２の導電体と電気的に接触している第３の導電体と、
   を備えることを特徴とする警告装置。
2. 前記アラームが可聴式アラームを発することを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
3. 前記アラームが可視式アラームを発することを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
4. 前記アラームが触覚式アラームを発することを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
5. 前記アラームが遠く離れた場所に信号を送ることを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
6. 前記係合手段がねじ山を含むことを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
7. 前記ポート部材が可撓性のエストラマー材料であることを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
8. 前記プラグを取り囲む膨張可能なカフをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
9. 前記第２および第３の導電体それぞれが、一対の互いに間隔を置いて配置されている導電リングであることを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
10. 前記管のまわりに配設された吸収スリーブをさらに含むことを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
11. 前記プラグがフィルタを含むことを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
12. 前記ポート部材が接着リングによって体に取り付け可能であることを特徴とする請求項１に記載の警告装置。
13. ストーマ内の糞便物の存在を検出する方法であって、
    開口部を定めるポート部材を準備する工程と、
    前記開口部に前記ポート部材上のアラームに接続されている第１の導電体を取り付ける工程と、
    前記開口部をストーマに位置あわせして、前記ポート部材を体に貼り付ける工程と、
    第２の導電体と第３の導電体とを持つ、ルーメン付きの管を取り付ける工程と、
    前記管が前記ストーマ内に挿入（ｄｅｐｅｎｄｉｎｇ）され、前記第２導電体が前記第１の導電体と電気的接触している状態で、前記ポート部材の開口部中に前記管を脱着可能に固定する工程と、
    糞便物が前記管の領域内に存在すると、前記導電体を介して前記アラームに電気信号を送る工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
14. アラーム信号が振動式アラームであることを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
15. 前記アラームが可視式であることを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
16. 前記アラームが可聴式であることを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
17. 前記第１、第２および第３の導電体それぞれがリングであることを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
18. 前記ポート部材が接着手段によって貼り付けられることを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
19. 前記プラグに連結される吸収部材を取り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項１３に記載の糞便物の存在を検出する方法。
20. 前記アラームが遠く離れた場所に送る信号を含むことを特徴とする請求項１４に記載の糞便物の存在を検出する方法。

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