JP2005095359A - 刃物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナイフのグリップの形態を選択することが可能で、生産性がよく、使い勝手を向上させることができる刃物およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】この発明は、柄となる部分22と刃の身とが一体となった刃物本体11と、グリップとなる部材(ハンドル材)12を着脱可能に柄となる部分に装着するために柄となる部分に所定の間隔で穿孔された複数の孔18a、18b、18cとを有し、複数の孔の少なくとも2つが、グリップとなる部材が取り外されときに柄となる部分に巻き付けるすべり止めひもの端部の挿通に供されるものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、刃物に関し、詳しくは、ナイフのグリップの形態を選択することが可能で、生産性がよく、ナイフの使い勝手を向上させることができるチタニウム板あるいはチタニウム合金板をステンレスブレードにラミネートしたナイフに関する。
従来、チタニウム合金(以下チタン合金)とステンレスは、海水に浸かる橋脚などのスポット溶接などを除いて、接合が不可能とされてきた。一方、プラズマ溶射、蒸着などによりチタン合金をセラミックス等にコーティングする技術は公知である。刃物などではチタン合金をコーティングした包丁などが販売されている。
一方、クラッドメタルとして3層構造の圧延メタルが刃物用の金属板材料として公知である(非特許文献1)。
インターネットホームページ[http//WWW.e-tokko.com/seizou.htm]
出願人は、ステンレスブレードに接合層を設けて、チタニウム板あるいはチタニウム合金板(以下チタン板)をコーディングではなく、ステンレスブレードに接合したラミネート形の刃物(ナイフ)をすでに出願している。これにより、チタン板を接合することで、ナイフの厚さを厚くすることが可能で操作性に優れかつ軽量なナイフを実現できる。
しかも、このチタン板接合ナイフは、チタン板を接合した接合層を含めて5層の金属板から刃物本体である刀身とその柄となる部分(刀心)とを含めたナイフの全体形状をプレス等により切り出し、全体を焼き入れした後に、刃部分となる領域を後から切削により切り出す点に特徴がある。
このチタン板接合ナイフは、ナイフ本体の厚さが数mmであるので、ハンドル材(グリップとなる部材)にウッドを使用し、これをグリップの部分に固定することで、グリップの部分の厚さを15mm程度と膨らみを持たせている。
ところで、ナイフは、切れ味のほかに、操作性からみてグリップの形態が重要である。また、意匠的にみてもそれは重要な要素の1つである。例えば、プレミアム商品として、ハンドル材をアイアンウッドにしたり、廉価版として合成樹脂製(プラスチック製)にしたりすれば、ナイフは、そのグリップの部分の形態で商品価値が変わってくる。
この種のナイフを少量多種類生産するときには、需用者層の好みに応じて製品ごとにグリップの形態を変えて製造する。ナイフのグリップは、製品製造後に変更することはできないので、その生産効率はよくない。
これとは別に、ナイフのグリップとしては、例えば、つり等において水辺で獲物を裁くときなどには、すべり止めとしてグリップにパラシュートコード(網組みひもの代表的なもの)などが巻き付けられて使用される。グリップが合成樹脂製のものであるとナイロン製のパラシュートコードがしっかり固定されないのでずれる危険性がである。特に、グリップサイズが小さく、十分に握りを確保できないときにはこのような利用の仕方となる。
このような危険を避けるために、グリップにパラシュートコード巻き付け用のずれ防止溝を付けるとデザイン的によくない上に、パラシュートコードを巻き付けないときのグリップ感触が落ちる問題がある。
なお、パラシュートコードをグリップとして柄に巻き付けて使用する専用のナイフもあるが、これは、前記したような特定使用のものという印象が強く、デザイン性に優れ、種々の状況で使用されるような汎用性あるナイフとして取扱われるものとは言えない。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、ナイフのグリップの形態を選択することが可能であり、生産性がよく、使い勝手を向上させることができる刃物およびその製造方法を提供することにある。
このような目的を達成するためのこの発明の刃物は、柄となる部分と刃の身とが一体となった刃物本体と、グリップとなる部材(ハンドル材)を着脱可能に柄となる部分に装着するために柄となる部分に所定の間隔で穿孔された複数の孔とを有し、複数の孔の少なくとも2つが、グリップとなる部材が取り外されときに柄となる部分に巻き付けるすべり止めひもの端部の挿通に供されるものである。
また、この発明の刃物の製造方法は、刃物の形状に切出された金属板材を焼き入れをした後に刃の身に相当する部分のステンレス板の一部からなる刃部を切り出して刃物本体が製造されるものである。
この発明にあっては、使用用途や好みに応じて種々のハンドル材を着脱可能に柄となる部分に装着でき、また、ハンドル材を取り外してすべり止めひもを柄となる部分に巻き付けることが可能である。
多種類のハンドル材をユーザサイドで取り替えて装着ができるので、ナイフの使用場所、使用状況の相違に応じてグリップの状態が選択でき、ナイフの使い勝手を向上させることができる。しかも、ハンドル材が着脱可能であるので、ハンドル材を外してすべり止めひもを巻き付けた態様での使用が可能となり、ナイフとしての多様性と操作性が向上する。
また、ハンドル材が着脱可能であることから、刃物本体とハンドル材とを切り離して製造することが可能になる。そこで、刃物本体だけを個別に多数製造することができる。これとは別にハンドル材を多種類用意するだけで、多様な態様の商品を生産することが可能になる。さらに、需用者層の好みに応じて製品ごとにグリップの形態を変えて販売することができ、ハンドル材単体での販売も可能になる。
その結果、ナイフのグリップの形態を選択することが可能で生産性がよく、使い勝手を向上させた刃物およびその製造方法を容易に実現するできる。
図1は、この発明の刃物を適用した一実施例のナイフの説明図であり、(a)は、そのナイフの平面図、(b)は、ハンドル材装着状態を示す刃心部分の断面説明図、(c)は、ハンドル材を外したときのナイフ本体の説明図、図2は、ハンドル材とナイフ本体との関係の説明図であって、(a)は、ハンドル材を外したときのパラシュートコードを巻いた説明図、(b)は、他のハンドル材を装着したときの説明図、そして図3は、ナイフの構造を示す断面説明図である。
図1において、10は、ナイフであり、ナイフ本体11とハンドル材12とハンドル材止めねじ13,14,15とからなる。16,17は、ナイフ10に穿孔された孔であり、ナイフの使用状態に応じて利用される。例えば、孔16は、刃の根本に設けられた孔であって、ここを2本の指先に挟んで細かい作業をするために利用され、ナイフ本体1の後端に複数設けられた孔17は、例えば、ひも等が通されてひもを介してベルト等に固定され、紛失、落下防止などに利用される。
ハンドル材止めねじ13,14,15は、図1(b)に示すように、雄ねじ13a,14a,15a(図示せず)と、雌ねじ13b,14b,15b(図示せず)とからなり、雄ねじ側は6角ボルトの頭部を有していて、螺合によりこれらがハンドル材12,12を介して結合される。すなわち、雄ねじ13a,14a,15aは、刃物の柄となる刃心(刀心に相当)22の両側に当てられたハンドル材12,12を介して、図1(c)に示すように、刃心22に設けられた孔18a〜孔18cにそれぞれに通して雌ねじ13b,14b,15bにねじ結合される。これにより、ハンドル材12,12は、刃心22に対して着脱可能に装着される。
ナイフ本体1は、厚さ3.5mm程度の後述する5層の金属板材であって、刃身(刀身に相当)21と刃心22とからなり、刃身21には刃部23が設けられている。23aは、刃部23の先端側にあるエッジ部である
一方、ハンドル材12,12は、その厚さが6mm程度のものであり、2つの島状の凸部12a,12bとその間にある少し低くなった溝12cとを有している。
刃心22には、孔18a〜孔18cのほかに、隠し孔19が設けられている。孔18a〜孔18cは、前記したように、それぞれハンドル材12を刃心22に両側から固定するために雌ねじ13a,14a,15aを通す孔となるが、同時に、これらの孔は、例えば、すべり止めひもであるパラシュートコード24(図2(a)参照)のようなすべり止めひもを刃心22に巻き付ける際にその始端と終端を通す孔となっている。隠し孔19もパラシュートコード24を通す孔として設けられている。
孔18a〜孔18cと隠し孔19とは、すべり止めひもを通すために必要な間隔を開けて設けられている。それぞれの孔径は、3mmφ〜6mmφであって、巻き付けるパラシュートコード24の径より大きい。
ハンドル材止めねじ13,14,15の螺合を解いてハンドル材12,12を刃心22から外したときには、図2(a)に示すように、隠し孔19にパラシュートコード24を通して、これを始端とし、孔18cを終端としてパラシュートコード24を刃心22に巻き付けて端部を結び固定することができる。これによりパラシュートコード24をハンドル材とすることができる。
もちろん、孔18aあるいは孔18bを始端としてパラシュートコード24を刃心22に巻き付けることもの可能である。
さらに、図2(b)のハンドル材25のように、ナイフ本体11の後端に設けられた孔17のうち2つを覆う大きさのハンドル材を刃心22に装着することができる。これは、ハンドル材12とは、デザイン、特に溝形状が異なっている。
なお、25a,25bは、ハンドル材2の2つの島状の凸部12a,12bに対応し、25cは溝12cに対応している。
ところで、ナイフ本体11は、次に述べるように、接合層を含めてチタンの板を接合した5層の金属板材であるので、ハンドル材12,25とハンドル材止めねじ13,14,15とは、チタンあるいはチタン合金製のものを用いと適合性が非常によい。
ナイフ本体11は、図3(a)に示すように、刃物用のステンレス板からなるブレード板1と、その表裏両面に接合合金層2を挟んで接合されたチタン合金板3とからなる5層構造のものである。これにより、その厚さとして3.5mm以上を確保できる。チタン合金板3をブレード板1に近い厚さにすることで、ナイフの厚さと強靱性とを確保して操作性を向上させることが可能になる。
ブレード板1は、チタン(Ti)を含むオーステナイト系のステンレスSUH660,SUH661、あるいはV5,V10等のステンレスV鋼,ATS34等が使用される。ブレード板1の厚さは、約1mmであり、チタン合金板3の厚さは、約1.3mmである。
その結果、ナイフ全体をステンレス板で製作する場合よりも30%を越える軽量化が可能になる。
ここでは、ブレード板1とチタン合金板3とが接合合金層2を介して接合される。
接合合金層2は、ニッケル(Ni)とニオブ(Nb)の合金層であり、その厚さは、0.1μm〜十数μmであってブレード板1に真空室においてイオンプランティンフ(あるいはイオンドーピング)されあるいは蒸着、プラズマ溶射によりブレード板1の表裏両面にコーティングされて一体化され、形成される。
この表裏両面にコーティングされたブレード板1にチタン合金板3を表裏から挟んで静的な高圧加圧によるか、ロール圧延(熱間ロール圧延+冷間ロール圧延)により圧着接合して3層金属板を製造して、この3層金属板からブレード板1に相当する大きさの図3(b)の3層金属板5(接合合金層2を含めれば5層)を図2に示すナイフの形状でプレス等により切り出す。この後、ナイフとしてグリップ等を付けるために穴空けと洗浄等も行われる。
そして、高温槽に入れて1000゜前後で加熱して、その後、室温自然冷却して焼き入れを行う。これによりオーステナイト系のステンレスSUH660,SUH661等は、このとき硬いマルテンサイト系にその組成が変化する。この状態で曲がり修正等が行われた後に、170゜C〜180゜Cで1時間程度保持されて焼き戻しが行われる。その後、図1(a)のような刃先になるように刃先の切り出しが行われる。このとき刃先の切り出しを行っても接合合金層2が存在するので切り出し時にチタン合金板3の剥離は発生しない。
ところで、ニオブ(Nb)とチタン(Ti)とは合金が形成し易く、超伝導材料のNb−Tiのように接合合金層2とチタン合金板3との間の接合面では共晶状態になる。また、先に、イオンプランティンフによるコーティングで形成されたブレード板1の表面と接合合金層2との間はステンレスの成分にニッケル(Ni)が含まれる関係からニッケル(Ni)を含む接合合金層2との間の接合面も共晶状態になっている。
ブレード板1の刃部23は、接合合金層2を介在して接合されたチタン合金板3−ブレード板1−チタン合金板3の3層金属板5から切削により切り出されてブレード板1の一部として形成される。その結果、図1(c)に示すようなナイフ本体11が製造される。
刃部23の切り出しは、焼き入れ後のナイフ本体1に相当する形状のものに対してダイヤモンドグラインダあるいはダイヤモンド砥石の研磨により行われる。これにより、3mm乃至5mm程度とエッジ部23aの刃高を高くすることができ、刃先の鋭角を確保し、かつ、刃部4の形状を図3(a)に示すように、先鋭にすることができる。
この実施例では、圧接によりチタン合金板3と接合合金層2とを接合しているが、この場合、チタン合金板3に接合合金層2を先にコーティングしてから、ブレード板1側に圧接してもよいことはもちろんである。さらに、チタン合金板3とステンレスのブレード板1との両者に接合合金層2をコーティングしてから圧接してもよい。
さらに、チタン合金板3に接合合金層2とブレード板1との接合は、圧接に限らず、超音波等を利用して加圧状態で融着してもよい。
以上説明してきたが、実施例のナイフは一例であって、包丁、その他の刃物にこの発明が適用できることはもちろんである。
図1は、この発明の刃物を適用した一実施例のナイフの説明図であり、(a)は、そのナイフの平面図、(b)は、ハンドル材装着状態を示す刃心部分の断面説明図、(c)は、ハンドル材を外したときのナイフ本体の説明図である。 図2は、ハンドル材とナイフ本体との関係の説明図であって、(a)ハンドル材を外したときのパラシュートコードを巻いた説明図、(b)は、他ののハンドル材を装着したときの説明図である。 図3は、この発明の刃物を適用した一実施例のナイフの断面図であり、(a)はナイフの説明図である。
符号の説明
1…ナイフ本体、2…接合合金層、
3…チタン合金板、4…刃部、5…3層金属板、
10…ナイフ、11…ナイフ本体、
12,25…ハンドル材、
13,14,15…ハンドル材止めねじ、
16,17,18a,18b、18c…孔、
19…隠し孔、21…刃身、22…刃心、
23…刃部、23a…エッジ部、24…パラシュートコード。

Claims (6)

  1. 柄となる部分と刃の身とが一体となった刃物本体と、グリップとなる部材を着脱可能に前記柄となる部分に装着するために前記柄となる部分に所定の間隔で穿孔された複数の孔とを有し、前記複数の孔の少なくとも2つは、前記グリップとなる部材が取り外されときに前記柄となる部分に巻き付けるすべり止めひもの端部の挿通に供される刃物。
  2. 前記刃物はナイフであって、前記グリップとなる部材は、板材であって、前記柄となる部分の両側に当てられて前記孔の少なくとも1つを通してねじ止めされる請求項1記載の刃物。
  3. 前記刃物本体は、ステンレス板の表裏両面に接合合金層を設けて前記ステンレス板にチタン板あるいはチタン合金板を前記接合合金層を介して接合した多層の金属板材である請求項2記載の刃物。
  4. 前記刃の身は、前記ステンレス板の一部から切り出された刃部を有している請求項3記載の刃物。
  5. 刃物の形状に切出された前記金属板材を焼き入れをした後に前記刃の身に相当する部分の前記ステンレス板の一部からなる刃部を切り出して前記刃物本体が製造される請求項1〜4のいずれか記載の刃物を製造する製造方法。
  6. 前記刃部の切り出しは、ダイヤモンドグラインダあるいはダイヤモンド砥石の研磨により行われる請求項5記載の製造方法。。
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