ところで、上述した技術は、光学機能素子を、湾曲した放熱板の保持面に沿わせて強固に固定させる必要がある。
しかし、光学機能素子は半導体材料により形成され、一方、放熱板は熱伝導率の高い金属材料によって形成されているため、両者の線膨張係数には大きな差異があり、両者を強固に固着させると、特に光学機能素子のサイズが大型または長尺である場合には、熱等による両者の膨縮の差が大きいため、両者が剥離する虞れが大きい。
また、剥離に至らないまでも、両者の膨縮差によって、一方の要素に、意図しない歪みや反りが生じ、像面湾曲を所望の程度まで補正することができない事態となりうる。
一方、剥離等を防止するために、硬度の低い(柔軟性の高い)固定材料によって、光学機能素子と放熱板とを固定すると、固定材料は、湾曲された光学機能素子に生じる復原力に抗することができずに、光学機能素子を湾曲形状に保持することができない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、入射する光線による像の像面湾曲を簡易な構造で補正するとともに、構成要素である光学機能素子が温度等の影響によって容易に剥離するのを防止した半導体装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのような半導体装置の製造方法、半導体装置を備えた画像読取ユニット、および半導体装置を含む画像読取ユニットを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る半導体装置は、光学機能素子と配電手段とが接合された光学機能接合体が、前記光学機能素子の光学機能面を透光板に対向させて、硬化性の第1固定材料によって、該透光板に固定されている半導体装置において、前記透光板と前記光学機能素子との線膨張係数が略等しく、前記透光板を介して入射し前記光学機能面に投影された物体の像の像面湾曲を、該光学機能面の湾曲により該光学機能面上において補正するように、前記光学機能素子がその長手方向について湾曲して前記透光板に固定されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る半導体装置は、請求項1に係る半導体装置において、前記光学機能素子の前記光学機能面とは反対側の面に、第1固定材料よりも硬度の低い第2固定材料によって、放熱板が固着されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体装置は、請求項2に係る半導体装置において、前記放熱板は、硬化後の前記第1固定材料の盛上りとの干渉を回避する逃げ部が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る半導体装置は、請求項1から3のうちいずれか1項に係る半導体装置において、前記光学機能素子は前記長手方向に光電変換素子が配列されたラインセンサを備え、前記配電手段はリード端子が備えられた可撓性のプリント基板であって前記光学機能面の長手方向の端部に形成された接合部に前記リード端子が電気的に接合されて、前記ラインセンサに配電するものであることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項3または4に係る半導体装置において、前記光学機能素子と前記配電手段との接合は、フリップ接合またはリードボンディング接合であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る半導体装置は、請求項1から5のうちいずれか1項に係る半導体装置において、前記配電手段と前記透光板とは、非固定状態であることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る半導体装置は、請求項1から6に係る半導体装置において、前記光学機能素子がその長手方向について、対向する前記透光板に対して凹状に湾曲して固定されていることを特徴とする。
本発明の請求項8に係る半導体装置は、請求項1から7のうちいずれか1項に係る半導体装置において、前記光学機能素子の長手方向についての湾曲形状は、前記光学機能素子の長手方向の互いに異なる複数箇所において、前記透光板と前記光学機能素子とが前記第1固定材料によって、該複数箇所における両者の間隔が互いに異なるように固着されて形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る半導体装置は、請求項8に係る半導体装置において、前記透光板と前記光学機能素子とは、前記光学機能素子の長手方向の略中央部と両端部との3箇所において、前記第1固定材料により固着されていることを特徴とする。
本発明の請求項10に係る半導体装置は、請求項1から9のうちいずれか1項に係る半導体装置において、前記光学機能面とこの光学機能面に対向する前記透光板の面との間の空間を閉空間として包囲するように、前記光学機能素子の周縁部と前記透光板とに亘って、前記第1固定材料よりも硬度の低い第2固定材料が充填されていることを特徴とする。
本発明の請求項11に係る半導体装置は、請求項2、3または10に係る半導体装置において、前記第2固定材料が、シリコン系樹脂であることを特徴とする。
本発明の請求項12に係る半導体装置は、請求項2、3、10または11に係る半導体装置において、前記第1の固定材料および前記第2固定材料が、前記光学機能素子の受感波長域について光学的にブラックであることを特徴とする。
本発明の請求項13に係る半導体装置は、請求項1から12のうちいずれか1項に係る半導体装置において、前記第1固定材料が、UV硬化型接着剤であることを特徴とする。
本発明の請求項14に係る半導体装置の製造方法は、光学機能素子と配電手段とが接合された光学機能接合体と、前記光学機能素子の光学機能面に対向して固定され、前記光学機能面に物体の像を透過させる透光板とを有する半導体装置の製造方法において、前記透光板が、前記光学機能素子の線膨張係数と略等しい線膨張係数を有し、前記光学機能接合体と前記透光板とを、前記光学機能面と前記透光板の対向面との間に所定の間隙を以て対向させ、前記光学機能接合体と前記透光板との一部に、両者に亘り、硬化性の第1固定材料を塗布して両者の前記一部同士を固定し、前記光学機能接合体の前記第1固定材料によって固定された第1固定部以外の部分を、前記透光板方向またはその反対方向に押し引きして、前記透光板を介して入射し前記光学機能素子の光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を該光学機能面上において補正するように、該光学機能接合体をその長手方向に湾曲させ、前記光学機能接合体が前記湾曲された状態を維持するように、前記光学機能接合体と前記透光板とに亘って前記第1固定材料を塗布して、前記光学機能接合体を前記透光板に対して前記湾曲させた状態で固定することを特徴とする。
本発明の請求項15に係る半導体装置の製造方法は、請求項14に係る製造方法において、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させるのに先立って、前記像面湾曲を予め求め、前記求められた像面湾曲に応じて前記光学機能接合体の湾曲量を予め設定し、前記設定された湾曲量となるように、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させることを特徴とする。
本発明の請求項16に係る半導体装置の製造方法は、請求項14に係る製造方法において、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させるに際して、予め準備された所定の原稿の像を、前記透光板を介して前記光学機能素子の光学機能面に投影させ、前記第1固定材料によって固定された前記光学機能接合体の第1固定部以外の部分を、前記透光板方向またはその反対方向に押し引きしつつ、前記原稿の像に応じた前記光学機能接合体からの出力を略リアルタイムに検出し、前記出力を監視しつつ、該出力における像面湾曲を補正するように、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させることを特徴とする。
本発明の請求項17に係る半導体装置の製造方法は、請求項14から16のうちいずれか1項に係る製造方法において、前記第1固定部は、前記光学機能接合体の長手方向略中央部であり、前記光学機能接合体の第1固定部以外の部分は、前記長手方向の各端部寄りの部分であることを特徴とする。
本発明の請求項18に係る半導体装置の製造方法は、請求項14から16のうちいずれか1項に係る製造方法において、前記第1固定部は、前記光学機能接合体の長手方向両端部のうち一方の端部寄りの部分であり、前記光学機能接合体の第1固定部以外の部分は、前記長手方向の略中央部と前記長手方向両端部のうち他方の端部寄りの部分とであることを特徴とする。
本発明の請求項19に係る半導体装置の製造方法は、光学機能素子と配電手段とが接合された光学機能接合体と、前記光学機能素子の光学機能面に対向して固定され、前記光学機能面に物体の像を透過させる透光板とを有する半導体装置の製造方法において、前記透光板が、前記光学機能素子の線膨張係数と略等しい線膨張係数を有し、前記光学機能接合体と前記透光板とを、前記光学機能面と前記透光板の対向面との間に所定の間隙を以て対向させ、前記透光板を介して入射し前記光学機能素子の光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を該光学機能面上において補正するのに適した湾曲量で、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させ、前記光学機能接合体が前記湾曲された状態を維持するように、前記光学機能接合体と前記透光板とに亘って複数箇所に第1固定材料を塗布して、前記光学機能接合体を前記透光板に対して前記湾曲させた状態で固定することを特徴とする。
本発明の請求項20に係る半導体装置の製造方法は、請求項14から19のうちいずれか1項に係る製造方法において、前記光学機能接合体をその長手方向に湾曲させるに際して、前記第1固定材料の硬化後の収縮に伴う前記光学機能接合体の湾曲を、予め見込んで湾曲させることを特徴とする。
本発明の請求項21に係る画像読取ユニットは、少なくとも、読取対象の像を投影する光学系と、前記光学系によって投影された像の像面湾曲を補正するように、その光学機能素子が湾曲した請求項1から13のうちいずれか1項に係るの半導体装置とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項22に係る画像形成装置は、筐体内に、少なくとも請求項21に係る画像読取ユニットと、該画像読取ユニットによって読み取られる原稿を所定位置に配置する原稿配置部とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る半導体装置によれば、光学機能素子が、その光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を補正するように、その長手方向に湾曲しているため、光学機能面において像面湾曲が補正された結像状態を得ることができる。
したがって、この半導体装置に入射する以前の光線進行方向上流側に、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、トータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子の光学機能面自体が、単独で湾曲した形状に仕上げられているのではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面を有する光学機能素子が、湾曲された状態で、半導体装置において保護カバーとして従来より用いられている透光板に固定されることによって、光学機能面の湾曲状態が形成されているため、従来の半導体装置に対して新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
さらに、光学機能素子は透光板に、第1固定材料によって固定されているが、両者(光学機能素子と透光板)の線膨張係数が略等しいため、両者がそれぞれ温度変化によって伸縮したときでも、両者の膨縮量の差は殆どなく、したがって、第1固定材料による両者の固定部分に、この固定部分を破壊するような大きな応力が生じるのを防止して、光学機能素子が剥離するのを防止することができる。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、光学機能接合体の光学機能面を透光板に対向させた上で、光学機能素子の一部(第1固定部)を第1固定材料によって透光板に固定し、その後に、第1固定部以外の長手方向の部分を透光板方向またはその反対方向に押し引きして、光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲が光学機能面上において補正されるように、光学機能接合体を長手方向に湾曲させた状態で第1固定材料により固定するため、透光板を介して光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を、この光学機能面上において補正することができる。
したがって、この半導体装置に入射する以前の光線進行方向上流側に、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、トータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子の光学機能面自体を、単独で湾曲した形状に仕上げられるのではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面を有する光学機能素子を、湾曲した状態で、透光板に固定するだけの簡単な操作によって、光学機能面の湾曲状態を形成することができるため、従来の半導体装置の製造方法に比べて、新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
そして、この製造方法によって製造された半導体装置の光学機能素子と透光板との線膨張係数は略等しいため、両者がそれぞれ温度変化によって伸縮したときでも、両者の膨縮量の差は殆どなく、したがって、第1固定材料による両者の固定部分に、この固定部分を破壊するような大きな応力が生じるのを防止して、光学機能素子が剥離するのを防止することができる。
また、本発明に係る画像読取ユニットによれば、光学機能素子が、光学系によって光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を補正するように、その長手方向に湾曲しているため、光学機能面において像面湾曲が補正された結像状態を得ることができる。
したがって、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、光学系の構成を簡略化することができ、画像読取ユニット全体のトータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子の光学機能面自体が、単独で湾曲した形状に仕上げられているのではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面を有する光学機能素子が、湾曲された状態で、半導体装置において保護カバーとして従来より用いられている透光板に固定されることによって、光学機能面の湾曲状態が形成されているため、従来の半導体装置に対して新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
さらに、光学機能素子は透光板に、第1固定材料によって固定されているが、両者(光学機能素子と透光板)の線膨張係数が略等しいため、両者がそれぞれ温度変化によって伸縮したときでも、両者の膨縮量の差は殆どなく、したがって、第1固定材料による両者の固定部分に、この固定部分を破壊するような大きな応力が生じるのを防止して、光学機能素子が剥離するのを防止することができる。
また、本発明に係る画像形成装置によれば、光学機能素子が、光学系によって光学機能面に投影される物体の像の像面湾曲を補正するように、その長手方向に湾曲しているため、光学機能面において像面湾曲が補正された結像状態を得ることができる。
したがって、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、画像読取りユニットの光学系の構成を簡略化することができ、画像形成装置全体のトータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子の光学機能面自体が、単独で湾曲した形状に仕上げられているのではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面を有する光学機能素子が、湾曲された状態で、半導体装置において保護カバーとして従来より用いられている透光板に固定されることによって、光学機能面の湾曲状態が形成されているため、従来の半導体装置に対して新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
さらに、光学機能素子は透光板に、第1固定材料によって固定されているが、両者(光学機能素子と透光板)の線膨張係数が略等しいため、両者がそれぞれ温度変化によって伸縮したときでも、両者の膨縮量の差は殆どなく、したがって、第1固定材料による両者の固定部分に、この固定部分を破壊するような大きな応力が生じるのを防止して、光学機能素子が剥離するのを防止することができる。
以下、本発明に係る半導体装置、この半導体装置の製造方法、この半導体装置を備えた画像読取ユニット、この画像読取ユニットを備えた画像形成装置についての最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例であるスキャナ装置300の要部断面を示す図である。図示のスキャナ装置300は、天面にコンタクトガラス310(原稿配置部)が設けられた略直方体形状の筐体320と、この筐体320の内部に配設された画像読取ユニット200と、コンタクトガラス310上に載置された原稿400に照明光L0を照射する光源330と、照明光L0によって照射された原稿400からの反射光L1を、画像読取ユニット200に向けて導光する反射光学系340と、光源330、反射光学系340および画像読取ユニット200を同期させて一定方向Yに移動させる走査装置350と、画像情報記憶部360と、走査装置350等の駆動および画像情報記憶部360の入出力を制御する図示しない制御装置とを備えた構成である。
図2は、図1に示したスキャナ装置300における画像読取ユニット200の詳細を示すもので、この画像読取ユニット200は本発明に係る画像読取ユニットの一実施形態である。図示の画像読取ユニット200は、スキャナ装置300に取り付けられた状態において、コンタクトガラス310の面内方向であって方向Y(反射光L1の進行方向)に略直交する方向Xと平行な方向を長手方向とする半導体装置100と、この半導体装置100に、反射光学系340からの反射光L1が担持する原稿400の像を投影する光学系110と、これら半導体装置100および光学系110とを一体的に保持するユニットケース120とを備えた構成である。
光学系110は、レンズ111,112,113と導光板114とを備え、導光板114は、ケース120の遮光カバー121内部に設けられている。
また、半導体装置100は、これら光学系110の像側に、取付部材130によって取り付けられているが、光学系110に近い側から、後述する透光板2、光学機能素子5、放熱板1の順で配置され、かつ、光学機能素子5の光学機能面としての受光面が反射光L1の進行方向に略直交するように、ユニットケース120に固定されている。
図3は、図2に示した画像読取ユニット200における半導体装置100の詳細を示す図であり、この半導体装置100は本発明に係る半導体装置の一実施形態である。図示の半導体装置100は、例えばその全長が約11cm、幅が約4mm、厚さが約4mmの直方体形状を呈するものであり、光学機能素子5と、この光学機能素子5をその両面から挟むように設けられた放熱板1および光透過性の透光板2とを備えている。
光学機能素子5は、直線状に長く延びて、この長く延びた長手方向に沿って多数の光電変換素子が配列された例えばカラー用のラインCCD(固体撮像素子)ベアチップが用いられ、このカラー用のラインCCDベアチップの配列素子数(画素数)は、例えばA3原稿読取用として600dpi、RGB各色7300に相当するものである。
その光学機能素子5は、図4に拡大して示すように、受光面(光学機能面)5aを有し、この受光面5aの中央部はCCDの素子配列領域5bとなっており、素子配列領域5bの両側近傍に回路部5c,5dが形成されている。回路部5cは例えばCCDの駆動用に用いられ、回路部5dは例えばCCDからの信号読み出し用に用いられる。なお、図4において、Rは赤色、Gは緑色、Bは青色をそれぞれ検出するラインCCDである。
光学機能面5aの各回路部5c,5dの近傍にはそれぞれ突起5gが形成されている。この突起5gは、光学機能素子5の光学機能面5aに形成された金バンプであり、各回路部5c,5dと電気的に接続されている。なお、金バンプは、機械的に作られたスタッドバンプであってもよいし、化学的に形成されたメッキバンプであってもよい。
そして、これら各突起5gにはそれぞれ、フレキシブルプリント基板によって形成された配電手段3が接合されている。これら各配電手段3は、基板3c上に形成されたリード線路3bを備え、、各リード線路3bと各突起(バンプ)5gとは、はんだ接合や接着接合等によってフェイスダウン接合(フリップチップ接合)され、配電手段3と光学機能素子5とは、図5に示す光学機能接合体6を構成している。
なお、本実施形態においては、接着剤9によって接合したものを示しており、接着剤9は、隣接するリード端子3a,3a間での短絡を防止する観点から非導電性接着材を用いるのが適当であり、例えば新日鉄化学社製のNEX−151(商品名)などを適用することができる。また、配電手段3と光学機能素子5との接合は、フリップチップ接合形式に限定されるものではなく、リードボンディング接合等種々の接合形式を適用することができる。
また、光学機能素子5は、素子配列領域5bを含めて半導体材料によって形成されており、透光板2は光学機能素子5と線膨張係数が略等しい透明なガラス材によって形成され、放熱板1は熱伝導性の高いアルミニウム、銀または銅などの材料によって形成されている。
次に、この半導体装置100の製造方法を説明しつつ、半導体装置100を構成する要素の詳細形状等について説明する。なお、この製造方法は、本発明の半導体装置製造方法の一実施形態である。
まず、図5に示した光学機能接合体6(以下、接合体6という。)の長手方向中央部付近の側面5x,5yを、図6に示すように、図示しない移積装置の第1ロボットアーム500の先端部に設けられたチャック部(可動爪)510によって、光学機能面5aの背面5z側から挟持する。このときチャック部510は、後述する第1固定材料7が塗布される部分(接合体6の長手方向中央部の側面5x,5y部分)に掛らない部分を挟持する。
そして、第1ロボットアーム500は、把持した接合体6を、その光学機能面5aを透光板2の方向に向けて進め、光学機能面5aと透光板2の対向面2aとが所定の間隔を以て対向した状態で停止させる。
このとき、透光板2は、所定の載置台等の上に載置されており、第1ロボットアーム500は、接合体6の長手方向中心位置が透光板2の長手方向中心位置に一致するように、接合体の停止位置を調整する。
次に、第1ロボットアーム500が接合体6を把持した状態のままで、図7に示すように、第1のディスペンサ520が、接合体6と透光板2との長手方向中央部であって、接合体6の両側面5x,5yに、両者6,2に亘って、硬化性の第1固定材料7を点状に塗布する。なお、図示においては、接合体6の一方の側面5y側に塗布している様子を示しているが、他方の側面5xにも塗布する。この他方の側面5xへの塗布は、一方の側面5yに塗布した後に、第1のディスペンサ520が、他方の側面5x側に回り込んで塗布してもよいし、第1ディスペンサ520と同様の他のディスペンサもさらに用意して、両ディスペンサによって、各側面5x,5y側をそれぞれ各別に、かつ同時に塗布してもよい。
なお、第1のディスペンサ520は、第1固定材料7を塗布する位置を制御することができる位置決め機能を有しており、図示しない制御装置によって、その塗布位置の制御がなされている。
また、第1固定材料7は、粘度の高いUV硬化型の接着材であり、例えば電気化学工業社製のUV接着剤OP−2070(商品名)等を適用するのが適当である。このように粘度の高いUV硬化型の接着剤は、塗布後の流動性が低いため、接合体6の両側面5x,5yに塗布した後に、光学機能面5a側に流れ込むのを防止することができる。また、UV光を照射することによって、短時間のうちに硬化させることができ、特に、硬化を待たずに次の工程に進むことができない場合には、より有用である。
接合体6と透光板2とに亘って第1固定材料7を塗布した後、図示しないUV光照射装置が、その塗布部をUV光で照射し、これによって、第1固定材料7は硬化し、接合体6と透光板2とは、その長手方向中央部において一体的に固定される。
両者6,2が中央部において固定された後、移積装置の第2ロボットアーム530が接合体6に近接し、この第2ロボットアーム530のチャック部540が、図8に示すように、接合体6の長手方向の一方の端部近傍を把持し、この把持した端部近傍を、透光板2に近接する方向に押圧する。
このように端部近傍が透光板2の方向に押圧されると、接合体6は湾曲し、第1ロボットアーム500および第2ロボットアーム530が、接合体6の湾曲状態を維持しつつ、図9に示すように、第1ディスペンサ520が、接合体6の端部の両側面5x,5yに、両者6,2に亘って、硬化性の第1固定材料7を点状に塗布する。なお、図示においては、接合体6の一方の側面5y側に塗布している様子を示しているが、中央部への塗布の場合と同様に、一方の側面5yを塗布した後に、第1のディスペンサ520が、他方の側面5x側に回り込んで塗布してもよいし、第1ディスペンサ520と同様のディスペンサもさらに用意して、両ディスペンサによって、各側面5x,5y側をそれぞれ各別に、かつ同時に塗布してもよい。そして、図示しないUV光照射装置が、その塗布部をUV光で照射して、第1固定材料7を硬化させる。
上述した端部近傍の押圧、接合体6の湾曲、第1固定材料7の塗布、UV光の照射、という一連の動作を、他方の端部近傍についても同様に行う。なお、本実施形態においては、各端部近傍を順次固定するものとして説明したが、両端部近傍をそれぞれ各別に把持、押圧する第2ロボットアーム530および第1ディスペンサ520をもう1組準備して、両端部近傍の固定を同時に並行して行うようにしてもよい。
また、接合体6の中央部の固定が終了した後の第1ロボットアーム500が、接合体6から離脱し、接合体6の端部近傍を把持、押圧するものとしてもよく、この場合は、第1ロボットアーム500が第2ロボットアーム530を兼ねるため、この観点から製造コストの低減に資することもできる。
第1固定材料7が硬化した後は、第1ロボットアーム500および第2ロボットアーム530が、それぞれそのチャック部510,540による接合体6の把持を解除して、接合体6から離脱し、図10に示すように、接合体6は、長手方向に湾曲した状態で透光板2に固定される。
ここで、この製造工程によって形成される接合体6の湾曲形状は、この接合体6を有する半導体装置100が前述した画像読取ユニット200に組み付けられた状態において、透光板2を介して入射し光学機能素子5の光学機能面5aに投影される原稿400の像の像面湾曲を、この光学機能面5a上において補正する形状であり、主として画像読取ユニット200の光学系110との組合せに応じて、接合体6の両端部近傍を押圧変位させる変位量として予め設定されており、この変位量となるように、第1ロボットアーム500および第2ロボットアーム530が位置制御されている。
このように、接合体6の長手方向中央部と、各端部寄りの2つの端部近傍との合計3つの部分を、透光板2に固定するだけの簡単な工程によって、接合体6を凹状に湾曲させた状態で保持させることができ、接合体6がこの凹状の湾曲形状に固定されることによって、光学機能面5a上に投影される像の像面湾曲を補正することができる。
なお、接合体6の長手方向中央部を最初に固定することにより、この接合体6の中央部とを、この半導体装置100が組み合わされる光学系110の光軸とを一致させやすく、接合体6の湾曲形状を、光学系110の光軸に関して対称的に生じる像面湾曲に対応した形状に形成させ易い。
また、接合体6の両端部近傍を変位させる変位量は、両端部で同一であることが基本であるが、例えば組み合わされる光学系(本実施形態においては、光学系110)と接合体6とが、画像読取ユニット200として組み立てられた状態において、光学系の光軸と接合体6の中央部とが一致しないものであるときは、接合体6の光学機能面5a上における像面湾曲は、接合体6の中央部に対して両端部で対称にはならないため、接合体6が光学系とそのように組み合わされる場合には、光学機能面5a上において像面湾曲を補正するように、接合体6の両端部近傍を変位させる変位量に差異を持たせてもよい。
なお、像面湾曲は一般的には、像の結像位置(焦点位置)が、光学系に入射する光線が光学系の光軸から離れるにしたがって、光の入射側(物体側)にずれる傾向があるため、このような像面湾曲を光学機能面5a上で補正するには、上述したように、光学機能面5aが透光板2に対して凹状となるように接合体6を湾曲させるのが適切である。
ただし、像の結像位置が、光学系の光軸から離れるにしたがって光の出射側(像側)にずれる像面湾曲が生じる場合には、光学機能面5aが透光板2に対して凸状となるように接合体6を湾曲させて、像面湾曲を光学機能面5a上で補正すればよい。
この場合には、図11(a)に示すように、第2ロボットアーム530が、接合体6の各端部近傍を、透光板2から離隔させる方向に引張って凸状に変形させるか、あるいは、図11(b)に示すように、接合体6の中央部を固定するのに先立って、接合体6の両端部のうち一方の端部の近傍を固定し、その後に中央部を透光板2に近接する方向に第1ロボットアーム500が押圧して固定し、最後に他方の端部の近傍を第2ロボットアーム530が引張って接合体6を凸状に変形させ、その後この他方の端部を固定すればよい。
なお、中央部は光学基準となるため本来は最初に固定するのが適切であるところ、中央部を固定するのに先立って一方の端部を固定するのはともかく、中央部に先行して両方の端部とも固定するのは好ましくない。
また、接合体6をその長手方向に湾曲させるに際して、第1固定材料7の硬化後の収縮に伴う接合体6の湾曲を予め見込んだ上で、湾曲させるのが好ましい。第1硬化材料7が硬化によって収縮を伴う場合には、この収縮によって、湾曲させた接合体6の湾曲量が変動する虞があるが、収縮に伴う湾曲量を予め見込んで、接合体6を湾曲させることにより、第1固定材料7が硬化して接合体6が固定された状態において、像面湾曲を精度良く補正することができるからである。
なお、第1固定材料7の塗布部位は、上述した部位に限定されるものではなく、接合体6を第1固定材料7によって、所望とする形状(光学機能面5a上において像面湾曲を補正する湾曲形状をいう。以下、同じ。)に湾曲させた状態で保持固定することができる範囲において、適宜変更することができ、塗布点数についても、上述した3点に限定されるものではなく、それ以上の複数の点数で塗布することもできる。4点以上の複数の点数で塗布するときは、接合体6の湾曲形状を、より複雑な形状に形成することもできる。
また、上述した形態は、接合体6の長手方向のいずれか(中央部または一方の端部)を固定した後に、固定した部分以外の部分に荷重を掛けて接合体6を湾曲変形させる製造方法であるが、いずれの部位も固定する以前に、接合体6を予め所望とする湾曲形状に変形させ、その変形させた状態を維持させながら、接合体6を透光板2に固定するようにしてもよい。
すなわち、まず図12(a)に示すように、第1ロボットアーム500によって接合体6に中央部を把持するとともに、2つの第2ロボットアーム530,530によって接合体6の各端部近傍をそれぞれ把持し、第1ロボットアーム500と第2ロボットアーム530,530との相対位置を制御することによって、接合体6を所望とする湾曲形状に湾曲変形させ、次いで図12(b)に示すように、この接合体6の湾曲状態を各ロボットアーム500,530,530によって維持して透光板2に近接させ、第1ディスペンサ520により、湾曲状態の接合体6と透光板2とに亘って複数箇所に第1固定材料7を塗布することによっても、図10に示す湾曲形状で固定された接合体6を得ることができる。
なお、上述した各形態の製造方法は、光学機能面5a上における像面湾曲が予め得られている場合に適用できる方法であるが、この半導体装置100と組み合わされる光学系110による光学機能面5a上における像面湾曲が、例えば光学系110自体の個体差によって、あるいは、光学系110と半導体装置100とを組み付けるユニットケース120の製造誤差等による個体差によって、予め得られている像面湾曲が実際の像面湾曲と一致しない場合もある。
また、投影面上における像面湾曲は、組み合わされる光学系110との関係で規定されるものであるから、組み合わされる光学系110の特性が変わるごとに、その像面湾曲を補正するための接合体6の湾曲形状を変える必要がある。
そこで、このような場合にも対応可能とするために、接合体6をその長手方向に湾曲させるに際して、図13に示すように、接合体6および透光板2を、半導体装置100として実際にセットされる画像読取ユニット200のユニットケース120(またはこのユニットケース120に模した治具)にセットするとともに、ユニットケース120(または治具)に、実際に組み合わされる光学系110もセットし、接合体6の光学機能面5aに、基準となる予め準備された所定の原稿の像L2を、光学系110および透光板2を介して投影させ、光学機能面5aに形成されたCCDからの原稿像L2に応じた出力を、配電手段3を介して処理装置によって略リアルタイムに検出し、この処理装置からの出力をモニタ等に表示して像面湾曲を監視しつつ、第1ロボットアーム500および第2ロボットアーム530,530によって接合体6を押し引きして接合体6の湾曲形状を試行錯誤的に変化させ、この出力における像面湾曲が適切に補正されたとき、その接合体6の湾曲形状を維持したまま各ロボットアーム500,530,530による押し引き動作を停止し、第1ディスペンサ520によって、第1固定材料7を、接合体6および透光板2に亘って塗布し、接合体6を、光学機能面5a上における像面湾曲を適切に補正する湾曲形状で、透光板2に固定すればよい。
このように、個別の接合体6について、実際にその接合体6のCCDを駆動しながら、像面湾曲を逐一補正することによって、光学系110の個体差等に精度よく対応した半導体装置100を得ることができる。
次に、図14(b),図15(b)、図16(b)に示すように、光学機能素子5の両側面5x,5y、および背面5z、および透光板2の対向面2aに、長手方向に亘って、第2固定材料4を、図示しない第2ディスペンサ等によって塗布する。この第2固定材料4は、第1固定材料7よりも硬度が低く、絶縁性を有するものであって、シリコン系樹脂のものが望ましい。シリコン系樹脂としては、例えば、東レダウコーニング社製のJCR6224(商品名)を適用することができる。このシリコン系樹脂(接着剤)は、硬化前粘度が250Pa・sと非常に高く、ほとんど流動性がないため、塗布後に光学機能面5aへ流れ込むのを防止することができる。
第2固定材料4として絶縁性材料を用いるのは、光学機能面5aに第2固定材料4が誤って付着した場合にも、短絡の虞れを回避することができるからである。また、シリコン系樹脂を用いるのは、光学機能素子5、放熱板1、および透光板2という三者の熱膨張率の差による歪みを、吸収し易いからである。
さらに、第1固定材料7よりも硬度の低いものとするのは、第1固定材料7が硬化の過程で収縮したとしても、光学機能素子5と透光板2との線膨張係数が厳密に同一でない場合にも、光学機能素子5および透光板2のうち少なくとも一方の、第1固定材料7で固定されている部分以外の部分で、両者の膨縮差を吸収させることができるからである。
なお、光学機能面5aが向いた空間を閉空間S(図16(b)参照)として包囲するように、光学機能素子5と透光板2との間の隙間が第2固定材料4によって充填されるため、光学機能面5aに形成されたCCDの機能を損なうことなく両者5,2の一体性を高めることができるとともに、光学機能面5aを外部雰囲気から遮蔽することができる。
したがって、半導体装置100全体として光学機能面5aに塵埃や水分(水蒸気や結露等)が直接付着するのを防止することができ、塵埃等の付着によって光学機能素子5の光学的特性が劣化するのを防止することができる。なお、特に水分に対する封止性能を向上させるために、第2固定材料4の表面に封止用のコーティングを施すのが、より好ましい。
第1固定材料7および第2固定材料4は、光学機能素子5の受感波長域の光について、光学的にブラックであることが好ましい。第1固定材料7および第2固定材料4が、光学機能素子5が機能する受感波長域の光に対して光学的にブラック(当該受感波長域の光を透過させない特性)であることにより、光学機能素子5の受感波長域の光が、第1固定材料7または第2固定材料4を透過して光学機能素子5に到達するのを防止することができ、透光板2の方向以外の方向から半導体装置100に入射する乱反射光(フレア)等を抑制して、半導体装置100全体としてのS/Nを向上させることができるからである。ここで、光学的にブラックとする一例としては、第1固定材料7および第2固定材料4を、光学機能素子5の受感波長域で黒色化すればよい。
さらに、透光板2の厚さ方向に沿った各端面(厚さ端面)は、光学機能素子5の受感波長域の光に対して、光学的にツヤ消し(当該受感波長域の光を拡散させて外部から入射させない特性)に形成されていることが好ましい。透光板2の厚さ端面から外光が入射するのを防止することができ、半導体装置100に入射する乱反射光(フレア)等を抑制して、半導体装置100全体としてのS/Nを向上させることができるからである。ここで、光学的にツヤ消しとする一例としては、透光板2の厚さ端面の表面を荒らしたり、厚さ端面にツヤ消しの塗料を塗布すればよい。
また、配電手段3のうち、透光板2の対向面2aと対向する対向面3dは、透光板2の対向面2aとの間を、シリコン系の接着剤(例えば、東レダウコーニング社製のSE9187L)8を用いて封止するのが好ましい。この接着剤8は、硬化後の硬度がA17であり、第1固定材料7、第2固定材料4の各硬化後の硬度と比べて非常に低く、しかも柔軟性を失わないため、閉空間Sを確保するように封止しつつも、対向面2a,3d間の接合状態を実質的に非固定状態に維持することができる。
この結果、配電手段3と透光板2とは、線膨張係数が互いに異なる場合に、温度の影響によって両者3,2に膨縮の差が生じても、両者3,2の間では接着剤8によって滑りが生じるため、両者3,2のいずれにも膨縮差による応力が生じるのを防止することができる。
なお、配電手段3の対向面3dと透光板2の対向面2aとの間に、上述した接着剤8を塗布することは必須ではないが、塗布しない場合であっても、両者3d,2aの間隙から、閉空間S内に塵埃が侵入しないように、両者3d,2aの間隔を設定するのが好ましい。
次いで、図17に示すように、接合体6のうち、透光板2が固定されている面とは反対の面側から、放熱板1を近接させ、図16(c)に示すように放熱板1を第2固定材料4に圧着させた後、第2固定材料4を硬化させる。そして、第2固定材料4の硬化によって、図1に示す半導体装置100が製造される。
なお、図示の放熱板1は、第2固定材料4との密着面1aが単純な平面のものであるが、光学機能素子5は湾曲して固定されているため、光学機能素子5の背面5zとの密着性を高めて、放熱板1への伝熱性能を向上させるべく、放熱板1の密着面1aを、光学機能素子5の背面5zの湾曲形状と略一致する凹面状に形成するのが好ましい。しかも、このように放熱板1の密着面1aを、凹面状に切削し、または金型によって凹面状に形成することによって、半導体装置100の全体の厚さを薄くすることもできる。
また、例えば図18に示すように、透光板2と接合体6とを固定する第1固定材料7が、光学機能素子5の背面(図示においては上面)5zよりも図示上方に盛り上がって塗布されると、硬化後の第1固定材料7は固体的な硬度を有するため、放熱板1の密着面1aがこの第1固定材料7の盛上りと干渉して、放熱板1の密着面1aを光学機能素子5の背面5zに密着させることができなくなる虞がある。
そこで、このような第1固定材料7の塗布盛上りが生じる半導体装置100においては、同図に示すように、放熱板1の密着面1aに、第1固定材料5の盛上りとの干渉を回避する逃げ孔1bを形成するのが好ましく、このように放熱板1が形成されることによって、第1固定材料7の盛上りは逃げ孔1bの空間に収容されるため、密着面1aと盛上りとが干渉することがなく、放熱板1の密着面1aを光学機能素子5の背面5zに密着させて、放熱効果が低下するのを防止することができる。
また、第2固定材料4は、第1固定材料7よりも硬度が低いシリコン系樹脂であるため、放熱板1と接合体6との線膨張係数に差異があっても、両者1,6の間に介在する第2固定材料(シリコン系樹脂)4が、両者1,6の各歪みの差を吸収し、両者1,6の歪みの差によって生じうる両者1,6間の応力を緩和させることができる。
この結果、上記応力に起因して、両者1,6のいずれか一方または両方に反りや意図しない変形、または両者1,6の剥離を防止することができ、光学性能が劣化する(ピントのずれ等)のを防止することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、透光板2を介して光学機能面5aに投影される物体(原稿400)の像の像面湾曲を、この光学機能面5a上において補正することができる半導体装置100を製造することができる。
したがって、この半導体装置100に入射する以前の光線進行方向上流側に、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、トータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子5の光学機能面5a自体を、単独で湾曲した形状に仕上げる(切削加工や鋳型による湾曲面を形成する)のではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面5aを有する光学機能素子5を、湾曲した状態で、透光板2に固定するだけの簡単な製造工程によって、光学機能面5aの湾曲状態を形成することができるため、従来の半導体装置の製造方法に比べて、新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
ここで、接合体6を湾曲させる湾曲の程度(湾曲量)を、この半導体装置100と組み合わされる光学系110の予め求められた像面湾曲に応じて設定する製造方法においては、基準となる光学系を用いることにより、上記湾曲量を常に一定の湾曲量として設定することができる。
したがって、このような一定の湾曲量を形成する組立治具を用いて、湾曲を形成することができ、接合体6の湾曲操作を簡単化することができるとともに、湾曲程度のばらつきを抑制することができる。
一方、接合体6を湾曲させる操作を、光学機能素子(CCD)5の実際の出力を監視しながら試行錯誤的に行うようにした製造方法によれば、この半導体装置100と組み合わされる光学系110の像面湾曲の個体差や、半導体装置100自体の個体差等も加味した補正を行うことができ、像面湾曲の補正の精度を高めることができる。
そして、この製造方法によって製造された半導体装置100は、光学機能素子5が、その光学機能面5aに投影される物体の像の像面湾曲を補正するように、その長手方向に湾曲しているため、光学機能面5aにおいて像面湾曲が補正された結像状態の像を得ることができる。
したがって、この半導体装置100に入射する以前の光線進行方向上流側に、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がなく、トータルコストを低減することができる。
また、光学機能素子5の光学機能面5a自体は、単独で湾曲した形状に仕上げられているのではなく、従来と同様に平坦に形成された光学機能面5aを有する光学機能素子5が、湾曲された状態で、半導体装置100において保護カバー等として従来より用いられている透光板2に固定されることによって、光学機能面5aの湾曲状態が形成されているため、従来の半導体装置に対して新たな構成部材を追加したり、湾曲面仕上げ加工等の大幅なコストアップを招く加工を行う必要がなく、製造コストが高くなるのを抑制することができる。
しかも、その光学機能素子5と透光板2との線膨張係数が略等しいため、両者5,2がそれぞれ温度変化によって膨縮したときでも、両者5,2の膨縮量の差は殆どなく、したがって、第1固定材料7による両者5,2の固定部分に、この固定部分を破壊するような大きな応力が生じるのを防止して、光学機能素子5が透光板2から剥離するのを防止することができる。
また、光学機能素子5の発熱は、背面5zに設けられた放熱板1によって放熱することにより、光学機能素子5の温度上昇を抑制することができ、温度上昇によって生じ易い光学機能素子のノイズを低減して、S/Nを高めることができる。なお、光学機能素子5が、発熱の小さいものである場合には、必ずしも放熱板1を設ける必要はなく、放熱板1を省いた構成としてもよい。
一方、放熱板1はアルミニウム材料等で形成されているためであるため、半導体材料からなる光学機能素子5よりも熱伝導率が高く、線膨張係数も大きい。したがって、光学機能素子5と放熱板1とを固着している第2固定材料4の硬度が高いと、温度変化によって両者5,1が膨縮したときの膨縮量差によって、第2固定材料4が破壊されて両者5,1が分離する虞がある。
しかし、第2固定材料4は第1固定材料7よりも硬度が低いため、相対的に硬度の高い第1固定材料4によって固着されている光学機能素子5と透過板2とが、一体的に、放熱板1の膨縮力に抗し、相対的に硬度の低い第2固定材料4が、光学機能素子5と放熱板1との間の膨縮量差を、その柔軟性によって吸収することができ、光学機能素子5と放熱板1とが分離するのを防止することができる。
また、この半導体装置100は、配電手段3が可撓性を有するため、この配電手段3が接合された光学機能素子5を湾曲させても、配電手段3はその可撓性によって光学機能素子5の曲げ変位に追従して撓み、光学機能素子5との接合部や配電手段3自体に過度の応力が生じるのを防止することができる。
上述した実施形態の半導体装置100は、配電手段3が、フリップチップ接合(フェイスダウン接合)によって、光学機能素子5に接合されたものであるが、本発明の半導体装置はこの接合方式に限るものではなく、例えば図19に示すように、配電手段3と光学機能素子5とをリードボンディング接合によって接合したものであってもよい。
ここで、リードボンディング接合は、TAB(Tape Automated Bonding)等において使用され、半導体チップ電極と外部の配線のリード線とを超音波によって溶融させる等金属の塑性変形効果により接合する方式であり、本実施形態の接合体6においては、光学機能素子5のパッド部5eの表面に突起状の接点である金バンプを形成し、このパッド部5eと配電手段3の金メッキされたリード端子3aとを超音波振動によって接合すればよい。なお、パッド部5eにバンプが形成されていることによって、配電手段3の接合位置の位置決めをし易いという効果を発揮するが、必ずしもバンプが形成されている必要はない。
また、図19においては、配電手段3のフィルム部3dからリード端子3aが露出しており、接合パッド部5eとの接合は外力に対して弱いため、リード端子3aも含めて光学機能素子5の側面5x,5yとフィルム部3dとに亘り、硬化性の固定材料10を塗布して、接合パッド部5eの補強を図っている。
ここで、補強用の固定材料10としては、第1固定材料7と同様に、粘度の高いUV硬化型の接着材が適当であり、例えば電気化学工業社製のUV接着剤OP−2070(商品名)等を適用するのが適当である。
なお、リードボンディング接合およびフリップチップ接合は、ワイヤーボンディング接合のように、光学機能素子5と透光板2との間に大きな空間を確保する必要がないため、半導体装置100全体のサイズを小型化することができる。
上述した実施の形態は、光学機能素子5として固体撮像素子であるCCDを適用したものであるが、本発明においてはこの形態に限定されるものではなく、CCDと同様の撮像素子であるCMOSであってもよいし、発光素子であるLEDアレイ、EL素子アレイ等や液晶等を適用することもでき、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、このように構成された半導体装置100を備えた本実施形態の画像読取ユニット200によれば、像面湾曲を補正するための光学系を追加的に設ける必要がないため、光学系100の構成を簡略化することができ、画像読取ユニット200全体のトータルコストを低減することができる。
そして、このように構成された画像読取ユニット200を備えた本実施形態の画像形成装置300によれば、画像読取ユニット200のコストを抑制することができるため、画像形成装置300全体のトータルコストを低減することができる。