JP2005093322A - 画像表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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滋男 竹中
Masaru Nikaido
勝 二階堂
Satoko Koyaizu
聡子 小柳津
Satoshi Ishikawa
諭 石川
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Abstract

【課題】電子ビームの軌道ずれ、およびスペーサと基板との間のギャップの発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】画像表示面が形成された第1基板10と、複数の電子放出源が設けられた第2基板12とが対向配置されている。第1および第2基板間には板状のグリッド24が配設されている。グリッドと第1基板との間には複数の第1スペーサ30aが立設され、グリッドと第2基板との間には複数の第2スペーサ30bが立設されている。グリッドと第1スペーサとの間には第1導電層68aが設けられ、グリッドと第2スペーサとの間には第2導電層68bが設けられている。第2スペーサの第2基板側の端部には導電部が設けられている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設された複数のスペーサと、を備えた画像表示装置およびその製造方法に関する。
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型の画像表示装置が注目されている。例えば、平面表示装置として機能するフィールド・エミッション・デバイス(以下、FEDと称する)の一種として、表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)の開発が進められている。
このSEDは、所定の間隔をおいて対向配置された第1基板および第2基板を備え、これらの基板は矩形状の側壁を介して周辺部を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。第1基板の内面には3色の蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体を励起する電子源として、各画素に対応する多数の電子放出素子が配列されている。各電子放出素子は、電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の電極等で構成されている。第1基板および第2基板間に作用する大気圧荷重を支持し基板間の隙間を維持するため、両基板間には、多数の板状あるいは柱状のスペーサが配置されている。
SEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。
高い加速電圧を持った電子が蛍光面に衝突した際、蛍光面で2次電子および反射電子が発生する。第1基板と第2基板との間の空間が狭い場合、蛍光面で発生した2次電子および反射電子が、基板間に配設されたスペーサに衝突し、その結果、スペーサが帯電する。SEDにおける加速電圧では、一般にスペーサは正に帯電する。この場合、電子放出素子から放出された電子ビームはスペーサに引き付けられ、本来の軌道からずれてしまう。その結果、蛍光体層に対して電子ビームのミスランディングが発生し、表示画像の色純度が劣化するという問題がある。
このようなスペーサによる電子ビームの吸引を低減するため、スペーサ表面の全部または一部に導電処理を施して帯電を逃がすことが考えられる。例えば、特許文献1には、絶縁スペーサの第2基板側の端部表面に導電性処理を施し、スペーサの帯電を逃がす構造が開示されている。
米国特許第5,726,529号明細書
しかしながら、絶縁スペーサの第2基板側の端部に導電性処理を施した場合、このスペーサ先端部と基板との間にギャップがあると放電現象が多発し、表示装置全体の耐電圧性が低下するという問題がある。また、このギャップをスペーサ先端の導電部により調整しようとすると、導電部の高さが変化し電子ビームの挙動に大きく影響を与えてしまう。その結果、電子ビームが本来の軌道から外れることになってしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、電子ビームの軌道ずれ、およびスペーサと基板との間のギャップの発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、画像表示面が形成された第1基板と、前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記画像表示面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、前記第1基板に対向した第1表面、前記第2基板に対向した第2表面、およびそれぞれ上記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有し、前記第1基板と第2基板との間に設けられた板状のグリッドと、それぞれ絶縁物質で形成され前記グリッドの第1表面上に立設されているとともに前記第1基板に当接した複数の第1スペーサと、それぞれ絶縁物質で形成され、前記グリッドの第2表面上に立設されているとともに上記第2基板に当接した複数の第2スペーサと、前記第1スペーサと前記グリッドとの間に設けられ、導電性物質で形成された第1導電層と、前記第2スペーサと前記グリッドとの間に設けられ、導電性物質で形成された第2導電層と、を備え、前記第2スペーサの前記第2基板側の先端部は導電性を有した導電部を備えていることを特徴としている。
この発明の他の態様に係る画像表示装置の製造方法は、電子ビーム通過孔の形成された板状のグリッド、およびそれぞれ複数の有底のスペーサ形成孔を有した一対の成形型を用意し、前記グリッドの一方の両面に導電性ペーストを塗布し、乾燥後、焼成して第1および第2導電層を形成し、前記一対の成形型のスペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、前記スペーサ形成材料を充填された一方の成形型を、そのスペーサ形成孔が前記第1導電層とそれぞれ対向した状態で、前記グリッドの一方の表面に密着させ、前記スペーサ形成材料を充填された他方の成形型を、そのスペーサ形成孔が前記第2導電層とそれぞれ対向した状態で、前記グリッドの他方の表面に密着させ、前記一対の成形型を前記グリッドに密着させた状態で前記スペーサ形成材料を硬化させ、前記グリッド上に第1および第2スペーサを形成することを特徴としている。
この発明によれば、電子ビームの軌道を容易に制御できるとともに電子放出源側への放電を抑制し、信頼性および表示品位の向上した画像表示装置、およびその製造方法を提供することができる。
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、SEDは、それぞれ矩形状のガラス板からなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて対向配置されている。第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同士が接合され、内部が真空に維持された扁平な真空外囲器15を構成している。接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。
第1基板10の内面には画像表示面として機能する蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状、ドット状、あるいは矩形状に形成されている。蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17およびゲッタ膜19が順に形成されている。
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、Bを励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。第2基板12の内面上には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
第1基板10および第2基板12の間にはスペーサ構体22が配設されている。スペーサ構体22は、第1および第2基板10、12間に配設された矩形状の金属板からなるグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサと、を備えている。
詳細に述べると、図2ないし図4に示すように、グリッド24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子18から放出された電子ビームを透過する。
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.3mmに形成されている。グリッド24の表面は、金属板を構成する元素からなる酸化膜、例えば、Fe、NiFeからなる酸化膜によって被覆されている。また、グリッド24の第1および第2表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面は、放電電流制限効果を有する高抵抗膜により被覆されている。この高抵抗膜は、ガラスを主成分とする高抵抗物質で形成されている。
グリッド24の第1表面24a上には、第1スペーサ30aが一体的に立設され、隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第1スペーサ30aの先端は、ゲッタ膜19、メタルバック17、および蛍光体スクリーン16の遮光層11を介して第1基板10の内面に当接している。グリッド24の第2表面24b上には、第2スペーサ30bが一体的に立設され、隣合う電子ビーム通過孔26間に位置している。第2スペーサ30bの先端は第2基板12の内面に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの先端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。各第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aはほぼ楕円状の横断面形状を有し、グリッド24側に位置した基端の径が約0.3mm×2mm、延出端の径が約0.2mm×2mm、高さが約0.6mmに形成されている。各第2スペーサ30bはほぼ楕円状の横断面形状を有し、グリッド24側に位置した基端の径が約0.3mm×2mm、延出端の径が約0.2mm×2mm、高さが約0.8mmに形成されている。
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、絶縁物質としてガラスを主成分とするスペーサ形成材料により形成されている。第2基板12側に位置した第2スペーサ30bの先端部内には粒状の導電物質33が凝集した状態で混入されている。これにより、第2スペーサ30bの先端部は導電部を構成している。導電物質33は、それぞれスペーサの主成分であるガラスにより被覆され、スペーサの外面に露出することなくスペーサ先端部内に配置されている。導電物質33としては、ガラスと比重の異なる金属粉末が用いられている。導電物質33の比重は、スペーサを形成した絶縁物質の比重に対して2〜10倍程度であることが望ましい。このような導電物質33として、例えば、Ag、Ni、In、Au、Pt、Ru、W等を用いることができる。また、導電物質33の含有濃度は、電子ビームに与える反発力、つまり、電子ビームの軌道補正量を考慮して任意に設定される。
第2スペーサ30bの先端部において、導電物質33が分散されている導電部の第2基板12側からの高さは、第1および第2スペーサ30a、30b全体の高さの5%以上に形成され、ここでは、200μmに設定されている。
各第1スペーサ30aの基端とグリッド24の第1表面24aとの間には、高さ緩和層として機能する第1導電層68aが形成されている。また、各第2スペーサ30bの基端とグリッド24の第2表面24bとの間には、高さ緩和層として機能する第2導電層68bが形成されている。第1および第2導電層68a、68bは、第1および第2スペーサ30aを構成している絶縁物質、ここでは、ガラス、よりも弾性(ヤング率)が低く、クッション層として機能する柔軟性を有していることが好ましい。第1および第2導電層68a、68bは、それぞれ第1および第2スペーサ30a、30bの基端の径よりも僅かに大きな径に形成されている。本実施の形態において、第1および第2導電層68a、68bは、銀ペーストを焼成して形成されている。これらの導電層としては、金等の導電性および柔軟性を有した他の金属を用いることができる。
上記のように構成されたスペーサ構体22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
SEDは、グリッド24および第1基板10のメタルバック17に電圧を印加する図示しない電圧供給部を備えている。この電圧供給部は、グリッド24およびメタルバック17にそれぞれ接続され、例えば、グリッド24に12kV、メタルバック17に10kVの電圧を印加する。SEDにおいて画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧が印加され、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。始めに、スペーサ構体22の製造方法について説明する。
図5に示すように、まず、所定寸法のグリッド24、このグリッドとほぼ同一の寸法を有した矩形板状の上型36aおよび下型36bを用意する。この場合、Fe−50%Niからなる板厚0.12mmの金属板を脱脂、洗浄、乾燥した後、エッチングにより電子ビーム通過孔26を形成しグリッド24とする。その後、グリッド24全体を酸化処理した後、電子ビーム通過孔26の内面を含めグリッド表面に絶縁膜を形成する。更に、絶縁膜の上に、ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥した後、焼成することにより、高抵抗膜を形成する。
続いて、図6に示すように、グリッド24の第1表面24aおよび第2表面24bのスペーサ形成位置に、導電性ペーストとして、銀ペーストを厚さ50μ程度となるようにスクリーン印刷を複数回行う。銀ペーストを乾燥した後、焼成することにより、グリッドの第1表面24aおよび第2表面24b上に第1導電層68aおよび第2導電層68bをそれぞれ形成する。
図5および図7に示すように、成形型としての上型36aおよび下型36bは、紫外線を透過する透明な材料、例えば、透明シリコン、透明ポリエチレンテレフタレート等により平坦な板状に形成する。下型36bは、グリッド24に当接する平坦な当接面41bと、第2スペーサ30bを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40bと、を有している。スペーサ形成孔40bはそれぞれ下型36bの当接面41bに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。
本実施の形態において、下型36bは、例えば、長手方向において、4つに分割片37bに分割して構成され、これら分割片は互いに分割および接合可能に形成されている。各分割片37bは細長い矩形板状をなし、スペーサ形成孔40bは、それぞれ分割片37bの長手方向に沿って延びた複数の列を形成している。
同様に、上型36aは、平坦な当接面41aと、第1スペーサ30aを成形するための多数の有底のスペーサ形成孔40aと、を有している。スペーサ形成孔40aはそれぞれ上型36aの当接面41aに開口しているとともに、所定の間隔を置いて配列されている。また、上型36aは、図示しない4つの分割片に分割して構成されている。
続いて、図7および図8に示すように、上型36aおよび下型36bの分割片とほぼ同一の寸法に形成された細長い矩形板状の隔壁板70を用意する。隔壁板70には複数のスリット72が形成され、それぞれ隔壁板の長手方向に沿って延びている。また、スリット72は、それぞれ分割片37bに形成されているスペーサ形成孔の孔径よりも僅かに大きな幅を有し、分割片の幅方向に沿ったスリット72のピッチは、分割片の幅方向に沿ったスペーサ形成孔のピッチとほぼ同一に形成されている。
そして、隔壁板70を分割片37bの当接面41b上に配置し、当接面に密着させる。この際、隔壁板70の各スリット72が分割片37bのスペーサ形成孔40bと対向するように隔壁板70を位置決めし装着する。これにより、分割片37bの幅方向において、各スペーサ形成孔40bの両側には、隔壁板70により形成された隔壁が配置されている。なお、上型36aの分割片についても同様に、隔壁板70を装着する。
図10および図11に示すように、分割片37bに装着された隔壁板70の各スリット72にスペーサ形成材料46を充填し、各スペーサ形成孔40bの開口部近傍に供給する。スペーサ形成材料46としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。第2スペーサ形成用のスペーサ形成材料46には、上記バインダ、ガラスフィラーに加えて、金属粉末、例えば、金粉末を所定量混合したガラスペーストを用いる。ガラスペーストの比重、粘度は適宜選択する。
次に、スペーサ形成材料46が供給された分割片37bおよび隔壁板70を複数、例えば、2組用意し、充填装置80に装着する。この充填装置80は、ほぼ水平に延びた矩形板状のロータ82と、ロータの長手方向中心部を支持しているとともに鉛直に延びた回転軸Dの回りでロータを回転させる回転機構84と、を備えている。ロータ82の長手方向両端部には、支持部材として機能する板状の支持ブラケット86が固定されている。支持ブラケット86は、それぞれ垂直に延びているとともに回転軸Dを挟んで互いに平行に対向している。各支持ブラケット86の内面は、支持部として機能する平坦な支持面86aを構成している。
2組の分割片37bおよび隔壁板70を図示しないクランパ等を用いて支持ブラケット86にそれぞれ装着し、分割片の裏面側を支持ブラケット86の支持面86aに密着させる。これにより、分割片37bの当接面41bおよび隔壁板70が回転軸Dと平行に延び、かつ、回転軸側を向いた状態で、支持ブラケット86に装着される。
この際、隔壁板70のスリット72が回転軸Dと平行に位置するように、分割片37bおよび隔壁板70を支持ブラケット86に装着する。これにより、図11からよく分かるように、分割片37bの当接面41bは、回転軸Dを中心とする円に対して接線方向に延びている。同時に、当接面41b上において、隔壁板70により形成された隔壁は、上記接線方向に隙間を置いて並んでいるとともに各スペーサ形成孔40bの両側に位置している。
続いて、回転機構84によりロータ82を所定の回転速度、例えば、700〜800rpmで1〜5分程度回転させる。これにより、図11および図12に示すように、スペーサ形成材料46に遠心力が作用する。この遠心力は、分割片37bに形成されたスペーサ形成孔40b内の空気を押しだす脱泡作用を発生させる。従って、スペーサ形成孔40b内の空気がスペーサ形成材料46と置換され、スペーサ形成材料46がスペーサ形成孔40b内に充填される。同時に、スペーサ形成材料46に混入されている導電物質33としての金属粉末は、ガラスペーストよりも比重が大きいため、遠心力により、スペーサ形成材料内を各スペーサ形成孔40bの底側、すなわち、形成されるスペーサの先端側に移動され、スペーサ先端部に凝集される。ロータ82の回転速度、回転時間等を調整することにより、スペーサ形成材料46内における金属粉末の含有範囲、凝集位置を任意に設定することができる。
なお、図11に示したように、成形型の分割片37bは平板形状であるため、回転している間、回転軸Dに対して法線方向に位置したスペーサ形成孔40b以外のスペーサ形成孔付近に供給されたスペーサ形成材料46には、法線方向以外の力、すなわち、分割片37bから外部へ流出する方向の力が作用する。しかし、本実施の形態では、隔壁板70により各スペーサ形成孔40bの両側に位置した隔壁を形成し、スペーサ形成材料46の流出を規制しながら、分割片37bを回転させている。そのため、スペーサ形成材料46は、外部に流出ことなくスペーサ形成孔40bに充填される。更に、遠心力を利用することにより、予めスペーサ形成材料46に混入していた空気成分に対しても同様に脱泡作用が働き、気泡を含まないスペーサ形成材料を分割片37bのスペーサ形成孔40bに充填することができる。
以上の工程により、2枚の分割片37bのスペーサ形成孔40bに対し、スペーサ形成材料46を同時に充填する。充填後、充填装置80の支持ブラケット86から分割片37bを取外し、更に、分割片から隔壁板70を取外す。その後、図13に示すように、分割片37bの当接面41bをスキージ87によって擦り、スペーサ形成孔40bから溢れている余剰のスペーサ形成材料46を掻き取る。
上記と同様の工程と繰り返して4枚の分割片37bのスペーサ形成孔40bにスペーサ形成材料46を充填した後、これら分割片を互いに接合して1つの下型36bを形成する。また、同様の工程により、スペーサ形成孔40aにスペーサ形成材料46が充填された上型36aを用意する。
続いて、図14に示すように、スペーサ形成材料46の充填されたスペーサ形成孔40aが電子ビーム通過孔26間でグリッド24上の第1導電層68a上に位置するように、上型36aを位置決めし、当接面41aをグリッド24の第1表面24aに密着させる。同様に、下型36bを、各スペーサ形成孔40bが電子ビーム通過孔26間で第2導電層68b上に位置するように位置決めし、当接面41bをグリッド24の第2表面24bに密着させる。これにより、グリッド24、上型36aおよび下型36bからなる組立体42を構成する。組立体42において、上型36aのスペーサ形成孔40aと下型36bのスペーサ形成孔40bとは、グリッド24を挟んで対向して配列されている。
次いで、紫外線ランプにより、上型36aおよび下型36bの外側からこれらの成形型に向けて紫外線(UV)を照射する。上型36aおよび下型36bはそれぞれ紫外線透過材料で形成されている。そのため、紫外線ランプから照射された紫外線は、上型36aおよび下型36bを透過し、充填されたスペーサ形成材料46に照射される。これにより、組立体42の良好な密着を維持した状態で、スペーサ形成材料46を紫外線硬化させることができる。
続いて、図15に示すように、上型36aおよび下型36bをグリッド24から剥離し、硬化したスペーサ形成材料46をグリッド24上に残す、つまり、転写する。次に、スペーサ形成材料46が設けられたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成する。これにより、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサ構体22が得られる。
一方、SEDの製造においては、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。
続いて、上記のようにして得られたスペーサ構体22を第2基板12上に位置決め配置する。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサ構体22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサ構体22を備えたSEDが製造される。
以上のように構成されたSEDによれば、グリッドと第1および第2スペーサとの間に第1および第2導電層68a、68bを設けることにより、グリッドとスペーサとの密着性が向上する。第1および第2導電層68a、68bは、ガラスよりも弾性(ヤング率)が低く、柔軟性を有していることから高さ緩和層として機能し、第1スペーサ30aの高さのバラツキ、および第2スペーサの高さのバラツキのいずれをも吸収することができる。従って、第1スペーサと第1基板との間、並びに第2スペーサと第2基板との間における隙間の発生をなくすことができる。これにより、放電の発生を抑制することが可能となる。同時に、スペーサ高さのバラツキを吸収することにより、第1および第2基板10、12を平坦に維持することができ、その結果、画像品位の向上を図ることができる。
また、第1および第2スペーサと第1および第2基板とが強固に接触した状態で、外囲器の温度変化が生じた場合、基板、スペーサ、およびグリッド間で熱膨張差に起因した位置ずれが生じる場合がある。しかし、このような位置ずれが生じた場合でも、柔軟性を有した第1および第2導電層68a、68bによって位置ズレを吸収し、第1および第2スペーサの破損を防止することができる。
第1および第2導電層68a、68bは電子ビームに影響を及ぼすが、画像品位に悪影響を及ぼすことはない。すなわち、図4に示すように、電子放出素子18から放出された電子ビームBは、まず、第2スペーサ30bの先端部に設けられた導電部が形成する電界により反発され、第2スペーサから離れる方向へ軌道を取りながら電子ビーム通過孔26に向かう。その後、電子ビームBは、今度は、帯電した第2スペーサ30bおよび第2導電層68bに吸引され、第2スペーサに接近する方向へ軌道を取る。電子ビーム通過孔26を通過した後、電子ビームBは第1導電層68aによって反発され、第1スペーサ30aから離れる方向へ軌道を取りながら蛍光体スクリーン16に向かう。更に、電子ビームBは、帯電した第1スペーサ30aに吸引され第1スペーサへ近づく方向へ移動する。このような反発、吸引により電子ビームBの軌道ずれが相殺され、電子放出素子18から放出された電子ビームBは、最終的に蛍光体スクリーン16の目標とする蛍光体層に到達する。これにより、電子ビームのミスランディングを防止して色純度の劣化を低減し、画像品位の向上を図ることができる。
以上のことから、電子ビームの軌道ずれ、およびスペーサと基板との間のギャップの発生を抑制し、信頼性および表示品位の向上したSEDが得られる。
また、第2スペーサ30bの先端部内に絶縁物質で被覆された導電物質を内蔵することにより、第2スペーサ30bと第2基板12との接触部の電界を緩和して沿面放電を抑制できる。更に、第1基板10および第2基板12間の放電耐圧を確保することができる。これにより、蛍光体スクリーンに印加するアノード電圧を高くし、表示画像の輝度向上を図ることが可能となる。スペーサを介して第1基板10から第2基板12へ流れる無効電流を無くすことができ、スペーサにおける温度上昇や電力消費の発生を防止することが可能となる。
SEDの製造方法において、スペーサを焼成してガラス化した後、各スペーサに導電膜を塗布する方法も考えられるが、微細なスペーサに導電処理を施すことは非常に困難であり、製造効率が低下する。これに対して、本実施の形態に係る製造方法によれば、スペーサ形成材料に混入された導電物質を遠心力によりスペーサ先端部側へ移動させ凝集させることから、先端部に導電物質が内蔵されたスペーサを容易に得られる。
次に、この発明の他の実施の形態に係るSEDの製造方法について説明する。本実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様に、導電物質33が混入されたスペーサ形成材料46を下型の分割片37bに形成されたスペーサ形成孔46bに供給した後、充填装置80によって分割片を所定の速度で、所定時間回転させる。これにより、遠心力を利用してスペーサ形成材料46を分割片37bのスペーサ形成孔46b内に充填する。
ここで、スペーサ形成材料46に混入されている粒状の導電物質33の比重、粒径等によっては、例えば、導電物質の比重がスペーサ形成材料の主成分である絶縁物質よりも小さい場合、あるいは、導電物質の粒径が大きく移動抵抗が高い場合、導電物質が遠心力によってスペーサ形成材料内を移動せず、スペーサ先端部に凝集しない場合がある。
そこで、本実施の形態では、粒状の導電物質33として、例えばNi等の磁性体粉末を用いている。図16および図17(a)に示すように、スペーサ形成材料46を分割片37bのスペーサ形成孔40b内に充填した後、当接面41bを上にして分割片37bを板状の磁石83上に所定時間載置する。これにより、図17(b)に示すように、スペーサ形成材料46に混入された導電物質33を磁石83からの磁力によって吸引し、スペーサ形成孔40bの底側、つまり、スペーサ先端部側に移動させて凝集する。載置時間あるいは磁石83の磁力を調整することにより、スペーサ形成材料46内における導電物質の含有範囲、凝集位置を任意に設定することができる。
その後、スペーサ形成材料46の充填された上型および下型をグリッド24に密着させて組立体を構成し、更に、組立体を前述した真空容器50内に配置し、大気圧を利用して上型および下型をグリッド24に密着させる。以降、前述した実施の形態と同様の工程により、スペーサ構体22およびSEDを製造する。
以上のように構成された他の実施の形態に係る製造方法によれば、スペーサ形成材料に混入された導電物質を磁力によりスペーサ先端部側へ移動させ凝集させることから、先端部に導電物質が内蔵されたスペーサを容易に得ることができる。その他、前述した実施の形態と同様の作用効果が得られる。
次に、この発明の第2の実施形態に係るSEDについて説明する。図18に示すように、第2の実施形態よれば、各第2スペーサ30bの先端と第1基板12との間に、高さ緩和層として機能する第3導電層68cが設けられている。この第2導電層68cは、導電性ペースト、例えば、銀ペーストを焼成して形成されている。SEDの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記第2の実施形態によれば、第3導電層68cを設けることにより、スペーサの高さのバラツキを一層確実に吸収することができるとともに、スペーサと第1基板との密着性が向上する。その他、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は上述した実施の形態に限定されることなく、必要に応じて適宜選択可能である。スペーサは柱状に限らず、板状のスペーサとしてもよい。また、電子源として表面伝導型電子放出素子を用いたものに限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等の他の電子源を用いた画像表示装置にも適用可能である。
この発明の第1の実施形態に係るSEDを示す斜視図。 図1の線A−Aに沿って破断した上記SEDの斜視図。 上記SEDの断面図。 上記SEDの一部を拡大して示す断面図。 上記スペーサ構体の製造に用いる成形型およびグリッドを示す断面図。 第1導電層が形成されたグリッドを示す平面図。 上記スペーサ構体の製造に用いる成形型を示す斜視図。 上記成形型の分割片、および隔壁板を示す分解斜視図。 上記隔壁板が装着された分割片を示す斜視図。 上記成形型にスペーサ形成材料を充填する充填装置を示す斜視図。 図10の線B−Bに沿った断面図。 上記成形型にスペーサ形成材料が充填された状態を示す図11に対応の断面図。 上記スペーサ形成材料をスキージで掻き取る工程を示す断面図。 上記成形型およびグリッドを密着させた組立体を示す断面図。 上記成形型を離型した状態を示す断面図。 この発明の他の実施の形態に係る製造方法に用いる成形型および磁石を示す断面図。 上記他の実施の形態に係る製造法において、導電物質を吸着前および吸着後の状態をそれぞれ示す断面図。 この発明の第2の実施形態に係るSEDを示す断面図。
符号の説明
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、 15…真空外囲器、
16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、 22…スペーサ構体、
24…グリッド、 26…電子ビーム通過孔、 30a…第1スペーサ、
30b…第2スペーサ、 33…導電性物質、 36a…上型、
36b…下型、 68a…第1導電層、 68b…第2導電層

Claims (12)

  1. 画像表示面が形成された第1基板と、
    前記第1基板と隙間を置いて対向配置されているとともに前記画像表示面を励起する複数の電子放出源が設けられた第2基板と、
    前記第1基板に対向した第1表面、前記第2基板に対向した第2表面、およびそれぞれ上記電子放出源に対向した複数の電子ビーム通過孔を有し、前記第1基板と第2基板との間に設けられた板状のグリッドと、
    それぞれ絶縁物質で形成され前記グリッドの第1表面上に立設されているとともに前記第1基板に当接した複数の第1スペーサと、
    それぞれ絶縁物質で形成され、前記グリッドの第2表面上に立設されているとともに上記第2基板に当接した複数の第2スペーサと、
    前記第1スペーサと前記グリッドとの間に設けられ、導電性物質で形成された第1導電層と、
    前記第2スペーサと前記グリッドとの間に設けられ、導電性物質で形成された第2導電層と、を備え、
    前記第2スペーサの前記第2基板側の先端部は導電性を有した導電部を備えている画像表示装置。
  2. 前記第1および第2導電層は、それぞれ導電性ペーストを焼成して形成されている請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記第2スペーサの導電部は、前記第2スペーサを形成する絶縁物質中に導電性を有する金属粒子を分散して形成されている請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 前記第2スペーサの導電部は、前記先端部に混入されそれぞれ前記絶縁物質で被覆された粒状の導電物質を含んでいる請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  5. 前記第2スペーサの導電部に用いた前記導電物質は、前記絶縁物質よりも大きな比重を有している請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記第2スペーサの導電部に用いた前記導電物質は磁性を有している請求項4に記載の画像表示装置。
  7. 前記第1および第2スペーサは、前記グリッドを挟んで互いに整列して設けられている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  8. 前記第2スペーサと第2基板との間に設けられ、導電性物質で形成された第3導電層を備えた請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
  9. 請求項1に記載の画像表示装置の製造方法において、
    電子ビーム通過孔の形成された板状のグリッド、およびそれぞれ複数の有底のスペーサ形成孔を有した一対の成形型を用意し、
    前記グリッドの一方の両面に導電性ペーストを塗布し、乾燥後、焼成して第1および第2導電層を形成し、
    前記一対の成形型のスペーサ形成孔にスペーサ形成材料を充填し、
    前記スペーサ形成材料を充填された一方の成形型を、そのスペーサ形成孔が前記第1導電層とそれぞれ対向した状態で、前記グリッドの一方の表面に密着させ、
    前記スペーサ形成材料を充填された他方の成形型を、そのスペーサ形成孔が前記第2導電層とそれぞれ対向した状態で、前記グリッドの他方の表面に密着させ、
    前記一対の成形型を前記グリッドに密着させた状態で前記スペーサ形成材料を硬化させ、前記グリッド上に第1および第2スペーサを形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  10. 絶縁性材料およびこの絶縁性材料より比重の大きい粒状の導電物質を混合したスペーサ形成材料を前記他方の成形型のスペーサ形成孔に充填し、前記スペーサ形成材料が充填された他方の成形型を回転させ、スペーサ形成材料内の導電物質を遠心力により各スペーサ形成孔の一端部側に移動させて凝集し、上記導電物質が凝集されたスペーサ形成材料を硬化させて前記第2スペーサを形成することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。
  11. 絶縁性材料およびこの磁性を有した導電物質を混合したスペーサ形成材料を前記他方の成形型のスペーサ形成孔に充填し、前記スペーサ形成材料内の導電物質を磁力により吸引して各スペーサ形成孔の一端部側に移動させて凝集し、上記導電物質が凝集されたスペーサ形成材料を硬化させて前記第2スペーサを形成することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。
  12. 上記スペーサ形成材料として、紫外線硬化性を有した絶縁性ガラスペーストおよび金属粉末を混合したスペーサ形成材料を用い、上記スペーサ形成材料の硬化は、上記導電物質が凝集されたスペーサ形成材料に紫外線を照射することを特徴とする請求項10又は11に記載の画像表示装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105118766A (zh) * 2015-08-14 2015-12-02 陕西科技大学 一种场致发光显示器件及其制备方法

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