JP2005091501A - 電気光学装置のクロストーク補正方法、その補正回路、電気光学装置および電子機器 - Google Patents

電気光学装置のクロストーク補正方法、その補正回路、電気光学装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 画素への印加電圧を高精度に補正する。
【解決手段】 電気光学装置10に、補正回路600を加える。補正回路600は、1水平走査期間の後半期間に走査線312に例えば正極性選択電圧+Vが印加されるのであれば、その前半期間において、データ線212での電圧−V/2から電圧+V/2への切り替えに伴うスパイクを検出し、検出したスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別する一方、スパイクの大きさがしきい値以上であると判別された時間長に応じたパルス幅を有するとともに当該スパイクと同一極性のパルスを、当該前半期間に続く後半期間において選択電圧の供給線511に印加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、いわゆる横クロストークの発生を抑えるための電気光学装置のクロストーク補正方法、その補正回路、電気光学装置および電子機器に関する。
液晶などの電気光学物質の電気光学的な変化により表示を行う電気光学装置では、表示品位の差が横(行)方向に発生する、という横クロストークが問題視されている。横クロストークの原因は、データ線(セグメント電極)の電圧が切り替わることに伴って発生したスパイクが、画素に印加される電圧実効値を変動させるためである、と考えられている。
このような横クロストークの発生を抑える技術としては、例えば、電圧が切り替わるセグメント電極の数に応じて、走査信号のパルス幅を削る等して画素への印加電圧を補正する技術(例えば、特許文献1参照。これを技術(イ)とする)や、駆動信号の歪み(スパイク)を検出して、データ信号等に補正信号を加算する技術(例えば、特許文献2参照。これを技術(ロ)とする)などが挙げられる。
特開平11−52922号公報(図1、図2、段落0027等参照) 特開2000−56292号公報(図1、段落0017等参照)
しかしながら、上記技術(イ)では、スパイクそれ自体を検出していないので、印加電圧の補正精度が必ずしも高くない。また、上記技術(ロ)では、スパイクを検出しているものの、フィルタや増幅回路等を介して補正信号を生成しているので、その動作遅延が少なからず発生する。このため、スパイク直後に当該スパイクを打ち消す補正信号が加算される形となって、画素への印加電圧が著しく変化するので、特に画素が液晶装置のように容量性を有する場合には電圧実効値の補正精度が必ずしも高くない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画素に印加される電圧実効値を高精度に補正をすることが可能な電気光学装置のクロストーク補正方法、その補正回路、電気光学装置および電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るクロストーク補正回路は、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素と、前記走査線を1水平走査期間毎に順次に選択するとともに、選択した走査線に対し、当該1水平走査期間の後半期間にわたって選択電圧を印加する走査線駆動回路と、一のデータ線に対し、1水平走査期間の前半期間のうち、当該データ線と選択された走査線との交差に対応する画素の階調に応じた期間にわたって非点灯電圧を、その残余期間にわたって点灯電圧を、それぞれ印加する一方、当該後半期間のうち、当該画素の階調に応じた期間にわたって点灯電圧を、その残余期間にわたって非点灯電圧を、それぞれ印加するデータ線駆動回路とを有する電気光学装置にて発生するクロストークを補正する回路であって、1水平走査期間の前半期間に、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方から他方への切り替えに伴うスパイクを検出する検出回路と、前記検出回路によって検出されたスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別する判別回路と、スパイクの大きさが前記しきい値以上であると前記判別回路によって判別された期間の時間長と前記前半期間のうち当該スパイクが発生したタイミングとに基づいて、前記選択電圧に付加されるべき付加パルスの大きさを特定する付加パルス特定回路と、前記検出回路によって検出されたスパイクと同一極性であり前記付加パルス特定回路によって特定された大きさの付加パルスを、前記前半期間に続く後半期間において前記選択電圧に付加する付加回路とを具備する。また、本発明は、クロストークの補正方法としても実現され得る。
本発明における点灯電圧(オン電圧)とは、ある1本の走査線(以下「着目走査線」という)が選択された期間に着目した場合に、データ線に印加されるデータ信号の電圧のうち、その期間において着目走査線に印加される選択電圧と逆極性の電圧をいう。一方、非点灯電圧(オフ電圧)とは、着目走査線が選択された期間にデータ線に印加されるデータ信号の電圧のうち、その期間において着目走査線に印加される選択電圧と同一極性の電圧をいう。
1水平走査期間の前半期間にデータ線の電圧が点灯電圧または非点灯電圧の一方から他方に切り替えられた場合、選択電圧が印加される後半期間では、同数のデータ線が点灯電圧または非点灯電圧の他方から一方に切り替えられるので、前半期間とは逆極性であって大きさがほぼ同じスパイクが発生する。このことを用いて、本発明に係る補正回路は横クロストークの発生を抑える。すなわち、本発明に係る補正回路によれば、データ線への印加電圧の切り替えに伴うスパイクが前半期間において検出され、その大きさがしきい値以上であると判別されたならば、そのスパイクと同一極性の付加パルスが後半期間に付加されるので、後半期間に選択電圧に発生するスパイクが打ち消される。しかも、選択電圧に付加される付加パルスの大きさは、スパイクの大きさがしきい値以上であると判別された期間の時間長(したがってスパイクの大きさ)に応じて特定されるから、選択電圧の歪みは精度よく補正される。
ところで、本願発明者による試験によれば、スパイクに起因して生じる選択電圧の歪みの程度は、そのスパイクの大きさだけではなく、スパイクが発生するタイミングによっても異なるという知見が得られるに至った。すなわち、画素に印加される電圧実効値の変動量はスパイクの発生タイミングに応じて異なり、この相違が画素の階調差として観察者に視認されることとなる。このような知見に基づき、本発明においては、スパイクの大きさがしきい値以上であると判別回路によって判別された期間の時間長(すなわちスパイクの大きさ)だけではなく、前半期間のうちスパイクが発生したタイミングをも考慮して付加パルスの大きさが特定される。すなわち、例えば、スパイクの大きさが異なる場合に異なる大きさの付加パルスが特定されるのはもちろん、たとえスパイクの大きさが同じであったとしても、そのスパイクの発生タイミングが異なる場合には異なる大きさの付加パルスが特定されることになる。したがって、スパイクの発生タイミングに応じた選択電圧の歪みの相違を補償して極めて高精度に選択電圧を補正することができる。
本発明の望ましい態様において、前記付加パルス特定回路は、スパイクの大きさが前記しきい値以上となる期間の時間長に対して各々異なるパルスの大きさが対応付けられた複数のテーブルを有し、前記複数のテーブルのうち、前記前半期間において前記スパイクが発生したタイミングに対応するテーブルを用いて付加パルスの大きさを特定する。この態様によれば、テーブルに基づいて付加パルスの大きさが特定されるから、例えば、スパイクの大きさがしきい値以上となる期間の時間長に対して所定の演算を施すことによって付加パルスの大きさを特定する構成と比較して、より簡易な構成によって迅速に付加パルスが特定される。もっとも、スパイクの大きさがしきい値以上となる期間の時間長に対して所定の演算を施すことによって付加パルスの大きさが特定される構成も採用され得る。この構成においては、例えば、スパイクの大きさがしきい値以上となる期間の時間長に対して各々異なる演算を施して付加パルスの大きさを求める複数の演算回路が設けられ、これらの演算回路のうちスパイクが発生したタイミングに対応するものによって付加パルスの大きさが特定される。
この望ましい態様において、前記付加パルス特定回路は、前記前半期間内の各時点毎に前記複数のテーブルのいずれかを選択する選択回路を有し、前記複数のテーブルのうち、スパイクが前記しきい値以上であると前記判別回路により判別された時点において前記選択回路により選択されているテーブルを用いて付加パルスの大きさを特定する。この構成によれば、簡易な構成によって迅速に付加パルスが特定される。この態様のもとで、前記データ線駆動回路が、前記前半期間および前記後半期間において階調コードパルスが供給される複数の時点のうち前記画素の階調に応じた時点において前記データ線への印加電圧を切り替える場合には、前記選択回路が、前記階調コードパルスを計数する計数回路を有し、前記複数のテーブルのうち当該計数回路による計数値に応じたテーブルを選択する構成が採用され得る。この構成によれば、データ線への印加電圧を切り替えるための信号がテーブルを選択するために兼用されるから、別個に生成された信号に基づいてテーブルを選択する構成と比較して、構成の簡略化および消費電力の低減が図られる。もっとも、付加パルスを特定するためのテーブルの選択を切り替えるための信号を別個に生成して利用する構成としても良く、必ずしも階調コードパルスを用いる必要はない。また、前半期間の各時点において一律的にテーブルの選択が行なわれる必要は必ずしもなく、スパイクが発生した場合に限って、そのタイミングに応じてたテーブルが選択される構成としても良い。
本発明の他の態様において、前記付加パルス特定回路は、前記付加パルスのパルス幅を特定する。この構成によれば、選択電圧に付加されるパルスのパルス幅を付加パルス特定回路によって特定されたパルス幅に調整すれば足りるから構成の簡素化が図られる。もっとも、付加パルス特定回路が付加パルスの電圧レベルを特定する構成も採用され得る。すなわち、本発明における付加パルスの大きさとは、付加パルスのエネルギ、より具体的には付加パルスのパルス幅および電圧レベルの少なくとも一方である。
本発明の他の態様において、前記付加回路は、後半期間において前記点灯電圧または前記非点灯電圧の他方から一方に切り替えられるタイミングにおいて前記付加パルスを付加する。この態様によれば、後半期間において選択電圧に発生するスパイクが前半期間に生じるスパイクと同一極性の付加パルスによって精度よく打ち消される。また、本発明の他の態様において、前記データ線駆動回路は、一のデータ線に対し、当該前半期間の開始から、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の他方に切り替わるまでの経過時間と、当該前半期間に続く後半期間の開始から、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方に切り替わるまでの経過時間とが互いに略同一となるようにし、前記付加回路は、しきい値以上であるスパイクを1水平走査期間の半分の時間長だけ遅延させて、前記パルスとして出力する遅延回路を有する。この態様によれば、構成の簡易化を図ることが容易となる。
また、液晶装置など交流駆動が採用される電気光学装置に本発明が適用される場合、前記走査線駆動回路は、前記点灯電圧および前記非点灯電圧の略中間電圧を中心として前記選択電圧を極性反転する態様が採用され得る。この態様においては、判別回路と付加パルス特定回路と付加回路とを各々が有する2つの系統を設け、そのうち一方を正極性のスパイク用とし、他方を負極性のスパイク用とすることが望ましい。この態様によれば、選択電圧に生じる正極性のスパイクおよび負極性のスパイクがともに打ち消される。
本発明の他の態様において、前記検出回路は、特定の電圧供給線に一端が接続された第1のコンデンサを含む。この態様によれば、簡易な構成によって、前半期間での電圧切り替えに伴うスパイクを検出することができる。また、さらに他の態様において、前記走査線駆動回路は、前記選択電圧を供給する電源線を、選択した走査線に対して後半期間において接続するスイッチを含み、前記付加回路は、前記電源線に一端が接続された第2のコンデンサを含む。この態様によれば、前半期間と同一極性のパルスを後半期間において選択電圧に付加することが簡易な構成によって実現される。
上記目的を達成するために、本発明に係る電気光学装置は、上記補正回路を備えることを特徴とする。より具体的には、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素と、前記走査線を1水平走査期間毎に順次に選択するとともに、選択した走査線に対し、当該1水平走査期間の後半期間にわたって選択電圧を印加する走査線駆動回路と、一のデータ線に対し、1水平走査期間の前半期間のうち、当該データ線と選択された走査線との交差に対応する画素の階調に応じた期間にわたって非点灯電圧を、その残余期間にわたって点灯電圧を、それぞれ印加する一方、当該後半期間のうち、当該画素の階調に応じた期間にわたって点灯電圧を、その残余期間にわたって非点灯電圧を、それぞれ印加するデータ線駆動回路と、1水平走査期間の前半期間に、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方から他方への切り替えに伴うスパイクを検出する検出回路と、前記検出回路によって検出されたスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別する判別回路と、スパイクの大きさが前記しきい値以上であると前記判別回路によって判別された期間の時間長と前記前半期間のうち当該スパイクが発生したタイミングとに基づいて、前記選択電圧に付加されるべき付加パルスの大きさを特定する付加パルス特定回路と、前記検出回路によって検出されたスパイクと同一極性であり前記付加パルス特定回路によって特定された大きさの付加パルスを、前記前半期間に続く後半期間において前記選択電圧に付加する付加回路とを具備する。この電気光学装置によれば、上記補正回路と同様にして、後半期間において選択電圧に現れるスパイクが精度よく打ち消される。また、本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を表示装置として備えるので、クロストークの発生を抑えた高品位の表示が可能となる。
本発明によれば、画素に印加される電圧実効値が高精度に補正されるから、横クロストークの発生が有効に抑えられる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。この図に示されるように、電気光学装置10は、液晶パネル100、制御回路400、電圧生成回路500および補正回路600を有する。このうち液晶パネル100には、複数のデータ線(セグメント電極)212が列(Y)方向に延在して形成される一方、複数の走査線(コモン電極)312が行(X)方向に延在して形成されている。データ線212と走査線312とが交差する地点には、それぞれ画素116が形成される。各画素116は、二端子型スイッチング素子の一例であるTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)220と、このTFD220に直列接続された液晶容量118とを有する。このうち液晶容量118は、後述するように、走査線312と矩形状の画素電極との間に、電気光学物質の一例たる液晶を挟持した構成となっている。なお、本実施形態にあっては、説明の便宜上、走査線312の総数を320本とし、データ線212の総数を240本として、縦320行×横240列のマトリクス型表示装置として説明するが、本発明をこれに限定する趣旨ではない。
次に、走査線駆動回路350は、走査信号Y1、Y2、Y3、…、Y320を、それぞれ1行目、2行目、3行目、…、320行目の走査線312に供給する回路である。詳細には、走査線駆動回路350は、320本の走査線312を後述するように1本ずつ選択して、選択した走査線312には選択電圧を、他の走査線312には非選択電圧を、それぞれ供給する。また、データ線駆動回路250は、走査線駆動回路350により選択された走査線312に位置する画素116に対し、その表示内容(階調)に応じたデータ信号X1、X2、X3、…、X240を、それぞれ1列目、2列目、3列目、…、240列目のデータ線212を介して供給する回路である。なお、データ線駆動回路250および走査線駆動回路350の詳細構成については後述する。
一方、制御回路400は、データ線駆動回路250に対して、液晶パネル100を水平走査するための各種制御信号やクロック信号などを供給する一方、走査線駆動回路350に対して、液晶パネル100を垂直走査するための各種制御信号やクロック信号などを供給する回路である。さらに、制御回路400は、画素116の階調を「0」から「7」までの8段階で指示する3ビットの階調データDnを、垂直走査および水平走査に同期して供給する。ここで、本形態の前提として、3ビットの階調データDnが(000)である場合に最も明るい白色の表示を指示し、3ビットの十進値が増加するにつれて徐々に輝度が低下するように指示し、階調データDnが(111)である場合に最も暗い黒色の表示を指示するものとする。さらに、液晶パネル100が電圧無印加状態において白表示をするノーマリーホワイトモードであるとする。上述したように点灯電圧とは、選択電圧とは逆極性にあるデータ信号の電圧をいうので、ノーマリーホワイトモードでは、点灯電圧が印加されると画素が暗くなる点に留意する必要がある。
次に、電圧生成回路500は、液晶パネル100に用いられる電圧±Vと電圧±V/2とをそれぞれ生成する回路である。このうち電圧±Vは、走査信号における選択電圧として用いられる。電圧+Vは抵抗R1および供給線511を介し、電圧−Vは抵抗R4および供給線514を介し、それぞれ走査線駆動回路350に供給される。一方、電圧±V/2は、走査信号における非選択電圧であり、電圧+V/2は抵抗R2および供給線512を介し、電圧−V/2は抵抗R3および供給線513を介し、それぞれ走査線駆動回路350に供給される。また、電圧±V/2は、データ信号のデータ電圧としても兼用される構成となっているため、それぞれデータ線駆動回路250にも供給される。また、電圧−V/2は補正回路600にも供給されるが、この補正回路600については後述する。
次に、図2は、液晶パネル100の全体構成を示す斜視図である。また、図3は、この液晶パネル100をX方向に沿って破断した場合の構成を示す断面図である。これらの図に示されるように、液晶パネル100は、背面側に位置する素子基板200と、観察側において素子基板200と対向する対向基板300とを有する。対向基板300は、素子基板200よりもひと回り小さい。素子基板200と対向基板300とは、スペーサを兼ねる導電性粒子114が混入されたシール材110によって一定の間隙を保って貼り合わされている。素子基板200および対向基板300とシール材110とによって囲まれた空間には、例えばTN(Twisted Nematic)型の液晶160が封入されている。なお、シール材110は、図2に示されるように、対向基板300の内周縁に沿って枠状に形成されるが、液晶160を封入するためにその一部が開口している。この開口部分は、液晶160の封入後に封止材112によって封止される。
対向基板300のうち素子基板200と対向する面には、行(X)方向に延在して形成される帯状電極たる走査線312のほか、一定方向にラビング処理が施された配向膜308が形成されている。ここで、走査線312の一端は、特に図3に示されるように、それぞれシール材110が形成された領域まで引き延ばされている。また、対向基板300の外側(観察側)には偏光子131が貼り付けられて(図2では省略)、その吸収軸の方向が、配向膜308へのラビング処理の方向に応じて選定されている。
一方、素子基板200のうち対向基板300と対向する面には、Y(列)方向に延在して形成されるデータ線212に隣接して矩形状の画素電極234が形成されるほか、一定方向にラビング処理が施された配向膜208が形成されている。さらに、この素子基板200には、走査線312の各々と一対一に対応して配線342が設けられている。詳細には、この配線342の一端は、特に図3に示されるように、シール材110が形成された領域において、対応する走査線312の一端と対向するように形成されている。ここで、導電性粒子114は、走査線312の一端と配線342の一端とが対向する部分に少なくとも1個以上が介在するような割合にてシール材110中に分散される。この構成のもと、対向基板300に形成された走査線312は、当該導電性粒子114を介して、素子基板200における対向面上の配線342に接続される。
また、素子基板200に形成されたデータ線212の一端は、そのままシール材110の形成領域外まで引き出された構成となっている。さらに、素子基板200の外側(背面側)には偏光子121が貼り付けられて(図2では省略)、その吸収軸の方向が、配向膜208へのラビング処理の方向に応じて選定されている。なお、本実施形態における液晶パネル100は、背面側からの入射光を観察側に透過させることによって表示(透過型表示)を行う透過型の液晶パネルである。したがって、素子基板200の背面側には均一に光を照射するバックライトユニットが設けられるが、本件とは直接に関係しないので図示は省略されている。
続いて、液晶パネル100における表示領域外の構成を説明する。図2に示されるように、素子基板200のうち対向基板300から張り出した2辺には、データ線212を駆動するためのデータ線駆動回路250、および、走査線312を駆動するための走査線駆動回路350が、それぞれCOG(Chip On Glass)技術により実装されている。したがって、データ線駆動回路250は、データ線212にデータ信号を直接的に供給する一方、走査線駆動回路350は、配線342および導電性粒子114を介し、走査線312に走査信号を間接的に供給する。また、データ線駆動回路250が実装される領域の外側近傍には、FPC(Flexible Printed Circuit)基板150の一端が接合されている。なお、FPC基板150における他端の接続先は、図2では省略されているが、図1における制御回路400、電圧生成回路500および補正回路600である。
なお、図1におけるデータ線駆動回路250および走査線駆動回路350は、図2とは異なり、それぞれ液晶パネル100の左側および上側にそれぞれ位置しているが、これは、電気的な構成を説明するための便宜上の措置に過ぎない。また、データ線駆動回路250および走査線駆動回路350を、それぞれ素子基板200にCOG実装する替わりに、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いて、各ドライバや電源回路が実装されたTCP(Tape Carrier Package)を、異方性導電膜により電気的および機械的に接続する構成としても良い。
次に、液晶パネル100における画素116の詳細な構成について説明する。図4は、その構造を示す斜視図である。なお、この図では、説明の便宜のために、図3における配向膜208、308および偏光子121、131が省略されている。図4に示されるように、素子基板200のうち対向基板300と対向する面には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電体からなる矩形状の画素電極234がマトリクス状に配列しており、このうち同一列にて配列された画素電極234が、1本のデータ線212に、それぞれTFD220を介して共通接続されている。ここで、TFD220は、基板側からみると、タンタル単体やタンタル合金などから形成され、かつ、データ線212からT字状に枝分かれした第1の導電体222と、この第1の導電体222を陽極酸化させた絶縁体224と、クロムなどの第2の導電体226とから構成されて、導電体/絶縁体/導電体のサンドイッチ構造となっている。このため、TFD220は、電流−電圧特性が正負双方向にわたって非線形となるダイオードスイッチング特性を有することになる。
なお、図4では、素子基板200のうち対向基板300と対向する面に、直接、画素電極234やデータ線212等を形成しているが、透明性を有する絶縁体を素子基板200上に形成し、この上面に画素電極234やデータ線212等を形成する構成が好ましい。このような絶縁体を形成した方が良い理由は、第2の導電体226の堆積後における熱処理によって第1の導電体222が剥離しないようにするため、および、第1の導電体222に不純物が拡散しないようにするためである。
一方、対向基板300のうち素子基板200と対向する面には、ITOなどからなる走査線312が、データ線212とは直交する行方向に延在し、かつ、行方向に列をなす複数の画素電極234と対向している。これにより、走査線312は画素電極234の対向電極として機能することになる。したがって、図1における液晶容量118は、データ線212と走査線312との交差において、当該走査線312と画素電極234と両者の間に挟持された液晶160とによって構成されることになる。
このような構成において、TFD220を強制的に導通状態(オン)にさせる選択電圧+V、−Vのいずれかを走査線312に印加すると、データ線212に印加されているデータ電圧にかかわらず、当該走査線312および当該データ線212の交差に対応するTFD220がオンして、オンしたTFD220に接続された液晶容量118に、当該選択電圧および当該データ電圧の差に応じた電荷が蓄積される。電荷が蓄積された後に走査線312に非選択電圧を印加して当該TFD220をオフさせても、液晶容量118における電荷の蓄積が維持される。液晶容量118では、蓄積される電荷量に応じて液晶160の配向状態が変化し、偏光子121、131を通過する光量が、蓄積された電荷量に応じて変化する。したがって、選択電圧が変動しないことを前提とすれば、当該選択電圧が印加されたときのデータ電圧に応じて液晶容量118における電荷の蓄積量を画素116毎に制御することで、所定の階調表示が可能である。
ここで、図1における制御回路400によって生成される各種の信号について説明する。まず、Y(垂直走査)側に用いられる信号について説明する。第1に、スタートパルスDYは、図6に示されるように、1垂直走査期間(1F)の最初に出力されるパルスである。第2に、クロック信号YCKは、Y側の基準信号であり、同図に示されるように、1水平走査期間(1H)の周期を有する。第3に、極性指示信号POLは、走査線312が選択されたときに印加すべき選択電圧の極性を指定する信号であり、例えば、Hレベルであれば正極性の選択電圧+Vを、Lレベルであれば負極性の選択電圧−Vを、それぞれ指定する。この極性指示信号POLは、同図に示されるように、ひとつの垂直走査期間内では1水平走査期間(1H)毎に論理レベルが反転し、また、時間的に前後する垂直走査期間において、同一の走査線312が選択される水平走査期間では論理レベルが反転する関係となっている。第4に、制御信号INHは、1水平走査期間(1H)における選択電圧の印加期間を規定するための信号である。後述するように、本実施形態では1水平走査期間(1H)の後半期間において選択電圧を印加するので、制御信号INHは当該後半期間にHレベルとなる。
次に、X(水平走査)側に用いられる信号について説明する。第1に、ラッチパルスLPは、図8に示されるように、1水平走査期間(1H)の最初に出力されるパルスである。第2に、リセット信号RESは、同図に示されるように、1水平走査期間(1H)の前半期間の最初および後半期間の最初にそれぞれ出力されるパルスである。第3に、交流駆動信号MXは、データ線側において画素116を交流駆動するための信号であり、同図に示されるように、Y側の極性指示信号POLよりも位相が90度進んだ関係にある。すなわち、交流駆動信号MXは、選択電圧として正極性の電圧+Vが指定される1水平走査期間(1H)では、その前半期間においてHレベルとなり、その後半期間においてLレベルとなる一方、選択電圧として負極性の電圧−Vが指定される1水平走査期間(1H)では、その前半期間においてLレベルとなり、その後半期間においてHレベルとなる。第4に、階調コードパルスGCPは、同図に示されるように、1水平走査期間の前半期間および後半期間のそれぞれにおいて、白色または黒色を除く灰色の階調(階調データ(110)、(101)、(100)、(011)、(010)、(001)により示される階調)に対応するタイミングに出力されるパルスである。なお、同図において、階調コードパルスGCPが配置される位置は、実際には、画素116の印加電圧−濃度(透過率)特性(V−T特性)を考慮して選定されるのであって、各パルスは等間隔ではない。
次に、走査線駆動回路350について説明する。図5は、この走査線駆動回路350の構成を示すブロック図である。
この図において、シフトレジスタ352は、走査線312の総数に応じた320ビットの段数を有し、1垂直走査期間の最初に供給されるスタートパルスDYをクロック信号YCKによって順次にシフトし、転送信号Ys1、Ys2、Ys3、…、Ys320として出力する回路である。転送信号Ys1、Ys2、Ys3、…、Ys320は、それぞれ1行目、2行目、3行目、…、320行目の走査線312にそれぞれ1対1に対応する。すなわち、いずれかの転送信号がHレベルになると、それに対応する走査線312を選択すべき水平走査期間(1H)であることが指示される。
続いて、電圧選択信号形成回路354は、転送信号、極性指示信号POLおよび制御信号INHに基づいて、各行の走査線312への印加電圧を指定する電圧選択信号a、b、cおよびdを出力する。電圧選択信号a、b、cおよびdは、互いに排他的にアクティブレベル(Hレベル)となる。ここで、電圧選択信号aがHレベルになると+V(正極性選択電圧)の選択が指示される。同様に、電圧選択信号b、c、dがHレベルになると、それぞれ+V/2(正極性非選択電圧)、−V/2(負極性非選択電圧)、−V(負極性選択電圧)の選択が指示される。
本形態においては、上述したように、選択電圧+Vまたは−Vが印加される期間は、1水平走査期間(1H)の後半期間0.5H(「1/2H」と表記する)である。また、非選択電圧は、選択電圧+Vが印加された後では+V/2であり、選択電圧−Vが印加された後では−V/2であって、直前の選択電圧により一義的に定まっている。電圧選択信号形成回路354は、走査信号の電圧レベルが次の関係になるように、各行の走査線312について電圧選択信号a、b、c、dを出力する。すなわち、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320のいずれかHレベルになって、それに対応する走査線312を選択すべき水平走査期間である旨が指定され、さらに、制御信号INHがHレベルとなって、当該水平走査期間の後半期間であることが示されると、電圧選択信号形成回路354は、当該走査線312への走査信号の電圧レベルを、第1に、極性指示信号POLの信号レベルに対応した極性の選択電圧とし、第2に、その後半期間が終了すると、当該選択電圧に対応する非選択電圧となるように電圧選択信号を生成する。
具体的には、電圧選択信号形成回路354は、制御信号INHがHレベルとなる期間において、極性指示信号POLがHレベルであれば正極性選択電圧+Vを選択させる電圧選択信号aを当該後半期間にHレベルとし、この後半期間が終了して、制御信号INHがLレベルに遷移すれば、正極性非選択電圧+V/2を選択させる電圧選択信号bをHレベルとして出力する一方、制御信号INHがHレベルとなる後半期間において、極性指示信号POLがLレベルであれば負極性選択電圧−Vを選択させる電圧選択信号dを当該期間にHレベルとし、この後、制御信号INHがLレベルに遷移すれば、負極性非選択電圧−V/2を選択させる電圧選択信号cをHレベルとして出力する。
セレクタ群358は、1本の走査線312ごとに4個のスイッチ3581〜3584を有する。これらのスイッチ3581〜3584の一端は、それぞれ供給線511〜514に接続され、スイッチ3581〜3584の他端は、対応する走査線312に共通接続される。スイッチ3581〜3584のゲートには、それぞれ電圧選択信号a、b、c、dが供給されている。そして、スイッチ3581〜3584の各々は、ゲート入力される電圧選択信号a、b、c、dがHレベルになると、それぞれ一端と他端との間において導通状態となる。したがって、各走査線312は、スイッチ3581〜3584のうちオンしたものを介して、供給線511〜514のいずれかと接続された状態となる。
次に、走査線駆動回路350によって供給される走査信号の電圧波形について説明する。
まず、スタートパルスDYは、図6に示されるように、シフトレジスタ352によりクロック信号YCKにしたがって1水平走査期間(1H)毎に順次にシフトされて、これが転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320として出力される。ここで、ある1行の走査線312に対応する転送信号がHレベルになる1水平走査期間においてその後半期間(1/2H)が到来すると、当該後半期間における極性指示信号POLの論理レベルに応じて、当該走査線312への選択電圧が定められる。
詳細には、ある1行の走査線312に供給される走査信号の電圧は、当該走査線312が選択される1水平走査期間の後半期間(1/2H)において、極性指示信号POLが例えばHレベルであれば正極性選択電圧+Vとなり、その後、当該選択電圧に対応する正極性非選択電圧+V/2を保持する。そして、1垂直走査期間(1F)が経過すると、1水平走査期間の後半期間においては、極性指示信号POLが反転してLレベルになるので、当該走査線312に供給される走査信号の電圧は、負極性選択電圧−Vとなり、その後、当該選択電圧に対応する負極性非選択電圧−V/2を保持することになる。
したがって、ある垂直走査期間において1行目の走査線312への走査信号Y1は、図6に示されるように、1水平走査期間の後半期間において、極性指示信号POLのHレベルに対応して正極性選択電圧+Vとなり、その後に正極性非選択電圧+V/2を保持する。この走査線312に対応する次の1水平走査期間の後半期間においては、極性指示信号POLのレベルが前回の選択とは論理反転したLレベルになるので、当該走査線312への走査信号Y1は、負極性選択電圧−Vとなり、その後、負極性非選択電圧−V/2を保持する。以下このサイクルが繰り返される。また、極性指示信号POLは、1水平走査期間(1H)毎に論理レベルが反転するので、各走査線312に供給される走査信号は、1水平走査期間(1H)毎に、すなわち、走査線312の1行毎に交互に極性が反転する。例えばある垂直走査期間において、1行目の走査信号Y1の選択電圧が正極性選択電圧+Vであれば、1水平走査期間経過後において、2行目の走査信号Y2の選択電圧は負極性選択電圧−Vとなる。
次に、データ線駆動回路250について説明する。図7は、このデータ線駆動回路250の構成を示すブロック図である。この図において、アドレス制御回路252は、階調データの読み出しに用いる行アドレスRadを生成する回路であり、当該行アドレスRadを、1垂直走査期間の最初に供給されるスタートパルスDYによってリセットするとともに、1水平走査期間毎に供給されるラッチパルスLPで歩進させる構成となっている。表示データRAM(Random Access Memory)254は、縦320行×横240列の画素116に対応した記憶領域を有するデュアルポートRAMであり、書込側では、図1における制御回路400から供給される階調データDnが制御回路400からの書込アドレスWadで指定された番地に書き込まれる一方、読出側では、行アドレスRadで指定された番地の階調データDnの1行分240個が一括して読み出される。
次に、デコーダ256は、データ信号X1、X2、……、X240のデータ電圧をそれぞれ選択するための電圧選択信号eおよびfを、読み出された240個の階調データDnに応じて、リセット信号RES、交流駆動信号MXおよび階調コードパルスGCPから排他的に生成する回路である。ここで、電圧選択信号eは+V/2の選択を、電圧選択信号fは−V/2の選択を、それぞれ指示する。より具体的には、デコーダ256は、読み出された240個のうち特定の列の階調データDnについて着目すると、次のような電圧選択信号を生成する。
すなわち、デコーダ256は、極性指示信号POLがHレベルである1水平走査期間(1H)において、階調データDnが白色(000)および黒色(111)以外の中間階調を指定するものであれば、第1に、1水平走査期間の前半期間(1/2H)の最初に供給されるリセット信号RESによって、交流駆動信号MXのレベルとは反対のレベルにリセットし、第2に、階調コードパルスGCPのうち当該階調データDnに対応するものの立ち下がりにおいて、交流駆動信号MXと同一のレベルにセットし、第3に、1水平走査期間の後半期間(1/2H)の最初に供給されるリセット信号RESを無視し、第4に、階調コードパルスGCPのうち、当該階調データDnに対応するものの立ち下がりにて、交流駆動信号MXと同一のレベルに再セットするような電圧選択信号を生成する。ただし、デコーダ256は、極性指示信号POLがHレベルである1水平走査期間(1H)において、階調データDnが白色の(000)であれば、交流駆動信号MXを反転したレベルとなるように、また、階調データDnが黒色(111)であれば、交流駆動信号MXとは同一のレベルとなるように、それぞれ電圧選択信号eおよびfを生成する。
また、デコーダ256は、極性指示信号POLがLレベルである1水平走査期間(1H)では、極性指示信号POLがHレベルである1水平走査期間(1H)とは、電圧を入れ替えた関係の電圧選択信号eおよびfを生成する。このような電圧選択信号の生成を、デコーダ256は、読み出された240個の階調データDnの各々を用いて実行する。
そして、セレクタ群258は、1列のデータ線212について、2個のスイッチ2581、2582を有する。これらのスイッチ2581および2582の一端は、それぞれ供給線512および513に接続される一方、その他端は、対応するデータ線212に共通接続される。スイッチ2581および2582のゲートには、それぞれ電圧選択信号eおよびfが供給されている。そして、スイッチ2581および2582の各々は、ゲート入力される電圧選択信号eおよびfがアクティブレベルになると、それぞれ一端と他端との間において導通状態となる。したがって、各データ線212は、スイッチ2581および2582のうちオンしたものを介して、供給線512または513のいずれかと接続された状態となる。
図8は、デコーダ256に入力される階調データDnの2進数表示と、それをデコードしたデータ信号Xjとの関係を示す図である。また、図9は、i行目の走査線312への走査信号Yiと、これよりも1行下の走査線312への走査信号Yi+1と、j列目のデータ線212へのデータ信号Xjとにおける各信号波形を示す図である。なお、このデータ信号Xjについては、i行目およびi+1行目の走査線312と、j列目のデータ線212に位置する画素116を、白色表示、黒色表示、およびその中間色の灰色表示とする場合についてそれぞれ示している。
これらの図に示されるように、1水平走査期間(1H)が2分割されて前半期間と後半期間とに分けられるとともに、走査信号Yi、Yi+1は、後半期間(1/2H)にわたって選択電圧をとり、データ信号Xjは、画素116の階調を暗くするにつれて点灯電圧をとる期間が長くなる。ここで、点灯電圧は、選択電圧が正極性の+Vであれば、負極性のデータ電圧−V/2であり、反対に選択電圧が負極性の−Vであれば正極性のデータ電圧+V/2である。一方、当該後半期間に先立つ前半期間におけるデータ信号は、当該後半期間におけるデータ信号とは電圧が逆転した関係となっている。したがって、1水平走査期間(1H)に着目すると、データ信号Xjは、電圧+V/2と−V/2とをそれぞれ50%の割合でとることになる。このため、画素116の階調がいかなるパターンで連続したとしても、1垂直走査期間(1F)において、データ信号Xjが電圧−V/2をとる期間の累計と、電圧+V/2をとる期間の累計とは互いに同一となる。このことは、非選択期間において画素116に印加される電圧実効値が、すべての画素116にわたって等しいことを意味する。この構成によれば、白色画素および黒色画素が行および列において交互に配置する市松模様や、1行毎に白色画素および黒色画素が反転するゼブラパターンなどを表示する場合に発生する列(縦)方向のクロストークが抑えられる。なお、この縦方向のクロストークについては、例えば、特開2001−147671号公報の図10にも記載されている。
ところで、本実施形態では、走査線312がITOなどの比較的抵抗率の大きな金属から形成されるため、i行目の走査線312を例にとると、図10に示されるように、当該走査線312は1列目から240列目までのすべてのデータ線212と容量的に結合する。また、走査線312だけでなく、同様に液晶パネル100における配線や信号線のすべてについても同様に、すべてのデータ線212と少なからず容量的に結合する。特に、供給線511〜514は基板200および300にその一部が形成されるので、データ線212との結合の度合いが大きい。そして、データ線212のデータ信号が電圧+V/2、−V/2の一方から他方に切り替わると、スパイク(微分波形ノイズ)が走査線312や配線、供給線に現れる。ここで、液晶パネル100の表示画像において、画素同士の階調に相関性が低い場合(例えば、自然画を表示する場合)には、データ信号の電圧切り替えタイミングは多数のデータ線212にわたって分散するためにスパイク自体が小さいから、その影響はほとんど無視することができる。これに対し、液晶パネル100の表示画像において、隣接する画素同士の階調に相関性が高い場合(例えば、データ系の画像を表示する場合)には、データ信号の電圧切り替えタイミングは各データ線212にわたって集中する。したがって、この場合には、スパイクの個数は少ないもののスパイク自体が大きくなるから、その影響が無視できなくなる。特にスパイクにより選択電圧の印加期間における平均値が変動すると、液晶容量118に印加される電圧実効値が変化するので、目的とする本来の階調とは異なった階調で表示されてしまう。
例えば、図11(a)に示されるように、液晶パネルの表示領域100aに、灰色を背景として矩形状の白色領域をウィンドウ表示しようとする場合を考えてみる。この場合に実際に表示される画像は、図11(b)に示されるように、白色領域B−Eと行(横)方向に隣接する領域B−D、B−Fと比較して、他の灰色領域A−D、A−E、A−F、C−D、C−E、C−Fが明るくなる。この表示差は行方向に発生することから、上述した縦方向のクロストークと区別する意味で、特に横クロストークとも呼ばれている。
この横クロストークを液晶容量118に印加される信号波形で検討する。図11(b)において、行範囲Aまたは行範囲Cに属する走査線312が選択された場合、当該走査線312に位置する画素の階調は、すべて背景の灰色である。このため、すべてのデータ信号の電圧は、図12(a)に示されるように、当該走査線312に正極性の選択電圧が印加されるのであれば、1水平走査期間(1H)の最初、前半期間の途中および後半期間の途中で同時に切り替わる。したがって、走査信号には、電圧が切り替わる方向に比較的大きなスパイクS0、S1、S3が現れる。このうちスパイクS0、S1は、走査信号が非選択電圧となる期間に現れるので、電圧実効値に対する影響は小さい。しかしながら、スパイクS3は、走査信号が選択電圧となる期間に現れるので、当該選択電圧+Vを大きく変動させ、走査信号とデータ信号との差で示される画素116への印加電圧波形を、図において部分Pに示されるように大きく歪ませる。なお、図12(a)では、後半期間において正極性の選択電圧+Vをとる1水平走査期間について説明したが、負極性の選択電圧−Vをとる1水平走査期間では、図示の波形を、電圧基準点を中心に極性反転したものとなるので、同様に画素116への印加電圧波形を大きく歪ませる。したがって、行範囲Aおよび行範囲Cに属する画素116(領域A−D、A−E、A−F、C−D、C−E、C−Fに属する画素116)では、印加電圧が目的とする本来の値から大きく減少するので、ノーマリーホワイトモードであれば明るくなってしまうことになる。
一方、図11(b)において、行範囲Bに属する走査線312が選択された場合、当該走査線312に位置する画素116は、背景色の灰色と白色との2種類となる。このため、データ信号は、図12(b)に示されるように、当該走査線312に正極性の選択電圧+Vが印加されるのであれば、背景にかかる列範囲D、Fに属するデータ線に供給されるものと、白色領域にかかる列範囲Eに属するデータ線に供給されるものとの2種類に分かれる。換言すれば、行範囲Aまたは行範囲Cに属する走査線312が選択される場合であれば、すべてのデータ信号が同一灰色に相当するものであったのに対し、行範囲Bに属する走査線312が選択される場合であれば、当該灰色に相当するデータ信号の数がおおよそ半分となる。したがって、行範囲Bに属する走査線312が選択される場合に現れるスパイクS0、S1、S3は、行範囲Aまたは行範囲Cに属する走査線312が選択される場合と比較して小さくなる。このため、後半期間に現れるスパイクS3は、走査信号がとる選択電圧+Vをそれほど大きく変動させず、画素116への印加電圧波形についても、図において部分Qに示されるように歪みの程度が小さい。負極性の選択電圧−Vをとる1水平走査期間でも同様である。したがって、領域B−D、B−Fの画素116の階調は、わずかに明るくなる程度である。
この結果、同一階調となるはずの領域A−D、A−E、A−F、C−D、C−E、C−Fに属する画素116と、領域B−D、B−Fの画素116とでは、前者の領域に属する画素116の階調が後者の領域に属する画素116の階調よりも明るくなり、これが横クロスロークとして視認される。このように、横クロストークの原因は、電圧が同一のタイミングで変化するデータ線(データ信号)の数によってスパイクの程度に差が生じる結果、走査線312が選択される毎に、選択電圧の印加期間における平均値が異なってしまうためである、と考えられる。なお、行範囲Aおよび行範囲Cに属する画素116への印加電圧が不足するという点は、白色領域を表示させるか否かとは無関係であるので、例えば全面同一の灰色を表示する場合であっても、同様に画素116への印加電圧が不足すると考えられる。しかし、全面同一の灰色を表示する場合、スパイクS3による影響がすべての画素116にわたって均一に作用するので、明るさの差として視認されず、したがって、横クロストークの問題が顕在化することはない。ただし、目標とする電圧が画素116に正しく印加されないという点においては問題である。
図1に示した補正回路600は、この横クロストークの発生を抑えるための回路である。図13は、補正回路600の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、カップリングコンデンサ602の一端は、負極性のデータ電圧(および非選択電圧)−V/2を供給する供給線513に接続されている。一方、カップリングコンデンサ602の他端は、電源電圧Vddの供給線と接地線Gndとの間に直列接続された抵抗604および606の中間点たる端子inに接続されている。抵抗604および606の抵抗値は、端子inの電位が電圧±V/2の中間値たるゼロとなるように選定される。なお、本実施形態において接地線Gndの電位はゼロではなく、負の値(例えば−V/2)である。
上述したように、供給線513は、走査線312と同様に、1列目から240列目までのデータ線212と容量的に結合している。このため、データ線212において電圧+V/2、−V/2の一方から他方への切り替わりが発生すると、供給線513には、切り替わる方向に向かうスパイクが、当該切り替えタイミングが同一であるデータ線212の数に応じた大きさで現れる。このとき、カップリングコンデンサ602は、供給線513の直流成分である±V/2をカットして交流成分であるスパイクを通過させるので、端子inには、ゼロ電位を基準としたスパイクが現れる(図20参照)。すなわち、カップリングコンデンサ602は、データ信号の電圧切り替えに伴って発生するスパイクを検出する検出回路として機能する。
一方、端子inは、コンパレータ612の正入力端(+)に接続されている。コンパレータ612の負入力端(−)には、抵抗614によって調整されたしきい値電圧Vth1が供給されている。また、端子inは、コンパレータ622の負入力端(−)にも接続され、コンパレータ622の正入力端(+)には、抵抗624によって調整されたしきい値電圧Vth2が供給されている。コンパレータ612および622は、それぞれ正入力端(+)に供給された電圧が負入力端(−)に供給された電圧以上となったときにHレベルとなる信号Cmp1、Cmp2をそれぞれ出力する。すなわち、コンパレータ612(622)は、スパイクがしきい値電圧Vth1(Vth2)の絶対値以上の大きさとなったとき、しきい値電圧Vth1(Vth2)の絶対値以上の大きさとなる期間だけHレベルとなる信号Cmp1(Cmp2)を出力する。このように、コンパレータ612、622は、カップリングコンデンサ602により検出されたスパイクがしきい値以上であるか否かを判別する判別回路として機能する。なお、しきい値電圧Vth1、Vth2には、Vth1>0>Vth2であって、Vth1≒−Vth2という関係がある。
パルス付加回路650は、カップリングコンデンサ602によって1水平走査期間の前半期間に検出されたスパイクと同一極性のパルスを、その前半期間に続く後半期間において選択電圧に付加する回路である。パルス付加回路650は、変換・遅延回路660、バッファ672および682、ならびにカップリングコンデンサ674および684を有する。このうち変換・遅延回路660は、コンパレータ612から出力された信号Cmp1、またはコンパレータ622から出力された信号Cmp2に基づいて、選択電圧に付加されるべきパルスを特定するとともに、この特定したパルスを1/2Hの期間だけ遅延させて、信号P1またはP2として出力する回路である。バッファ672は、信号P1に係数aを乗算する。カップリングコンデンサ674の一端はバッファ672の出力端に接続される一方、カップリングコンデンサ674の他端は、正極性選択電圧+Vの供給線511に接続されている。また、バッファ682は、信号P2に係数(−a)を乗算して、その極性を反転させる。カップリングコンデンサ684の一端はバッファ682の出力端に接続される一方、カップリングコンデンサ684の他端は、負極性選択電圧−Vの供給線514に接続されている。この構成のもと、変換・遅延回路660から出力された信号P1またはP2のパルスは、カップリングコンデンサ674を介して供給線511または514にそれぞれ出力されるので、供給線511または514には、信号P1またはP2のパルスの微分波形であるスパイクが現れる。このスパイクが走査信号に重畳されることにより、データ信号のレベル変動に伴うスパイクに起因した選択電圧の変動が抑えられるのである。
次に、図14を参照して、変換・遅延回路660の構成を説明する。この変換・遅延回路660は、信号Cmp1から信号P1を出力する系統と、信号Cmp2から信号P2を出力する系統とを有する。このうち信号P1を出力する系統は、正極性のスパイクに起因した選択電圧の歪みを解消するための系統であり、信号P2を出力する系統は、負極性のスパイクに起因した選択電圧の歪みを解消するための系統である。信号P1を出力する系統と信号P2を出力する系統とは同様の構成を有する。このため、図14においては、信号Cmp1から信号P1を出力する系統のみが示されている。以下では、信号P1を出力する系統の構成を説明することにより、信号P2を出力する系統の構成についての説明を兼ねるものとする。
図14において、セレクタ661は、階調コードパルスGCPを、制御信号INHがLレベルである1水平走査期間の前半期間に出力端Aに出力する一方、制御信号INHがHレベルである後半期間に出力端Bに出力する。遅延器662は、セレクタ661の出力端Aから供給された階調コードパルスGCPを時間dだけ遅延させて、階調コードパルスGCPaとして出力する。書込器663は、後述する付加パルス特定回路700から出力されたデータ(以下「付加パルスデータ」という)の書込タイミングを階調コードパルスGCPaの立ち下がりタイミングによって規定する。また、読出器664は、付加パルスデータの読出タイミングを、セレクタ661の出力端Bから供給された階調コードパルスGCPbの立ち下がりタイミングによって規定する。
一方、除去器665は、信号Cmp1に含まれるパルスのうち、ラッチパルスLPが出力されるタイミング(すなわち、1水平走査期間の開始タイミング)と、制御信号INHがHレベルである期間(すなわち1水平走査期間の後半期間)とに含まれるパルスを除去して、信号C1として出力する回路である。以下では、1水平走査期間の前半期間において信号C1に現れるパルス、すなわち除去器665によって除去されずに信号C1に残ったパルスを「検出パルス」と表記する。付加パルス特定回路700は、信号C1に検出パルスが現れた場合に、そのパルス幅(すなわち供給線513に現れたスパイクがしきい値を越えた時間長)に基づいて、選択電圧に付加されるべきパルス(以下「付加パルス」という)を特定し、この付加パルスのパルス幅を示すデータを付加パルスデータとして出力する。
メモリ667は、FIFO(First-In First-Out)形式のメモリである。このメモリ667は、付加パルス特定回路700から出力された付加パルスデータを、書込器663で指定されたタイミングにて順次に記憶する一方、読出器664で指定されたタイミングにて順次に読み出す。デコーダ668は、メモリ667から付加パルスデータが読み出されたときに、当該付加パルスデータに変化があったときだけ、当該付加パルスデータによって示される幅の付加パルスにデコードし、信号P1として出力する回路である。
ところで、上述したように、端子inには、電圧が同一のタイミングで変化するデータ線(データ信号)の数に応じて異なる大きさのスパイクが現れる。図15は、大きさ(すなわちピーク時点の電圧レベル)が異なる複数種類のスパイクとしきい値電圧Vth1との関係を示すグラフである。同図においては、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示している。コンパレータ612から出力される信号Cmp1は、正入力端(+)に入力された電圧が負入力端(−)に供給されたしきい値電圧Vth1以上となったときにHレベルとなるから、除去器665から出力される信号C1には、検出されたスパイクがしきい値電圧Vth1以上となった時間長に相当する幅の検出パルスが現れる。したがって、この検出パルスのパルス幅は、検出されたスパイクの大きさに応じて異なる。具体的には、15に示されるように、スパイクSaが発生したときに信号C1に現れる検出パルスPaのパルス幅は「Ta」となり、スパイクSbが発生したときに信号C1に現れる検出パルスPbのパルス幅は「Tb」となる、といった具合である。一方、スパイクの減衰特性は抵抗や容量からなる回路の時定数に依存するから、信号C1に現れる検出パルスのパルス幅は、スパイクの大きさ(高さ)に対して指数関数的に変化することとなる。例えば、図15を例にとると、スパイクSdの大きさはスパイクSbの大きさの2倍程度であるが、スパイクSdに対応する検出パルスPdのパルス幅「Td」は、スパイクSbに対応する検出パルスPbのパルス幅「Tb」の4倍程度となる。
ここで、選択電圧に対してパルスを付加する構成としては、除去器665から出力された信号C1に現れる検出パルスを、そのパルス幅を維持させたままメモリ667により遅延させたうえで付加パルスとして選択電圧に付加する構成も考えられる。しかしながら、上述したように信号C1に現れる検出パルスのパルス幅はスパイクの大きさに対して指数関数的に変化するから、この構成のもとでは選択電圧に付加される付加パルスが過大となる場合がある。例えば、検出パルスPaが信号C1に現れたときに選択電圧の歪みが適切に補正されるとしても、検出パルスPdが現れたときには、選択電圧に対してその歪みを補償するに充分な範囲を越えたスパイクが重畳され、却って選択電圧に歪みを生じさせる場合が生じ得るのである。なお、ここでは信号C1を例に挙げたが、これとは逆極性のパルスを有する信号C2についても同様の不具合が生じ得る。
これらの不具合を解消するために、本実施形態に係る付加パルス特定回路700は、信号C1に現れた検出パルスのパルス幅(すなわちスパイクがしきい値以上となる時間長)に基づいて、選択電圧に付加されるべき付加パルスのパルス幅を特定する。図16は、付加パルス特定回路700の具体的な構成を示すブロック図である。同図に示されるように、付加パルス特定回路700は、エンコーダ710と変換回路720と選択回路730とを有する。
このうちエンコーダ710は、信号C1において検出パルスが発生した場合に、この検出パルスのパルス幅を示すデータ(以下「検出パルスデータ」という)を出力する回路である。詳細については図示を省略するが、エンコーダ710は、信号C1が立ち上がったとき、充分に周波数が高いクロック信号のカウントを開始するとともに、信号C1が立ち下がったとき、その時点におけるカウント値を検出パルスデータとしてラッチ出力する構成となっている。したがって、信号C1に検出パルスが発生したとき、その立ち上がりからそのパルス幅が確定するまで、そのパルス幅よりも長い時間が必要となる。
一方、変換回路720は、予め設定された変換テーブル721(721a、721bおよび721c)に基づいて、検出パルスデータに応じた付加パルスデータを出力する回路である。各変換テーブル721は、図17に示されるように、検出パルスのパルス幅(すなわちスパイクがしきい値以上となる期間の時間長)と付加パルスのパルス幅とを対応づけるものである。各変換テーブル721においては、検出パルスのパルス幅が大きくなるほど付加パルスのパルス幅が大きくなるように双方のパルス幅が対応付けられている。ただし、変換テーブル721の内容は、信号C1に現れる検出パルスのパルス幅の変化、すなわちスパイクの大きさがしきい値以上であると判別された期間の時間長の変化に対して、付加パルスのパルス幅が直線的に(一次関数的に)変化するように選定されている。例えば、図15においてスパイクSbとその2倍程度の大きさのスパイクSdとに着目すると、スパイクSdが発生したときに当該変換テーブル721aにより特定される付加パルスPd’のパルス幅が、スパイクSbが発生したときに特定される付加パルスPb’のパルス幅の2倍程度となるように、各変換テーブル721の内容が設定されている。
ところで、前掲図8の内容に基づいて上述したように、各データ線212のデータ信号の電圧が切り替えられるタイミングは、表示画像の内容(すなわち画素116の階調)に応じて異なる。したがって、1水平走査期間の前半期間および後半期間の各々において、その開始から走査線312や各配線にスパイクが発生するまでの経過時間(換言すると、スパイクが発生するタイミング)は一定ではなく、表示画像の内容に応じて異なる。本願発明者による試験の結果、走査線312や各配線に発生するスパイクの大きさ(同時に電圧が切り替えられるデータ線212の本数)が仮に同一であったとしても、そのスパイクが発生するタイミング、すなわちデータ信号の電圧が切り替えられるタイミングに応じて、横クロストークの発生状況に相違が現れるという知見が得られた。すなわち、同時に電圧が切り替えられるデータ線212の本数が同一であったとしても、画素116に印加される電圧実効値の変動量はスパイクの発生タイミングに応じて異なり、この相違が画素116の階調差として観察者に認識されるのである。したがって、スパイクが発生するタイミングに拘わらず、変換回路720がひとつの変換テーブルに基づいて一意的に付加パルスのパルス幅を特定する構成とした場合、この特定されたパルス幅は、スパイクの発生タイミングによっては、必ずしも選択電圧の歪みを解消するために最適なものとは限らない。
この問題を解決するために、変換回路720は、それぞれ内容が異なる3つの変換テーブル721a、721bおよび721cを有し、これらのうちスパイクが発生したタイミングに応じて選択された変換テーブル721を用いて付加パルスのパルス幅を特定する。本実施形態においては、図18に示されるように、1水平走査期間の前半期間が3つの区間(区間A、区間Bおよび区間C)に区分され、このうち区間Aにおいてスパイクが発生した場合には変換テーブル721aに基づいて、区間Bにおいてスパイクが発生した場合には変換テーブル721bに基づいて、区間Cにおいてスパイクが発生した場合には変換テーブル721cに基づいて、それぞれ付加パルスのパルス幅が特定される。そして、前半期間の各区間において用いられる変換テーブル721には、その直後の後半期間の同区間において選択電圧に発生するスパイクを有効に打ち消し得る付加パルスのパルス幅が設定されている。例えば、区間Aに対応する変換テーブル721aには、その直後の後半期間の区間Aにおいて選択電圧に発生するスパイクを有効に打ち消し得る付加パルスのパルス幅が設定され、区間Bに対応する変換テーブル721bには、その直後の後半期間の区間Bにおいて選択電圧に発生するスパイクを有効に打ち消し得る付加パルスのパルス幅が設定されるといった具合である。したがって、変換テーブル721a、721bおよび721cの各々においては、各検出パルスのパルス幅に対して、それぞれ異なる付加パルスのパルス幅が対応付けられることとなる。
図16に示される選択回路730は、変換回路720が付加パルスの特定に際して用いるべき変換テーブル721を前半期間内の各時点において選択するための回路である。この選択回路730は、カウンタ731とテーブル選定回路732とセレクタ733とを有する。このうちカウンタ731は、階調コードパルスGCPをカウントするための回路である。より具体的には、図18に示されるように、カウンタ731は、階調コードパルスGCPの立ち下がりをカウントしてそのカウント値を出力する一方、前半期間または後半期間の最初に供給されるラッチパルスLPの立ち上がりにおいてカウント値をリセットする。本実施形態においては、カウンタ731によるカウント値に応じて前半期間が各区間に区分される。より具体的には、図18に示されるように、カウント値が「0」、「1」または「2」である区間、すなわち前半期間の開始点から第3番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりまでの区間が「区間A」とされ、カウント値が「3」または「4」である区間、すなわち第3番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりから第5番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりまでの区間が「区間B」とされ、カウント値が「5」または「6」である区間、すなわち第5番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりから当該前半期間の終了点までの区間が「区間C」とされる。
テーブル選定回路732は、付加パルスの特定に用いられるべき変換テーブル721をカウンタ731によるカウント値に基づいて選定し、選定した変換テーブル721の識別子を出力する回路である。この変換テーブル721の選定のために、テーブル選定回路732はテーブル732aを有する。このテーブル732aは、図19に示されるように、カウンタ731によるカウント値と付加パルスの特定に用いられるべき変換テーブル721の識別子とが対応付けられたテーブルである。上述したように、本実施形態においては、区間Aにおいては変換テーブル721aが、区間Bにおいては変換テーブル721bが、区間Cにおいては変換テーブル721cが、それぞれ付加パルスの特定のために用いられる。したがって、テーブル選定回路732のテーブル732aにおいては、図19に示されるように、カウント値「0」、「1」および「2」に対して変換テーブル721aの識別子が、カウント値「3」および「4」に対して変換テーブル721bの識別子が、カウント値「5」および「6」に対して変換テーブル721cの識別子が、それぞれ対応付けられている。一方、セレクタ733は、テーブル選定回路732から出力される識別子が示す変換テーブル721を、付加パルスの特定に用いるべきものとして変換回路720に指定する。この構成のもと、変換回路720は、信号C1に検出パルスが現れてエンコーダ710から検出パルスデータが供給されると、その時点においてセレクタ733により指定されている変換テーブル721を用いて付加パルスのパルス幅を特定し、このパルス幅を示す付加パルスデータを出力する。
変換テーブル721およびテーブル732aの内容は、外部から与えられるコマンドに応じて適宜に変更され得る。図16に示されるインタフェース751は、このコマンドを受信する回路である。このインタフェース751により受信されたコマンドはレジスタ750に格納される。このレジスタ750に格納されたコマンドに応じて、変換テーブル721およびテーブル732aの内容が変更される。例えば、変換テーブル721の指定とその変更内容とを含むコマンドが供給されると、変換回路720の複数の変換テーブル721a、721bおよび721cのうち指定された変換テーブル721がその変更内容に応じて更新される。一方、テーブル732aの変更内容を含むコマンドが供給されると、テーブル選定回路732のテーブル732aがその変更内容に応じて更新される。これにより、前半期間の各区間の始点または終点、および各区間において適用されるべき変換テーブル721が適宜に変更されることとなる。例えば、図19に示したテーブル732aにて設定されたカウント値「0」、「1」および「2」を「0」および「1」に変更し、同テーブル732aにて設定されたカウント値「3」および「4」を「2」、「3」および「4」に変更すれば、区間Aと区間Bとの境界が、第3番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりから第2番目の階調コードパルスGCPの立ち下がりに変更される。
次に、補正回路600の動作について説明する。図20および図21は、補正回路600の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下では、正極性のスパイクが発生した場合に特に着目して説明を進める。
上述したように、データ線212において電圧+V/2、−V/2の一方から他方への切り替わりが発生すると、供給線513には、切り替えタイミングが同一であるデータ線の数に応じた大きさのスパイクが現れる。このとき、カップリングコンデンサ602は、交流成分であるスパイクを通過させる。したがって、図20に示されるように、端子in(図13参照)には、データ信号が電圧−V/2から+V/2に切り替わる場合には正極性のスパイクが現れ、データ信号が電圧+V/2から−V/2に切り替わる場合には負極性のスパイクが現れる。
コンパレータ612は、端子inの電圧がしきい値電圧Vth1以上となったときにHレベルとなる信号Cmp1を出力するので、正極性のスパイクのうち、その電圧がしきい値電圧Vth1以上であるものを、しきい値電圧Vth1以上となった期間だけHレベルとなるパルスに置き換えて、信号Cmp1として出力する。同様に、コンパレータ622は、負極性のスパイクのうちその電圧がしきい値電圧Vth2以下となったものを、しきい値電圧Vth2以下となった期間だけHレベルとなるパルスに置き換えて信号Cmp2として出力する。一方、信号Cmp1に含まれるパルスのうち、1水平走査期間(1H)の開始タイミング、および、後半期間(1/2H)に出力されるものは、除去器665によって図20に示されるように除去される。信号Cmp2に含まれるパルスについても、図14では図示が省略された系統の除去器によって同様に除去される。したがって、除去器665による出力信号C1(C2)は、図20に示されるように、信号Cmp1(Cmp2)に含まれるパルスのうち、1水平走査期間の前半期間(開始タイミングを除く)に出力されるものだけとなる。
次に、付加パルス特定回路700のエンコーダ710は、信号C1に現れる検出パルスのパルス幅を示す検出パルスデータを出力する。一方、選択回路730は、カウンタ731による階調コードパルスGCPのカウント値に基づいて、その時点において発生したスパイクについて適用されるべき変換テーブル721を変換回路720に対して指定する。そして、変換回路720は、エンコーダ710から出力された検出パルスデータが示すパルス幅を、選択回路730により指定された変換テーブル721から検索し、これに対応付けられた付加パルスのパルス幅を示す付加パルスデータを出力する。例えば、図18において、前半期間のうち第2番目の階調コードパルスGCPが立ち下がったタイミングでデータ信号の電圧が切り替わり、これに伴ってスパイクが発生した場合には、区間Aにおいてエンコーダ710から検出パルスデータが出力される。一方、この区間Aにおいて選択回路730は変換テーブル721aを選択している。したがって、変換回路720は、検出パルスデータを変換テーブル721aに基づいて付加パルスデータに変換する。例えば、図17を例に挙げると、検出パルスデータの示すパルス幅が「80」であれば、変換回路720はパルス幅「40」を示す付加パルスデータを出力する。
ところで、上述したように、信号C1に検出パルスが発生したとき、その立ち上がりからそのパルス幅が確定するまで時間を要する。図21では、1水平走査期間の前半期間(1/2H)において、(信号C1が立ち上がって)パルスS1aが発生してから、そのパルス幅に対応する付加パルスデータS1bが出力されるまで、若干の時間遅延が生じている。データ信号の電圧切り替えは階調コードパルスGCPの立ち下がりで発生するので、理想的には、パルスS1aが立ち上がるタイミングと階調コードパルスGCPが立ち下がるタイミングとは一致する。ただし、実際には、コンパレータ612、622には動作遅延があるので、両者のタイミングは一致しない。
一方、1水平走査期間の前半期間(1/2H)では、制御信号INHがLレベルとなるので、セレクタ661では出力端Aが選択されて、階調コードパルスGCPaが階調コードパルスGCPよりも時間dだけ遅延して出力される。この遅延した階調コードパルスGCPaの立ち下がりタイミングにおいて、付加パルスデータがメモリ667に書き込まれる。このようにメモリ667の書込タイミングを、遅延させた階調コードパルスGCPaの立ち下がりにて指定した理由は、上述したようにコンパレータ612、622の動作遅延が生じている点と、パルスS1aが発生してから、そのパルス幅に対応する付加パルスデータS1bが出力されるまでに時間遅延が生じている点とを考慮したためであり、メモリ667の書込タイミングをパルスS1aの発生と一致する階調コードパルスGCPの立ち下がりにて指定する構成にすると、付加パルスの幅が未確定の状態で書き込んでしまうからである。
次に、1水平走査期間の後半期間(1/2H)では、制御信号INHがHレベルとなる。したがって、セレクタ661では出力端Bが選択されて、階調コードパルスGCPがそのまま階調コードパルスGCPbとして出力される。そして、この階調コードパルスGCPbの立ち下がりタイミングにて、メモリ667に書き込まれた付加パルスデータが順番に読み出される。デコーダ668は、付加パルスデータに変化があったときだけ、その付加パルスデータによって示される幅のパルスにデコードするので、例えば、図20または図21に示されるように、前半期間における信号C1のパルスS1aを変換テーブル721に基づいて変換したパルスS1dは、そのパルスS1aから1水平走査期間のほぼ半分期間(0.5H)だけ遅延して、信号P1として出力されることになる。すなわち、図20に示されるように、前半期間においてデータ信号が電圧−V/2から+V/2に切り替わることに伴って発生したスパイクS1は、コンパレータ612によって検出パルスS1aに置き換えられ、これを変換した付加パルスS1dが遅延されたうえで、後半期間においてデータ信号が電圧+V/2から−V/2への切り替わるタイミングにて出力される。
信号P1に含まれるパルスS1dは、バッファ672およびカップリングコンデンサ674を介して供給線511に出力されるので、この供給線511には、パルスS1dの微分波形である正極性スパイクが現れる。走査線駆動回路350は、上述したように、選択した走査線312に対応するスイッチ3581を後半期間にオンさせて、供給線511を当該走査線312に接続することにより、当該走査線312に正極性の選択電圧を印加する構成となっているので、走査信号には、パルスS1dの微分波形である正極性スパイクがそのまま重畳される。走査線312には、後半期間のうちデータ信号が電圧+V/2から−V/2に切り替わるタイミングに負極性のスパイクS3が現れるが、これと同一タイミングにおいて正極性のスパイクも現れるので、結果的に両者は打ち消し合う。したがって、データ信号の電圧切り替えに拘わらず、選択電圧+Vはほぼ一定に保たれることとなる。
以上の動作は、極性指示信号POLがHレベルである1水平走査期間、すなわち、選択電圧として電圧+Vを印加する後半期間を含む1水平走査期間の動作であったが、極性指示信号POLがLレベルである期間についても、信号C2に含まれる検出パルスを同様に処理することによって、選択電圧−Vはほぼ一定に保たれる。詳細には、極性指示信号POLがLレベルである1水平走査期間の後半期間では、データ信号が電圧−V/2から+V/2に切り替わるので、そのタイミングで現れるスパイクは正極性となる。一方、信号P2に含まれる付加パルスは正極性であるが、バッファ682によってその極性が反転された後、カップリングコンデンサ684を介して供給線514に出力されるので、供給線514には、そのパルスの微分波形である負極性スパイクが現れる。したがって、極性指示信号POLがLレベルである1水平走査期間の後半期間においても両スパイクが互いに打ち消し合い、選択電圧−Vはほぼ一定に保たれる。
このように、補正回路600は、前半期間におけるデータ信号の電圧切り替えに伴うスパイクの大きさに応じた幅の付加パルスに置き換えた後、メモリ667によって遅延させて、後半期間に付加するので、スパイクの大きさにかかわらず、そのスパイクを打ち消すことができる。例えば、上述した図12(a)では、前半期間に現れるスパイクS1および後半期間において現れるスパイクS3が比較的大きいので、前半期間に現れるスパイクを変換した検出パルスの幅も広くなる結果、出力される信号P1に含まれる付加パルスの幅も比較的広くなる。このため、図22(a)に示されるように、走査信号に重畳されるスパイクS1eも大きくなるので、走査信号の選択電圧+Vがほぼ一定に保たれる結果、画素116への印加電圧波形の歪みをほぼなくすことができる。
また、上述した図12(b)では、前半期間に現れるスパイクS1および後半期間において現れるスパイクS3が比較的小さいので、前半期間に現れるスパイクを変換した検出パルスの幅も狭くなる結果、出力である信号P1に含まれる付加パルスの幅も比較的狭くなる。このため、図22(b)に示されるように、走査信号に重畳されるスパイクS1eも小さくなるので、この場合においても走査信号の選択電圧+Vがもほぼ一定に保たれる結果、画素116への印加電圧波形の歪みをほぼなくすことができる。このため、図11(b)に示される領域A−D、A−E、A−F、C−D、C−E、C−Fに属する画素116と、領域B−D、B−Fに属する画素116とに印加される電圧は互いにほぼ等しくなるので、横クロストークを抑えることが可能となる。さらに、これらの領域に属する画素116の印加電圧はほぼ目標電圧となるので、その表示画像も、図11(a)に示される目標画像とほぼ一致することとなる。また、仮に全面同一の灰色を表示する場合であっても、画素116への印加電圧が不足して低濃度になることはない。
しかも、本実施形態によれば、前半期間に現れたスパイクを検出し、このスパイクを用いて、後半期間において選択電圧に現れるスパイクを打ち消すようになっている。したがって、コンパレータ612、622等には高速動作が要求されないから、各部において消費される電力を抑えることもできる。
また、本実施形態によれば、スパイクの発生タイミングに応じて異なる変換テーブル721を用いて付加パルスが特定されるので、前半期間および後半期間の各々のうちいずれのタイミングでスパイクが発生したとしても、そのスパイクを打ち消すために最適な付加パルスが特定される。したがって、スパイクの発生タイミングとは無関係に付加パルスが特定される構成と比較して、選択電圧(ひいては画素116に印加される電圧実効値)を高い精度で補正して横クロストークを有効に抑えることができる。しかも、本実施形態によれば、データ信号の電圧を切り替えるタイミングを指定するための階調コードパルスGCPを計数することによって、異なる変換テーブル721が適用される各区間の境界が特定される。すなわち、データ信号の電圧切り替えと変換テーブル721の切り替えとのために階調コードパルスGCPが兼用されるから、専ら変換テーブル721の切り替えのために用いられる信号が別途に生成される構成と比較して、構成の簡素化および消費電力の低減が図られる。加えて、本実施形態においては、コマンドの入力によって変換テーブル721またはテーブル732aの内容が適宜に変更される。したがって、図11に示されたような画像を表示させたうえで、利用者は、この画像を確認しながら適宜にコマンドを入力することにより、横クロストークが有効に抑えられるように変換テーブル721またはテーブル732aの内容を調整することができる。
なお、上記実施形態にあっては、選択電圧が印加されたときに、点灯電圧を時間的に後方に寄せて印加したので、選択電圧の印加期間においてデータ線駆動回路250は、データ線212に供給するデータ信号を、非点灯電圧から点灯電圧へと切り替えた。これに限られず、点灯電圧を時間的に前方に寄せて印加する構成としても良い。この構成では、選択電圧の印加期間においてデータ線駆動回路250は、データ線212に供給するデータ信号を、実施形態とは逆に点灯電圧から非点灯電圧へと切り替えることになる。また、実施形態では、補正回路600が、供給線513のスパイクを検出する構成としたが、この理由は、供給線513の電位が接地線Gndの電位すなわち接地電位であるため最も安定しているからである。したがって、その電位が安定しているならば、他の供給線、配線等であっても良い。
また、本実施形態においては、変換回路720が3つの変換テーブル721a、721bおよび721cを有する構成を例示したが、変換テーブル721の数は任意である。したがって、1水平走査期間の前半期間の区間の数も「3」に限られず、他の任意の区間数が採用され得る。また、上記実施形態においては、前半期間を区分した各区間において異なる変換テーブル721が用いられる構成を例示したが、複数の区間で同じ変換テーブル721が用いられる構成としても良い。例えば、図18の例では、区間Bにおいては変換テーブル721bが選択される一方、区間Aおよび区間Cにおいては共通の変換テーブル721aが選択されるようにしても良い。
上述した実施形態では、補正回路600を他の構成要素から独立した構成としたが、例えばデータ線駆動回路250または走査線駆動回路350の一方とともに、もしくは、その双方とともに集積化しても良い。また、補正回路600は、その総ての構成要素(図13および図14に示される各部)が一体の集積回路として構成されている必要は必ずしもなく、これらの構成要素が部分的に別体の集積回路として構成されていても良い。
本発明は、透過型の表示装置に限らず、観察側からの入射光を観察側に反射させて表示(反射型表示)を行う反射型の表示装置や、透過型および反射型の双方の表示が可能な半透過反射型の表示装置にも適用され得る。また、階調数は「8」に限れられず、その他の任意の階調数(例えば4、16、32、64階調など)としても良い。各々がR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に割り当てられた3つの画素によって1ドットを構成して、カラー画像を表示する構成としても良い。
上述した実施形態では、能動素子としてTFD220を用いたアクティブマトリクス型の液晶パネル100を例示したが、能動素子を用いることなく、帯状電極の交差によって液晶160を挟持したパッシブマトリクス型の電気光学装置にも本発明は適用され得る。また、実施形態では、TFD220がデータ線212に接続され、液晶容量118が走査線312に接続された構成を例示したが、これとは逆に、TFD220が走査線312に、液晶容量118がデータ線212にそれぞれ接続された構成としても良い。さらに、TFD220は、二端子型スイッチング素子の一例に過ぎず、ZnO(酸化亜鉛)バリスタや、MSI(Metal Semi-Insulator)などを用いた素子、あるいは、これらの素子を2つ逆向きに直列接続または並列接続したものを二端子型スイッチング素子として用いることも可能である。
上記実施形態では、TN型の液晶を用いた液晶装置を例示したが、STN(Super Twisted Nematic)型の液晶や、分子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分子を液晶分子と平行に配列させたゲストホスト型などの液晶を用いても良い。加えて、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する、という垂直配向(ホメオトロピック配向)の構成としても良いし、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する、という平行(水平)配向(ホモジニアス配向)の構成としても良い。このように、本発明では、液晶や配向方式として種々のものを用いることが可能である。
また、本発明は、液晶装置以外の電気光学装置にも適用され得る。すなわち、電流の供給や電圧の印加といった電気的な作用を輝度や透過率の変化といった光学的な作用に変換する電気光学物質を用いて画像を表示する装置であれば本発明は適用され得る。例えば、EL(ElectroLuminescent)を電気光学物質として用いたEL表示装置や、着色された液体と当該液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを電気光学物質として用いた電気泳動表示装置、極性が相違する領域毎に異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学物質として用いたツイストボールディスプレイ、黒色トナーを電気光学物質として用いたトナーディスプレイ、あるいはヘリウムやネオンなどの高圧ガスを電気光学物質として用いたプラズマディスプレイパネル(PDP)など各種の電気光学装置に本発明が適用される。
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置を表示装置として有する電子機器について説明する。図23は、実施形態に係る電気光学装置10を用いた携帯電話機の構成を示す斜視部である。この図に示されるように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202のほか、受話口1204、送話口1206とともに、上述した液晶パネル100を備える。なお、電気光学装置10のうち液晶パネル100以外の構成要素は筐体に内蔵されるので、携帯電話機1200の外観上は現れない。
図24は、電気光学装置10をファインダに適用したデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。銀塩カメラは、被写体の光像によってフィルムを感光させるのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号を生成・記憶する。ここで、デジタルスチルカメラ1300における本体1302の背面には、上述した液晶パネル100が設けられている。この液晶パネル100は、撮像信号に基づいて表示を行うので、被写体を表示するファインダとして機能することになる。また、本体1302の前面側(図24においては裏面側)には、光学レンズやCCDなどを含んだ受光ユニット1304が設けられている。撮影者が液晶パネル100に表示された被写体像を確認して、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・記憶される。また、このデジタルスチルカメラ1300にあって、ケース1302の側面には、外部表示を行うためのビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
なお、電気光学装置10が表示装置として利用され得る電子機器としては、図23に示される携帯電話機や、図24に示されるデジタルスチルカメラの他にも、ノートパソコンや、液晶テレビ、ビューファインダ型(またはモニタ直視型)のビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。いずれの電子機器においても、横クロストークを抑えた高品位の表示が簡易な構成によって実現される。
本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 同電気光学装置の構成を示す斜視図である。 同電気光学装置における液晶パネルの構成を示す断面図である。 同電気光学装置における画素の構成を示す部分破断斜視図である。 同電気光学装置における走査線駆動回路の構成を示すブロック図である。 同走査線駆動回路による走査信号の波形を示す図である。 同電気光学装置におけるデータ駆動回路の構成を示すブロック図である。 同データ線駆動回路によるデータ信号の波形を示す図である。 同電気光学装置における画素に印加される信号の波形を示す図である。 i行目の走査線等と各データ線との等価回路を示す図である。 同電気光学装置における横クロストークの発生例を示す図である。 横クロストークの原因を説明するための図である。 同電気光学装置における補正回路の構成を示すブロック図である。 同補正回路における変換・遅延回路の構成を示すブロック図である。 供給線に発生するスパイクと検出パルスおよび付加パルスとの関係を示す図である。 同補正回路における付加パルス特定回路の構成を示すブロック図である。 同付加パルス特定回路において用いられる変換テーブルの内容を示す図である。 同付加パルス特定回路における選択回路の動作を説明するための図である。 同選択回路におけるテーブル選定回路によって用いられるテーブルの内容を示す図である。 同補正回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 同補正回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 同補正回路による補正動作を説明するための図である。 同電気光学装置を用いた携帯電話機の構成を示す斜視図である。 同電気光学装置を用いたデジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
符号の説明
100…液晶パネル、116…画素、212…データ線、250…データ線駆動回路、312…走査線、350…走査線駆動回路、400…制御回路、500…電圧生成回路、600…補正回路、602,604…カップリングコンデンサ、612,622…コンパレータ、650…パルス付加回路、660…変換・遅延回路、667…メモリ、700……付加パルス特定回路、710……エンコーダ、720……変換回路、721(721a,721b,721c)……変換テーブル、730……選択回路、731……カウンタ、732……テーブル選定回路、733……セレクタ。

Claims (8)

  1. 複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素と、
    前記走査線を1水平走査期間毎に順次に選択するとともに、選択した走査線に対し、当該1水平走査期間の後半期間にわたって選択電圧を印加する走査線駆動回路と、
    一のデータ線に対し、
    1水平走査期間の前半期間のうち、当該データ線と選択された走査線との交差に対応する画素の階調に応じた期間にわたって非点灯電圧を、その残余期間にわたって点灯電圧を、それぞれ印加する一方、
    当該後半期間のうち、当該画素の階調に応じた期間にわたって点灯電圧を、その残余期間にわたって非点灯電圧を、それぞれ印加するデータ線駆動回路と
    を有する電気光学装置にて発生するクロストークを補正する回路であって、
    1水平走査期間の前半期間に、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方から他方への切り替えに伴うスパイクを検出する検出回路と、
    前記検出回路によって検出されたスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別する判別回路と、
    スパイクの大きさが前記しきい値以上であると前記判別回路によって判別された期間の時間長と前記前半期間のうち当該スパイクが発生したタイミングとに基づいて、前記選択電圧に付加されるべき付加パルスの大きさを特定する付加パルス特定回路と、
    前記検出回路によって検出されたスパイクと同一極性であり前記付加パルス特定回路によって特定された大きさの付加パルスを、前記前半期間に続く後半期間において前記選択電圧に付加する付加回路と
    を具備することを特徴とする電気光学装置のクロストーク補正回路。
  2. 前記付加パルス特定回路は、
    スパイクの大きさが前記しきい値以上となる期間の時間長に対して各々異なるパルスの大きさが対応付けられた複数のテーブルを有し、
    前記複数のテーブルのうち、前記前半期間において前記スパイクが発生したタイミングに対応するテーブルを用いて付加パルスの大きさを特定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置のクロストーク補正回路。
  3. 前記付加パルス特定回路は、
    前記前半期間内の各時点毎に前記複数のテーブルのいずれかを選択する選択回路を有し、
    前記複数のテーブルのうち、スパイクが前記しきい値以上であると前記判別回路により判別された時点において前記選択回路により選択されているテーブルを用いて付加パルスの大きさを特定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置のクロストーク補正回路。
  4. 前記データ線駆動回路は、前記前半期間および前記後半期間において階調コードパルスが供給される複数の時点のうち前記画素の階調に応じた時点において前記データ線への印加電圧を切り替える一方、
    前記選択回路は、前記階調コードパルスを計数する計数回路を有し、前記複数のテーブルのうち当該計数回路による計数値に応じたテーブルを選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置のクロストーク補正回路。
  5. 前記付加パルス特定回路は、前記付加パルスのパルス幅を特定する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電気光学装置のクロストーク補正回路。
  6. 複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素と、
    前記走査線を1水平走査期間毎に順次に選択するとともに、選択した走査線に対し、当該1水平走査期間の後半期間にわたって選択電圧を印加する走査線駆動回路と、
    一のデータ線に対し、
    1水平走査期間の前半期間のうち、当該データ線と選択された走査線との交差に対応する画素の階調に応じた期間にわたって非点灯電圧を、その残余期間にわたって点灯電圧を、それぞれ印加する一方、
    当該後半期間のうち、当該画素の階調に応じた期間にわたって点灯電圧を、その残余期間にわたって非点灯電圧を、それぞれ印加するデータ線駆動回路と
    を有する電気光学装置にて発生するクロストークを補正する方法であって、
    1水平走査期間の前半期間に、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方から他方への切り替えに伴うスパイクを検出し、
    前記検出されたスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別し、
    スパイクの大きさが前記しきい値以上であると判別された期間の時間長と前記前半期間のうち当該スパイクが発生したタイミングとに基づいて、前記選択電圧に付加されるべき付加パルスの大きさを特定し、
    前記検出されたスパイクと同一極性であり前記特定された大きさの付加パルスを、前記前半期間に続く後半期間において前記選択電圧に付加する
    ことを特徴とする電気光学装置のクロストーク補正方法。
  7. 複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して設けられた画素と、
    前記走査線を1水平走査期間毎に順次に選択するとともに、選択した走査線に対し、当該1水平走査期間の後半期間にわたって選択電圧を印加する走査線駆動回路と、
    一のデータ線に対し、
    1水平走査期間の前半期間のうち、当該データ線と選択された走査線との交差に対応する画素の階調に応じた期間にわたって非点灯電圧を、その残余期間にわたって点灯電圧を、それぞれ印加する一方、
    当該後半期間のうち、当該画素の階調に応じた期間にわたって点灯電圧を、その残余期間にわたって非点灯電圧を、それぞれ印加するデータ線駆動回路と、
    1水平走査期間の前半期間に、前記点灯電圧または前記非点灯電圧の一方から他方への切り替えに伴うスパイクを検出する検出回路と、
    前記検出回路によって検出されたスパイクの大きさがしきい値以上であるか否かを判別する判別回路と、
    スパイクの大きさが前記しきい値以上であると前記判別回路によって判別された期間の時間長と前記前半期間のうち当該スパイクが発生したタイミングとに基づいて、前記選択電圧に付加されるべき付加パルスの大きさを特定する付加パルス特定回路と、
    前記検出回路によって検出されたスパイクと同一極性であり前記付加パルス特定回路によって特定された大きさの付加パルスを、前記前半期間に続く後半期間において前記選択電圧に付加する付加回路と
    を具備することを特徴とする電気光学装置。
  8. 請求項7に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2007026714A1 (ja) * 2005-08-31 2009-03-12 シャープ株式会社 Lcd、液晶表示装置、およびこれらの駆動方法
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