JP2005090992A - 安定化固相化抗scc抗体試薬 - Google Patents

安定化固相化抗scc抗体試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】 有用な腫瘍マーカーである扁平上皮癌関連抗原(SCC抗原)の測定用試薬である固相化抗SCC抗体を安定保存することを可能にし、その利用の制限を解消すること。
【解決手段】 酸性溶液中で固相化抗SCC抗体を保存することにより、その熱安定性が改善できる一方で、SCC抗原との反応に際しても所定の測定結果を得ることができる。かくして、安定化固相化抗SCC抗体試薬並びにそれを使用したイムノアッセイ法が提供でき、SCC抗原の臨床的意義をより信頼性を持って的確に把握することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、扁平上皮癌関連抗原(squamous cell carcinoma related antigen: SCC)測定試薬に関する。
SCC抗原は子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣より分離・精製されたもので〔特許文献1〕、広範にわたるその臨床的意義についての研究の結果、現在では、子宮頸部扁平上皮癌及び肺の扁平上皮癌についても有用な腫瘍マーカーであることが認められている。
血中SCC抗原濃度の測定は、通常固相化抗SCC抗体と標識抗SCC抗体とによるサンドイッチ型イムノアッセイを用いて行われている。当該固相化抗SCC抗体とSCC抗原との反応は、アルカリ性の溶液中で行われており、そのため、当該固相化抗SCC抗体も、同様のアルカリ性溶液中でその保存が行われ、アルカリ性溶液中に維持された固相化抗SCC抗体が試薬として提供されている。
特公平5-41160 号公報
現在ではサンドイッチ型イムノアッセイを用いたSCC抗原測定は、抗SCC抗体固相ビーズとI125標識抗SCC抗体を用いた RIA法に基づくキット、例えば SCC・リアビーズTM(Abbott社製)、抗SCC抗体固相マイクロパーティクルと ALP標識抗SCC抗体を用いたMEIA法に基づくキット、例えば IMxTMSCC(Abbott社製) を使用してその測定が行われている。
上記したようにアルカリ性溶液中に維持された固相化抗SCC抗体を使用して測定を行うと、固相化抗SCC抗体が熱による悪影響のためその安定性が損なわれ、その結果SCC抗原測定時のシグナルの低下を招来していた。また、試薬を輸送・保存するにも2〜8℃で保存して、消費地まで輸送するなど、その取扱いに細心の注意を必要とする問題があった。したがって、該固相化抗SCC抗体試薬を長期にわたり保存したり、遠隔地などに輸送するにも問題があり、広範に自動測定機器を使用しての測定に、障害となっていた。したがって、固相化抗SCC抗体を安定的に維持する技術の開発が求められている。
本発明者は、固相化抗SCC抗体を熱的に安定に保存する技術を鋭意検討した結果、SCC抗原との反応に使用されるアルカリ性ではなく、予想外に、酸性溶液中で固相化抗SCC抗体を保存することにより、その熱安定性が改善できる一方で、SCC抗原との反応に際しても所定の測定結果を得ることができるということを見出すことに成功した。
本発明は、次のものを提供している。
〔1〕 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持してあることを特徴とする固相化抗SCC抗体試薬。
〔2〕 酸性溶液中で保持してある固相化抗SCC抗体を使用し、サンドイッチ型イムノアッセイによりSCC抗原を測定することを特徴とするイムノアッセイ法。
〔3〕 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持し、SCC抗原測定対象試料を当該固相化抗SCC抗体と接触せしめ、該固相を洗滌しあるいは洗滌せずに標識抗SCC抗体と接触せしめ、次に固相に存在する標識あるいは固相に結合せずに遊離状態である標識を指標にSCC抗原を測定することを特徴とする上記〔2〕記載のイムノアッセイ法。
〔4〕 固相が磁気応答性微粒子であることを特徴とする上記〔2〕又は〔3〕記載のイムノアッセイ法。
〔5〕 定量的にSCC抗原を測定することを特徴とする上記〔2〕〜〔4〕のいずれか一記載のイムノアッセイ法。
〔6〕 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持することを特徴とする固相化抗SCC抗体の保存方法。
〔7〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 の緩衝液であることを特徴とする上記〔1〕記載の固相化抗SCC抗体試薬。
〔8〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 の緩衝液であることを特徴とする上記〔2〕〜〔5〕のいずれか一記載のイムノアッセイ法。
〔9〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 の緩衝液であることを特徴とする上記〔6〕記載の固相化抗SCC抗体の保存方法。
〔10〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 の2-(N-モルホリノ) エタンスルホン酸(MES) 緩衝液であることを特徴とする上記〔1〕又は〔7〕記載の固相化抗SCC抗体試薬。
〔11〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 のMES 緩衝液であることを特徴とする上記〔2〕〜〔5〕及び〔8〕のいずれか一記載のイムノアッセイ法。
〔12〕 酸性溶液が、pH 6.0〜7.0 のMES 緩衝液であることを特徴とする上記〔6〕又は〔9〕記載の固相化抗SCC抗体の保存方法。
〔13〕 酸性溶液が、pH 6.0〜6.5 のMES 緩衝液であることを特徴とする上記〔1〕又は〔7〕記載の固相化抗SCC抗体試薬。
〔14〕 酸性溶液が、pH 6.0〜6.5 のMES 緩衝液であることを特徴とする上記〔2〕〜〔5〕及び〔8〕のいずれか一記載のイムノアッセイ法。
〔15〕 酸性溶液が、pH 6.0〜6.5 のMES 緩衝液であることを特徴とする上記〔6〕又は〔9〕記載の固相化抗SCC抗体の保存方法。
固相化抗SCC抗体を熱に対して安定的に維持・保存することが可能となり、腫瘍マーカーであるSCC抗原測定により得られるデータの信頼性を高めることができ、臨床上有意義な測定を行うことが可能となる。さらに試薬保存のために冷蔵装置など特別な装置も不要となりその取扱いも簡単になる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明の固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持又は保存することで、常温での保存及び維持が可能である。酸性溶液中に固相化抗SCC抗体が置かれることで、熱に対して、固相化抗SCC抗体を安定的に維持し、実質的に所要の生物活性が低減あるいは不活性化することが防止できる。該効果は、pH 8.0 のリン酸緩衝液中にある固相化抗SCC抗体と、45℃の温度での熱安定性を比較してのものであってよい。
該酸性溶液としては、好適には水性媒体であり、実質的に酸性域を安定的に維持できるものであればよい。このましいpH域としては、約5.5〜7.0 、好ましくは6.0〜7.0、より好ましくは6.0〜6.5である。該酸性溶液としては、好適には緩衝剤を含んだ水性溶液が挙げられ、所定の安定化効果を得られるものであれば特に限定されないが、例えば酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]トリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES) 緩衝液、3-(シアノヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸)(CAPS)緩衝液、2-(モルホリノ)エタンスルホン酸(MES) 緩衝液、3-(モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、グリシン緩衝液、炭酸緩衝液、Tris-HCl緩衝液などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合して用いることができる。好ましい酸性溶液としては、MES 緩衝液、Bis-Tris緩衝液、Tris緩衝液が挙げられ、より好ましい酸性溶液としては、MES 緩衝液が挙げられる。
該酸性溶液中の、緩衝成分の濃度としては、適宜好適な範囲を実験を行って決定することができるが、例えばMES では 1〜150 mM、好ましくは25〜100 mM、より好ましくは40〜70 mM 、特には約50 mM が挙げられる。
抗体としては、モノクローナル又はポリクローナル抗体、組換えタンパク質として得られた抗体、キメラ抗体、その混合物又はフラグメント、及び抗体と他の特異的結合メンバーの組合せの結合物とすることができる。特異的結合メンバーとは、結合対により一方が他方に特異的に結合する2個の異なる分子の一員を意味する。すなわち、特異的結合メンバーとは、化学又は物理的手段により一方が他方に特異的に結合する2個の異なる分子の一員を意味してよい。代表的な例としては、ビオチンとアビジン、糖鎖などを含めた炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列、相補的ペプチド配列、エフェクター分子とレセプター分子、補酵素因子と酵素、酵素阻害剤と酵素、ペプチド配列と該配列に特異的な抗体、タンパク質と該タンパク質に特異的な抗体、ポリマー酸とポリマー塩基、色素とタンパク質結合剤、ペプチドと特異的タンパク質結合剤(例えばリボヌクレアーゼSペプチドとリボヌクレアーゼSタンパク質)、糖と硼酸、及び結合アッセイでそれらの結合を可能にするアフィニティーをもつ類似分子が挙げられる。更に、結合対は元の結合メンバーの類似体であるメンバー(例えば組換え技術や分子操作により作製される類似体又は模擬結合メンバー)を含む場合もある。
当該抗体の作製は、当業者に周知であるし、下記するようにしても得ることができる。
本明細書中、「抗体」との用語は、広義の意味で使用されるものであってよく、所望のSCC抗原に対するモノクローナル抗体の単一のものや各種エピトープに対する特異性を持つ抗体組成物であってよく、また1価抗体または多価抗体並びにポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むものであり、さらに天然型(intact)分子並びにそれらのフラグメント及び誘導体も表すものであり、F(ab')2, Fab' 及びFab といったフラグメントを包含し、さらに少なくとも二つの抗原又はエピトープ (epitope)結合部位を有するキメラ抗体若しくは雑種抗体、又は、例えば、クワドローム(quadrome), トリオーム(triome)などの二重特異性組換え抗体、種間雑種抗体、抗イディオタイプ抗体、さらには化学的に修飾あるいは加工などされてこれらの誘導体と考えられるもの、公知の細胞融合又はハイブリドーマ技術や抗体工学を適用したり、合成あるいは半合成技術を使用して得られた抗体、抗体生成の観点から公知である従来技術を適用したり、DNA 組換え技術を用いて調製される抗体、本明細書で記載し且つ定義する標的抗原物質あるいは標的エピトープに関して中和特性を有したりする抗体又は結合特性を有する抗体を包含していてよい。
このような抗体は、例えばポリクローナル抗体の場合には、当該SCC抗原又はその一部断片(オリゴペプチド)を免疫原として動物を免役した後、血清から得ることができる。あるいは、SCC抗原ポリヌクレオチドの組換えベクターを注射や遺伝子銃によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによって作製することができる。動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、ニワトリなどが用いられる。さらには、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい場合もある。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われ、例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じて行うことができる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物などの腹腔内または皮下に注射することにより行われる。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。免疫化剤を(必要に応じアジバントと共に)一回又はそれ以上の回数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的には、該免疫化剤及び/又はアジバントを哺乳動物に複数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされる。免疫化剤は、上記抗原ペプチドあるいはその関連ペプチド断片を含むものが挙げられる。免疫化剤は、免疫処理される哺乳動物において免疫原性であることの知られているタンパク質(例えば上記担体タンパク質類など)とコンジュゲートを形成せしめて使用してもよい。アジュバントとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG 、リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。
ポリクローナル抗体を含む抗血清は、免疫された動物を所定の期間飼育した後、当該動物から採血した血液から調製することができる。得られた抗血清は、SCC抗原を認識するものであることを確認した後、本発明所定の活性成分として供される。
本発明において、抗SCC抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体として得られたものを使用することもできる。抗原物質に対して作製されるモノクローナル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生される。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗体の集団から得られているというその抗体の性格を示すものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノクローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一の抗原性をもつサイトに対して向けられているものである。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けられた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリクローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノクローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して向けられているものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリン類の夾雑がないあるいは少ない点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。それらは、所望の生物活性を示す限り、その由来や免疫グロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えたり、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あるいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたりして得ることができる(例えば、米国特許第4816567 号; Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New York, 1987 など) 。
また、モノクローナル抗体は、公知のモノクローナル抗体作製法(長宗香明、寺田弘共著、「単クローン抗体」、廣川書店、1990年; James W. Goding, "Monoclonal Antibody", 3rd edition, Academic Press, 1996) に従い作製することができる。
抗体は必要に応じてそれをより精製された形態のものとして使用される。抗体を精製・単離する手法としては、従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して用いることができる。好ましくは、抗血清、モノクローナル抗体を含有する腹水などは、硫安分画した後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
これら抗体をトリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理して、場合により還元して得られるFab 、Fab'、F(ab')2 といった抗体フラグメントにして使用してもよい。
本明細書で使用する用語「固相」は、それにSCC抗原、SCC抗原複合体又はアッセイ試薬が結合することのできる材料であって、その結合したものから未反応アッセイ試薬、試料又は試験溶液を分離することができるようないかなる材料であってもよい。本発明の固相は一般にその表面に結合して「固相試薬」を形成する抗SCC抗体を保有しているものである。本発明の固相は、SCC抗原、磁気応答性試薬又は別のアッセイ試薬を結合することができる。
抗体を固相化できる多くの担体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに使用されるものが種々知られており、本発明においても勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。担体としては、例えばガラス、例えばアミノアルキルシリルガラスなどの活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたもの、シリコンガムなど、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられる。
担体としては、粒子、微粒子(マイクロパーティクル; microparticle)、メンブレン、ろ紙、ビーズ、チューブ、キュベット、試験容器の内壁、例えば試験管、タイタープレート、タイターウェル、マイクロプレート、ガラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質(物体)の表面などが挙げられる。
これら担体へは、抗体を結合させることができ、好ましくは抗SCC抗体(抗血清や精製抗体を含む)や抗SCCモノクローナル抗体を結合させることができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法などにより行うことが出来る。
本発明の固相化抗SCC抗体としては、特に磁気応答性微粒子に固相化した抗SCC抗体が挙げられる。本明細書中「磁気応答性」とは、磁場を加えると、それに反応することを意味する。本明細書中「固相化」とは固相に結合していることあるいは固相に保持されていることを意味してよく、該「保持」とは、固相を構成する材料に一旦配置されると、その材料の別に位置に実質的に移動できないことを意味してよい。
磁気応答性微粒子としては、抗体などを固相化するための担体として使用するのに適した多種多様なものが知られているし、市販されている、あるいはその製造方法が当該技術分野で良く知られている。磁気応答性は、様々な磁性材料を使用することにより達成できる。該磁性材料としては、例えば強磁性材料、フェリ磁性材料、常磁性材料、超常磁性材料等が挙げられるが、それには限定されず所望の性状を持つものであれば利用できる。該磁性材料としては、具体的には、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン等の金属;ネオジム等のランタニド系元素;アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅などを含む磁性合金等の合金;酸化第2鉄(Fe3O4) 、γ−酸化第2鉄(γ-Fe3O4) 、酸化クロム(CrO2)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO2)、酸化マンガン(Mn2O3)等の酸化物;フェライト等の複合材料;及び磁鉄鉱と酸化鉄等の固溶体などが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい磁気応答性を与える磁性材料は、磁鉄鉱、酸化第2鉄(Fe3O4)及び酸化第1鉄(Fe2O3) である。磁性材料は、固体粒子とすることができ、粒子の各々が単一磁区となるような粒度に細分されたものであることができる。固体粒子は、例えば鉄、酸化鉄、金属酸化物などで被覆されている磁性材料のコアからなるもの、あるいは磁鉄鉱もしくは赤鉄鉱を含むコロイド状磁性粒子から作製されたものであってもよい。典型的な場合では、固体粒子は8までの比重と、800nmまでの平均的サイズ(例えば、直径など)をもつものが挙げられる。磁性材料は、積層粒子の形態のもの、複合粒子の形態のものであってよい。積層粒子は、磁気非応答性のコーティングをもつ磁気応答性を持つ材料のコアから構成することができる。積層粒子は、例えば、シランポリマーのコートに包まれた磁性金属酸化物のコアから構成することができる。
また、積層粒子は生物親和性をもつ化合物に結合するのに適したアミノ安息香酸とアルデヒドの縮合産物によって被覆されている非水溶性の金属支持体から構成することもできる。積層粒子はその表面に反応性基をもつ非水溶性架橋ポリマー材料によるコーティングをもっている磁性材料の単一粒子から形成されているコアからなるものであってよい。積層粒子は磁性材料のコーティングをもつ磁気非応答性材料のコアからなるものであってもよい。積層粒子はフェライトのコーティングをもつ有機ポリマー粒子から構成することができる。また、積層粒子は磁性材料のコーティングをもつ熱可塑性材料のコアから構成することができるし、その場合コアの表面の少なくとも一部に磁性材料のコーティングをもつものであってもよい。さらに、積層粒子は金属を被覆したポリアルデヒドのマイクロスフェアから構成することも可能であり、積層粒子はコアを均一に覆う磁性金属酸化物/ポリマーコーティングをもつポリマー粒子(例えばポリスチレンポリマー粒子など)のコアからなるものであってよい。積層粒子は磁性材料と磁気非応答性のコーティングの層をもつ磁気非応答性材料のコアからなるものとすることも可能である。例えば、積層粒子はアガロースに封入した金属被覆ポリアルデヒドマイクロスフェアと、ビーズの表面に結合した磁性粉末1〜25重量%をもつ熱可塑性樹脂ビーズ(例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ナイロン等のビーズ)と、これを被覆し、抗体などの生物活性成分と結合するための官能基をもつポリマーを含むものであってもよい。複合粒子としては、磁気非応答性材料の中に磁性材料を埋め込んだ形態ものもとして構成してあるものが挙げられる。磁気非応答性材料としては、ガラス構造及び/又は結晶構造をもつ有機物質又は無機物質(ガラス又は他のガラス状材料を含む)が挙げられ、さらに合成ポリマーマトリックスなどが挙げられる。
本発明に利用可能なポリマー材料としては、例えばスチレンのポリマー、置換ポリスチレン、ポリナフタレン誘導体、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド又はポリメタクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリピロール、ポリプロピレン、ラテックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミノ芳香族酸、ポリアルデヒド、タンパク性材料(例えばゼラチン、アルブミン等)、多糖類(例えば澱粉、デキストラン等)、並びにポリマー材料のコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該ポリマーを不活性充填剤と混合使用してもよいし、吸着剤を加えてもよい。
本発明で使用するのに適した磁気応答性微粒子は、実質的に球形であることが好ましいが、他の形状も利用でき、場合によっては有利な場合もある。他の可能な形状としては、プレート、ロッド、バーなども挙げられるが、それに限定されるものでなく所定の目的を達成できるものであればよい。磁気応答性微粒子の直径は、好ましくは約0.01ミクロン(μm)〜約1,000μm、より好ましくは約0.01μm〜約100 μm、最も好ましくは約0.01μm〜約10μmである。当業者に明らかであるように、磁気応答性微粒子の組成、形状、寸法及び密度は広い範囲をとることができ、磁気応答性微粒子は対象の分析や所望アッセイプロトコール等の因子に基づいて選択することができる。
該磁気応答性微粒子は、ある特定の反応混合物の内にあって懸濁状態を継続し、対象抗原との間での反応性が適切となるような比重をもつように選択することができる。一般に、約0.03μm(300Å)未満の平均直径をもつような小さいな磁気応答性微粒子は自然に沈殿するようなことなく、熱撹拌現象により溶液に懸濁され続けることが可能であろう。
別の態様では、該磁気応答性微粒子は、ある特定の反応混合物中で沈殿して、固相上の固定化抗体に対する抗原の反応性あるいは固相上の固定化抗原に対する抗体の反応性を増すような比重をもつように選択することもできる。一般に、例えば約10μmを上回る平均直径をもつ大きさの磁気応答性微粒子であっても、弱い磁場に応答せしめることは可能である。大きなサイズの磁気応答性微粒子では、インキュベーション段階中に粒子が沈殿しないように反応混合物を撹拌又は震盪する必要がある。別の態様では、撹拌又は混合操作を必要とすることなく、所定の結合反応を可能にするに十分な時間にわたって反応混合物に分散し続けるように当該磁気応答性微粒子を選択することもできる。
本発明の固相化抗SCC抗体の調製にあたっては、吸着、共有結合、架橋(化学的架橋又は結合メンバーを介する架橋を含む)、このような結合メカニズムの組み合わせる等の任意の適切な結合メカニズムにより、磁気応答性微粒子へ当該抗SCC抗体を結合せしめることができる。一般に、結合基と結合剤は、磁気応答性微粒子に結合した場合に抗SCC抗体の結合活性が実質的に変化しない又は損なわれないように選択される。磁気応答性微粒子に結合可能な結合メンバーの量は、主に、その濃度、使用する条件及び磁気応答性微粒子又は結合剤上の利用可能な官能基の量と種類に依存する。 抗SCC抗体は磁気応答性微粒子に共有結合することが好ましく、共有結合は一方の化学的に活性な形態の成分と他方の化学的に活性な形態の成分との間で形成することができる。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド等の活性エステルを一方の成分に導入して、他方の成分上の遊離アミンと反応させ、両者の共有結合を形成することができる。
別の例としては、一方の成分にマレイミドを導入した後、他方の成分上に本来存在するか又は導入したスルフヒドリル部分と反応させてもよいし、あるいは一方の成分上に本来存在するか又は導入した一価アルコール残基などの炭水化物基を酸化してアルデヒドを形成し、他方の成分上の遊離アミン又はヒドラジドと反応させてもよい。磁気応答性微粒子が、ポリマーコーティング又はマトリックスを含む場合には、該ポリマーは抗SCC抗体の結合を助長するために、例えばアジド、ブロモアセチル、アミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、エポキシド、カルボン酸又は他の官能等の適切な反応性基を含むか又はこのような基を付加できるように選択することができる。利用可能な試薬と、磁気応答性微粒子、固相化抗SCC抗体を合成するための結合技術は当業者に周知である。当然のことながら、固相化抗SCC抗体の合成方法は本発明を限定するものではない。
抗体は、標識物質によって標識化されて、標識化抗体とすることができる。標識としては、酵素、酵素基質、酵素阻害物質、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、非金属元素粒子、例えばセレンコロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。好ましい標識物質は、酵素、放射性同位体または蛍光色素をふくむ化学物質を使用することができる。酵素は、turnover numberが大であること、抗体と結合させても安定であること、基質を特異的に着色させる等の条件を満たすものであれば特段の制限はなく、通常のEIAに用いられる酵素を使用できる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に利用することもできる。例えば酵素的サイクリングを利用することもできる。酵素標識などは、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に置き換えることも可能である。このように、ビオチン−アビジン系を使用したり、抗SCC抗体に対する抗体などの二次的な抗体を使用するなど、当該分野で公知の感度増強法を適宜採用することができる。標識は、複数の異なった種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。
代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β-D- ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、グルコース-6-リン酸化脱水素酵素、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが挙げられる。
これら酵素と抗体との結合は、マレイミド化合物等の架橋剤を用いる公知の方法によって行うことができる。基質としては、使用する酵素の種類に応じて公知の物質を使用することができ、4-メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリン酸化フェノール誘導体などが挙げられ、例えば酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、3,3',5,5'−テトラメチルベンジシンを、また酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、パラニトロフェノール等を用いることができる。本発明においては、信号の形成に4-ヒドロキシフェニル酢酸、o-フェニレンジアミン (OPD)、テトラメチルベンジジン (TMB)、5-アミノサリチル酸、3,3-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド (DAB)、3-アミノ-9- エチルカルバゾール (AEC)、チラミン、ルミノール、ルシゲニンルシフェリン及びその誘導体、Pholad luciferinなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、ルミジェンPPD 、(4- メチル) ウンベリフェリル- リン酸、p-ニトロフェノール- リン酸、フェノール- リン酸、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、AMPAK TM(DAKO)、AmpliQTM(DAKO)などとアルカリフォスファターゼ、4-メチルウンベリフェリル- β-D- ガラクトシドといったウンベリフェリルガラクトシド、o-ニトロフェノール- β-D- ガラクトシドといったニトロフェニルガラクトシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース-6- リン酸・デヒドロゲナーゼ、ABTSなどとグルコースオキシダーゼなどの酵素試薬の組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成しうるものが使用できる。
放射性同位体としては、32P, 125I, 14C, 35S, 3H 等の通常のRIAで用いられているものを使用することができる。蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、例えばローダミンB イソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネートアイソマーR (TRITC) などのローダミン誘導体、7-アミノ-4- クマリン-3- 酢酸、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。蛍光色素としては、通常の蛍光抗体法に用いられるものを使用することができる。発色、螢光などを含めた生成する信号などを検知するには、視覚によることもできるが、公知の装置を使用することもでき、例えば螢光光度計、プレートリーダーなども使用できる。また、放射性同位体(アイソトープ)などの出す信号を検知するには、公知の装置を使用することもでき、例えばガンマーカウンター、シンチレーションなども使用することができる。
標識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適用できる。固相化抗体作製に使用されることのできる縮合剤などを用いることができる。縮合剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホスクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキサン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル(4- ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミジル 4-(1- マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε- マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メチル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシンイミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
本明細書で使用する用語「試料」は、SCC抗原を含む疑いのある材料を意味する。試料は供給源から得られたまま直接使用してもよいし、試料の特性を変えるように前処理後に使用してもよい。試料は任意に生物源から得ることができ、限定されるものではないが、例えば血液、唾液、水晶体液、脳髄液、汗、尿、乳汁、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊膜液等の体液;肝臓、子宮、膣、膵臓、肺組織、脳組織、食道、大腸、小腸、脾臓などの組織あるいはその培養液又は組織ホモジュネート;子宮頸部扁平上皮癌及び肺の扁平上皮癌、肺癌、食道癌、卵巣癌を含めた腫瘍組織又は腫瘍細胞、それら組織又は細胞培養液あるいはそのホモジュネート等が挙げられる。特には、血液、血清、血漿、腫瘍又は癌組織由来のものが好適に使用される。試料は使用前に前処理してもよく、例えば血液から血漿あるいは血清を調製したり、組織抽出液を希釈したりすることができる。処理方法としては、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活化及び試薬の添加が挙げられる。更に、SCC抗原を含む疑いのある固体材料を試料として使用してもよい。場合によっては、液体媒体を形成したりSCC抗原を放出するように固体試料を処理すると有益であると思われる。
固相化抗SCC抗体は、それを調製してから酸性溶液に移すこともできるし、あるいは該固相化抗SCC抗体調製液に所定の試薬を加えて酸性溶液に変えることであってよい。
SCC抗原の測定にあたっては、酸性溶液中で保持してある固相化抗SCC抗体を反応用緩衝液に添加した後、所定の血清検体などの検体試料と接触せしめる。必要に応じて混合物を所定の時間インベーション処理し、磁場などの作用を利用するなどして固相と反応液をと分離し、固相を洗浄処理する。次に固相を反応用緩衝液に入れ、標識抗SCC抗体と接触せしめる。必要に応じて混合物を所定の時間インベーション処理し、磁場などの作用を利用するなどして固相と反応液をと分離し、固相を洗浄処理する。固相に存在する標識を利用して検知可能な信号を取得し、該信号を指標にSCC抗原の量を求めることができる。
洗浄処理や、固相と液相の分離は、構築した系のバリエーションによっては、不要とすることも可能であり、さらに、固相から分離される相に存在する標識を利用して検知可能な信号を取得し、該信号を指標にSCC抗原の量を求めることも可能であ有る。当業者であれば様々な手法を利用でき、それらは当該分野で知られている。上記の他、特公平5-41160 号公報に開示の技術を適用できる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
固相化抗SCC 抗体(磁性粒子であるマイクロパーティクルに抗SCC 抗体が固相化してある: ARCHITECTTM SCC試薬, アボット ジャパン)の保存液のpHと、該保存されている固相化抗SCC 抗体に熱負荷(45℃にて7日間)を行い、該熱負荷処理された固相化抗SCC 抗体を試薬として使用し、サンドイッチ型イムノアッセイ試薬(ARCHITECTTM SCC試薬, アボット ジャパン)にてSCC抗原を測定した(キャリブレーション・ファィター: 70 ng/ml) 。得られたシグナル(RLU) の変化を次の表に示す。
Figure 2005090992
従来のアルカリ性での保存に比較して、固相化抗SCC 抗体(磁性粒子であるマイクロパーティクルに抗SCC 抗体が固相化してあるもの)を酸性溶液で保存することにより、熱安定性を改善できることが確認された。
ARCHITECT SCC 試薬において、磁性粒子固相化抗SCC 抗体(マイクロパーティクル)をpH6.0 及びpH6.5 のマイクロパーティクル希釈液(50 mM MES緩衝液) に懸濁して保管をし、そのマイクロパーティクル懸濁液をそのまま、SCC 抗原測定のためにARCHITECT i2000 免疫測定装置(アボット ジャパン)にセットし、測定を行った。この時の標識抗体はアクリジニウム標識抗SCC 抗体を用い、マイクロパーティクル上に捕獲されたSCC 抗原の量を、アクリジニウムの発光量(RLU: Relative Light Unit)として検出し、SCC 抗原標準溶液から得られるRLU を用いた検量線から、サンプル中のSCC 抗原濃度を求めた。
従来のアルカリ性溶液中に入れられている固相化抗SCC 抗体であって、約2 〜8 ℃で7 日間保存されたものを使用した場合と比較しても、本酸性域のマイクロパーティクル希釈液で保存してあるものでは、約2 〜8 ℃で7 日間保存、25℃で7 日間保存、及び45℃で7 日間保存のいずれにおいても、良好な測定結果を与えた。保存期間0日のものと比較しても遜色はないと認められた。したがって、酸性溶液中で維持された磁性粒子固相化抗SCC 抗体(マイクロパーティクル)は、安定した測定結果を得ることができた。
腫瘍マーカーとしてその有効性が認識されているSCC抗原測定試薬である固相化抗SCC 抗体、特には磁性微粒子固相化抗SCC 抗体を安定的に保存する技術を提供できることから、冷蔵保存などの特別な保存条件を採用する必要性を回避でき、その試薬の取扱いを簡便ならしめると共に、測定結果の信頼性が向上せしめられることとなり、腫瘍、特には癌の診断、さらには癌治療の後の予後の診断などにおいてその利用価値が高まる。また、簡便な手法で安定的に固相化抗SCC 抗体を保存することが可能であることから輸送における問題も減少し、試薬の広範な使用の途に有利である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。

Claims (6)

  1. 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持してあることを特徴とする固相化抗SCC抗体試薬。
  2. 酸性溶液中で保持してある固相化抗SCC抗体を使用し、サンドイッチ型イムノアッセイによりSCC抗原を測定することを特徴とするイムノアッセイ法。
  3. 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持し、SCC抗原測定対象試料を当該固相化抗SCC抗体と接触せしめ、該固相を洗滌しあるいは洗滌せずに標識抗SCC抗体と接触せしめ、次に固相に存在する標識あるいは固相に結合せずに遊離状態である標識を指標にSCC抗原を測定することを特徴とする請求項2記載のイムノアッセイ法。
  4. 固相が磁気応答性微粒子であることを特徴とする請求項2又は3記載のイムノアッセイ法。
  5. 定量的にSCC抗原を測定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一記載のイムノアッセイ法。
  6. 固相化抗SCC抗体を酸性溶液中で保持することを特徴とする固相化抗SCC抗体の保存方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010528265A (ja) * 2007-05-18 2010-08-19 デューク・ユニバーシティ 肺癌早期発見のための血清バイオマーカー
JP2018031763A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 ナショナル キャンサー センター 抗体および磁性ナノ粒子が結合された導電性高分子を含む血中のがん細胞の検出および回収用の磁性ナノ構造体

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