JP2005090280A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御過渡期以外にも燃焼音の悪化を好適に抑制しつつ、燃焼音悪化の抑制制御からの早期復帰を果たすことのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】EGR弁開度が全閉であることを含む所定条件の成立をもって燃焼音の悪化し易い運転状況にある旨判定して、噴射圧を低減させる燃焼音低減制御を実施する。同制御の開始時には、第1の変化率にて噴射圧指令値tpcを減圧側に徐変させ、同制御の終了時には、上記所定条件の不成立後、所定期間Taは、第1の変化率よりも小さい第2の変化率にて噴射圧指令値tpcを増圧側に徐変させ、その後はその第2の変化率よりも大きい第3の変化率にて噴射圧指令値tpcを増圧側に徐変させる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、燃焼に供される燃料の噴射圧を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、特に燃焼音の悪化を抑制するための制御構造の改良に関するものである。
内燃機関に適用される装置として、排気の一部を吸気中に再循環させる排気再循環(EGR)装置が知られている。こうしたEGR装置を備える内燃機関では、EGR経路に設けられたEGR弁の開度制御を通じて、機関運転状態に応じたEGR量の調整を行うようにしている。
さて機関運転状態の変化に伴い、EGRガスの急激な導入が必要となった場合、EGR弁を急開することとなるが、上記EGR経路でのEGRガスの流動遅れのため、実際にEGR量が増大されるまでにはある程度の時間を要する。その間にも、噴射量や噴射時期といった燃料噴射系の制御量は、上記期間運転状態の変化に応じて既にEGRガスの導入を前提とした値に変更されてしまっている。そのため、上記のようなEGRの急激な導入の直後には、一時的に燃焼が想定よりも活性化され過ぎてしまい、燃焼音が悪化することがある。
そこで従来、例えば特許文献1に見られるように、EGRの急激な導入の直後に、燃料の噴射圧を一時的に低減させる内燃機関の燃料噴射制御装置が提案されている。こうした噴射圧の低減は、噴射した燃料の霧化を抑制して燃焼を不活性化するように作用することから、上記吸気系の応答遅れ期間における燃焼の活性化が抑制され、燃焼音の悪化が抑制されるようになる。
なお上記吸気系の応答遅れ期間後、直ちに噴射圧を本来の値に復帰させると、噴射圧の急変によりトルクショックが発生する。そこで上記従来の燃料噴射制御装置では、上記噴射圧の低減後、噴射圧を増圧側に徐変して本来の値に復帰させるようにしている。
特開2002−235587号公報
ところで燃焼音の悪化は、上記のようなEGR再開後等の吸気系の応答遅れを伴う制御過渡期に限らず、発生することがある。例えばEGRカット中は、燃焼を緩慢化させるEGRガスの導入がないため、その再開直後に限らず、終始、燃焼音が悪化し易い状況にあると云える。
また近年、ディーゼル機関等の希薄燃焼内燃機関において、大量EGR導入により、スモーク排出量及びNOx排出量を同時低減させる低温燃焼と通常の燃焼との間で燃焼モードを切替えつつ運転を行う内燃機関が提案されている。こうした内燃機関での通常燃焼時には、大量EGR導入によって燃焼が緩慢となる低温燃焼時に比して、燃焼が活性化され易く、燃焼音が悪化し易い状況となる。従って、上記のような制御過渡期に限らず、広い領域での燃焼音の悪化抑制が要望されている。
また上記従来の技術では、燃焼音の悪化を抑制すべく低減させた噴射圧を本来の値に復帰せしめる際に、増圧側への噴射圧の変化率を一律として徐変させているが、より早期に通常の制御を再開するには噴射圧の復帰は速やかに行うことが望ましい。もっとも、上記従来の技術では、そうした徐変を通じて、燃焼音の悪化の抑制を果たした後の噴射圧の復帰に際して噴射圧が急変してトルクショックが発生することを防止するようにしているため、その目的のためには、そうした復帰の遅れは避けられないものとなっている。
本発明の解決しようとする課題は、制御過渡期以外にも燃焼音の悪化を好適に抑制しつつ、燃焼音悪化の抑制制御からの早期復帰を果たすことのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、吸気中への排気再循環量を調整する排気再循環弁を備える内燃機関に適用され、燃焼に供される燃料の噴射圧を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気再循環弁の開度の上限条件を含む所定条件の成立をもって燃焼音の悪化し易い運転状況にある旨判定するとともに、該運転状況にある旨判定されたときには、そうでないときに比して前記噴射圧を低減させる低減手段と、前記低減手段による前記噴射圧の低減の開始時における前記噴射圧の減圧側への変更に際して第1の変化率にて前記噴射圧を徐変させるとともに、同低減手段による前記噴射圧の低減の終了時における前記噴射圧の増圧側への変更に際して前記所定条件が不成立となったときから所定期間は、前記第1の変化率よりも小さい第2の変化率にて前記噴射圧を徐変させ、その後はその第2の変化率よりも大きい第3の変化率にて前記噴射圧を徐変させる徐変手段と、を備えることをその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気再循環弁の開度の上限条件における上限開度を、該排気再循環弁の全閉開度としたことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、当該内燃機関は、複数の燃焼モードの間で燃焼モードを切替えつつ運転を行うものであり、前記所定条件には、前記複数の燃焼モードのうち、他の燃焼モードに比して燃焼状態が活性化され易い特定の燃焼モードでの運転中であることが含まれることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定条件には、大気圧の下限条件が含まれることをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関運転条件に基づく噴射圧の演算マップとして、第1の演算マップと、その第1の演算マップに比して同一の機関運転条件での噴射圧のマップ値が小さくなるように設定された第2の演算マップとを備え、噴射圧の算出に用いる演算マップを前記第1の演算マップから前記第2の演算マップへと切替えることで、前記低減手段による前記噴射圧の低減を行うことをその要旨とする。
上記構成では、排気再循環(EGR)弁開度の上限条件、すなわちEGR弁開度が所定値以下であることを含む所定条件が成立したときには、燃焼が悪化し易い運転状況にある旨の判定がなされる。EGR弁開度が小さく、EGR量が少ない運転状況では、燃焼室内の新気の比率が高く燃焼が活性化され易い状況となるため、燃焼音が悪化し易くなる。特に請求項2に記載のように、上記上限条件の上限開度をEGR弁の全閉開度とすれば、上記所定条件の成立時は、EGR量が零となるため、そうした傾向はより強くなる。
さて上記構成では、そうした燃焼音の悪化を招き易い運転状況にあるときには、噴射圧が低減され、噴射された燃料の霧化が抑制されるため、燃焼音の悪化を招く燃焼の過剰な活性化が抑制され、燃焼音の悪化が好適に抑制される。また上記構成では、そうした噴射圧低減の開始時及び終了時の比較的大きい噴射圧の増減に際して、噴射圧が徐変されるため、噴射圧制御系の安定性を好適に保持することができる。
なお上記構成では、そうした噴射圧低減による燃焼音低減制御の実施条件の一つとしてEGR弁開度の上限条件が含まれているため、EGR量の急増等に伴うEGR弁開度の急開によって上記噴射圧の低減が中止され、噴射圧が本来の値に復帰されるようになる。このとき、EGR経路等でのEGRガスの流動遅れのため、EGR弁開度の急増後もしばらくは、実際に導入されるEGR量の増加にはある程度の時間を要するようになる。その点、上記構成では、上記所定条件の不成立に応じた噴射圧低減の終了時から所定時間は、比較的緩やかな第2の変化率にて噴射圧が増圧側に徐変されるため、そうしたEGR量増加の遅れ期間も噴射圧は比較的低い値に保持されるようになり、そうした遅れ期間の燃焼音の悪化についても好適に抑制することができる。更に上記構成では、噴射圧低減の終了から上記所定期間が経過した後は、比較的速やかな第3の変化率にて噴射圧が増圧側に徐変されるため、燃焼音の悪化を抑制すべく低減された噴射圧を比較的速やかに本来の値に復帰させることができる。したがって上記構成では、制御過渡期以外にも燃焼音の悪化を好適に抑制しつつ、燃焼音悪化の抑制制御からの早期復帰を果たすことができる。
なお、複数の燃焼モードの間で燃焼モードを切替えつつ運転を行う内燃機関では、運転の行われている燃焼モードによって、噴射系や吸気系などの制御状態が違うため、燃焼室内での燃焼の活性度合が燃焼モード毎に大きく異なることがある。そして燃焼が活性化され難い燃焼モードにあるときに、EGR量が低減されたり、EGR導入が停止されたりしても、上記のような燃焼音の悪化は生じ難かったり、或いは燃焼モードによっては、そもそも燃焼音の悪化を招くような運転状況にはならないことがある。その点、請求項3に記載の構成では、そうした複数の燃焼モードのうち、他の燃焼モードに比して燃焼状態が活性化され易い特定の燃焼モードでの運転中であることが、上記噴射圧低減による燃焼音低減制御の実施条件の一つとして設定されている。そのため、そもそも燃焼音が悪化し難い、或いはその悪化を招くことのない燃焼モードで運転がなされているときの不必要な噴射圧低減が抑制され、より効率的に燃焼音の低減を行うことができる。
高地等の低大気圧化で内燃機関が運転されているときには、吸入空気量の減少により燃焼が不安定化し易いことから、上記燃焼音低減のための噴射圧の低減により失火やトルク変動等の不具合を招く虞がある。その点、請求項4に記載の構成では、そうした噴射圧低減の実行条件の一つとして、大気圧の下限条件が、すなわち大気圧が所定値以上であることが含まれているため、そうした不具合を好適に回避することができる。
なお、そうした燃焼音の悪化抑制に係る噴射圧の低減は、請求項5に記載のように噴射圧算出用の演算マップの切替を通じて行うことで、容易且つ的確に行うことができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の適用される内燃機関10の構成を示している。この内燃機関10は、コモンレール方式の燃料噴射装置、及びターボチャージャ11を備えるディーゼル機関となっており、大きくは吸気通路12、燃焼室13、及び排気通路14を備えて構成されている。
内燃機関10の吸気系を構成する吸気通路12には、その最上流部に配設されたエアクリーナ15から下流側に向けて順に、エアフローメータ16、上記ターボチャージャ11のコンプレッサ17、インタークーラ18、及び吸気絞り弁19が配設されている。また吸気通路12は、吸気絞り弁19の下流側に設けられた吸気マニホールド20において分岐され、吸気ポート21を介して内燃機関10の各気筒の燃焼室13に接続されている。
一方、内燃機関10の排気系を構成する排気通路14では、各気筒の燃焼室13にそれぞれ接続された排気ポート22は、排気マニホールド23を介して上記ターボチャージャ11の排気タービン24に接続されている。また排気通路14の排気タービン24下流には、上流側から順に、NOx触媒コンバータ25、PMフィルタ26、酸化触媒コンバータ27が配設されている。
NOx触媒コンバータ25には、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。このNOx触媒は、排気の酸素濃度が高いときに排気中のNOxを吸蔵し、排気の酸素濃度が低いときにその吸蔵したNOxを放出する。またNOx触媒は、上記NOx放出時に、還元剤となる未燃燃料成分がその周囲に十分存在していれば、その放出されたNOxを還元して浄化する。
排気中のPMを捕集するための排気フィルタであるPMフィルタ26は、多孔質材料によって形成されている。このPMフィルタ26には、上記NOx触媒コンバータ25と同様に、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されており、排気中のNOxの浄化が行われる。またそのNOx触媒によって触発される反応により、捕集されたPMが酸化され、除去されるようにもなっている。
酸化触媒コンバータ27には、酸化触媒が担持されており、排気中のHCやCOが酸化されて浄化されるようになっている。
なお排気通路14の上記PMフィルタ26の上流側及び下流側には、PMフィルタ26に流入する排気の温度である入ガス温度を検出する入ガス温度センサ28、及びPMフィルタ26通過後の排気の温度である出ガス温度を検出する出ガス温度センサ29がそれぞれ配設されている。また排気通路14には、上記PMフィルタ26の排気上流側とその排気下流側との差圧を検出する差圧センサ30が配設されている。更に排気通路14の上記NOx触媒コンバータ25の排気上流側、及び上記PMフィルタ26と上記酸化触媒コンバータ27との間には、排気中の酸素濃度を検出する2つの酸素センサ31、32がそれぞれ配設されている。
更にこの内燃機関10には、排気の一部を吸気通路12内の空気に再循環させる排気再循環(以下、EGRと記載する)装置が設けられている。EGR装置は、排気通路14と吸気通路12とを連通するEGR通路33を備えて構成されている。EGR通路33の最上流部は、排気通路14の上記排気タービン24の排気上流側に接続されている。EGR通路33には、その上流側から、再循環される排気を改質するEGR触媒34、その排気を冷却するEGRクーラ35、その排気の流量を調整するEGR弁36が配設されている。そしてEGR通路33の最下流部は、吸気通路12の上記吸気絞り弁19の下流側に接続されている。
一方、内燃機関10の各気筒の燃焼室13には、同燃焼室13内での燃焼に供される燃料を噴射するインジェクタ40がそれぞれ配設されている。各気筒のインジェクタ40は、高圧燃料供給管41を介してコモンレール42に接続されている。
コモンレール42には、燃料ポンプ43を通じて高圧燃料が供給される。コモンレール42内の高圧燃料の圧力、すなわちレール圧は、同コモンレール42に取り付けられたレール圧センサ44によって検出されるようになっている。またコモンレール42には、リリーフ弁47が取り付けられている。リリーフ弁47は、上記レール圧が所望とする圧力よりも高くなったときに開弁され、コモンレール42内の高圧燃料の一部を燃料タンクに戻すことで、レール圧を低減する。
更に燃料ポンプ43からは、上記コモンレール42に送られる高圧燃料よりも圧力の低い低圧燃料が送り出されている。この低圧燃料は、低圧燃料供給管45を通じて添加弁46に供給される。
こうした内燃機関10の各種制御を司る電子制御装置50は、内燃機関10の制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。電子制御装置50の入力ポートには、上述した各センサに加え、機関回転速度を検出するNEセンサ51やアクセル操作量を検出するアクセルセンサ52、吸気絞り弁19の開度を検出する絞り弁センサ53、大気圧を検出する大気圧センサ54等が接続されている。また電子制御装置50の出力ポートには、上記吸気絞り弁19やEGR弁36、燃料ポンプ43、リリーフ弁47等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置50は、上記各センサから入力される検出信号より把握される機関運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして上記インジェクタ40からの燃料噴射量、燃料噴射時期の制御、上記添加弁46からの燃料の添加制御、上記EGR弁36及び吸気絞り弁19の開度制御に基づくEGR制御、上記添加弁46からの燃料添加の制御等の各種制御が電子制御装置50により実施されている。
なおこの内燃機関10において上記EGR制御は、上記酸素センサ31、32により検出される排気中の酸素濃度に基づく上記EGR弁36及び吸気絞り弁19の開度のフィードバック制御によって行われている。このフィードバック制御に際しては、まず上記酸素濃度の検出結果に基づき、燃焼室13内で燃焼された混合気の空燃比が求められ、その空燃比から現状のEGR率(EGRガス量と吸入空気量との比)が算出される。そしてそのEGR率が目標EGR率となるEGRガス量及び吸入空気量が得られるように、上記EGR弁36及び吸気絞り弁19の目標開度(目標EGR弁開度、目標絞り弁開度)が算出され、その目標開度に従いそれらの開度が調整される。
またこの内燃機関10では、機関回転速度、機関負荷、及び上記触媒制御の要求等の機関運転状況に応じて燃焼モードを切替えつつ運転が行われる。切替えられる燃焼モードとしては、以下の4つの燃焼モードが存在する。
〈通常燃焼モード〉
通常燃焼モードは、EGR率を上述したスモーク排出量がピークとなるEGR率よりも低く設定して、希薄空燃比で燃焼が行われる。また通常燃焼モードでは、高回転速度・高負荷域以外では、主噴射に加え、それに先立つ副噴射であるパイロット噴射が実施される。
〈昇温マルチ噴射モード〉
昇温マルチ噴射モードは、上記通常燃焼モードと同様のEGR率及び空燃比の設定で、上記パイロット噴射及び主噴射に、更に主噴射後の膨張行程や排気行程に実施される副噴射であるアフター噴射を加えた都合3回の燃料噴射を実施するモードである。この昇温マルチ噴射モードは、上記PM再生制御やS被毒回復制御での排気燃料添加による触媒床温の高温化の実施に必要な温度まで触媒床温を上昇させるために行われる。ちなみにこの昇温マルチ噴射モードは、基本的には上記通常燃焼モードの一種である。
〈低温燃焼リーンモード〉
低温燃焼リーンモードは、大量EGR導入によってEGR率を上述のスモーク排出量がピークとなるEGR率よりも高くして燃焼を行う上記低温燃焼モードの1つである。この低温燃焼リーンモードは、主に低回転速度・低負荷域での触媒床温の高温化、及びNOx排出量の低減を目的として実施される。低温燃焼リーンモードでは、ベース空燃比は約19〜21の範囲に設定され、高EGR率下での燃焼状態を好適に維持すべく、上記通常燃焼モードに比して主噴射時期の進角化、噴射圧の高圧化が図られる。なおこの内燃機関10では、そうした高EGR率下では、燃焼が緩慢でパイロット噴射の効果が低い上、パイロット噴射の実施によりスモーク排出量が増大する虞があるため、低温燃焼リーンモードでは、パイロット噴射は実施しないようにしている。
〈低温燃焼ストイキモード〉
低温燃焼ストイキモードは、上記低温燃焼リーンモードと同様の大量EGR導入を行う低温燃焼モードの一つであり、上記S被毒回復制御中のSOx放出に必要な環境条件を確保するために実施される。低温燃焼ストイキモードでは、ベース空燃比は約17〜21の範囲に設定され、上記添加弁46からの排気燃料添加により排気空燃比を理論空燃比化するようにしている。また低温燃焼ストイキモードでも、上記低温燃焼リーンモードと同様に、主噴射時期の進角化及び噴射圧の高圧化が図られ、パイロット噴射は禁止される。
次に、以上の如く構成された内燃機関10における燃料噴射圧制御について、図2〜図6を併せ参照して説明する。
この内燃機関10での燃料噴射圧制御は、基本的には次のように行われる。すなわち、まず機関回転速度及び機関負荷(燃料噴射量)により決まる機関運転条件に基づいて目標噴射圧が算出される。そしてその算出された目標噴射圧が得られるように、燃料ポンプ43からの高圧燃料の吐出量及びリリーフ弁47による高圧燃料のリリーフ量の調整を通じて、コモンレール42のレール圧がフィードバック制御される。
ところで上記のような燃焼モードを切替えつつ運転を行う内燃機関10では、噴射系や吸気系などの制御状態が違うため、燃焼室13内での燃焼の活性度合は燃焼モード毎に大きく異なっている。例えば通常燃焼モードでは、大量EGR導入により燃焼が緩慢となる低温燃焼リーン/ストイキモードに比して、燃焼が活性され易くなっている。そしてそうした通常燃焼モードにおいて、EGR導入の停止が、すなわちEGRカットがなされると、燃焼が活性化し過ぎてしまい、燃焼音が悪化することがある。ちなみにここでの燃焼音の悪化とは、燃焼音レベルの絶対値のみに基づいて決まるものではなく、他の騒音との相対関係によって決まるものである。すなわち、アイドル運転時のように他の騒音が小さいときと、高速運転時のような他の騒音が大きいときとでは、悪化と見なされる燃焼音レベルは異なっている。
こうした燃焼音悪化の問題に対して本実施形態では、燃焼モードやEGR弁開度等に基づいて上記のような燃焼の活性化による燃焼音の悪化し易い運転状況にあるか否かを判定するようにしている。そして、そうした運転状況にある旨判定されたときには、インジェクタ40からの燃料の噴射圧を通常よりも低減させることで燃焼音を低減する燃焼音低減制御を行うようにしている。こうした噴射圧の低減は、噴射された燃料の霧化を抑制することとなり、燃料を不活性化させる側に作用する。そのため、上記のような運転状況で噴射圧を低減すれば、燃焼の活性化が抑えられ、燃焼音の悪化を抑制することができる。
図2は、本実施形態での目標噴射圧算出ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、定時割込み処理として、電子制御装置50により機関運転中に周期的に実行されている。
さて本ルーチンの処理が開始されると、電子制御装置50はまずステップ100〜108において、上記のような燃焼が活性化して燃焼音の悪化が生じ易い運転状況にあるか否かを判定する。ここでは、下記の(a)〜(e)がすべて成立することをもって、そうした運転状況にある旨判定するようにしている。
(a)通常燃焼モードである(100:YES)。上述した通り、通常燃焼モードでは、他の燃焼モードに比して燃焼が活性化し易いことから、上記判定の条件に加えられている。
(b)大気圧が所定値A以上である(102:YES)。高地等の低大気圧化で内燃機関10が運転されているときには、吸入空気量の減少により燃焼が不安定化し易いことから、噴射圧の低減は行わないようにしている。
(c)機関負荷(燃料噴射量)が所定値B以上である(104:YES)。燃料噴射量が所定値B未満の低負荷運転時には、噴射圧の低減により燃焼状態が悪化し易いことから、噴射圧の低減は行わないようにしている。
(d)EGR弁開度が所定値C以下である。EGR弁開度が小さい、すなわちEGR量が少なければ、燃焼は活性化し易いことから、こうしたEGR弁開度の上限条件が上記判定の条件に加えられている。なお本実施形態では、上記所定値Cは上記EGR弁36の全閉開度(開度=0)とされており、EGR弁開度が全閉であることが、上記判定の条件となっている。
(e)冷却水温が所定値D1以上で、且つ所定値D2未満であること。この内燃機関10のEGR制御では、冷間始動時及びその直後のような冷却水温が所定値D1未満の低水温条件や、オーバーヒートの虞のある冷却水温が所定値D2以上の高水温条件では、EGRカットを行うようにしている。こうした状況ではEGR弁開度は常に全閉であり、上記条件(d)が常に成立してしまうことから、本来意図しない運転域で燃焼音低減制御が実行されてしまう虞があるため、こうした冷却水温の条件を上記判定の条件に加えている。
上記(a)〜(e)のいずれか一つでも不成立であれば、電子制御装置50は、処理をステップ110に進め、そのステップ110において燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiをオフとする。そして電子制御装置50は、続くステップ115において、通常用の演算マップMAP1を用いて目標噴射圧pctrgを算出して、本ルーチンの処理を一旦終了する。
一方、上記(a)〜(e)がすべて成立していれば、電子制御装置50は、処理をステップ120に進め、そのステップ120において燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiをオンとする。そして電子制御装置50は、続くステップ125において燃焼音低減制御用の演算マップMAP2を用いて目標噴射圧pctrgを算出して、本ルーチンの処理を一旦終了する。
図3に、上記通常用の演算マップMAP1の構成例を示す。同図に示すように通常用の演算マップMAP1は、機関回転速度neと燃料噴射量qfinとを引数とする二次元マップで、各機関回転数NE1、NE2、…、NEnと各燃料噴射量QFIN1、QFIN2、…、QFINmとの組合せ毎に目標噴射圧pctrgの最適値がマップ値PCTRG11、…、PCTRGnmとして格納されている。
図4に、上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2の構成例を示す。この演算マップMAP2も、上記通常用の演算マップMAP1と同様の二次元マップで、各機関回転数NE1、NE2、…、NEnと各燃料噴射量QFIN1、QFIN2、…、QFINmとの組合せ毎に目標噴射圧pctrgの最適値がマップ値として格納されている。
同図に示す演算マップMAP2内の領域R2は、上記(a)〜(e)がすべて成立する運転状況下で燃焼音の悪化が生じる機関運転条件を示している。また領域R1はそれ以外の機関運転条件、すなわち上記運転状況下でも燃焼音が悪化しない、或いは燃焼音以外の騒音が大きくて燃焼音の悪化が問題とならない機関運転条件を示している。そしてこの燃焼音低減制御用の演算マップMAP2での上記領域R1のマップ値には、同一機関運転条件における上記通常用の演算マップMAP1と同じ値が登録されている。一方、上記領域R2においては、同一機関運転条件での上記通常用の演算マップMAP1よりも低圧の値がマップ値として登録されている。
このように上記(a)〜(e)がすべて成立する運転状況では、目標噴射圧pctrgの算出に用いる演算マップが上記通常用の演算マップMAP1から上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2に切替えられる。そしてその演算マップの切替を通じて、上記(a)〜(e)が共に成立する運転状況では、そうでないときに比して目標噴射圧pctrgが低減されることとなる。
なお本実施形態にあっては、上記通常用の演算マップMAP1が上記第1の演算マップに相当し、上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2が上記第2の演算マップに相当する。そして上記(a)〜(e)がすべて成立することをもって、上記演算マップを切替え、目標噴射圧pctrgを低減させる上記目標噴射圧算出ルーチンの処理が、上記低減手段の処理に相当する。
以上のように本実施形態では、上記(a)〜(e)がすべて成立することをもって噴射圧を低減し、燃焼音を低減させる燃焼音低減制御が実施されることとなるが、そうした燃焼音低減制御の開始時及び終了時には、上記演算マップの切替に伴い目標噴射圧pctrgがステップ状に大きく変更されることとなる。こうした目標噴射圧pctrgの急激な変更は、通常の機関運転条件の変化に応じた目標噴射圧pctrgの変化率に比して著しく大きいことから、上記レール圧のフィードバック制御の安定性が損なわれ、オーバーシュートやハンチングを招く虞がある。
一方、上記(d)が不成立となること、すなわちEGRカットからのEGR導入の再開に応じて燃焼音低減制御が終了された場合、上記EGR経路でのEGRガスの流動遅れのため、EGR弁36の開弁後、実際にEGR導入が開始されるまでにはある程度の時間を要する。したがって、上記(d)の不成立後、しばらくは、未だEGR導入がなされていない状態が継続されており、この間に低減した噴射圧を本来の値に復帰させれば、燃焼音が悪化することとなる。
そこで本実施形態では、噴射圧指令値算出ルーチンにおいて、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgに、上記燃焼音低減制御の開始後及び終了後に徐変処理を行ったものを、実際の上記フィードバック制御に用いる最終的な目標噴射圧である噴射圧指令値tpcとして求めるようにしている。この噴射圧指令値算出ルーチンでの噴射圧指令値tpcの算出は、次のように行われる。
まず燃焼音低減制御の開始後の目標噴射圧pctrgが減圧側への変更されるときには、次の態様で噴射圧指令値tpcが算出される。
(A)噴射圧の要求減圧量(目標噴射圧pctrgに対する噴射圧指令値の前回値tpc[i−1]の減算値)が所定値E(例えば5MPa)を超えるとき
このときの噴射圧指令値tpcは、下式(1)に示されるように、噴射圧指令値tpcの前回値からの上記所定値Eの減算値として算出される。なお、下式(1)においてtpc[i]は、今回の制御周期で算出される噴射圧指令値を、tpc[i−1]は、噴射圧指令値の前回値、すなわち前回の制御周期において算出された噴射圧指令値をそれぞれ示している。すなわち、このときには噴射圧の要求減圧量の大きさに拘わらず、噴射圧指令値tpcは、本ルーチンの制御周期毎に上記所定値Eずつ減圧側に変更されるように徐変されることとなる。なおこのときの上記所定値Eは、噴射圧指令値tpcの変化率(単位時間当たりの噴射圧指令値tpcの変化量)が上記レール圧のフィードバック制御の安定性を保持可能な値となるようにその値が設定されている。ちなみにこのときの噴射圧指令値tpcの変化率は、本ルーチンの実行周期ΔTによる上記所定値Eの除算値(E/ΔT)として求めることができる。なお本実施形態にあっては、このときの噴射圧指令値tpcの減圧側への変化率(E/ΔT)が上記第1の変化率に相当する。

tpc[i]←tpc[i−1]−E …(1)

(B)噴射圧の要求減圧量が所定値E以下のとき
このときには、上記(A)における噴射圧指令値tpcの徐変処理を終了し、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgの値をそのまま噴射圧指令値tpcとして設定する。
また燃焼音低減制御の終了後の目標噴射圧pctrgが増圧側への変更されるときにあって、燃焼音低減制御の終了後の経過時間、すなわち徐変処理期間が所定値Ta未満のときには、次の態様で噴射圧指令値tpcが算出される。
(C)噴射圧の要求増圧量(噴射圧指令値の前回値tpc[i−1]に対する目標噴射圧pctrgの減算値)が所定値F(例えば2MPa)を超えるとき
このときの噴射圧指令値tpcは、下式(2)に示されるように、噴射圧指令値tpcの前回値と上記所定値Fとの加算値として算出される。すなわち、このときには噴射圧の要求増圧量の大きさに拘わらず、噴射圧指令値tpcは、本ルーチンの制御周期毎に上記所定値Fずつ増圧側に変更されるように徐変されることとなる。なおこのときの上記所定値Fは、上記吸気系の応答遅れにより、EGR導入の再開が遅れた状態にあっても、燃焼音の悪化が生じない程度に、噴射圧指令値tpcの変化率を制限するようにその値が設定されており、その値は上記所定値Eに比して小さい値とされている(F<E)。ちなみに本実施形態にあっては、このときの噴射圧指令値tpcの増圧側への変化率(F/ΔT)が上記第2の変化率に相当する。

tpc[i]←tpc[i−1]+F …(2)

(D)噴射圧の要求増圧量が所定値F以下のとき
このときには、上記(C)における噴射圧指令値tpcの徐変処理を終了し、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgの値をそのまま噴射圧指令値tpcとして設定する。
更に燃焼音低減制御の終了後の上記徐変処理期間が所定時間Ta以上となり、且つ上記(C)での徐変処理が継続されているときには、次の態様で噴射圧指令値tpcが算出される。
(E)噴射圧の要求増圧量が所定値Eを超えるとき
このときの噴射圧指令値tpcは、下式(3)に示されるように、噴射圧指令値tpcの前回値と上記所定値Eとの加算値として算出される。すなわち、このときには噴射圧の要求増圧量の大きさに拘わらず、噴射圧指令値tpcは、本ルーチンの制御周期毎に上記所定値Eずつ増圧側に変更されるように徐変されることとなる。このときの噴射圧指令値tpcの変化率(E/ΔT)は、上記(A)の場合と同じとなる。ちなみに本実施形態では、このときの噴射圧指令値tpcの増圧側への変化率(E/ΔT)が上記第3の変化率に相当する。

tpc[i]←tpc[i−1]+E …(3)

(F)噴射圧の要求増圧量が所定値E以下のとき
このときには、上記(E)における噴射圧指令値tpcの徐変処理を終了し、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgの値をそのまま噴射圧指令値tpcとして設定する。
なお以上の(A)〜(F)の何れにも該当しないときには、徐変処理は行われず、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgの値がそのまま噴射圧指令値tpcとして設定される。
図5は、以上説明した噴射圧指令値ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、上記目標噴射圧算出ルーチンに引き続き、電子制御装置50により実行されている。なお本実施形態では、本ルーチンの処理が上記徐変手段の処理に相当する。
さて本ルーチンの処理に移行すると、電子制御装置50はまずステップ200において、前回の本ルーチンの処理周期と今回の処理周期との間に上記燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiの切替(オン→オフ又はオフ→オン)があったか否かを判定する。ここで電子制御装置50は、そうしたフラグ切替があったならば(YES)、ステップ205にて徐変処理フラグをオンとした後、ステップ210に処理を進める。またそうしたフラグの切替がなかったならば(NO)、電子制御装置50は、そのまま処理をステップ210に進める。
ステップ210において電子制御装置50は、上記徐変処理フラグがオンであるか否かが判定する。ここで電子制御装置50は、徐変処理フラグがオンでなければあれば(YES)、処理をステップ220に進め、そうでなければ(NO)、処理をステップ215に進める。
ステップ215では、電子制御装置50は、徐変処理を行うことなく、噴射圧指令値tpcを算出する。すなわちこのときの噴射圧指令値tpcには、上記目標噴射圧算出ルーチンにて算出された目標噴射圧pctrgがそのままその値として設定される。そしてその後、電子制御装置50は、本ルーチンの処理を一旦終了する。
一方、ステップ220では、電子制御装置50は、上記燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiがオンで、且つ上記要求減圧量(pctrg−tpc)が上記所定値Eを超えているか否かを、すなわち上記(A)の状況に該当するか否かを判定する。ここで否定判定されたときには(NO)、電子制御装置50は、処理をステップ230に進める。また肯定判定されたときには(YES)、電子制御装置50は、処理をステップ225に進め、そのステップ225において上式(1)に従って噴射圧指令値tpcを算出した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
ステップ230では、電子制御装置50は、上記燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiがオフで、且つそのオフ後の経過時間、すなわち徐変処理期間が所定値Ta未満であるか否かを判定する。ここで肯定判定されたときには(YES)、電子制御装置50は処理をステップ240に進め、否定判定されたときには(NO)、電子制御装置50は処理をステップ250に進める。
ステップ240では、上記要求増圧量(tpc−pctrg)が上記所定値Fを超えているか否かを、すなわち上記(C)の状況に該当するか否かを判定する。ここで肯定判定された場合(YES)、電子制御装置50は処理をステップ245に進め、そのステップ245において上式(2)に従って噴射圧指令値tpcを算出した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
ステップ250では、電子制御装置50は、上記燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiがオフで、且つ上記要求増圧量(tpc−pctrg)が上記所定値Eを超えているか否かを、すなわち上記(F)の状況に該当するか否かを判定する。ここで肯定判定された場合(YES)、電子制御装置50は処理をステップ255に進め、そのステップ255において上式(3)に従って噴射圧指令値tpcを算出した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
なお上記ステップ240及びステップ250のいずれかにおいて否定判定されたときには、上記(B)(D)(E)のいずれかの状況に該当することとなる。よってこの場合、電子制御装置50は処理をステップ260に進め、そのステップ260において徐変フラグをオフとする。その後、電子制御装置50は処理を上記ステップ215に進め、徐変処理を行うことなく、噴射圧指令値tpcを算出した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
図6は、以上説明した本実施形態での燃焼音低減制御に係る噴射圧制御態様の一例を示している。
同図の例では、時刻t1において、EGRカットを行うべくEGR弁開度が全閉とされたことをもって、燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiがオフからオンに切替えられている。そしてその切替と共に、目標噴射圧pctrgは、上記通常用の演算マップMAP1のマップ値pctrg[MAP1]から上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2のマップ値pctrg[MAP2]に低減される。
またこの時刻t1には、徐変処理フラグがオンとされて、噴射圧指令値tpcの徐変処理が開始され、噴射圧指令値tpcは以後、上記低減された目標噴射圧pctrgに向けて、上記噴射圧指令値演算ルーチンの制御周期毎に上記所定値Eずつの比較的速やかな変化率(E/ΔT)で減圧側に変更されていく。そして時刻t2において要求減圧量が上記所定値E以下となるまで噴射圧指令値tpcが減圧されると、徐変処理フラグがオフとされ、その後、噴射圧指令値tpcは、目標噴射圧pctrgと同値とされる。
その後の時刻t3においてEGR導入を再開すべくEGR弁36が開弁されると、燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiがオンからオフに切替えられる。なおそのEGR弁36開弁後、上記吸気系の応答遅れのため、実際のEGR率の増大は、ある程度の時間が経過した後となる。
この時刻t3での上記燃焼音低減制御要求フラグexegrnoiの切替に伴い、徐変フラグが再びオンとされ、目標噴射圧pctrgは、上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2のマップ値pctrg[MAP2]から上記通常用の演算マップMAP1のマップ値pctrg[MAP1]に増大される。
またこの時刻t3には、徐変処理フラグがオンとされて、噴射圧指令値tpcの徐変処理が開始され、噴射圧指令値tpcは以後、上記増大された目標噴射圧pctrgに向けて、上記噴射圧指令値演算ルーチンの制御周期毎に上記所定値Fずつの比較的緩やかな変化率(F/ΔT)で増圧側に変更されていく。
この時刻t3からの経過時間が上記所定値Taとなった時刻t4となると、ある程度の値までEGR率が増大されるようになる。この時刻t4以後、噴射圧指令値tpcは、上記制御周期毎に上記所定値Eずつの比較的速やかな変化率(E/ΔT)で増圧側に変更されていくようになる。
そして時刻t5において、要求増圧量が上記所定値E以下となるまで噴射圧指令値tpcが増圧されると、徐変処理フラグがオフとされ、その後、噴射圧指令値tpcは、目標噴射圧pctrgと同値とされる。
なお本実施形態にあっては、通常燃焼モードが上記特定の燃焼モードに、それ以外の3つの燃焼モードが上記他の燃焼モードに相当する。
以上説明した本実施形態では、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、燃焼音低減制御の開始時における噴射圧(噴射圧指令値tpc)の減圧側への変更及びその終了時の噴射圧の増圧側への変更に際して、噴射圧を徐変させているため、上記燃焼音低減制御の実施に伴う急激な噴射圧の変更要求に拘わらず、レール圧(噴射圧)のフィードバック制御の安定性を好適に維持することができる。
(2)本実施形態では、EGR弁36の開弁に伴う燃焼音低減制御の終了に際して、その終了後の経過時間が所定値Taとなるまでは比較的低い変化率(F/ΔT)にて噴射圧を増圧側に徐変するとともに、その後は比較的速やかな変化率(E/ΔT)にて噴射圧を増圧側に徐変して、噴射圧を本来の値まで復帰させている。そのため、EGR弁36開弁後のEGR率の応答遅れに拘わらず、燃焼音の悪化の抑制を好適に保持しつつ、本来の値への噴射圧の復帰を比較的速やかに行うことができる。
(3)燃焼音低減制御の実行条件として、EGR弁開度の上限条件(EGR弁開度が全閉開度であること)、大気圧の下限条件、及び燃焼の活性化を招き易い通常燃焼モードでの運転中、を含めているため、適切な運転状況で噴射圧を低減し、的確に燃焼音の悪化を抑制することができる。
(4)噴射圧の低減を、上記通常用の演算マップMAP1から上記燃焼音低減制御用の演算マップMAP2への目標噴射圧pctrg算出用の演算マップの切替を通じて行っているため、噴射圧の低減による燃焼音悪化の抑制を、容易且つ的確に行うことができる。
なお上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、上記(A)に該当する状況にあるときと、上記(F)に該当する状況にあるときとで、変化率を同じにして噴射圧指令値tpcの増圧側/減圧側への徐変を行うようにしていたが、これを異なる変化率としても良い。例えば増圧側への噴射圧の変更時と減圧側への噴射圧の変更時とで噴射圧の急変に対する噴射圧制御系の安定性に差違が存在する場合には、そうした異なる変化率の設定により、噴射圧制御系の安定性をより効果的に保持することができる。
・上記実施形態では、周期的に噴射圧指令値tpcを所定値ずつ増減させることで、燃焼音低減制御開始時及び終了時の噴射圧の徐変処理を行うようにしていたが、そうした徐変処理の態様は適宜変更しても良い。例えば目標噴射圧pctrgに対して下記のような加重平均処理、いわゆるなまし処理を行って噴射圧指令値tpcを求めるようにしても、その徐変処理を行うことができる。この場合の噴射圧指令値tpcは、例えば下式(4)にて求めることができる。具体的には、前回の制御周期において求められた噴射圧指令値tpc[i−1]に対して(1−n)を、今回の制御周期に算出された目標噴射圧pctrgに対してnを、それぞれ乗じて重み付けを行い、それらの加算値を今回の制御周期における噴射圧指令値tpc[i]として算出するようにしている。なお上記係数nは、徐変処理される噴射圧指令値tpcの変化率を決める係数であり、その値には0より大きく、1以下の値が設定される(0<n≦1)。この係数nが大きい程、すなわち1に近い程、徐変中の噴射圧指令値tpcの変化率は大きくなり、目標噴射圧pctrgに対する噴射圧指令値tpcの追従性が高くなる。ちなみに、噴射圧指令値tpcの徐変処理を下式(4)にて行う場合、上記(C)に該当する状況での上記係数nを、上記(A)(E)に該当するときの同係数nに比してより0に近い値とすることで、上記実施形態と同様の変化傾向にて噴射圧指令値tpcを徐変させることができる。

tpc[i]←(1−n)×tpc[i−1]+n×pctrg …(4)

・上記実施形態では、燃焼音の悪化抑制に係る噴射圧の低減を、目標噴射圧pctrg算出用の演算マップの切替を通じて行うようにしていたが、例えば目標噴射圧から定数、或いは燃焼の活性化に関連する制御量に基づく変数を減算すること等、噴射圧の低減態様は適宜に変更しても良い。
・上記実施形態では、EGR弁開度が全閉開度であることを、上記燃焼音低減制御の実行条件の一つとしていたが、これをEGR弁開度の上限条件、すなわちEGR弁開度が所定値以下であることに変更しても良い。全閉開度で無くても、EGR弁開度が十分に小さく、EGR量が十分に少なければ、燃焼が活性化され易いことから、そうした状況でも燃焼音の悪化を招く虞はある。
・上記燃焼音低減制御の実行条件である上記(a)〜(e)のうち、(d)以外の条件は省略しても良い。また燃焼音が悪化し易い運転状況を示す条件として他にも適切な条件があるのであれば、それを上記実行条件に追加するようにしても良い。
本発明の一実施形態の適用される内燃機関の全体構造を示す模式図。 同実施形態に採用される要求噴射圧算出ルーチンのフローチャート。 同実施形態での目標噴射圧算出に用いられる通常用の演算マップの構成例を示す図。 同実施形態での目標噴射圧算出に用いられる燃焼音低減制御用の演算マップの構成例を示す図。 同実施形態に採用される目標噴射圧算出ルーチンのフローチャート 同実施形態の制御態様の一例を示すタイムチャート。
符号の説明
10…内燃機関、11…ターボチャージャ、12…吸気通路、13…燃焼室、14…排気通路、15…エアクリーナ、16…エアフローメータ、17…コンプレッサ、18…インタークーラ、19…吸気絞り弁、20…吸気マニホールド、21…吸気ポート、22…排気ポート、23…排気マニホールド、24…排気タービン、25…NOx触媒コンバータ、26…PMフィルタ、27…酸化触媒コンバータ、28…入ガス温度センサ、29…出ガス温度センサ、30…差圧センサ、31,32…酸素センサ、33…EGR通路、34…EGR触媒、35…EGRクーラ、36…EGR弁、40…インジェクタ、41…高圧燃料供給管、42…コモンレール、43…燃料ポンプ、44…レール圧センサ、45…低圧燃料供給管、46…添加弁、47…リリーフ弁、50…電子制御装置、51…NEセンサ、52…アクセルセンサ、53…絞り弁センサ、54…大気圧センサ。

Claims (5)

  1. 吸気中への排気再循環量を調整する排気再循環弁を備える内燃機関に適用され、燃焼に供される燃料の噴射圧を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記排気再循環弁の開度の上限条件を含む所定条件の成立をもって燃焼音の悪化し易い運転状況にある旨判定するとともに、該運転状況にある旨判定されたときには、そうでないときに比して前記噴射圧を低減させる低減手段と、
    前記低減手段による前記噴射圧の低減の開始時における前記噴射圧の減圧側への変更に際して第1の変化率にて前記噴射圧を徐変させるとともに、同低減手段による前記噴射圧の低減の終了時における前記噴射圧の増圧側への変更に際して、前記所定条件が不成立となったときから所定期間は、前記第1の変化率よりも小さい第2の変化率にて前記噴射圧を徐変させ、その後はその第2の変化率よりも大きい第3の変化率にて前記噴射圧を徐変させる徐変手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記排気再循環弁の開度の上限条件における上限開度を、該排気再循環弁の全閉開度としたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 当該内燃機関は、複数の燃焼モードの間で燃焼モードを切替えつつ運転を行うものであり、
    前記所定条件には、前記複数の燃焼モードのうち、他の燃焼モードに比して燃焼状態が活性化され易い特定の燃焼モードでの運転中であることが含まれる請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記所定条件には、大気圧の下限条件が含まれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 機関運転条件に基づく噴射圧の演算マップとして、第1の演算マップと、その第1の演算マップに比して同一の機関運転条件での噴射圧のマップ値が小さくなるように設定された第2の演算マップとを備え、噴射圧の算出に用いる演算マップを前記第1の演算マップから前記第2の演算マップへと切替えることで、前記低減手段による前記噴射圧の低減を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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