JP2005090014A - 水路の補修・補強工法および水路の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】
老朽化あるいは損傷した水路の補修・補強を断水しないで水供給が必要な下流に必要最低限の水量を確保しつつ効率的に行なう。
【解決手段】
老朽化あるいは損傷した水路の下部にフレキシブル管を布設することで、断水できない供給部に必要最低限の水量を確保し、かつ、補修・補強部位を乾燥し補修・補強施工する。該フレキシブル管は仮設ではなく、補修・補強後も水路にコンクリートまたはモルタルで埋め殺し、そのまま利用する。
【選択図】
図5
老朽化あるいは損傷した水路の補修・補強を断水しないで水供給が必要な下流に必要最低限の水量を確保しつつ効率的に行なう。
【解決手段】
老朽化あるいは損傷した水路の下部にフレキシブル管を布設することで、断水できない供給部に必要最低限の水量を確保し、かつ、補修・補強部位を乾燥し補修・補強施工する。該フレキシブル管は仮設ではなく、補修・補強後も水路にコンクリートまたはモルタルで埋め殺し、そのまま利用する。
【選択図】
図5
Description
本発明は老朽化あるいは損傷した水路を断水することなく補修または補強する工法に関する。
老朽化あるいは損傷した水路を補修または補強する場合、従来は既存コンクリート壁に対するコンクリート吹き付け、モルタル塗布、レジンモルタル吹き付け、ポリマーコンクリートやスチールファイバーコンクリートの継ぎ足し打設する方法、強化プラスチック複合管や鋳鉄管等を水路内にパイプインパイプ(pipe in pipe)の状態で配設する方法、特殊布に樹脂含浸させて熱硬化させるインシチュフォーム(Insituform)工法を水路に応用した方法、鋼板を必要形状に加工して現場で内張りする方法などが採用されている。
下記特許文献1〜6に従来の補修、補強方法を引用する。たとえば、特許文献1は複数の防錆性綱板を水路に内張りする方法である。特許文献2は水路側壁表面に、基板表面に無溶剤塗料からなる厚膜層を備えた被覆板を並べ、被覆板後端部を後側の被覆板の前端部上に重ね合わせて固着し、各被覆板を側壁にアンカーボルトで連結した補修構造である。特許文献3は損傷面に無溶剤塗料からなる厚膜層を備えた板状体を、補修材を介して接着すると共に損傷面に固定したアンカーボルトに板状体を連結して補修するものである。
特許文献4は損傷箇所に補修部材を施し、さらに上から溶剤を混入しないポリウレタン樹脂塗料を内面に厚く塗布し、膜厚の厚い塗膜層を形成する。特許文献5は水路内面に沿う断面形状で、内面が前記水路内面に比べて粗度係数の小さいパネル、そのパネルの裏面に補強筋が埋没されたコンクリートである補強用筒体で補強するものである。特許文献6はプレキャストレジンコンクリート製パネルにより水路内壁を覆うとともに、該パネルと既存壁面との間にグラウト充填し、それらを一体化するものである。
これらは工事費がかさんで経済性に欠けるという問題、水路内面の粗度係数が増大し通水抵抗増加で通水量が減ってしまう、という問題、および施工に断水を要する、という問題がある。これらのなかでもっとも深刻なのは、断水である。どんなによい補修・補強の方法があっても長期断水が必要であると生活用水や農業用水などの重要水路では採用されない。
断水を避けるために施工部位を迂回した仮設水路を設けることが公知である。たとえば特許文献7は流水の堰き止めが可能な一対のフロートと、このフロート間に渡設され堰き止められた水を上流側から下流側に移送する仮設水路によって流水をバイパスして、補修対象個所の近傍をドライ状態にして補修するものである。さらにまた、特許文献8は管渠下部を流れる水流を堰き止め可能でかつその水流の導水口を有するゲート部材と、該ゲート部材導水口に接続された可動水路とを備えた仮設水路装置で流水をバイパスして、可動水路の外側はドライな状態の作業空間とする。これら特許文献7および8は、仮設管ないしは導水口を有するゲート部材を流れバイパスとして補修・補強を行うものである。特許文献7および8をはじめ、いわゆる仮設水路が工事後に利用されることはなく撤去される。当然仮設水路の撤去の費用が施工コストに上乗せされる。
生活用水や農業用水など断水できない水路に必要最小限の水を供給する通水量を確保しつつ、かつ、水路中間の補修・補強部位が通水のないドライ状態として種々の補修・補強法が適用できる方法を提供する。こういった断水なし工法で用いられる仮設水路を仮設ではなく本設で利用できるようにして施工コストを削減する。
本案は(請求項1)、ひとつ以上の水供給先に分岐する水路にて、特定の水供給先への水を断水させることなく補修または補強する工法であって、水路に通水したままで該水路の深さ未満の堰を補修または補強を要する水路部位の上流にて水路内に設置すると共に、該堰を上流より下流に貫通し特定の水供給先に至る管路を水路内に設置する第一の工程と、前記管路に通水したままで補修または補強を要する水路部位を補修・補強する第二の工程と、前記管路に通水したままで補修・補強の後で堰の下流の管路を水路底部にコンクリートまたはモルタルで埋め殺しする第三の工程を有する水路の補修・補強工法である。管路をなす管はポリエチレン、塩化ビニルなど樹脂パイプ、鉄などの金属パイプいずれでもよいが、ポリエチレンなどのフレキシブル管が好適である。以下、フレキシブル管で説明する。
図5が本案の補修・補強作業フロー説明図である。図5(a)、(b)が本案工法の第一工程である。水路に通水したままでフレキシブル管(「pipe」と図示)を水路に投入する。投入当初、フレキシブル管には適当な重しを取り付けて浮上を避ければよい。投入後しばらくすると管路内に通水されるので自重で水路底部に定着する。フレキシブル管の下流端は断水できない特定かつ重要な水供給先であり水の供給が確保される。フレキシブル管の定着後、フレキシブル管の上流側端より少し下流の位置にて土嚢を投入する。この土嚢が水路の深さ未満の仮設の堰となり、堰の下流側からコンクリートまたはモルタルで固めていけば水路の深さ未満の本設の堰となる。図5(c)が下流側のみコンクリートまたはモルタル化された仮設堰の状態である。
図5(c)にて、堰の下流側でフレキシブル管pipeをU字型部材などの固定手段で固定する。「pipe」の固定手段を「band」と図示する。この固定作業と同時に水路底部の洗浄などを行う。もちろん、この状態でもフレキシブル管には通水したままである。洗浄後、補修・補強が必要な部位の補修・補強施工を行う。この施工はドライな状態であるので作業が楽である。図2が補修・補強施工部位の平面図、図2(b)は(a)のb−b断面図、図2(c)は(a)のc−c断面図である。図2(d)は参考図であって補修・補強前のc−c断面図である。補修・補強用メッシュ:鉄筋、カーボン、ビニロン、アラミド繊維等の網状材を利用する。図2にて補強用メッシュを「mesh」、コンクリートまたはモルタルを「con」で示した。老朽化あるいは損傷した水路部位がドライ状態なので図4のように梁をもちいた補修・補強も可能である。図4中にて補強用の梁を「hari」で示した。
図5(d)に本設の堰(「dam」と図示)が形成され、かつ、図2・図4の補修・補強を下流で施工中の本案工法第二工程施工中の状態を示す。図5(d)での平面図・断面図を図1に示す。図1(a)は上流堰部の平面図、図1(b)は(a)のb−b断面図、図1(c)は(a)のc−c断面図、図(d)は(a)のd−d断面図である。補修・補強が終わったら、堰の下流のフレキシブル管路を水路底部にコンクリートまたはモルタルで埋め殺しする第三の工程を行う。この工程後の水路を図5(e)に示す。補修・補強後の水路は上部と下部の二段水路になる。上部水路は側壁とコンクリートまたはモルタルで埋め殺し面を底部としたもの、下部水路は埋め殺し管路である。この埋め殺し管路は管内面の粗度が小さいので抵抗が小さく流速がはやく、特定の重要な水供給先に優先的に水供給できる。図3(a)に水量が少ないときの本案補修・補強後の水路断面、図3(b)に水量が多いときの本案補修・補強後の水路断面を示す。
ここまで説明したように本案工法によって、以下の水路構造ができる。すなわち(請求項2)、ひとつ以上の水供給先に分岐する水路の構造であって、補修または補強された水路部位の上流に水路の深さ未満の堰が設置され、該堰を上流より下流に貫通し特定の水供給先に至る管路が水路内に少なくとも一本設置された構造の水路である。この構造、特に管路は補修・補強で仮設水路として敷設したものを本設としている。
もちろん、水路底部の管路は露出されていてもその水供給機能は果たされる。しかし(請求項3)、管路保護のため堰の下流のフレキシブル管路が水路底部にコンクリートまたはモルタルで埋設(埋め殺し)されているのが望ましい。水路底部に1本以上の管路がコンクリートやモルタル等で埋設され、その上部にも通水部を有した重層構造の水路構造である。
本発明により、老朽化あるいは損傷した水路の補修・補強を水供給が必要な下流に必要最低限の水量を確保して効率的に行なうことができる。また本案のフレキシブルパイプは、工事が完了してもそのまま水路の一部として使用でき、水を必要とする下流の供給先に最低限の送水量が確保されやすい。
フレキシブル管はポリエチレン製のものが望ましく、カナフレックス株式会社の商品名「カナパイプ」、三晃プラスチックス株式会社の商品名「ポリナイトパイプ」などが好適である。管路はもちろん、塩化ビニルなど樹脂、鉄などの金属製のフレキシブルでないパイプでもかまわない。補強用メッシュは、鉄筋、カーボン、ビニロン、アラミド繊維等の網状材が好適である。
農業用水、飲料水など生活用水以外の工業用水の重要な水供給先を有する水路にて、水量を確保しながら水路保守のための補修・補強ができる。ドライ状態で補修・補強ができるので、任意の補修・補強法の採用が容易である。
band pipeの固定手段
con コンクリートまたはモルタル
dam 水路の深さ未満の堰
hari 補強用の梁
mesh 補強用メッシュ:鉄筋、カーボン、ビニロン、アラミド繊維等の網状材
pipe 管路をなす管(ポリエチレン、塩化ビニルなど樹脂パイプ、鉄などの金属パイプ)
con コンクリートまたはモルタル
dam 水路の深さ未満の堰
hari 補強用の梁
mesh 補強用メッシュ:鉄筋、カーボン、ビニロン、アラミド繊維等の網状材
pipe 管路をなす管(ポリエチレン、塩化ビニルなど樹脂パイプ、鉄などの金属パイプ)
Claims (3)
- ひとつ以上の水供給先に分岐する水路にて、特定の水供給先への水を断水させることなく補修または補強する工法であって、水路に通水したままで該水路の深さ未満の堰を補修または補強を要する水路部位の上流に設置すると共に、該堰を上流より下流に貫通し特定の水供給先に至る管路を水路内に設置する第一の工程と、前記管路に通水したままで補修または補強を要する水路部位を補修・補強する第二の工程と、前記管路に通水したままで堰の下流の管路をコンクリートまたはモルタルで水路底部に埋め殺しする第三の工程を有する水路の補修・補強工法
- ひとつ以上の水供給先に分岐する水路の構造であって、補修または補強された水路部位の上流に水路の深さ未満の堰が水路内に設置され、該堰を上流より下流に貫通し特定の水供給先に至る管路が水路内に少なくとも一本設置された水路の構造
- 水路内管路が水路内堰の下流において水路底部にコンクリートまたはモルタルで埋設されている請求項2の水路の構造
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003322380A JP2005090014A (ja) | 2003-09-16 | 2003-09-16 | 水路の補修・補強工法および水路の構造 |
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---|---|---|---|---|
CN110029629A (zh) * | 2019-05-23 | 2019-07-19 | 黄河水利委员会河南黄河河务局 | 硬化渠道破损水下修复装置及使用方法 |
CN114108563A (zh) * | 2021-10-29 | 2022-03-01 | 长江勘测规划设计研究有限责任公司 | 通过水泵组和管路过流的干渠不停水检修装置及使用方法 |
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CN114182692A (zh) * | 2021-10-29 | 2022-03-15 | 长江勘测规划设计研究有限责任公司 | 通过膜结构表面浅层过流的干渠不停水检修装置及方法 |
-
2003
- 2003-09-16 JP JP2003322380A patent/JP2005090014A/ja active Pending
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