JP2005089935A - 紡績糸、抗ピル紡績糸及び抗ピル布帛、並びに、それらの製造方法 - Google Patents

紡績糸、抗ピル紡績糸及び抗ピル布帛、並びに、それらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 抗ピル布帛、並びに、抗ピル布帛製造用の紡績糸及び抗ピル布帛製造用の抗ピル紡績糸、更には、それらの製造方法を提供する。
【解決手段】 収縮性アクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる紡績糸、収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸、前記紡績糸を編織してなる抗ピル布帛、並びに、収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸又は布帛をグリオキザール樹脂加工することを特徴とする抗ピル紡績糸及び抗ピル布帛の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗ピル布帛、並びに、抗ピル布帛製造用の紡績糸及び抗ピル布帛製造用の抗ピル紡績糸、更には、それらの製造方法に関する。
アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維は高強力である。そのことから、これら合成繊維は紡績し、製織して布帛などの素材にされ、衣料用素材あるいはインテリア製品用素材等の広範な分野に利用されている。
しかし、合成繊維を原料として製造された素材は、高強力であるがゆえに、着用中や洗濯中において、布帛などの表面に形成される毛玉(ピリング)が脱落せず、布帛の品質、外観が大きく損われる。
そこで、これら合成繊維には抗ピル性を付与することが提案されている。しかし、抗ピル性を付与すると、繊維強度が低下して風合いが悪化するといった問題がある。
合成繊維のうちポリエステル繊維については、以下の方法により布帛などの素材に良好な抗ピル性と風合いとを付与することが提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、カチオン可染型ポリエステル繊維と、綿、ウール等の天然繊維とが混紡された繊維構造物を、ヒドラジド化合物、酸性化合物及び染料を含有する処理液で処理することが開示されている。
特許文献2には、通常のポリエステル繊維とセルロース系繊維とが混合された編地を、グリオキザール系樹脂等の樹脂系架橋剤により架橋改質処理することが開示されている。
しかし、カチオン可染型ポリエステルに共重合するためのポリエチレングリコール、イソフタル酸及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のモノマー成分は、アクリル繊維のモノマー成分ではないので、特許文献1はアクリル繊維には適用できない。
また、通常のポリエステル繊維の代わりに通常のアクリル繊維を用いても、得られた布帛の抗ピル性は改善されないので、特許文献2もアクリル繊維には適用できない。
特開2000−119962号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0009]、[0010]) 特開2003−49366号公報 (特許請求の範囲、段落番号[0025])
本発明者は、アクリル繊維を原料とする布帛であって優れた物性の布帛を得るために種々検討しているうちに、収縮性アクリル繊維を熱収縮させたアクリル繊維とグリオキザール樹脂加工を施した所定結節伸度のセルロース系繊維とを用いることにより、優れた風合いと抗ピル性とを有する布帛等を得ることができることを知得し、本発明を完成するに到った。
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した紡績糸、抗ピル紡績糸及び抗ピル布帛、並びに、それらの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 収縮性アクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる紡績糸。
〔2〕 収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸。
〔3〕 収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛。
〔4〕 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を熱収縮させて収縮紡績糸を得、次いで前記収縮紡績糸をグリオキザール樹脂加工することを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸の製造方法。
〔5〕 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を熱収縮させて収縮紡績糸を得、次いで前記収縮紡績糸にグリオキザール樹脂加工を施してグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を得、前記抗ピル紡績糸を編織する抗ピル布帛の製造方法。
〔6〕 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を編織させて布帛を得、次いで前記布帛を熱収縮させて収縮布帛を得、次いで前記収縮布帛をグリオキザール樹脂加工することを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛の製造方法。
〔7〕 収縮性アクリル繊維とグリオキザール樹脂加工を施したセルロース系繊維とからなる紡績糸を編織させた後、熱収縮させることを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛の製造方法。
本発明の抗ピル布帛は、収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とから構成されることにより、優れた風合いと抗ピル性とを有する。
本発明の抗ピル紡績糸は、収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とから構成されるので、これを編織することにより、優れた風合いと抗ピル性とを有する布帛を得ることができる。
本発明の紡績糸は、収縮性アクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とから構成されるので、これを熱処理、編織することにより、優れた風合いと抗ピル性とを有する布帛を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抗ピル布帛は、収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%、好ましくは4〜5%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する布帛である。
本発明の抗ピル紡績糸は、本発明の抗ピル布帛製造用の紡績糸であって、収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%、好ましくは4〜5%のセルロース系繊維とからなる紡績糸である。
本発明の紡績糸は、本発明の抗ピル紡績糸製造用の紡績糸であって、収縮性アクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%、好ましくは4〜5%のセルロース系繊維とからなる紡績糸である。
本発明の紡績糸を構成する収縮性アクリル繊維は、後述する方法で測定された収縮率10%以上が好ましく、30%以上が更に好ましい。
本発明の抗ピル紡績糸、抗ピル布帛を構成する収縮したアクリル繊維は、上記収縮性アクリル繊維が熱収縮されたアクリル繊維である。
布帛中のアクリル繊維が熱収縮されてない場合は、布帛の抗ピル性が悪くなるので好ましくない。
紡績糸中、布帛中のアクリル繊維の繊度は特に限定されるものではないが、0.5〜3.3dtexが好ましい。
本発明の紡績糸、抗ピル紡績糸、抗ピル布帛を構成する、グリオキザール樹脂加工を施したセルロース系繊維の結節伸度は、1〜6%であり、好ましくは、4〜5%である。
セルロース系繊維の結節伸度が1%未満の場合は、布帛の風合いが悪くなるので好ましくない。セルロース系繊維の結節伸度が6%を超える場合は、布帛の抗ピル性が悪くなるので好ましくない。
本発明の抗ピル混綿、抗ピル紡績糸、抗ピル布帛は、その物性が上記範囲内にあれば、その製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の製造方法により製造することができる。
〔収縮性アクリル繊維〕
本発明の紡績糸を構成する成分の収縮性アクリル繊維、並びに、本発明の抗ピル紡績糸、抗ピル布帛の製造原料であって抗ピル紡績糸、抗ピル布帛の製造工程において熱収縮される収縮性アクリル繊維は、公知の方法に従って重合反応等を調節することにより製造することもできるが、市販のものを用いることもできる。
なお、上記アクリル繊維が収縮性アクリル繊維でない場合は、得られる布帛の抗ピル性が悪くなるので好ましくない。
〔セルロース系繊維(セルロース系綿)〕
上記アクリル繊維(アクリル綿)と混紡するセルロース系繊維(セルロース系綿)としては、サンホーキン綿等の木綿繊維(コットン繊維)、麻繊維等の天然セルロース系繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維などが例示できる。
〔混綿〕
混綿は、混打綿工程で、原綿ブレンドミックス法を採用することが好ましい。これにより、混紡相手の素材の物性に助けられ、混紡糸の製造が容易になる。アクリル繊維(アクリル綿)とセルロース系繊維(セルロース系綿)とからなる混綿の混紡割合(質量比)は、1:9〜9:1が好ましい。
〔紡績糸〕
上記アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる混綿を紡績して紡績糸を得る。
〔布帛〕
上記紡績糸を編織してアクリル繊維とセルロース繊維とからなる布帛を得る。
〔抗ピル加工〕
以上の布帛までの製造工程において、「セルロース系綿」、「紡績糸」及び「布帛」の何れかに対して抗ピル加工を施す。即ち下記の「(α)セルロース系綿加工」、「(β)糸加工」及び「(γ)生地加工」の何れかの方法に従ってグリオキザール樹脂加工(抗ピル加工)等を施し、布帛を作製する。
なお、「紡績糸」又は「布帛」については、必要に応じて行う染色処理の処理時若しくは処理前に、98〜105℃で、15〜30分間熱処理する。この熱処理により「紡績糸」又は「布帛」中の収縮性アクリル繊維は熱収縮され、「紡績糸」又は「布帛」は、それぞれ「収縮紡績糸」又は「収縮布帛」になる。
(α) セルロース系綿加工
染色:セルロース系繊維からなる綿(セルロース系綿)を、必要に応じ通常のセルロース系綿の染色条件で染色する。その後、この染色綿を通常の条件下で水洗、脱水、乾燥等の後処理を施す。
抗ピル加工処理:必要に応じ染色処理した後のセルロース系綿に、グリオキザール樹脂と、架橋触媒と、紡績油剤とを含浸させる。グリオキザール樹脂としては、ヒドロキシエチレン尿素(グリオキザール尿素)等とホルムアルデヒドとの反応縮合物が使用できる。これらのグリオキザール樹脂はセルロース系繊維製品の防縮加工用として公知のものである。
ヒドロキシエチレン尿素とホルムアルデヒドとの反応縮合物としては、住友化学(株)製の商品名Sumitex Resin FKS 、NS-2 、NS-11 、NS-18 、NS-3spe 、NS-16 、NS-19 、Z-5 、NS-200等が例示できる。
グリオキザール樹脂のセルロース系綿に対する含浸量は、セルロース系綿100質量部に対し、30〜150質量部とすることが好ましい。含浸量が30質量部未満の場合は、抗ピル性付与効果が不足するので好ましくない。含浸量が150質量部を超える場合は、得られる布帛の風合いが低下するので好ましくない。
架橋触媒としては、金属塩系、有機アミン系等が好ましい。金属塩系としては、硝酸亜鉛、塩化マグネシウム等を例示できる。有機アミン系としては、2−メチル−2−アミノ−プロパノールの塩酸塩、モルホリンの塩酸塩、2−アミノブタノール燐酸塩等が好ましい。
具体的には、Sumitex Accelerator ACX、Sumitex Accelerator EPX等の有機アミン系触媒[住友化学工業(株)製]、Sumitex Accelerator MX、Sumitex Accelerator KX、Sumitex Accelerator X-60、Sumitex Accelerator X-80、Sumitex Accelerator X-100B、Sumitex Accelerator X-110、Sumitex Accelerator X-120等の金属塩系触媒[住友化学工業(株)製]が例示できる。
架橋触媒のセルロース系綿に対する含浸量は、セルロース系綿100質量部に対し、10〜50質量部とすることが好ましい。含浸量が10質量部未満の場合は、架橋反応が不十分になるので好ましくない。含浸量が50質量部を超える場合は、染色後の生地が黄変し易くなる等の欠点がある。
紡績油剤としては、架橋触媒がカチオン性であるため、ノニオン性、又はカチオン性の紡績油剤が好ましい。また、沈澱防止剤を加えることによりアニオン性の紡績油剤も使用できる。紡績油剤自体は当業者に公知のものである。
紡績油剤のセルロース系綿に対する含浸量は、セルロース系綿100質量部に対し、0.25〜0.3質量部とすることが好ましい。含浸量が0.25質量部未満の場合は、紡績後の糸に番手むらを生ずるので好ましくない。含浸量が0.3質量部を超える場合は、紡績工程中にローラに巻付く等のトラブルを生じ易いので、好ましくない。
上記グリオキザール樹脂と、架橋触媒と、紡績油剤とは、それぞれを個別にセルロース系綿に含浸させても良い。しかし、グリオキザール樹脂と、架橋触媒と、紡績油剤とを溶剤に予め溶解した加工液を調製し、これをセルロース系綿に含浸させ、その後加工液の溶剤を留去させるようにしても良い。溶剤としては、水が特に好ましい。加工液の溶剤として水を用いる場合は、水の留去温度(乾燥温度)を100〜150℃とし、5〜10分間乾燥させることが好ましい。上記乾燥条件で乾燥させることにより、加工液中の水が効率よく留去出来、しかもグリオキザール樹脂が硬化することを有効に防止できる。
前記加工液をセルロース系綿に含浸させる方法は、浸漬法、スプレー法、キスロール法等が例示できる。
上記グリオキザール樹脂、架橋触媒、紡績油剤以外にも、各種成分をセルロース系綿に含浸することができる。具体的には、柔軟剤、起毛促進剤、静電防止剤、平滑剤等が例示できる。また更に、補助的に抗菌剤、防縮剤等を適宜含浸させることもできる。
グリオキザール樹脂処理後のセルロース系綿は、脱水を行い、70〜100℃での予備乾燥を行い、更に110〜150℃でのキュアを行い、乾燥したセルロース系綿にされる。
混綿、紡績、編織:上記のグリオキザール樹脂処理後の乾燥したセルロース系綿は、次いで、前述の収縮性アクリル繊維と混綿された後、通常の混綿を紡績、編織する方法に準じて紡績、編織され、グリオキザール樹脂加工された布帛を得る。
(β) 糸加工
染色:収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる混綿を紡績して得た紡績糸を、必要に応じ通常のアクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸の染色条件で染色する。
抗ピル加工処理:必要に応じ染色処理した後の紡績糸を、前述[(α)セルロース系綿加工]の場合と同様にして抗ピル加工処理し、グリオキザール樹脂処理後の乾燥した紡績糸を得る。
編織:上記のグリオキザール樹脂処理後の乾燥した紡績糸は、次いで、通常の紡績糸を編織する方法に準じて編織され、グリオキザール樹脂加工された布帛を得る。
(γ) 生地加工
染色:収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を編織して得た布帛生地を、必要に応じ通常のアクリル繊維とセルロース系繊維とからなる布帛の染色条件で染色する。
抗ピル加工処理:必要に応じ染色処理した後の布帛を、前述[(α)セルロース系綿加工]の場合と同様にして抗ピル加工処理し、グリオキザール樹脂処理後の乾燥した布帛を得る。
本発明を以下の実施例及び比較例により詳述する。
実施例1〜7及び比較例1〜5
表1〜2に示す条件下に、アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる混綿を、精紡機にリング精紡機を用いて紡績を行い、綿番手50/−のリング糸(紡績糸)を得た。次いで、前記紡績糸を編織してアクリル繊維とセルロース繊維とからなる布帛を得た。
Figure 2005089935
Figure 2005089935
前記布帛の製造工程において熱処理と抗ピル加工を施す場合、表1〜2に示す「抗ピル加工対象」の「紡績糸」又は「布帛」に対して、表1〜2に示す「使用樹脂濃度」及び「使用触媒濃度」で、それぞれ下記の「(a)糸加工」又は「(b)生地加工」の方法に従って染色、脱水・乾燥、グリオキザール樹脂加工(抗ピル加工)等を施し、布帛を作製した。
(a) 糸加工
染色・バルキー出し:アクリル綿とセルロース系繊維綿(サンホーキン綿又はレーヨン綿)とからなる混綿を紡績して得た紡績糸(綿番手50/−のリング糸)5kgを、かせ取りし、この糸を、高温高圧噴射式かせ染め染色機(沢村化学機械工業(株)製SAK-HAS-5型かせ染め染色機)を用い、浴比1:25の条件でpH4のカチオン染料で染色した。このときの染色条件において、染色浴は2℃/分の速度で98℃まで昇温しトップ温度で30分保ち、2℃/分の条件で徐冷した。
その後、軟水を用い、浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗した。この染色糸を、浴比1:25の条件下で花王製汚染除去剤デモールRL−Nを軟水を用いて2g/Lに調製した液(洗浄浴)を使用し70℃で20分の条件で洗浄した。洗浄浴の昇温、徐冷については、染色時の条件と同じである。その後、軟水を用い浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗し、次いでバルキー出しを行った。
脱水・乾燥:染色終了糸を脱水機にて脱水率50質量%に脱水後、100℃のコンベアー式乾燥機にて15分乾燥した。このときの糸の番手は、実施例2、4、5及び7の何れにおいても綿番手で約36番になった。
抗ピル加工処理:脱水・乾燥後のかせの糸を再び、上記高温高圧噴射式かせ染め染色機で、純分40質量%のグリオキザール系樹脂水溶液(住友化学製 Sumitex Resin NS-200)140g/L、純分30質量%の特殊金属塩系水溶液(住友化学製 Sumitex Accelerator MX)60g/Lの濃度調整溶液で浴比1:25、常温(30℃)で15分樹脂処理した。
樹脂処理後の糸を、脱水機にて50質量%脱水を行い、コンベアー式乾燥機で100℃予備乾燥を5分行い、更に130℃キュアを5分行い、乾燥した糸を得た。
仕上げ、編み:上記乾燥した糸を、コーン状に巻取り、この糸を、30”×28Gの針釜をもったシングル丸編み機を用いて抗ピル性をもった綿番手50/−リング糸・30”×28G天竺生地を得た。
(b) 生地加工
染色:アクリル綿とセルロース系繊維綿(サンホーキン綿又はレーヨン綿)とからなる紡績糸を編織して得た布帛生地(綿番手50/−リング糸・30”×28G天竺生地)10kgを、日阪製作所製/Circulur Type CUT-NS-50R高圧染機を用い、浴比1:25の条件でpH4のカチオン染料で染色した。このときの染色条件において、染色浴は2℃/分の速度で98℃まで昇温しトップ温度で30分保ち、2℃/分の条件で徐冷した。
その後、軟水を用い、浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗した。この染色生地を、浴比1:20の条件下で花王製汚染除去剤デモールR−NLを軟水を用いて2g/Lに調製した液(洗浄浴)を使用し70℃で20分の条件で洗浄した。洗浄浴の昇温、徐冷については、染色時の条件と同じである。その後、軟水を用い浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗した。
脱水:水洗後の染色生地を、遠心脱水機を用い脱水時間を4〜6分の間で調整して脱水し、生地の水分を40質量%(絞り率60質量%)にした。
開反:脱水後の染色生地を、開反機を用いて布目に沿って開反した。
乾燥:開反後の染色生地を、ドラム乾燥機を用いて乾燥した。このとき、乾燥機内の温度を100℃に調整し、15m/分の生地速度で乾燥した。
抗ピル加工処理:100L浴槽と、ローラー圧4気圧(ゲージ圧0.4MPa)のパディングを行う機械とを用い、純分40質量%のグリオキザール樹脂水溶液(住友化学製 Sumitex Resin NS-200)35g/L、70g/L又は140g/L、純分30質量%の特殊金属塩系水溶液(住友化学製 Sumitex Accelerator MX)15g/L、30g/L又は60g/Lの濃度調整溶液(樹脂浴)100Lを浴槽に張った。
上記乾燥後の染色生地を生地速度20m/分で樹脂浴に浸漬した後、ローラー圧を4気圧(ゲージ圧0.4MPa)に設定した二つのローラー間に生地を通し、余分な溶液を絞った。このときの樹脂浴のピックアップ率は100質量%であった。この生地をドラム乾燥機で予備乾燥した。この予備乾燥においては、ドラム乾燥機内の温度分布を100〜120℃に、生地速度を15〜20m/分に調整しつつ生地を通した。
その後、ピンテンターを用い、ピンテンター内の温度分布を130〜140℃に調整し、生地速度20m/分で生地巾を180cmに張って生地への樹脂のキュア(乾熱処理による生地への樹脂の固着)及び生地の巾セット(幅出し)を行った。
以上の諸条件によって得られた布帛について、抗ピル性、風合い等の評価を以下の評価方法で行い、その結果を表1〜2に示す。
抗ピル性の評価
得られた布帛についての抗ピル性の等級は、JIS L 1076 A法(ICI形試験機を用いる方法)により測定、評価した。
風合いの評価
得られた布帛についての風合いは、触感による評価方法を用い、下記表3の評価基準表によって、○、△、×の3段階で評価した。
Figure 2005089935
総合評価
得られた布帛についての総合評価は、上記抗ピル性の評価と、風合いの評価とを総合的に評価し、下記表4の評価基準表によって、5〜1の5段階で評価した。この評価方法では、未加工品を基準としているので、未加工品である比較例1、2及び4の評価は何れも「2(未加工品並み)」になる。
Figure 2005089935
なお、原料綿のアクリル綿又はセルロース系繊維綿(サンホーキン綿若しくはレーヨン綿)についての収縮率は、JIS L 1013 熱水収縮率A法(かせ収縮率)により測定した。
原料綿のアクリル綿についての結節伸度は、JIS L 1015により測定した。
布帛中のアクリル綿又はセルロース系繊維綿(サンホーキン綿若しくはレーヨン綿)についての繊度、並びに、布帛中のセルロース系繊維綿(サンホーキン綿若しくはレーヨン綿)についての結節伸度は、布帛から各綿を取り出し後、JIS L 1015により測定した。
また、布帛中のアクリル綿又はセルロース系繊維綿(サンホーキン綿若しくはレーヨン綿)の混合割合は、JIS L 1030の溶解法で測定した。
表1〜2に示す結果から、以下のことが解る。
抗ピル加工しない場合(比較例1、2、3及び4)、並びに、抗ピル加工に使用した樹脂濃度、触媒濃度が低い場合(比較例5)は、布帛中のセルロース系繊維綿(サンホーキン綿若しくはレーヨン綿)の結節伸度が6%を超え、布帛は抗ピル性の悪いものであった。
原料綿のアクリル綿の収縮率が10%未満の場合(比較例4)は、原料綿のアクリル綿以外の条件が同じ場合(比較例1)と比較して布帛の抗ピル性は更に悪いものであった。
布帛の製造工程において抗ピル加工を施す場合、得られた布帛が本発明の構成内にあれば、「抗ピル加工対象」は「紡績糸」(実施例2、4、5及び7)、並びに、「布帛」(実施例1、3及び6)の何れに対して抗ピル加工を施しても、抗ピル性、風合い共に良好な布帛が得られた。
実施例8
収縮率2.0%のサンホーキン綿(セルロース系綿)1kgを、ニッセン製/Type 1 高圧染機を用い、純分40質量%のグリオキザール樹脂水溶液(住友化学製 Sumitex Resin NS-200)140g/L、純分30質量%の特殊金属塩系水溶液(住友化学製 Sumitex Accelerator MX)60g/Lの濃度調整溶液で浴比1:8、常温(30℃)で15分樹脂処理した。樹脂処理後のサンホーキン綿を、脱水機にて50質量%脱水を行い、コンベアー式乾燥機で100℃予備乾燥を5分行い、更に130℃キュアを5分行い、乾燥したサンホーキン綿を得た。
収縮率40.0%、結節伸度45.0%のアクリル綿と、上記グリオキザール樹脂加工処理したサンホーキン綿とを混綿した綿で、精紡機にリング精紡機を用いて紡績を行い、綿番手50/−のリング糸を作製した。この糸を、30”×28Gの針釜をもったシングル丸編み機を用いて綿番手50/−リング糸・30”×28G天竺生地(布帛)を得た。
得られた布帛におけるアクリル綿とサンホーキン綿との質量混合割合は50:50であり、布帛中のアクリル綿の繊度は1.7dtexであり、布帛中のサンホーキン綿の繊度及び結節伸度は、それぞれ2dtex及び4.7%であった。
この布帛を日阪製作所製/Circulur Type CUT-NS-50R高圧染機を用い、浴比1:25の条件でpH4のカチオン染料で染色した。このときの染色条件において、染色浴は2℃/分の速度で98℃まで昇温しトップ温度で30分保ち、2℃/分の条件で徐冷した。
その後、軟水を用い、浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗した。この染色生地を、浴比1:20の条件下で花王製汚染除去剤デモールR-NLを軟水を用いて2g/Lに調製した液(洗浄浴)を使用し70℃で20分の条件で洗浄した。洗浄浴の昇温、徐冷については、染色時の条件と同じである。その後、軟水を用い浴比1:25、常温(30℃)の条件で20分水洗した。
脱水:水洗後の染色生地を、遠心脱水機を用い脱水時間を4〜6分の間で調整して脱水し、生地の水分を40質量%(絞り率60質量%)にした。
開反:脱水後の染色生地を、開反機を用いて布目に沿って開反した。
乾燥:開反後の染色生地を、ドラム乾燥機を用いて乾燥した。このとき、乾燥機内の温度を100℃に調整し、15m/分の生地速度で乾燥した。
その後、ピンテンターを用い、ピンテンター内の温度分布を130〜140℃に調整し、生地速度20m/分で生地巾を180cmに張って生地の巾セット(幅出し)を行った。
この布帛は、抗ピル性が4−5級、風合いの評価が「○」、総合評価が「5」と優れた評価が得られた。

Claims (7)

  1. 収縮性アクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる紡績糸。
  2. 収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸。
  3. 収縮したアクリル繊維と、グリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛。
  4. 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を熱収縮させて収縮紡績糸を得、次いで前記収縮紡績糸をグリオキザール樹脂加工することを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸の製造方法。
  5. 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を熱収縮させて収縮紡績糸を得、次いで前記収縮紡績糸にグリオキザール樹脂加工を施してグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を得、前記抗ピル紡績糸を編織する抗ピル布帛の製造方法。
  6. 収縮性アクリル繊維とセルロース系繊維とからなる紡績糸を編織させて布帛を得、次いで前記布帛を熱収縮させて収縮布帛を得、次いで前記収縮布帛をグリオキザール樹脂加工することを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛の製造方法。
  7. 収縮性アクリル繊維とグリオキザール樹脂加工を施したセルロース系繊維とからなる紡績糸を編織させた後、熱収縮させることを特徴とするグリオキザール樹脂加工を施した結節伸度1〜6%のセルロース系繊維と収縮したアクリル繊維とからなる抗ピル紡績糸を含有する抗ピル布帛の製造方法。
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