JP2005088258A - 平版印刷版材料及び印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版材料及び印刷版の製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、耐刷性に優れかつ寸法安定性に優れる平版印刷版材料及び製版方法を提供することにある。
【解決手段】 飽和吸湿量の1/2到達所要時間が0分以上30分以下であるプラスチック支持体上に画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は平版印刷版材料に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(以下CTPと称す)方式に用いられるプラスチックを支持体とする印刷版材料及び印刷版の製版方法に関する。
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接印刷版材料に記録するコンピュータートゥプレート(以下CTPという)システムが普及してきている。
CTPシステムに使用される印刷版材料は、従来のPS版と同様にアルミニウム基材を使用するタイプとフィルム基材上に印刷版としての機能層を設けたフレキシブルタイプがある。
商業印刷においては印刷の多品種少部数化傾向が進み、市場では高品質で低価格な印刷版材料への要望が強く、このような市場では、印刷版のハンドリング性や持ち運びに有利なプラスチック支持体を用いたフレキシブルタイプの印刷版材料が知られている。(例えば特許文献1、2及び3参照。)
フレキシブルタイプの印刷版材料としては、例えば特開平5−66564号に開示されるようなフィルム基材上に銀塩拡散転写方式の感光層を設けたもの、あるいは特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザー露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成されたもの、あるいはフィルム基材上に親水性層と熱溶融性画像形成層を設け、レーザー露光により親水性層あるいは画像形成層を画像様に発熱させることで画像形成層を親水性層上に溶融固着させるもの等が挙げられる。
他方、これらのプラスチック支持体を有する印刷版材料をレーザーで露光する場合には、ドラム型の露光装置を有する画像形成装置が用いられるが、年々、印刷物は大型化してきており(例えば特許文献4参照)、一辺が550mm以上の印刷版材料が出現している。
そのため、印刷版材料をレーザーで露光する場合に直径250mm以上の露光ドラムを有する大型の画像形成装置が用いられる。
一方、印刷用の画像形成方法として、環境適性等の観点より画像データ書き込み(画像様露光)後の印刷版を直接オフセット印刷機で印刷することにより湿し水で非画像部の画像形成層のみ膨潤溶解して印刷初期の印刷紙(損紙)上に転写除去する所謂印刷機上で現像を行う方法が知られている。そして、上記のレーザー光を熱に変換し画像形成層を親水性層上に溶融固着させる方式のフレキシブルタイプの印刷版材料が、このプロセスに有利に用いられる。この場合には、鮮鋭なドット形状、高精細な画像が得られ、又露光後の現像プロセスを必要とせず、品質安定性、環境適性にも優れている。(例えば特許文献5、6参照。)
しかしながら、上記のフレキシブル印刷版材料を用い上記のような大型の画像形成装置を適用した場合、インキ着肉性が印刷枚数の増加に伴い劣化することによって、特にシャドー部において、印刷の仕上がり品質が劣化し、耐刷性が不十分であるという問題や、カラー印刷において、色のずれ(見当ずれ)が起こる場合があるという問題があった。
特開平4−261539号公報 特開平5−257287号公報 特開2000−258899号公報 特開平11−254743号公報 特開平9−123387号公報 特開平9−123388号公報
本発明の目的は、耐刷性に優れかつ寸法安定性に優れる平版印刷版材料及び製版方法を提供することにある。
(請求項1)
飽和吸湿量の1/2到達所要時間が0分以上30分以下であるプラスチック支持体上に画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。
(請求項2)
前記プラスチック支持体の水蒸気透過係数が5×10-8以上5×10-5以下であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
(請求項3)
相対湿度15%から70%における前記プラスチック支持体の寸法変化(ΔL(%))がMD方向(縦方向)、TD方向(横方向)とも0%以上+0.05%以下であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の平版印刷版材料。
(請求項4)
前記プラスチック支持体が、シンジオタクチック−ポリスチレン、アタクチック−ポリスチレン、ポリカーボネイト、三酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド(カプトン)、ナイロン66または二酢酸セルロースである高分子原料から製膜されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の平版印刷版材料。
(請求項5)
前記プラスチック支持体が135℃以上200℃以下で0.3kg/cm2以上15kg/cm2以下の張力をかけて熱処理されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の平版印刷版材料。
(請求項6)
請求項1乃至5に記載の平版印刷版材料を画像露光した後、印刷機上で湿し水を用いて、または湿し水及び印刷インキを用いて現像することを特徴とする印刷版の製版方法。
本発明の構成により、耐刷性に優れかつ寸法安定性に優れる平版印刷版材料及び製版方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版材料は、支持体として、飽和吸湿量の1/2到達所要時間が0分以上30分以下であるプラスチックを用い、この支持体上に画像形成層を有する。
飽和吸湿量の1/2到達所要時間とは、後述する測定方法により測定された値である。
本発明に用いられるプラスチック支持体は、湿度変化前後の寸法変化がMD(縦方向)方向、TD(横方向)方向とも0%以上+0.05%以下、より好ましくは0%以上+0.04%以下、さらに好ましくは0%以上+0.03%以下である。
本発明でいう寸法変化(ΔL)とは、後述する測定方法により測定された値である。
本発明のプラスチック支持体中の水分は、使用時の環境湿度に追随し変化し、それに対応してプラスチック支持体が伸縮する。
したがって、本発明は環境湿度に追随するプラスチック支持体の水分量の変化を速やかに終了させることにより順次露光される平版印刷材料の寸法を一定に保つことができる。
プラスチック支持体の好ましい吸湿速度は、飽和吸湿量の1/2到達所要時間が0分以上30分以下、より好ましくは0分以上15分以下、さらに好ましくは0分以上5分以下である。
プラスチック支持体は、水蒸気を透過し易いほうがよく、後述する水蒸気透過係数が5×10-8以上5×10-5以下が好ましく、7×10-8以上1×10-5以下が好ましく、8×10-8以上5×10-6以下がさらに好ましい。
このようなプラスチック支持体の原料ポリマーとして下記の具体的化合物をあげることができる。
水蒸気透過係数
シンジオタクチック−ポリスチレン(s−PS) 8×10-8
アタクチック−ポリスチレン(a−PS) 9×10-8
ポリカーボネイト(PC) 1×10-7
三酢酸セルロース(CTA) 1×10-6
ポリメチルメタクリレート(PMMA) 2×10-7
ポリイミド(カプトン)(PI) 5×10-8
ナイロン66(PA) 7×10-8
二酢酸セルロース(CDA) 1×10-5
これらのポリマーの中でより好ましいのがポリカーボネイト(PC)またはシンジオタクチック−ポリスチレン(s−PS)である。
さらにs−PSは弾性率も高く好ましい。s−PSは例えば特開平3−131843号公報に記載の方法で調製できる。これらのポリマーは熔融製膜、溶液製膜いずれでも実施することができる。
s−PS、PMMA、PAは熔融製膜が好ましく、CTA、PI、CDAは溶液製膜が好ましい。
a−PS、PCは溶液製膜、熔融製膜のいずれの方法でも実施できる。熔融製膜は常法に従って実施でき、100℃〜200℃で10分以上乾燥したペレットを各ポリマーの融点〜融点+50℃の温度で熔融した後、各ポリマーのガラス転位温度(Tg)−50℃〜Tgのキャスティングドラム上に押出して製膜する。この時静電印加法等の手法でキャスティングドラムとの密着を上げることでより良好な面状を達成できる。
このようにして得たシートをそのまま用いることもできるが、さらに1軸以上延伸した延伸フィルムとするのが好ましい。延伸は各ポリマーのTg〜Tg+60℃以下で2〜5倍延伸するのが好ましい。延伸は縦、横に少なくとも1回以上実施するのが好ましく、さらに好ましいのは縦延伸後横に延伸する逐次2軸延伸である。さらにこの後、各ポリマーの融点(Tm)−60℃〜(Tm)−10℃で5秒〜100秒熱固定するのも好ましい。この時MD、TDの少なくとも1方向を0〜10%弛緩することが好ましい。
溶液製膜も常法に従い実施でき、各ポリマーを良溶媒に溶解し5〜30%の高濃度溶液(ドープ)を作る。これをベルトの上に流延した後加熱し溶剤を揮発させる。この後ベルトからポリマーを剥取った後、さらに乾燥させて製膜する。また、ドープを冷却ドラム上に流延しゲル化させた後剥取り、溶剤を揮発させる方法も用いられる。このようにして得た未延伸ベースをそのまま用いても良く、さらに熔融製膜法と同様に延伸を行っても良い。
これらの支持体の厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、75μm以上300μm以下がさらに好ましく、90μm以上200μm以下がさらに好ましい。
本発明の平版印刷版材料は上記プラスチックを支持体として平版印刷版材料を作製するが、画像形成層の塗設に先だって画像形成層とは反対側にバック層(BC層)、画像形成層側に下塗層、親水性層を付与するのが好ましい。
これらの層は直接支持体に塗布しても良く、支持体にグロー放電処理(例えば特開平8−194286)、コロナ処理(例えば特公昭48−5043号)、紫外線処理(例えば特公昭43−2603号)や火炎処理を行った後塗布することも好ましい。
重層の下塗り層を設ける場合、第1層では、例えば、塩化ビニル、ブタジエン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体、エポキシ樹脂、ゼラチン、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニルなどが用いられる。
また必要に応じて、トリアジン系、エポキシ系、メラミン系、ブロックイソシアネートを含むイソシアネート系、アジリジン系、オキサザリン系等の架橋剤、コロイダルシリカ等の無機粒子、界面活性剤、増粘剤、染料、防腐剤などを添加してもよい。また下塗第2層では主にゼラチンが用いられる。
単層の下塗り層を設ける場合、支持体を膨潤させ下塗りポリマーと界面混合させる事によって良好な接着性を得る方法が多く用いられる。この下塗りポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体などの水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースエステル、塩化ビニル含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体等のラテックスポリマー、などが用いられる。これらのうち好ましいのはゼラチンである。ゼラチンとしては当業界で一般に用いられているものはいずれも用いることができるが、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンである。
バック面の耐傷性付与、すべり性付与、カール補償、帯電防止能の付与等のためにバック層を塗設することが好ましい。
バック層は親水性コロイドをバインダーとしてもよく、疎水性ポリマーをバインダーとしてもよい。親水性ポリマーとして最も好ましいものはゼラチンである。親水性ポリマーを用いる場合、より強固な密着性を付与するために、感光層と同じ下塗を行った上にバック層を塗設することも好ましい。疎水性ポリマー層のバインダーとしてはポリメチルメタクリレート、エチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルポリマー、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ブタジエン等のゴム系ポリマーなどが用いられる。この層は1層でも2層以上でもよい。
バック層あるいは/および下塗層には必要に応じてマット剤、すべり剤、帯電調整剤、界面活性剤、架橋剤を添加してもよい。帯電調整剤として導電性の結晶性金酸化物又はその複合酸化物微粒子を添加して表面抵抗率を1012以下にすることも好ましい。
導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の微粒子としては体積抵抗率が107Ωcm以下、より好ましくは105Ωcm以下のものが望ましい。またその粒子サイズは0.01〜0.7μm、特に0.02〜0.5μmであることが望ましい。
これらの導電性の結晶性金属酸化物あるいは複合酸化物の微粒子の製造方法については特開昭56−143430号公報の明細書に詳細に記載されている。即ち、第1に金属酸化物微粒子で暁成により作製し、導電性を向上させる異種原子の存在下で熱処理する方法、第2に焼成により金属酸化物微粒子を製造するときに導電性を向上させる為の異種原子を共存させる方法、第3に焼成により金属微粒子を製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥を導入する方法等が容易である。金属原子を含む例としてはZnOに対してAl、In等、TiO2に対してはNb、Ta等、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等があげられる。異種原子の添加量は0.01〜30mol%の範囲が好ましいが0.1〜10mol%であれば特に好ましい。これらのうちSbを添加したSnO2複合金属酸化物微粒子が最も好ましい。
またハレーション防止、セーフライト安全性向上、表裏判別性向上などの目的で、染色された非感光性親水性コロイド層(以降染色層と表わす)を設けてもよい。中でも染料を固体のまま分散する方法が好ましい。このようなバック層は、1層でも多層でもよく、各層の厚みは0.02〜10μm、より好ましくは0.1〜7μmの範囲が好ましく、これらの層の全厚みは0.02〜5μmが好ましい。
さらに支持体を低張力で熱処理することが好ましい。これにより画像露光、現像前後の支持体の寸法変化をMD、TDとも−0.04%以上+0.04%以下、より好ましくは−0.03%以上+0.04%以下、さらに好ましくは−0.02%以上+0.03%以下にすることができる。このような低張力熱処理は135℃以上200℃以下、より好ましくは145℃以上180℃以下、さらに好ましくは155℃以上170℃以下で、20秒以上5分以下、より好ましくは30秒以上4分以下、さらに好ましくは40秒以上3分以下で実施するのが好ましい。さらに熱処理を行っている時の張力を0.3kg/cm2以上15kg/cm2以下、より好ましくは0.5kg/cm2以上8kg/cm2以下、さらに好ましくは0.8kg/cm2以上3kg/cm2以下で実施するのが好ましい。この熱処理はバック層及び下塗層塗設後、画像形成層塗設前の間に実施するのが最も好ましい。
このようにして得られた支持体の上に画像形成層を塗設することで本発明の平版印刷版材料が得られ、湿度変化における寸法変化ΔL(%)がMD方向、TD方向とも0%以上+0.05%以下である平版印刷版材料を作ることができる。
以下に本発明における飽和吸湿量の1/2到達時間、水蒸気透過係数、湿度変化前後の寸法変化の測定法について述べる。
(1)飽和吸湿量の1/2到達時間
5cm幅×25cm長にMD、TDにサンプルを切り出し、25℃相対湿度15%下に24時間調湿した後、20cm間隔の孔を開け、孔の間隔をピンゲージを用い測長する(この長さをLとする)。これを25℃相対湿度70%の部屋に移す。この時から30分間隔で孔の間隔を測長する。経時で寸法は伸び、一定値に収斂する。この長さをL’とする。(L+L’)/2の長さに到達するのに要する時間を内挿して求め「飽和吸湿量の1/2到達時間」とする。
(2)水蒸気透過係数
一般的に用いられる水蒸気透過係数の測定法に従い、プラスチック支持体で隔てた2つの容器を真空にし、一次側に相対湿度92%の水蒸気を導入する。フィルムを透過し二次側に出てきた水蒸気量を、25℃において真空計を用いて計測する。これを経時で測定し、縦軸に二次側水蒸気圧(cmHg)、横軸に時間(秒)をとり透過曲線を作成する。この透過曲線の直線部の勾配を用いて水蒸気透過係数(cm3(STP)・cm-1・sec-1・cmHg-1)を求める。
(3)湿度変化前後の寸法変化
5cm幅×25cm長にMD、TDにサンプルを切り出し、25℃相対湿度15%下に24時間調湿した後、20cm間隔の孔を開け、孔の間隔をピンゲージを用い測長する(この長さをL(f)とする)。これを25℃相対湿度70%下に24時間調湿した後、孔の間隔をピンゲージを用い測長する(この長さをL(d)とする)。これから下記式に従い湿度変化前後の寸法変化を求める。
湿度変化前後の寸法変化ΔL(%)=100×{L(d)−L(f)}/L(f)
ΔL(%);湿度変化前後の寸法変化
L(f);25℃相対湿度15%下に24時間放置後の寸法
L(d);25℃相対湿度70%下に24時間放置後の寸法
本発明は上記プラスチック支持体上に画像形成層を有するが、プラスチック支持体上に親水性層を設けさらにその上に画像形成層を有する態様が特に好ましく用いられる。
(親水性層)
本発明に用いられる親水性層は、印刷時印刷インキの着肉しない非画像部となりうる層であって、プラスチック支持体上に設層された層、あるいは、プラスチック支持体表面を親水化したときの表面層である。又親水性層は親水性素材を含む。親水性素材としては、下記の無機素材、有機無機素材、有機素材が挙げられる。
(無機素材)
無機素材としては、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
(有機無機素材)
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
(有機素材)
有機素材としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
本発明の親水性層は、下記のようなフィラー類を含むことが好ましい。
<多孔質シリカ多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子>
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
(親水性層のその他含有可能な素材)
また、本発明の親水性層を塗設するための塗布液には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
(画像形成層)
画像形成層は、像様の露光、加熱により画像を形成し得る層であり、下記の感熱画像形成層が好ましく用いられる。
感熱画像形成層は加熱により、画像を形成し得る層であり、熱溶融性素材または熱融着性素材を含む。加熱の方法は、熱源による方法、レーザー等の光露光により発生する熱による方法などがあるが、レーザー等の光露光により発生する熱により画像形成するものが好ましい。この場合、後述する光熱変換材を含む層を有する平版印刷版材料が好ましく用いられ、特に画像形成層またはその隣接層に光熱変換材を含む平版印刷版材料を用いた場合に本発明の効果は大きい。
本発明の画像形成層に用いられる熱溶融性素材または熱融着性素材は、微粒子の状態で含有されるのが好ましく、以下の熱溶融性微粒子および熱融着性微粒子を挙げることができる。
熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
感熱画像形成層の膜厚は0.1μm〜10μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
本発明の画像形成層等に用いられる前記の光熱変換材としては下記のような色素、顔料を挙げることができる。
色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
(画像形成層に含有可能なその他の素材)
本発明に用いられる画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
画像形成層には上述の光熱変換素材を含有させることができる。光熱変換素材は、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましい。
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
画像形成層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(保護層)
画像形成層の上に保護層を設けることもできる。
保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。
また、特開2002−19318号や特開2002−86948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。
保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(機上現像方法)
本発明の印刷装置上で湿し水または湿し水と印刷インキとを用いて現像するとは、刷機上で印刷準備の段階で、湿し水および湿し水と印刷インキとを用いて非画像部を除去することで、ありいわゆる現像工程を印刷装置上で行うことである。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2) 印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
印刷機としては、一般に公知の平版オフセット印刷機が使用される。
(平版印刷版材料の製造)
本発明に用いられる印刷版材料の画像形成層を形成するために用いられる有機溶剤としては、例えばアルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、芳香族類(トルエン、キシレン、クロルベンゼン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン系溶剤(クロロホルム、ジクロルベンゼン等)、アミド系溶剤(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)等を用いることができる。
支持体上への画像形成層の形成は、例えばエクストルージョン方式の押し出しコータにより塗布・乾燥して行うことができ、高解像度の画像を得るため画像形成層表面の硬さを上げるために、表面をカレンダー処理してもよい。
(画像露光および製版方法)
本発明の製版方法に用いられる、画像露光の露光光源としては、レーザー光源が好ましく用いられる。
使用するレーザー光源としては一般によく知られているルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー;He/Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He/Cdレーザー、N2レーザー、エキシマレーザー等の気体レーザー;InGaPレーザー、AlGaAsレーザー、GaAsPレーザー、InGaAsレーザー、InAsPレーザー、CdSnP2レーザー、GaSbレーザー等の半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等を挙げることができ、これらの中でも波長が600〜1500nmのレーザーが、光エネルギーを熱エネルギーに変換でき、感度の面で好ましく、さらに700〜1200nmのレーザーが好ましい。
本発明の製版方法では、例えばレーザー露光した後、特別な現像処理を施さずに印刷工程の段階で現像が行われる。
(湿し水)
本発明に用いられる湿し水は、一般に平版印刷版の印刷に用いられている湿し水を適用することができる。水のみでもよいし、アルコール類などの溶剤、塩類、酸、界面活性剤などの添加剤を含んでもよい。
(画像形成方法)
本発明の製版方法に用いられる露光に関し、より具体的には、赤外および/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
本発明に関しては特に(3)の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
実施例−1
(1)プラスチック支持体の作製
(1−1)シンジオタクチック−ポリスチレン(s−PS)支持体の作製
反応溶媒としてトルエン6リットルを用い、触媒としてテトラエトキシチタン5ミリモルおよびメチルアルミノキサンをアルミニウム原子として500ミリモル添加し、50℃においてモル比でスチレン48.94:p−メチルスチレン1.06とを加え、2時間重合反応を行った。反応終了後、生成物を塩酸とメタノールとの混合液で洗浄して、触媒成分を分解除去した。次いで乾燥することにより共重合体640gを得た。
この共重合体の重量平均分子量(Mw)が44万であり、数平均分子量(Mn)が24万であった。この共重合体中のp−メチルスチレン単位の含有割合は5質量%であった。また、この共重合体は13C−NMRによる分析から、145.11ppm、145.22ppm、142.09ppmに吸収が認められ、そのピーク面積から算出したスチレン単位のラセミペンタッドでのシンジオタクティシティーは72%であった。これを150℃5時間減圧下で乾燥後280℃で押し出し、50℃の冷却ドラムの上で未延伸シートを得た。これを115℃で3.3倍に縦延伸を行った後、120℃で3.5倍に横延伸を行い、さらに180℃で30秒熱固定を実施した後、横方向に3%緩和しながら220℃で熱弛緩を行った。このようにして120μmの2軸延伸s−PSフィルム(支持体−1)を得た。
(1−2)ポリカーボネイト(PC)支持体の作製
PC樹脂(帝人(株)製ユーピロンMB2210NU)を170℃5時間減圧下で乾燥後280℃で押し出し、80℃の冷却ドラムの上で未延伸シートを得た。これを155℃で3.3倍に縦延伸を行った後、160℃で3.5倍に横延伸を行った。このようにして120μmの延伸PCフィルム(支持体−2)を得た。
さらにユーピロンMB2210NUを同様に280℃で押し出し、80℃の冷却ドラムの上で120μmの未延伸PCフィルム(支持体−3)を得た。
(1−3)アタクチック−ポリスチレン(a−PS)支持体の作製
a−PS樹脂(三菱化成ポリテック(株)製ダイヤレックス)を140℃5時間減圧下で乾燥後280℃で押し出し、50℃の冷却ドラムの上で未延伸シートを得た。これを115℃で3.3倍に縦延伸を行った後、120℃で3.5倍に横延伸を行った。このようにして120μmのa−PS延伸フィルム(支持体−4)を得た。
さらにダイヤレックスを同様に280℃で押し出し、50℃の冷却ドラムの上で120μmのa−PS未延伸フィルム(支持体−5)を得た。
(1−4)ポリメチルメタクリレート(PMMA)支持体の作製
PMMA樹脂(三菱レイヨン製アクリライト−IR)を140℃5時間減圧下で乾燥後280℃で押し出し、50℃の冷却ドラムの上で未延伸シートを得た。これを115℃で3.3倍に縦延伸を行った後、120℃で3.5倍に横延伸を行った。このようにして120μmのPMMA延伸フィルム(支持体−6)を得た。
さらにダイヤレックスを同様に280℃で押し出し、50℃の冷却ドラムの上で120μmのPMMA未延伸フィルム(支持体−7)を得た。
(1−5)三酢酸セルロース(CTA)支持体の作製
特公平5−17844実施例1の方法に従って、ジクロロメタン系ドープを用い溶液製膜法にて厚み120μmのCTA未延伸フィルム(支持体−8)を得た。
(1−6)ポリエチレンテレフタレート支持体の作製
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の膜厚が300μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを延伸温度は前段延伸が95℃で1.0倍に、後段延伸は98℃で4.1倍縦延伸した。ついでテンターで120℃で6倍に横延伸した。なお、前記縦延伸の際に、縦延伸ゾーンにおけるフィルム片面側に補助加熱源として赤外ヒーターを設置し、出力を30kWにした。この後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩和し、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、40℃に急冷後8.5kg/mで巻き取り、ポリエチレンテレフタレート支持体を得た(支持体−9)。
(2)下塗、バック層の塗設
上記で得られたプラスチック支持体の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下記下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また、反対側の面に、下記下引き塗布液c乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下記下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)
《下引き塗布液a》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット材(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
《下引き塗布液c》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1(モル比)の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》;
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1(質量比)の導電性組成物 6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット材(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03部
水 93.4部
成分d−11;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20(モル比)からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20(モル比)からなる高分子活性剤
Figure 2005088258
Figure 2005088258
次いで、前記支持体の各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施した。
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒およびガス条件としてアルゴン、窒素および水素の体積比をそれぞれ90%および5%で、プラズマ処理を行った。
上記支持体を1.25m幅にスリットした。
《印刷版材料の作製》
上記下引き済み支持体の各々のA面上に、下記に示す、親水性層1用塗布液、親水性層2用塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥付き量が、2.5g/m2、0.6g/m2になるように塗布し、120℃で3分間乾燥したのちに60℃で24時間の加熱処理を施した。その後、さらに画像形成層塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥付き量が、0.6g/m2になるように塗布し、50℃で3分間乾燥したのちに、50℃で72時間のシーズニング処理を施した。また、下引き済み支持体の各々のB面上に、下記に示すバック層塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥付き量が1.5g/m2になるように塗布し、50℃で20分間乾燥して印刷版材料No.1〜No.9を作製した。
《親水性層1用塗布液の調製》
表1記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表に記載の組成で混合、濾過して親水性層1用塗布液を調製した。
Figure 2005088258
《親水性層2用塗布液の調製》
表2記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表に記載の組成で混合、濾過して親水性層2用塗布液を調製した。
Figure 2005088258
《画像形成層塗布液の調製》
表3記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表に記載の組成で混合、濾過して画像形成層用塗布液を調製した。
Figure 2005088258
《バック層塗布液》
ポリアクリル酸(商品名:ジュリマーAC−10H、日本純薬、平均分子量20万、水溶性樹脂) 16質量部
カルボジイミド(架橋剤) 2質量部
マット剤(不定形シリカ、平均粒径3.5μm) 2質量部
水 80質量部
《印刷評価》
上記によって得られた平版印刷板材料を、露光サイズに合わせて断裁した後に、印刷板材料の短辺側に露光基準用の2つの穴と印刷機の基準用に2つの切り込みを開けた。露光装置を用いて、開けた穴を露光装置のピンに取り付けながら、露光ドラムに巻き付け固定した。露光には、波長830nm、スポット経約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを200mJ/cm2、2400dpi(dpiは2.54cm当りのドット数を表す)、175線で画像を形成し、印刷版材料を作製した。
《印刷方法》
印刷装置として、小森コーポレーション製のLITHRONE26を用いて、上記印刷版材料の切り込みを印刷機のピンに差し込んだ後に、湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所)の2質量%溶液、インクとして、東洋インク社製のトーヨーハイエコーを使用して印刷を行った。
《耐刷性の評価》
露光時に、全面に50%網点画像を露光し、東洋インク社製のトーヨーハイエコー紅、上質紙を使用して、印刷紙面の網にかすれが発生する枚数を確認した。同様に95%網点画像(シャドー部)でも評価した。値が大きいほど優れている。
《見当ずれの評価》
露光時に、50μm幅で長さ2cmの十文字の細線画像を2カ所50cm離して露光し、それを4枚用意した。印刷版材料の切り込みを印刷機のピンに差し込んで、東洋インク社製のトーヨーハイエコー黄、藍、紅、墨、コート紙を使用して印刷を行い、50枚目の紙面で十文字の画像がずれていないことを確認したのち、2万枚印刷した。2万枚印刷終了時の印刷紙面での十文字の各色のズレがどのくらい発生しているかをルーペで測定した。値が少ないほど優れている。結果を表4に示す。
表4より本発明の構成を有する平版印刷版材料は、優れた耐刷性を有し、かつ印刷における寸法安定性に優れることが分かる。
Figure 2005088258

Claims (6)

  1. 飽和吸湿量の1/2到達所要時間が0分以上30分以下であるプラスチック支持体上に画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 前記プラスチック支持体の水蒸気透過係数が5×10-8以上5×10-5以下であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
  3. 相対湿度15%から70%における前記プラスチック支持体の寸法変化(ΔL(%))がMD方向(縦方向)、TD方向(横方向)とも0%以上+0.05%以下であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の平版印刷版材料。
  4. 前記プラスチック支持体が、シンジオタクチック−ポリスチレン、アタクチック−ポリスチレン、ポリカーボネイト、三酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ナイロン66または二酢酸セルロースである高分子原料から製膜されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の平版印刷版材料。
  5. 前記プラスチック支持体が135℃以上200℃以下で0.3kg/cm2以上15kg/cm2以下の張力をかけて熱処理されていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の平版印刷版材料。
  6. 請求項1乃至5に記載の平版印刷版材料を画像露光した後、印刷機上で湿し水を用いて、または湿し水及び印刷インキを用いて現像することを特徴とする印刷版の製版方法。
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