JP2007069560A - 平版印刷版の修正方法及び修正液 - Google Patents

平版印刷版の修正方法及び修正液 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、CTPシステム用プロセスレス平版印刷版材料に適用でき、不要画像部の修正を簡易にかつ確実に施すことができる平版印刷版の修正方法及びそれに用いられる修正液を提供することにある。
【解決手段】 プラスチック支持体上に、親水性層と感熱画像形成層とを、支持体からこの順に有する平版印刷版材料から製版して得られた平版印刷版の画像を修正する平版印刷版の修正方法であって、前記画像の不要画像部を、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂を含有する修正液で、修正することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平版印刷版材料を製版して平版印刷版とした後の、印刷版の不要な画像部を除去する修正方法及びそれに用いられる修正液に関し、特にCTP(Computer to Plate)システムに用いられる平版印刷版材料料を製版して平版印刷版とした後の、印刷版の不要な画像部を除去する修正方法及びそれに用いられる修正液に関する。
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像データのデジタル化に伴い画像のデジタルデータをレーザー光源で直接印刷版材料に記録するCTPシステムが普及してきている。
CTPシステムに使用される印刷版材料は、従来のPS版と同様に、アルミニウム基材を使用するタイプとプラスチックフィルムなどのフィルム基材上に印刷版としての機能層を設けたフレキシブルタイプがある。
また近年の商業印刷においては印刷物の多品種少部数化傾向が進み、このような多品種少部数の印刷物を扱う市場では特に、安価で、取り扱いが容易で、従来のPS版と同等の印刷適性を有する印刷版材料が求められており、アルミニウム基材を使用するタイプに比較して、持ち運びに便利で、ハンドリンク性に優れ、安価なフレキシブルタイプの印刷版材料が比較的多く用いられている。
一方、CTPシステムに使用される印刷版材料として、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
上記のプロセスレスタイプの印刷版材料としては、例えば特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザー露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成された印刷版材料あるいは、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する感熱画像形成層を設けた印刷版材料、特開2003−231374号公報に記載のような、光熱変換剤を含有する親水性層上に感熱画像形成層を有する印刷版材料が知られている。
これらのうち、上記感熱画像形成層を有する印刷版材料は、アブレーションによる露光時の汚染がない、比較的鮮鋭なドット形状が得られ、高精細な画像形成が行えるなどの利点を有している。
他方、印刷の分野において、従来の製版工程は、感光性平版印刷版材料(PS版)に原稿フィルムを介して露光を行い、露光された材料をアルカリ性現像剤を用いる処理等により画像形成を行うことで平版印刷版を得ていた。
そして、得られた平版印刷版には原稿フィルムの貼り込み部分にいわゆる貼り込み跡と呼ばれる、本来非画像部となるべき部分に画像部が形成されることがあり、これを修正する方法として、画像部、インクを溶解する溶媒を含む酸性溶液で不要な画像部を溶解除去して修正する方法が知られている(特許文献1参照)。
上記のようになCTP用印刷版材料においては、版上に貼り込み跡が生じることはないが、版面が物理的な擦りを受けるとその部分に汚れが生じることがあり、やはり修正、消去の作業が必要とされる。
そして、この修正方法として、不要な画像部に親水性の被覆物を付与して親水性にする方法、修正液を用いて不要な画像部や汚れ成分を溶解して除去する方法あるいは、物理的に擦過して除去する方法が挙げられる。
これらのうち不要な画像部を修正する方法としては、親水性ポリマー、無機微粒子および溶媒を含む修正液を塗布して親水性被膜を形成する方法(特許文献2参照)、シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマーを含有する修正液で修正する方法(特許文献3参照)、オルガノシリカゾルを含有し、実質的に水を含有しない有機溶剤の分散液より成る平版印刷版用修正液で修正する方法(特許文献4参照)などが知られている。
しかしながら、これらの修正方法は、確かに修正部分の画像部は一旦は消去できたように作用するが、印刷が進むにつれて親水性被膜が徐々に剥離してしまい、修正の確実性の面で不充分であった。
また、紙基材やポリエステルフィルム基材上に親水性層を形成し、その上に感熱画像形成層を有する印刷版材料の場合においては単に、従来の画像部を溶解除去して修正する方法を適用しても、熱により親水性層に固着し画像部となった画像形成層を除去するのは困難であり、また不要画像部の修正が不充分な場合があった。
特開平7−225471号公報 特開2001−350274号公報 特開2003−118261号公報 特開2003−287908号公報
本発明の目的は、CTPシステム用プロセスレス平版印刷版材料に適用でき、不要画像部の修正を簡易にかつ確実に施すことができる平版印刷版の修正方法及びそれに用いられる修正液を提供することにある。
本発明の目的は、下記の構成により達成できる。
(1)プラスチック支持体上に、親水性層と感熱画像形成層とを、支持体からこの順に有する平版印刷版材料から製版して得られた平版印刷版の画像を修正する平版印刷版の修正方法であって、前記画像の不要画像部を、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂を含有する修正液で、修正することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
(2)前記修正液がフッ素原子を有する溶剤を含有することを特徴とする前記(1)項に記載の平版印刷版の修正方法。
(3)前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする前記(1)または(2)項に記載の平版印刷版の修正方法。
(4)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の平版印刷版の修正方法に用いられることを特徴とする修正液。
本発明の上記構成により、CTPシステム用プロセスレス平版印刷版材料に適用でき、不要画像部の修正を簡易にかつ確実に施すことができる平版印刷版の修正方法及びそれに用いられる修正液が提供できる。
本発明は、プラスチック支持体上に、親水性層と感熱画像形成層とを、支持体からこの順に有する平版印刷版材料から製版して得られた平版印刷版の画像を修正する平版印刷版の修正方法であって、前記画像の不要画像部を、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂を含有する修正液で、修正することを特徴とする。
本発明では、感熱画像形成層を有する印刷版材料から作製された平版印刷版の不要な画像部を修正する際、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂を含有する修正液を用いることにより、平版印刷版の不要な画像部の修正を、簡易にかつ確実に施すことができる。
(修正液)
本発明に係る修正液は、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂及び溶剤を含有する。
<水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂>
本発明に係る、水に対する接触角が100°以上であるとは、フルオロカーボン樹脂のみを溶解して含む塗布液を基材上に塗布、乾燥し、塗布した面の25℃の水に対する接触角が100°以上であることをいう。接触角の測定は、接触角測定器を用い行うことができ、接触角は、25℃の水5μLを用いて測定したときの値をいう。
本発明に係るフルオロカーボン樹脂とは、フルオロアルキル基を有する数平均分子量10000以上の高分子化合物をいう。
フルオロカーボン樹脂としては、フルオロアルキル基を有する高分子化合物であれば特に限定されないが、分子内に水酸基、カルボキシル基、アセチル基を有するフルオロカーボン樹脂が汚れ発生防止の面から好ましく用いられる。
本発明に係るフルオロカーボン樹脂の修正液に対する含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましく、さらに2質量%〜4質量%が好ましい。
修正液に用いられる溶剤としては、例えばパーフロロポリエーテル、ハイドロフロロエーテル、ハイドロフロロポリエーテルなどが挙げられる。
本発明に係る液には、粘度を調整するための粘度調節剤、印刷インキを溶解するインク溶剤などを含有させることができる。
粘度調節剤としては、例えば珪酸微粉末、シリカ粒子、ゼオライト等の無機粒子、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・Na塩等の改質セルロース、アラビアガム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の高分子化合物が挙げられる。
インク溶剤は、修正時画像部上のインクを溶解または膨潤し得る溶媒であり、例えば、沸点120℃〜300℃附近の石油溜分、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ヘキサン、テレピン油、ミネラルスピリット、イソパラフィン系炭化水素等の石油系の溶剤、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、メシテルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等の有機溶媒が挙げられる。
本発明に係る修正液は、画像形成層を溶解または膨潤する機能を有する溶剤を含んでもよい。この溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、上記のケトン類、アルコール類、エステル類等が挙げられ、また上記のインク溶剤がこの機能を有していてもよい。
また、本発明に係る修正液はさらに界面活性剤も含有できる。界面活性剤としては公知のものを利用でき、例えば、長脂肪酸塩、長鎖スルホン酸塩、長鎖燐酸塩などの長鎖脂肪族系、アセチレングリコール類、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤が利用できる。
(修正)
本発明に係る修正は、例えば、修正液を不要な画像部の上に筆、綿棒などで修正液を塗布することにより行うことができる。
(親水性層)
本発明に係る親水性層は、平版印刷版材料を製版して平版印刷版として印刷に用いる際に、インクに対する親和性が低く、且つ、水に対する親和性が高く水を保持する層、即ち非画像部となり得る層である。
本発明に係る親水性層は、親水性素材み、親水性素材としては、粒子状であるもの(親水性粒子)が好ましく用いられる。
(親水性粒子)
親水性粒子は、親水性層を、印刷時水を保持する多孔質構造を有する層、となし得る粒子である。
多孔質構造を形成するためには、下記のような金属酸化物粒子、多孔性金属酸化物粒子などを用いることができる。
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmの範囲が好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物粒子を併用することもできる。
又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
(コロイダルシリカ)
本発明の親水性粒子としては、上記の中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、一次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが、真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。
ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業社製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられ、製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらに各々対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、親水性層マトリクスの多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、又、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
又、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、更に好ましくは、3〜15nmのものである。
コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95の範囲が好ましく、更に好ましくは、70/30〜20/80の範囲がより好ましく、60/40〜30/70の範囲が更に好ましい。
本発明において、親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。
(多孔質金属酸化物粒子)
多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子又は、ゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
(多孔質シリカ多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子)
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は、乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
(細孔容積の測定方法)
ここで、上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により、充填されていると仮定して相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
(ゼオライト粒子)
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3nm〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
又、親水性粒子として、層状鉱物粒子を用いることもできる。
層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性のものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。又、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
又、本発明に係る親水性粒子として、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
本発明に係る親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
本発明のより好ましい態様としては、親水性層中に含有される親水性有機樹脂は水溶性であり、かつ、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが挙げられる。
親水性層に含有される水溶性素材としては、糖類が好ましい。
糖類としては、オリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
(光熱変換剤)
本発明に係る親水性層は光熱変換剤を含有することが好ましい。
光熱変換剤は、画像露光の光を吸収して熱を発生し、この熱により感熱画像形成層が画像を形成し得るものである。
光熱変換剤としては、例えば、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物などの顔料、色素などが挙げられるが、特に金属酸化物が好ましく用いられる。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
可視光域で黒色を呈している素材しては、黒色酸化鉄(Fe34)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物が挙げられる。
これらは特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号の各公報等に開示されている方法により製造することができる。複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
但し、添加量に対する光熱変換能は粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。
分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。
また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属粒子(Ag、Au等)が好ましい。
これらの光熱変換剤の添加量としては、これを含む親水性層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
(感熱画像形成層)
本発明に係る感熱画像形成層は、画像露光による親水性層の発熱あるいは、感熱画像形成層自体の発熱、により画像を形成し得る層であり、露光部の画像形成層が熱によって現像で除去されにくくなる方向へと変化するネガ型の画像形成層が好ましい。
また、本発明に係る感熱画像形成層は、機上現像可能な感熱画像形成層であることが好ましく、この場合に本発明の効果が大きい。
機上現像可能な感熱画像形成層とは、画像露光後特に現像工程を経ることなく、印刷工程に供した時点で、即ち印刷準備段階で湿し水、または湿し水と印刷インクにより、印刷時に非画像部となる部分の画像形成層が除去されて、印刷可能な画像が形成され得る感熱画像形成層のことをいう。
上記の露光部の画像形成層が熱によって現像で除去されにくくなる方向へと変化する画像形成層としては、例えば、未露光部は現像で除去される親水性の層であり、熱により親水性の層から疎水性の層へと変化させ得る疎水化前駆体、と水溶性もしくは水分散性素材とを含有する画像形成層を挙げることができる。
疎水化前駆体としては、例えば熱溶融性粒子または熱融着性粒子等の熱可塑性疎水性粒子、熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマー、疎水性物質を内包するマイクロカプセル、特定のブロック化イソシアネート化合物などが挙げられる。これらの内でも熱溶融性粒子または熱融着性粒子等の熱可塑性疎水性粒子を含有する画像形成層が好ましく用いられる。
熱溶融性粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行なうことができる。
又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は現像性、解像度の面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒子径は機上現像性、感度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
感熱画像形成層は水溶性素材を含んでもよく水溶性素材としては下記のような素材を挙げることができる。
[水溶性高分子化合物]
水溶性素材としては、pH4からpH10の水溶液に溶解する公知の水溶性高分子化合物が挙げられる。
具体的には、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルラン、キトサン、またはこれらの誘導体などが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜100万であることが好ましく、5000〜50万であることがより好ましい。
これらの中では、ポリアクリル酸Naといったポリアクリル酸塩が最も好ましい。ポリアクリル酸塩は親水性層の親水化処理剤としての効果が高く、感熱画像形成層が機上現像されて現れる親水性層の表面の親水性を向上させることができる。
[オリゴ糖]
水溶性素材としては、上述の水溶性高分子化合物以外にオリゴ糖を含有させることができる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
(プラスチック支持体)
本発明に係る印刷版材料の支持体はプラスチック支持体であり、特に好ましくは厚み分布が10%以下であるポリエステルフィルム支持体を用いることが好ましい。以下に、ポリエステルフィルム支持体について説明する。
プラスチック支持体として用いられるポリエステルフィルム支持体は厚み分布が10%以下のものが好ましく、さらに8%以下が好ましく、特に6%以下が好ましい。なお、0%が最も好ましい。
厚み分布とは、一辺が50cmの正方形に切り出した支持体を縦、横それぞれ10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この16点の厚みを測定し平均値と最大値、最小値を求め、この最大値と最小値の差を平均値で割り、百分率で表した値である。
ポリエステルフィルム支持体に使用されるポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以降、略してPETという場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと略すことがある)等のポリエステルである。好ましくはPET、またはPETからなる部分を主要な構成成分として、ポリエステル全体に占める構成要素の質量比率が50質量%以上を有する共重合体またはブレンドされたポリエステルである。
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、またPENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを構成成分として重合されたものである。PETまたはPENを構成するジカルボン酸またはジオールを他の適当な1種、または2種以上の第3成分を混合して重合したものでもよく、適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物で、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものを挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、グリコールの例としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。第3成分としては多官能性カルボン酸や多価アルコールも混合することができるが、これらは全ポリエステル構成成分に対して0.001〜5質量%程度混合することができる。
ポリエステルの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。また、固有粘度の異なるものを混合して使用してもよい。
ポリエステルの重合方法は特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの重合方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させ、ジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にジエステル化し、更に一方のジオールを減圧下加熱して余剰のジオールを留去することにより重合させる直接エステル化法、またジカルボン酸成分としてジアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)を用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させてアルキルアルコール(例えば、メタノール)を留出させてジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にエステル化し、更に余剰のジオール成分を減圧下で加熱して留去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。
触媒としては、通常のポリエステルの合成に使用するエステル交換触媒、重合反応触媒及び耐熱安定剤を用いることができる。例えば、エステル交換触媒としてはCa(OAc)2・H2O、Zn(OAc)2・2H2O、Mn(OAc)2・4H2O、Mg(OAc)2・4H2O等を挙げることができ、重合反応触媒としてはSb23、GeO2を挙げることができる。また、耐熱安定剤としてはリン酸、亜リン酸、PO(OH)(CH33、PO(OC653、P(OC653等を挙げることができる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
ポリエステルフィルム支持体の膜厚は、印刷適正、取り扱い性の面から120〜300μmの範囲であることが好ましい。
即ち本発明においては、プラスチック支持体がポリエステルフィルムを含有し、このポリエステルフィルムの膜厚が120〜300μmで厚み分布が0〜10%である場合が特に好ましい態様である。厚み分布の測定は、前記版下シート材料の場合と同様に行うことができる。
上記支持体の膜厚とは、一辺が50cmの正方形に切り出した支持体に縦、横それぞれ10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この16点の交点における各々の厚さを測定し、16点の厚さの平均値をいう。
(支持体の作製方法)
支持体の膜厚及び厚み分布を上記の範囲に調整するため、下記に記載のような製膜処理が施されることが好ましい。
支持体の製膜手段としては、熱可塑性樹脂を融点(Tm)〜Tm+50℃の間で熔融後、焼結フィルタ等で濾過された後、T−ダイから押出し、ガラス転位温度(Tg)−50℃〜Tgに温調したキャスティングドラム上で未延伸シートを形成する。
このとき、厚み分布を上記の範囲にするには、静電印加法等を用いるのが好ましい。未延伸シートをTg〜Tg+50℃の間で2〜4倍に縦延伸する。また、厚み分布を上記の範囲に調整するもう一つの方法としては、縦延伸を多段延伸するのが好ましい。このとき、前段延伸より後段延伸の温度を1〜30℃の範囲で高く調整することが好ましく、更に好ましくは2〜15℃の範囲で高く調整しながら延伸するのが好ましい。
前段延伸の倍率は後段延伸の倍率の0.25〜0.7倍が好ましく、更に好ましくは0.3〜0.5倍である。この後、Tg−30℃〜Tgの温度範囲で、5〜60秒、より好ましくは10〜40秒間保持した後、横方向にTg〜Tg+50℃の間で2.5倍〜5倍に延伸することが好ましい。
この後、(Tm−50℃)〜(Tm−5℃)で5〜120秒、チャックで把持した状態で熱固定を行なう。このとき、幅方向に0〜10%チャック間隔を狭めること(熱緩和)も好ましい。これを冷却後、端部に10〜100μmのナーリングを付けた(ナーリング高さを設けるともいう)後、巻取り、多軸延伸フィルムを得る等の方法が好ましい。
(支持体の熱処理)
印刷時の寸法を安定化させカラー印刷時の色ズレを防ぐために、延伸及び熱固定後のポリエステルフィルムの熱処理をすることが好ましい。熱処理は熱固定終了後冷却して巻き取った後に、別工程で巻きほぐしてから、以下のような手段で達成するのがよい。熱処理する方法としては、テンターのようなフィルムの両端をピンやクリップで把持する搬送方法、複数のロール群によるロール搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、加熱した複数のロールと接触させる方法などを単独または複数組み合わせて熱処理する方法、またフィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を単独あるいは複数組み合わせて用いることが好ましい。
熱処理の張力調整は、巻き取りロール及び/または送り出しロールのトルクを調整すること、及び/または工程内にダンサーロールを設置し、これに加える荷重を調整することで達成できる。熱処理中及び/または熱処理後の冷却時に張力を変化させる場合、これらの工程前後及び/または工程内にダンサーロールを設置し、それらの荷重を調整することで所望の張力状態を設定してもよい。また、振動的に搬送張力を変化させるには、熱処理ロール間スパンを小さくすることにより有効に行うことができる。
熱処理は熱収縮の進行を妨げずに、その後の熱処理(熱現像)時の寸法変化を小さくする上で、出来るだけ搬送張力を低くし、熱処理時間を長くすることが望ましい。処理温度としてはポリエステルフィルムのTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましく、その温度範囲で、搬送張力としては5Pa〜1MPaが好ましく、より好ましくは5Pa〜500kPa、更に好ましくは5Pa〜200kPaであり、処理時間としては30秒〜30分が好ましく、より好ましくは30秒〜15分である。上記の温度範囲、搬送張力範囲及び処理時間にすることにより、熱処理時に支持体の熱収縮の部分的な差により支持体の平面性が劣化することもなく、搬送ロールとの摩擦等により細かいキズ等の発生も押さえることができる。
熱処理は所望の寸法変化率を得るために、少なくとも1回は行うことが好ましく、必要に応じて2回以上実施することも可能である。
熱処理したポリエステルフィルムをTg付近の温度から常温まで冷却してから巻き取り、この時の冷却による平面性の劣化を防ぐために、Tgを跨いで常温まで下げるまでに、少なくとも−5℃/秒以上の速度で冷却するのが好ましい。
熱処理は上述の下引層を塗設後に行うのがよい。例えば、押し出し〜熱固定〜冷却の間でインラインで下引層を塗設し、一旦巻き取ってから、別工程で熱処理するのが好ましい。また、熱固定後一旦巻き取った後、別工程で下引を塗布・乾燥した後に下引き済みポリエステルフィルム支持体を連続して平坦に保持したままの状態で熱処理を行ってもよい。更には、バック層、導電層、易滑性層、下引き層などの各種の機能性層を塗布・乾燥した後に上記と同様な熱処理を行ってもよい。
(支持体の含水率)
露光装置などにおける搬送を良好に行うためには、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
支持体の含水率とは、下記式で表されるD’である。
D’(質量%)=(w’/W’)×100
式中、W’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、w’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の水分含量を表す。
支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることが更に好ましく、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。
支持体の含水率を0.5質量%以下に制御する手段としては、(1)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する直前に支持体を100℃以上で熱処理する、(2)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する工程の相対湿度を制御する、(3)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する前に支持体を100℃以上で熱処理し、防湿シートでカバーして保管し、開封後直ちに塗布する、等が挙げられる。これらを2以上組み合わせて行ってもよい。
(支持体への易接着処理、下引き層塗布)
プラスチック支持体は、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
下引き層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等を支持体上に設けること等が好ましい。
また、本発明に係るプラスチック支持体としては、ポリエステルフィルム支持体が好ましく用いられるが、ポリエステルフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせてもよく、また塗布層を形成した後に貼り合わせてもよく、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせてもよい。
(裏塗り層)
本発明においては、支持体の感熱画像形成層を有する面とは反対側の面に、少なくとも1層の裏塗り層を有することが好ましい。
裏塗り層は、反射防止機能を有する層であっても、導電性化合物を含む導電性層であってもよく、また導電性層の上に、更に1層以上の他の機能層を設けても良い。
本発明における好ましい態様としては、導電性層及び1層以上の保護層を有することである。
裏塗り層には、親水性結合剤あるいは疎水性結合剤が用いられる。
親水性結合剤としては、親水性のものなら特に限定はされないが、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。又、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩;アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
疎水性結合剤は、結合剤として疎水性のものなら特に限定されないが、例えばα,β−エチレン性不飽和化合物に由来するポリマー、例えばポリ塩化ビニル、後−塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル及び部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、出発材料としてポリビニルアルコールから作られ、繰り返しビニルアルコール単位の一部のみがアルデヒドと反応していることができるポリビニルアセタール、好ましくはポリビニルブチラール、アクリロニトリルとアクリルアミドのコポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン及びポリエチレン又はそれらの混合物等が挙げられる。
又疎水性結合剤は仕上がり印刷版材料表面が疎水性であれば、特開2002−258469号公報の段落0033〜0038に記載されている水分散系樹脂(ポリマーラテックス)から得られたものでもよい。
また印刷機の版胴への取り付けやすさ、および、印刷中における印刷版の位置ずれによるカラー印刷での色ずれを防止するために、裏塗り層の構成層のうちの最表面層に平均粒径1μm以上20μm未満のマット剤を含有させることが好ましい。
好ましく用いられるマット剤としては新モース硬度5以上の無機微粒子や有機マット剤があげられる。
新モース硬度5以上の無機微粒子としては、例えば金属酸化物粒子(シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化クロム等)や金属炭化物粒子(炭化珪素等)、窒化ホウ素粒子、ダイアモンド粒子等が挙げられる。
有機マット剤としては、例えばUSP2,322,037号明細書等に記載の澱粉、BEP625,451号やGBP981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、CHP330,158号明細書等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、USP3,079,257号等明細書に記載のポリアクリロニトリル、USP3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートがあげられる。
これらマット剤の添加量は1m2あたり0.1g以上10g未満であることが好ましい。
裏塗り層の表面粗さは、マット剤の粒径、添加量および結合剤の量により、調整することができるが、Ra値で、0.1μm以上2μm未満であることが印刷適性の面から好ましい。
さらに、レーザー記録装置あるいはプロセスレス印刷機には、装置内部において印刷版の搬送を制御するためのセンサーを有しており、これらの制御を滞りなく行うために、本発明において、該構成層には、色素および顔料を含有させることが好ましい。色素及び顔料としては、前述の光熱変換素材に用いられる赤外吸収色素及び顔料が好ましく用いられる。また、更に、該構成層には公知の界面活性剤を含有させることができる。
(微粒子)
また、印刷版材料の支持体中にはハンドリング性向上のため0.01〜10μmの微粒子を1〜1000ppm添加することが好ましい。
ここで、微粒子としては、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等を用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号公報等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートの様な有機微粒子を用いることができる。微粒子の形状は、定形、不定形どちらでもよい。
(製版)
平版印刷版材料から製版して平版印刷版を作製するには、前述のように画像露光及び現像処理が行われる。
画像露光の光源としては、例えば、レーザー、発光ダイオード、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
本発明においては、平版印刷版材料をレーザー光を用いて画像を形成するのが好ましい。その中でも、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。
(現像処理)
上記のような親水性層、感熱画像形成層を有する平版印刷版材料は画像露光後、水による現像処理、あるいは印刷機上で行われる、湿し水及びまたは印刷インクによる現像処理により印刷用の画像が形成される。
本発明においては、平版印刷版が、平版印刷版材料を画像露光後、印刷機上で湿し水及び印刷インクにより現像された平版印刷版であることが好ましい態様である。
即ち、平版印刷版材料をレーザー光により画像露光をした後、平版印刷機上で湿し水と印刷インキにより現像を行うことにより、画像形成層の非非画像部を除去することで、平版印刷版が得られる。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2) 印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中「部」は特に断りのないかぎり「質量部」を表す。
(支持体の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66dl/g(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。次いで、テンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。
この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後47.1N/mで巻き取った。このようにして厚さ190μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は79℃であった。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。なお、得られた支持体の厚み分布は3%であった。
《下引き済み支持体の作製》
上記で得られた支持体のフィルムの両面に、8W/m2/minのコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記表1の下引き塗布液aをWet膜厚10μmになるように塗設後に180℃、4分間乾燥させた。
ついでその上にコロナ放電処理(8W/m2/min)を行いながら下記表2の下引き塗布液bをWet膜厚11μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた。下引きサンプルを得た(下引き面A)。また反対側の面に下記表3の下引き塗布液cをWet膜厚8μmになるように塗設後180℃、4分間乾燥させ、ついでその上にコロナ放電処理(8W/m2/min)を行いながら下記表4の下引き塗布液dをWet膜厚5μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた。(下引き面B)。
Figure 2007069560
Figure 2007069560
Figure 2007069560
Figure 2007069560
Figure 2007069560
表5の組成をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して裏塗り層塗布液を調製した。
Figure 2007069560
《裏塗り層の塗布》
裏塗り層塗布液を上記支持体下引き面B側に、8W/m2/minのコロナ放電処理を施しにワイヤーバー#6を用いて下引き済みサンプルに塗布し15mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。裏塗り層の付量は2.0g/m2であった。
表6に記載の組成を有する混合物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して下層親水性層塗布液を調製した。
Figure 2007069560
表7に記載の組成を有する混合物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して上層親水性層塗布液を作製した。
Figure 2007069560
《下層、上層親水性層の塗布》
下層親水性層塗布液を上記裏塗り層を塗布済みの支持体の裏面(下引き塗布面A)にワイヤーバー#5を用いて塗布し15mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。
引き続き上層親水層塗布液をワイヤーバー#3を用いて塗布し30mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。下層、親水性層それぞれの付量は3.0g/m2、0.55g/m2であった。塗布後のサンプルは60℃で1日間のエイジングを行なった。
《画像形成層塗布液の調液》
下記表8の組成の画像層を上記で作製した上層親水性層の上にワイヤーバー#4を用いて塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ、画像形成層を形成した。画像形成層の付量は0.5g/m2であった。塗布後のサンプルは50℃で2日間のエイジングを行なった。
Figure 2007069560
上記平版印刷版材料を670mm幅に断裁し、外径76mmの紙コアに30m巻回し、ロール状平版印刷版材料を得た。
(評価方法)
上記で得られた平版印刷版材料に、印刷作業で発生すると考えられるキズの代用として、爪で平版印刷版材料を擦過した。下記印刷条件で、50枚印刷後、爪擦過部の印刷汚れが出現。それを不要画像部とした。
印刷装置:小森コーポレーション(株)製リスロン26Pを用い印刷した。
印刷用紙はOKトップコート、湿し水はアストロマーク3(日研化学研究所社製)、2質量%、インクは大日本インキ化学工業社製ValuesGで印刷評価を行った。
尚、印刷開始のシークエンスはPS版の印刷シークエンスで行なったところ印刷用画像が得られ、印刷機上現像可能な平版印刷版材料であった。
表9に示す修正液を、綿棒先端にしみこませ、上記不要画像部上に塗布し印刷を再開し、再開後刷り出し30枚目の印刷物を目視にて観察し、下記評価ランクで評価した。結果を表9に示す。
(印刷物の評価ランク)
○:まったく汚れ無し
△:かすかに汚れている
×:明らかに汚れている
表9から本発明の、平版印刷版の修正方法は、CTPシステム用プロセスレス平版印刷版材料に適用でき、不要画像部の修正を簡易にかつ確実に施すことができることが分かる。
Figure 2007069560

Claims (4)

  1. プラスチック支持体上に、親水性層と感熱画像形成層とを、支持体からこの順に有する平版印刷版材料から製版して得られた平版印刷版の画像を修正する平版印刷版の修正方法であって、前記画像の不要画像部を、水に対する接触角が100°以上であるフルオロカーボン樹脂を含有する修正液で、修正することを特徴とする平版印刷版の修正方法。
  2. 前記修正液がフッ素原子を有する溶剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の修正方法。
  3. 前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版の修正方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版の修正方法に用いられることを特徴とする修正液。
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