JP2005246833A - 印刷版材料及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、機上現像性および耐刷性に優れた印刷版材料及び印刷方法を提供することにある。
【解決手段】 プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プラスチックを支持体とする平版印刷版材料及びそれを用いた印刷方法に関する。
印刷版の支持体は従来、アルミニウムのような金属版を用いていたが、最近、ハンドリングや印刷版の持ち運びに便利なように、例えば特開平5−257287号公報、特開2000−258899号公報、特開2002−79773号公報等に開示されるようなポリエステルフィルムなどの支持体を用いた印刷版の技術が知られるようになった。
そして、プラスチック支持体を用いた印刷版を使用して従来の印刷機に取り付ける際、見当調製のために印刷版を動かすプレートコッキングがやりにくいという問題があり、これを改良するため、例えば銀塩拡散転写方式を用いた印刷版で裏面層の粗さを規定したもの(特許文献1参照)、裏面層に滑剤を含むもの(特許文献2参照)、裏面層にシリカ粒子を含むもの(特許文献3参照)等が知られている。
他方、印刷用の画像形成方法として、環境適性等の観点より画像データ書き込み(画像様露光)後の印刷版を直接オフセット印刷機で印刷することにより湿し水で非画像部の画像形成層のみ膨潤、溶解して印刷初期の印刷紙(損紙)上に転写除去する所謂印刷機上で現像を行う方法が知られている(特許文献4及び5参照。)。
例えば、この方式に用いられるものとして、印刷時の汚れを防止する目的で特定のコロイダルシリカを含有する親水性層を有する印刷版材料が知られている(特許文献6参照)。
これらの機上現像可能な印刷版材料は、鮮鋭なドット形状、高精細な画像が得られ、又露光後の現像プロセスを必要とせず、環境適性にも優れている。
これらのうちでも特にプラスチックを支持体とするものはその特性を生かして、長尺の印刷版材料をロール状で製版現場に供給して、必要な大きさに応じ、断裁して使用することができる等の利点を有している。
しかしながら、これらの印刷版材料は、特にロール状で供給された印刷版材料において、印刷の刷り出し時に多くの印刷紙を要し印刷機上での現像性が充分でない場合がある、耐刷性が不充分であるといった問題があった。
特開平11−105446号公報
特開2002−347365号公報
特開平11−91256号公報
特開平9−123387号公報
特開平9−123388号公報
特開2001−138652号公報
本発明の目的は、機上現像性および耐刷性に優れた印刷版材料及び印刷方法を提供することにある。
本発明の目的は、下記の構成により達成される。
(請求項1)
プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることを特徴とする印刷版材料。
プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
前記マット剤が有機樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
前記マット剤が有機樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
(請求項3)
前記親水性層または画像形成機能層に光熱変換材を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
前記親水性層または画像形成機能層に光熱変換材を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
(請求項4)
前記印刷版材料の膜厚が150μm〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
前記印刷版材料の膜厚が150μm〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
(請求項5)
前記画像形成機能層が熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷版材料。
前記画像形成機能層が熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷版材料。
(請求項6)
前記親水性層が2層からなる親水性層であることを特徴とする請求項1乃至5記載の印刷版材料。
前記親水性層が2層からなる親水性層であることを特徴とする請求項1乃至5記載の印刷版材料。
(請求項7)
前記画像形成機能層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の印刷版材料。
前記画像形成機能層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の印刷版材料。
(請求項8)
請求項7に記載の印刷版材料をレーザー光により画像露光した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
請求項7に記載の印刷版材料をレーザー光により画像露光した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
本発明の構成により、印刷刷り出し時の損紙が低減され機上現像性に優れ、かつ耐刷性に優れた印刷版材料及び印刷方法が提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の特徴は、プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることである。
本発明において、ロール状に巻回されているとは、シート状の印刷版材料が、ロール状に巻かれており、画像形成機能層側の表面と裏塗り層側の表面が接触している状態をいう。ロール状に巻回するには、長尺の印刷版材料を特に心材を用いずに巻き取ってもよいが心材となるコアに巻き付けてロール状とすることが好ましい。
本発明の印刷版材料は、画像形成機能層を有し、且つ支持体と該画像形成機能層の間に少なくとも1層の親水性層を有する構成をとる。ここで本発明の支持体と画像形成機能層の間に設けられる親水性層について説明する。
(親水性層)
親水性層は、本発明の印刷版材料を印刷版として用いる際に、インクに対する親和性が低く、且つ水に対する親和性の高い層であり、印刷時の非画像部となり得る層である。
親水性層は、本発明の印刷版材料を印刷版として用いる際に、インクに対する親和性が低く、且つ水に対する親和性の高い層であり、印刷時の非画像部となり得る層である。
本発明の印刷版材料では、支持体上に設けられた親水性層の少なくとも1層が、多孔質構造を有することが好ましい。前記多孔質構造を有する親水性層を形成するためには、下記に記載の親水性マトリックスを形成する素材が好ましく用いられる。
親水性マトリックスを形成する素材としては、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物の形態としては、金属酸化物微粒子であることが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよく、平均粒径としては3〜100nmの範囲が好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。また、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
〔コロイダルシリカ〕
中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましい。
中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、一次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち、真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが、真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。
ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業社製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられ、製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらに各々対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、親水性層マトリクスの多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
また、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、更に好ましくは、3〜15nmのものである。
前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度を更に向上させることが可能となり、特に好ましい。平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95の範囲が好ましく、更に好ましくは70/30〜20/80の範囲がより好ましく、60/40〜30/70の範囲が更に好ましい。
〔多孔質金属酸化物粒子〕
本発明において、親水性層マトリックスの多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子またはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
本発明において、親水性層マトリックスの多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子またはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
〔多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子〕
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。また、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
〔細孔容積の測定方法〕
ここで、上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により、充填されていると仮定して相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
ここで、上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により、充填されていると仮定して相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
〔ゼオライト粒子〕
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
また、親水層を構成する親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。また、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性のものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
また、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダーとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。また、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
親水性層に用いられる上記の多孔質化するための素材は、概ね親水性層に対して、0.01質量%〜15質量%の範囲で含有されるのが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲がさらに好ましい。
親水層を構成する親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
本発明に係る親水性層は、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性化合物を含み、親水性マトリックス構造により多孔質化されていることが特に好ましい。
ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、または本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、本発明では水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
(表面粗さ)
本発明に係る親水性層の表面粗さRzは、4μm〜20μmであることが好ましく、特に5μm〜15μmが好ましい。
本発明に係る親水性層の表面粗さRzは、4μm〜20μmであることが好ましく、特に5μm〜15μmが好ましい。
表面粗さRzとは、JISのRz(最大高さ)に相当する十点平均面粗さのことをいい、粗さ曲面から基準面積分だけ抜きとった部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算したものである。
具体的には、例えば、測定表面にAl蒸着を施し、測定には小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元荒さ計(ET−30HK)を用いて測定できる。
親水性層の表面とは、印刷時非画像部となる表面であり、画像形成機能層を設ける前の印刷版材料の表面をいう。親水性層の表面の粗さは、画像形成機能層を設ける前に測定することもできるし、画像形成層を設けた後、印刷に用いられる湿し水で画像形成層を除去して親水性層を露出させ、その表面の粗さを測定することでも測定できる。
親水性層の表面の本発明の粗さは、上記の多孔質構造を得るための粒子状素材の粒径、含有量、親水性樹脂の含有量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等をコントロールすることにより得られる。
粒子状素材の粒径としては、0.2μm〜15μmのものを用いるのが好ましく、さらに0.2μm〜8μmのものが好ましい態様である。
本発明に係る親水性層は2層からなることが好ましく、この場合支持体に近い層に親水性層全体の膜厚よりも大きい粒径の粒子状素材を含有させ、設層することが好ましい。
この設層は、親水性層用の塗布液を用いて塗布、乾燥する工程を用い親水性層を形成することによりできる。
上記2層として上下層を層を設ける場合には、下層に用いる素材としては、上記親水性層の記載と同様の素材を用いることができる。ただし、下層は多孔質であることの利点が少なく、また、より無孔質である方が塗膜強度が向上するといった理由から、親水性マトリクスの多孔質化材の含有量は上層よりも少ないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。また粒径が1μm以上の粒子のを添加する場合、添加量としては、下層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
下層全体としても親水性層と同様に、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明において、親水性マトリクス構造部に添加される水溶性樹脂は、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが好ましい。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷適性を劣化させる懸念があるためである。また、更にカチオン性樹脂を含有してもよく、カチオン性樹脂としては、例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は、微粒子状の形態で添加してもよく、例えば、特開平6−161101号公報に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
また、本発明に係る親水性層を塗設する為に用いられる塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができ、Si系またはF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は、親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、親水性層にはリン酸塩を含むことができる。本発明では、親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
また、後述する光熱変換材を含有することもできる。
(画像形成機能層)
本発明の印刷版材料は、プラスチック支持体上に露光後または露光現像処理後に印刷可能な画像を形成可能な層を有するものである。好ましくは、特開平4−261539号公報に記載されているような銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版、またはサーマルレーザー記録またはサーマルヘッド記録される特表平8−507727号公報や特開平6−186750号公報に記載のようなアブレーションタイプと特開平9−123387号公報に記載のような熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの印刷版材料である。
本発明の印刷版材料は、プラスチック支持体上に露光後または露光現像処理後に印刷可能な画像を形成可能な層を有するものである。好ましくは、特開平4−261539号公報に記載されているような銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版、またはサーマルレーザー記録またはサーマルヘッド記録される特表平8−507727号公報や特開平6−186750号公報に記載のようなアブレーションタイプと特開平9−123387号公報に記載のような熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの印刷版材料である。
その中でも特別な薬剤による現像液処理が不要な、いわゆるプロセスレスCTP印刷版である、アブレーションタイプ、熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの印刷版材料が、地球環境への負荷が低減されるために好ましい。
更に好ましくはプラスチック支持体の上に熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有する画像形成機能層を有する印刷版材料が好ましく用いられる。
〔熱溶融性微粒子〕
本発明に用いることができる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上、120℃以下、融点60℃以上、150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上、100℃以下、融点60℃以上、120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が150℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
本発明に用いることができる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上、120℃以下、融点60℃以上、150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上、100℃以下、融点60℃以上、120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が150℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800〜10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるために、これらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミドまたはこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。また、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。また、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
また、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な構造を有する親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中での熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
〔熱融着性微粒子〕
本発明に用いることができるる熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
本発明に用いることができるる熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法または気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水または水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。
また、熱溶融性微粒子、熱融着性微粒子は、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させてもよい。
また、熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した場合には、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中の熱融着性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
また、本発明の画像形成機能層は後述する光熱変換材を含有させることも好ましい実施態様である。画像形成機能層の乾燥塗布質量は、好ましくは0.10〜1.50g/m2、より好ましくは0.15〜1.00g/m2である。
本発明では、画像形成機能層が機上現像可能な層で有る場合が好ましい態様である。
本発明に係る機上現像可能な層とは、熱により画像形成後、印刷装置上で湿し水または湿し水と印刷インキを用いて非画像部を除去することが可能な層であり、いわゆる現像工程を印刷装置上で行うことができる層である。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(裏塗り層)
本発明においては、プラスチック支持体を挟んで、画像形成機能層を有する面とは反対側の面に、少なくとも1層の裏塗り層を有する。
本発明においては、プラスチック支持体を挟んで、画像形成機能層を有する面とは反対側の面に、少なくとも1層の裏塗り層を有する。
裏塗り層にはマット剤を含有し、このマット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることが必要である。
マット剤の粒径の分散度とは、マット剤のコールターカウンターによる粒度分布測定により得られる球相当粒子直径(ΣNV2/ΣNV)(但し、ここでVは個々の粒子の直径を表し、Nは粒径がVである個数を表す)を基準に算出された標準偏差及び平均粒径から算出した、(標準偏差/平均粒径)×100で表される値を示す。
本発明に係る分散度は、印刷時のキズに起因する現像性劣化防止の面から0.1%〜40%が好ましく、さらに0.1%〜30%が好ましい。
マット剤の平均粒径(球相当径)は印刷時のキズに起因する現像性劣化防止の面から1〜12μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2〜7μmがさらに好ましい。
マット剤の添加量としては、裏塗り層全体の0.2〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明に係るマット剤として、多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いることができる。
これらのなかでも特に有機樹脂粒子が印刷時のキズに起因する現像性劣化防止の面から好ましく用いられる。
有機樹脂粒子としては、ポリエチレン微粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等を挙げることが出来る。
これらのなかでも特にポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂粒子が好ましく用いられる。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al2O3、α−Fe2O3、α−FeOOH、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等が挙げられる。
また例えばPMMAやポリスチレン、メラミンといった有機粒子の芯剤を芯剤粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子を用いることができる。無機粒子の粒径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
裏塗り層に用いられる結合材としては、親水性結合材及び疎水性結合材がある。
親水性結合剤としては、親水性のものなら特に限定はされないが、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。又、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩;アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
疎水性結合剤は、結合剤として疎水性のものなら特に限定されないが、例えばα,β−エチレン性不飽和化合物に由来するポリマー、例えばポリ塩化ビニル、後−塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル及び部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、出発材料としてポリビニルアルコールから作られ、繰り返しビニルアルコール単位の一部のみがアルデヒドと反応していることができるポリビニルアセタール、好ましくはポリビニルブチラール、アクリロニトリルとアクリルアミドのコポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン及びポリエチレン又はそれらの混合物等が挙げられる。
又疎水性結合剤は仕上がり印刷版材料表面が疎水性であれば、特開2002−258469号公報の段落0033〜0038に記載されている水分散系樹脂(ポリマーラテックス)から得られたものでもよい。
裏塗り層と支持体との間に下引き層を有しているのが好ましく、前述の支持体の下引き層と同じものが好ましく用いられる。
本発明に係る裏塗り層は、反射防止機能を有する層であっても、導電性化合物を含む導電性層であってもよく、また導電性層の上に、更に1層以上の他の機能層を設けても良い。本発明における好ましい態様としては、導電性層及び1層以上の保護層を有することであり、裏塗り層を有する面側全層の総乾燥膜厚としては、0.5〜8μmであることが好ましく、特に1〜5μmが好ましい。
更に、レーザー記録装置あるいはプロセスレス印刷機には、装置内部において印刷版の搬送を制御するためのセンサーを有しており、これらの制御を滞りなく行うために、本発明において、裏塗り層には色素及び顔料を含有させることが好ましい。色素及び顔料としては、光熱変換素材に用いられる赤外吸収色素及び顔料が好ましく用いられる。また、更に、裏塗り層には公知の界面活性剤を含有させることができる。
(プラスチック支持体)
本発明に係るプラスチック支持体は、親水性層及び画像形成層を担持しうるプラスチックフィルム体であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
本発明に係るプラスチック支持体は、親水性層及び画像形成層を担持しうるプラスチックフィルム体であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
本発明に係る支持体は、本発明の印刷版材料に上記の適性を付与する観点から、120℃での弾性率(E120)が100kg/mm2〜600kg/mm2であることが好ましく、より好ましくは120kg/mm2〜500kg/mm2である。具体的にはポリエチレンナフタレート(E120=410kg/mm2)、ポリエチレンテレフタレート(E120=150kg/mm2)、ポリブチレナフタレート(E120=160kg/mm2)、ポリカーボネイト(E120=170kg/mm2)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=220kg/mm2)、ポリエーテルイミド(E120=190kg/mm2)、ポリアリレート(E120=170kg/mm2)、ポリスルホン(E120=180kg/mm2)、ポリエーテルスルホン(E120=170kg/mm2)等が挙げられる。これらは単独で用いても良く積層あるいは混合して用いても良い。中でも、特に好ましいプラスチックフィルムとしてはポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
ここで、弾性率とは、引張試験機を用い、JISC2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、前記ヤング率を弾性率と定義する。
印刷版作製装置内での安定搬送性と印刷版としての取り扱い易さから支持体の膜厚としては110〜500μmが好ましく、さらに好ましくは120〜400μmであり、特に好ましくは125〜300μmである。
膜厚とは、一辺が50cmの正方形に切り出した支持体に縦、横それぞれ10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この16点の交点における各々の厚さを測定し、16点の厚さの平均値をいう。
また上記膜厚で、支持体の厚み分布が0%〜10%であるポリエステルフィルム支持体を用いることが好ましく、さらに0%〜8%が好ましく、0%〜6%が特に好ましい。
厚み分布とは、一辺が60cmの正方形に切り出した支持体を縦、横それぞれ10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この25点の交点における各々の点の厚みを測定し平均値と最大値、最小値を求め、この最大値と最小値の差を平均値で割り、百分率で表した値である。
以下に、好ましく用いられるポリエステルフィルム支持体について説明する。
〔ポリエステルフィルム支持体〕
ポリエステルフィルム支持体に使用されるポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以降、略してPETという場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと略すことがある)等のポリエステルである。好ましくはPET、またはPETからなる部分を主要な構成成分として、ポリエステル全体に占める構成要素の質量比率が50質量%以上を有する共重合体またはブレンドされたポリエステルである。
ポリエステルフィルム支持体に使用されるポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以降、略してPETという場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと略すことがある)等のポリエステルである。好ましくはPET、またはPETからなる部分を主要な構成成分として、ポリエステル全体に占める構成要素の質量比率が50質量%以上を有する共重合体またはブレンドされたポリエステルである。
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、またPENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを構成成分として重合されたものである。PETまたはPENを構成するジカルボン酸またはジオールを他の適当な1種、または2種以上の第3成分を混合して重合したものでもよく、適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物で、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものを挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、グリコールの例としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。第3成分としては多官能性カルボン酸や多価アルコールも混合することができるが、これらは全ポリエステル構成成分に対して0.001〜5質量%程度混合することができる。
ポリエステルの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。また、固有粘度の異なるものを混合して使用してもよい。
ポリエステルの重合方法は特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの重合方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させ、ジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にジエステル化し、更に一方のジオールを減圧下加熱して余剰のジオールを留去することにより重合させる直接エステル化法、またジカルボン酸成分としてジアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)を用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させてアルキルアルコール(例えば、メタノール)を留出させてジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にエステル化し、更に余剰のジオール成分を減圧下で加熱して留去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。
触媒としては、通常のポリエステルの合成に使用するエステル交換触媒、重合反応触媒及び耐熱安定剤を用いることができる。例えば、エステル交換触媒としてはCa(OAc)2・H2O、Zn(OAc)2・2H2O、Mn(OAc)2・4H2O、Mg(OAc)2・4H2O等を挙げることができ、重合反応触媒としてはSb2O3、GeO2を挙げることができる。また、耐熱安定剤としてはリン酸、亜リン酸、PO(OH)(CH3)3、PO(OC6H5)3、P(OC6H5)3等を挙げることができる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
〔支持体の作製方法〕
本発明に係る支持体の膜厚及び厚み分布を上記の範囲に調整するため、本発明では下記に記載のような製膜処理が施されることが好ましい。
本発明に係る支持体の膜厚及び厚み分布を上記の範囲に調整するため、本発明では下記に記載のような製膜処理が施されることが好ましい。
支持体の製膜手段としては、熱可塑性樹脂を融点(Tm)〜Tm+50℃の間で熔融後、焼結フィルタ等で濾過された後、T−ダイから押出し、ガラス転位温度(Tg)−50℃〜Tgに温調したキャスティングドラム上で未延伸シートを形成する。このとき、厚み分布を上記の範囲にするには、静電印加法等を用いるのが好ましい。未延伸シートをTg〜Tg+50℃の間で2〜4倍に縦延伸する。また、厚み分布を上記の範囲に調整するもう一つの方法としては、縦延伸を多段延伸するのが好ましい。このとき、前段延伸より後段延伸の温度を1〜30℃の範囲で高く調整することが好ましく、更に好ましくは2〜15℃の範囲で高く調整しながら延伸するのが好ましい。
前段延伸の倍率は後段延伸の倍率の0.25〜0.7倍が好ましく、更に好ましくは0.3〜0.5倍である。この後、Tg−30℃〜Tgの温度範囲で、5〜60秒、より好ましくは10〜40秒間保持した後、横方向にTg〜Tg+50℃の間で2.5倍〜5倍に延伸することが好ましい。この後、(Tm−50℃)〜(Tm−5℃)で5〜120秒、チャックで把持した状態で熱固定を行なう。このとき、幅方向に0〜10%チャック間隔を狭めること(熱緩和)も好ましい。これを冷却後、端部に10〜100μmのナーリングを付けた(ナーリング高さを設けるともいう)後、巻取り、多軸延伸フィルムを得る等の方法が好ましい。
本発明において、印刷版材料は上記プラスチック支持体の上に画像形成機能層などを有するが、印刷版材料の膜厚としては150〜300μmが好ましい。
さらに上記膜厚範囲で、印刷版材料のスティフネスが50g〜500gである場合が、印刷版材料の取り扱い性、版胴への取り付け易さの面で好ましく、本発明の効果が有利に発揮される。
膜厚とは、一辺が50cmの正方形に切り出した支持体に縦、横それぞれ10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この16点の交点における各々の厚さを測定し、16点の厚さの平均値をいう。
印刷版材料のスティフネスとは、市販のフィルムスティフネステスター(例えば(株)東洋精機製作所社製の「スティフネステスターUT−100−230」や「スティフネステスターUT−200GR」等)を用いて測定できる。
具体的には、平坦な台に置いた20cm×10cmの試料の長辺側の両端を台に沿って近づけて、両端各5cmを台へ固定して、中央部を台から1cm上方にたわませて、頂上部を針で押して3mm押し下げた時の加重で評価する。
〔支持体の熱処理〕
本発明においては、印刷時の寸法を安定化させカラー印刷時の色ズレを防ぐために、延伸及び熱固定後のポリエステルフィルムの熱処理をすることが好ましい。熱処理は熱固定終了後冷却して巻き取った後に、別工程で巻きほぐしてから、以下のような手段で達成するのがよい。熱処理する方法としては、テンターのようなフィルムの両端をピンやクリップで把持する搬送方法、複数のロール群によるロール搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、加熱した複数のロールと接触させる方法などを単独または複数組み合わせて熱処理する方法、またフィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を単独あるいは複数組み合わせて用いることが好ましい。
本発明においては、印刷時の寸法を安定化させカラー印刷時の色ズレを防ぐために、延伸及び熱固定後のポリエステルフィルムの熱処理をすることが好ましい。熱処理は熱固定終了後冷却して巻き取った後に、別工程で巻きほぐしてから、以下のような手段で達成するのがよい。熱処理する方法としては、テンターのようなフィルムの両端をピンやクリップで把持する搬送方法、複数のロール群によるロール搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、加熱した複数のロールと接触させる方法などを単独または複数組み合わせて熱処理する方法、またフィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を単独あるいは複数組み合わせて用いることが好ましい。
熱処理の張力調整は、巻き取りロール及び/または送り出しロールのトルクを調整すること、及び/または工程内にダンサーロールを設置し、これに加える荷重を調整することで達成できる。熱処理中及び/または熱処理後の冷却時に張力を変化させる場合、これらの工程前後及び/または工程内にダンサーロールを設置し、それらの荷重を調整することで所望の張力状態を設定してもよい。また、振動的に搬送張力を変化させるには、熱処理ロール間スパンを小さくすることにより有効に行うことができる。
熱処理は熱収縮の進行を妨げずに、その後の熱処理(熱現像)時の寸法変化を小さくする上で、出来るだけ搬送張力を低くし、熱処理時間を長くすることが望ましい。処理温度としてはポリエステルフィルムのTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましく、その温度範囲で、搬送張力としては5Pa〜1MPaが好ましく、より好ましくは5Pa〜500kPa、更に好ましくは5Pa〜200kPaであり、処理時間としては30秒〜30分が好ましく、より好ましくは30秒〜15分である。上記の温度範囲、搬送張力範囲及び処理時間にすることにより、熱処理時に支持体の熱収縮の部分的な差により支持体の平面性が劣化することもなく、搬送ロールとの摩擦等により細かいキズ等の発生も抑えることができる。
本発明において、熱処理は所望の寸法変化率を得るために、少なくとも1回は行うことが好ましく、必要に応じて2回以上実施することも可能である。
本発明においては、熱処理したポリエステルフィルムをTg付近の温度から常温まで冷却してから巻き取り、この時の冷却による平面性の劣化を防ぐために、Tgを跨いで常温まで下げるまでに、少なくとも−5℃/秒以上の速度で冷却するのが好ましい。
本発明において、熱処理は上述の下引層を塗設後に行うのがよい。例えば、押し出し〜熱固定〜冷却の間でインラインで下引層を塗設し、一旦巻き取ってから、別工程で熱処理するのが好ましい。また、熱固定後一旦巻き取った後、別工程で下引を塗布・乾燥した後に下引き済みポリエステルフィルム支持体を連続して平坦に保持したままの状態で熱処理を行ってもよい。更には、バック層、導電層、易滑性層、下引き層などの各種の機能性層を塗布・乾燥した後に上記と同様な熱処理を行ってもよい。
〔支持体の含水率〕
本発明においては、露光装置などにおける搬送を良好に行うためには、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
本発明においては、露光装置などにおける搬送を良好に行うためには、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
本発明において支持体の含水率とは、下記式で表されるD’である。
D’(質量%)=(w’/W’)×100
式中、W’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、w’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の水分含量を表す。
式中、W’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、w’は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある支持体の水分含量を表す。
支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることが更に好ましく、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。
支持体の含水率を0.5質量%以下に制御する手段としては、(1)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する直前に支持体を100℃以上で熱処理する、(2)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する工程の相対湿度を制御する、(3)画像形成機能層及びその他の層の塗布液を塗布する前に支持体を100℃以上で熱処理し、防湿シートでカバーして保管し、開封後直ちに塗布する、等が挙げられる。これらを2以上組み合わせて行ってもよい。
〔支持体への易接着処理、下引き層塗布〕
本発明に係るプラスチック支持体は、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
本発明に係るプラスチック支持体は、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
下引き層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等を支持体上に設けること等が好ましい。また、特開平7−20596号公報段落番号〔0031〜0073〕に記載の導電性ポリマー含有層や特開平7−20596号公報段落番号〔0074〜0081〕に記載の金属酸化物含有層のような導電性層を設けることが好ましい。導電性層はポリエステルフィルム支持体上であればいずれの側に塗設されてもよいが、好ましくは支持体に対し画像形成機能層の反対側に塗設するのが好ましい。この導電性層を設けると帯電性が改良されてゴミなどの付着が減少し、印刷時の白抜け故障などが大幅に減少する。
また、本発明に係るプラスチック支持体としては、ポリエステルフィルム支持体が用いられることが好ましいが、ポリエステルフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせてもよく、また塗布層を形成した後に貼り合わせてもよく、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせてもよい。
〔微粒子〕
また、上記の支持体中にはハンドリング性向上のため0.01〜10μmの微粒子を1〜1000ppm添加することが好ましい。
また、上記の支持体中にはハンドリング性向上のため0.01〜10μmの微粒子を1〜1000ppm添加することが好ましい。
ここで、微粒子としては、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等を用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号公報等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートの様な有機微粒子を用いることができる。微粒子の形状は、定形、不定形どちらでもよい。
本発明において、印刷版材料が、筒状のコアに巻回されたロール状である場合にその効果は著しい。
〔親水性オーバーコート層〕
本発明において、取り扱い時の傷つき防止のために、画像形成機能層の上層に親水性オーバーコート層を有することが好ましい。親水性オーバーコート層は画像形成機能層のすぐ上の層であってもよいし、また画像形成機能層と親水性オーバーコート層の間に中間層が設けられてもよい。親水性オーバーコート層は印刷機上で除去可能であることが好ましい。
本発明において、取り扱い時の傷つき防止のために、画像形成機能層の上層に親水性オーバーコート層を有することが好ましい。親水性オーバーコート層は画像形成機能層のすぐ上の層であってもよいし、また画像形成機能層と親水性オーバーコート層の間に中間層が設けられてもよい。親水性オーバーコート層は印刷機上で除去可能であることが好ましい。
本発明において親水性オーバーコート層は、水溶性樹脂または水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有することが好ましい。かかる水溶性樹脂は、画像形成機能層に含有されるものが用いられる。本発明においては、親水性オーバーコート層は、後述する光熱変換素材を含有することができる。
またレーザー記録装置あるいは印刷機に本発明の印刷版を装着するときの傷つき防止のために、本発明においてオーバーコート層に平均粒径1μm以上、20μm未満のマット剤を含有させることが好ましい。
好ましく用いられるマット剤としては、新モース硬度5以上の無機微粒子や有機マット剤が挙げられる。新モース硬度5以上の無機微粒子としては、例えば、金属酸化物粒子(シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、酸化クロム等)や金属炭化物粒子(炭化珪素等)、窒化ホウ素粒子、ダイアモンド粒子等が挙げられる。有機マット剤としては、例えば、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートが挙げられる。
これらマット剤の添加量は1m2あたり0.1g以上、10g未満であることが好ましい。
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることができる。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
本発明において、オーバーコート層の乾燥塗布量は0.05〜1.5g/m2が好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜0.7g/m2である。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、良好な汚れ防止、傷付き防止、指紋跡付着防止及びアブレーションカスの発生低減ができる。
〔光熱変換材〕
画像形成機能層、親水性層、親水性オーバーコート層及びその他に設けられる層には、光熱変換材を含有することができ、特に親水性層または画像形成機能層に含まれることが好ましい。光熱変換材としては赤外線を熱に変換する素材が好ましく赤外吸収色素または顔料が好ましく用いられる。
画像形成機能層、親水性層、親水性オーバーコート層及びその他に設けられる層には、光熱変換材を含有することができ、特に親水性層または画像形成機能層に含まれることが好ましい。光熱変換材としては赤外線を熱に変換する素材が好ましく赤外吸収色素または顔料が好ましく用いられる。
赤外吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号、同7−43851号、同7−102179号、特開2001−117201の各公報に記載の化合物が挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。可視光域で黒色を呈している素材しては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。金属酸化物が二種以上の金属の酸化物からなる黒色複合金属酸化物であることである。具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、同9−25126号公報、同9−237570号公報、同9−241529号公報、同10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。本発明に用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。但し、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
光熱変換材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
特に好ましい光熱変換材の態様としては、前記の赤外吸収色素及び金属酸化物が二種以上の金属の酸化物からなる黒色複合金属酸化物であることである。
これらの光熱変換材の添加量としては、各層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
〔画像形成〕
本発明では、印刷版材料をレーザーもしくはサーマルヘッドを用いて画像を形成するのが好ましい態様である。
本発明では、印刷版材料をレーザーもしくはサーマルヘッドを用いて画像を形成するのが好ましい態様である。
さらに本発明の印刷版材料の画像形成は、特にレーザー光による露光によって画像形成を行うことが好ましく、特にサーマルレーザー光による露光が好ましく用いられる。
本発明に関する露光に関し、より具体的には、赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明に用いられる走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。
本発明に関しては特に(3)の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
また本発明においては、前記請求項1〜7に記載の印刷版材料をロール状から引き出し、画像露光し画像形成を行い、印刷機に装着するまでの間に搬送装置を介して搬送する方法が好ましく適用できる。
(印刷)
本発明の印刷方法は、湿し水及び印刷インクを用いる一般的な平版印刷方法が適用できる。
本発明の印刷方法は、湿し水及び印刷インクを用いる一般的な平版印刷方法が適用できる。
上記のようにして画像形成がなされた印刷版材料は、特別な現像処理工程を経ることなく印刷を行うことができる。
即ち、本発明の印刷版材料をレーザー光を用いて画像露光をした後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することが好ましい態様である。
画像形成後の印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版材料を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラー及びまたはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで画像形成層の非画像部を湿し水または湿し水と印刷インキで除去することが可能である。
本発明の印刷版材料における上記の画像形成層非画像部の除去工程は、PS版を使用した通常の印刷シークエンスで行うことができるため、いわゆる機上現像処理による作業時間の延長の必要がないため、コストダウンにも有効である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中「部」は特に断りのないかぎり「質量部」を表す。
実施例1
(支持体の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66dl/g(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。次いで、テンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後47.1N/mで巻き取った。このようにして厚さ190μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は79℃であった。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。なお、得られた支持体の厚み分布は3%であった。
(支持体の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66dl/g(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。次いで、テンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後47.1N/mで巻き取った。このようにして厚さ190μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は79℃であった。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。なお、得られた支持体の厚み分布は3%であった。
《下引き済み支持体の作製》
上記で得られた支持体のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液c−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液d−1を乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。ついで、各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施した
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
上記で得られた支持体のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液c−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液d−1を乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。ついで、各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施した
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
《下引き塗布液c−1》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 0.4部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1(モル比)の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d−1》
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1(質量比)の導電性組成物 6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03部
水 93.4部
成分d−11;スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20(モル比)からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20(モル比)からなる高分子活性剤
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 0.4部(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1(モル比)の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d−1》
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1(質量比)の導電性組成物 6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03部
水 93.4部
成分d−11;スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20(モル比)からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20(モル比)からなる高分子活性剤
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%及び5%で、プラズマ処理を行った。
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%及び5%で、プラズマ処理を行った。
《下引き済み支持体の熱処理》
プラズマ処理後、1.25m幅にスリットした下引き済み支持体に対し、張力2hPaで180℃、1分間の低張力熱処理を実施した。
プラズマ処理後、1.25m幅にスリットした下引き済み支持体に対し、張力2hPaで180℃、1分間の低張力熱処理を実施した。
(裏塗り層用塗布液)
表1の組成をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合して、裏塗り層塗布液を作製した。
表1の組成をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合して、裏塗り層塗布液を作製した。
《裏塗り層の塗布》
各裏塗り層の塗布液を上記支持体上にワイヤーバー#6を用いて塗布し15mの長さの100℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ裏塗り層を塗布した(表5の実験No001〜009に記載のマット剤を使用)。裏塗り層の付量は2.0g/m2であった。
各裏塗り層の塗布液を上記支持体上にワイヤーバー#6を用いて塗布し15mの長さの100℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ裏塗り層を塗布した(表5の実験No001〜009に記載のマット剤を使用)。裏塗り層の付量は2.0g/m2であった。
《親水性層下層塗布液の調製》
下記表2の組成に従いホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して親水性層下層塗布液を調製した。
下記表2の組成に従いホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して親水性層下層塗布液を調製した。
《親水性層上層塗布液の調製》
下記表3の組成に従いホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して親水性層上層塗布液を調製した
下記表3の組成に従いホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して親水性層上層塗布液を調製した
《親水性層下層、上層の塗布》
上記親水性層下層塗布液を上記裏塗り層が塗布済みの支持体の裏塗り層と反対面にワイヤーバー#5を用いて塗布し15mの長さの100℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。引き続き、親水性層上層塗布液をワイヤーバー#3を用いて塗布し30mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。
上記親水性層下層塗布液を上記裏塗り層が塗布済みの支持体の裏塗り層と反対面にワイヤーバー#5を用いて塗布し15mの長さの100℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。引き続き、親水性層上層塗布液をワイヤーバー#3を用いて塗布し30mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。
親水性層下層、親水性層上層それぞれの付量は3.0g/m2、0.55g/m2であった。塗布後のサンプルは60℃で1日間のエイジングを行なった。
《画像形成層塗布液の塗布》
下記表4の組成の画像形成層塗布液を上記で作製した親水性層まで塗布済みサンプルの親水性上にワイヤーバー#5を用いて塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ、画像形成層を形成し、印刷版材料001〜009を得た。
下記表4の組成の画像形成層塗布液を上記で作製した親水性層まで塗布済みサンプルの親水性上にワイヤーバー#5を用いて塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ、画像形成層を形成し、印刷版材料001〜009を得た。
画像形成層の付量は0.5g/m2であった。塗布後のサンプルは50℃で2日間のエイジングを行なった。
上記平版印刷版材料の各々について660mm幅に断裁し、外径76mmの紙コアに30m巻回し、ロール状印刷版材料を得た。
《印刷方法》
印刷装置:三菱重工工業(株)製DAIYAF−1を用いて、コート紙、湿し水アストロマーク3(日研化学研究所社製)2質量%、インクは2種用意しそれぞれで印刷評価を行った。
印刷装置:三菱重工工業(株)製DAIYAF−1を用いて、コート紙、湿し水アストロマーク3(日研化学研究所社製)2質量%、インクは2種用意しそれぞれで印刷評価を行った。
インキ1:トーヨーキングハイエコーM紅(東洋インキ社製)
インキ2:TMハイエコーSOY1(東洋インキ社製大豆油インキ)
《刷り出しの評価(損紙)》
刷り出し時、良好なS/N比(非画像部に地汚れが無く、すなわち、画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている。特にバックコート層のマット剤による画像形成機能層のキズに起因する現像不良もない状態)を有した印刷物が得られるまでの印刷枚数を評価した。損紙の枚数が少ないほど優れている。
インキ2:TMハイエコーSOY1(東洋インキ社製大豆油インキ)
《刷り出しの評価(損紙)》
刷り出し時、良好なS/N比(非画像部に地汚れが無く、すなわち、画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている。特にバックコート層のマット剤による画像形成機能層のキズに起因する現像不良もない状態)を有した印刷物が得られるまでの印刷枚数を評価した。損紙の枚数が少ないほど優れている。
《耐刷性の評価》
画像の3%の小点の欠落、またはベタ部の濃度低下のいずれかが確認された段階で印刷終了とし、その枚数を求めた。
画像の3%の小点の欠落、またはベタ部の濃度低下のいずれかが確認された段階で印刷終了とし、その枚数を求めた。
結果を表5に示す。表5から本発明の印刷版材料は、刷りだし時の損紙の枚数が少なく擦過キズ耐性が良好であり機上現像性に優れ、かつ耐刷性に優れていることが分かる。
Claims (8)
- プラスチック支持体の一方の面に親水性層及び画像形成機能層を有し、他方の面に裏塗り層を有する印刷版材料において、該印刷版材料がロール状に巻回されており、該裏塗り層がマット剤を含有し該マット剤の粒径の分散度が0.1%〜50%であることを特徴とする印刷版材料。
- 前記マット剤が有機樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
- 前記親水性層または画像形成機能層に光熱変換材を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の印刷版材料。
- 前記印刷版材料の膜厚が150μm〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷版材料。
- 前記画像形成機能層が熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷版材料。
- 前記親水性層が2層からなる親水性層であることを特徴とする請求項1乃至5記載の印刷版材料。
- 前記画像形成機能層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の印刷版材料。
- 請求項7に記載の印刷版材料をレーザー光により画像露光した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004061922A JP2005246833A (ja) | 2004-03-05 | 2004-03-05 | 印刷版材料及び印刷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 2004-03-05 JP JP2004061922A patent/JP2005246833A/ja active Pending
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