JP2005087812A - オゾン処理装置およびその装置を用いたオゾン処理方法 - Google Patents
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Abstract
下降管式オゾン溶解槽の水深を6〜10m程度に浅くしても、オゾンとの接触時間を取ることができ、被処理水へのオゾン吸収率が高くなることができるオゾン処理装置とそのためのオゾン処理方法を提供すること。
【解決手段】
オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンと被処理水とを反応させる滞留槽とを有するオゾン処理装置において、前記オゾン溶解槽が上部に被処理水導入部を設けた複数の下降管式オゾン溶解槽であり、それぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続しており、それら被処理水導入部は被処理水供給手段と分流可能に接続してあるので、送水ポンプからの被処理水は一つのオゾン溶解槽に導入され、送水量が多いときには異なるオゾン溶解槽にも被処理水が導入される。
【選択図】 図1
Description
水道原水(以下、被処理水と記載する) をオゾンによって処理するオゾン処理装置は、主として、放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置、被処理水を供給する送水ポンプ、オゾンを被処理水に溶解させるオゾン接触槽、オゾン処理を行う反応槽、反応槽から排出される排オゾンを分解する排オゾン処理装置から構成されている。
オゾン処理装置では、オゾン化ガスを素早く被処理水に溶解させ、被処理水に対して酸化反応を十分に行うだけの接触時間をとる必要がある。また、多くの給水人口を抱える都市近郊部の浄水場に導入する場合には、大規模な設備となるために、特に経済的に優れ、高いオゾン吸収率が得られるオゾン処理装置が必要となってくる。ここで、オゾン吸収率は、注入したオゾン化ガスのうち反応槽内で被処理水に溶解または分解して消費されたオゾンの割合であり、(1)式で表される。
このオゾン吸収率は、被処理水とオゾン化ガスの接触の方法に大きく依存している。この接触方式としては、溶解槽(接触槽)の頭頂部から被処理水を底部からオゾン化ガスを供給して対向させる向流接触方式、被処理水とオゾン化ガスを溶解槽底部から供給する並流接触方式や、被処理水とオゾン化ガスの混合流を頭頂部から導入して下方に向かって流れる溶解槽と、この混合流が底部を経て上方へ向かって流れる滞留槽とを有する下降溶解型接触方式などがある。
図7は従来の下降溶解型オゾン処理装置の模式図である。この図において、被処理水11はオゾン溶解槽の上部の被処理水導入口22に、送水ポンプ21により送水される。同時にオゾン発生装置3で発生させたオゾン化ガスは、ディフューザー41でオゾン化ガスの気泡5としてオゾン処理装置溶解槽61内に注入される。被処理水11は気泡5との混合流となり、オゾン処理装置溶解槽61を流下する。この混合流はオゾン処理装置溶解槽61の底部を通りオゾン処理装置滞留槽63を経て、排出口23から処理水12としてオゾン処理装置滞留槽62の外部に配水することができる。注入されたオゾンガスのうち、未反応のものは排オゾン処理装置7により分解されて放出される。
なお、下降溶解型オゾン処理装置においては、通常、オゾン化ガスはオゾン処理装置溶解槽61内でほぼ溶解する。これは、オゾン処理装置溶解槽61の断面積を小さく設計することにより、単位体積あたりの気液接触面積を大きくすることが可能なことによる。
しかし、下降接触方式のオゾン処理装置は水の流速でオゾン化ガスを下降するため、浮力による気泡の浮上速度(気泡の大きさによって異なるが、たとえば10〜30cm/sec程度)より大きい水の断面流速を必要とする。被処理水の流速が小さくなった場合、溶解槽の中をオゾン化ガスが浮上して、オゾン化ガスを被処理水と接触させることができないという問題もあった。
また、例えば被処理水の水量が増大した場合は、一つのオゾン溶解槽で対応するときには溶解槽内での被処理水の断面速度を上げればよいのであるが、そのときには下降溶解槽でのオゾン化ガスと被処理水との接触時間が充分とれず、溶解しきれないオゾン化ガスが多く存在することとなり、不経済である。この点を回避するためにオゾンを高濃度にする対処法もあるが、高濃度にするといっても一定の限界があるうえに、オゾン化ガスの高濃度化にともなってガス量が減少する場合は滞留槽内で充分な攪拌ができずに、溶存オゾン濃度が同水深の平面上で均一にならないという問題があった。さらに、オゾンを高濃度することで、オゾン処理装置の水深を6〜10mとすることは可能となったが、上記問題は顕著になった。
なお、水量変動に対して原水調整槽を配置し、処理水量を一定とする技術が報告されているが(特許文献1を参照)、この技術では原水調整槽を設置しなければならず、不都合である。その点特許文献2では水量変動に対して、オゾン溶解槽野上部の被処理水導入部と下部の流出部との両方に少なくとも一個のディフューザーを設置する技術が開示されている。この技術は優れた効果をもたらすのであり、とくに水量低下に対して優れているが、この技術はオゾン化ガスの散気法に着目し工夫を凝らしているのであるから、本発明とは異なるといえる。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンと被処理水とを反応させる滞留槽とを有するオゾン処理装置において、前記オゾン溶解槽が上部に被処理水導入部を設けた複数の下降管式オゾン溶解槽であり、それぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続しており、オゾン溶解槽内で十分オゾン化ガスを吸収した被処理水は滞留槽内に移動することを特徴とするオゾン処理装置である。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の中で、被処理水の水量を測定して、あらかじめ実験によって得た情報などを参考にして安定な処理水を得る断面流速の範囲を求め、オゾン溶解工程における断面流速がオゾン化ガスが浮上しないような断面流速以上であって安定な処理水を得られる断面流速の範囲となるように、オゾン溶解槽の使用数を決定することを特徴とするオゾン処理方法である。
なお、上記オゾン化ガスが浮上しない断面速度および安定な処理水を得る断面流速の範囲は、下降溶解オゾン接触槽の水深や管径により変化するため、一概に決められる値では無い。
本発明のオゾン処理装置は少なくとも被処理水内の溶存オゾンと被処理水とを接触処理する滞留槽と、その滞留槽に接続する複数の下降管式オゾン溶解槽とを有する。さらには、それぞれのオゾン溶解槽の上部に設けられた被処理水導入部は分流可能に接続している。
ここでの被処理水内の溶存オゾンと被処理水とを接触処理する滞留槽は一般的な滞留槽であればよく、オゾンに対して安定であれば、その大きさや形式などはとくに問わない。
この滞留槽に複数の下降管式オゾン溶解槽がそれぞれ接続しているので、オゾン溶解槽内でオゾン化ガスを十分溶解し、下降した被処理水は滞留槽に移動し、滞留槽内では被処理水内の微生物、悪臭成分、有機物、無機物などはオゾンと反応し、殺菌、脱臭、有機物の低分子化または無機物の酸化除去等が行われる。下降管式オゾン溶解槽としてはUチューブを代表例として挙げられるが、それに限定されず、どのような下降管式溶解槽でも適用可能である。この溶解槽を滞留槽に接続する形式は溶解槽内の被処理水が滞留槽内に導入されるのであればどのような形式でもよく、たとえば、下降管式オゾン溶解槽の末端部を折り曲げ、その末端を滞留槽の側壁あるいは底部の開口部に接続してもよいし、また、該溶解槽の末端を滞留槽の側壁あるいは底部の開口部から滞留槽内に導入する形式でもよい。オゾン溶解槽の末端部の被処理水流出口は滞留槽の底部表面中央付近になるようにすることが好ましいが、これに限定されないのであり、たとえば中央付近から周辺側に偏在させてもよい。重要なことは、被処理水が円滑にオゾン溶解槽内を下降でき、円滑に滞留槽内に移動できるようにすることである。この下降管式オゾン溶解槽を複数、すなわち2つ以上設置することが本発明の一つの特徴である。
上記オゾン溶解槽内に注入するオゾン化ガスは一般的なオゾン発生装置から得られるオゾン化ガスであればよい。オゾン化ガスはオゾン溶解槽内にオゾン散気装置を用いて注入される。好ましくは、オゾン溶解槽の被処理水導入部にディフューザーを設置し、オゾン化ガスを注入する方法である。ディフューザーは特に限定されないのであるが、たとえば多孔質のガラス、セラミックスまたはステンレス鋼からなるオゾン化ガスを散気するためのディフューザーを使用すると好ましい結果がもたらされる。また、上記ディフューザーはオゾン注入切り替えバルブを備えたオゾン化ガス供給管により分流可能に接続されていることが好ましい。すなわち、オゾン発生装置からのオゾン化ガスはオゾン化ガス供給管を経て、オゾン溶解槽内に注入される。しかも、被処理水の送水量が多ければ、それに応じて数多くのオゾン処理槽内に被処理水が導入されることになるから、被処理水が導入されるオゾン溶解槽に設置されたディフューザーにはオゾン化ガスが供給されなければならない。
断面流速は、下降管式オゾン溶解槽内を通過する被処理水の水量を流量計を用いて測定することにより容易に算出することができる。被処理水の水量を測る流量計は一般的なものを使用して、一般的な方法により測定すればよい。
さらに、被処理水の水量に応じて好ましい断面流速の範囲が存在するので、被処理水の水量の変動に応じて、好ましい断面流速の範囲内となるようにオゾン溶解槽内を被処理水が流れるようにすることが極めて重要である。そこで、被処理水の断面流速を好ましい範囲内に保つために、送水量が多ければ、オゾン溶解槽の使用本数を増やすことができるようにした本発明は極めて有効的である。
被処理水の水量を流量計にて測定し、あらかじめ槽水量に対して安定な処理水を与える実験的に求めた断面流速に基づき、必要なオゾン溶解槽の必要本数を知ることができるので、水量に応じて必要なオゾン溶解槽を知り、それに応じて切り替えバルブの切り替えなど必要な操作を全て自動的に行なわれるように制御することができる。上記制御する方法は一般的な制御方法を使用すればよい。
図1は本発明のオゾン処理装置溶解槽を2つ設置したオゾン処理装置の模式図である。各部の名称や機能は図7に示す従来の下降溶解型オゾン処理装置と同じなので、異なっている部分についてのみ説明する。
また、本実施例においては、オゾン処理装置溶解槽61とオゾン処理装置溶解槽62の2つを備えた例を示したが、被処理水の流量に応じて、あるいは溶解するオゾン量に応じて数を増やすことができる。
これらの各オゾン処理装置溶解槽61、62は、実施例では同一の長さで記載されているが、オゾン処理装置溶解槽61、62の内部で溶け切るだけのオゾン化ガス量を変えて注入すれば、長さが異なっていても良い。
図1および図2に示したように、オゾン処理装置溶解槽61と62の2本設置した水深5mのオゾン処理装置を試作し、オゾン注入率を一定として、被処理水をオゾン処理した。オゾン吸収率よりオゾン処理装置の効果を調べた。オゾン処理装置溶解槽の溶解部は直径20mmとした。ディフューザー41と42として、外径10mmの多孔質ガラス製のボールフィルターを用いた。
オゾン注入率(mg/L)は、被処理水流量(L/min)、導入されたオゾン化ガス流量(L/min)と注入オゾン濃度(g/Nm3)から求まり、その関係は(2)式で定義される。
図1の装置模式図に示すディフューザ41よりオゾン化ガスを流入した場合には、溶解槽61での被処理水の断面流速が気泡の浮上速度より小さいと、気泡5はオゾン処理装置溶解部分61で混合流とならないので、図3の測定結果に示すようにオゾン吸収率は0%であった。逆に、被処理水の断面流速が気泡の浮上速度より大きいと、溶解槽61で混合流となり、下降溶解型オゾン処理装置として作動するので、オゾン吸収率は90%以上となったが、断面流速が大きくなるとオゾン吸収率は小さくなった。
以上より、溶解槽の断面流速は安定な処理水を得るために最適な範囲をもち、溶解槽の数を増やすことで、被処理水量に対応できる。この最適な範囲は、水深によって変わってくるので、溶解槽を変えるときには予め測定して最適な範囲を把握することが望ましい。水深5m、直径20mmのオゾン溶解槽を用いた場合は、断面流速を40〜200cm/sとすると好ましい結果となる。
(1)オゾンをオゾン溶解槽内の被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンと被処理水とを反応させる滞留槽とを有するオゾン処理装置において、
前記オゾン溶解槽が複数の下降管式オゾン溶解槽であってそれぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続した構成からなり、かつそれら下降管式オゾン溶解槽は下降管式オゾン溶解槽の上部において被処理水切り替えバルブを備えた管により分流可能に接続されていることを特徴とするオゾン処理装置。
(2)複数の下降管式オゾン溶解槽にオゾン切り替えバルブを備えた分流可能に接続されているオゾン供給管によりオゾンを注することを特徴とする(1)記載のオゾン処理装置。
(3)オゾン化ガスをオゾン溶解槽内に導入するオゾン化ガス導入工程と、オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させる2本以上の下降管式オゾン溶解槽から構成されるオゾン溶解工程と、前記オゾン溶解工程で溶解した前記溶存オゾンを前記被処理水に反応させる滞留工程とを有する下降管式オゾン処理方法であって、
オゾン溶解槽内に導入する被処理水の断面流速が一定数値内となるように複数の下降管式オゾン溶解槽に分流させることを特徴とする下降管式オゾン処理方法。
(4)前記被処理水の水量変動に対して前記オゾン溶解工程における断面流速がオゾン化ガスが浮上しないように予め定めた所定の範囲になるように、前記オゾン溶解工程の分割数を決定することを特徴とする(3)記載のオゾン処理方法。
(5)オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンが被処理水を接触処理する滞留槽とを有するオゾン処理装置において、前記オゾン溶解槽が上部に被処理水導入部を設けた複数の下降管式オゾン溶解槽からなり、それぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続した構成とし、それら被処理水導入部は被処理水供給手段と分流可能に接続したことを特徴とするオゾン処理装置。
(6)下降管式オゾン溶解槽の被処理水導入部は被処理水供給手段と被処理水切り替えバルブを備えた被処理水供給管により分流可能に接続していることを特徴とする(5)記載のオゾン処理装置。
(7)少なくとも一つの下降管式オゾン溶解槽の被処理水導入部は被処理水を被処理水供給手段から被処理水供給管により直接導入し、それ以外の下降管式オゾン溶解槽の被処理水導入部は被処理水を被処理水供給手段から被処理水切り替えバルブを通して被処理水供給管により導入することを特徴とする(7)記載のオゾン処理装置。
(8)少なくとも一つの下降管式オゾン溶解槽の被処理水導入部は被処理水供給手段と被処理水供給可能に接続しており、それ以外の下降管式オゾン溶解槽の被処理水導入部は被処理水供給手段と被処理水切り替えバルブを備えた被処理水供給管により分流可能に接続していることを特徴とする(7)記載のオゾン処理装置。
5: 気泡
7: 排オゾン処理装置
11: 被処理水
12: 処理水
21: 送水ポンプ
22: 被処理水導入口
23: 排出口
24: 流量計
41: ディフューザー
42: ディフューザー
61: オゾン処理装置溶解槽
62: オゾン処理装置溶解槽
63: オゾン処理装置滞留槽
81: オゾン注入切り替えバルブ
82: 被処理水切り替えバルブ
91: 溶解槽での被処理水の断面流速を算出する制御装置
Claims (5)
- オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンが被処理水を接触処理する滞留槽とを有するオゾン処理装置において、前記オゾン溶解槽が上部に被処理水導入部を設けた複数の下降管式オゾン溶解槽からなり、それぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続したことを特徴とするオゾン処理装置。
- オゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解槽と、前記被処理水内の溶存オゾンが被処理水を接触処理する滞留槽とを有するオゾン処理装置において、前記オゾン溶解槽が上部に被処理水導入部を設けた複数の下降管式オゾン溶解槽からなり、それぞれのオゾン溶解槽は前記滞留槽と接続した構成とし、それら被処理水導入部は被処理水供給手段と分流可能に接続したことを特徴とするオゾン処理装置。
- オゾン溶解槽の被処理水導入部に、多孔質のガラス、セラミックスまたはステンレス鋼からなるオゾン化ガスを散気するためのディフューザーを設けることを特徴とする請求項1または2記載のオゾン処理装置。
- オゾン溶解槽内にてオゾン化ガスを被処理水に下降流中で溶解させるオゾン溶解工程と、前記オゾン溶解工程で被処理水中に溶解した溶存オゾンが前記被処理水を接触処理する滞留工程とを有するオゾン処理方法において、オゾン溶解槽が、上部に設けた被処理水導入部にて被処理水供給手段と分流可能に接続した複数の下降管式オゾン溶解槽であり、前記オゾン溶解槽内に導入する被処理水の断面流速が安定な処理水を得ることができる一定範囲内となるように被処理水を複数の下降管式オゾン溶解槽に分流させることを特徴とするオゾン処理方法。
- 被処理水の水量を測定して安定な処理水を得る断面流速の範囲を求め、オゾン溶解工程における断面流速がオゾン化ガスが浮上しないような断面流速以上であって安定な処理水を得られる断面流速の範囲となるように、下降管式オゾン溶解槽の使用数を決定することを特徴とする請求項4記載のオゾン処理方法。
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JP2003322157A JP2005087812A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | オゾン処理装置およびその装置を用いたオゾン処理方法 |
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