JP2005086904A - 磁性体を用いた熱機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】 温度によって磁化が変化する磁性体に対する加熱温度と冷却温度との温度差が小さくても、大きな磁化の差を得ることができ、大きな機械エネルギー出力を得ることを可能とする。
【解決手段】 磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する磁性体を用いた熱機関において、感温性磁性材料から成るピストン11に対して、加熱と冷却を繰り返すことによってピストン11がピストン運動を行い、ピストン11に接続されたクランク14を回転運動させる。このとき、感温性磁性材料は、温度変化による常磁性から強磁性への相転移が一次転移であるのでそのときに磁化の変化は急峻であり、加熱温度と冷却温度とを相転移温度を挟むように設定することで、加熱と冷却との温度差が小さくても、大きな磁化の変化を得ることができ、大きな機械エネルギーを得ることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、磁性体を用いた熱機関に関し、より詳細には、工場などからの温排水のような低質の熱を回収して動力に変換する磁性体を用いた熱機関に関するものである。
磁性体を用いた熱機関は、温度によって磁化が変化する磁性材料を利用したものであり、今日まで幾つかの装置が提案されている。
温度によって磁化が変化する磁性材料からなる円筒体1に磁石2を近づけて設置した熱機関(熱磁気エンジン)としては図1に示すような装置がある。この装置においては、温度によって磁化が変化する磁性材料は、冷却することによって、磁化が大きくなる材料である。この装置において、円筒体1の磁石2に隣接する部分から円周方向にどちらか一方にずれた部分を加熱し、同時にもう一方にずれた部分を冷却する。それにより、円筒体の加熱部分と冷却部分との間に温度勾配が生じる。温度によって磁化が変化する磁性材料としてここで例示されているサーマロイと呼ばれる鉄とニッケルからなる整磁材料は、70℃以下の温度範囲では温度低下に伴い磁化の値が上昇する。したがって、磁石近傍の円筒体の磁化は、加熱部分から冷却部分に向かい、徐々に大きくなっている。すなわち磁化の勾配が生じている。このとき、磁石2により生じる磁場と温度によって磁化が変化する磁性材料の磁化との作用から、冷却部分に対して磁石の方向に引き寄せられるように力が及び、結果として円筒体1は、冷却部分から加熱部分に向かって回転を始める。ここで円筒体1の、磁石に対して同じ位置(すなわち回転する円筒体に対しては加熱部、冷却部に対して回転方向と逆方向に隣接する位置)を常に加熱および冷却し、常に、温度によって磁化が変化する磁性材料に対して温度勾配(すなわち磁化の勾配)を形成することで、円筒体1の回転運動を永続的に起こすことができる。(特許文献1参照)
また、特許文献1においては、温度によって磁化が変化する磁性材料として、フェライトを用いた例も示されている。
図2は、代表的な温度によって磁化が変化する磁性材料であるNi70Fe30合金の磁化の温度変化を示す図である。
図2において、30℃から110℃までの温度範囲では、温度上昇に対して磁化は単調に減少している。同図におけるグラフの傾きはほぼ一定であり、温度差20℃に対して約0.1テスラの磁化の変化が生じる。従って、30℃から110℃まで温度上昇させると、磁化の変化は約0.4テスラとなる。
すなわち、例えば図1の装置において、冷却温度30℃で加熱温度50℃の場合、磁石2から発生する磁場が1テスラとすると、温度によって磁化が変化する磁性材料の冷却部分と加熱部分の単位体積あたりの磁気的エネルギーの差ΔUは、冷却部分と加熱部分との磁化の差をΔM、磁石から発生する磁場をμ0Hとすると、
ΔU=−ΔM・H=0.1/μ0 (μ0:真空の透磁率)
となり、そのうち摩擦や渦電流などの損失を差し引いた分を機械エネルギーとして得ることができる。
特開平9−268968号公報
しかしながら、図2において、例えば、温度差が20℃のように小さい場合、温度によって磁化が変化する磁性材料(本明細書では、「感温性磁性材料」ともいう)の冷却部分と加熱部分との磁化の差ΔMは約0.1テスラと小さいため、得られる磁気的エネルギーの差ΔUは、小さくなる。従って、大きな磁化の差ΔMを得るためには、冷却部分と加熱部分との温度差を大きくしなければならない。しかしながら、同図において、温度差を80℃と大きくしても、そのとき得られる磁化ΔMは、0.4テスラと大きな値にならないので、得られる機械エネルギー大きくならない。従来において、温度差を200℃以上にしなければ実用的な機械エネルギーを得るのに必要な磁化の差ΔMを得ることができない。
一方、感温性磁性材料を用いた熱機関は、工場等からの温排水、機器等の排熱、地熱等の天然熱源などからの比較的低質(低温)の熱を回収し、従来であれば捨てられていた熱エネルギーを利用し、エネルギーの有効活用および省エネルギーに貢献するように使用されることが考えられている。そのためには加熱源(工場等からの温排水等)と冷却源(主に大気または水等)との温度差が小さくても、大きな磁化の差ΔMが得られ、大きな機械エネルギー出力を得られるようにしなければならない。
しかしながら、上述の熱機関では、加熱源と冷却源との温度差が小さい場合、大きな磁化の差を得ることは難しい。
本発明は、小さな温度差でも大きな磁化の差を得ることにより、大きな機械エネルギー出力を得ることが可能な熱機関を提供する。
よって、本発明は、温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、前記磁性体を加熱するための加熱源と、前記磁性体を冷却するための冷却源と、前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、前記加熱の温度と前記冷却の温度は、前記磁性体の一次相転移による、温度変化に対する磁化の変化が最も大きい温度を挟んだ両側の温度であることを特徴とする。
さらに本発明は、温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、前記磁性体を加熱するための加熱源と、前記磁性体を冷却するための冷却源と、前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、前記加熱の温度と前記冷却の温度は、前記磁性体の磁化の変化が一次転移と同様に急峻である二次相転移による、温度変化に対する磁化の変化が最も大きい温度を挟んだ両側の温度であることを特徴とする。
さらに、本発明は、温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、前記磁性体を加熱するための加熱源と、前記磁性体を冷却するための冷却源と、前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、前記加熱された温度と前記冷却された温度との温度差が10℃以下である場合、0.5テスラ以上の磁化の変化を生じることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、常磁性から強磁性への相転移が一次転移である、感温性磁性材料を備えたので、工場等の温排水等の熱源と空気または水等の冷却源との温度差が小さい場合でも、感温性磁性材料の加熱部分と冷却部分との間の磁化の差を大きくすることができ、大きな機械エネルギー出力を得ることが可能である。また、感温性磁性材料の組成を変えることにより、常磁性から強磁性への相転移温度を任意に変えることができる。
本発明の熱機関においては、感温性磁性材料として、温度変化による常磁性と強磁性との相転移が一次の相転移であり、相転移温度(キュリー温度)近傍の磁化の変化が従来の感温性磁性材料と比較して急峻である物質を用いる。または、温度変化による常磁性と強磁性との相転移が二次相転移であるが、一次相転移に極めて近い状態であり、キュリー温度近傍の磁化の変化が従来の感温性磁性材料と比較して急峻である物質を用いることもできる。
図3(a)および(b)は、本発明に係る常磁性と強磁性とが一次相転移である物質の温度と磁化の関係を示す図である。
図3(a)に示すように、キュリー温度近傍で磁化が急峻に変化する物質に対して、本発明に係る熱機関に用いる感温性磁性材料の加熱温度(以降単に、加熱温度と呼ぶ)と本発明に係る熱機関に用いる感温性磁性材料の冷却温度(以降単に、冷却温度と呼ぶ)とを、キュリー温度を挟むようにして設定する。すなわち、加熱温度をキュリー温度よりわずかに高い温度に設定し、冷却温度をキュリー温度よりわずかに低い温度に設定すると、加熱部分と冷却部分との間で大きな磁化の差が生じる。このようにして得られた磁化の差から大きな機械エネルギーを得ることができる。
図3(b)に示すように、一次相転移では通常、キュリー温度近傍で磁化のヒステリシスが見られる。この場合において、加熱温度を昇温ヒステリシス曲線の最高温度よりわずかに高い温度に設定し、冷却温度を降温ヒステリシス曲線の最低温度よりわずかに低い温度に設定する。それにより、過熱部分と冷却部分との間に大きな磁化の差が生じる。従って、小さな温度差で大きな機械エネルギーを得ることができる。
上述のような温度変化による常磁性から強磁性への相転移が一次である物質としては、Mn(As,Sb)、MnFe(P,As)、La(Fe,Si)13Hy、Gd5(Si,Ge)4などが存在する。またこれらの物質は、組成によっては相転移が二次になることがあるが、一次相転移に近い状態では、二次相転移による磁化の変化は急峻である。すなわち、温度による常磁性から強磁性への相転移が二次であっても、小さな温度差で大きな磁化の差を生じるものであれば、本発明に含まれる。
上述のように、本発明によれば、温度変化による常磁性から強磁性への相転移が一次である物質において、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、大きな磁化の差を得ることができる。好ましくは、温度差10℃以下で、磁化の差が0.5テスラ以上である場合が望ましい。
(実施形態1)
本実施形態は、本発明に係る熱機関の温度よって磁性が変化する磁性材料としてMnAsおよびMn(As0.95Sb0.05)を用いる場合である。
図4は、MnAsおよびMn(As0.95Sb0.05)の磁化の温度変化を示す図である。
図4において、MnAsの場合、常磁性と強磁性との相転移にヒステリシスが見られ、一次相転移であることがわかる。従って、冷却温度を降温ヒステリシス曲線の最低温度よりもわずかに低い温度に設定し、加熱温度を昇温ヒステリシス曲線の最高温度よりもわずかに高い温度の設定することで、冷却時と加熱時との間に大きな磁化の差を生じることができる。例えば、冷却温度を水の温度として35℃に、加熱温度を工場等の温排水の温度として50℃に設定した場合、冷却部分と加熱部分の磁化の差は約0.8テスラとなり、従来の、温度により磁性が変化する磁性材料であるNi70Fe30を冷却温度30℃、加熱温度50℃に設定した場合の磁化の差の約8倍の値が得られる。従って、従来の材料を用いたときの約8倍の機械エネルギー出力が期待できる。
図5は、本発明に係る感温性磁性材料を用いた熱機関を示す図である。
図5において、感温性磁性材料を含むピストン11(以降、単にピストン11と呼ぶ)は、ピストンシリンダ13内を上下自在に往復運動するように配設されている。ピストン11の一方の面は、ピストンシリンダ13の底面に一方端を接続したバネの他方端が接続されている。一方、ピストン11の他方の面は、支持手段であるクランク14と接続することができる。また、ピストン11は、図示していない可動性の第1供給管と図示していない可動性の排水管とに接続されており、第1供給管および配水管は、ピストン11と連動して上下に往復運動する。第1供給管は、図示していない弁を介して図示していない冷却源を供給するための第2供給管と図示していない加熱源を供給するための第3供給管とに接続されている。弁は、図示していないアクチュエータにより第2供給管と第3供給管との切換を行っている。また、加熱源および冷却源並びに排水については、図示していないポンプによって制御している。磁場発生装置である磁石12は、ピストンシリンダ13を挟むように配設され、ピストンシリンダ13内に一定の磁場をかけている。
以下で、感温性磁性材料としてMnAsを用いた場合の、図5で例示した熱機関の動作を説明する。
ピストン11を構成する感温性磁性材料の磁化が小さいとき、ピストン11は、バネの復元力によりピストンシリンダ13の下方にある。このとき、アクチュエータにより弁を第2供給管に切り替えて冷却源である水をピストン11に供給して、ピストン11を冷却すると、ピストン11の磁化は大きくなり、ピストン11は、磁石2に引き寄せられ上方に持ち上げられる。このとき、ピストン11内の冷却源である水を排水管から排水する。ついで、アクチュエータにより弁を第3供給管に切り替えて加熱源である工場等の温排水を、上方に持ち上げられたピストン11に供給する。このとき、ピストン11は、温度上昇により磁化が小さくなり、バネの復元力によって再びピストンシリンダの下方に下がる。このとき、ピストン11内の加熱源である工場等の温排水を排水管から排水する。このようにして、ピストン11の移動領域の両側の範囲で、つまりピストン11の下方(冷却位置)およびピストン11の上方(加熱位置)でピストン11内に含まれる感温性磁性材料の磁化変化を生じさせることができる。上述したピストン11の加熱、冷却を繰り返すことにより、ピストン11はピストン運動を行うことで、熱エネルギーを機械エネルギーに変換することができる。このとき、ピストン11にクランク14を接続する場合、上述のピストン運動によってクランクが回転運動を行い、機械エネルギーを回転運動として外部に取り出すことができる。
本実施形態においては、加熱源を工場等の温排水としたが、例えば、機器等の排熱、地熱等の天然熱源等のように、感温性磁性材料を加熱するものであれば、本実施形態の加熱源として用いることができる。また、冷却源を水としたが、例えば、大気等のように、感温性磁性材料を冷却するものであれば、本実施形態の冷却源として用いることができる。
本実施形態においては、図5でバネを用いたが、ピストン11をピストンシリンダ13の下方に移動させる手段として、重力を用いても良い。
本実施形態では、加熱温度を50℃、冷却温度を35℃と設定したが、加熱温度は、昇温ヒステリシス曲線の最高温度よりも高い温度であればいずれでも良く、冷却温度は、降温ヒステリシス曲線の最低温度よりも低い温度であればいずれでも良い。
図5に例示された熱機関において、感温性磁性材料として、従来より用いられるNi70Fe30を用いた場合と本実施形態で用いたMnAsを用いた場合とについて同じ加熱温度と冷却温度とによって、熱を機械エネルギーに変換したところ、本実施形態で用いたMnAsを用いた場合の方が大きな機械エネルギーを得ることができる。
また、背景技術で示した図1の構成の熱機関において、感温性磁性材料として本実施形態で用いたMnAsを用いた場合においても上述と同様に、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、得られる磁化の差は大きく、大きな機械エネルギーを得ることができる。
図4中に示されるように、MnAsのヒ素(As)を5%アンチモン(Sb)で置換した物質であるMn(As0.95Sb0.05)の場合には、キュリー温度が低下し、相転移のヒステリシスが小さくなる。さらにアンチモン10%以上置換した物質では、キュリー温度はさらに低下する。またヒステリシスは消失し、二次の相転移となる。このような材料ではヒステリシスが無いため、より小さな温度差で比較的大きな出力を得る場合に有効である。また、組成すなわちアンチモン置換量によりキュリー温度が調節できるため、加熱源である工場等の温排水等の温度、または冷却源である大気の温度あるいは水温に合わせて、最適な組成の材料を選ぶことができる。Sb置換のみならず、他の置換元素を加えることによっても、同様にキュリー温度およびヒステリシス形状を変化させることができ、使用条件によって適当な材料を選択することが可能である。
以上本実施形態によれば、磁性体を用いる熱機関において、感温性磁性材料としてMnAsおよびMn(As0.95Sb0.05)を用いると、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、大きな磁化の差を得ることができ、従って、大きな機械エネルギーを得ることができる。また、Mn(As0.95Sb0.05)において、アンチモンの置換量を変化させると、それに伴ってキュリー温度を変化させることができる。
(実施形態2)
本実施形態は、本発明に係る熱機関の温度よって磁性が変化する磁性材料としてMnFe(P0.45As0.55)を用いる場合である。
なお、MnFe(P1-xAsx)は、PとAsとの構成比が、1−x対xであることを示している。本実施形態においては、MnFe(P1-xAsx)は、0.2≦x≦0.8の範囲で用いることができる。
本実施形態において、MnFe(P0.45As0.55)は、常磁性から強磁性へと相転移するキュリー温度約25℃において、急激な磁化の変化が見られる。すなわち、MnFe(P0.45As0.55)は、一次の相転移を示す材料である。従って、約25℃を挟むようにして、加熱温度および冷却温度を設定することにより、大きな磁化の差を得ることができる。
本実施形態において、図5で例示した熱機関を用いるが、その構成、動作は実施形態1で説明したのでここでは省略する。
図5の熱機関において、感温性磁性材料としてMnFe(P0.45As0.55)を用いる。例えば、冷却温度を17℃、加熱温度を32℃に設定した場合、冷却部分と加熱部分の磁化の差は約0.8テスラとなる。これは実施形態1のMnAsの場合と同様に、従来材料であるNi70Fe30と比較して、小さい温度差で大きな機械エネルギー出力を得ることができることを示している。
また、背景技術で示した図1の構成の熱機関において、感温性磁性材料として本実施形態で用いたMnFe(P0.45As0.55)を用いた場合においても上述と同様に、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、得られる磁化の差は大きく、大きな機械エネルギーを得ることができる。
また、本実施形態で用いたMnFe(P0.45As0.55)においては、リン(P)とヒ素(As)との組成比を変化させることで、キュリー温度を変化させることができる。具体的にはAsの比率を小さくするとキュリー温度は低下し、逆にAsの比率を大きくすることでキュリー温度を上昇させることができる。また、他の置換元素を加えることによってもキュリー温度を変化させることができる。
従って、実施形態1のMn(As,Sb)と同様に、組成によりキュリー温度を調節することで、熱源温度などの使用環境により最適な材料を選択することができる。
(実施形態3)
本実施形態は、本発明に係る熱機関の温度によって磁性が変化する磁性材料としてLa(Fe0.88Si0.12)13H1.5を用いる場合である。
なお、La(Fe1-xSix)13Hyは、FeとSiとの構成比が、1−x対xであることを示している。本実施形態においては、La(Fe1-xSix)13Hyは、0.2≦x≦0.8および0≦y≦3の範囲で用いることができる。
本実施形態において、La(Fe0.88Si0.12)13H1.5は、常磁性から強磁性へと相転移するキュリー温度約60℃において、急激な磁化の変化が見られる。すなわち、La(Fe0.88Si0.12)13H1.5は、一次の相転移を示す材料である。従って、約60℃を挟むようにして、加熱温度および冷却温度を設定することによって、大きな磁化の差を得ることができる。
本実施形態において、図5で例示した熱機関を用いるが、その構成、動作は実施形態1で説明したのでここでは省略する。
図5の熱機関において、感温性磁性材料としてLa(Fe0.88Si0.12)13H1.5を用いる。例えば、冷却温度を52℃、加熱温度を67℃に設定した場合、冷却部分と加熱部分の磁化の差は約0.7テスラとなる。これは実施形態1のMnAsの場合と同様に、従来材料であるNi70Fe30と比較して、小さい温度差で大きな機械エネルギー出力を得ることができることを示している。
また、背景技術で示した図1の構成の熱機関において、感温性磁性材料として本実施形態で用いたLa(Fe0.88Si0.12)13H1.5を用いた場合においても上述と同様に、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、得られる磁化の差は大きく、大きな機械エネルギーを得ることができる。
また、本実施形態で用いたLa(Fe0.88Si0.12)13H1.5においては、水素の組成比を変化させることで、キュリー温度を変化させることができる。具体的には水素の組成比を小さくすることによりキュリー温度を低下させることができる。また、他の置換元素を加えることによってもキュリー温度を変化させることができる。
従って、実施形態1のMn(As,Sb)と同様に、組成によりキュリー温度を調節することで、熱源温度などの使用環境により最適な材料を選択することができる。
(実施形態4)
本実施形態は、本発明に係る熱機関の温度のよって磁性が変化する磁性材料としてGd(Si0.5Ge0.5)4を用いる場合である。
なお、Gd(Si1-xGex)4は、SiとGeとの構成比が、1−x対xであることを示している。本実施形態においては、Gd(Si1-xGex)4は、0.4≦x≦0.6の範囲で用いることができる。
本実施形態において、Gd(Si0.5Ge0.5)4は、キュリー温度約3℃において、急激な磁化の変化が見られる。すなわち、Gd(Si0.5Ge0.5)4は、一次の相転移を示す材料である。従って、約3℃を挟むようにして、加熱温度および冷却温度を設定することにより、おおきな磁化の差を得ることができる。
本実施形態において、図5で例示した熱機関を用いるが、その構成、動作は実施形態1で説明したのでここでは省略する。
図5の熱機関において、感温性磁性材料としてGd(Si0.5Ge0.5)4を用いる。例えば、冷却温度を0℃、加熱温度を15℃に設定した場合、冷却部分と加熱部分の磁化の差は約0.6テスラとなる。これは実施形態1のMnAsの場合と同様に、従来材料であるNi70Fe30と比較して、小さい温度差で大きな機械エネルギー出力を得ることができることを示している。
また、背景技術で示した図1の構成の熱機関において、感温性磁性材料として本実施形態で用いたGd(Si0.5Ge0.5)4を用いた場合においても上述と同様に、加熱温度と冷却温度との温度差が小さい場合でも、得られる磁化の差は大きく、大きな機械エネルギーを得ることができる。
また、本実施形態で用いたGd(Si0.5Ge0.5)4においても、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)組成比を変化させることで、キュリー温度を変化させることができる。また、他の置換元素を加えることによってもキュリー温度を変化させることができる。
従って、実施形態1のMn(As,Sb)と同様に、組成により相転移温度を調節することで、熱源温度などの使用環境により最適な材料を選択することができる。
熱を機械エネルギーに変換する熱機関を示す図である。 感温性磁性材料であるNi70Fe30合金の磁化の温度変化を示す図である。 本発明に係る常磁性と強磁性とが一次相転移である物質の磁化の温度変化を示す図である。 本発明に係るMnAsおよびMn(As0.95Sb0.05)の磁化の温度変化を示す図である。 本発明に係る感温性磁性材料を用いた熱機関を示す図である。

Claims (6)

  1. 温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、
    前記磁性体を加熱するための加熱源と、
    前記磁性体を冷却するための冷却源と、
    前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、
    移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、
    前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、
    前記加熱の温度と前記冷却の温度は、前記磁性体の一次相転移による、温度変化に対する磁化の変化が最も大きい温度を挟んだ両側の温度であることを特徴とする熱機関。
  2. 温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、
    前記磁性体を加熱するための加熱源と、
    前記磁性体を冷却するための冷却源と、
    前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、
    移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、
    前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、
    前記加熱の温度と前記冷却の温度は、前記磁性体の磁化の変化が一次転移と同様に急峻である二次相転移による、温度変化に対する磁化の変化が最も大きい温度を挟んだ両側の温度であることを特徴とする熱機関。
  3. 前記温度によって磁性が変化する磁性材料は、MnAs、Mn(As1-xSbx) (0<x≦0.2)で表される化合物、またはMnFe(P1-xAsx)(0.2≦x≦0.8)で表される化合物、またはLa(Fe1-xSix)13Hy(0≦x≦0.2、0≦y≦3)で表される化合物、またはGd5(Si1-xGex)4(0.4≦x≦0.6)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の熱機関。
  4. 前記加熱源は、工場等の温排水、機器等の排熱または地熱等の天然熱源であることを特徴とする請求項1乃至3記載の熱機関。
  5. 前記冷却源は、大気、または水であることを特徴とする請求項1乃至3記載の熱機関。
  6. 温度によって常磁性から強磁性へ相転移して磁化が変化する磁性体を用い、該磁性体に対して加熱および冷却を繰り返すことで熱を機械エネルギーに変換する熱機関において、
    前記磁性体を加熱するための加熱源と、
    前記磁性体を冷却するための冷却源と、
    前記磁性体を移動可能に支持する支持手段と、
    移動領域の一部に磁場を発生する磁場発生手段と、
    前記加熱源による加熱と前記冷却源による冷却とを前記磁性体に作用させることにより、前記磁場発生手段により磁場が発生する前記移動領域の一部の、前記移動領域においては両側の範囲で、前記磁性体に磁化変化を生じさせる手段とを備え、
    前記加熱された温度と前記冷却された温度との温度差が10℃以下である場合、0.5テスラ以上の磁化の変化を生じることを特徴とする熱機関。
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