次に、添付図面を参照しながら本発明の画像処理装置の諸実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の画像処理装置における第1の実施形態を図面に基づき説明する。第1の実施形態における画像処理装置は、附記1(請求項1)〜附記4における画像処理装置の一形態を示したものである。
図1は、第1の実施形態における画像処理装置のシステム構成を示すブロック図である。図1において、1はリーダ部で、原稿の画像を読み取り、原稿画像に応じた画像データを後述する画像入出力制御部3へ出力する。2はプリンタ部で、画像入出力制御部3からの画像データに応じた画像を記録紙上に記録する。3は画像入出力制御部で、リーダ部1及びプリンタ部2に接続されており、ファクシミリ部4、ネットワーク・インターフェース部5、コンピュータ・インターフェース部6及びコア部10等からなる。
ファクシミリ部4は、電話回線11を介して受信した圧縮画像データを伸長して、該伸長された画像データをコア部10へ転送し、また、このコア部10から転送された画像データを圧縮して、該圧縮された画像データを電話回線11を介して送信するものである。
ネットワーク・インターフェース部5は、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク(LAN/WAN)12とコア部10との間に配設されるインターフェースである。
コンピュータ・インターフェース部6は、パーソナルコンピュータまたはワークステーション(PC/WS)13とコア部10との間に配設されるインターフェースである。
コア部10は、リーダ部1、プリンタ部2、ファクシミリ部4、ネットワーク・インターフェース部5、コンピュータ・インターフェース部6の相互間におけるデータの流れを制御するものである。
図2は、リーダ部1及びプリンタ部2の構成を示す縦断面図である。同図において、リーダ部1の原稿給送装置101は、原稿を最終頁から順に1枚ずつプラテンガラス102上へ給送し、原稿の読み取り動作終了後、プラテンガラス102上の原稿を排出するものである。
原稿給送装置101により原稿がプラテンガラス102上に搬送されると、ランプ103を点灯し、スキャナユニット104の移動を開始させて、原稿を露光走査する。このときの原稿からの反射光は、ミラー105,106,107及びレンズ108によってCCDイメージセンサ(以下、CCDと記述する)109へ導かれる。このように走査された原稿の画像は、CCD109によって読み取られる。CCD109から出力される画像データは、所定の処理が施された後、画像入出力制御部3のコア部10へ転送される。
プリンタ部2のレーザードライバー201は、レーザー発光部201aを駆動するものであり、コア部10から出力された画像データに応じたレーザー光をレーザー発光部201aに発光させる。このレーザー光は、感光ドラム202に照射され、該感光ドラム202にはレーザー光に応じた潜像が形成される。この感光ドラム202の潜像の部分には、現像器203によって現像剤が付着される。
そして、レーザー光の照射開始と同期したタイミングで、上段給紙カセット204及び下段給紙カセット205のいずれかから記録紙を給紙して転写部206へ搬送し、感光ドラム202に付着された現像剤を記録紙に転写する。現像剤が転写された記録紙は定着部207へ搬送され、該定着部207での熱と圧力により、現像剤が記録紙に定着される。定着部207を通過した記録紙は、排出ローラ208によって排出され、続いて、ソータ211では、排出された記録紙をそれぞれのビン212に収納して記録紙の仕分けを行う。
なお、ソータ211は、仕分けが設定されていない場合は、最上部のビン212に記録紙を収納する。また、両面記録が設定されている場合は、排出ローラ208のところまで記録紙を搬送した後、排出ローラ208の回転方向を逆転させ、フラッパ209によって再給紙搬走路210へ導く。また、多重記録が設定されている場合は、記録紙を排出ローラ208まで搬送しないようにフラッパ209によって再給紙搬走路210へ導く。再給紙搬走路210へ導かれた記録紙は、上述したタイミングで転写部206へ搬送される。
図3は、リーダ部1の内部構成を示すブロック図である。同図において、109はCCD、110はA/D変換・シェーディング補正部(以下、A/D・SH部と記述する)、111は画像処理部、112はインターフェース(I/F)、113はCPU(中央処理装置)、114は操作部、115はメモリである。
図3において、CCD109から出力された画像データは、A/D・SH部110でアナログ/デジタル変換処理が行われると共に、シェーディング補正処理が行われる。A/D・SH部110によって処理された画像データは、画像処理部111、インターフェース(I/F)112を介して画像入出力制御部3のコア部10へ転送される。
CPU(中央処理装置)113は操作部114で設定された設定内容に応じて画像処理部111及びインターフェース112を制御する。例えば、トリミング処理を行って複写を行う複写モードが操作部114で設定されている場合には、画像処理部111でトリミング処理を行わせて、インターフェース112から画像データと設定されたモードに応じた制御コマンドをコア部10へ転送させる。また、ファクシミリ送信モードが操作部114で設定されている場合には、インターフェース112から画像データと設定されたモードに応じた制御コマンドをコア部10へ転送させる。
このようなCPU113の制御プログラムは、メモリ115に格納されており、CPU113は、メモリ115内の制御プログラムを参照しながら制御を行う。また、メモリ115は、CPU113の作業領域としても使われる。
図4は、コア部10の内部構成を示すブロック図である。同図において、121は制御LSI、122はメモリ、123はハードディスクドライブ(HDD)である。制御LSI121は、CPU、メモリコントローラ、HDDコントローラ、外部I/F等を内部に持つ高集積度LSIであり、メモリ122に格納されたプログラムによって画像データの流れを制御する。メモリ122は、制御LSI121のプログラムを格納するとともに、制御LSI121の作業領域として使用される。HDD123は、制御LSI121のプログラムを格納するとともに、画像データの一時記憶として使用される。
図4において、リーダ部1からの画像データは、制御LSI121へ転送されるとともに、リーダ部1からの制御コマンドは、制御LSI121へ転送される。そして、リーダ部1から制御LSI121へ転送された画像データは、HDD123に格納される。
電話回線11からファクシミリ部4に対して入力された画像を表すコードデータは、ファクシミリ部4において画像データに展開される。該展開された画像データは、制御LSI121へ転送され、HDD123に格納される。また、LAN/WAN12からネットワーク・インターフェース部5に対して入力された画像データは、ネットワーク・インターフェース部5を介して制御LSI121へ転送され、HDD123に格納される。また、PC/WS13からコンピュータ・インターフェース部6に対して入力された画像を表わすコードデータは、コンピュータ・インターフェース部6において画像データに展開される。該展開された画像データは、制御LSI121へ転送され、HDD123に格納される。
リーダ部1、ファクシミリ部4、ネットワーク・インターフェース部5またはコンピュータ・インターフェース部6から画像データとともに転送された制御コマンドに応じてHDD123に一時格納された画像データは、制御LSI121を介してファクシミリ部4、ネットワーク・インターフェース部5または画像処理LSI124をさらに介してプリンタ部2へ転送される。
制御LSI121は、メモリ122に記憶されている制御プログラム及びリーダ部1から転送された制御コマンド及び画像データとともに転送された制御コマンドに従って上述したような制御を行う。このように、コア部10を中心に原稿画像の読み取り、画像のプリント、画像の送受信、PC/WS13からのデータの入出力等の機能を複合させた処理を行うことが可能である。
図5は、制御LSI121の内部構成を示すブロック図である。同図において、170はCPU、171はファクシミリI/F部、172はネットワークI/F部、173はメモリコントローラ部、174はHDDコントローラ部、175はデータ入力部、176はデータ出力部、177は内部バスである。
制御LSI121の動作を以下に説明する。
図5において、ファクシミリ部4からの画像データは、ファクシミリI/F部171に入力される。ファクシミリI/F部171は、CPU170の制御により、受信した画像データをHDDコントローラ174を介してHDD123へ格納する。ネットワーク・インターフェース部5からの画像データは、ネットワークI/F部172に入力される。ネットワークI/F部172は、CPU170の制御により、受信した画像データをHDDコントローラ174を介してHDD123へ格納する。
また、図5において、リーダ部1及びコンピュータ・インターフェース部6から入力された画像データは、データ入力部175に入力される。データ入力部175は、CPU170の制御により、受信した画像データをHDDコントローラ174を介してHDD123へ格納する。
さらに、図5において、CPU170の制御によりHDD123から読み出された画像データは、メモリ122を作業領域に使用してデジタル署名付加処理を実行するために利用されたり、電子透かし情報の埋め込み処理をされたり、HDDコントローラ部174及び内部バス177を介してデータ出力部176、ファクシミリI/F部171、ネットワークI/F部172、またはHDDコントローラ部174へ転送されたりする。
なお、ここでの処理や転送先は、ファクシミリI/F部171、ネットワークI/F部172及びデータ入力部175を介してCPU170が受信した画像データ処理要求に応じて決定され、CPU170により内部バス177、HDDコントローラ部174、及びメモリコントローラ部173が制御されて要求された処理が実行される。このCPU170の動作は、メモリ122にあらかじめ格納されたプログラムに従うものである。
上述のCPU170が受信した画像データ処理要求は、複数の処理が指定される場合もあり、その場合にはCPU170はプログラムに従い、要求されたすべての処理を要求された順番に実行する。
なお、ファクシミリI/F部171、ネットワークI/F部172及びデータ入力部175を介してCPU170が受信する画像データ処理要求の中には、ボックスに保存された画像データを取り出して処理を行う要求や、CPU170に対する設定変更処理を行う要求もある。いずれの場合にもCPU170はメモリ122に格納されたプログラムに従ってあらかじめ計画された通り適切に動作する。
そして、画像データがファクシミリI/F部171へ転送された場合には、ファクシミリI/F部171は、画像データをファクシミリ部4へ転送してファクシミリ送信を行う。画像データがネットワークI/F部172へ転送された場合には、ネットワークI/F部172は、画像データをネットワーク・インターフェース部5へ転送する。画像データがデータ出力部176へ転送された場合には、データ出力部176は、画像データをプリンタ部2へ転送する。画像データがHDDコントローラ部174へ転送された場合には、HDDコントローラ部174は、画像データをHDD123内部のボックスと呼ばれる画像データを一時格納する領域に格納する。
次に、各手段が相当する本画像処理装置の部分について説明する。
まず、附記1(請求項1)に記載の「自機器の動作内容を規定する複数の設定項目」とは、セキュリティに関する設定項目で、本実施形態では図6に示すように5つの種類があり、それぞれの設定項目が2つの設定値の中から1つを選択可能となっている。この図6の内容はHDD123内部に格納されており、CPU170は必要に応じて読み出して参照する。
ここで、それぞれの設定項目について以下に説明する。
「HDD消去方式」とは、本画像処理装置が画像処理等のためにHDDを画像データの一時記憶領域として利用した場合に、該処理が終了した後に読み取り不可能な状態まで消去するかどうかを表している。これは万が一、本画像処理装置のHDDが不正に読み取られた場合に、その対処をすることが目的であるが、欠点として画像データの完全消去に時間がかかることが挙げられる。
「FAX送信方式」とは、ファクシミリ送信を行う際に使う通信回線の種類を表している。ここで、電話回線が選択された場合には、本画像処理装置は相手先のFAX装置と1対1接続でデータ通信を行うためにデータ盗聴の危険が低くなる。欠点として通信料金が高いことが挙げられる。一方、インターネットが選択された場合には、本画像処理装置は相手先のインターネットFAX装置に対して公衆インターネット通信回線を介して接続するために、通信料金は安く済むがデータ盗聴やデータ改竄等の危険が高くなる。
「ボックスパスワード」とは、本画像処理装置内のボックスに画像データを格納するときに、パスワードを設定するか否かを表している。ここで、パスワードを設定した場合には、その画像データの読み出し参照を行うときにパスワードの入力が必要となり、不正な読み出しを防ぐ効果がある。欠点として読み出し参照の権限を持つ人や物に対してパスワードを周知させる手間と、読み出し参照時にパスワード入力の手間が必要なことが挙げられる。
「デジタル署名」とは、画像データにデジタル署名を付加するか否かを表している。ここで、デジタル署名を付加した場合には、データ改竄があればそのことを検知できるという効果がある。欠点としてあらかじめデジタル署名のためのデジタル証明書を取得しておく必要があること等、設備面でコストがかかることが挙げられる。
「電子透かし」とは、画像データ自体をその情報価値にほとんど変化がないような仕組みで改変して、本画像処理装置を特定するための情報を埋め込む電子透かし処理を行うか否かを表している。ここで、電子透かしは、画像データの不正な使用を防止する効果がある。欠点として処理に時間がかかることが挙げられる。
次に、附記1(請求項1)に記載の「複数の設定項目それぞれに対する設定情報を備える複数の動作モード」とは、本実施形態では図7に示すように5つのセキュリティレベルであり、また、図8に示すように各設定項目それぞれに対する設定情報を持っている。例えば、セキュリティレベル「セキュリティ優先」は、「HDD消去方式」、「FAX送信方式」、「ボックスパスワード」、「デジタル署名」、「電子透かし」という設定項目それぞれに対して、消去する,電話回線,設定する,付加する,付加する、という設定情報を持っている。この図8の内容はHDD123内部に格納されており、CPU170は必要に応じて読み出して参照する。
次に、附記1(請求項1)に記載の「複数の動作モードの中から、1つの動作モードを選択する動作モード選択手段」とは、操作部114である。本実施形態における操作部114には、これから開始する処理に対するセキュリティレベルを設定する操作つまみが用意されており、操作者は「セキュリティ優先」、「セキュリティ及びコスト優先」、「セキュリティ及びスピード優先」、「コスト優先」または「スピード優先」の中から1つを選択することができ、CPU113は、この選択されたセキュリティレベルの情報を前述の制御コマンドとともコア部10へ転送させる構成となっている。
次に、附記1(請求項1)に記載の「前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える前記設定情報に基づいて、機器の動作内容を規定する」とは、操作部114の操作で選択されたセキュリティレベルに対応した設定内容に従って、HDD消去方式を始めとする5種類の設定項目の設定を行い、本画像処理装置の動作を行うことを意味している。
上述した構成を用いて、コア部10の画像データにおける流れについて例を挙げて説明する。ここで、リーダ部1から読み込まれた原稿画像の画像データに対してFAX送信及びボックス格納する処理を行い、操作者が高いセキュリティのもとでの処理実行を希望している場合を例にする。
まず、操作者による操作部114の操作において、操作者は、セキュリティレベルを設定する。このとき操作者は、高いセキュリティという希望と、操作部114に表示された、図7で示した5種類のセキュリティレベルとを照らし合わせて「セキュリティ優先」というセキュリティレベルを選んで設定する。また、FAX送信処理及びボックス格納処理の指定をし、FAX送信先とボックス格納時のパスワードも指定し、そして原稿を原稿給送装置101に設置して、操作部114の処理開始ボタンを押したとする。
続いて、リーダ部1では、前述したように動作して原稿画像を読み取った画像データをコア部10に対して送信する。ここで、リーダ部1は、制御コマンドとして、FAX送信及びボックス格納処理を行うこと、FAX送信の送り先、ボックス格納時のパスワード、処理をセキュリティ優先で行うこと、を画像データと同時に送信する。その後、コア部10内の制御LSI121は、画像データ及び制御コマンドを受信し、メモリ122に記憶されているプログラムに従って指示された動作を開始する。
まず、画像データがHDD123に一時記憶されると同時に、制御コマンドに含まれるセキュレティレベル「セキュリティ優先」が解釈されて、各セキュリティに関する動作項目の設定が行われる。つまり、制御LSI121は、HDD消去方式は「消去する」、FAX送信方式は「電話回線」、ボックスパスワードは「設定する」、デジタル署名は「付加する」、電子透かしは「付加する」として以下のように処理を続ける。
制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出して、メモリ122を作業領域に利用しながら電子透かし情報の埋め込み処理及びデジタル署名の付加処理を行い、処理後の画像データを再度HDD123に一時記憶する。
続いて、制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出して、ファクシミリ部4に対して送信する。そして、ファクシミリ部4は、電話回線を使用して指定された送信先に対して画像データを送信する。
また、制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出して、HDD123内部のボックス領域に、改めてパスワード付きで格納する。そして、制御LSI121は、HDD123内部の一時記憶領域に残った画像データを読み出し不可能なように、ランダムなデータで上書き処理を行って消去する。
ここまで述べたように、多くのセキュリティに関する設定項目を持つ画像処理装置においても、リーダ部1から読み込まれた原稿画像の画像データをFAX送信及びボックス格納する処理を行う場合に、操作者は、セキュリティレベルという1つの項目を指定するだけですべてのセキュリティに関する項目を適切に設定して処理を実行することが可能である。
なお、本実施形態で挙げたリーダ部1からの読み込み動作と、FAX送信及びボックス格納といった処理動作のみならず、他のすべての処理動作に対しても同様の効果が得られるのは明らかである。
(第2の実施形態)
以下、本発明の画像処理装置における第2の実施形態を図面に基づき説明する。第2の実施形態における画像処理装置は、附記5,附記6における画像処理装置の一形態を示したものである。また、第2の実施形態における画像処理装置の装置構成は、第1の実施形態における画像処理装置の装置構成と同一である。
次に、附記5,附記6における各手段が相当する本画像処理装置の部分について説明する。
まず、「自機器の動作内容を規定する複数の設定項目」及び「複数の設定項目それぞれに対する設定情報を備える複数の動作モード」は、第1の実施形態における画像処理装置と同様である。また、「複数の動作モードの中から、1つの動作モードを選択する動作モード選択手段」とは、制御LSI121であり、「セキュリティ優先」、「セキュリティ及びコスト優先」、「セキュリティ及びスピード優先」、「コスト優先」または「スピード優先」の中から1つを選択する。
次に、附記5に記載の「画像データの出力先を複数登録記憶可能な出力先記憶手段」とは、HDD123内部に格納されている出力先一覧のデータベースであり、画像データ出力先の名前とFAX番号、電子メールアドレス、ボックス番号、ファイルサーバIPアドレス等が関連付けられてあらかじめ記憶されている。ここには、プリンタ部2への出力も含め、すべての画像データ出力先が記憶されている。
次に、附記5に記載の「前記出力先記憶手段に登録されている各画像データの出力先に対して自機器の動作モードを関連付けて記憶する動作モード関連記憶手段」とは、HDD123内部に格納されている前記出力先一覧のデータベースと同一のもので、記憶されているそれぞれの出力先の名前に関連付けてセキュリティレベルの情報が1つあらかじめ記憶されている。
次に、附記5に記載の「前記出力先記憶手段に登録されている複数の画像データ出力先のうち、少なくとも1つを選択することが可能な出力先選択手段」とは、操作部114である。本実施形態における操作部114には、出力先一覧の内容が表示され、操作者は、その中から画像データの出力先を1つまたは複数選ぶことが可能である。選択された出力先の情報は、CPU113が前述の制御コマンドとともにコア部10へ転送する構成となっている。
次に、附記5に記載の「前記出力先選択手段によって選択された少なくとも1つの画像データ出力先それぞれに対応する動作モードを、前記動作モード関連記憶手段から読み出す動作モード読み出し手段」とは、制御LSI121である。制御LSI121は、HDD123内部に格納されている出力先一覧のデータベースにアクセスして選択された画像データの出力先に関連付けられたセキュリティレベルを読み出す。
次に、附記5に記載の「前記動作モード選択手段の選択動作を制御する選択動作制御手段」とは、前記動作モード選択手段と同様で制御LSI121である。
そして、「各画像データ出力先に出力する前記画像データに対する自機器の動作内容が、各画像データ出力先に関連付けられた動作モードが備える設定情報に基づいて規定されるものとなるように前記動作モード選択手段が前記選択動作制御手段によって制御され、また、前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える設定情報に基づいて、自機器の動作内容を規定する」とは、以下のことを意味している。
制御LSI121は、各出力先に対する処理を同時ではなくて逐次的に行うが、動作モード選択もそれに同期して逐次的に行う。つまり、画像データ出力先の逐次処理に同期してその画像データ出力先に関連付けられたセキュリティレベルを選択して動作する制御を行っており、また、選択されたセキュリティレベルに対応した設定内容に従って、HDD消去方式をはじめとする5種類の設定項目の設定を行い、本画像処理装置の動作を行うことを意味している。
上述した構成を用いて、コア部10の画像データにおける流れについて例を挙げて説明する。ここで、リーダ部1から読み込まれた原稿画像の画像データを同時にセキュリティレベルの異なる2ヶ所の宛先に対してFAX送信する処理を例にする。
まず、操作者は、操作部114の操作でFAX送信処理の指定をする。操作部114を制御するCPU113は、FAX送信処理の指定がされたという情報を制御コマンドとして制御LSI121に対して送信する。そして制御LSI121では、HDD123内部に格納されている出力先一覧のデータベースに登録されているFAX送信先一覧を読み出して、その情報を制御コマンドとしてCPU113に送信する。
図9は、出力先一覧のデータベースに登録されているFAX送信先を示した図である。図9には、それぞれの画像データ送信先に関連付けて記憶されているセキュリティレベルも合わせて示してある。CPU113は、図9に示されたFAX送信先一覧を図10のように操作部114に表示する。
ここで、操作者がFAX送信先を2ヶ所指定したとする。このとき、1つは、送信元と同じ組織に属する別のFAX装置Aであり、もう1つは、送信元と別の組織に属する別のFAX装置Bとする。
続いて、操作者は、原稿を原稿給送装置101に設置して操作部114の処理開始ボタンを押す。
リーダ部1は、前述のように動作して、原稿画像を読み取った画像データをコア部10に対して送信する。ここでリーダ部1は、制御コマンドとして、FAX送信を行うこととFAX送信の送り先情報とを画像データと同時に送信する。
コア部10内の制御LSI121は、画像データ及び制御コマンドを受信し、メモリ122に記憶されているプログラムに従って指示された動作を開始する。
まず、画像データがHDD123に一時記憶される。そして、選択されたFAX送信先それぞれに対して順番に処理を行う。
続いて、最初にFAX装置Aに対する処理を行う。制御LSI121では、まず、各セキュリティに関する動作項目の設定を行う。FAX装置Aに対するセキュリティレベルは、図9に示すように「コスト優先」であるので、図8にしたがってHDD消去方式は「消去しない」、FAX送信方式は「インターネット」、ボックスパスワードは「設定しない」、デジタル署名は「付加しない」、電子透かしは「付加しない」として以下のように処理を続ける。
制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出して、メモリ122を作業領域に利用しながらインターネットFAXに適合するように画像変換を行い、処理後の画像データを再度HDD123に一時記憶する。
そして制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出してネットワーク・インターフェース部5に対して送信する。ネットワーク・インターフェース部5は、LAN/WAN12を使用して指定された送信先であるFAX装置Aに対して画像データを送信する。
続いて、FAX装置Bに対する処理を行う。制御LSI121は、まず、各セキュリティに関する動作項目の設定を行う。FAX装置Bに対するセキュリティレベルは、図9に示すように「セキュリティ優先」であるので、図8に従ってHDD消去方式は「消去する」、FAX送信方式は「電話回線」、ボックスパスワードは「設定する」、デジタル署名は「付加する」、電子透かしは「付加する」として以下のように処理を続ける。
制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出して、メモリ122を作業領域に利用しながら電子透かし情報の埋め込み処理及びデジタル署名の付加処理を行い、処理後の画像データを再度HDD123に一時記憶する。
そして制御LSI121は、HDD123に一時記憶されている画像データを読み出してファクシミリ部4に対して送信する。ファクシミリ部4は電話回線を使用して指定された送信先に対して画像データを送信する。最後に、制御LSI121は、HDD123内部の一時記憶領域に残った画像データを読み出し不可能なようにランダムなデータで上書き処理をして消去する。
ここまで述べたように、多くのセキュリティに関する設定項目を持つ画像処理装置においても、リーダ部から読み込まれた原稿画像の画像データをFAX送信する処理を行う場合に、操作者は送信先を指定するだけですべてのセキュリティに関する項目をあらかじめ設定したある通りの適切な設定値に設定して処理を実行することが可能である。さらに、複数の送信先に対しても、それぞれ個別の適切なセキュリティ設定に設定して処理を実行することが可能である。
なお、本実施形態で挙げたリーダ部1からの読み込み動作と、FAX送信といった処理動作のみならず、他のすべての処理動作に対しても同様の効果が得られるのは明らかである。
以下、本発明の諸態様を附記としてまとめて記載する。
[附記1] 自機器の動作内容を規定する複数の設定項目それぞれに対する設定情報を備える複数の動作モードの中から、1つの動作モードを選択する動作モード選択手段を有し、前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える前記設定情報に基づいて、自機器の動作内容を規定することを特徴とする画像処理装置。
[附記2] 前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする附記1に記載の画像処理装置。
[附記3] 操作者が自機器に対して処理の開始を指示する前に、前記動作モード選択手段により前記動作モードを選択することが可能であることを特徴とする附記1に記載の画像処理装置。
[附記4] 前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする附記3に記載の画像処理装置。
[附記5] さらに、画像データの出力先を複数登録記憶可能な出力先記憶手段と、
前記出力先記憶手段に登録されている各画像データの出力先に対して自機器の動作モードを関連付けて記憶する動作モード関連記憶手段と、
前記出力先記憶手段に登録されている複数の画像データ出力先のうち、少なくとも1つを選択することが可能な出力先選択手段と、
前記出力先選択手段によって選択された少なくとも1つの画像データ出力先それぞれに対応する動作モードを、前記動作モード関連記憶手段から読み出す動作モード読み出し手段と、
前記動作モード選択手段の選択動作を制御する選択動作制御手段とを有し、
各画像データ出力先に出力する前記画像データに対する自機器の動作内容が、各画像データ出力先に関連付けられた動作モードが備える設定情報に基づいて規定されるものとなるように前記動作モード選択手段が前記選択動作制御手段によって制御され、また、前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える設定情報に基づいて、自機器の動作内容を規定することを特徴とする附記1に記載の画像処理装置。
[附記6] 前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする附記5に記載の画像処理装置。
以上のように、本発明に係る附記1に記載の画像処理装置は、自機器の動作内容を規定する複数の設定項目と、前記複数の設定項目それぞれに対する設定情報を備える複数の動作モードと、前記複数の動作モードの中から、1つの動作モードを選択する動作モード選択手段とを有し、前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える前記設定情報に基づいて、自機器の動作内容を規定することを特徴とする。
また、附記2に記載の画像処理装置は、附記1に記載の画像処理装置において、前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする。
また、附記3に記載の画像処理装置は、附記1に記載の画像処理装置において、操作者が自機器に対して処理の開始を指示する前に、前記動作モード選択手段により前記動作モードを選択することが可能であることを特徴とする。
また、附記4に記載の画像処理装置は、附記3に記載の画像処理装置において、前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする。
また、附記5に記載の画像処理装置は、附記1に記載の画像処理装置において、さらに、画像データの出力先を複数登録記憶可能な出力先記憶手段と、前記出力先記憶手段に登録されている各画像データの出力先に対して自機器の動作モードを関連付けて記憶する動作モード関連記憶手段と、前記出力先記憶手段に登録されている複数の画像データ出力先のうち、少なくとも1つを選択することが可能な出力先選択手段と、前記出力先選択手段によって選択された少なくとも1つの画像データ出力先それぞれに対応する動作モードを、前記動作モード関連記憶手段から読み出す動作モード読み出し手段と、前記動作モード選択手段の選択動作を制御する選択動作制御手段とを有し、各画像データ出力先に関連付けられた動作モードが備える設定情報に基づいて規定されるものとなるように前記動作モード選択手段が前記選択動作制御手段によって制御され、また、前記動作モード選択手段によって選択された動作モードが備える設定情報に基づいて、自機器の動作内容を規定することを特徴とする。
また、附記6に記載の画像処理装置は、附記5に記載の画像処理装置において、前記設定項目は、自機器で扱う情報の漏洩防止、改竄防止及び不正操作防止等のセキュリティに関する動作を規定することを特徴とする。
この構成により、附記1〜4までに記載の画像処理装置は、自機器が多くのセキュリティ項目を持つ場合にも、原稿画像の持つ機密性や画像データの出力先による秘匿必要性の有無などに適合するように設定を行うことができ、操作者が煩雑な操作をすることなく、1つの動作モードの設定操作のみで簡単に行うことが可能である。
また、附記5,6に記載の画像処理装置は、自機器が多くのセキュリティ項目を持つ場合にも、原稿画像の持つ機密性や画像データの出力先による秘匿必要性の有無などに適合し、かつ、自機器における複数のセキュリティ項目に対する設定を画像データの出力先に連動させることにより、セキュリティ項目に対する設定操作を操作者に要求することなく、簡単に行うことが可能である。